電子の世界を駆けるピーキーな少年(仮)   作:fallere

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よっしゃぁい帰還編じゃ! 書いていくぜ!
ただオリジナルで書いていくから自信がなかったり・・・。
どんな感じか感想いただけると正直嬉しい限りです。



拳士は眠りにつく。少年が再びその力を求めるまで彼の中で眠り続ける。

少年は目を覚ます。己が守りたいものを守るために再び手を伸ばす。

少女は願っていた。少年が帰ってくるように・・・それまで生き残れるように。


帰還編
拳士/少年の帰還


目が開かれる。見覚えのない白い天井。病院の空気の匂い。

 

目を配らせると空調設備が映った。

 

「ああ・・・帰って来たのか・・・」

 

そう思うと、物凄い眠気が襲ってきた。碌な睡眠をずっととっていなかったのだ。

 

悪夢を見るのだとしても、今ならそれなりに眠れそうだ。

 

 

 

少年の目が覚めるまでは三日ほどかかっていた。

 

「・・・お前は?」

 

浮遊感の漂う空間。夢だと知覚するのに時間はかからなかった。

 

そして、自分と同じ顔をする者も浮いていた。違うのは暗緑のコートを着ていた。

 

「そうか・・・この二年間ありがとう」

 

それは少年の現身であった。その名は《ゼロ》。拳士と呼ばれた者である。

 

少年の仮面であり、呪いを捨てた姿であり、彼のかつて望んだ姿でもある。

 

それを聞いたとき、拳士は光の粒となって消えていった。

 

 

 

「ん・・・ふぁ~・・・」

 

目が開かれる。一度だけ見た白い天井。病院の空気の匂い。

 

そして前回と何よりも違うところ・・・ベットの左に寝ている少女が・・・。

 

「うん? なんだ詩乃か・・・って、なんで詩乃が?」

 

この少女は『朝田詩乃』、ずっと守りたいと思っていた少女だ。

 

その詩乃は俺の左手を握って静かな寝息を立てている。

 

「とは言え起こさないのはね・・・ねぇ詩乃、起きて」

 

手を動かそうとするが体がすごく重くて動かない。

 

それもそうである。二年程ずっとこちらでは寝たきりだったのだ。

 

「ん・・・うぅ・・・満留?」

 

詩乃が瞼をこすり目を開ける。うん、やっぱり普通の少女である。

 

「ああ、詩乃の幼馴染の四季(シキ)満留(ミツル)。えーと・・・おはよう?」

 

「え・・・満留? 起きてるのよね・・・?」

 

詩乃の質問に頷く。とりあえずそれだけしかできない。

 

「とりあえず詩乃、この二年間大丈夫だった?」

 

取り合えず詩乃から怪我の・・・要するに血の匂いはしなかった。

 

「それはこっちのセリフよ! あんたは大丈夫なの⁉」

 

「僕はただ眠ってただけだ。それより・・・」

 

「あらあら~、痴話喧嘩はほどほどにね~」

 

扉から聞き覚えのある間延びした声、そこには僕の母親がいた。

 

「って、お母さん・・・いつの間に・・・?」「あ、小母さん。邪魔してます」

 

ていうか痴話喧嘩て・・・そんなもんじゃないだろ。

 

「父さんも心配してたんだぞ・・・因みに満留が起きる少し前から外にいたよ」

 

少し威厳を感じるような声、これもまた聞き覚えがある。

 

どうやら最初から聞かれていたらしい。どうにも少し耳なども感覚が鈍ってるようだ。

 

多分SAOに囚われる前なら音なり匂いなりで気づいたはずだ。

 

「だめだなぁ・・・頭もあんまり回ってないみたいだ・・・」

 

「そりゃそうだろう。睡眠時間を毎日4時間でやってたら頭も回らなくなる」

 

どうにもモニターされていたみたいで(当然ではある)そこらへんもばれてるようだ。

 

「まぁどうにも3日間も眠っていたようだから暫くすればどうにかなると思う」

 

取り合えず向こうで感じていた肩の重さは相当楽になった。

 

「まあいいわ。満留、一つ聞かせてもらうわよ?」

 

「ん? いいけど・・・なんだ?」

 

「あんたはなんでSAOなんてゲームをやろうと思ったのよ?

 満留はゲームとかあんまり興味なかったじゃない」

 

それにどう答えるかしばし悩む。親には軽く話しているのだが・・・。

 

「あ~・・・えと、怒らない?」

 

本当にくだらない理由なのだ。

 

詩乃の性格だと『そんな理由で事件に会うなんて馬鹿じゃないの?』とでも言われそうだ。

 

「怒るかは聞いたら判断するわ」

 

「・・・欲が過ぎただけさ。何も守れない僕が仮想世界なら守れるかなって・・・」

 

そう、それだけ。いつか詩乃を誘って守ろうと・・・向こうなら守れると・・・。

 

「はぁ・・・そんな理由で事件に会うなんて馬鹿じゃないの?」

 

うん、予想通り一文字たがえず当たっていた。

 

「まったくだね。こんな目に合うなんて思っていなかった」

 

元々ただのゲームとして発売されていたのだ。知りえることではないのだが。

 

「詩乃ちゃん、うちの愚息を心配してくれてるのは分かるがそろそろ帰るべきじゃないか?

 もう遅いのだからお母さんも心配するだろ?」

 

確かに時間を見ると6時半くらい。そう言えば冬だから外ももう暗いのだ。

 

「あ、本当だ。おじいさんたちからメールがいくつか・・・」

 

「あら~、じゃあ私が送っていきますよ父さん」

 

・・・どうにもお父さんは僕と二人で話したいみたいで。

 

「じゃあお願いします」

 

「は~い、車回してくるから下で待っててね」

 

詩乃もどうやら何となく意図を察したようだ。

 

「じゃあ満留、お大事にね」「父さんも無理しないようにね~」

 

「うん、詩乃とお母さんもさようなら」

 

二人はそれぞれ部屋から出ていく。部屋に残ったのは僕と父さんだけだった。

 

「さて満留、何か言う事はあるか?」

 

「え~と・・・ごめんなさい」

 

取り合えず謝る。父さんから怒りが臭う。この嗅覚も便利と言えば便利か。

 

「お前なら怒っているのは分かるだろう。だが何故怒っているのか理解しようとしろ」

 

・・・図星である。僕の嗅覚は害意など負の感情を嗅ぎ分けられても原因は分からない。

 

「・・・ごめんなさい。考えたけどなんで怒っているのかはわからない」

 

「正直でよろしい・・・が、少しくらいは他人の目線になれ。

 お母さんと詩乃ちゃんがどれだけ心配してくれてのか・・・」

 

母さんは分かる。だが、詩乃が心配してくれてるとは思っていなかった。

 

「勿論父さんも心配したが・・・女を泣かせるのがどういう事か分かっているのか?」

 

「え? あの詩乃が泣いていたの?」

 

詩乃が泣く事はほとんどない。特にあの日からは泣いているところはほとんど見ない。

 

「まあ詩乃ちゃんが認めるとは思わないがね。また今度謝っておきなさい」

 

それに頷く。不謹慎だが心配されてればいいなと思っていけど泣いていたとは・・・。

 

「さて、説教はもういいとしよう。お前もこうなることを望んだわけじゃないしな。

 これからの話をしよう。お前ももう三年になっている。後は分かるな?」

 

そう、僕がSAOを始めたのが中1の時。そして二年間は囚われていたのだ。

 

三年でしかももう十一月であり、そうなると待ち受けているのは・・・。

 

「受験・・・だよなぁ・・・」

 

受験、それは多くの中高生や時に小学生なども悩ませる関門である。

 

己の夢なりなんなりのために学校を選び受かるための登竜門。

 

「因みにだが詩乃ちゃんは都立の高校を受験するようだ。

 それで一人暮らしをする予定のようだが・・・」

 

「・・・なんで父さんがそんなこと知ってるの?」

 

いや、まあ別段おかしなことではない。

 

詩乃とはお隣さんなのだから大小父さんから聞いたりしたのかもしれない。

 

「まあ詩乃ちゃんのおじいさんに聞いたり、一応彼女のカウンセラーだからね」

 

そうであった。僕の両親は心療内科で僕と詩乃のカウンセラーでもあった。

 

その腕は実際身内であることを抜きにしても相当なものである。

 

「で、満留に聞くが勉強に追いつくことはできると思うか?」

 

「一応言うと向こうである人に勉強を教えてもらったよ。

 だから絶対にすぐ追いつくつもりでいるよ」

 

睡眠時間を削ってまで勉強していたんだ。まあ役に立たないようにはしたくない。

 

「そうか、満留なら大丈夫だろう。お前は諦めが悪い、よく言えば我慢強い。

 お前がそのつもりならすぐ追いつくだろう」

 

そう話していると一人、新たにこの病室に入ってきた・・・いや、戻ってきた。

 

「父さん、お話は終わりましたか~?」

 

お母さんも戻ってきて、家族水入らずでいくつか向こうの話をする。

 

「あらあら~、満留も頑張ったのね~」

・・・・・・

「お前も無茶をするな・・・」

 

軽く話していくのを父さん達は聞いていく。大体話し終わったころ。

 

「お父さんお母さん、お願いがあります」

 

ずっと考えていたのだが、言葉にするのに時間がかかってしまった。

 

「僕は受験を必ず成功させますので、どうか僕も東京に行かせてください」

 

碌に動かない体で出来る限り頭を下げる。

 

「満留・・・お前は何のために受験を受ける? 素直に答えなさい」

 

あらかじめ嘘をつくなと言うあたりに憶測は立てられているのだろう。

 

「僕は詩乃の傍にいたいです。僕は彼女の味方でいると約束したし何より・・・」

 

口に出すのにしばし戸惑うが、どうせもうこの親にはばれているのだろう。

 

「詩乃のことが好きだから、彼女を守ってあげたい」

 

言ってしまったと思いつつ、口に出すことで向こうで最後の想いが本当と確信した。

 

「あら~、熱いわね~」

 

母さんはニヤニヤと笑っている。あんた元から分かってただろうに・・・。

 

「よく言った。それなら絶対に成功させろよ。

 朝田家のおじいさん達も詩乃ちゃんの心配をしていたからな。

 そう言う意味ではタイミングが良かったかもしれないな」

 

お父さん達も応援してくれているようだ。

 

「ああ、わかった」

 

そう答えて今日の話は大体終わった。お父さんたちは帰っていった。

 

取り合えず、筋肉付け直さないと・・・リハビリも並行してやらないとな。

 

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