亀更新の
当作品
それでも気長に
お待ち下さい
ゼロとシノンがGGOでの戦闘に慣れてきたころ・・・
「ようやく完成だ」
ゼロは何かを自分の腕に取り付けていた。
「それが言ってた必要なもの?」
「ああ、ゼロが闘うなら必須なものだ」
それは籠手の形状をしていたが、明らかにおかしい点がある。
籠手の手甲の部分が大きく、端が金属刃になっているのだ。
クローナイフとジャマダハルを合わせたと言えば良いだろうか?
「今まで通り、短剣じゃダメなの? あれだけやれる方が異常よ?」
「やはり僕のルーツは拳だからな。短剣だと毎回割とひやひやしている」
そう、ゼロは拳士であって剣士ではない。
短剣も使えるだけで、SAO
・・・同じことができるとは言わないが。
「シノン、よければ今日はいつもより高難易度の狩場に行きたい」
「構わないわ。いつもの狩場も物足りなくなってきたところだし」
グロッケン地下はかなりの難易度のはずである。彼らは目的地を定めた。
尚、シュピーゲルは個人の事情で来れないとのことだった。
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「砕けろッ!」
狩りは順調に進んでいた。拳士は短剣の時とは比べ物にならない動きをしている。
「よくそれだけ懐に入り込めるわね・・・」
「別に、敵の動きが読めてるなら回避も容易だからな」
シノンは「それができるなら苦労しない」と視線を向けるが彼は気にしない。
「ついでに、あんたがトラップも見破ってくれるからサクサクね」
「《索敵》の
とは言え、彼の索敵スキルLvは582までしか達してない。
派生である罠探知もその影響を受ける。
説明したが即ち、彼のスキルレベルでは見抜けない罠などいくらでもある訳だ。
例えば、特殊なダンジョンに通じる落とし穴など・・・。
「きゃっ!」
「シノン!?」
後ろにいるシノンの姿が消え、小さな穴が開いていた。
だがHPゲージは1割しか減ってない事を確認し、ゼロもその穴に落ちることにした。
「シノン、大丈夫か?」
「ええ、少し痛いけどね。ていうか、あんたはなんで落下ダメ受けてないのよ?」
《軽業》
名前から予測できるが、効果高度外だと通常演算のダメージを受けることになるが。
「ここは・・・地底都市? 隠しダンジョンか? 少し待ってくれ」
ゼロは《索敵》を発動して周りの状況を確認した。
「モンスターの数は少ないが、《識別》が通らない。Lvは70弱くらいか?」
因みに現在、二人のLvはシノンが58、ゼロが56である。
「勝てないこともないけど、連戦はできないわね」
「地下ダンジョンのマップも機能しない。索敵の小マップは・・・機能するか」
小マップこと《地形把握》も識別と同じ索敵
(小マップの範囲は半径100mの円形、階段らしき場所もなしと)
「索敵って銃撃戦だと役に立たないと思ってたけど、こういう時は頼りになるわね」
「まぁ効果範囲がこの世界では狭いからな。ただ
シノン、北東に向かうぞ。広い円形と思われる空間がある。
安全エリアか、或いはヒントがあるはずだ」
シノンは静かに一言「了解」とだけ答えた。
敵とのエンカウントを避けるため、索敵に加え《隠蔽》スキルで姿を消す。
ただ、GGOではSAO程強力なスキルではない。
SAOでは
GGOではまだスキルLv523だが隠蔽率41%、SAOなら習得だけで達成できる。
まぁGGOだと隠蔽スキルが強いとゲリラ戦闘ばかりの糞ゲーになりかねないが。
さらに今回で言うと、場所も悪い。森林地帯などならもう10%程上乗せされるだろう。
(やっぱり世界観の違いでスキルの有用性が違うな)
それでも上手く円形の空間、もといコロッセオにたどり着いた。
「何というか、《投剣》スキルに助けられたプレイヤー私たちくらいじゃない?」
「そもそも僕以外取ってるのかも怪しい」
このゲームだとSAOより更に使用率が低い。銃と比べが火力、射程、速度、全てに劣る。
(銃も使えない以上、使い慣れたスキルに頼るしかないだよな)
「ていうか、あんた服の内にどれだけアイテム仕込んでるのよ?」
誘導用の投剣に、一撃必殺の『プラズマグレネード』などで戦闘を回避していたのだが。
「服の物入れと、隠蔽
アイテムと物入れを指定すれば、そこでストレージから引っ張れる」
まぁアイテムのサイズがかなり制限されるのだが。銃だと『デリンジャー』が精々だ。
「隠蔽、暗器、加えて主武装は籠手。まるで忍者ね?」
「やめてくれ、忍びの類はいい縁がない」
初めに体術スキルを得たせいで風魔忍軍に目の敵にされるし。
「ところで、これコロッセオだけど?」
「ああ、恐らく安全エリアではないだろうな」
「「・・・・・・」」
(いや、言いたいことは分かる。だがほかにヒントになりそうなものはなかった)
「ただ、シノン。コロッセオの後ろに小さな円形の空間がある。
そこにはここから以外からは入れない。僕の予想だが、そこにワープゲートがある。
恐らく地上に戻れるはずだ」
シノンはため息をついてうなずく。どちらにしろ他に道はない。
二人はコロッセオに突入した。
同時、反対方向に青いポリゴンが発生、少しずつ四足歩行の形を成していく。
形としては太めのトカゲに角が生えた感じと言えばいいだろうか?
最も、サイズは二人を踏みつぶせるほに巨大だが。
「《Behemoth The Ground King》・・・地底王ベヒモスってところか」
ゼロがヘイトを取り前衛を、シノンは階段を登り階上から攻撃を開始する。
(攻撃は熱線、鉤爪、毒ガスと多彩で、ステージは平面と回避場所もない)
ベヒモスの体力は四本あるゲージの一つ目が丁度削り切れるところだ。
ゼロの推測も的確で、熱線は直線だが毒ガスは範囲が広い。
仮に彼が同程度の機動力を持つAGI型のプレイヤーなら数撃目で死亡しているだろう。
彼が立てているのは、機動力よりも近接戦(近距離ではない)慣れしているからだろう。
特に毒ガス攻撃が顕著で、ベヒモスは攻撃前に頭を大きく上げる。
普通のGGOプレイヤーならこれを横に走って躱そうとするだろう。
だが、ゼロであれば寧ろ近づき首元まで行って回避する。
銃の世界で戦うものは、この安地には気づくまい。
加えて言うならば、ゼロはシノンに最大射程の熱線が届かず且つ、
シノンが射撃可能な距離を長時間保っているのだ。
攻撃でいうと、籠手での一撃のダメージが割と大きく、
投剣も貫通継続ダメージをある程度稼ぎ、グレネードは言わずもがなである。
攻撃パターンも粗方見破り、シノンと通信機による会話を開始した。
「シノン、弾薬は足りてるか?」
『ええ、そっちは? 結構グレとか消費してるけど』
「少し足りないかもしれない。こっちに回してくれ」
プラズマグレネードは安価で高火力なので多くのGGOプレイヤーが1~2個常備している。
直ぐにトレード画面が開き、OKを押して2個補充された。
『これだけしかないけど大丈夫?』
「籠手はまだまだ耐久度に余裕があるし、いざとなればフェザーライトを使う」
この発言で分かる通り、既にゼロにとって籠手や榴弾が
銃であるフェザーライトは
「それに、シノンなら打ち漏らしはないだろ?」
『ええ、当然よ』
結局、この後最後のHPバーになっても毒ガスの範囲が広がる程度の変化しかなく、
そもそも毒ガスに安地を見つけているゼロには意味はなく、地底王は斃れた。
空中に『CONGRATULATION』の文字が浮かび、大量の経験値とクレジットが手に入る。
そして無論、レアアイテムも幾つか含まれていた。
「シノン、入手アイテムはどうだ?」
『ちょっとすごいものが手に入ったかも』
「じゃあ、合流して確認するか」
シノンが見せたものは、長大なライフルであった。
「えっと、名前は『ウルティマラティオ・へカートⅡ』。
分類は《アンチマテリアル・ライフル》。これって・・・?」
「日本語だと《対物狙撃銃》って奴だな・・・。
確か何かの条約で対人射撃は禁止されてる代物のはずだ」
「そう、よね・・・。まぁ私は狙撃手だし、有難く頂いて行きましょう」
そこでゼロにも振られた。彼がストレージから出したのは同じく長大なライフルだった。
「名前は『バレットM82A1』、分類はへカートと同じく。
売ってもいいが・・・少し使ってみたい気持ちもある」
「ゼロ? それ今までの結果見て言える?」
「シノン、気持ちはわかるが僕だって折角こう言うゲームだから銃を撃ってみたい。
それに、チュートリアルだとここまでの武器なかっただろ?
ワンチャンスにかけて、試してみたい」
シノンは諦めたようにため息をついて、
「やるだけやってみたら?」
と、素っ気なさ気に答えたのであった。