この子との出会いは一年前。幼稚園で個性が発現しなくていじめられていた時、その子は颯爽と来て助けてくれたんだ。
一年前
「おい、なんか言えよ。無個性!」
「個性が無くてどんな体してんだよ!」
「うう。やめてよ。」
俺は、なかなか発現しなくて個性について周りからいじめられていた。
え、中身大人なんだから殴り返したり、言い返したりできなかったのかって。いや、言い返したりはしたよ。個性は絶対あとで発現するって。けど心が体に引っ張られているせいか、うまくそのあとが言いくるめたり出来ず、怖がっちゃたりしてね。それが裏目に出てだんだんいじめがエスカレートしてどうにもできなくなっちゃてね。んで、いつものようにいじめられていたら、
「ふんッ!」
「ウゲッ!」
「イデェ!」
突然俺をいじめていた2人が頭を抑えて倒れていた。そしてその2人の後ろに立っていたのが、
「お前ら、いい加減にしろ!2人でいじめて恥ずかしく無いの⁈」
拳を握って直立不動してた拳藤一佳だった。
「い、痛えよ、テメェ!何すんだよ!」
「何って、いじめてるあんたらを止めただけだよ。」
「なんでこんな個性が発現してねぇ奴を助けるんだよ。」
「そうだよ!個性無いし、ウザいからこうしてるんだよ。」
いや、個性無いだけでここまでやるか?俺は地面にへこたれながら聞いていた。すると拳藤は、
「アァ?」
「「「ヒッ⁈⁈」」」
メンチ切って脅してた。ちなみにへこたれていた俺も怖かった。だって声もドスが効いていたもん!
「今止めるなら、殴らないけどまだするなら…
「「す、するなら?」」
「これで殴る。」
と言いながら巨大化した掌を上に上げて見せつけていた。流石にやり過ぎじゃね。そう思ってしまうほど怖かった。何故か俺まで入っている気がしたのは気のせいだ。気のせいだと言ったら気のせいだ。
「「う、うわぁー!お母さーん!」」
2人は、半泣きして逃げていった。ちょっとだけ同情してしまった。
「フンだ!男子なのに弱虫!」そして俺を見て、
「アンタ大丈夫、立てる?」スッと手を差し伸べてくれた。
俺は手を握って立ち上がりお礼を言った。
「大丈夫だよ、ありがとう。」
「そ、良かった。」
俺はおずおずとしながら助けてくれた理由を聞いた。
「あの、どうして助けてくれたの?」
「うん?だってあいつら2対1で襲って卑怯だったから。あとあんまり見てて良くないなと思っただけだよ。」
結構あっさりしているなっと思いつつ、
「あ、あの僕は虫塚勇護。君の名前は何て言うの?」
僕呼びは、気にしないでくれ。この姿で俺呼びだと、背伸びしたいのかなと思われてしまうからだ。
「私は、拳藤一佳。よろしくね。」
一佳ちゃんは、笑いながら言ってくれた。
「ねぇ、お友達になってくれない?遊んでくれる人がいないから。」
「うん。いいよ。アンタ見ていないとまたいじめられていそうだから。」
「はは、ありがとう!」
これが俺の拳藤一佳との友達の始まりだった。
まあ、こんな感じで、拳道とは仲良くなった。今でも、たまにあいつらがいじめにくるが、一佳がいるお陰で大分減ってくれた。その後妹の蟻巣にも友達になった。今じゃあ、家族ぐるみでの仲良しだ。俺と一佳は、ずっと仲が良かった。あの日が来るまでは。
「…転勤?」
一応早く出来るよう次から頑張ります。