俺は走って家に戻った。急いで一佳に話したかったからだ。俺は隣の一佳の家に着いてすぐピンポンを押した。
ピンポーン
はーい
ピンポンのカメラ付きの話し口から一佳のお母さんの声が聞こえた。
「こんにちは〜。お隣の勇護です!一佳ちゃんはいますか⁈」
『あれ?勇護くん?ちょっと待って、今出るから。』
出て来たのは、一佳の母のさやかさんだ。一佳が美人なだけにさやかさんも美人だ。ただしこっちは、おっとりだ。あいつなんであんな風に育ったのだろう?不思議だ。とりあえず俺は一佳がいるか聞いた。
「すみません。急に来て、一佳はいますか?」
「あら、一緒じゃないの?まだ帰ってきてないよ。」
「え⁈」
何で?どうゆうことだ?いつもは喧嘩別れしたら家に帰っているのに。
「何かあったの?」
「実は.…」
俺は今までの事を話した。ただし、おばあちゃんとの話は話さなかった。するとさやかさんは、顔を曇らせた。
「そうなると、近くの裏山に行っちゃったかもしれないね。」
「裏山?」
「そう、前まではきつく叱っていた事が何回かあってね、叱った後にいつもそこに向かって言っていたからそこじゃないかしら。」
「わかりました。ありがとうございます。じゃあ、その裏山に向かってみます。」
「私も少し家事をしたら向かうよ。そろそろ怒られても裏山に行かないように言わないといけないし。」
俺はそれを聞いて裏山へ向かった。そして後悔した。後で思うとその時にさやかさんを連れて行かなかったのか。
そして知らなかった。それが俺の原点《オリジン》になることを。
side拳藤
私は泣いていた。一人で泣いていた。勇護と別れたくないだけなのに、なんでこんなところで泣いているのだろう。どうしていいか分からなかった。ただ離れることしかできなかった。あの時、勇護から走ってここまで真っすぐ来た。本当になんでだろう?
「いやだよ、離れたくないよ。勇護から傍を離れたくないよう。」
気づいたら泣いていた。ただそのことしか頭になかった。
その時だった。
ガサッ
草むらが動いた。ここは誰も知らないはず?
「・・・誰?」
恐る恐る聞いてみた。そして出てきたのは、
「ヴウウゥ!」
出てきたのは、野犬だった。大体位60センチの大型犬だった。数字だけだと小さく感じるが、小学生からすれば十分に大きい。しかも怒っているのか唸っている。
ヴゥゥワァン!!
「ヒィッ?!」
拳藤は、まだ小学生。怖くなるのも無理はない。拳藤は、動いて逃げようとするが、体が動かない。
「こ、怖い。う、動けない。」
腰が抜けてしまったのだ。そして野犬は少しずつやってきて、
「バァウバァウワォーン!」
飛び掛かって拳藤に噛み付こうとした。
拳藤は動けなかった。怖くて目をつぶり覚悟した。
だから、気づかなかった。横から猛ダッシュで走って来る子がいたこ
とを。
ガシ!
ガチン!
ドサァ
拳藤は、痛みではなく衝撃がきたことに驚き目を開けた。そこには、
「ハァハァ、つ、疲れた。」
肩で息をしている勇護がいた。
side勇護
ま、間に合った。
なんでこんなことになっているか聞きたかったが、息苦しくてダメだ。
「ゆ、勇護?」
一佳がこっちを見て尋ねそうな顔をしていた。
が、こっちには答える暇が無かった。何故なら
「グルルル!」
野犬が殺気だってこっちを見ていた。
たく、少しは休ませろ!犬っころ!
そう考えて一佳を支えながら立ち上がった。
「一佳、逃げるよ。お前ん家のお母さんが来るから、多分大丈夫だけど、まだ来てないから安心出来ない。」
「で、でも怖くて、足が、震えて動けないよ。」
「…マジで?」
一佳の言葉はあまり信じたく無かったが、よく見ると足がガクガクしてる。そりゃ普通は怖いか、子供には。
「バァウバァウ!」
野犬は隙を突いて襲ってきた。けど、こっちは警戒しまくっていたから反応できた。
野犬の顔と体を掴んで抑えたが結構暴れる。
つーか、力強い!
「勇護!早く逃げよう!それじゃ噛まれちゃうよ!」
アホか!離したら、逃げきれずにガブッとやられるわ!
そう反論したかったが、言い返す余裕もなかった。
離さない!これしか考えていなかった。
けど子供の体じゃダメだ。限界がきた。
「ふんぎぎぎぃ!」
もう限界!だけど根性で頑張れ!
「ガウガウ!!ガウ!」
「ふんぐぐぅ〜!」
や、やばい!もうダメだ
「うぉりゃぁー!!」
いきなり野犬が吹っ飛んだ。いや蹴り飛ばされたのだ!
「この犬っころが!」
そこには、普段のイメージからは想像つかない台詞と表情のさやかさんがいた。つーか、怖い!野犬より怖い!
「大丈夫かい、二人とも?」
「はい、何とか。」
「うん。大丈夫。」
「良かった。無事で。直ぐ終わらせるから待っていなさい。」
そういうとさやかさんは、
「おいコラ犬っころ!よくも大事な娘と(将来の)息子を噛みつけようとしたなゴラァ!背骨叩き折るぞゴラァ!」
と、憤怒の形相で野犬を睨みつけた。怒りすぎて口調が変わってる!
「ふん!」
さやかさんが腕に力を籠めると
キュイン!
腕が黒くなった!なんかカッケェ!そのまま野犬に突っ込んで
「しゃおらぁ!」
「キャン!」
野犬を一発で倒しやがった。しかも地面にヒビ入ってるし。
「ふう~、これで良しっと。二人とも大丈夫?」
「うん。大丈夫。」
「あの、最近さやかさん。その腕って?」
「ああ、これ?私の個性。武装っていうの。カッコイイでしょ。」
なぜだろう。色んな意味で口にしちゃいけない気がする。
「さ、二人とも立てる?うちに帰りましょう。」
俺は立って帰ろうとした。が、
「あれ、立てない」
一佳が立てずに座ったままになっていた。
「...しゃあないな。」
「え、うわぁ?!」
おれは、引っ張って肩を回して立ち上がらせてやった。
「このまま帰るよ。」
「...ありがとう。」
あれ、意外と素直だな。
そのまま俺たちは家へ帰った。因みに野犬は保健所に連れていかれた。かなりふるえていたが、無視しておいた。
その帰り道、
「ねえ、勇護。」
「うん?」
「ごめんね。急にどっか行っちゃて。」
「全然。大丈夫だよ。気にしてないよ。」
「でもあたしが、離れなきゃ「てぇい!」イタ!」
おれは、口をふさぐ為に一佳をチョップしてやった。
「そうゆうの無し!どの道ああなっていたのだから。」
「...」
「...おれさ、引っ越ししちゃうけどさ、アッチ行ってもちゃんと連絡するよ。」
「...」
「それに、やりたい事ができた。」
「やりたいこと?」
不思議そうな顔で俺を見てる一佳に二カッと笑って、
「ヒーローになる!」
「...え?」
「俺さ、一佳にまた会う時に助けてもらってばっかりじゃん。だから、次は俺がお前を、困っているみんなを助けるカッケェヒーローになるんだ。」
「でも、...”無個性”じゃん。」
「それがどうした!もしかしたら、後で個性が発言するかもしれないぞ。だから諦めない。次に会ったらヒーローになっているからな!」
「...」
一佳はぽけーとしていた。けど、
「へ、そしたらあたしだってヒーローになるもん。」
笑ったでそう宣言してくれた。俺もつられえて笑った
「じゃあ、約束だ。」
「二人でヒーローになるんだ!」
俺たちは、指切りで約束した。
「約束だからな。」
笑顔で一佳が言ってきた。不覚にも俺は、ドキッとした。
「ああ!」
「二人とも仲いいわね。将来は心配しなくて済みそうだわ」
さやかさんの言葉はとりあえず聞き流した。
ヒロアカの映画見て思いました。
メリッサヒロインじゃん!
次は早くなるよう頑張ります。