こんな馬鹿出来ない話とか書きたくないですね( ゚Д゚)
次回はキチガイ共の日常編を挟みます。
一人一話分ですね。
ラフィンコフィンだっけ? マフィンコフィンだっけ?
まぁ、どうでもいいや。
そんな快楽殺人ギルドがSAOに存在しているのだが、その討伐パーティにキリトは参加してきたらしい。ちなみに俺達は諸事情により参加しなかった。
「………」
んで、ギルドホームに来てずっと黙りこくっている。
どうやら奇襲を仕掛けたラフコフのメンバー三人の命を、正当防衛ながらも奪ってしまったことに罪悪感を感じているらしい……と、メールでクラインの兄貴に相談したところ、そう返ってきた。
他にも「キリト君そこ居る!?」みたいなアスナさんのメッセージや、「彼の精神状態は大丈夫かね?」とかいうヒースクリフさんのメールを始めとして、多くの彼の心配をする伝言が俺のところに来る。いやいや、心配するなら本人に送れよ。つか来いよ。
キチガイギルドのホームには入りたくないってか?
というわけで、応接室のソファーで座りながら拳を握りしめるキリトを、机を挟んで対面のソファーに寝転がりながら観察する俺と、一人掛けの小型ソファーに器用に横になりながら本を読むケムッソがいた。ケムッソが俺から見て右手に居り、左手にはコクコクと頭を揺らしながら眠るクロが鎮座している。
だが黙っているのも飽きてきた。
ケムッソから本を奪って読むのも一考したところで、不意にキリト君が黒の剣士君が言葉を発する。
「ハムタロ、お前は……人を殺したことがあるか?」
「ゲーム内なら何回か。確か四人」
「……っ!?」
コイツから聞いてきたはずなのに、妙にオーバーリアクションを取るキリト。ただでさえキチガイ行動を自覚してるのに行っていて、誰からも恨まれないはずがないだろう? しかもオレンジプレイヤーが少なからず横行しているSAO世界で。
「……何とも……思わなかったのか?」
「何とも思わないわけないじゃん。キチガイ舐めてんの?」
さらっと即答したからなのか。
キリトはアホみたいな質問をしてくる。
「『人を殺すことは最も恥ずべき悪徳である』……中々に立派な信念だろ? このまま貫ければ良かったんだけどねぇ。戦国時代に生きてた将兵の気持ちが何となく分かったわ。あれだ、
「だが! 人を殺すことは最低なことだろう!?」
「あぁ、最低だ。キリトの気持ちも分からんでもないよ? ありゃヤバい。何がヤバいって、初めて人を殺した時もそうだったんだが、
俺はソファーに寝転がりながらキリトの意見に僅かながらも肯定する。そのせいか一瞬激高しようとしたキリトも拍子抜けしたように鎮火した。キリトの言う通り、殺人は悪いことだ。けどゲームシステムが殺人そのものの罪悪感を減らす。人を刺す感覚がないまま人が死ぬというのは、ある意味恐ろしいものがある。それをキリトも薄々感じているゆえに、若干逸れた俺の発言にも突っ込まないのだろう。
一連の流れを聞いていたのか、突如ケムッソが鼻を鳴らして語りだす。
「ンだよイキリト。そンな女々しい事考えてやがったのかァ?」
「女々しいって何だよ! こっちは──」
「何でオレ達が自分を殺そうとしてきた連中のことまで考えねェといけねェんだ? 自業自得だろうが。殺されても文句は言えねェよ。……もう連中は文句も言えねェけどな」
人を殺したことに罪悪感も持たず、むしろ笑って皮肉まで込めるケムッソの姿に、キリトは化物でも見るような目で灰色の髪の少年を捉える。
ケムッソの発言は暴論に近いが、言ってることは理解できるし納得もできる。
「キリトは要するに『人を殺した自分への罪悪感が半端ない』って事だろう? それが間違っているとも思わないし、それを許す許さないはキリトが決めることだから俺は何も言わない。──だが、それが他人にも当てはまるとは限らないことを理解してほしい」
人を殺すことは悪だ。これは万人共通の理解ではあるし、俺やケムッソがSAOで行った正当防衛という名の殺人行為を何も知らない第三者に言ったのなら、九割九分の人間が後ろ指を差すだろう。
だが単に『悪』と割り切っていいのだろうか? そう二面性で測れるような問題なのだろうか?
背景は? 事情は? そんなことも知らずに『悪』と断定するのか?
キリトの件を例で挙げるとするならば、正当防衛で人を殺すのは本当に悪なのか? 話し合いの努力で解決するなら戦争なんざ起こらんし、話し合いのリスクも大きいと分からないのか? それとも笑顔で殺された方が良かったのか?
こんなことを考えてると、俺は真性のサイコパスなんじゃないかって思うことがある。
あぁ、本当に──
「……何をするのが正しかったんだろうね」
「……ハムタロサァン」
「お前実はそこまで罪悪感持ってないだろ?」
ねっとりとしたこうしくんボイス口調やめろ。
真剣に考えてやったのが馬鹿らしく感じるだろうが。
「あーもうめんどくせぇ! サッカーだ! サッカーやっぞ。おい、キリト、ラフコフ討伐参加者全員集めろ! 今すぐにだ!」
「はぁ!? そんなの無理」
「やれ」
「イエス、マム!」
俺の無茶ぶりに焦ったキリトだったが、いつの間にか起きたクロにのドスの利いた声に敬礼しながらメールを急いで書き込むのだった。
♦♦♦
「おーい、そっちボール行ったぞ!」
「カット入れって、何やってんのフォワード!」
「よしよしよし、テメェ等中央まで下がれー!」
夕暮れの石造りの街は寂しくも感じるし、美しくも感じる。
そんな下層の街の大広場で、年代男女問わず、装備を外して一つのボールを追いかけ回す。ポジションを叫んだり、専門用語を連発する者もいるが、基本的にそんなことを考えずプレイしている姿は微笑ましい。
その様子を眺めるのは、さっきまで若さを活かしたプレーでスタミナ切れるまで走り回ってたキリトと、審判やってた俺、順番待ちのケムッソだ。
電脳世界でも息切れするんだなと感心しながら、肩で息をするキリトに水を渡す。
「──ぷはっ! あ゛ー、づがれ゛だー」
「少しは気が晴れたか?」
「少し、な」
まるで討伐戦などなかったかのように笑顔で走り回る連中を細目で見ながら、黒の剣士は息を吐くついでに言葉を漏らす。
煮え切れてないなと判断したのだろう。ケムッソが準備運動をしながら吐き捨てた。
「まだまだお子様だなァ。難しく考えてンと老けるぞ」
「ケムッソは割り切ってるんだな……」
「当たり前だ馬鹿野郎。こんなデスゲームで他人のこと気にしてる余裕があっかよ。むしろ余計なことを考えて、手ェ抜いて生きてくもンなら、殺した連中に失礼だ」
そう言い捨てると、汗をかきまくってるクラインの兄貴と交代してサッカーに参加する。
俺とキリトは目を見合わせた。
「……俺、励まされたのか?」
「昔から不器用な奴だよ。つまりはそういうこと」
「……あれで?」
「言ってやるな」
不思議と込み上げてきた笑いに、俺達は声を上げて笑う。
そんな、デスゲームの一日。
「ふっ、私の鉄壁が《神聖剣》以外でも通用することを教えてあげ──」
「おー! ハッタのオーバーヘッドが決まったあああああ!!」
「ヒースクリフ、泣くな! あれは仕方ない!」
「むしろ顔面使ってでも阻止しようとするアスナが異常じゃね?」
「つか副団長がそろそろゴッドハンド会得しそうなんだが」
「とか言ってるうちに副団長の鉄壁が破られた!?」
「キバオウのヘディングシュート凄ぇ!」
「クローバーのフルスイングが凄いだけじゃね?」
「そもそもサッカーのやり方を間違ってるというか」
「……そろそろヘディング狙ってオレっち投げるの止めてくれないカ?」
「だからクロちゃんと武器を一緒にするなとあれほど……」
「しゃーねぇだろ、クラインが率先して武器になりに行くんだから」
この作品が実写化したら自分の役を誰にやって欲しい?
《Hamutarosaan》……出川哲朗
《Wurmple》……山田孝之
《neetsamurai》……黒柳徹子
《Madhatter》……ジョニーデップ
《Clover》……吉田沙保里