次回はロリコンの変態です。
亀更新ですが頑張ります。
気がついたら朝になってた。
いや、太陽の高さ的に『おはようございます』が言えるような時間じゃないか。
「……あと十八時間」
なんて言ってはみたものの、果たして惰眠を貪り続けることが、有意義な時間の使い方なのだろうか? 有意義もクソもない日常を送ってるから何とも言えないけど。
朝遅く起きることが好きではあるが、別に眠り続けることは好きじゃない。ハムタロとかなら何十時間も眠れるとか言ってたし、逆にハッタは朝早く起きないと気がすまない性格。やっぱ人それぞれなんだろうね。
そんな感じでベッドから体を起こす。仮想世界にフルダイブし続けている状況なのに、『寝た』と言い表してもいいかは微妙なところだけど、そこんところどうなんだろう?
まぁ、いっか(思考放棄)。
今日は確かギルド内での用事はなかった筈なので、とりあえず中層にいるフレンドのところへ足を運ぼうと思う。攻略組ともなると時間的にも立場的にも下手に中層・下層への行き来ですら容易にできなくなるのが非常に不便だ。これがクロちゃんなら「あ──(察し)」みたいな感じで許されるんだろうけどさ。
寝間着の装備から普段の装備に変えながら、ついでにストレージの整理もする。
ついでにキチガイ共の行動を見てみると、どうやらギルドホームにはケムッソしかいないらしい。ハムタロは血盟騎士団の本拠地がある層で、クロちゃんがそれを高速で追ってる感じか。ハッタの『???』の場所は気にしないようにしよう。
さて、やることは終わった。
僕は非常に心優しいガイジだからケムッソにも挨拶してやろう。
「ハロー、人類代表諸君! 清々しい朝の始まりだよ! ほら、グッドモーニン──」
「うるせェ無職」
「──もぐもぐ。お、これはハムの朝ごは……がっ!?」
仲良くハムタロが用意した対クロちゃん用ブービートラップに引っかかり、先に麻痺が解除されたケムッソが立ち上がって、僕の口の中に麻痺料理をねじ込んでいる姿を眺めながら察した。
今日は厄日のようだ。
♦♦♦
「やっはろー、ポーション制作進んでる?」
「あ、ニートさん。予定よりも遅かったですけど、何かあったんですか?」
「ちょっと三時間くらい麻痺ってた」
「ホントに何があったんですか!?」
所変わって十一層。《月夜の黒猫団》のギルドホームへとお邪魔した僕は、他ギルメンが素材集めに出払っている中、ギルドホームでポーション制作に勤しんでいるサチちゃんへと軽い挨拶をする。
《天壌無窮》全員が何か一つ生産系スキルを取得しており、僕は《ポーション制作》のスキルを保有している。そのため、ハムタロとイキリト君経由で紹介された彼女と、こうして暇さえあればポーション制作に勤しんでいるわけだ。
彼女の作るポーションは品質と効力が良く、攻略組では頻繁に目にするレベルで使用されている。そりゃ、僕達が腐るほどポーション素材を提供し、アインクラッド内で一番高いであろう《ポーション制作》の熟練度を持つ彼女が作る回復ポーションが、命懸けの前線で使われないはずがない。
そんなわけで先日ギルメンから回収したポーション素材をサチちゃんとトレードしながら雑談を始める。
「本当は自給自足してみたいんだけどさー。僕の熟練度じゃ前線で使うには回復量が少ないんだよね」
「やっぱり生産系をカンストさせるのは難しいんですか?」
「僕達は基本攻略がメインだから、どうしても生産系は趣味の範囲になっちゃうよ。ハムタロぐらいじゃないかな、生産系スキルカンストさせたのは」
サチちゃんは感心したように頷く。
まぁ、遊んでる暇があったら熟練度上げろって話ですけどね。先日の攻略組によるアイスホッケーを思い出しながら苦笑する。
「だからこそ、中下層の生産職の方々には頭が上がらないよ」
「私達には……それしかできませんから」
謙遜するサチちゃんは耳を真っ赤にした。それでも現在ポーションを作る手を止めないのだから、職人気質みたいな何かを見受けられる。
僕からしてみれば、このアインクラッドで前線のために貢献しようと思うプレイヤーがどれだけいることやら。
ウチのギルマス曰く「後方支援なくば兵士は戦えん」。このゲームで例えるなら、鍛冶師・ポーション生産職・情報屋などが居ないと、迷宮区の攻略すら儘ならなくなる。当たり前のことと言えばそうだが、意外とそれを見落としがちなことが多い。
だからこそ、ハムタロは第十層以降から非戦闘員に仕事を斡旋し、ハッタが商品の流通経路を確保した。その基盤が様になってきたのがクォーターポイントの第二十五層前だったこともあり、僕達のギルドは攻略組の総指揮官みたいな扱いを受けているのだ。
今はアインクラッド解放軍に一任しているが、下層の低レベルプレイヤーが下層でしかドロップしない素材を流し、中層の生産系スキル持ちが商品を攻略組に流す構図を保っている。
「そう考えると、ハムタロさんって凄い方なんですね」
「いやー、ただ単に後から楽したかっただけさ。安全にアホなことするには、それ相応の準備が欠かせないからね」
「──あ、ニートさん。来てたんですか」
「お、ケイタ君。お邪魔してるよ」
そこで《月夜の黒猫団》のギルドマスターが帰還する。それなりの装備をしていることから、中層で狩りをしてきた帰りなのだろう。
聞いてもいないのにケイタ君は今回の収穫を僕とサチちゃんに説明してくれる。
「──を集めていたんですよ」
「……あぁ、その鉱石は中層じゃないと手に入らないね。高値で取引されるもんじゃないから、攻略組も金策のために目をつけないし、割りと寡占状態なんじゃない?」
「いえいえ、最近は中層に上がってくる小規模ギルドが増えてきたので、比較的集まっている素材ですよ。下層から上がってきたばかりのパーティは、危なっかしいのも多いですけど」
昔の自分達みたいにね、とケイタ君は苦笑しながら肩をすくめる。別に彼等の成長を促す何かをしたわけじゃないけど、こうやって初心者パーティが成長していく姿は見ていて微笑ましいものがある。
武器になったプレイヤーの言葉の重みは違うなぁ。
「あ、そうだ。話は変わるけど、サチちゃんに調合してほしいものがあるんだった」
「別に構いませんけど……何をでしょうか?」
「《屑鉄》と《サラマンダーの種火》と《自爆兎の火薬》。この前やったクエストで行った民家にあった調合書にあったレシピなんだよね。すっごい気になる」
「物凄く嫌な予感がするのですが」
え、気にならない?
このレシピを見た感じ、ボス攻略がもっと面白くなる予感がするんだけど。
「えっと、ひとまず調合してみますね……」
サチちゃんはトレードで送られてきた素材を、手慣れたように調合のページを開いて新しい物を作る。部外者とギルドマスターが見守る中、調合師の手に虹色の光が集まる。
そして、
「……なんかノーベルさんの気持ちがわかるような気がします」
「何ができた?」
「《悪魔の劇薬》……つまり爆弾ですね」
「Fooooooooooooooo!! チョケプリイィィィィイイイイイイイ!」
アインクラッドのノーベルとなったサチちゃんの作ったものの正体に、僕は我を忘れてエイサイハラマスコイ躍りを披露する。
後で威力検証をするのは当然のこと、場合によっては迷宮区のボス攻略がぐっと楽になる可能性がある。素晴らしいダイナマイトを創造してくれたサチちゃんにマジ感謝。
「で、でも!
ケイタ君の言葉にも一理ある。
何故かは知らないけど、アインクラッドで兎系統のモンスターは中々お目にかからない、非常に稀少なモンスターとなっている。そのため、この爆弾は量産できな
「というわけで、量産よろしくねサチちゃん。はい、コルと素材」
「どうして会うのも困難な兎のレアドロップを数千単位で所有してるんですかっ!?」
「あはは、武器強化に失敗したことがない僕のリアルラックをなめないで欲しいね。むしろ最近は兎しか見てない」
「アインクラッド終了のお知らせ」
ケイタ君が真っ白になっている横で、狂ったように爆弾を量産していくサチちゃんはマジで狂気だった
人物紹介
《neetsamurai》……オリキャラ勢の一人。《天壌無窮》の会計担当。財布。ぶっちゃけ主人公よりも主人公しそうなハーレム体質のキチガイ。ノリで奇声を上げる。ユニークスキルを保有しているが、今回の話以降ユニークスキルが日の目を見ることがほとんどなくなった。将来は『どんな病人も一日で完治させる今別府のババア』の影響で医者志望。