次回は説明回を含むユイ編最終話です。ここで今作のソードアートオンラインの秘密の核心に迫ります。
とか言いながらのギャグ回です。
あと別のアンケート行ってます。
よければ考えて頂けると幸いですm(__)m
ドラゴンボールの登場人物のクソコラみたいな幼女(?)は一旦置いといて、俺達はシンカーの居場所を知っている『ユリエール』という女性の依頼の下、アスキリと変態と脳筋を引きつれて、黒鉄宮地下迷宮へと足を運ぶこととなった。彼女曰く、シンカーは軍の過激派により丸腰のまま地下迷宮へと誘いだされ、そこから帰るに帰れない状況らしい。
途中で合流したキバオウさん含む八人は、薄暗い神殿のような道を歩きながら、時折現れるモンスターを倒しつつ、シンカーが連れられた場所へと進んでいた。
というが軍のリーダー連れ帰るのに過剰戦力や過ぎないか?
アスナやキリトなどの現役攻略組メンバー、軍の
「かめはめ波ああああああああああああ!!」
「ティロフィナーレ」
あそこで馬鹿やってる幼女二人組だろう。
クソコラ幼女が手のひらから波動砲を出し、神話生物が自分の大剣をフルスイングで投げてLv60台のボスを木っ端微塵に吹き飛ばしている様を見ていると、俺達のやってるゲームが分からなくなってくるんだが。
さすがに幼女組のやりたい放題が見過ごせなかったのだろう。攻略組の大手ギルドの一つに名を連ね、規律と秩序の象徴たる血盟騎士団の副団長が注意を促した。
ぶっちゃけ規律と秩序なんて、団長と副団長の頭の中がお花畑の血盟騎士団よりも、なんだかんだルールは絶対に守る、クラインの兄貴が率いるギルドの方が相応しいと個人的に思うのは気にしない。
「クロちゃーん、ユイちゃーん、ここには攻略組じゃない人もいるんだから地形破壊はやめなさーい」
「「はーい」」
壁や天井などに大きな穴が開き、そこから0と1の数列らしきものが見え隠れする光景に、ユリエールさんは泡を吹き、キバオウさんは呆れながら首を振っていた。最近だと破壊不可能なオブジェクトも破壊するようになったからな、あの金髪脳筋神話生物娘は。
あのポリゴンの裏側みたいな空間は今に始まったことじゃない。どうやるのか皆目見当もつかんけど、時々クロが壁とか破壊してるのを見たことがあるからだ。ちなみにアスナさんもそれは不可能じゃないらしい。ルール無視かよ。
まったく、このゲームシステムはガバにも程があるだろう?
アスナさんがユイちゃんに「あとサイヤ人モードは迷惑かけるから止めてね」というブーメラン発言に、ユイちゃんがおとなしく従って元の幼女姿に戻り、モード選べるのかと俺が感心していると、どうやらユリエールさんの言ってた目的地に辿り着いたようだ。
確かに彼女の言ってた通り、ゴールらしき通路の奥には丸腰のプレイヤーが見える。あれがシンカーさんなんだろう。
ユリエールさんとキバオウさんは彼が無事だったことに安堵し、特にユリエールさんは嬉しさのあまり彼の居るところまで駆け寄ろうとして──
「──来ちゃ駄目だっっ!!」
「はいストーップ」
俺は彼の叫びに条件反射で彼女の後ろ襟首を掴んで制止させる。
カエルが潰れるような声を出したユリエールさんを止められたものは良いものの、彼女が歩み出した位置がちょうどトリガーだったのだろう。
俺達とシンカーさんの間に現れたのは──まさに『絶望』を具現化させたような存在だった。
このフロア自体は天井が高く設定されているが、その天井ギリギリまで届くようなボス級モンスターだと言えば伝わるだろうか? 命を刈り取る形をしている凶悪で大きな鎌と、一般的に俺達が連想するような死神風のフードを深く被っている。しかし、顔の位置には頭骸骨そのものがはっきりと見え、血の色をした瞳は俺達を品定めするかのように睥睨する。
俺の《識別スキル》でもステータスを読み取ることが出来ない。つまりレベルは相当高いのだろう。
攻略組で長く戦い続けてきた俺達だからこそ分かる。
「……あれ、結構レアなアイテム落としそうだな」
「さぁ、テメェ等! 狩りの時間だァ!」
「「「FoooooooOOOOOOOOooooOOO!!」」」
──う暇があるんなら、攻略に役立ちそうなモン落としそうな目の前の獲物倒す方が得策だよな。うん。
俺の呟きと共に、どっかの不良少年みたいな口調で喜々と二刀流を構える黒のイキリト他、文明が発達してない民族の狩りの合図みたいに雄叫びを上げる攻略組のトッププレイヤー達。
いくら格上だろうと、レアアイテム落とすモンスターを見逃す奴は攻略組にはいない。つかこのモンスター前にクロが間違って壊した部屋の奥にいた気がする。
「レアアイテム置いてけ! なぁ、Lv90台ボスなんだろう、お前!? ならレアアイテム置いてけよ! レアアイテム置いてけぇぇぇえええ!!」
《識別スキル》なくても大まかなレベルを察するキリトは、薩摩兵子もニッコリな獰猛な笑みを浮かべながら、二刀流スキルを惜しみもなくブン回していく。自称ゲーマーのイキリト君は昔からレア泥に関して並ならない執着心的なものがある。その結果があのザマである。
こうやってレアアイテムの欲求を前面に押し出した黒の剣士は、やはりDPS最強のプレイヤーなのだと嫌でも自覚してしまうな。某調査兵団の兵長みたいなトリッキーな素早い動きは、幼女を追い求めるハッタぐらいしか比較対象がないくらいだ。
格上のボスモンスターのHPゲージが信じられない速度で減少する様を眺めながら、俺は
クロが偶然バグ利用みたいに壊した壁にあった部屋もそうだが、このような初見殺しに似たモンスターを配置されている場所には、何か重要なものが隠されていることが多い。
そして、そのような場所には二つのパターンがある。一つは階層攻略に必要なギミックか情報を持つ鍵となるモンスター。もう一つは本来GMが使用するはずだった部屋を守護するためのボスモンスター。
今回は──後者だったようだ。
その事実に気付いたのは、隣でバーサーカー共が狂乱の宴を行っているのを黙って見ていた黒髪の少女が、ゆっくりとボスモンスターへと歩み始めたのと同時だった。
「──大丈夫だよ。パパ、ママ」
その言葉は誰に向けてのものだったのだろうか。つか何が大丈夫なのだろうか?
ボスモンスターは少女の存在に気付いたのか、ヒャッハーしてる攻略組を無視してまでユイちゃんに襲い掛かる。思わず駆け寄ろうとした俺だが、黒髪の少女は一瞬にして筋骨隆々なサイヤ人モードと化し、
「七花八裂……改……っ!」
襲い掛かるボスモンスターに、身体を捻って拳を相手に突き出して敵の肉体を内側から破壊し、強烈な拳底、合掌した手を開きながらぶつける掌底で相手の外側に衝撃を与え、足を斧刀に見立てた踵落としを喰らわし、下から打ち上げる膝蹴り、両手で放つ水平手刀で両脇を打ち、最後に敵の胴体を穿つ貫手を流れるような動作で繰り出した。どこの虚刀流だよ。
殺意が無駄に高すぎて全員が言葉に出ない。
ポリゴンのように弾けて消えたモンスターを背景に、彼女は悲しみと寂しさを混ぜたような笑みを攻略組の面々に向け、
「俺のラストアタックがああああああああ!!??」
空気の読めないキリトの嘆きが地下迷宮に木霊した。
本編では語られない後のALO編での動向
《Hamutarosaan》……アスナに捕らわれた須郷を助けるために、キリトと協力してユグドラシル攻略をする。
《Wurmple》……ALOを二分する超巨大ギルド『ケムッソ朝熟女帝国』を作って戦争を始める。
《neetsamurai》……↑↓のどちらにも属さない『ニート自治領』を裏で操る。
《Madhatter》……レジスタンス的な『自由幼女同盟』を建国。打倒帝国を掲げる。
《Clover》……キリトと協力してたが最終的にユグドラシルが崩壊する要因を作る。。