今回は第三者視点となります。あと会話文も多い上にギャグ要素皆無です。クソつまらない回となりましたが、必要そうなんでぶち込みました。
次回は七十五層ボスと戯れます。
あと少しで今作も終わりますな。
とある雑貨屋にて。
「──おう、注文の品はコレだろう?」
「ありがとありがと。いやー、これで目的のブツは全部揃ったわ。あとはクソニートとロリコンの方が順調なら、文字通り『準備万端』ってワケだな」
スキンヘッドの店主とのトレードで渡された物を確認した黒髪の少年は嬉しそうに頷く。
その様子を見守るのは金髪の少女と猫髭の少女。
「随分と用心してるんだナ。やっぱり先遣隊を送れないからカ?」
「あったりまえよ。死地だと分かってて自ら進んでいく馬鹿なんざ居るわけないだろうが。それを抜きにしても、わざわざ少ない精鋭を減らしたら元も子もない」
「正論過ぎて反論すら思いつかねぇな」
黒髪の少年の言葉に同調するスキンヘッドの店主。
猫髭の少女は苦笑した。
「とうとう七十五層、カ。あと四分の一なんだなナ」
「ん」
「確か二年前だっけ? SAO始まったの。はぁ……二年間もこんなくっだらないボス戦を繰り返してるんだと思うと頭痛くなるぜ」
金髪の少女は一言頷き、黒髪の少年は頭を抱える。
「……二年もアインクラッド居んのか。アイツは元気してるかねぇ」
「エギルの奥さんか? 浮気してなきゃいいな」
「ちょっと表出ろや」
ガチトーンでキレるスキンヘッドの店主に、黒髪の少年は謝りながら笑う。
「そう怒るなって。少なくとも来年には再会できるんだからさ」
「……本当に出来るのカ?」
「できなきゃ俺が困る」
黒髪の少年は肩をすくめながら宣う。
「やれるだけのことは毎回やってる。でなきゃボス戦には絶対挑まねぇよ。俺は勝てない戦いは絶対にしない主義なんでね。つまり勝てる見込みがあるからボスにカチコミするってことさ」
♦♦♦
とある広場にて。
「……ケムッソ君、確か明日って七十五層のボス討伐戦だよね?」
「んァ? あぁ、まぁ、そうだが」
「七十四層では結晶アイテムが使えないんだったよね? 本当に大丈夫なの?」
栗色の髪の少女が心配そうに灰色の髪の少年を見る。
それに鼻で笑いながら灰色の髪の少年は水分補給をした。
「その心配を前回したかァ? しなかっただろうが。つまりいつものようにボスの野郎をぶっ潰して帰ってくるだけだ。何の問題もねェ」
「……さすが攻略組のトッププレイヤーですね。羨ましい限りです」
「おうおう、羨ましがっとけ。こンな七十四回も同じようなこと繰り返してる作業が羨望の対象になるのか分かんねェけどなァ」
銅色の髪の少年の皮肉にも、灰色の髪の少年は嘲笑うように返すだけだった。
その様子を見て栗色の髪の少女は安堵するように微笑む。
「それを聞いて安心したかな? 私もノーチラスも、まだケムッソ君に恩返しできてないからね。ボスなんかに倒されたらダメだよ?」
「恩返し云々気にすンなら、今のダンスの振り付けを完璧にしとけよ?」
「えぇ、分かってますよ。他者を魅せる仕事なのですから、やるからには全力です」
自虐的な印象が強かった銅色の髪の少年の前向きな発言に、少し眉を上げて感心したように息を漏らす灰色の髪の少年。
そして普段とは違う微笑みを浮かべるのだった。
「絶対に負けねぇ保証はねェが、絶対に負ける保証もねェ。七十五層でドロップアウトすンなら、オレの人生もその程度ってわけだァ。ま、その程度の人生って言うには濃すぎるンだがな」
♦♦♦
とあるポーション屋にて。
「いやー、サチちゃんありがとー。これで七十五層は超えられそうだよ」
「それは良かったです。この前調合を少し変えたおかげで、回復量は若干下がりましたが、
「それは回復量減少が気にならないくらい?」
「はい、クラインさん達に試してもらったんですが、気にならないどころか使いやすいって感想を頂きました」
「そっかそっか。じゃあ後で素材と泥する場所教えてよ。クエ発注して素材斡旋するからさー」
カウンター越しに黒髪の少女と白髪の少年は楽しく会話していた。
ポーションの効果量を詳しく聞いた白髪の少年はウィンドウを閉じる。
「それにしても……もう七十五層、なんですね」
「七十四回もボス戦やってるんだね。暇だなぁ、僕達」
「ふふっ、名前とは違って働き者ですよね?」
「ニートの恥さらしってコトかな?」
声を出して笑い合った少年少女。
ふと黒髪の少女は遠い目をする。
「……まさか二年間もアインクラッドで生きられるとは思っても見ませんでした。これも攻略組の皆さんの御蔭です」
「大半はケムッソとクロの御蔭だと思うけどなー。最初のケイタ君みたいに突っ走ってたら、今頃ギルド壊滅してたかもしれないしね。ダンジョンとかで」
「あはは……その節はお世話になりました……」
「所詮はIFの話だけどさ」
白髪の少年は肩をすくめる。
「こんな話してられるのも来年までだけどね」
「え? ど、どうしてですか?」
「だって来年中にはクリアする予定だし。サチちゃんも早く両親に会いたいでしょ?」
「そう、です。はい、会いたいです」
「なら頑張ろう。死なない程度に」
自分の得物の柄を軽くたたきながら、白髪の少年は微笑む。
「僕達は大げさに言えばアインクラッド内の全プレイヤーの希望だからね。背負うにはちと重すぎる気もするけど、あと一年間を馬鹿みたいに過ごすって考えれば、案外すぐ脱出できるんじゃないかな?」
♦♦♦
とあるカフェにて。
「えっと……私の為に時間を割いていただいてありがとうございます」
「いえいえ、シリカさんの為ならボス戦の最中でも扉蹴破って向かいますよ」
「あ、あはは……」
割と洒落にならない冗談を真面目に答える黒髪の青年に、栗色の髪の少女は困り顔で笑う。
「して、用件とは?」
「そこまで重要なことじゃないんですが、これをどうぞ……」
「これは……押し花の栞ですか?」
「はい、ピナと一緒に頑張って探して作ったんです。いつも助けて頂いてる日頃の御礼です!」
自己主張するかのように、少女の肩に乗っていた小さいドラゴンは鳴く。
「例の四十七層の丘の花ですね。『プネウマの花』でしょうか? 実物を見るのは初めてですが、これはまた本当に綺麗です」
「栞なんてSAO内で使い道はないと思ったんですが、他に持ち運べそうな加工できる物が思い浮かばなくって」
「そんなことはありません。本当にうれしいですよ。今なら単騎特攻でボスに挑めそうなくらいには」
紳士の笑みを浮かべる黒髪の青年。
その様子に栗色の髪の少女は引きつった笑みを誤魔化す。
「次のボス戦は大変かもしれませんが、絶対に死なないでくださいね?」
「もちろんですとも。絶対に帰って来ますよ」
青年は色鮮やかな輝きを未だに保つ押し花の栞を愛おしそうに眺める。
「これを持ったまま死亡すれば栞もロスト、でしょうか。いやはや、絶対に死ねない理由が出来てしまいましたな。元より、幼女関係でやり残したことが多すぎるので死ぬつもりは毛頭ありませんが」
「……あんまり疑いたくはないけど、他に候補がいるわけでもない。まず間違いなくアイツなんだろう」
「ユニークスキル持ちが消えるのは痛いが、アイツが抜けたところで戦力的に攻略組が崩壊するわけでもない、か。もしかしてハムタロの野郎これを予測して動いてきたわけじゃないだろうな?」
「チャンスは一度っきり。……絶対に失敗できない」
「……でも、どうして」
「どうしてアイツはデスゲームなんか始めたんだ……?」
「アインクラッドも七十五層目か」
「私の《神聖剣》の御蔭……とは口が裂けても言えないな。私一人ではクリアできるはずもない」
「あぁ、百層が本当に楽しみだ」
「ところで茅場晶彦はなぜデスゲームを作ったのだろうか?」
本編では語られない後のキチガイの故郷旅行編での動向
《Kirito》……アスナママンの故郷がココだと知って唖然とする。そして納得する。
《Asuna》……新婚旅行気分。
《Yui》……パパとママと旅行を楽しむ。カメラ越しだけどね。
《Leafa》……兄について来たが、キチガイ共の魔境に慄く。
《Sinon》……ちゃっかりケムッソん家に泊まる。羨ましいぞケムッソ死に晒せ。
《Yuuki》……入院してたが途中で完治。みんなと旅行を楽しむ。
《Klein》……ババア共に気に入られる。
《Agil》……嫁さんと旅行気分でキチガイの巣窟に足を踏み入れる。
《Silica》……旅行中何気にハッタと良い雰囲気。羨ましいぞハッタ死に晒せ。
《Lisbeth》……普通に観光。しかしキチガイ共のオススメスポット『桜島の火口』を見に行く羽目になる。
《Sachi》……ニートん家に挨拶しに行く。羨ましいぞニート死に晒せ。