ハリーポッター ハッフルパフの聖女   作:リムル=嵐

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今回からやっと、原作に入っていきます。



三人組と賢者の石

「ありがとうね、ユディ」

 

クリスマス休みが明けてから暫く、やっと馴れてきたガラルからの手紙と小包みを、ペットのアメリカワシミミズクのユディから受け取った。

 

赤と青のカラフルな封を切って中身の便箋を取り出す。

 

ミリアへ

元気にしてますか?

僕は今日、ギルバートと一緒に孤児院に来て初めての買い出しに行きました。

魔法つかいも普通のスーパーに買い物に行くのですね、何だか新鮮な気分を楽しみました。

ミリアは何か、最近新鮮な気分を味わった事がありますか?

あれは中々に爽快な気分で、旅行が好きな人の気持ちがよく分かります。

 

ガラルより

 

P.S.仲直りの印が未だでしたね、ご友人の分も御揃いで用意してみました。使い方は同封してある方に書いてあります。

 

「仲直りの印ねぇ、何入ってるんだろ」

 

小包みを軽く振ると、中からカラカラと軽い音がなる。

 

しばらく音について考えるが、結局音だけじゃ中身が分からなくて、アクセサリーの類いだろうと思って手紙の二枚目を見る。

 

移動キー(ポートキー)?」

 

中に入ってるブレスレットには、通常の時間指定の代わりにキーワード指定の移動キーが施されているみたい。移動先は孤児院の庭。手紙には、普通は言わないようなキーワードが書かれている。

 

これは後で皆に注意しながら渡さないとね、特にキーワードを間違って持ったまま言ったら、ホグワーツから孤児院まで一直線、新年早々にハッフルパフから大幅減点者が出ることになる。

 

「ミリィひま~、何かして遊ぼうよ!」

 

「私、今から手紙書くの」

 

エレナが課題のレポートを一人で終わらせるのを諦めたのか、私の背中に寄りかかってきたから、手紙を書くことを言って背中から引き離す。

 

「うぅん……新鮮な気分ねぇ、ここ一番はガラルだけど」

 

ガラルの手紙を呼んでから、返事を考える。

ガラルは三日に1度は手紙を送ってくる。最初の頃、あまりの恐怖で目眩がしたのはもう懐かしい、今では立派な文通友達だ。

 

「よし、出来た、明日ユディに渡さなきゃね」

 

書きあがった手紙に封をして、机の引き出しにしまう。

 

「あ、ミリィもう手紙書き終わったの?ならチェスしようよ!」

 

ベッドで本を読んでたエレナが、私が手紙を書き終わったのを見計らって声を掛けてきた。最初の頃は手紙を書いてる時も声を掛けてきたんだけど、あまりにもうるさくてしつこいから、一度怒って一日口を利かなかったら、反省したのかその日の夜にはしおらしい感じで謝ってきたの。反動で夜スゴい甘えてきて困ったけどね。

 

「トランプならやるわ」

 

「じゃあスピードね!」

 

赤と黒にカードを別け始めたエレナに、本当に遊ぶのが好きねと笑うと、用意された黒のカードを纏めて、スピードを始める。

 

「私が……負けた?」

 

「joker入りなら私は負けないわよ、妹達とどれだけやってると思うの?」

 

かれこれ一時間もスピードをやらされて、ちょっと疲れてると、ギネヴィアが不機嫌そうな顔をしてベッドに飛び込んだ。ペットの猫のスキャットが、不機嫌そうにベッドから飛び出す。

 

「全く、なぜダンブルドア先生はポッター達を止めないのですか、英雄とは言われててもまだ子供ですのよ!?」

 

いきなり叫び始めたギネヴィアに、私とエレナは目を丸くして、お互いの顔を見る。いつも礼儀作法には人一倍気を使ってるギネヴィアが、ベッドに飛び込んで叫び出すとか、始めて見たんだけど。

 

「何かあったの?」

 

「あ、これははしたない所を………何かあったというか、これから起こると言いますか」

 

恥ずかしそうに居住まいを正すと、ばつの悪そうに視線をそらした。

今ここに居るのは私達三人で、ライラは今フクロウ小屋に行ってるから、夕食までは戻らない。

 

「これからって何が起こるのさ」

 

「ポッター達が図書館でニコラス・フラメルについて調べて居ました」

 

ニコラス・フラメル?

 

「誰だっけ?」

 

エレナも分からなかったのか、首をかしげていると、ギネヴィアが解説してくれた。

 

「存命の錬金術士の中で最も偉大な人です。錬金術の到達点である『賢者の石』の作製に成功したお方で、賢者の石によって精製される『命の水』により、現在六百五十歳を越える年齢だそうです。マグルでも、賢者の石は聞いたことがある人もいますし、それだけ有名で影響力のある人です」

 

ろ、六百五十歳以上、生き物としてのスケールが違うよもうそれ、自己紹介の時に、六世紀半と何年生きてますとか言われてもポカーンだよ、何言ってんのこの人って感じだよ。

スゴいな賢者の石、不死になれる錬金術の到達点、どれだけの時間と才能があれば届くんだろう。そこまでスゴい物を造れるなら、およそ殆んどの物を錬金術で作れるんだろうな、錬金術万能過ぎる。

 

(アメリカ)より歳上の個人かぁ、スケールが個人のものじゃないよね」

 

「ソロモン王で有名なエルサレム王国や、カエサルで有名な共和制ローマよりも長生きしてますからね、それこそ六世紀以上続いた国の方が、歴史上少ないですから。かろうじてオスマン帝国が六百二十年程続いてますけど、ニコラス・フラメルは六百五十歳越えてますし」

 

それこそローマ帝国とか日本位じゃないですかね、七世紀越えは?何て言うギネヴィアの言葉に、もうそれ人類じゃなくて別の種族では?何て思ってしまった。

 

「日本ってそんなに昔からあるんだ」

 

「現存する国で世界最古と言っても過言ではありませんから、確か成立が紀元前六百年と少し、国として成立してから優に二千六百年ほどですかね。諸説ありですが」

 

まさかの桁違い、日本って本当にクレイジーね。

NINNJAといい、技術といい、どこかしらぶっ飛んで無いと、気がすまないお国柄なのかしら?

 

「ふぇぇ、何か歴史の勉強してるみたい」

 

エレナがノートにメモを取ってる、ベッドの上だけどやってる事はまんま授業と同じね。

 

「っていうか何で二人とも、そんな歴史に詳しいのよ」

 

エレナ何かも、さらっと言ってたけどアメリカがいつで来たのか知ってるみたいだし、二人とも本当に十一歳?

 

「古本を読んでいたら自然と、ガリア戦記は良いものですわ」

 

「私は、お母さんの親戚が米人だから、たまたま知ってただけだよ」

 

ギネヴィアの本の虫さが際立つ返答に、ますます年齢詐欺疑惑が出てくる。ガリア戦記、前にパパが買ってきたのを少し読んで私、心が折れたわよ。

 

「私、ギネヴィアが同年代なのが本当に不思議」

 

「あぁ、確かに、中身が三十代って言われても違和感無いよ」

 

「失礼な。話を戻しますけど、入学して直ぐ、グリンゴッツ魔法銀行に泥棒が入ったのは覚えています?」

 

あぁ、何か聞いたことある。私がうなずくのと同じくして、エレナが口を開く。

 

「覚えてるよ、盗みに入った金庫が空だったってやつでしょ」

 

「えぇ、つまりは盗まれる前に誰かが持ち出したんですの」

 

「え……あっ、そっか!」

 

「どゆこと?」

 

したり顔でうなずくエレナに、私は分からなくて声を上げる。

 

「グリンゴッツ魔法銀行は、イギリス魔法界で最も安全な場所と言われています。そしてその名に恥じず警備は厳重です。そこに盗みに入るのですから、犯人にはただの金銭目的ではなく、明確な目的があったのですよ」

 

「つまり、その目的が分かっていた誰かが、別の場所に持ち出した?」

 

「グリンゴッツ魔法銀行に忍び込む何て事が出来る相手を手玉に取れるのは、十中八九ダンブルドア先生でしょう。ポッター達に、何でニコラス・フラメルを探しているのかを聞いてきました。何でも立入禁止の部屋に隠された物の手懸かりだそうですよ?」

 

つまり、ダンブルドア先生はグリンゴッツ魔法銀行から、何かをホグワーツに持ってきて立入禁止の部屋に隠した?

 

「そして、彼らがニコラス・フラメルを手懸かりにしている……エレナ、蛙チョコのカードを集めていましたわね、ダンブルドアのカードの裏を見てください」

 

「ふぇ、ちょっと待ってて」

 

ベッド脇の机の引き出しから、カードの束を取り出してダンブルドアのカードを探し始めたエレナ、二枚あったのか一枚を渡してくれて、二人で裏側を確認する。

 

「ニコラス・フラメルとの錬金術の共同研究、二人は知り合い!?」

 

「それでは最後に、ニコラス・フラメルが持っていて、グリンゴッツ魔法銀行に忍び込むだけの価値があり、ダンブルドア先生が守りたいと考える程の価値の有るものとは、何でしょう?」

 

そこまで言われて、私でも想像できた。

あるんだ、立入禁止の部屋に……賢者の石が!

 

「これ、ポッター達は何でこの事を調べてるんだろう」

 

「先生の中に裏切り者が居るらしいと、三人は言っていましたね」

 

学校の中に隠すんだから、先生には話は通すか。生徒やその親にも話すのが普通なんだけどね、この学校はそこら辺杜撰だ。

 

「誰だろう、皆好い人なのに」

 

「あの三人はスネイプ先生だと言っていましたけど」

 

「んな訳無いじゃん!」「そうだよ、あの人スゴい生徒思いだよ、ポッターは別だけど!!」

 

二人して反論する。スネイプ先生は確かに皮肉屋で、素直な性格じゃ無くて、批判が大好きな人だけど。授業は分かりやすくて知識は豊富で、授業外でも質問すれば分かるまで付き合ってくれる先生なんだから!

 

後、以外と茶目っ気のあるロマンチストで、お料理が好きだったりする。、ライラが最近お菓子以外も作り始めてるのは、スネイプ先生のレシピを試したいかららしい。

 

「ええ、私もそう思います。スネイプ先生には賢者の石を手に入れる動機が無い、だから犯人は別に居るのです」

 

「別の犯人、フィルチとか?」

 

「それだったら、グリンゴッツ魔法銀行に忍び込める理由にならないよ」

 

彼はスクイブだから、魔法が使えないし、ここに住んでるからマグル用品を使うことも難しいはず。ホグワーツはマグル用品を使うことが、基本的に出来ないようになったるからね。メガネとか腕時計とか、申請すれば許可が下りる物もあるけど。

 

「あ、そっか……うぅん、先生達は私達と同じかそれよりも早く集まってるんだよね、新学期って」

 

エレナが言った候補を否定すると、考える様にエレナが唸る。

 

「うん、そうだよ。先生達はここに住んでるから、集まるも何も無いけど………そういえば、マグル生まれの人を対象に、この学校の先生方は説明に回っていたんだよね、その時期。私としてはグリンゴッツ魔法銀行に盗みに入る何て、時間が無かったと思うけど」

 

マグル生まれの子供が多くて、先生達が前日まで買い出しの手伝いなどで慌ただしくしてたと、スプラウト先生が言ってた事を思い出した。

 

「あ、それだよミリィ!!」

 

「それって?」

 

「この学校に去年から居る先生は忙しいなら、今年入った先生はそうじゃない!!」

 

今年……あ!

 

「「クィリナス・クィレル先生!!」」

 

「正解ですわ、先生方も薄々勘づいて居ると思います。何せ賢者の石ですからね、グリンゴッツ魔法銀行よりも厳重な警備となると、それこそホグワーツの先生方がトラップを仕掛ける位で丁度良いと思います」

 

確かに、そうなるとクィレル先生は他の先生達のトラップを破る方法を探してるのかな?

………そういえば。

 

「ね、ねぇギネヴィア、クィレル先生って」

 

「えぇ、ダンブルドア先生の所に話に行きましょうか」

 

「私も行く!」

 

「それだと、ライラが帰ってきた時誰も居ないでしょう?」

 

「それなら書き置きすれ「何て書くつもりですの?」……あ」

 

これ下手に本当の事を書いたら、ライラ以外の誰かに見られた時大変じゃ?

 

「かといって友達に嘘吐くのも………夕飯の後に行く?明日休みだし」

 

「えぇ、この前暗号は聞きましたし、それで良いでしょう」

 

「ねぇねぇ、校長室ってどんなとこ?」

 

それからはライラが来るまで、エレナの質問に答えながら時間を潰した。

秘密部屋編アンケート、同数票だったので、決戦投票です!!

  • ウィーズリー覚醒 バジリスク討伐
  • ギネヴィアの私TUEEEEEルート

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