ハリーポッター ハッフルパフの聖女   作:リムル=嵐

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ども、原作はもう後半戦に入った辺り、これからクライマックスに向けての準備期間ですね。
ただ、後半はハッフルパフ故に関われる所が少なくて悲しい(前半も似たような感じで、オリ展開でお茶を濁したとは言えない)。


賢者の石とクィディッチ

ライラが帰ってきて事情を話した後、皆で広間で夕食を食べて、ダンブルドア先生を、この後校長室に行く事の許可を貰うために、待つ事にしたんだけど。

 

「まさか、逃げられるとはね」

 

いつまでも大広間に来ないから不思議に思って、エレナがマクゴナガル先生に話を聞きに言ったら、大事な備品の移動があるために、今日は城に居ないと言われて、四人で部屋まで戻って頭を抱えてる。

 

「……備品の移動なんて、校長先生がやることじゃ無いじゃん」

 

エレナがいじけて枕をポフポフと叩いてると、ライラがギネヴィアに質問をする。

 

「さてこれからどうする?三人はもう何が隠されているか知っているんだろう?」

 

「えぇ、ですが彼等は泥棒するのはスネイプ先生だと、決め付けていますからね。何をするにしてもあの三人をどうにかするなら、先ずは説得でしょう」

 

ポッターは頑なになってそうだなぁ、あの三人が調べ物の後何をするか分からないけど、もしするなら説得は大変そうね。

 

「取り合えず明日の朝に確認をしましょうか」

 

手を叩いた後にそう言ったギネヴィアは、パジャマに着替えるとそのまま布団に潜り込んだ。モコモコの温かいパジャマで、寒い季節にはピッタリなウサギ耳の付いたフードがあるピンク色のやつ。

 

「それ温かそう、良いなぁ」

 

「ホグワーツには暖房は有りませんからねぇ、これなら毛布一枚でも温かいですの」

 

「私は寒さ対策に寝袋持ってきたよ!」

 

これ温かいんだ!と自信満々にベッドに広げるエレナに、苦笑いする。

 

「そんな事しなくても、毛布を被れば良いだろうに」

 

「酸欠で危険ですわよ」

 

不思議そうに言うライラに、ギネヴィアが呆れる。

 

「私、普通の長袖しか無いんだよね、寒い」

 

年が明けたとはいえ、未だ一月で寒さが厳しい季節。電気の使えないなホグワーツでは、空調(エアコン)何てマグルの発明品が使える訳も無く、寒さや暑さは個人で対処するしか無いんだよね。ベッドウォーマーも有るけど、毛布じゃあんまり意味は無いのよ。

 

「なら、私と一緒に寝ます?たまにエレ「わぁー!!」の事「わぁー!!」けど」

 

エレナが声を被せてきて、何言ってるのか分からなかったけど、取り合えずエレナがギネヴィアに何か私達に知られたくない事をしたことは分かったよ。

 

大方寝惚けてギネヴィアのベッドに入ったとか、ギネヴィアの事をママとか言ったとか、そんなオチでしょ。

 

「嬉しいんだけど、私寝相悪いから」

 

まだ一人部屋じゃ無かった頃は、ベッドから落ちる常連で、二段ベッドだと絶対下にさせられてたからね。一人部屋になって暫くしたら落ち着いたけど、今でも眠りが深いと、朝起きた時信じられない所に居たりするから。

 

「なら、湯タンポでも作りましょうか、お父様が買ってくれたものがあるのです」

 

ギネヴィアが、湯タンポと猫のぬいぐるみみたいなカバーをトランクから取り出してくれる。

 

「ありがとうギネヴィア!」

 

受け取った湯タンポを使ってその日は久々に寒さを感じなくてすんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、大広間の前に集まってポッター達を見付けると、話がしたいからと言って、朝食を一緒に食べることにした。

 

「それで、皆何を聞きたいんだい?次のグリフィンドールの試合のフォーメーションとか?」

 

トーストにジャムを塗りながら聞いてくるウィーズリーに、ギネヴィアが言う。

 

「先日言った事です、あの部屋に隠された物について調べて、どうするつもりで?」

 

「貴女達は気にならないの?私は気になるわ。それに先生方が知らないなら、知らせてあげなきゃ」

 

グレンジャーが、コーンスープに食パンを浸けて言う。ポッターは気不味そうにウインナーをかじってる。

 

「先生方は知っていますよ。誰が泥棒するのかもね、ダンブルドア先生が対策をしています」

 

「具体的には?」

 

「言うなと言われているので………ただこれだけは、スネイプ先生はポッターの敵ではないですわ」

 

「嘘だ!!」

 

グレンジャーにされた疑問にギネヴィアが答えた時、黙ってたポッターが机を叩いて立ち上がると、ギネヴィアを睨む。

 

「嘘じゃないよ、スネイプ先生は好き嫌いで仕事を選ぶ人じゃ無いもん、それに今回はアリバイがあるんだから」

 

「聞いたかいハーマイオニー、これから起こる事にアリバイが有るらしいぞ?まるで未来でも知ってるみたいだな」

 

我関せずなギネヴィアの代わりに私がポッターを睨み返して言うと、ウィーズリーが私をバカにしてきた。

 

これからって、アリバイって言うのはグリンゴッツ魔法銀行の事で、それにポッターが狙われてるのに、何で私達の話を信じないのよ!!

 

「アリバイというのは、今回とは別件の事だ。と言っても関連性が強く、動機に直結するような別件だが」

 

ライラが私の言葉を補足すると、グレンジャーが目の色を変えた。彼女は気付いたらしい、話を聞く気になったみたいだ。

 

「とにかく、スネイプは僕の事を嫌ってる、クディッチの時だってあいつが「それは違う!!」っ、……僕、先に行くよ」

 

ポッターが苦々しい表情でライラにスネイプ先生の事を言うと、ライラが我慢出来なくなったのか怒鳴る。

ライラの言葉を聞きたく無いとでも言うように、ポッターは飲んでたカフェオレを飲み干すと、大広間を走って出ていった。

 

「僕もハリーと同意見だ、スネイプよりもやりそうな奴が居ないだろ?」

 

ウィーズリーもそう言って、トーストの残りをくわえて大広間を出ていった。ライラが顔を真っ赤にしてる、仲の良い先生をバカにされたら、そりゃ怒るわよね。

 

「貴女もそうかしら、グレンジャー」

 

「いいえ。少し気になったのだけれど、別件ってグリンゴッツ魔法銀行の事?それともクディッチの事?」

 

「どちらもだ、グリンゴッツ魔法銀行の侵入があった日、スネイプ先生はアリバイがある。あの日はホグワーツの先生方は皆、マグル生まれの子供の教材の手配で忙しかった」

 

ライラがそう言うと、グレンジャーも思い当たる伏が有るのか、納得した顔で話を続けた。

 

「そう、クディッチは?そう言えばあの日、ハッフルパフに大幅な加点があったわよね、それも関係するの?」

 

「それについては、ダンブルドア先生から口止めされているので」

 

「仕方無いわね、まぁ情報は感謝するわ。代わりに今度、面白かった本を教えてあげる」

 

グレンジャーはそう言って大広間を出ていった。

 

男二人は聞く耳持たなかったけど、グレンジャーが少しでも興味を持ってくれたなら、あの二人を止めてくれるかも。

 

侵入禁止の部屋に忍び込む何て事はしないだろうし、スネイプ先生への誤解が解ければ解決かな。

 

「そういえば、エレナずっと黙って……どうしたのッッ!?」

 

不機嫌そうな表情で、ウインナーとベーコンを暴食してたエレナに驚く。

 

「ウィーズリーめ、今度のチェスの時にギタギタにしてやるんだから。ポッターも覚えてなさいよ」

 

負のオーラをまとって、勢いよく肉を口一杯に頬張るエレナに、思わず座っていた距離を開ける。

怖っ……もしかして私達がバカにされたから怒ってるの?

 

「落ち着きなさい、エレナ。私は気にしていません」「私も、大丈夫だから気にしないで」

 

「私が気にするの!こっちは良かれと思って言ってるのに、何であの二人はあんな態度な訳!?」

 

信じらんない!!と言って勢いよくホットドッグをかじるエレナ。気持ちは分かるわ、確かにあの二人の態度にはムカついたけど、でもエレナが怒ることじゃ無いよ。

 

後周りの男子が萎縮してるから、せめてその負のオーラは仕舞って。エレナがウインナーやホットドッグをかじる度に、男が内股になってるから、可哀想だから止めたげて。

 

「落ち着いてよエレナ、私達の為に怒ってくれただけで嬉しいから、あの二人に喧嘩吹っ掛けちゃダメだよ?」

 

牛乳瓶を渡しながら言うと、エレナは少し落ち着いたみたい。

 

「今回だけだからね」

 

牛乳を一気に飲み干して口の周りに白い髭をつけたエレナが、神妙な顔をしてそんな事を言うから、三人して思わず笑っちゃった。

 

「何で笑うのさ!私は皆の為に~……」

 

髭をつけたまま怒るエレナに、持ってたハンカチで口を拭いてあげながら、さっきまでの嫌な気持ちが無くなって、温かい気持ちになってる事に、エレナが友達で良かったと思った。

 

「エレナのおかげで、私は怒る必要有りませんわね」

 

「そんな事私に任されたら、ストレスで白髪になっちゃうよ」

 

ごめんなさいねってギネヴィアが言って、空気が変わっていつもの朝の雰囲気になったのもあって、四人でのんびりと朝食を食べてから、朝一の魔法史の授業に出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの朝食から暫く。あれ以降、ポッターとウィーズリーとは折り合いが悪くなって、グレンジャーとも疎遠になった。

 

私達は、一度は忠告したとして、あの三人に深く関わることは止めた。三人の説得じゃなくて、ダンブルドア先生に何とかしてもらおうというのを、四人で話した。

口止めされてる部分は私とギネヴィアで話したけど、ダンブルドア先生は、ポッター達をわざと誘導してる可能性があるって、ギネヴィアが言うから、それも聞く予定だ。

 

「絶対に勝ってセドリック!!」

 

「打倒ポッターだ、皆気合い十分だな」

 

朝ドタバタとして、試合開始時間ギリギリに到着した私達、早速とばかりにポッターに敵意剥き出しの二人に、ギネヴィアがさっきまでの事を思い出したのか、ハッフルパフの旗を小さく降りながら、ニヤニヤとこっちを見た。

 

「試合に勝ったらライラとミリアが手作りのクッキーを焼く約束ですものね、やる気も出るものですわ」

 

ギネヴィアの言葉に、昨日の事を思い出して頭を抱えたくなる。

 

「どうしてこんな事に」

 

 

 

 

 

 

「頼む二人とも……明日の試合に勝ったら、俺達にクッキーを焼いてくれ」

 

談話室でライラに貸してもらってた本を返して、二人で本について話していたら、ハッフルパフのクィディッチチームの先輩達が集まってきて、一斉に頭を下げてきて二人して固まる。

 

「えっと、いきなりなんです?」

 

「今度の試合、俺達は絶対に勝たなきゃならないんだ。負けたらもう、今季の優勝を逃すしかないだろう。だからモチベーションを上げるために、皆で願掛けとか一通り試してみることにしたんだ」

 

は、はぁ、なるほど。モチベーションは確かに試合のパフォーマンスに直結するんだってエレナが言ってたし、大事な事だろうけど、何で私達のクッキー?

 

「私達のクッキーで良いんですか?」

 

「ミリィちゃんとライラちゃんのクッキーだから良いの!!」

 

気になって聞いてみると、女の先輩が、目をギラギラと輝かせて言う。

 

キャプテンが少し苦笑いして話を引き継いだ。

 

「前に一度、ライラが焼いてくれたのを食べた事が有るんだ。今まで食べてきたので一番のクッキーだったし、何よりも「私達のライラちゃんとミリィちゃんがクッキー焼いてくれるなら」「相手が例えプロリーグのチャンピオンだろうと倒して見せるよ!!」……この二人が君達の事を好きみたいでね、ご褒美なら君達のクッキーが良いと言われたんだよ」

 

キャプテンの先輩の言葉を遮って、女の先輩二人が私達の手を握って力説する先輩二人に、そのあまりの勢いに二人してドン引きしてると、先輩達の中にいたディゴリー先輩が、苦笑いしながら言ってくる。

 

ディゴリー先輩はシーカーだっけ、三年でシーカーは、確かディゴリー先輩だけだった気がする、エレナが自慢気に言ってたのを聞いただけだけど。ポッターの次に若いシーカーで、腕も確か、今年のホグワーツのシーカーで、ポッターと人気を二分してる人だ。

 

「僕も皆がここまで言うクッキーに興味があってね、勝つから焼いて待っててくれる?」

 

さらっと現在二位のグリフィンドール相手に勝利宣言してるディゴリー先輩に、スゴい自信満々だと呆気に取られると、ライラが笑顔でうなずいた。

 

「勿論、先輩達の力になれるなら、私達は全力で作りますよ、最高傑作を約束します」

 

その言葉に沸き立つ先輩、巻き込まれてライラを睨むけど、私に任せろとばかりに自信たっぷりに笑うライラに、もうどうにでもなれと私は頭を振った。

 

 

 

 

 

「それにしても、クッキーであそこまでやる気出るのね」

 

コートの中心で最早殺気まで出してるレベルで真剣な雰囲気になってる女の先輩二人と、鬼気迫る表情でグリフィンドールのキャプテンと握手をしてるキャプテンを見て、これクッキー美味しくなかったらどうなるんだ私っ、と嫌な想像をして冷や汗が背中を撫でる。

 

「先輩方は、ライラとミリィの事をそれはもう妹の様に可愛がってますからね、これもある意味必然かしら」

 

得心した顔で言うギネヴィアの言葉に、頬が引きつる。

 

あれはもう、妹のクッキーのために頑張る感じの雰囲気じゃないんだけどなぁ。どっちかと言うと、国の命運を賭けた、世紀の一代勝負とか言われても違和感無いよ。

 

頼むから引き分けになってくれと、私が祈るのと同時に、審判のスネイプ先生が開始のホイッスルを鳴らした。

 

「いっけぇ!セドリック!!!ポッター何かに負けるなぁ!!」

 

「あの娘はまた誤解を生む事を、全くもう」

 

ハッフルパフの旗を振り回して最前列で思いっきり声を出してるエレナを、ギネヴィアが止めに行った。

 

「ふふふふふ、スネイプ先生を貶したグリフィンドールめ、お前達の敗因はクッキーだ!!あーっはっはっはっは!!!!」

 

隣で不気味な笑い声を出してるライラに、そこまでスネイプ先生が好きなのかとちょっと戸惑う。

っていうかクッキー焼く本当の理由ってそれなのね、先輩達の力になる所か、私怨の為に利用してるじゃない、何て悪どい事を。

 

「動機はあれだけど、実際効果はスゴいわね」

 

高笑いをしてるライラから距離を取って、望遠鏡で試合を追う。シーカーは何処か分からないけど、さっきからビーターの先輩二人が、物凄い勢いでブラッジャーを打ちまくってる、ウィーズリーの双子の先輩が、あまりのプレッシャーにブラッジャーを上手く打ち返せて無い………あ、片方が頭から食らった。

 

「ミリィちゃんのクッキー!!!!」

 

「ひっ!?」

 

ブラッジャーがこっちに飛んできたのを、先輩が打ち返した時に聞こえた声に、思わず喉から小さな声が漏れる。

 

あ、向こうのキーパーのお腹にブラッジャーに当たった、スゴい痛そう。

 

「未だ未だぁ!!ライラちゃんのクッキー!!!!」

 

何が彼女達をそこまでさせるのだろう、ブラッジャーを打つが為に箒に立ったり、届かない位置を箒から飛んで打ち返したり……その後助けに入った味方チームのチェイサーの箒を蹴って、地面に落ちる前に箒に乗って墜落を回避してる。

 

「何なんだ今日のハッフルパフは!?まるでサーカスの様な曲芸乗りから繰り出される数々のスーパープレイ、僕達はプロリーグの試合を観ているのか!?いや、違う!ここはホグワーツで彼女達は未だ四年生です、それなのにまるでプロでも難しい技のオンパレード!!君たちは一体何なんだ!!!?」

 

解説の先輩も、あまりの酷さに言ってる事がよく分かんなくなってる……それはいつもか。

 

「あぁ!!フレッドかジョージか分かんないけど、ウィーズリーの片方が対にブラッジャーにやられた!?箒を滑り落ちましたが、審判のスネイプ先生が受け止めました!!スネイプは試合続行とかいってやが「ジョーダン!!」………審判のスネイプ先生は、怪我は試合続行に支障をきたさないと判断したようで、試合続行です」

 

途中スネイプ先生への批判を挟みそうになったからか、ライラの方から負のオーラが流れてるけど無視、私も平穏は欲しいの。

 

「「クッキィィィィィィィィィィ!!!!」」

 

最早獣と化した先輩達は、次はポッターを標的としたみたい、ブラッジャーを次々とポッターに向けて打ち上げ、ポッターがシーカーの役目を果たせない様にしてる。

 

うわ、ボコスカ打つなぁ、ブラッジャーもう殆んど自分の意思で飛んでないじゃん、殴られっぱなしで何か可哀相。

 

フリーになった相手のグリフィンドールのチェイサーが、クアッフルをゴールに入れようと頑張るけど、ハッフルパフは攻めに攻める姿勢で、ゴールはキーパー一人のほぼがら空き状態。

それでもとことん攻めれば良いと割りきって、怒濤の攻めで圧倒的ゴール率を叩き出しているチェイサー達。

 

「今日の試合は伝説になる!!後世に永遠と語り継がれる伝説に!!グリフィンドールがゴールを決めれば、ハッフルパフが倍のゴールを決めています!!最早一方的な試合です!!!本当に何なんだ今日のハッフルパフは!!?先週まで最下位争いしてたチームは何処に行った!?グリフィンドール、ゴールを決めた!!60:100!!ハッフルパフ怒濤の勢いでクアッフルを叩き入れる!!60:110!!あぁ!!またハッフルパフにクアッフルが行った!そのままゴールキーパーのウッドをファールスレスレで抜き去ってゴール!!60:120…………あれはまさかっ?ッッッ!?…スニッチだ!!!」

 

その言葉に、お通夜状態だったグリフィンドール側が沸き立つ、未だ点差は150点を越えていない為、ここでスニッチを取れれば逆転勝利となるからだ。

 

「ハッフルパフの若き天才セドリックがスニッチ目掛けて動き出した!!グリフィンドールのシーカーは!?ポッター!!ハリー・ポッターはどこだ!!?居たぞ、セドリックの前だ!!!!」

 

皆が一斉にシーカー二人を見詰める、二人は地面に直角に高速で落下して、段々と地面が近くなるにつれて周りから悲鳴が聞こえてくる、危なくて見てられないのだろう。私も怖くて途中で目を瞑った。

 

少しして、グリフィンドール側から大歓声が巻き起こった。対してハッフルパフ側は試合中の盛り上がりが嘘の様に静まり返ってる。

 

「そんな、負けた?」

 

「セドリックが、何で負けたのセドリックゥゥゥゥ!!!!いたっ、痛い痛い何するのさギネヴィア!?」

 

「大きな声出しすぎですわ、この人間スピーカー!!」

 

頭を抱えて叫んでるエレナを、ギネヴィアが耳を引っ張って私達の列まで説教しながら歩いてきた。

 

「は、ははは………嘘だ、何故負けた?」

 

呆然自失してるライラの手を引っ張って、四人でコート脇のハッフルパフのベンチ行くと、そこは何かもう悲惨な雰囲気が滲み出ていた。監督のスプラウト先生に言って、ハッフルパフのベンチに暫く誰も来ないよう、お願いしてから、中に入る。

 

ベンチと言ってもおっきな部屋みたいな感じで、教室程の大きさの部屋に、壁沿いにロッカーが並んでいる。

中央には十人位で使う円卓と、その回りに四方を囲むように長椅子が置かれている。

選手の皆は、長椅子に腰掛けていた。

 

「うぅ……クッキー、ミリィちゃんのクッキーがぁぁぁぁ」

 

「うぇぇぇん、ゴメンねライラちゃん、勝てなかったよぉぉぉ」

 

「すまなかった二人とも、あんなに言ってくれたのに、俺達はっ!!」

 

もう十四にもなる先輩のギャン泣きと、キャプテンの男泣き。ディゴリー先輩も今回はメッチャ悔しそうで、ベンチの隅っこに座ってタオルで顔を隠してる。

 

何かもう目の前で大事なペットを亡くした時位、思いっきり悲しんで泣いてる先輩達の姿を見てると、こっちまで悲しくなってくる。

 

どうしようかとライラを見ても、ライラも呆然として何故負けた?これは夢だそうに違いないとか、先輩に抱き付かれながら現実逃避してるから、本格的に困ってると……エレナが、ディゴリー先輩の所になぐさめに行った。

 

「セドリック、試合お疲れ様」

 

「エレナ……ゴメン、勝てなかったよ」

 

「やるだけやったじゃん、途中までスゴい優勢だったし」

 

「あぁ、俺のせいで負けたんだ……俺が足を引っ張った」

 

「何へこたれてんのさ、次から負けなければ良いじゃん。試合前の元気はどこ行ったのさ」

 

「はは……あんな大口叩いといてこれじゃ、俺はシーカー向いてなかったのかな」

 

「そんな事無いよ、セドリック若き天才何て呼ばれて、ポッターが出る前(去年)はシーカーの最優秀選手だったって聞いたよ?」

 

「だけど、俺はもう無理だよ、ポッターに勝てるビジョンが浮かばない。これじゃあチームに貢献できない………もう引退かもな」

 

その言葉にエレナが怒った顔をすると、タオルをはがしてディゴリー先輩を睨んだ。

 

「そんな事言わないでっ!」

 

「エレナ……タオルを返してくれ」

 

「やだ」

 

「そんな事を言わずにタオルをっ「やだって言ってんの!!」!?」

 

エレナの怒鳴り声に、泣いていた先輩達もディゴリー先輩とエレナに視線を向ける。

 

「弱気になってうじうじしてるなんて、セドリックらしく無いじゃん!!いつもなら負けたってへっちゃらで、相手チームと笑顔で握手だってするくせに、一度負けた位で辞めるなんて言わないでよ!!!」

 

ディゴリー先輩が目を丸くしてる、泣いてる先輩達も、エレナの言葉に聞き入ってる。

 

その間に私はライラの持ってるトートバッグを取って、持ってきた物の準備をギネヴィアに手伝ってもらう。

 

「だって、アイツには勝てないよ、ポッターは本物なんだ」

 

「本物が何よ!!!!」

 

項垂れる様にして涙を流している顔を隠すディゴリー先輩に、エレナが怒鳴る。

 

「誰よりも練習して、誰よりも失敗してっ、泥んこにまみれても試合に負けても!!!諦めないで頑張れるセドリックの方がスゴいんだもん!!最後の最後は笑って勝つのがセドリックだもん!!」

 

エレナの声がくぐもって来たのに気付いたのか、ディゴリー先輩が呆然としてエレナを見る。

 

「エレナ……」

 

「セドリックの方が…セドリックの方がスゴいんだもん!!っあ!?」

 

途中から我慢出来なかったのか、ディゴリー先輩に泣きながら喋るエレナがふらついて、ディゴリー先輩が抱き締める。

 

「エレナ!」

 

「……セドリックの方がスゴいんだからっ!だから、辞めるなんて……そんな事っ、言わないでよぉ」

 

胸をポカポカと叩いて言うエレナに、ディゴリー先輩が俺が間違ってた、ゴメンと言って二人して泣き出した。

選手の先輩達も、二人の様子を見て、試合に負けた悔しさにまた、泣き出した。

 

「青春、ですわね」

 

「あれじゃもう、自白してる様なものじゃない」

 

やっぱり好きだったんだ、エレナ。

 

「ほら、確りしてよライラ!」

 

未だ意気消沈としてるライラの肩を叩くと、あのライラが涙目になって、先輩の手を振り切ってギネヴィアに抱き付いた。

この二人も仲が良いんだよね。最近この組み合わせだと、ライラがギネヴィアの言うことを素直に聞くようになってきたのだ。

 

私はライラに振り払われて悲しそうにしてる先輩に、ブドウジュースを渡した。

 

「うぅ、ギネヴィアァァァ!!」

 

「はいはい、負けて悔しかったんですわね~、次は勝てるように、もっと応援しましょうね~」

 

抱き付いたライラの背中を優しく叩いて、次はもっと頑張りましょうね~、何て言って励ましてるギネヴィアの母性がスゴい。流石母性の塊、エレナがママと言い間違えるだけはある。

 

混沌としてきたベンチ内に、どういう顔をすれば良いのか分からなくて、準備が出来たそれを皆に見せる。

 

「これ、皆で食べようよ」

 

紙皿に盛ったクッキーに、厨房から貰ってきたブドウジュースのボトルを見せる。コップはギネヴィアが持ってる。

 

「それ、クッキー?」

 

「でも私達、勝てなかったし」

 

クッキーに固執してた先輩二人が、悲しそうに言うと、他の選手もうなずく。

 

「なら、反省会のお菓子。私とライラだけじゃなくて、エレナとギネヴィアも手伝ってくれたの、皆にお疲れ様って意味で……負けちゃったけど、とっても素敵な試合だったから」

 

他の人達の分は、談話室にはもう山盛りのクッキーが置いてある。ここに持ってきたのは、選手だけで先に祝勝会出来たら良いなって思って、朝一で皆で早起きして準備したんだ。

 

「だけど……」

 

未だ渋るキャプテンに、クッキーを口にねじ込んで無理矢理納得させる。

 

「焼いたの勿体無いから、責任持って食べて下さい!朝早かったんですからね!!」

 

その言葉を皮切りに、先輩方がクッキーを食べ始めた。

ビーターの二人は、今度は嬉し泣きしながらクッキーを食べて、私はギネヴィアと二人で皆にブドウジュースを配る。

 

皆に美味しいって言ってもらえる様に、色んな種類のクッキーを焼いたんだから、確り食べてもらわないとね!!

 

隅っこで、ディゴリー先輩とイチャついてるだけだったエレナは、後片付けをディゴリー先輩と二人ですることにした。見せ付けてくれちゃって、後でからかってやるんだから。

 

その日以降、大事な勝負事の前に、女の人にクッキーを焼いてもらう約束をするのが、ハッフルパフで習慣になったとかならなかったとか。

秘密部屋編アンケート、同数票だったので、決戦投票です!!

  • ウィーズリー覚醒 バジリスク討伐
  • ギネヴィアの私TUEEEEEルート
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