今回の幕間は2話構成の模様。
エレナ・スミスと夏休み
ハンカチ持った、ティッシュ持った、サンドイッチはバスケットに入れてあるし、ポケベルもちゃんとある。
服はお気に入りのワンピースに麦わら帽子だし、髪型も今日はライラみたいにストレートで、一応ヘアゴムもある。ママからもらったポンドのお小遣いと、ユニコーンのバイトでもらった10ガリオンのプリペイドカードもお財布にちゃんと入れてあるし、杖もお財布と一緒にカバンに入れてあるし、これで忘れ物は無いよね?
「エレナ、そろそろ時間よ………本当に暖炉から来るの?」
「パパ魔法見るの初めてだ、ワクワクしてきたよ」
セドリックは
「もう、パパもママもそわそわしないでよ、セドリックに呆れられちゃう!」
これじゃどっちが親か分からないじゃない!私がそう言って二人に怒ってると、暖炉が一瞬緑に光って、セドリックが暖炉に現れた。
Tシャツにパーカー、ジーンズにベースボールキャップ、ショルダーバッグを肩にかけて大分オシャレに決めてる。
「エレナ、汽車以来だね、久しぶり」
「久しぶりって、未だ一週間でしょ?でも私も会えてうれしい」
セドリックと抱き合って、一週間振りにセドリックと話せて、テンションが上がってると、ママがニヤついてるのが視界の端に見えて、慌てて離れる。
もう、ママに見られちゃった、家に帰ってきた時絶対からかわれるわ。
離れた私を、寂しそうに見てくるセドリックに、可愛さでまた抱き付きたくなる気持ちを抑えて、ママとパパを紹介する。セドリックその仕草反則だよ、悶え死にさせる気なの?
「セドリック、私のママとパパよ」
「初めましてセドリック君、会えてうれしいよ、何でも優秀なスポーツ選手だそうじゃないか」
「自分なんて未々です、エレナに捨てられないか不安で一杯ですよ」
「もう、セドリック!」
そんな事考えてた何て酷いわ、捨てるなんて有り得ないもの!!私は本気でセドリックが好きでッッッ
「はいはい、落ち着きなさいエレナ………セドリック君、私がこの子の母親よ。この子は家だと、友達や学校の事よりもあなたの話をするんだから、そんな不安に感じなくても、あなたが真摯にこの子との事を考えてくれれば、この子はちゃんと答えてくれるわよ」
ね、エレナ?って笑顔で聞いてくるママに、家での事がバレて恥ずかしさでうつむきながら、うなずく。
セドリックに重いとか思われたら嫌なのに、何でそんなこと暴露するのよ、恥ずかしくてセドリックの事見れないよ。
「ありがとうございますお母さん。エレナも、そんなに思ってくれるなんてうれしいよ」
うぅ、クさいセリフで微笑まないでよ、ドキドキすれば良いのかツッコミすれば良いのか分かんないでしょ、バカ。
「……私がセドリックを捨てるなんて、絶対無いから」
「ありがとうエレナ、僕も君を絶対離さない」
耳元で囁かれて顔が真っ赤になるのが分かる、何でこんなクさいセリフばっかり言うのよ、セドリックって結構格好付けよね、実際様になってるし格好良いから何も言えないよ。
「仲が良いみたいで安心だ、これはエレナの荷物、持ってくれるね?」
「勿論です」
「それじゃ、気を付けてね」
私のお泊まりグッズ一式が入ったピンクのリュックを背負うと、私の手を引いて暖炉の中に入る。
「確り発音するんだよエレナ」
バックから取り出した袋に入ってた飛行煙突粉を私に渡してくるセドリックにうなずく。
「分かってる。ママ、パパ、行ってきます」
「それでは失礼します、また明日………せーの」
「「ディゴリー邸へ!!」」
粉を足下に落として叫ぶと、緑の炎が燃え上がって、セドリックのパーカーの裾を思わず掴む。
驚きで目を丸くしてるママとパパを見ながら、視界がグルグルと変わって、気付いたら目の前にいたママとパパが、知らない男の人に変わってた。
「やぁ、君がエレナちゃんかい、ようこそセドリック邸に、狭いし男所帯だから不便だろうけど、歓迎するよ」
「今日は一日お世話になります!」
男の人はセドリックのパパみたいで、握手をして私の事を歓迎してくれた。
「父さん、今日は仕事って行ってなかった?」
「有給取って直ぐに戻ってきたよ、息子が彼女連れてくるんだ、間違い犯さないように見張らないとな」
二人が話してる間、部屋を失礼にならないように見てると、確かに男所帯みたいで、片付けてるんだろうけど部屋の隅埃っぽいし、物が多くてごちゃっとしてるけど、生活感があって暖かい部屋ね。
テーブルの上のチェスだったり、セドリックのパパのらしき経済新聞と一緒にあるセドリックのクィディッチの雑誌だったり、二人の仲が良いのがよく分かる。
「父さんはもう少し息子を信用するべきだ」
「お前はもう少し自分の我慢の無さを知るべきだ」
言い合いながらも笑顔の二人を見て、少し羨ましくなる。うちはパパもママも、仕事で帰ってこない日が多いから……この部屋から二人一緒の時間が多いって感じて、羨ましいわ。
「これ、作ってきたんです、良かったらお昼に食べませんか?」
「おお、ありがとうエレナちゃん、今日は出前でも頼むかと思ってたんだ。うれしいよ!」
「父さんは出前でも良いんじゃない?僕はエレナと二人で食べるからさ」
折角の二人っきりを邪魔されたように感じてるのか、セドリックが拗ねたように言うのが分かって、可愛いくて仕方無い。
「もう、お父さんに意地悪言わないの。私はセドリックが仲良くしてくれる方がうれしいもん」
「ほら、エレナちゃんもこう言ってるだろう?」
「分かった分かった、僕の負けだ」
「あ、でも三人だと量が少し足りないかも、簡単なのなら作れますから、キッチンをお借りしても良いですか?」
「それはありがたい、材料はすきにして良いからね」
「はい、ありがとうございます!」
セドリックのパパに案内されたキッチンは、何と離れにあった。渡り廊下で繋がっているから外に出る必要は無いけど、物が少なくて、あまり使われてないのが分かる。
キッチンの床下から行ける氷室を覗いて、食材を確認する。卵が沢山にベーコンブロックも有るけど、野菜が少ない、ズッキーニとメロウはやたら有るわね………うーん、じゃがいもとニンジンも少し有るから、ポトフにしよっかな?
調味料は沢山有るのね。マグルのコンソメとカレー粉が有るのはありがたいわね、スープ系ならサンドイッチと合うし、具沢山にすれば男の人もお腹一杯になると思う。夜はカレー粉を入れてスープカレーにして、パンと一緒に食べれるようにしましょうか。
「これなら、夜の分も作れそうですね」
「本当かい!?ありがとうエレナ、父さんの料理は大味でね、ホグワーツの味を知ると物足りなくなるんだ」
「こらセドリック、お前なんて簡単なポトフすら作れないだろうが」
おおっと、ホグワーツレベルをご所望で?これはプレッシャーね、頑張りますけど期待はあまりしないで欲しい。
「11歳の手作りに、あまり期待しないでくださいね?」
私が言うと、セドリックのパパが朗らかに笑って、セドリックが申し訳無さそうにしてる。
「ハッハッハ、それは分かってるが、何分誰かの手作りを食べるのは久し振りだ、ついウキウキとしてしまうよ」
「……父さんっ、まだ昼まで時間有るだろう?エレナと外に行ってくるよ」
そうだった、今日はセドリックの家の近くでピクニックの予定だった、お昼前には帰る事になったけど、バスケットは氷室に持ってきてたし、ここに置いといてお昼にポトフと一緒に三人で食べる事にしよう。
「あぁ、それは良いアイディアだ!荷物は部屋に運んでおくから、近くの森で遊んでくると良い。お昼前には帰って来るんだよ」
「はい、ありがとうございます、行こうセドリック」
セドリックのパパにお礼を言って、セドリックと手を繋いで外に出る。
「うわあ、スゴい」
「夏はスゴいだろう、家の収入源だよ。屋敷しもべに収穫してもらってるんだ、マグルの方に売ってるんだよ」
外に出ると、一面のマロウ畑がずっと先まで続いてて、思わず圧倒される。
「最近はズッキーニも始めてね、休みの日はよく市場までの手伝いに駆り出されるんだ」
父さんは魔法省の仕事が有るから、僕と屋敷しもべに雇った人で、提携してるスーパーとかレストランに野菜の買い取りをしてもらってるんだよ。セドリックがそう言って、照れたように頭を掻いてる。
へぇ、そうなんだ。農家って大変そうね。
「セドリック、お家の手伝い大変じゃない?」
「大変だけど、うちの野菜を美味しいって言ってくれるのうれしいからさ、つい頑張っちゃうんだ」
嬉しそうに話すセドリックを見て、私も農家に興味が出てきた。
「そっか……ねぇ、私もホグワーツ卒業したらここでお手伝いしても良いかな?」
「もちろん!君が良いならずっとここに居ると良いさ、僕も父さんも歓迎するよ」
畑の管理は大変だけどね、そうおどけたように言って笑うセドリックと、二人して笑いあって近くの森まで歩いた。
「この先の森は、無花果が美味しいんだ、時期は厳しいけど、今なら野いちごもあるよ」
野いちごに無花果、プライマリースクールの時はガールスカウトのキャンプの時に食べたっけ、甘酸っぱくて美味しかったな~。
「本当?私無花果好きなの」
「それは良かった、今の時期が一番美味しいんだ、これとか食べ頃さ」
森の入り口辺りに生えてる未だ背の低い無花果の木から、一つ取って渡してくれた。受け取った実を割ってかじると、とても濃くて、それでいてスーパーの物よりも野性的で、何処か癖になりそうな雑味がある味がした。
「あむっ……美味しいー」
野性的な濃い味に、思わず感想が口に出てくる。
「だろう?僕はここの無花果が好きでね、暇な時はここに来て空を見ながら無花果をかじってるよ」
今日は青空でいい空模様だと言いながら、無花果をかじるセドリック。
「セドリックって格好付けだよね」
「君が飾らないだけだ……口もと、滴れてるよ」
「え…ッ!?」
私が口もとに手を当てるよりも早く、セドリックが口もとを指で拭ってくれた。しかも舐めてるし、恥ずかしいよセドリック。
「エレナの奴甘いね、僕のはちょっと渋いや」
「恥ずかしいから、あんま自覚させないで」
「???」
男の子ってそこら辺気付か無いよね、これじゃ私が一人で恥ずかしがってるだけだもんなぁ、お返ししないとね。
「セドリック、なら私のも食べてみる?あーん」
「え、あ、ありがとう。その………あーん」
照れてる照れてる、可愛いなぁもうっ!
頬を赤くして、目何かも瞑っちゃって私の無花果をかじるセドリックに、もっといたずらをしたくなってきた。
「もう一口食べる?」
「え、いや僕のをエ「食べるよね!」……うん、食べさせてもらって良い?」
「もちろん!はい、あーん」
また目を瞑っちゃってるセドリックがかじろうとしてる無花果をちょっとずらして、私の指を噛ませてみた。
「あーんッ!?」
イケメンに甘噛みされて、何かもうこのシチュエーションを思い出すだけで、後一年は勉強頑張れる気がしてきた。今ならロンを相手にチェスで勝てるかもしれない。
「ごめん、痛くなかった!!?」
慌てて謝って、私の手を掴んで指に怪我が無いか確認するセドリック。歳上の筈なのに仕草が可愛いなもう、胸の高鳴りがスゴい、セドリックにこれ聞こえてるんじゃないかな!?
「大丈夫だよ、セドリック優しかったし、でも私の落ちちゃったから、セドリックの食べさせて?」
驚いて手を掴まれた時に、無花果が落ちちゃったから。それに、セドリックの私のとは味が違うみたいだから、食べてみたい。
「あ、うん、怪我が無いなら良かったよ、ゴメンね。はい、あーん」
躊躇いがちに差し出されたセドリックの無花果を、気持ち小さめにかじる。
「あーん」
私が食べてたのよりも渋い味がして、ちょっと顔をしかめる。
これはこれで、驚いたけど癖になりそうね。
「美味しい?」
「癖になりそう」
あ、セドリックが私がかじった所食べた、間接キスじゃん、ちょっと照れるんだけど。
セドリックが恥ずかしがってるのを見るために食べさせ合いっこしたのに、これじゃ私の方が恥ずかしいよ。
「ねぇセドリック、この森って動物は何がいるの?」
「動物か、ここはアイルランドの辺境でね、今の時期だとキツネとかウサギとか、アナグマもたまに見掛ける位かな、小動物が多いよ」
へぇ、ウサギ、ウサギかぁ、見てみたいなぁ。
二人してしばらく散策しながら歩いてると、森の向こうに川が有るのが分かった。
「おっきい川」
「鮭が釣れるんだ、冬の御馳走だよ」
へぇ、スゴい、セドリックって釣りも出来るのね。
「結構深いから、中には入らないでね」
「うん、分かった」
近くにあった平たい石を拾って思いっきり投げる。
二段跳ねた石は、川の手前の方で沈んだ。
「僕もやろっかな……そりゃ!」
セドリックが投げた石は、四段跳ねて川の中央位まで進んだ。悔しいわね。
「負けないよ~、えい!」
「水切りで女の子に負ける訳にはいかないな」
さっきのでコツが分かったからね、その顔を悔しさで歪ませてあげる!!
~20分後~
「あぁもうっ、何で勝てないのよぉ!!!!」
地団駄を踏む私を見て、セドリックが笑う。
「水切りは石を回転させるのも重要だけど、何よりも遠くまで投げるパワーが必要なんだ。筋力で年下の女の子に負ける訳にはいかないよ」
うぅ、最初に言ってた事はそういう事だったのね、納得はしたくないけど。
「専用の呪文作ってやる」
「どれだけ悔しかったのさ。そろそろ時間だから、早く戻ろう」
呆れたように言うセドリックに、後一回だけやろうとねだる。次こそは勝てるから、ギャフンと言わせてやるんだから!
「え、後一回だ「投げすぎて腕プルプルしてるのに、これ以上は無理だよ」うぅ、次は勝つからね!ホグワーツの湖で絶対リベンジするからね!!っと」
「受けて立つさ、ほら、足元気を付けて」
プルプル震える右腕を庇ってたら、足元がおろそかになってふらついた。セドリックがふらついた所を受け止めてくれて、セドリックの胸に抱き止められてる形になった。
可愛い所も多いけど、セドリックってやっぱりイケメンで格好良いよ、紳士だしね。
「ありがとうセドリック」
「怪我は無いかい?」
「大丈夫よ、セドリックが受け止めてくれたから」
そう言って平気アピールをするためにセドリックから離れようとするも、セドリックに抱き締められて動けない。どうしたのセドリック?
身長差で胸元から上目に覗き込む形になった私を、セドリックは少し考えるように見てる。
「セドリック?」
「エレナ、家に帰ったら料理だし、今は休んだ方が良いね。………ビラーグ!!」
セドリックがそう言うと、私が何か言う前に森に向かって叫んだ。
誰かの名前?叫ぶだけで聞こえる程近くに誰か居たの?二人っきりだと思ってたのにちょっと残念。
「お呼びでしょうか、セドリック坊っちゃん」
叫んでから一、二分程で、近くに妖精の姿現しで屋敷しもべが現れた。ボロい作業服を来た屋敷しもべで、とても気難しい表情をしてるわ。
「僕の彼女が疲れててね、君に浮遊術で家まで運んで欲しいんだ。くれぐれも丁重にね」
「え、でも「良いから、腕だけじゃなくて、ここまでずっと歩き通しで足もパンパンだろう?肩もダルそうだ」………ありがとうセドリック。ビラーグもありがとう」
贅沢言うなら、セドリックにおんぶしてもらうのが良かったんだけど、セドリックも疲れてるだろうから、気遣ってくれるだけでも嬉しい。
文句を言わずに運んでくれるビラーグにも、先にお礼を言っておく。
「勿体無きお言葉です、エレナお嬢様」
私にしかめっ面でそう言うと、手を降って近くの切り株を魔法で上から少し厚みを持たせて一枚輪切りにすると、私の目の前にそれを浮かべた。これに乗せてくれるらしい。
一人で腰掛けるには少し大きい木の板に座ると、ビラーグがセドリックに話し掛けた。
「セドリック坊っちゃんは如何なさいますか」
「僕はデザートの果物を摘んで行く事にする、ビラーグはエレナを送った後、いい時間だから他の屋敷しもべと一緒に昼休憩をしてくれ、雇った人にもそう言うように」
「かしこまりました、失礼いたします」
ビラーグが先導して森を進んで、後ろを私が運ばれるみたいだ、少し位置が移動した後、後ろを振り返ってセドリックに手を振ると、セドリックも笑顔で手を振ってくれた。
「エレナお嬢様、セドリック坊っちゃんとはホグワーツで?」
少しの間無言だったけど、ビラーグが気を利かせて話題をふってくれた。
「ええ、彼の二つ下で、私とても幸運だわ」
聞き上手なビラーグに促されて、学校でのセドリックとの話をしてると、森が段々と浅くなってきた。
「………それで、私はセドリックを意識し始めたの」
皆はハロウィンのチェスの時に意識し始めたと思ってるけど、セドリックとはホグワーツ特急に乗る時に助けてもらった時から、ずっと意識してるのよ。
それを知ってるのは、その時に会ったライラだけで、セドリックも手助けをした新入生の一人としか思ってないみたいだから、チェスの時が初対面だと思ってるのよね。
あの時、ママとパパとはぐれて、迷子になって9と3/4番線に行けなかった私を見付けてくれた時から、セドリックの事が気になってたのよね。
「それはそれは、セドリック坊っちゃんは繊細な御方です、エレナお嬢様の様な快活で思慮深い人が側に居て下さるのは、セドリック坊っちゃんにとって掛け替えの無い幸運でございます」
「私は落ち着きが無いだけよ」
現にキングス・クロス駅で迷子になってるし、あそこは広いから仕方無いかもだけど、それでもプライマリースクールの頃はじゃじゃ馬って呼ばれてたからね。
「いえいえ、エレナお嬢様は思考を重ねた上で、周りの事を理解してから、善意で動ける人でございます。ビラーグは妖精の中でも長く生きていますので、少し話せばどんな人なのかは分かるのです」
あら、買い被りよ。私は皆と仲良くなりたいから、誰からも嫌われたくないから、八方美人をしてるのよ。ビラーグは私の事を分かると言ったけど、ちっとも合ってないわ。
「………」
「どうぞこれからも、セドリック坊っちゃんのガールフレンドで居て下さい、ディゴリー家の屋敷しもべ一同、エレナお嬢様が奥様になられるのを、ビラーグは楽しみにしております」
私が何て返答しようか迷っていると、森を抜けてもう目と鼻の先にディゴリー邸が見え、ビラーグが私の言葉を待たずに話を続けた。
っていうか奥様って………魔法界だと許嫁とか普通にあるみたいだし、魔法界では小さい時から相手の家にそう扱われるものなのかな?
「私何かじゃ、セドリックの横に立てるか不安だけど」
「それを決めるのはエレナお嬢様だけではありません」
そう言ったビラーグは、深く頭を下げると、姿現しで消えてしまった。
「お、エレナちゃんか!」
一人ディゴリー邸の前で立ち尽くしてたら、玄関の扉が開いて、セドリックのパパが作業服姿で出てきた。
「どうも、セドリックはデザートに果物を摘んでから戻るみたいです」
「そうか、これからお昼の準備かい?私は収穫した野菜の箱詰めをしなきゃいけなくてね、すまないがお昼の時間になったら呼んでくれ」
「あ、分かりました………ええっと」
私が何て呼べば良いのか考えてると、セドリックのパパが冗談を飛ばしてきた。
「カーラを付けておくから、何かあったらカーラに相談してくれれば良い。私の事はそうだな……義父さんとかどうだい?」
「いえ、そんな!私は未だ11ですよ!?」
「親の欲目もあるが、セドリック程の好条件も無いと思うよ?私としても、可愛い娘が増えるのは大歓迎だからね、何なら
「いえ、友達も居ますし、私変身学に興味があって、
「動物もどきとはまた、あれは
調べたら一応、歴代最年少は12歳、2年生で動物もどきになってるみたいだし、マクゴナガル先生が言うには、在学中に動物もどきになれる生徒はちらほらいるみたいだし、私もなりたいんだよね。今はマクゴナガル先生から言われた条件の、
≪これくらい軽く使える魔力操作が出来なければ、動物もどきなど夢のまた夢です≫
動物もどきの理論を説明された後に、マクゴナガル先生が、守護霊呪文で猫の群れをだして芸をさせながら言うのを見て、同い年の中では呪文学や変身学が得意だと思ってた自信が粉々になったんだよね、マクゴナガル先生マジ天才。
「マクゴナガル先生の課題をクリアすれば、動物もどきになるための勉強を、許可してくれるみたいですから。順調に行けば四年生で動物もどきの勉強を始められます」
そこから何年掛かるかは分からないけどね。
「そうか、それは頑張らないとね」
セドリックのパパは私の頭を軽く撫でた後、マロウ畑の奥にある建物の方に歩いて行った。
「さて、私もお昼頑張らないとね」
腕まくりの仕種をして気合いを入れると、離れの方に向かって歩いた。
秘密部屋編アンケート、同数票だったので、決戦投票です!!
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ウィーズリー覚醒 バジリスク討伐
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ギネヴィアの私TUEEEEEルート