ハリーポッター ハッフルパフの聖女   作:リムル=嵐

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これが夏前最後のアンケート催促の投稿。
今回は夏休み前の汽車でのお話し、一巻でしてる人、中々見ないから挑戦してみました。


幕間 夏休み×約束×昔話し

学年末、グリフィンドールがハリー達とネビルの活躍で寮杯を獲得して、ギネヴィアがしっちゃかめっちゃかしたせいで乱高下したハッフルパフは、何と前代未聞の二桁点を記録して、ダンブルドア先生とギネヴィアの援護をするスネイプ先生にフリットウィック先生の対立が、学校中に知れ渡った。

 

そんな中で、生徒達は先生方のごたごたとは関係無いとばかりに、夏季休暇に浮かれていた。

 

「夏休みやったぁ!!」

 

「ロン声が大きい」「ぐふっ!」

 

「ハッハッハ蛙チョコ美味しいなぁ!」「チェスで勝負だハリー・ポッター!」

 

コンパートメントの中で叫び声を上げるロンに、ハーマイオニーがエルボーを決めて黙らせる。それを見てハリーが愉快そうに笑った。三人とも親友だけど、ハリーとロンってば、ハーマイオニーの取り合いしてるから、たまにお互いにスゴく意地悪になるのよね。

 

「それにしてもミリィ、皆と同じコンパートメントじゃなくて良かったの?」

 

心配そうに聞いてくるハーマイオニーに、いや、実は………とチェスの準備をし始めた二人をみながら、最近の付き合いの悪さを話す。

 

「エレナ歳上の彼氏に夢中だしぃ、ギネヴィアは最近まで暴走に次ぐ暴走で、ハッフルパフの点数一週間で300点も落としたんだよ?気不味くて仕方無いったら。それに、ライラは今頃、スネイプ先生とイチャついてるだろうからねぇ~」

 

私何て友達が少ない可哀想な奴ですよぉ!!って言って、よく冷えたカボチャジュースをがぶ飲みする。お小遣いはバカみたいにあるし、いっそ車内販売買い占めてあげようかしら。

 

「荒れてるわね、口調がエレナみたいよ」

 

「別に、寂しくなんか無いもん」

 

プイッと汽車の窓に視線をそらす。皆が浮かれるのも、仕方無いとは思うけど、それでも私を放置なんて、ギネヴィア何て特にさぁ!

 

「うげぇ、スネイプが汽車に居るの?」

 

「私としては、あなたが危険だから女性専用車を作って欲しいけどね」

 

嫌そうに顔をしかめたロンにそう言って、溜め息を心の中でする。

 

はぁ、この夏季休暇は、先生達がホグワーツを自由に離れられる数少ない期間の一つ。

希望者は一緒に汽車に乗れるんだけど、スネイプ先生が貴重な薬草採集で外に出るって聞いてたみたいで、ライラが猛アピールして今頃、コンパートメントで二人っきりの授業をしてるんじゃないかな?本当に魔法薬学大好きっ子ね。

 

「スネイプの奴がロリコンだって、グリフィンドールの皆に言ってやる」「フレッドとジョージに頼んで、大広間で盛大にやろうぜ」

 

「尊敬すべき先生何だからっ、そんな事しないの!!」「「い゛た゛っ!!?」」

 

「二人とも、そんな事したらライラ怒るよ?」

 

相変わらずスネイプ先生と犬猿の仲な二人が、悪どい顔をして意地悪な事を言った。二人にハーマイオニーが文庫本で制裁した後、私がスネイプ先生に何かあったらライラが黙って無いって言うと、青い顔をして首を振る。

 

「絶対にしないよ!」「そうそう、スネイプの奴はそこまで悪い奴じゃない!」

 

青い顔をしつつも完全にその場しのぎな言葉に、ハーマイオニーと二人して溜め息を吐く。ここまで来ると筋金入りの険悪さね。スネイプ先生も、ハリーには未だに弄り倒してるし。

 

「何でここまで仲が悪いのかしら」

 

カボチャジュースを飲みながら言うハーマイオニーに、ハリーがロンのナイトをルークで取りながら言う。

 

「スネイプ、僕の父さんと仲が悪かったんだ。僕とマルフォイみたいにね。それなのに僕の父さんは、スネイプを助けた事があるらしいよ「チェック」あぁ!?」

 

親の十七子は知らずって聞くけど、親の罪子に報うとも聞くからね、スネイプ先生は色々と複雑なんでしょう。ハリーとマルフォイの仲なんて、それこそ不倶戴天の敵とか、犬猿の仲って言える位だもの。

 

「ハリーの父さんは聖人君子だな、僕だったら追い討ちかけて、確実に殺してるよ」「ロン!」

 

軽口を叩くロンを、ハーマイオニーが手で叩く。この二人は将来、絶対にハーマイオニーの尻にロンが敷かれるわね。エッチなロンにはピッタリだわ。

 

「でも、何とも言えないって言うか、複雑ね」

 

ハーマイオニーが悲しそうに言うと、ハリーがボロ負けしたチェスを片付けて、複雑な表情をして拳を握った。

 

「スネイプがそんな何十年も前の事を気にするからだよ、僕には関係無い」

 

何かハリーが可哀想に思えてきて、ちょっと優しくしてあげる事にする。自慢の弟子が落ち込んでるんだもの、慰めてあげなきゃね。

 

「私ね、ハリーが少し羨ましい」

 

「どうして?僕はミリィが羨ましいよ」

 

不思議そうに見るハリーと、私の言葉に耳を傾ける二人に、私は話す。

 

「私、実の両親に会った事無いから。写真だけでも、両親の事を知ってる人に会えるだけでも、ハリーが羨ましいよ」

 

私の両親は、私が二歳の時に精神病を患ってしまったって、四歳の時に今とは違う施設の職員さんに聞いた。当時は病気の原因は分からなかった。その後すぐに私は魔力が暴発して、別の施設に預けられたから。それが何度か………五回は越えた頃に、今の孤児院に流れ着いたの。

 

「私ね……二歳の時に多分、この手でお母さんとお父さんをオカシクしちゃったんだよ」

 

私を捨てた人……………捨てるしか出来なかった人。

 

ママが見つけてくれた時、二人は子供が居た事すら分からない、もう殆んど会話が出来ない状態だった。だから私は両親に会いたくない。あの人達は私の罪で、私のせいで台無しにしたあの人達の人生を、私は受け止められないから。

 

「だからハリーが羨ましいよ。私は親から愛される(そんな)資格何て無いから」

 

重くなった空気で黙りこくった二人を尻目に、ハリーは話してくれた。

 

「ミリィ、僕はミリィが羨ましい。孤児院の皆に愛されて、家族が沢山いるミリィが。それにミリィは優しいじゃないか、料理だって上手いし、面倒見だって……ものすごいし、それに努力家だ!そんなミリィが、わざとそんな事をしたとは思えないよ」

 

「そうよ、悲しい事故だったんだわ。あなたは気に病まなくて良いのよ」

 

「元気出しなよ。君まで落ち込んだら、コンパートメントの中、まるで葬式みたいな雰囲気になっちゃうぜ?」

 

最初はハリーを元気付ける為だったのに、いつの間にか一番気分が落ち込んで、席の上で膝を抱えてると、三人が励ましてくれた。ロンが差し出してくれたショートブレッドを受け取っても、あまり気分が上がんなくて、ちょっとごねる。

 

「私はね、それを聞いた後も、何度も魔力が暴発してるんだよ?」

 

「ミリィはミリィよ。過去に何があったって、私達のミリィはそんな事しないわ。それに、ホグワーツでは一度もそんな事無かったじゃない」

 

今まで力になれなくてごめんなさい、そう言って私の事を胸に抱くハーマイオニーに、少しうるっときた。

 

「ありがとうハーマイオニー」

 

涙目がバレたく無くて、私からもハーマイオニーに抱き付く。ハーマイオニーってとってもいい匂いするわ、まるでクチナシみたいな匂い。

 

「アリ」「ナシよりのアリ」「アリよりのアリだろロン!」「ナシよりのアリだハリー!!」

 

私達の事を見てそんな事言い出した二人に、ハーマイオニーが溜め息を吐く。

 

「二人とも、いい加減にしないと本当に愛想尽かしちゃうわよ?」

 

「「悪かった、この通りだ!!」」

 

「ふふ、本当に仲良いわね」

 

思わず笑っちゃって、ハーマイオニーから離れて三人のやり取りを見る。大分時間が過ぎたと思って腕時計を見ると、後1時間位で駅に到着するみたい。

 

「後1時間位で到着みたいね、皆そろそろ準備した方が良いわ」

 

「あっという間だなぁ……あっそうだミリィ、これ僕の家の番地、手紙書くからミリィのも頂戴」

 

「僕も、手紙は送れるか分かんないけど、ミリィからの手紙欲しいから」

 

「何二人とも、私の手紙は欲しくないの?」

 

「「意地悪な事言わないでくれよ!?」」

 

「冗談よ、はいこれ私の番地、ミリィのお家はロンドンだっけ?」

 

「うん、ハーマイオニーもでしょう?」

 

「えぇ、そうよ、休みの間どこか出掛けましょうよ、ダイアゴン横丁もロンドンにあるのだもの!」

 

ハーマイオニーの言葉にうなずいて、二人して何処に行こうか相談してると、ロンとハリーが羨ましそうな顔をした。

 

「良いなぁ、僕ん家貧乏だからさ、お小遣いもあんましもらえないんだ」

 

「僕はお小遣い何て、ほとんどもらった事無いよ。パンチはよくお腹にもらうけど」

 

ぼ、暴力を受けてるの?それって訴えれば勝てるんじゃ無い?

 

「ハリー、何度も言うけどそれは訴えるべきだわ。子供に理不尽に手を出す何て、大人としてダメよ」

 

「そうだぜハリー、何なら夏休みの間、僕の家に来るかい?ご飯と部屋なら余ってるんだ。庭で鳥も飼ってるからね」

 

二人の言葉にうなずきそうになって、残念そうに首を振る。

 

「叔父さんが許さないよ、そんな事。僕の事を憎んでるんだ」

 

勝手に部屋の外に出ると、怒られるんだ。悲しそうに言うハリーのその言葉に、三人して顔を見合わせる。そんな酷いなんて、考えもしなかった。

 

どうにかしなきゃダメだと思って、クリスマスプレゼントにビーターの先輩からもらった物を思い出して、ポーチからそれを取り出してハリーに渡す。

 

「ハリー、これあげる」

 

「なんだい……これは、鏡?」

 

二枚組の同じデザインの鏡を、ハリーが手にとって見てると、ロンが驚いた顔でそれを見る。

 

「スゲェ、それって両面鏡?それダイアゴン横丁にある専門店でしか買えないレア物だぜ」

 

そうだったんだ、これ結構な代物だったのね、先輩には感謝しなきゃ。

 

「そんなもの……僕がもらって良いの?」

 

「片方は誰かに渡して、お互いが手にとってると、遠くにいても相手の顔が見れてお喋り出来るの。これなら決まった時間を決めておけば、いつでも話せるでしょう?」

 

「それってテレビ通話?魔法ってやっぱりスゴいわ!テレビ通話何て普通専門の機械が無いと出来ないもの!!」

 

驚くハーマイオニーに、今度ダイアゴン横丁に行く時に買いに行きましょうと話す。ユニコーンのお世話は、子供にはあり得ない大金を貰えたバイトだったから。

 

「ロン!君に片方渡すよ、君の家に行く方法を二人で考えよう!」

 

「良いのかい?もちろん全力で手伝うよ!これなら僕の家族とも相談できる、絶対に君を嫌な叔父さんの家から連れ出してみせるさ!!」

 

すっかり元気になって、二人してどうやってハリーが抜け出すか方法を考え始めたのを見て、ハーマイオニーと笑う。

 

「男の子って、本当に単純」

 

「でも、二人のそこが可愛いんでしょ?」

 

「もう、意地悪言わないで!」

 

苦笑いで溜め息を吐いたハーマイオニーをからかうと、困った顔をして怒ってきた、口の端が笑ってるから、照れ隠しなのが丸わかりね。

 

「はいはい、ほら二人とも、女子が着替えるから出てった出てった!」

 

「僕たち未だ着替えて無いんだけど」

 

「女の子は時間が掛かるのよ!トイレで着替えれば良いでしょ!」

 

横暴だ!とか何とか言ってる二人を追い出して、ハーマイオニーと二人で着替える。

………っく!

 

「妬ましい」

 

「何言ってるのよ、私だって貧相な部類なのよ?羨むならギネヴィアにして」

 

ブラウスに着替えながら言うハーマイオニーに、貧相なハー子より貧相な私って一体………とか言ってると、コンパートメントの前で言い争いが始まったのが聞こえる。

 

「だから、ここは今使用中だって言ってるだろ!」

 

ロンの言葉で、私とハーマイオニーは厄介事の気配を感じて、急いで服だけ着る。不恰好な感じでも、下着姿を見られるよりも万倍マシよ。

 

「ふん、どうせまた何かやらかして、中を見せたくないだけなんだろう、スネイプ先生に言いつけてやる!」

 

「そうじゃなくて、今はハーマッやめろ!」

 

そうハリーの声が聞こえた後、コンパートメントが開いた。

 

「こんにちはマルフォイ、これはマクゴナガル先生とスプラウト先生に報告だからね?」

 

「大好きなスネイプ先生に、こってりと絞ってもらうから」

 

ハリー達の失敗探しに意地悪な笑みを浮かべたマルフォイが、私たちの姿を見て顔を青くする。

 

「あ、あー、その、|()()()()()()

 

「何?聞こえないわよ覗きのマルフォイ」

 

「悪かったよ!!」

 

そういって早足で去っていくマルフォイの後ろ姿に、ハーマイオニーと二人して睨みつける。

 

「二人とも、後、5分待ちなさい」

 

「「イ、イエス・マム!!」」

 

ピシャンッとドアを閉めて直ぐに着替える。脱いだ制服を畳んで仕舞うと。クシを片手にコンパートメントを開ける。ちらっとトイレの方を見ると、行列が出来てる。あれは駅に着くまで使用不可ね。

 

「あのバカのせいで時間が無いから、横で着替えて」

 

「私は直ぐに髪をとかせるけど、ハーマイオニーは時間かかるからね、手伝うわ」

 

「ありがとうミリィ」

 

居心地悪そうに着替えるロンに、申し訳なくなる。

でももう時間無いし、他に着替える場所無いから、我慢して欲しいわ。

 

「僕がトイレで着替えてた時に突っ掛かって来たんだ、無視してコンパートメント前まで戻ったらあいつらムカついたらみたいで………ごめん」

 

一人手持ち無沙汰なのか、メガネをシャツで拭きながら言うハリーに、怒った口調でハーマイオニーが言う。

 

「ハリーは悪く無いわよ!悪いのはあの陰険マルフォイでしょ!!覗きとか信っじらんっない!!」

 

「頭揺らさないでハーマイオニー、クシが危ないから。……ハリーももう気にしちゃダメだからね、悪いのはマルフォイだし、私達も下着見られた訳じゃないし、スネイプ先生に言いつけるだけにしとくから」

 

怒った拍子に揺れるハーマイオニーの頭を押さえて、ハリーに気にしないように言う。直ぐに逃げたけど一応は謝ったし、とりあえず覗かれた事は報告して、後はスネイプ先生に任せれば良いでしょ。

 

「あいつ、人の嫌がる事ばっかりして、今度何かやらかしたら呪ってやる」

 

「僕、ハグリットにも手紙で仕返し出来ないか聞いてみる」

 

自分達の好きなハーマイオニーが覗かれたからか、男二人は義憤に燃えてるような感じで、このままだと今度はハリー達がマクゴナガル先生に雷落とされる気がした。

 

「二人とも、あくまで悪戯の範囲だからね、呪ったり呪文をかけたりするのは禁止。そんな事をしたらマクゴナガル先生に怒られるわよ」

 

「うへぇ、もう禁じられた森は勘弁……」「僕も、もうトロフィー研きは嫌だ……」

 

夜中彷徨いてたせいでもらった罰則を思い出したのか、二人して顔を青くしてる。

そうこうしてるうちに車内放送が流れた。もう駅に着くみたいね。

 

「はい、終わり」

 

クシですいた髪を、シュシュを使って肩の辺りで結んで前に流す。ハーマイオニーは最初の頃本当に身だしなみに無頓着だったから……ギネヴィアと私で、ハーマイオニーと同じく無頓着だったライラをお説教するのは大変だったわ。お陰で今ではエレナを横に並べても負けない位の美少女っぷりよ、苦労した甲斐があったわ。

 

「ありがとうミリィ、二人とも荷物はまとめた?」

 

うなずく二人を尻目に、クシをバックに仕舞うと、列車のブレーキの音が聞こえてきた。

 

これから楽しい夏休み、ギルの誕生日もあるし、孤児院はまた騒がしくなるんだろうなぁ、マリアベルお姉ちゃんも帰ってくるって言ってたしね!!




アンケート、してってね!!(アンケート乞食)

追記 アンケート締め切ったよ!
次の秘密の部屋編は、2020年夏頃に投稿予定です!!

次の話し何だけど、プロット組んでたら石心先生が難産過ぎて、先生で一本作ろうか迷ってるよ。好きなルートを選んでね!

  • ギルデロイ女体化番外編
  • ウィーズリー覚醒 バジリスク討伐
  • ジニーのヤンデレ化
  • ギネヴィアの私TUEEEEEルート

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