魔王の俺と勇者なクラスメイト[現在修復中]   作:無月・黒焔(現在萎えモード)

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ヒノキと杉の花粉のせいでくしゃみと鼻水が酷いです。更に鼻のかみすぎで鼻が痛いというトリプルコンボ。本当に花粉許さねぇからなぁ!

執筆中に誤って投稿してしまい申し訳ありません。

それと、修復前とかなり内容が変わってしまっています。よくわからない所があると思います。申し訳ありません。


妨害

 ハディンが妨害メンバーを選出してから一年。上を見れば曇り空が広がり、太陽の光は届かず大地は陰る。ファラン達吸血鬼にとって最高の天気であった。

 

「ファラン様。いよいよですね」

「そうだな」

 

 腕を組んだファランは城の前で立っていた。目の前には妨害をするメンバー達が跪いている。

 

「いいか貴様等。今日は勇者達を殺すのではなく、勇者達の訓練を妨害しろ」

「「ハッ!」」

「勇者達のくだらん正義とプライドをズタズタにしてこい!」

「「うおおお!」」

 

 妨害メンバーの叫びと共に高まる士気。ファランは此奴等なら勝てると確信した。

 

「行ってこい貴様等!」

「「お任せ下さいファラン様!」」

 

 妨害メンバーは二つの班に別れ足跡と音を消しながら移動した。

 

◆◇◆◇◆

 

 妨害メンバーは音速に近い速さで野原を駆ける。魔王軍の城とアラン王国はかなりの距離があり、その速さでも時間が多少かかる。妨害メンバーの一人であるカイルはそんな退屈な時間に飽きたのか口を開いた。

 

「どうしてファラン様は妨害なんて頼んだのだろう?」

「あぁ? 知るかそんなもん。そんな事よりも、任務に集中しろカイル」

「僕が思うに~、ファラン様は今回の勇者達を気に入ってるんじゃないかな~?」

「馬鹿かフィル。ファラン様が勇者を気に入る訳ねぇだろ」

「まぁ、そう言うなメルガ。こういった時のフィルの予想はかなりの確率で当たる。案外信じてみるのもありだ」

「カイルは優しいね~。メルガとは大違いだよ~」

「俺が優しくねぇとでも言うのかフィル! いい加減にしねぇとぶっ殺すぞ!」

「落ち着けメルガ。任務中だぞ」

「チッ!」

 

 フィル、カイル、メルガは喧嘩のような会話をしながら進む。三人の強さは幹部には届かずとも上位クラス。正面衝突の戦闘は勿論、暗殺をも得意とする。

 

「他のメンバーはもう着いたかな~?」

「とっくに着いてんだろ、てか、もう妨害してんじゃねぇの? 彼奴等あり得ないほど速いからな」

「いいよね~、僕もあれぐらいのスピードが欲しいよ~」

「何言ってんだ、スピードよりパワーだ。相手を潰せなきゃ意味がねぇ。そう思うだろカイル?」

「いや、どっちもどっちなんだが……」

 

 会話はヒートアップしていき、とうとう人間をどう殺すかまで来たとき、アラン王国の城門が見えた。メルガ達は門番が見えない位置からそれを飛び越え、建物の屋根を走り、予め教えてもらっていた勇者達が訓練している場所である闘技場へと向かう。

 

「よっと…は…?」

「どうしたの~? メルガ……!」

「二人とも、バレる……おいおい、まじかよ」

 

 闘技場の観客席へと飛び乗ったメルガ達が目にしたもの。それは勇者達に倒されていた他の妨害メンバーだった。死んではいないが、虫の息。瀕死であるのは直ぐに分かった。

 

「くそがぁ!」

「おい、メルガ!」

 

 フィルとカイルがこの状況をどう打開するか考えだした時、メルガは考えるよりも先に身体を動かした。

 

「死ねぇ!」

「皆、避けて!」

 

 一人の人間の呼び掛けによって、メルガが振った大剣は虚しくも空を切り地面に突き刺さる。メルガが大剣を抜くと、フィルとカイルがメルガの両脇に着地する。

 

「勝手に行動するなメルガ。少しは考えろ」

「作戦は重要だよ~?」

「うっせぇ」

 

 フィルとカイルはそっぽを向くメルガにやれやれと肩を竦める。メルガは申し訳なさそうな、イラついているような顔をしていた。

 

「まだ動けんだろ? ハディン様に伝えてこい。増援求むってな」

「ああ、すまない。頼んだ」

 

 他の妨害メンバーは謝ると直ぐに消える。メルガ達は目的を妨害から増援が来るまでの時間稼ぎに変えた。

 

「ったく、本当にワラワラ湧くよな魔族はよぉ」

「あ? 調子に乗ってんじゃねぇぞ人間」

「落ち着いて下さい団長」

 

 騎士団の正装を着ている茶髪、蒼眼の青年が苦笑いしながら赤髪、赤目の男性を宥める。メルガは青年の言葉を聞くなり口角を上げた。

 

「団長ぉ? ハッハッハ、こりゃ面白いぜ! まさか騎士団団長(レアもん)がいるなんてなぁ?」

「レアもん……だと?」

 

 人間の中でも強い者達のことを魔族はレアもんと言う。レアもんを倒せば自身の実力を証明でき、更には地位を上げる事も出来る。魔族達にとってレアもんは最高の敵なのだ。

 

「ああ、レアもん中のレアもん。お前の首を持って帰れば、俺達は幹部になれんだろうなぁ」

「テメェら……!」

 

 メルガは大剣を担ぎ上げると、フィルとカイルも自身の獲物を構える。

 

「さぁ……殺し合おうぜ?」

 

 メルガの言葉と共に、メルガ達と勇者達はぶつかった。

 

◆◇◆◇◆

 

「ファラン様、ハディン様報告が……!」

「どうしたんですか? その傷は?」

「どうした?」

 

 城の前で待っていたファランとハディンは妨害メンバーが傷だらけで帰ってきたのを見て疑問を持った。

 

「勇者達の訓練に騎士団団長と副団長が居合わせており、現在メルガ達が戦闘中。増援求む、と」

「なる程誤算でした。騎士団団長と副団長が居合わせるとは」

 

 ハディンは考える素振りをしてから顔を上げる。

 

「シルアと他の幹部を「ハディン、その必要は無い」……ファラン様?」

「元々、俺が実力を測るつもりだった。今回、貴様等が傷ついてしまったのは俺の原因でもある。故に──」

 

 ファランは笑うと遠くにあるアラン王国を見た。

 

「俺が行こう。幹部が出る必要は無い」

「ファラン様! 貴女様が向かわなくとも!」

 

 いくらファランでも勇者達、騎士団のトップである二人を相手にするのは難しいだろう。ハディンは万が一を考えてしまい、焦り出す。

 

「ハディン、俺が負けると思うか?」

 

 ファランは殺気を出しながらハディンに問う。ハディンはすぐさまファランに跪いた。

 

「ファラン様は我々の王。貴女様が負ける事はありません」

「そうだ、それでいい。留守を頼んだぞ」

 

 割れた地面と衝撃波を残し、ファランは空高くへ飛び去った。

 

◆◇◆◇◆

 

 空を駆ける者が一人。当然そんな事が出来るのはファラン位である。勿論、空中に浮く魔法はあるが、ファランのようにスピードを出すことは出来ない。ファランが考えた〈結界〉を用いた空中での移動方法。空中で展開された〈結界〉を勢いよく踏むことによって前へと飛び、敢えて脆く作られた〈結界〉は砕け散る。結果、ファランは空を飛んでいるように見えているのだ。

 

 〈結界〉を展開する際の使用魔力は少なく、足跡を残す事がない為、ファランの考えた魔法の応用では自信作であるが、ハディンに説明した際には「意味が分かりません」と言われ、若干落ち込んでいる。

 

「彼処か……」

 

 アラン王国の闘技場。その上空でファランは停止する。魔法陣を展開し、ファランはそれに手を突っ込む。すると、一本の大鎌が出てきた。

 

「こいつの名前は何だったか……。ああ、死神の大鎌(ディーチソウル)だ」

 

 死神の大鎌(ディーチソウル)はファランが昔、手に入れた武器、否解放した武器と言うべきか。魔剣として存在する大鎌は、殺した相手の血肉を喰らい魂を奪う性質がある。その危険過ぎる性質故、ファランは使うのを止めていた。そして、死神の大鎌(ディーチソウル)には二つの特徴がある。

 

「さて、楽しませてくれよ?」

 

 一つ目は、奪った魂によって紫色の斬撃を飛ばすことが出来る。ファランは紫色に輝く大鎌大きくを振り、紫色の斬撃を飛ばした。

 

「行くか」

 

 紫色の斬撃を追うようにファランは自由落下を開始する。斬撃は地面にぶつかり、衝撃波を生む。ファランは衝撃波に襲われるが、体勢を立て直し着々した。

 

「あ~くそが! 本当によく湧くなぁ!」

 

 騒ぐ男性を無視してファランはメルガ達に近寄る。

 

「大丈夫か? よくやった、貴様等は戻っていろ」

「「ハッ!」」

 

 メルガ達を見届けた後、ファランは勇者達と斬撃によって出来たクレーターを見る。受けた衝撃波の割には小さい。ファランは若干不満げな顔をした。

 

「あ、貴女は……何故こんなことを……」

 

 別の方向に視線を向ければ、一年前にお茶をした茶髪、蒼眼の青年がファランを見て弱く言葉を放つ。ファランは無表情のまま大鎌を回した。

 

「誰だ、貴様」

「……!? そう、ですよね」

 

 青年は色んな感情が混ざった顔をして剣を構える。

 

──そうだ、それでいい。

 

 大鎌を回すのを止めたファランは、ゆっくりと大鎌を担ぎ上げ、腰を低くして構える。

 

「お前らはフォローだけでいい。前に出過ぎるな」

「命を大切にしてね」

「「はい!」」

 

 地を蹴り、男性とレインはファランに切りかかる。ファランは大鎌の長柄で防ぎながら後ろに飛び斬撃を飛ばす。

 

「邪魔なんだよ!」

 

 男性は斬撃をファランに向かって弾く。ファランは少し驚いた顔をしてからそれを避けた。

 

「面白いな貴様」

「あぁ? 魔族がなに調子に乗ってんだ?」

 

 男性とレインの攻撃を軽々と避け、防ぎながらファランはカウンターを入れる。だが、流石は騎士団団長と副団長。ファランの攻撃に当たる事なく攻撃をしいく。

 

「はあああ!」

 

 割り込む事すら難しい攻防が繰り広げられ、勇者達は何も出来ずにいた。だが、一人だけファランに向かって切りかかる者が居た。

 

「む?」

 

 回転しながらファランは増えた攻撃を避け、回し蹴りを仕掛ける。

 

「ぐぇ!」

 

 当たった瞬間に得られる感触。ファランは少し下がり、大鎌を構えた。

 

「おい、大丈夫か!」

「大丈夫かい!?」

「はい、大丈夫……です」

 

 ファランに回し蹴りをされ、倒れていた勇者はゆっくりと立ち上がる。それを見たファランは目を大きく見開いた。立ち上がった勇者は前世の幼なじみだった加藤駿平だったからだ。

 

「駿平君!」

「大丈夫だ! めっちゃピンピンしてる!」

 

 勇者の一人、駿平と同じく前世の幼なじみである斎藤沙耶から駿平を心配する声が聞こえる。駿平はそれに笑って言葉を返した。

 

──俺は彼奴を、駿平を蹴ったのか? 幼なじみを攻撃したのか!?

 

 本気とはいかずとも力を込めた蹴り。鎧を装備していても倒れるレベルの衝撃を喰らったのだ。それを証拠に笑っている駿平の足は少し震えていた。

 

 実力を測るつもりだった。軽くちょっかいをだすつもりだったのだ。しかしどうだ? 現に、駿平はかなりのダメージを負った。幼なじみを攻撃したことにより、ファランは動揺していた。

 

「どうした魔族? 止まってるぜ?」

「しまっ!」

 

 ファランは大鎌を盾にして男性の攻撃を受け止める。動揺がバレてはいけない。そう思う度に意識はそれに向けられ大鎌を持つ力が弱まる。

 

「力はあってもスタミナがねぇなぁ?」

「くっ!」

 

 無理やり男性の剣を押し、大鎌の長柄で突いて吹き飛ばす。吹き飛ばされた男性は着地し、ファランに向かって突進した。

 

「止まってもらうとしよう」

 

 ファランの大鎌の先端から赤い液体が滴り落ちる。男性は異変を察知し、突進を止めようとしたときファランは大鎌を振るった。

 

「喰いて咲かせ、血の華よ!」

 

 死神の大鎌(ディーチソウル)の二つ目の特徴。喰らった血肉で鎖を作るのだ。鎖の種類には二つあり、相手を拘束する鎖と、所々棘がついている殺傷用の鎖がある。今回ファランは拘束する鎖を大鎌から出現させた。

 

「これは……血!?」

 

 勇者達と騎士は鎖に拘束され、身動きが出来なくなる。所々から悲鳴が聞こえ、ファランは愉快に笑った。

 

「テメェ……!」

「流石の勇者と騎士もこれでは意味がないだろう? 楽しかったが、まぁ、この程度の拘束すら破る事が出来ない実力。期待はずれだ」

「なんだと?」

 

 ファランは大鎌を駿平の首もとに近づける。駿平は歯軋りをしながらファランを見た。

 

「駿平君! いや、いやあああ!」

「“黙れ”」

 

 ファランがそう言うと、先程まで叫んでいた沙耶の声はピタリと止まる。叫んでいた沙耶はパクパクと口を開いているだけだった。

 

「何をした……?」

 

 怒気が含まれた声。駿平はファランを睨みつけ、怒りを露わにしていた。

 

「沙耶に何をしたぁ!」

 

 駿平を縛っていた鎖が壊れ、駿平を自由の身になる。大鎌の下に潜り込んだ駿平はファランに攻撃した。

 

「何を……か。少し黙ってもらっただけだ」

「ふざけんな!」

 

 駿平の攻撃を捌きながらファランは笑みを浮かべる。駿平はそんなファランを見てか、更に怒った。

 

「何笑ってんだおまえ!」

「ククク、久しいな加藤駿平」

 

 ファランの言葉を聞いた駿平は停止し、直ぐに後ろに下がる。

 

「何で俺の名前を……てか、お前誰だ!」

 

 グサリと駿平の言葉はファランの胸に突き刺さる。幼なじみに覚えてもらえないのがこんなにも辛いなんて、そんな事を思いながらファランはため息をついた。

 

「まぁ、いい……直に分かることだ」

「お前本当になんなんだよ!」

「ククク、俺か? 俺は魔族だ!」

 

 再度笑ったファランは、もう一度鎖を出す。それは駿平を拘束する事はなく壊された。

 

「……なに?」

「残念だったなぁ魔族ぅ。人間様は頭の回転が早いからよぉ」

 

 いつの間にか抜け出していた男性が鎖を壊したのだ。ファランは不敵に笑う。

 

「幾ら頭の回転が早くとも、煽る事しか出来ないその頭では、戦闘には役に立ちそうにないな」

「テメェは殺す!」

 

 ファランに突っ込む男性とそれに着いていく駿平。ファランは魔法陣を展開し、大鎌をしまう。

 

「くだらん“止まれ”」

「「なっ!?」」

 

 急停止したかのように男性と駿平の動きが止まる。ファランは男性を無視し、駿平に近寄る。

 

「くそっ!」

「加藤駿平、俺は貴様を気に入った。次会うときは思う存分殺し合おうではないか」

 

 ファランはフランスパンを出現させ、どこから取り出したかわからない紙で包装した後駿平の足元に置いた。

 

「は…い…?」

「これは置き土産だ。味わって食べると良い」

 

 放心する駿平をよそに、ファランは踵を返して闘技場を飛び越え消え去った。

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