むかしむかしあるところに、浦島太郎という男がいました。
彼は漁で鍛え抜いた肉体と、天性の闘争の才を活かし、覇王として君臨していました。

彼こそは、その名も高き浦島覇王。
覇王と乙姫が出会う時、物語は始まります。

※小説家になろうとのマルチ投稿中です。

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むかしむかしあるところに、浦島太郎という男がいました。
彼は漁で鍛え抜いた肉体と、天性の闘争の才を活かし、覇王として君臨していました。

彼こそは、その名も高き浦島覇王。
覇王と乙姫が出会う時、物語は始まります。

※小説家になろうとのマルチ投稿中です。


浦島覇王

 むかしむかしあるところに、浦島太郎という男がいました。彼は漁で鍛え抜いた肉体と、天性の闘争の才を活かし、覇王として君臨していました。

 

 そしてある時、浦島が海辺を歩いていると、子供たちが大きな亀を捕まえていました。近づいて見てみると、子供たちは寄ってたかってその亀をいじめていたのです。

 

「こののろま亀!」

 

「すげえぜ、文字通りのドン亀だ!」

 

「俺はこーゆー鈍間を見てると、イライラしてくるんだよぉー!!」

 

「くたばれボケナスめ!!」

 

 亀の甲羅を踏みつけ棒で叩き、やりたい放題の有様です。これが陸亀なら手足を甲羅に引っ込める事で身を守れたかもしれませんが、生憎海亀にそんな気の利いた機能はありません。哀れな亀の命数は、まさに風前の灯火でありました。

 

「わっぱども、その辺りにしておくがよい」

 

「なんだとぅ!」

 

「うるさい! なんでお前なんかにそんな事言われなきゃなんないんだ!」

 

 クソ生意気をその身で体現した子供たちは、全く言う事を聞く様子がありません。それを見た浦島の取り巻きどもが凄みます。浦島は覇王なので、一人で出歩く事などしないのです。

 

「おいクソガキども、このお方をどなたと心得るかッ!」

 

「恐れ多くも覇王たる浦島様であらせられるぞ!」

 

「跪けッ! 這いつくばって草履を舐めろッ!」

 

 その言葉を聞いた子供たちに動揺が走ります。彼らは浦島太郎の名を知っていても、その顔までは知らなかったのです。取り巻きをぞろぞろ引き連れて歩いている時点で只者ではないと気づいてもよさそうなものですが、気付かないのがクソガキがクソガキたる所以なのでしょう。

 

「浦島様ッ!?」

 

「や、やべえよ……」

 

「ど、どうしよう……!?」

 

「お、俺に聞くんじゃねえよ!」

 

「二度言わせるな! 跪けッ、クソガキどもッ!!」

 

「は、ははぁーっ!!」

 

 取り巻きCの声に子供たちは平伏します。浦島は敵対者には容赦のない覇王として有名です。これ以上グダグダやっているようなら、首と胴が泣き別れすると本能で悟ったのでしょう。

 

「浦島様、話を聞く態勢が整ったようです」

 

「うむ、ご苦労――――さて、わっぱども。顔を上げる事を許す」

 

「へ、へへーっ!」

 

 おずおずと上げられた顔には、どれもこれも絶望が貼りついています。浦島の評判を知っている以上、無理もない事だと言えるでしょう。

 

「うぬらは、何をしておったのだ?」

 

「そ、それは……」

 

「その……」

 

「浦島様の問いに答えぬかッ!!」

 

 取り巻きBが一喝します。それにビビった子供たちは、重たい口をどうにかこうにか開きました。

 

「か、亀を……」

 

「亀を?」

 

「た、叩いてました……」

 

「ほう…………」

 

「で、でも、俺らが悪いんじゃないんです!」

 

「そ、そうです! 亀が……そう、亀が悪いんです!」

 

 子供たちは命惜しさに、聞くに堪えない雑音を垂れ流します。ついに我慢の限界に達した浦島太郎が目を見開き、大音声で喝破しました。

 

「このたわけどもがぁッ!!!!」

 

「ひいぃぃぃいいっ!!」

 

 覇王の放つ覇気に子供たちは腰を抜かします。平伏していたため崩れ落ちる事はありませんでしたが、明らかに海水ではない水分が場には増えていました。それを気にする事もなく、浦島は王気を立ち昇らせながら言葉を続けます。その姿はまさに、餓鬼を踏みつける不動明王もかくやという有様でありました。

 

「うぬらはそれでもこの覇王たる浦島の民かぁッ!!」

 

「ひっ!!」

 

「ご、ごめんなさいごめんなさい!!」

 

「喰うために狩りをするというのならばともかく、ただ力に溺れ弱者を虐げるのは強者にあらず! それは単なる卑怯者である!!」

 

 オーラが浦島の身体を何倍にも大きくしています。子供たちはもはや震える事しか出来ませんが、そんな事は気にも留めず浦島は言い放ちました。

 

「我らの腕は強者に挑み、挑んでくる弱者に応えるためにある!!

 我らの脚は強者を探し、挑んでくる弱者から退かぬためにある!!」

 

「ひぃ……!」

 

「しかるに貴様らは何たる体たらくかぁッ!! 恥を知れぇィ!!!!」

 

 あまりの迫力に、子供たちは声を出す事も出来ません。ただ震え、砂浜に水分を供給するだけの存在に成り下がっておりました。それを見下す浦島は一つ鼻を鳴らすと、便所にタンカスを吐き捨てるように言いました。

 

()ね」

 

「え……?」

 

「失せろ、と言っておるのだ。この我の前から消えるがよいわ」

 

「あ……?」

 

「お、俺達、助かったのか……?」

 

 弛緩した空気が流れます。まるで地獄で蜘蛛の糸を見つけたかのような様子です。ですがその空気を切り裂くように、浦島の目が光りました。

 

「ただし、次はないッ!! 再びこの我に下らぬものを見せようものなら、分かっていような……!?」

 

「ひっ、ひぃぃいいい!!」

 

「ま、待って……!!」

 

「うぇぇぇえええん!!」

 

 哀れ子供たちは、壊れたばね仕掛けの人形のように跳ね起きると、もつれる足をどうにか動かし、蜘蛛の子を散らすように這う這うの体で逃げ出してゆきました。浦島はそれに目をくれる事もなく、今の今まで誰にも忘れられていた亀を見下ろします。

 

「弱き事は悪い事ではない。しかし、弱くては生きてゆく事は出来ぬのだ」

 

「浦島様……」

 

「フ、つまらん事を言ったな。誰ぞ、この亀を海に戻してやれ」

 

「はっ!」

 

「ただちに!」

 

 主の命を受けた取り巻きAとDが二人がかりで亀を持ち上げます。彼らが亀を持って沖へと進む様子を見るともなしに見ていた取り巻きEが、浦島に向かって言葉をかけました。

 

「浦島様はお優しいですな」

 

「何を言うか」

 

「王に対する不敬を咎める事もなくただ道を説き、亀にすら慈悲をかける……これを優しいと言わずして何と言いますか」

 

「フン、ただの気まぐれよ」

 

 浦島はくるりと背を向けると、一言だけ残して歩き始めます。 

 

「興が削がれた。城に戻るぞ」

 

「浦島様の仰せのままに」

 

 

◇ ◇ ◇ ◇

 

 

「――――ま様、浦島様」

 

「…………む?」

 

 その日の夜。城の自室にて眠っていた浦島を呼ぶ声がします。浦島が目を覚ますとそこには、亀が鎮座していました。

 

「うぬは……もしや、昼間の亀、か? 何の用だ」

 

「どうやって入ったのか、と聞かぬ浦島様はさすがにございますな」

 

「世辞はいらぬ。何度も言わせるな、何の用だ」

 

「これは申し訳ありませぬ。年を取ると話がくどくなっていけませぬな。用というのは単純にございます。昼間のお礼でございますよ」

 

「ただの気まぐれに礼なぞ不要よ。用がそれだけならば済んだであろう。疾く去るがよい」

 

「いえいえ、そういう訳にもゆかぬのです。我が主が、配下が世話になった礼をしたい、と」

 

「む?」

 

 浦島の顔が疑問に縁どられます。単なる亀に主がいるという事が不審なら、子供にも負ける亀を単独で行動させていたのも不審です。礼をしたいという言い分には筋は通っていますが、謀略でない証拠はどこにもありません。

 なお亀が喋っている事が不審ではないかというのは今更なので何も言いません。

 

「して、その主とやらはどこにいるのだ」

 

「ここにはおられませぬ。我が主たる乙姫様は竜宮城に」

 

「異な事を。礼を述べるというのであれば、出向いてくるのが筋であろうが」

 

「ええ、ええ、まさに仰る通りでございます。ですが乙姫様は海から出られぬ身。平にご容赦を」

 

「……まあ構わぬ。して、今度こそ用は済んだな」

 

「いえ、このままでは我が主の名折れ。ゆえに乙姫様は、浦島様を竜宮城にご招待したいと」

 

 亀の言い分を浦島は鼻で笑います。見た目は筋骨隆々の大男ですが、これでただの脳筋ではありません。仮にも王、頭が回らない訳ではないのです。

 

「乙姫とやらが海から出られぬといううぬの言が正しいのであれば、その竜宮城とやらは海中にあるのであろうが。どうして我がそこまで行けるというのだ」

 

「おお、さすがは浦島様。ご慧眼でございます。ですが心配はご無用、竜宮城は陸の者でも暮らす事が可能でありますし、我が背に乗れば一直線にございます」

 

「何? 貴様の背に乗れと?」

 

 浦島は亀を見下ろします。大の大人二人がかりで海に運ばなければならなかっただけあり、大きな甲羅です。ですが浦島の巨体を乗せるには、いささか頼りないように見受けられました。

 

「……よかろう、行ってやろうではないか」

 

「おや、よろしいので?」

 

「構わぬ。出来ると言った事を出来ぬとあらば、相応の報いを受けさせるのみよ」

 

「そういう意味ではなかったのですが……」

 

 罠だとか謀略だとかを疑わないのかとか、そういう事を言いたかったようです。ですが浦島太郎は覇王。そういった全てを踏み潰して来たからこそ今があります。如何なる形であれ、挑まれたのなら背を向けるという選択肢はあり得ません。存外に頭の回る脳筋ではあるのですが、脳筋である事に変わりはないのでありました。

 

「躊躇わないのはさすが覇王という事ですかな」

 

「御託はいい。ゆくぞ」

 

 浦島はその大きな足を、亀の背中に乗せます。あわや潰れるかと思われたその甲羅は、意外な頑丈さを発揮して浦島の体重を支えました。そして、次の瞬間。

 

「むぅ!?」

 

 何という事でしょうか。浦島の目に映る景色が、高速で流れ始めたのです。これにはさしもの浦島もびっくりです。

 

「これは……!?」

 

「ですから申し上げた通り、竜宮城まで『一直線』にございます」

 

 室内であったため間には壁や床もあったのですが、そういったものはまるっと無視して突き進みます。どうやら亀はワープにも似た移動法を会得しているようです。びっくりタートルです。

 

 野を超え山は越えず海を越え、亀は一路突き進みます。竜宮城に向けて。

 

 

◇ ◇ ◇ ◇

 

 

「ほう、うぬが乙姫とやらか」

 

「ええ。この度は我が配下が世話になりました。厚く御礼申し上げます」

 

 浦島は竜宮城の広間に通され、そこで乙姫と会っていました。乙姫は透き通るような海色の髪に珊瑚色の瞳を持ち、天女もかくやという羽衣を身に纏っており、まさに絵にも描けない美しさでありました。ですが浦島にとってそれは、何の感情を呼び起こすようなものではなかったようでした。

 

「フン、それだけではあるまい」

 

「はて、何の事でしょうか?」

 

「茶番はよせ。うぬの顔に書いてあるぞ、我が邪魔で仕方ないとな」

 

 その浦島の言葉に、名前の通りお姫様然としていた乙姫の空気が切り替わります。それはまるで獲物を前にした肉食獣の如きものでありました。

 

「くっ、くくくく……さすがは音に聞こえし浦島覇王。全てお見通しという事ですか」

 

「うぬが分かりやすいだけよ」

 

「ふふふ、次からは気を付けるとしましょう。さて、仰る通り、私は貴方が邪魔です」

 

 無言で顎をしゃくり、浦島は続きを促します。乙姫は剣呑な光を目に宿しながら、手に持っていた杖をくるりと回しました。

 

「私は海に覇を唱え、それはほぼ達成されました。ここに居並ぶ配下こそその(あかし)

 

「有象無象を並べて悦に浸るか。覇王には程遠いわ」

 

「海の次が陸なのは自明の理。確かに今はまだ陸には上がれませんが、その解決は時間の問題。なればこそ、障害は前もって排除しておかなくては」

 

「回りくどいわ。ことここに至れば、用件なぞ言わずもがなであろうよ」

 

「ふふ――――」

 

 浦島と乙姫の間に火花が散り、両者の覇気が一気に膨れ上がります。噴火寸前の空気の中、口火を切ったのは乙姫の方でした。

 

「覇王は二人と要らないッ! ここで斃れろ、浦島太郎!!」

 

「我こそが覇王よ!! なればこそ是非もなし!! 決死の覚悟でかかってくるがいいッ!!」

 

 空気を爆ぜさせ、乙姫は地を蹴り後退します。浦島がそれを怪訝に思う暇もあらばこそ、覇気に満ち満ちた声が響き渡りました。

 

「者ども、かかれえぃッ!!」

 

「おおおおおッ!!!!」

 

 乙姫の檄に、広間に待機していた配下たちが浦島目がけて殺到します。ヒトデ、ハマチ、メバル等々、配下は皆海産物ですが、その数は決して侮っていいものではありません。

 

「ふんぬッ!!」

 

「ぐあっ!」

 

「うぐぉっ!」

 

 ですが浦島にとっては、何の痛痒も感じぬもののようでありました。その剛腕を振り回し、時には叩き時には投げ、海産物の一切を寄せ付けてはおりません。

 

「このような雑魚どもがこの我に通じるとでも思うたか!!」

 

「いえいえまさか、そやつらはただの障害物ですよ。鯛! (ひらめ)!」

 

「はっ!!」

 

「ゆくぞ、浦島よ!!」

 

 当初から乙姫の両脇に控えていた鯛と鮃が、浦島に向かって吶喊します。あたかも舞っているような身体捌きで、まるでその身が何体にも増えたかのようでありました。

 

「我らの幻影連携!」

 

「いかな浦島と言えども見切れるか!」

 

 海産物に群がられている浦島は、それらが邪魔で上手く身体を動かす事が出来ません。その隙を突くのは、乙姫配下でも連携攻撃に秀で、それをさらに磨き上げた鯛と鮃です。

 このままではいかな浦島と言えどもただでは済まない、と思われたその時、腹の底まで響くが如き衝撃が広間を通り抜けました。

 

「小賢しいわぁッ!!!!」

 

「がぁああっ!!」

 

「げああっ!!」

 

 浦島が床を強く踏みつけ、それが衝撃波となって一切を薙ぎ払ったのです。これには群がっていた海産物もひとたまりもありません。吹き飛ばされ蹴散らされ、鯛と鮃もまたそれらに巻き込まれてしまいました。

 

「ぐ、ぐぅ……」

 

「う、ぐ……」

 

「鯛! 鮃!」

 

 ただの一撃で床に這いつくばった鯛と鮃を見た乙姫が叫びます。浦島はそれを冷たく見やると、乙姫に言葉を向けました。

 

「フン、鯛や鮃の舞い踊りでは我は殺せぬ。曲がりなりにも覇王を名乗るのであれば己自身で来るがよい、乙姫よ」

 

「おのれぇ!! 水よ、我が力となれぃ!!」

 

 激昂する乙姫が杖を構えると、驚くべき事にどこからともなく水が生まれ、それが杖の先端に渦を巻いて纏わりつき、まるで突撃槍(ランス)の如くなりました。

 これぞ乙姫が覇王となりえた理由そのもの、『激流槍』です。普段は杖にしか見えませんが、一朝有事の際は水が槍の穂先と化し、同時に海の加護を使用者に与えます。乙姫はこの槍がもたらす莫大な力を背景に、海に覇を唱えたのです。

 

「死ねぃ、浦島!!」

 

「むぅ!?」

 

 乙姫は一直線に浦島に向かい、淀みない動きで槍を突き出します。浦島は水の槍という面妖な物体に一瞬面くらったものの、この程度なら躱すまでもないと受け止めようとしました。ですが、その判断は明らかに誤りだったのです。

 

「おおおおっ!!」

 

「ぐっ!?」

 

 なんと手弱女にしか見えぬ乙姫が、筋骨隆々の大男である浦島を吹き飛ばしました。これぞ激流槍の加護の一つ。使用者に途方もない剛力を与えるのです。

 

 ですがこれで勝負がつくほど浦島もヤワではありません。デカい図体に似合わぬ機敏な動きで足から着地すると、ゆったりとした動きで立ち上がりました。

 

「ほう、中々やるではないか」

 

「ぬかせ! 妾に槍を抜かせたからには、もはや貴様の命運は尽きたと心得よ!」

 

「ならば遠慮なくやってみるがよい。うぬ如きに出来るものならばな」

 

 もはや両者に言葉は不要。竜宮城の広間にて、激戦が始まりました。

 

 

◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 戦いは三日三晩続きました。床は割れ壁は砕かれ、扉はすでに吹き飛んでいます。竜宮城のダメージは甚大です。ですがそんな状態でも防水兼大気生成結界は些かも揺らがず、竜宮城内部は陸と変わらぬ気圧と大気成分を保っていました。

 

「ぐ、うぐぅ……!」

 

「決着はついた、ようだな……」

 

 つい三日前まで広間だったはずの場所では、海産物が死屍累々と地に倒れ伏し、乙姫もまた同様の有様を見せ、唯一浦島のみが満身創痍ながらも両の足でしっかりと立っておりました。

 

「まだ……まだだ……!」

 

「気概は買うが、槍がそれでは戦えまい」

 

 浦島の言葉の通り、激流槍は二つにへし折られて転がっています。当然持ち主に加護を与える事など出来ません。そして加護のない乙姫は、ネタとワサビのない寿司も同然な、見た目通りの小娘です。到底浦島太郎には敵わないでしょう。

 

「それでもやると言うのならば相手になろう」

 

「当……然よ……! 覇王は、退かぬ!」

 

「よくぞ言った。その意思に敬意を表し、我が奥義を以って葬ってやろう」

 

「おやめください姫様!!」

 

 とどめを刺そうとしていた浦島と、血反吐を吐き散らしながらもどうにか立ち上がろうとしていた乙姫の間に割って入ったのは、蛸でした。脚が八本でたこ焼きに入っているあの蛸です。生命力の高さが幸いし、どうにか動けるようになったようです。

 

「どけい」

 

「どきませぬ!! この身八つに裂かれようともどきませぬ!!」

 

「見上げた忠義よ。ならば諸共逝くがよい」

 

 浦島が奥義を繰り出すために気を高め始めます。空気が揺れ地は震え、心なしか薄暗くなってゆきます。そして浦島のオーラが天を衝かんとするその瞬間、乙姫が焦りと共に口を開きました。

 

「ま、待て浦島よ!!」

 

「何だ」

 

「わ、分かった。…………妾の負けじゃ」

 

「ひ、姫様!?」

 

 蛸が思わず乙姫の方に振り向きますが、そこにあったのは紛れもない現実でした。あの無敵を誇った乙姫は、二つに折れた槍の片割れを杖代わりに上半身だけを起こし、端正だったその顔に心底悔しそうな表情を浮かべていたのです。

 

「蛸よ、お主を殺させる訳にはいかん。お主と引き換えならば、この頭下げても惜しくはない」

 

「ひ、姫様……!!」

 

 蛸は感涙に咽びます。涙腺もないのにどうやって泣いているかは永遠の謎です。

 

「そういう事だ、浦島よ。ここは妾の首一つで収めてくれ……と言いたいところだが、妾はまだ死ぬ訳にはゆかん。ゆえに蛸よ、玉手箱を持ってくるのだ」

 

「な……! いえ、かしこまりました、姫様」

 

 たいそう驚いた様子の蛸が、うねうねとうねりながら意外にも素早い動きで部屋の外へと出て行きます。程なく戻って来たその触腕には、黒い箱が抱えられておりました。

 

「これこそ我が家に代々伝わる玉手箱。けして開けてはならぬが、開けなければ幸運を呼び込むと伝えられておる」

 

「そのような箱ごときを、うぬらの首の代わりにせよと?」

 

「無論お主がどうしても我らの首を欲すると言うのなら、それに抗う術はない。好きにするがよい。だがこの玉手箱には、それだけの価値があると妾は確信しておる」

 

「フン…………」

 

 浦島は箱を見つめます。見た目は黒い漆塗りの単なる箱で、それに赤い紐がかけられ開かないようになっています。随分と年季が入っているようですが、特に価値があるようには思えません。

 ですが浦島は、その箱を取り上げました。

 

「……よかろう」

 

「おお……! 感謝するぞ、浦島よ」

 

「勘違いするな。この古ぼけた箱に価値を見出したのではない。我にとっては勝ちこそが価値あるもの。その証明としてこの玉手箱とやらを受け取ってやるまでよ」

 

「それでも構わぬ。首が繋がっただけでも十分よ」

 

 乙姫は折れた槍と敗者の矜持を杖にして、震える足で何とか立ち上がります。情けをかけられ生き延びた、とも言える有様で、地に尻をつき続けるのはそのプライドが許しません。

 

「さて――――亀よ! いるのであろう!」

 

 ダメージが未だ残る身体で急に大声を出したため、ゲホゲホと咳き込み、蛸がそれを支えます。その咳が止むと同時に、海亀がその姿を現しました。

 

「御前に、姫様」

 

「うむ。浦島を陸まで送り届けるのだ。丁重にな」

 

「ご命令、しかと承りました」

 

 来た時と同じように、亀の背中に浦島が乗ります。そして亀の姿が消え、竜宮城に再び静寂が戻ってきました。

 

「姫様……」

 

「そんな顔をするな蛸よ。妾は確かに負けた。だが所詮は一度負けただけに過ぎず、負けた者が負け続けねばならぬ道理もない」

 

 乙姫はボロボロの身体で、それでも瞳に力を失う事なく、にやりと三日月のような笑みを浮かべてみせました。

 

「お主は覇王だ、浦島よ。ゆえにこそ、最後に勝つのは妾なのだ」

 

 

◇ ◇ ◇ ◇

 

 

「では私めはこれにて」

 

「うむ、ご苦労」

 

 亀は浦島を砂浜に送り届けると姿を消します。どうせなら城まで送ればいいのに、と思ったかどうかは定かではありませんが、浦島は特に気にする事もなくのしのしと玉手箱片手に歩き始めました。

 

「む……?」

 

 ですが奇妙です。周囲の様子が随分変わっていますし、行き交う人々は一人たりとも知る顔が存在しません。頭の回る脳筋は首を捻りながらも、脳筋特有の単純さを発揮して、とりあえず城につけば何とかなるかと考え歩みを進めました。

 

「なに……?」

 

 そして再度首を捻る事になりました。城の近くまで来ているはずなのに、その姿は影も形も見えなかったからです。妖術の類かとも思いましたが、鍛え抜かれた浦島の感覚はこれが紛れもない現実だと告げています。

 

 となれば浦島には打つ手がありません。あっという間に思考の袋小路に追い込まれた浦島は、ならばとばかりに通行人をひっ捕らえました。

 

「おい」

 

「ひっ、な、何ですかい?」

 

 運のない通行人Aはあからさまに怯えています。無理もないでしょう、雲を衝くような大男にいきなり壁ドンされ、あまつさえ壁には罅まで入っているのですから。しかし浦島は、そんな通行人Aの様子に頓着する事なく質問をぶつけました。

 

「あそこに城があったはずだが、どうしたのか知らぬか」

 

「し、城? 俺は生まれてこの方ここで暮らしてますが、あそこにそんなもんがあった事なんざ一度たりともありませんぜ」

 

 怯えている割に流暢に喋る通行人Aは、浦島の目をもってしても嘘をついているようには見えません。であるならば、ほんの数日前までそびえ立っていた城は、一体どこに行ってしまったというのでしょうか。

 

「ふむ……ならば、浦島太郎という名に覚えはあるか」

 

「浦島太郎? …………どっかで聞いたような……?」

 

「誠か」

 

 浦島がずずずいっと顔を近づけます。本人に悪気は全くないのですが、いかんせん顔が顔なので凄まじい迫力です。否応なしに身の危険を感じ反射的にケツを押さえた通行人Aは、必死に記憶を漁ります。彼の主観では命と貞操がかかっているのでマジで必死です。

 

「お、思い出しました! 確か、三百年前くらい前のこの辺の王様が、そんな名前だったはずです!」

 

「三百年、だと?」

 

「ひぃっ! ひょ、ひょっとしたら、もっと前かもしれやせんすみません!

 た、食べないで下さい!」

 

「食べぬ」

 

 これは一体如何なることかと浦島は考えます。しかし全く分からなかったので脳筋的解決法としてコンマ5秒で思考を放棄し、質問を続けました。通行人A的には質問はすでに尋問に変わっています。拷問になるのももうすぐでしょう。

 

「その王の国はどうなった」

 

「え、えーっと……た、確か……」

 

「確か?」

 

「ひぅ! た、確か、ある日突然王様がいなくなって、部下たちが領土を割って、最後はバラバラに分裂して滅んだとか聞いた事があります!!」

 

「むぅ」

 

 通行人Aの口から出た、己が国の結末に思わず納得します。もし仮に浦島が国から突然消えたのであれば、まさにそうなっていたはずだからです。

 

 なぜなら浦島の配下もまた強者にして覇気に満ちる者たち。全員という訳ではありませんが、浦島はその多くを打ち倒し配下にして来たのです。浦島という頭が消えればどうなるか、それは考えるまでもない事でした。

 

 しかし信用するかどうかはまた別の話です。この青色LEDより青くなり、スマホのバイブ機能よりも震えている通行人Aの話が正しいのならば、今は浦島の時代よりも三百年も未来であるという事になります。いかな妖術であれ、そんな大それた事が出来るとは思えません。

 

 それでもこの通行人Aは嘘をついているようには見えず、何より見知った地形であるのに城がないという物証も存在します。これ以上はどうしようもないと判断した浦島は、通行人Aの肩に優しく手を置き言いました。

 

「大儀だった」

 

 俺は死ぬのか。

 通行人Aは顔面を青から白に変化させながら、遠のく意識の中でそんな事を考えつつ、浦島の逞しい胸の中へと倒れ込んだのでした。

 

 

◇ ◇ ◇ ◇

 

 

「うーむ…………」

 

 あれから浦島は、道行く者どもを片っ端から捕まえ、質問をしていきました。結果は同じ。皆が皆、哀れなる通行人Aと全く同じ答えしか持ち合わせていなかったのです。

 

 さすがに途方に暮れた浦島は、気が付くと海を一望できる丘の上へと来ていました。昔から何かあるとよくここに足を運びました。どうやら無意識に動いていたようです。

 

「む……」

 

 浦島の瞳が捉えたのは、片手に掴んだままだった玉手箱です。浦島はそれをとっくりと見ると、箱を封じている赤い紐におもむろに手をかけました。

 

 

◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 時は少々巻き戻り、浦島が消えた竜宮城へと舞台を移します。そこでは蛸が乙姫へと問いを投げかけていました。

 

『姫様、姫様が最後に勝つというのは、いかなる意味なのでしょうか?』

 

 完膚なきまでに負けたはずなのに、それでもなお勝利を確信する乙姫が不思議でならなかったのです。長い脚を互いに絡ませながら、頭を物理的に絞っています。

 

『理由は三つ。一つはこの竜宮城だ』

 

『竜宮城?』

 

『いかにも。この竜宮城の機能を用いて、浦島めを未来へと送った。奴は三日三晩ここにいたから、概ね三から四百年ほどは跳んでいるはずだ』

 

『なんと……』

 

 絶句する蛸。無理もありません、蛸はこの竜宮城にそのような機能があるなど、露ほども知らなかったのですから。

 

『……そのような真似をせずとも、海水を引き入れ溺れさせる事が出来れば話は早かったのだがな』

 

『やはり、あの王族どもは殺さずにおいた方が良かったのでしょうか』

 

『よせよせ、今更言っても詮無き事よ』

 

 この竜宮城を造り上げたのは乙姫たちではありません。乙姫たちは竜宮城に住んでいた製作者たちを鏖殺(おうさつ)し、乗っ取ったにすぎないのです。だからこそ知らない機能があるし、存在を予測しても使えない機能もあるのです。

 

『話を戻すぞ。理由の二つめ、それは奴が覇王であるという事よ』

 

『それは一体……』

 

『単純な事だ。奴は玉手箱を開ける、必ずな』

 

『なんと!?』

 

 蛸は再び驚愕します。玉手箱を開けるという事は、それほどまでの衝撃をもたらす事なのです。イスラム教徒が九月に国元でトンカツ専門店を開く、くらいの衝撃かもしれません。

 

『奴は玉手箱を、妾が渡した罠ではないかと疑うだろう』

 

『罠とするなら、さすがにあからさまに過ぎるかと存じますが……』

 

『それでもなお、だ。そして奴はその上で、罠と分かっていても食い破るという選択肢を取る、取らざるを得ない。それが覇王というものだからだ』

 

『ゆえに浦島は、玉手箱を開ける……』

 

『そうだ。玉手箱を開ければどうなるか、それは言うまでもあるまい』

 

『おお……』

 

 蛸は興奮のあまり、ぐにょんぐにょんとのたうち体色を様々に変化させます。何故クトゥルフ神話が生まれたのか、とてもよく分かる光景です。

 

『それで姫様、三つめはいかなる策なのでしょうか』

 

『うむ、それはな――――』

 

 

◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 浦島が玉手箱を開けた瞬間、白い煙が辺り一面に立ち込めます。やはり罠かと身構えますが、何も起こる様子がありません。そうこうしているうちに、煙は潮風に吹き散らされ、視界が戻ってきました。

 

「むぅ……!?」

 

 ですがおかしな事に気づきます。視界が若干白くなっているのです。まだ煙が晴れ切れていないのかと腕を振り風を起こそうとしますが、そこで決定的な異変に気付きました。

 

「な」

 

 なんと、丸太のように太かったはずの腕がしぼんでいるのです。細く皺だらけのそれは、まるで枯れ木のようでありました。

 

「……まさか!?」

 

 脚もまた同じように細くしぼみ、体毛は色素が抜け白くなっています。驚くべき事に信じられない事に、あの一瞬で老化してしまったのです。視界が未だに白いのは白内障のためでしょうか。

 

 さしもの浦島もこれには呆然です。とその時、その思考の空白を狙ったかのように、後ろから声がかけられました。

 

「浦島様」

 

「……うぬは」

 

「やはり玉手箱を開けてしまわれましたか。乙姫様の読み通りでしたな」

 

 そこにいたのは亀でした。まるで出待ちをしていたかのようなタイミングですがそれも当然、出待ちもとい監視をしていたのですから。

 

「読み、だと?」

 

「いかにも。竜宮城の機能により浦島様を未来に送り、玉手箱を開けさせる」

 

 にたりと亀は嗤います。表情筋もないのにどうやっているのかは謎です。

 

「そして年老いた浦島様を、この私が仕留める。ああ、まさに完璧な策略です。浦島様、アナタは乙姫様の掌の上で踊っていたにすぎないのですよ」

 

「たわけた事を……うぬ如きがこの我に敵うとでも思うたか」

 

「ええ、ええ、本来ならば無論不可能でしょうとも。ですが今なら話は別。玉手箱の力によって老いさらばえた今の浦島様なら、私ですら仕留める事が出来るのですよ」

 

 そう言うと亀は、前足のヒレを硬質化させ、刃と化しました。

 

「強さと一口に言っても様々。私は浦島様を正面から打倒する強さはありませぬが、遠くから監視し弱ったところを討ち取る程度の強さならば持っているのです。恩を仇で返す形になってしまうのは心苦しくありますが、これも一重に乙姫様の御為。せめて苦しまないように一撃のもとに送って差し上げましょう」

 

 ぺらぺらと上機嫌に口を回す亀を、浦島は冷ややかに見やります。コォオと呼吸を整え、ぽつりと言葉をこぼしました。

 

「……うぬは話が長いな」

 

「え?」

 

 浦島はいかにも自然な動きでするりと亀に近づきます。これぞ歩法の極み、縮地です。超常の力に頼らぬそれは亀にとっては感知しづらく、また超常の力を用いぬゆえに、衰えた浦島でも扱えるのです。

 

 かろうじて浦島の動きを瞳に捉えた亀はしかし、焦る事はありません。いくら近づかれようが、今の浦島の腕力は見る影もなく衰えています。それでは亀の甲羅を抜いてダメージを与える事など出来ません。頭さえ守り即死を防ぎさえすれば、カウンターを決めて勝つ事が可能です。

 

 果たして浦島が放った右腕による攻撃は甲羅に阻まれ、亀を傷付ける事はありませんでした。

 

「(とったッ!!)」

 

 その隙を逃さず、亀は硬質化したヒレを振り抜かんとします。今の浦島にそれを防ぐ術はありません。その鋭いヒレには、浦島の首を刎ねてあまりある威力が乗っているのです。

 

「え……?」

 

 しかし次の瞬間、血を吐き散らしていたのは亀の方でした。亀には何が起こったのか分かりません。身体から溢れ出る血も忘れ、呆然としてしまいました。

 

 ふと下を見ると、浦島の右手の上に左手が重ねられています。どうやら右手の上から左手による打撃を重ねたようです。しかし甲羅そのものには依然傷はついていません。一体どういう事なのかと考える(いとま)もなく、亀は再び血を吐きました。

 

「浸透勁と鎧通しよ。勝ち誇るのなら、死体相手にしておくのだったな」

 

 その言葉を最期に、亀の意識は永遠に絶たれました。浦島の手刀が亀の首を斬り飛ばしたからです。

 

「ふぅ……」

 

 浦島は次の刺客を警戒し、しばらく周囲を見回しますが、何の気配もない事を悟って一息つきます。

 

「強さは様々、か。まさにその通りよ」

 

 浦島は亀の言葉に同意します。かく言う自分自身も、若かりし頃は強さを求めて様々な事に手を出してきたからです。縮地や浸透勁、鎧通しはその過程で学んだものです。

 

 ちなみにここで言う浸透勁とは、気を対象に流し込む事で内部破壊を引き起こす技術の事であり、中国武術のそれとはまた異なります。鎧通しとはその名の通り、鎧の上から特殊な方法で打撃を加える事によって、心臓等に直接ダメージを与える技術です。

 どちらもその性質上、筋骨隆々たる偉丈夫となってからは使う機会がありませんでしたが、おかげで今日こうして命を拾う事が出来たのですから、決して無駄ではなかったと言えるでしょう。

 

「…………腹が減ったな」

 

 気が抜けると同時に空腹を自覚します。思えば今日一日、何も食べていません。浦島の目が、血を撒き散らして倒れ伏す亀の死体に向けられました。

 

 

◇ ◇ ◇ ◇

 

 

「ふぅ……」

 

 火を焚き亀の甲羅を鉄板代わりにその肉を貪り食らうと、浦島はようやく人心地つきました。手を、見る影もなく老いてしまった手を見つめ、考えます。

 

「……ク」

 

 そうしていると、浦島の口から音がこぼれ落ちました。

 

「クックック」

 

 音は次第に大きくなり、ついには笑い声となります。

 

「クハハハハハハ!!」

 

 浦島はついに上を向き呵々大笑します。刺客を退けたとはいえ、配下も城も国も若さも全て失った事により、正気を失ってしまったのでしょうか?

 

「我は生きておるぞ!! 乙姫の策略、我が命を奪うに能わずか!!」

 

 いいえ、浦島はそんなにヤワではありません。全てを失った? 確かに失ったものは多くありますが、結局死なず生きております。ならば浦島は覇王なのです。何一つとして変わる事などありません。

 浦島は高らかに、獅子の如く吼えました。

 

「乙姫、敗れたり!!」

 

 陽が沈み始めた夕暮れの海に向け、気迫に満ちた浦島の声が響き渡ります。

 

「我が勝利、覇道と共にあり!!」

 

 浦島は早くもこの先の事に想いを馳せます。ここが三百年先の時代だというのなら、新たな強者が生まれているはず。覇王としては意識せざるを得ません。

 いえその前に、老いてしまったこの身体です。老化させる方法があるのなら、若返らせる方法だってあるかもしれません。まずはそれを探してみるのもいいでしょう。

 

 そして浦島は海に背を向け、歩き始めました。

 老いてなお変わらぬ、覇王の気風と共に。

 




 めでたしめでたし。


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