誓いは彼女の為に    作:ユリシー

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……申し訳ございませんでした。

私の生活環境が少し変わり、
長らく更新できなかったことにお詫び申し上げます。

これから、少しずつ投稿していこうと思っております。
どうかこれからもこの作品をよろしくお願い致します。


三話 対面

 ドアを開けた先にいたのは、一人の男性―――提督のような―――だった。

 海軍第二種軍装を着用し、執務用だろう机に座っていたその人物は、

 入室した私を見て、徐に立ち上がった。

 

 そして、私の目の前に来て、そこで立ち止まった。

 

 ……背が高い。

 私より十五cm程は大きいだろう。

 その所為で、少し緊張が走る。

 

 やがて目の前の彼が口を開いて、こう言った。

 

 「初めまして。そして、ようこそ。

  ラバウル第一鎮守府へ。」

 

 初めは少しだけ険のある顔だったが、今ではすっかり柔和な笑みを浮かべていた。

 少しだけ、安堵する。

 

 「私は『榊原 祐翔(さかきばら ゆうと)』という者だ。

  海軍少将を務めている。

  また、この鎮守府を預かる提督でもある。」

 

 ……?

 どうして自分の名前を言ったのだろう?

 前の提督は言っていなかったが、それが普通ではないのだろうか。

 

 私の疑問は解消されないままだったが、

 少し間をおいて、彼―――榊原提督―――が再び口を開く。

 

 「一つ、聞きたいことが。

  君にとって、提督とは、どのような存在なのだろうか?」

 

 ―――どのような存在……

 少しだけ考えてみる。

 

 思い出すのは、呉での提督。

 思えば彼は、非常に出世欲が深い人間だった。

 そして私たち艦娘は、その出世のための道具だった。

 

 出世の為ならば……

 私たちに愛想をふりまく。

 私たちに優しく接する。

 私たちに褒美を与える。

 

 しかし、少しでも私たちが彼の満足のいく結果を出せなかった場合は……

 私たちを虐げる。

 私たちを罵る。

 私たちを酷使する。

 

 「私にとって、提督とは……

  上手く言えませんが、ただ一つだけ言えることが。

  それは、『上官』であることです。」

 

 私がまだ『艦』だった頃。

 『後方』で「死んで来い」、と命令する上官がいたことを覚えている。

 

 危険な戦場へ兵たちを行かせ、上官である彼らはそこへは行かず。

 ただ机上の空論で練り上げた作戦に従わせ、兵たちを殺していた上官がいたことを。

 

 「今の私は、そのような感想しか言えません。

  少なくとも、私が呉で見た提督は、それ以上の存在ではありません。」

 

 気が付けば、自分は握り拳に力を強く込めていた。

 

 ……過去のことは、やはり忘れられない。

 呉での出来事、

 そして、『艦』の時に見た様々な光景。

 

 ―――自分も、その命令で―――

 

 「君は、強いな。

  しかし、それ故に、脆い。」

 

 ふと、目の前にいる提督が口を開く。

 

 俯きながら考えていた瑞鶴が顔を上げ、

 その提督の顔を見る。

 

 ―――悲しんでいる?

 

 彼は、沈痛な面持ちだった。

 顔に浮かべているその表情は、瑞鶴にとっては意外だった。

 

 提督という者が、こんな表情をするのか、そしてしていただろうか。

 自分のこと以外で、こんなにも悲しそうにするものなのだろうか。

 

 そもそも、たった二度の発言で、それもあの内容で、

 どうしてそんな表情を。

 

 『貴女が考える提督よりも、ずっと……』

 

 ついさっき、翔鶴姉が話していた事を思い出す。

 

 ―――『軍人らしくない』―――

 

 確かに、そうなのかもしれない。

 それも、将官クラスの軍人が、だ。

 

 「ありがとう。君の気持ちは伝わった。

  君はそれを話してくれた。

  ならば自分も、少しだけ、自分の事を話そう。」

 

 一拍置いて、提督が口を開く。

 

 「私は、君たちの『司令官』でありたいと思っている。

  決して、『上官』でも『上司』でもない。」

 

 司令官……?

 上官でも上司でもなく?

 

 「まだ、その意味が分からなくてもいい。

  ただこれが、自分の所信表明だ。」

 

 戸惑う表情を見せた私を見て、なのか。

 提督はもう一つ言葉を添えた。

 

 すると、ふと提督が手を差し出してきた。

 

 「まずは、握手をしよう。

  友好関係というのは、これからだろう?」

 

 どうにも分からない。

 彼が何を望んでいて、何を得たいのかが。

 自分が知っている提督とは違う、ということだけは分かるが。

 

 ただ、何となく。

 あくまで直感だが、彼は手を取るべき人だと思った。

 

 もし彼が『司令官』という『上官』でも『上司』でもない存在ならば……

 

 「私は、貴方に少しだけ期待します。

  ですがもし、私の期待にそぐわない人物であるなら……」

 

 ―――貴方を爆撃しますから―――

 

 言おうとして、言わなかった。

 初対面の相手、しかも提督相手だからだ。

 

 まあ、気まぐれもあるが。

 翔鶴姉が話す姿はとても楽しそうだったから。

 翔鶴姉がそこまで楽しそうだった理由に興味があるから。

 

 「フフッ。

  君は中々面白い者のようだ。」

 

 その言葉を聴いて、私は彼の手を握る。

 

 「翔鶴型航空母艦二番艦、瑞鶴。

  只今ラバウル第一鎮守府に着任しました。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回は、少しだけ戦闘シーンを入れたいと思っています。

私はあまり戦闘シーンを書いたことがないので、
そこはどうかご容赦ください。(~_~;)
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