機動戦士オートマタ   作:一種の信者

12 / 28
12話 人形達の休日

 

 

スリープ状態からの再起動で目を覚まし伸びをする。

生身の体じゃないから意味があるかは知らないけど機能チェックも兼ねてるから無駄じゃないと思う。

 

「ポッド、おはよう」

 

『返答;おはようございます。9S』

 

ポッドとの挨拶を終えて僕は2Bのベッドに目を向ける。

既に、起床したのかベッドの上は空だった。

 

「2Bたら、起こしてくれても良かったのに」

 

『ヨルハ2号B型は、9Sより30分程早く起床。寝ている9Sを確認して外に出た』

 

起こしてくれても良かったのにな。

せっかく、ガルマが僕達に休日をくれたのに。

 

僕達の休日が二日酔いのジオン兵の依頼に潰れた事を知ったガルマが僕達に改めて休日を言い渡した。

2Bはたぶん釣りにでも行ったんだろ。

大雑把でぶっきらぼうの仕事人間(アンドロイドだけど)の2Bに趣味と言える物は少ない。そんな中、釣りだけは任務中だろうが何だろうが欠かさない。

 

僕も、2Bの釣りに同行しようかなとも思ったけど、せっかくの休日だし新しく生まれ変わったレジスタンスキャンプジオン軍基地の探索をしよう。

本当はずっと前から探索したかったんだけど、ヨルハ計画を知った負い目と仕事が重なった事で出来なかったけどこの機会に思う存分探索するぞ。

スキャナー型の悪いクセだな。

 

 

 

 

 

 

 

先ず、最初に来たのはトレーニングルームだ。

ジオン兵が体を鍛える為に作られた部屋だ。

ランニングマシンやダンベル等があり、主に歩兵部隊の人や体を動かしてリフレッシュしたい科学者などが使用している。

本来、アンドロイドがトレーニングをしても意味がないのだが、鍛えるジオン兵とのコミニケーションを行うべく多数のアンドロイドも使用している。

その所為で、一部のマシンが壊れたり、アンドロイド達の関節の減りが酷いなどメンテを行うアンドロイド達が怒っていたが。

 

「ん?9Sじゃないか。君も鍛えに来たのか?」

 

「あ、ガトー大尉」

 

さっきまでトレーニングをしていたのかガトー大尉が汗だくで話しかけてきた。

僕は横に首を振る。

 

「いえ、休日を貰ったんでこの機会に基地を探索しようと」

 

「そうか、気が向いたらトレーニングをするといい。アンドロイドにトレーニングは必要ないと言うが戦闘時での体の動かし方などで参考に出来る部分がある」

 

そう言い終えるとガトー大尉はトレーニングに戻る。

その場には、ガトー大尉の汗の匂いが残り、僕の鼻に匂いが届く。

僕は、人間の汗の匂いは好きだ。人間と一緒にいる実感を得られるからだ。

アンドロイド達の中にも汗の匂いが好きな者は多く、トレーニングルームの待合所ではトレーニングするジオン兵の観察をするアンドロイドが椅子に座って凝視している。

その事をジオン兵に話すと必ずと言っていい程、苦笑いする。解せぬ。

 

 

 

 

 

 

 

次は、基地内にあるグラウンドだ。

モビルスーツの訓練やアンドロイド達との連携訓練をやることが多いが現在は別の事が起きている。

 

グラウンドの周囲には多数のアンドロイドやジオン兵が注目し声援を送る。

グラウンド内には複数の人影が丸い物体を蹴りあいゴールへと入れようとする。

そう、サッカーだ。

 

転がせる球体があれば何処でも出来るスポーツだ。旧世界で人気だったがある程度のスペースや騒いで機械生命体に見つかる危険がある事からアンドロイド達も出来なかったスポーツだ。

ジオン側にもあまり資料がない事でルールも曖昧で基本手を使わない事だけとゴールキーパー以外ボールに群がる子供仕様だがジオンにもアンドロイドにも人気があった。

ただ、ジオン兵の中には「地球主義的なスポーツだ」と言って毛嫌いしてる人も多い。

 

基本的に、ジオン兵同士のチームやアンドロイド同士のチームで試合が行われている。っと言うのもジオン兵VSアンドロイドでは、アンドロイドがボールを譲ったりタックルもスライディングタックルもしない為、勝負は見えておりゲームにならない。完全に接待プレーだ。

 

それなら、パスカルの村の機械生命体の方がまだゲームになる。

最も、機械生命体にスライディングタックルを仕掛けたジオン兵が足の骨を折りタンカで運ばれたりもしたが。

2Bや僕も参加した事があり、バンカーでも人気が高い。ただ、2Bがバランスブレイカー過ぎて相手するチームは他の何人かB型を入れないと勝負にならないレベルだ。

 

 

 

 

 

 

 

次は、遊戯室。ぶっちゃけテントだけど此処でもジオン兵とアンドロイドがゲームをしている。

トランプゲームを始めとしたカードゲームや麻雀と呼ばれる卓ゲームも人気だ。

今も、ジオン兵二人とアンドロイドが数人でゲームをしていた。

ジェイクさんとガースキーさんも居る。

 

「キングの3カード。中々いいせんじぁねえか?」

 

ジェイクの手札のトランプを公開しアンドロイド達も驚くが、

 

「甘いな、ロイヤルストレートフラッシュ!俺の勝ちだ」

 

「なにっ!?」

 

ガースキーさんの手持ちのカードを公開しジェイクが驚く。

凄いな、ロイヤルストレートフラッシュ…ん?

そこで僕は、気付いた。ガースキーさんのポケットからトランプと同じ材質をした物が少し出ていた事を。

僕の視線に気付いたのかガースキーさんが人差し指を口元に持っていく。そういえばイカサマはバレなきゃイカサマにはならないとアーカイブで読んだ事がある。

 

「おい、ガースキー、本当にイカサマしてないだろうな?ロイヤルストレートこれで5回連続だぞ」

 

「今日は運が良いって事だろ?」

 

ガースキーさんの言葉にジェイクさんが悔しそうな顔をする。

それを見届けると僕はその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

お次は、食堂。

僕達、アンドロイドは水からエネルギーを造れるが人間であるジオン兵は食べなきゃ死ぬ。

基本的に、アンドロイドが来る必要はない場所ではあるが、人間と談笑したいアンドロイドは此処に来て暇そうなジオン兵を見つけて喋り合う。

後、人間のように食事をするアンドロイドにもうってつけの場所でもある。

 

「おや、9S君か。君も食事かね?」

 

丁度、メニューを選んでいたダグラス大佐が僕を見つけた。

僕が、「そうです」と頷くとダグラス大佐は「なら一緒に食べないかね?」と誘ってくれた。

愛すべき人間に同伴を求められた僕は「はい!」と頷き、食券販売機のメニューを見る。

 

鹿肉とイノシシ肉、後幾つかの魚肉以外はサイド3から運ばれており品数は豊富とはいえない。

噂ではパスカルの村で野菜を育てる計画があると聞く。太陽が一日中照らす昼の国には農業は合ってるだろう。問題は、人間に敵対的な機械生命体が畑を壊す可能性ぐらいだろか。

色々と迷ったけど僕はハンバーグステーキにしよう。

 

「はいよ、野菜炒めとハンバーグステーキお待ち!おお、ヨルハの人かい。俺の料理食ってくれてありがとよ」

 

因みに、料理を作ってるのは料理研究をしていたレジスタンスのアンドロイドだ。

人間が地球に戻って来た時、戦う事しか知らない自分達アンドロイドがどういった役割が与えられるか不安がっていたが、メイが「料理人になっちゃえば?」と言って料理に関するチップを渡した。

メイ曰く、アンドロイドの強みは学習能力だと言う。「必要なデータをインストールする分、人間より早く物事を覚えられるの。半面、工夫が苦手になるけど」だそうだ。

料理人となったアンドロイドは日々、皆の胃袋を満たしてくれるが、料理人になったばかりの頃は「目指せ、餃子一日百万個!」と作りまくりガルマの雷が落ちた。

 

ハンバーグステーキ美味しかったです。

 

 

 

 

 

 

 

次に来たのは格納庫だ。

ジオン軍の主力、モビルスーツの保管場所であり整備場所だ。

現在、モビルスーツの整備には人間とアンドロイドが行っている。

アンドロイドは人間の手伝いの為、ジオンとしては、人員不足の為だ。

ジオン本国が次々と新型モビルスーツの開発に現場の整備士達はヒイコラしており、整備士が欠けていないにも関わらず人手不足に陥った。

 

「ええと、旧ザクにザクⅡF型とJ型、ザクマリンにザクキャノン、ザクデザートタイプそして先日送られてきた可変モビルスーツ、ザク・スピードか。あれってやっぱり僕達の飛行ユニットを参考にしたのかな?」

 

僕の視線は戦闘機の姿をしたザクに送る。

薄い青と緑の塗装がされた機体で何人かの整備士が集まっていた。

それにしても、ザクだけでもこれだけあるからなぁ、凡庸性が高いのは知ってるけど、整備士もてんてこ舞いになる訳だ。

 

それから、グフとドムに戦闘機のドップ及び、爆撃機兼モビルスーツ運びのドダイに偵察機のルッグン。やたら高い位置にある砲塔の戦車マゼラアタック。

色々、欠陥の多い戦車らしいけど機械生命体との戦闘では十分の戦果も上げている。

最後に、ギニアスさんが開発したアプサラス。

実験機で武装が取り付けられていないけどあんなデカ物が飛んだのはびっくりしたな。それに、パイロットがあのアイナさんだなんて本当に驚いたよ。

武装の無い物を送られても困るってガルマが愚痴ってたけど。

 

ん?32Sとその保護者が整備を手伝っている。

ちょっと行ってみるか。

 

「やあ、32S。君達も整備の手伝い?」

 

「ん?ああ9Sか。まあね」

 

同じスキャナー型からか32Sとはアッサリ友達となった。

 

「父さんがね、僕を出来るだけ戦場に出さない為に整備士の仕事をさせているんだ」

 

32Sの言葉に僕は父さんと呼ばれたアンドロイドを見る。

整備士のアンドロイドに怒られながらも不器用に機体を整備する。

恐らく、任務の時に自分が死んでも残った32Sが働けるようにしてるんだろう。

チラッと32Sの顔を見ると恐らく気付いているだろう。

僕は、邪魔にならないようそっと、その場を離れる。

 

 

 

 

 

 

 

最後に僕は、メイの居る研究室に入る。

此処では、アンドロイド用の新兵器や論理ウイルスの研究など行われている。

研究室に入った僕は周囲を見回す。

ジオンの科学者や助手のアンドロイドが色々と動き回る。

 

「あ、ナインズ。いらっしゃい」

 

僕を見つけたメイが手を振りながら近づいてくる。

ただ、その横にはあまり居てほしくない人が居た。

 

「やあ、2Bとは別行動かい?9S」

 

「珍しいですね。ジャッカスさんが砂漠にいないのが」

 

メイの隣にアンドロイドの問題児兼爆弾魔のジャッカスさんが居る。

ジャッカスさんとよくいる人曰く、人間と行動を共にするようになって大分大人しくなったそうだが、偶に基地で造った爆弾を爆発させてガルマの悩みの種になってるのを見るととてもそうとは思えない。

 

「ああ、今ちょっとメイと面白い物を作っていてな」

 

「勢いで作っちゃったけど、需要あるのかな?これ」

 

メイがポケットからチップを取り出す。

 

「そのチップの中身はなんですか?」

 

正直、あまり聞きたい事でもなかったけど、S型の好奇心が僕の口を操る。

その言葉にジャッカスさんが笑みを浮かべるのを見て聞くんじゃなかったなと思った。

 

「中身はな、人間の病気だ」

 

「病気?」

 

「厳密に言うと病気を体験できるチップだね」

 

その言葉に僕の好奇心が刺激される。

人間のように病気になれる。

 

「このチップにはな、古今東西あらゆる人間が経験した病気のデータが入っているんだ」

 

「まぁ、幾つかには分けてるけどね。後、酷い物には時間制限を設けてないと。下手するとアンドロイドの精神が壊れちゃう可能性も高いし。それから病気と関係ない刺激も入れちゃったしな」

 

笑顔のジャッカスさんに心配そうな表情のメイ。

幾つかのサンプルを僕に見せてくれた。

 

「どうだ?9S。試してみる気はないか」

 

ジャッカスさんの誘いに僕は…僕は。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日の釣りはここまでにしとこうか?ポッド」

 

『了解』

 

せっかく貰った休日を釣りで過ごしちゃったな。ナインズも来れば良かったのに。

私以外にも釣りをしていたジオン兵やアンドロイドも居たが何時の間にか私だけになっていた。

成果は上々、食べられる魚は料理人のアンドロイドに持っていって機械生命体の魚はメイに渡しておこう。

 

魚を全て渡した私は真っ直ぐに部屋へと戻る。

中にはナインズが自分のベッドに座っている。

 

「9S、ただいま」

 

私はナインズに「ただいま」と言うがナインズは黙ったままだ。

おかしい、何時もだったら「お帰りなさい、2B」と子犬のようにじゃれついてくるのに。

 

「今日はね、釣りをしていて…」

 

寂しさを感じた私は、ナインズと会話しようと色々話題を振ろうとするけど、一日中釣りをしていた私にそこまでの話のネタなんてない。

せいぜい、釣りをしていたジオン兵が足を滑らせて川に落ち、それを助けようとしたアンドロイドが二次被害を受けたくらいだ。

何より、私はナインズのようにお喋りではない。

 

それから、暫く話し続けるがナインズは微動だにしない。もしかしてスリープ状態に入ってるのかとも思ったがそれだったらベッドに横になってる筈だ。

私の心に急激な不安が襲ってきた。

ナインズは私がE型だと知っている。ナインズは今迄、多くの9Sを殺した事を知っている。でもナインズはそんな私と一緒に居たいと言ってくれた。

 

それなのに、

 

「9S、如何して私を無視するの!?お願い何か言って、9S!」

 

不安感から私はナインズの肩を揺すり自分の存在をアピールする。

けど、ナインズは僅かに首を動かすだけだった。

 

「……ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい」

 

ナインズに嫌われた。

私の頭の中にその考えが浮かんだ瞬間、世界が終わったような感覚がし、私の口からは「ごめんなさい」という言葉しかでない。

まともな思考が出来ない。

頭の中では、如何したらナインズが私に喋ってくれるか?如何したらナインズの機嫌がよくなるのか?如何したらナインズが私を好きになってくれるか?

そんな思考しか私には出来ない。

 

私は今迄、ナインズに甘えてきたんだ。私に好意を示すナインズに私は応える事もせず、ずっとナインズと行動を共にしてきた。

最初は任務の為、秘密を知りすぎた彼を始末する為に、でも彼と行動を共にする内に私は彼に惹かれた。

もう殺す必要もない今は、彼と行動するのがとても楽しい。

私は、もう彼が居ないと生きていけない。私の存在意義は彼と共に居る事だ!

 

「ナインズ!」

 

辛抱たまらなくなった私は彼の愛称を叫び抱き締める。

心の中で「無視しないで!」と叫びながら。

 

「アグッ!」

 

抱き締めたナインズの口から苦しそうな声が漏れた。そんなに力は入れてないのに。

 

「い…痛い…」

 

へ?

 

 

 

 

その後、ナインズはたどたどしくもゆっくりと事情を説明した。

曰く、メイとジャッカスの作った「病気になる」チップを借り容量の低さから沢山付けた。

病気の内容は、口内炎と重度の虫歯、筋肉痛などで口の中が激痛で喋れず、体も激痛で動かせずにいたところを私が帰って来たそうだ。

ナインズらしいといえばナインズらしいと私は溜息を漏らす。

同時に、ナインズに嫌われたのではないと分かりホッとした。

 

「と…ところで…2B」

 

ん?

 

「ぼ…僕の…事を…ナインズ…て」

 

「……言った」

 

少し考えた私はその事を認めた。

痛みで辛い筈なのにナインズは嬉しそうだった。

 

それにしても、人間の病気のチップか。

S型の9Sが興味が惹かれるのも分かる。

 

「……」

 

 

 

 

 

 

「ああ、えらい目に合った。人間の病気が此処まで厄介なんてな」

 

病気の設定時間が過ぎてやっと痛みから解放された事で一息つく。

人間の病気の貴重な体験ともいえるけど、地味にキツかった。

それにしても、2Bが可愛かったな。

口内炎と虫歯の所為で碌に喋れない僕にナインズって言ってくれたんだもん。それを見れただけでも僕は満足だ。

チラッと2Bの方を見ると壁を背にして立ったままもたれかかってる。ベッドに座ればいいのに。

 

「さて、そろそろチップを返しに行くか」

 

僕は借り物のチップを整理し持っていこうとした。

ちゃんとあるかチェックするが、

 

「あれ、一つ足りない?」

 

チップが一つ足りない事に気付いた僕は床や自分のベッドなど探す。

ジャッカスさんの事だから気にしないと思うが借りを作るのが嫌で探すが見つからない。

 

「ポッド、チップが一つ行方不明なんだけど知らない?」

 

『報告;チップ内にある病気は「痔」。それも重度の』

 

いや、病気の内容を知りたい訳じゃなくて、何処にあるのか知りたいんだけど…って痔?

そこで、僕は「ずっと立ちっぱなしだった2B」に目線を向ける。

 

「2B、何か僕に言う事ありませんか?」

 

僕の言葉に2Bが顔を横に向ける。

その仕草で僕は確信した。

 

「お尻…痛い」

 

 

 

 

 

 

後日、人間の病気を再現されたチップはアンドロイド達の間で流行りだすが、戦闘中だろうとつける者が現れガルマが禁止令を出すことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~おまけ~

 

 

 

「これどうしようかね」

 

「捨てるのも勿体ないですしね」

 

テントの一角にケン達が開けた段ボールの前に立ち尽くす。

そこへ、丁度9Sが通りかかった。

 

「如何したんですか?僕に手伝える事なら言ってください」

 

何か困ってると判断した9Sがケン達にそう言う。

言われたケン達は、互いの顔を見合わせ苦笑いを浮かべる。

 

「前の戦いで戦死した部下の私物を整理していたんだが、これをどう処分しようかと思ってな」

 

そう言って、ケンが9Sに段ボールの中身の見せる。

段ボールの中は、細長いパッケージに背中の部分にタイトルが書いている。

 

「あの、これってもしかして!?」

 

「旧世紀の映画のDVDだ。あいつかなりの映画好きだったな」

 

段ボールの中には、映画のDVDがぎっしりと入っていた。

ジャンルはゴチャゴチャでホラー物からコメディー物にアニメ映画まであった。

 

「本来なら遺族に送られるんだが、あいつに家族も親戚も居ないし結婚はおろか恋人も居ないらしいからな。かと言って部隊内で形見分けしようにも、俺達の殆どは映画に興味も無いし、欲しい奴は既に持ってるからな」

 

ケン達は、死んだ部下の私物をどうするか悩んでいた。

捨てるのは簡単だったが、それだと死んだ部下が報われないんじゃないかとも考えていた。

だが、ジオン兵の誰も映画のDVDなぞ欲しがらなかった。

「古臭い」「宇宙世紀になって何年経ってると思ってるのか?」「地球主義的だ」

それぞれの理由で誰も貰おうとはしなかった。

如何した物かと悩んでいたケンにガースキーが肩を叩く。

 

「ん?」

 

「隊長、9Sを見て下さいよ」

 

言われた通りに9Sを見ると興味深そうに、物欲しそうに段ボールを見ていた。

更には、周囲に居たアンドロイド達もチラ見しつつ此方の反応を窺っていた。

 

「ふむ…」

 

その様子を見たケンが暫し思考し、ガルマの下へと行く。

そして、ある相談をすると、ガルマも「面白そうだな」と言って了承した。

 

その直ぐ後に、アンドロイド達にある情報が送られた。

ブリーフィングルームで旧世紀の映画の鑑賞会を行うと。

 

 

 

 

 

 

 

 

「最初の映画ならこれはどうだ?」

ロー〇の休日。

「いや、先ずは短編映画で様子見でしょ」

蒸気船ウィ〇ー。

「此処は思い切って人間と機械の対立とか」

ターミネータ〇。

「ダメダメ、時間の大切さを学べる映画の方がいいよ」

ゴーレ〇。

 

「「「それはやめとけ」」」

「……私の時間返して」

 

 

 

 

 




前回が日常だったので休日を。
軍事基地の中なんて解らないのでかなり適当です。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。