西暦11945年7月。
地球侵攻作戦の初期目的を完遂したジオンだったが数に勝る機械生命体の前に戦線が停滞する。
本来なら、超大型機械生命体を除けばモビルスーツの前では他の機械生命体は雑魚も同然である。
しかし、脆弱な補給線に神出鬼没の機械生命体のゲリラに近い戦いの所為で思うように侵攻出来ないジオン。
本来なら、宇宙に置いてる戦力も地上に投入すれば侵攻も可能だろうが、追い詰められた機械生命体が宇宙に出て来ない保証もなく、またアンドロイド達を信用していない一部の上層部の反対により地上への増員が細々としか進まない。
そこでジオン上層部は戦力増強の為に、一見無駄とも思えるプランでも無理矢理採用していく。
そして、そのプランの1つが過去に行われた主力機動兵器の選出トライアルで不採用になった兵器群の投入だった。
「ヨルハ9号S型です」
「ヨルハ2号B型」
「…A2だ」
「ヨルハ4号S型です」
「君達がガルマ大佐から送られた増援か、僕はオリヴァー・マイ。技術中尉だ」
「…モニク・キャデラック。特務大尉よ」
2Bや9S達は現在、大気圏上空にいた。
ガルマが603技術試験隊に協力として4人のアンドロイドをHLVで打ち上げられた。
データ取りならS型の9Sや4Sが手伝えるだろうし、その護衛に2BとA2が同行する形となった。
P1達の試験は引き続きマルティン・プロホノウ艦長がやる手筈になっている。
因みに、4Sは別のヨルハ部隊とチームを組んでいたが工場廃墟の戦いでA2と見事な連携を見せた事からガルマがコンビを組ませた。
6人がコムサイへと移動する。
コムサイに積んでいる兵器を中央アフリカで試験をする予定だ。
「それで、試験する兵器って何ですか?」
「ああ、それはね…」
どのような兵器を試験するのか聞かされていなかった9Sがマイに聞く。
「超弩級戦闘車両だ」
マイが答えようとしたが入り口から薄茶色いジオン軍服を着た男が先に答えた。
「!?」
「YMT-05、モビルタンク。ヒルドルブ、だろ」
「そ、その通りですが貴方は?」
「俺がデメジエール・ソンネン少佐だ。ヒルドルブのパイロットを務める」
その言葉にマイは敬礼し9S達もそれに続く。
「噂のヨルハのアンドロイドか、世話になるぜ」
ソンネンが9S達を連れてコムサイの格納庫に行く。
「うわ~」
「大きいな」
「へへ、どうだ?ヒルドルブは。最高速度110キロ…主砲口径30センチ…モビルタンク。
こいつが量産されりゃ機械生命体共の全滅も夢じゃねえ」
格納されてるヒルドルブを見て、9Sと4Sが凝視する。
緑色の巨大な戦車。既に量産されてるマゼラアタックよりも車高以外はでかい。
まさに、超弩級戦闘車両の名にふさわしい。
「大きい」
「でかいだけのハリボテじゃないといいがな」
「なぁに、地上に着いたらお前達にも見せてやるよ。俺とヒルドルブの活躍をな。そうすりゃ頭の固い上層部も納得するさ!へへへ……うっ!」
突然、ソンネンの手が震えだし、懐から急いで小さなケースを取り出し中の白い粒を飲み込む。
飲み込んだ直後に震えが落ち着き、呼吸も正常になる。
「あ、あの~」
突然の事に2B達は固まり9Sが声をかけようとしたが、
「ドロップだ。いるか?」
ソンネンがケースを揺らし聞く。
これには、9S達も首を横に振るしかなかった。
ヒルドルブの話題も終わった事でモニクがコムサイのブリッジより広い格納庫で作戦の説明を始める。
「ふう、それでは改めて作戦の確認をします!
これよりヒルドルブを搭載したコムサイを地球へと再突入させます。目標は中央アフリカ、キリマンジャロ基地。
中高度から投下されたヒルドルブは、そのまま地上を走行し射撃を行い各フェイズの移行の流れの検証する予定です。
なお、試験にあたっては……」
「上等じゃねえか!」
「!…」
「その作戦ならヒルドルブの2年前の評価が不当だったって証明できるぜ!」
「2年前?」
ソンネンの言葉に2Bが疑問を口にする。
「ああ、ヒルドルブは2年前に諸々も事情で不採用となった兵器なんだよ。マゼラアタックを超える性能を獲得したけどコストも莫大になったんだ」
「その所為で、かなり人を選ぶ機体になったわ。仮に量産する事になっても乗り手が居ないんじゃ意味がないんだけどね」
「その時は、また俺が新兵を鍛えればすむ。技術屋なんて連中は、本当の戦闘なんて分かってないからな。そう思わないか?ヨルハのアンドロイドさん達よ」
「ああ、それは思いますね、飛行ユニットの射撃補正のデータを使いやすく弄ると整備部が文句を言うんですよね」
「おお、分かってくれるか、ああ…」
「僕は9Sです」
「9Sか、後でヒルドルブに乗せてやるよ」
共感して貰えたのが嬉しいのかソンネンは9Sにヒルドルブに乗せてやると言い、9Sも貴重な体験と言う事で「本当ですか!?」と言う。
「オホン、地上試験の情報収取はマイ中尉が、補佐としてスキャナー型の4Sと9Sに、コムサイの護衛に2BとA2が担当を。そして、総指揮は私がとります」
「あ!?…何だってお前が」
「何かご不満でも?」
「けっ…」
先程まで嬉しそうな顔をしていたソンネンがモニクの言葉に眉をひそめる。
その様子を見て不安を感じるマイと2B達。
場の空気が最悪のまま、コムサイの大気圏突入時間となった。
オリヴァー・マイとモニク・キャデラックがコムサイのブリッジの席に座り、他の席にも2B達が座るが、
「9Sがまだ来ていない」
「あいつなら、少佐と一緒にデカ物に乗ったぞ」
「なら、今頃少佐の説明を興味深そうに聞いてるでしょうね」
席に9Sが居ない事に気付く2Bだが、A2が9Sは少佐と一緒にヒルドルブに乗ったと聞き4Sが羨ましそうに呟く。
安全の為に連れ戻そうかと思った2Bだが、
「降下とはいえ、ジオンの勢力圏を飛ぶんだし大丈夫だろ」
マイの言葉に連れ戻すのを諦める2B。内心後で9Sに文句を言うつもりだった。
「コムサイ280、投下姿勢よろし!チェック、オールエンジン、アゴー」
「デパーチャーチェックリスト!コンプリート!」
コムサイが大気圏へと突入する。
内部は大気圏突入の振動が響く。
「…大尉?」
「…何?」
「その…ソンネン少佐とは、お知り合いですか?」
「気になるの?」
「え…はい」
マイの言葉にモニクが口を開く。
後ろに居る、2B達もモニクに視線が集まる。
「覚えておきなさい。あんた達も、鯛は腐っても鯛、軍人は腐ったら野良犬以下よ」
その後、モニクはソンネンとの過去を話す。
過去、優秀な戦車乗りだったソンネンは戦車教導団の教官でありモニクも生徒の一人だった。
しかし、モビルスーツパイロットへの転化適性試験に弾かれる。
若手の戦車兵が、次々とモビルスーツパイロットに転向していく事にショックを受け自暴自棄となり今に至る。
「少佐にそんな過去が」
「若手に置いて行かれたのがショックだったのか」
「人間は転向するのが難しいのか」
アンドロイドなら、上からの許可しだい別の型に転向できる。
しかし、人間は適性が無ければ転向する事も出来ない。
「あの人は、未だに失敗した過去を引きずったまま人生をただ生きてるだけ…。ただの負け犬…犬以下!」
その言葉を叫ぶモニクの顔は悔しそうだった。
喋ってる間に大気圏を抜け雲の間に地表を確認する一同。
「大気圏突入成功です。このまま降下姿勢を維持します」
「キリマンジャロ基地と連絡を!」
「了解…ロックオン!?」
マイが通信機に手を伸ばした時にコムサイの警報が響き、咄嗟に旋回させる。
直後に巨大な赤いレーザーがコムサイを掠める。
「右舷スタビライザーサーモ!動作不能!」
最も無傷とは言えなかった。
「何今の攻撃!?」
「今のは機械生命体の攻撃だ!」
モニクの言葉に答えたのは2Bだった。
あのレーザーは機械生命体との戦闘で何度も見てきた。
「馬鹿な!此処はジオン勢力圏の筈だ!?」
「ちょっとどいて下さい!」
マイの悲鳴に4Sがコムサイにハッキングをした。激しく揺れる中、4Sの体を守るA2。
嫌な予感がした4Sが勘違いであって欲しいと思ったが。
「やっぱり、論理ウイルスだ!こんな形見たこと無いぞ!」
4Sの嫌な予感は的中しコムサイのコンピューターから論理ウイルスを見つけた。
「論理ウイルスだって!?」
「いつの間に!」
これにはマイもモニクも驚愕した。
このコムサイは何度か地球と宇宙を行き来していたが、その度にチェックも欠かさずにいた。
現に、603技術試験隊に送られた時もモニクとマイがチェックしていたのだ。
考えられる事は、
「まさか、擬態していたのか」
「それじゃまるで生き物じゃない」
「論理ウイルス、排除しました!」
4Sのウイルス排除宣言と共にコムサイのコンピューターが正常に戻る。
改めて、現在位置を確認したマイは驚愕する。
「やられた!此処はキリマンジャロ基地からかなり遠い場所だ。僕達は罠に嵌められたんだ!!」
コムサイの情報では、此処はジオンと機械生命体との勢力圏の間である。
それだけではない。
「あのウイルス、センサーまで誤魔化してやがった。前方20キロに機械生命体の大部隊を確認した。警報まで乗っ取られてたらアウトだった」
「冗談でしょ!?」
「機械生命体がそこまでの知恵を?」
これには、2B達は驚愕する。
今迄の、論理ウイルスはアンドロイドを暴走させるだけで他の機械にはあまり影響がない。
強いて言うならモビルスーツの標準を敵味方関係なくロックオンさせる程度だ。
しかし、今回のウイルスはまるで人間を騙す為に作られたみたいだ。
「直ぐに救難信号を!キリマンジャロ基地に救援を!」
「駄目!通信が繋がらない!」
「如何して!?この辺りにはミノフスキー粒子も撒かれてないのに」
『報告;前方の機械生命体の部隊より妨害電波を感知』
マイが救援を呼ぼうとするがポッドが妨害電波を探知した。
このままでは、機械生命体部隊と近い場所に着陸してしまう。
『俺とヒルドルブを降ろせ』
格納庫のソンネンから有線の通信が入った。
「無茶だ!許可できない」
『会敵もミッションの内だ!それより…コムサイを軽くすべきだろ』
その言葉にモニクは了承せざるえなかった。
「ソンネン少佐、高度700フィートで投下します!急ぎチェックを!」
マイの言葉にソンネンは「既に出来てる」と言った。
コムサイの格納庫が開き巨大なパラシュートと共にヒルドルブが出てくる。
そして、地面に着くと共にパラシュートが切り離されヒルドルブが大地を走る。
「真っ暗だな、暗視カメラ起動」
ソンネンが計器を弄り画面がハッキリと映される。
画面には機械生命体の部隊が横切り、幾つかの機械生命体が此方へと進む。
「丸見えだぜ、機械共。妨害電波を出してるのは……あれか」
カメラには電磁波を纏った大型機械生命体を見つけ狙いを定め引き金を引く。
ヒルドルブの主砲が火を噴き、狙った大型機械生命体の体に大穴を開け爆発する。
これにより、通信出来る様になりマイが急ぎ、キリマンジャロ基地に救援を要請する。
それに気づいた機械生命体の動きが一斉に止まる。
「初弾命中!止まってる内に次を撃つ」
弾を詰め、引き金を引く。
次に狙ったのは超大型機械生命体2体だ。
一体には直撃し顔に風穴を開け、もう一体は足に命中し片足を破壊し転がされた。
その時には、多数の小型二足と中型二足、2体の大型二足が巻き込まれた。
「ちっ、三発目が外れた!大破ならず!砲身の熱が予想より高い!制御するのも一苦労だ」
復活した通信機からマイの声がする。
『今のデータを解析すれば、射撃プログラムの修正をする事が出来ます!』
「…で、今日の射撃はどうするんだ?勘でやれとか言わないだろうな」
『それは…』
「それは僕がやりますよ」
ソンネンの後ろから9Sが顔を出した。
『9S!?貴方まだ乗ってたの!?』
それに驚く2B達。
「コムサイのあの揺れだ、下手にブリッジに戻れば体を叩きつけられるのがオチだ。それより、9Sいけるのか?」
「任せて下さい。僕達9Sモデルは優秀な事で有名ですから」
「ははははっ、そらいいぜ!なら連中に見せてやろうぜ!優秀な戦車乗りと優秀なアンドロイドのコンビを!」
「はい」
その時、機械生命体の心が人間のようだったらこう思っただろう。
『悪夢』だと。
9Sが射撃プログラムを修正したヒルドルブの前に機械生命体が次々と撃破されていく。
ヒルドルブの主砲が火を噴く度に超大型機械生命体や大型機械生命体、大型飛行体が破壊され仲間を巻き込み爆発する。
小型や中型の機械生命体が数で襲うとするが、砲弾を散弾タイプに切り替えたヒルドルブの砲撃に纏めて破壊された。
ならば、以前にジオン軍との戦闘時に有効だった球体連結型の地中からの奇襲攻撃を行ったがこれも交わされ、ソンネンのスコアの仲間になっただけだった。
「やるじゃねえか、9S。このまま戦車乗りになる気は無いか!?俺が鍛えてやるぞ」
「いえ、僕は歩兵として造られましたから、お断りします」
9Sのサポートにソンネンが戦車乗りに誘うが断る。
ソンネンと一緒に戦うのも楽しいが、やはり2Bと一緒に居たいとも思っていたからだ。
焼夷弾で数体の機械生命体を炎に包み驚かす。
「凄い戦闘データだ。これだけの戦果なら上層部もきっと…」
「確かに凄いけど…このままじゃ不味いわね」
コムサイでヒルドルブの戦闘データを収集していたマイ達もこの戦果に驚く。
2B達もモニターでヒルドルブの戦闘に呆気にとられたが、モニクが苦い表情をする。
「不味いな」
「如何したんですか?」
次々と機械生命体を撃破するが、ソンネンの表情に焦りが浮かぶ。
「弾薬の残りが3分の1を切った。このままじゃ弾切れをおこしちまう」
砲弾の無い戦車など走る棺桶だ。
それでも、小型や中型には有効だろうが大型に捕まれば逃げる事も出来ない。
最も、ヒルドルブは格闘戦も出来るよう造られてるが。
その後、ショベル・アームユニットでの攻撃も加え、超大型機械生命体を全滅させ他の機械生命体の大多数を撃破する。
途中でヒルドルブのキャタピラに機械生命体の残骸が絡む。
好機と見た機械生命体が一気に来るが散弾の砲弾で次々と返り討ちにしていく。
「やりましたね、これで敵影がだいぶ減りました」
「ああ、だが弾はもう一発しかねえがな」
目の前の敵を次々と撃破し、一息つくソンネンと9S。
直後に、ヒルドルブに衝撃が走った。
「な、なに!?」
「ちっ、片足を破壊した奴だ!センサーに反応はなかったぞ!」
片足を破壊された超大型機械生命体だったが機能停止した訳ではなかった。
両腕を動かし少しずつヒルドルブへ接近し一気に両腕で攻撃した。
9Sが咄嗟にヒルドルブにハッキングすると、センサーのシステムに論理ウイルスを感知、直ぐに取り除くが直後に超大型機械生命体の渾身の一撃がヒルドルブを襲う。
「少佐!?」
「9S!?」
その様子は、コムサイからも確認できた。
2Bがコムサイから降り、助けに行ことしたが何時の間にかコムサイの周りを機械生命体が集まりA2と4Sも、それの排除に回ることにした。
宙を飛んだヒルドルブは地面へと転がり何とか止まるが中は酷い事になっていた。
幾つもの計器が壊れ火花が散り画面も途切れ途切れに映っていた。
攻撃した、超大型機械生命体はさらに追撃しようと近寄り、腕の届く位置に来ると腕を振り下ろそうとした。
直後に、ヒルドルブの砲塔から火が噴き、超大型機械生命体の体に大穴を開ける。
目を何度か光らせた超大型機械生命体はそのまま機能を停止した。
「はあ、はあ、9S生きてるか?」
「…な、何とか」
ソンネンが9Sの無事を確かめる。
最も、二人とも無傷とは言えず、ソンネンは頭から血を流し9Sは擦り傷だらけで片腕があらぬ方向に曲がっている。
「ああ、ポッド153も無事じゃないな」
9Sの専属ポッドも両方のアームが折れて傷だらけであった。
「でけぇのは片付けたが、小型が多数来てるな。戦えそうか?」
「ちょっと…無理っぽいですね。そっちは?」
「…駄目だ、弾も使い切ってアームも動きやしねえ。お前だけ逃げてもいいんだぜ」
「それはちょっと……」
9Sとしてはソンネンを置いて逃げる気にはならなかった。
この作戦前に自身のアップロードはしてるので巻き戻りはあまり問題ないが、「2Bが泣いちゃうかな?」と心配した。
そして、小型や中型がヒルドルブを取り囲む。
2BやA2はコムサイに寄って来る機械生命体の処理で未だに来れない。
そして、とうとう大型の機械生命体が近寄り腕を振り上げる。
今の、ボロボロのヒルドルブなら数発のパンチで簡単に潰せるだろう。
突然、空が明るくなった。
急なことで機械生命体達も辺りを見回す。
落下音が聞こえてくると共に辺りに爆発が響く。
地響きと共に緑色の巨大な物体が近づき、そこから照明弾が打ち上げられ空をまた照らす。
「やっと味方の到着か」
ソンネンの呟きに9Sが見方が来た事を悟った。
ジオンの陸船艇ダブデ。
多数のザク及びドムがヒルドルブを取り囲む機械生命体を攻撃しだす。
同じころ、別動隊のモビルスーツ部隊もコムサイへと到着し2BやA2と合流する。
形成を不利とみた機械生命体は一部が撤退しようとするが空中からはドップや戦闘ヘリ、地上ではザクやドムの追撃で次々と数を減らしていく。
『よう、新型戦車の奴生きてるか!?』
ダブデからの通信に答えたのは9Sだった。
「その声!ユーリーさん!?」
『ああ!?あの時の坊主か!』
以前、バンカーで会ったユーリーケラーネと再会した。
9Sの脳裏に「そういえば第三次降下作戦に参加する」って言ってたなと思い出した。
その後、機械生命体の掃討戦が終わり、コムサイとヒルドルブが回収されソンネンは急ぎキリマンジャロ基地の医務室へと運ばれ、9Sも義体の修理に技術室へと送られた。
ヒルドルブの戦闘データは上層部にも送られ戦果を認められたが使いこなせる人員が限られる事から少数が生産されただけであった。
無事に治療が終わったソンネンを見てマイが「まだ負け犬ですか?」とモニクに聞くと「少しはマシになっただけよ」と素っ気なく返すが、その表情は嬉しそうだとマイは思った。
後に少数のヒルドルブは機械生命体から高い戦果を上げた。この辺りに機械生命体が心を獲得した際、大変トラウマとなったらしい。
そして、義体の修理も終わった9Sは今回の振り返りこう思った。
「もう2度と戦車に乗りたくない」
ソンネンのサポートをしていたが、戦車の機動に生まれて初めて吐き気を覚え、バンカーでよく乗り物酔いしていた同僚の気持ちが分かった気がした。
新しい論理ウイルスが登場する話。
ソンネンの病気たぶん治ってないな。