機動戦士オートマタ   作:一種の信者

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あれこれ詰め込んだら1万4千文字もいった。
読み応えあればいいんですが(汗。


15話 人と人形と端末と

 

 

 

 

 

暗い空をデップリとし左右の大型のローターで飛んでいる航空機がいる。

ジオン軍の輸送機、ファット・アンクルだ。

ファット・アンクルの格納庫に2B達や厚着をしたランバ・ラル隊が待機してる。

 

何故、彼等がファット・アンクルで運ばれてるのか?

目標の丘とはそれなりに離れており、トラックや輸送車で行くには悪路過ぎる。

かと言って、走って行くには2B達はともかく、人間の多いランバ・ラル隊では一緒に着いていくのは不可能に近い。何より無駄に体力を消耗する事でマ・クベが用意した。

 

格納庫での会話は特になく、2Bは格納庫にある小さな窓から外を見ていた。

外は暗かったが格納庫も薄暗く外を見るのが可能だった。と言っても外は暗い空が広がってるだけで何の面白みも無い。

しかし、2Bはそこで白い物が横切る事に気付く。

 

「雪?」

 

「降ってきましたか、寒いですからね」

 

2Bの呟きに傍にいた9Sも窓の外を見る。

吹雪とは言わないが雪がそれなりに振っている。

 

「データでは雪が積もった場所も歩き難いらしいですね」

 

9Sの言葉が格納庫に響く様に感じた2B。

もう間もなく、自分達の乗るファット・アンクルは目標地点に到着する。

 

 

 

 

 

 

 

 

厚着をしたジオン兵がファット・アンクルの音に気付くと両手に持っていた誘導灯のスイッチを入れ、左右に振る。

暫くすると、轟音と共にデップリとした機体がゆっくりと簡易ヘリポートに降りる。

無事に着陸したファット・アンクルは、格納庫のハッチを開く。

外へと出た2Bやランバ・ラル隊の下に別の厚着をしたジオン兵が近寄る。

 

「マ・クベ大佐から報告を受けています。此方へ」

 

迎えに来たジオン兵の後を追う一同。

途中、2Bが白いモビルスーツを見る。

 

「白いザク?」

 

「確か、寒冷地仕様のザクだったかと。本当にバリエーションが豊富ですねザクは」

 

初めて見るザクの名前を9Sから聞く2B。

 

「豊富どころじゃないだろ。バリエーションだけでヨルハ機体の種類も超えてるだろ」

 

「今更ですよ、A2。噂では宇宙専用のザクが稼働してる話もありますよ」

 

その話を聞いた、A2と4Sもザクの話をする。

A2が「宇宙専用か」と呟き空を見上げる。空は白い雪が次々と振り自分の頬に当たる。

 

 

 

 

エレベーターホールには何人かのジオン兵とアンドロイドが待機していた。

 

「お待ちしてました、ランバ・ラル大尉」

 

「報告を頼む、何か変わったことは無いか?」

 

ランバ・ラルの姿を確認したジオン兵が敬礼をし、ランバ・ラルも敬礼をし返す。

そして、何か変わった事は無いか聞いた。

 

「いえ、五日前にマ・クベ指令が送ったアンドロイド達以外特には。大尉、アンドロイド達が生きていたら頼みます。訓練とはいえ経験のあるアンドロイドは貴重ですから」

 

ジオンにとって、アンドロイドは貴重な戦力でもあった。

特に、モビルスーツの入れない場所の戦闘では主役と言っていい。

アンドロイドが死んだ場合は記憶などのバックアップで代わりの義体さえあれば直ぐに復帰出来るが記憶と経験では動きに差があり、ジオンが使いたいのは戦闘経験のあるアンドロイド達だった。

 

ジオン兵の言葉にランバ・ラルも「分かった」と言う。

エレベーターのコンソールは剥き出しにされ何本ものコードが繋がっっており幾つものパソコンが並んでいる。

 

「エレベーターですが多少の大型で15名乗れますが、アンドロイドの重量を考えると10名ずつ分けて降りた方がいいかと」

 

「そうか…」

 

エレベーターの管理をしていたジオン兵が全員で乗れないと言う。

現在、降りる予定の人数はアンドロイドが7体、人間が13人、如何見ても一度に降りれる数ではない。

 

「あの、僕達が先に降りましょうか?降りた場所が安全ともかぎりませんし」

 

分けてエレベーターを降りると聞いた9Sが即座に提案する。

自分達なら敵が待ち伏せしていても対応できる自信があったからだ。

9Sの提案を聞いたランバ・ラルは「フム…」と言って顎に触る。

思考するランバ・ラルは、2B達と8B達に視線を向ける。

相変わらず、視線を合わせない8B達にランバ・ラルは溜息を漏らす。

 

「いや、ワシも行くとしよう。アコース、コズンはワシに続け!クランプ、お前達は武器弾薬を持って降りてこい。下で合流だ」

 

「「「了解」」」

 

ランバ・ラルの言葉に部下たちが返事をし敬礼する。

 

 

 

 

 

 

エレベーターの扉が開き、2Bを始めとした4人、8B等3人、ランバ・ラル達3人の計10人が乗り込む。

小さな揺れと共にエレベーターが下降する。内部は静かで2B達と8B達は互いに距離を取り間にランバ・ラル達が挟まる感じとなっていた。

空気の悪さにランバ・ラルは、また溜息を漏らす。

「どうしたのもか?」と考えた時だった。

 

「ふぅ~」

「きゃ!?何するんですか、少尉!」

 

ランバ・ラルの部下のコズン少尉が8Bの耳に息を吹き掛ける。

突然の事に8Bは耳を押さえ顔を赤くする。

 

「何時まで、仏頂面してる気だ8B。言いたい事があるんだったら言っちまいな」

 

「そんな…私は言いたい事なんて…」

 

「お前が隠し事する時は何時もバイザーを外さないからな。ほれほれ、とっとと話して来い!」

 

「分かりましたよ。ですからお尻を触らないで下さいよ、部下が見てます」

 

コズンにバイザーを外された8Bが2B達に近寄る。

ランバ・ラルがコズンの顔を見ると溜息を漏らしていた。如何やら空気の悪さに耐えるのが馬鹿らしくなったんだろう。

 

「その…2B、司令官は元気か?」

 

「あ…元気だ」

 

8Bとコズンのやり取りを見ていた2B達は固まっていたが、8Bの言葉に辛うじて反応した。

 

「他の皆も元気か?」

 

「脱走者以外は皆元気。皆、ガルマ指令の指示に従っている」

 

それだけ聞くと、8Bは「そうか」と言って元の場所に戻って行く。

 

「聞きたかったのはあれだけか?」

 

「はい、逃げ出した私にはこれだけが精一杯です」

 

コズンの隣に戻った8Bはバイザーを返して貰い付け直す。

その様子を見ていた9Sは思わず声を出す。

 

「あの…お二人の関係は?」

 

「ん?愛人」

 

「しょ、少尉!」

 

9Sの質問にコズンは8Bを抱き寄せ答える。

8Bは恥ずかしそうにするも、コズンの手に身を任せる。それを見て羨ましそうにする22Bと64B。

 

「アンドロイドが愛人…」

 

「オデッサじゃ結構いるぞ。人間とアンドロイドのカップル」

 

9Sの呟きにコズンはそう答える。

 

アンドロイドと関係を持つジオン軍人は意外といる。

ジオン軍人としても容姿の整ったアンドロイドとの付き合いは望むべきものであり慣れぬ地上での活動の補佐もしてくれる。アンドロイドは精神安定や使命を忘れない為などもある。

何より人類を守る使命を持つアンドロイドは人間と関係を持った時、従来のスペック以上の戦闘力を見せる事が多々あり、一時それに目を付けたジオン軍が推奨したりもしたが、とある事情により推奨は取り消しとなった。

 

コズンの愛人宣言に驚いた9S達がランバ・ラルや8B達と会話し出すのを横目で見ていたA2が笑みを浮かべエレベーターの壁にもたれる。

かつての真珠湾降下作戦を思い出していた。

 

 

 

隊長の一号が撃墜されて二号の私が隊長になって十二人の仲間を失って、バンカーに作戦中止を要請したが無駄だった。当然だ、あの戦いは私達の戦闘データでより高性能なヨルハ機体の製造が目的だった。

今、考えれば敵のサーバーの破壊はついでだったのかも知れない。

私と、十六号、二十一号、そして四号が生き残り現地で活動していたアネモネを始めとしたレジスタンスメンバーに会い協力してサーバーの破壊に成功した。

代わりに、ヨルハ機体で私だけ生き残り、レジスタンスもアネモネしか残らなかった。

そして生き残った私は仲間である筈のヨルハに処分される事になり、その度に『2E』と『9S』を殺してきた。

最も、2Bも9Sもその事を知らないようだ。

それでいい。自分を殺した、殺された話なんて聞きたくもないだろう。

 

結局、この世界の人類は滅んだらしいが、違う世界の人類が来た事でアンドロイド達の士気もあがった。そう考えて、私はアンドロイドも単純だなと思った。この世界の人類でない別の世界の人類だろうがアンドロイドは従ってしまう。命令を聞いてしまう。例えそれが宇宙に移民した人類だろうと。

もし、四号が聞いたら如何思うだろうか?呆れるだろうか?私と同じ人間に従うだろうか?それとも…

 

 

 

 

A2の思考はエレベーターの到着により掻き消えた。

着いた場所は外より暗くはないが明るくも無い薄暗い印象だった。

エレベーターが最下層に到着し乗っていた2B達も降り、次に降りてくるクランプ達を待とうとした。

 

 

「あれ?」

 

しかし、待てど暮らせどエレベーターが動くどころか扉すら閉まらない。

 

「駄目です、大尉。何の反応も示しません」

 

エレベーターの操作盤を弄るアコースが報告する。

9Sや4Sもエレベーターにハッキングしようとするが、

 

「ハッキングが出来ない!?」

 

「エレベーターのプログラム自体が此処には無いのか!?」

 

ハッキングも出来ず、ランバ・ラルは持っていた通信機で地上と連絡を取る。

 

「此方、ランバ・ラルだ。クランプ、聞こえるかクランプ!」

 

『…隊長ですか!?』

 

ランバ・ラルの呼びかけに通信機にノイズが聞こえた直後に、クランプの声が聞こえた。

 

「クランプ、此方のエレベーターが停止した。地上で動かせないか!」

 

『動かしたいのはやまやまですが現在、械生命体の襲撃を受け我々はそれに対抗せざるを得ず、暫くエレベーターに行けそうにありません!』

 

「なに!?」

 

そこで、初めてランバ・ラルはクランプの後ろから戦闘音らしきものが聞こえた。

通信機から「飛行型の大部隊を確認!オデッサからドップ部隊を要請しろ!」と聞こえた後に乱雑に通信機が切られた。

 

「ふむ、このタイミングで仕掛けてきたか」

 

「やはり、敵の罠だったんですね」

 

通信機のスイッチを切ったランバ・ラルが呟き、9Sが喋る。

 

「罠を承知で飛び込んだんだ。とはいえ、予想より早く仕掛けてきたか。アコース、コズン。今ある武器は!?」

 

ランバ・ラルの言葉にアコースとコズンは素早く反応する。

 

「はっ、手榴弾と煙幕弾が幾つかあるだけです」

 

「こっちは、ライフル銃がありますが弾がそんなにありません」

 

「そして、ワシが持っているのは拳銃一丁か」

 

マ・クベから渡されたジュラルミンケースもあるが、それは切り札だ。

 

二人の報告を聞いたランバ・ラルは思う。明らかに足りないと。

機械生命体は基本的に数で攻めてくる。モビルスーツがあればある程度は問題ないが、モビルスーツに乗っていない白兵戦時では大問題である。

手榴弾やライフルならある程度数も減らせるがこれだけでは焼け石に水と言っていい。

本来なら、別の重火器をクランプ達が持って合流するだった。

 

「あの…大丈夫ですか?」

 

此方の様子を心配した2B達が話しかける。

最新鋭のアンドロイド、ヨルハ機体が7体いるとはいえ自分達の戦力が頼りないと思った。

 

「ここで道草を食っている暇はあるまい。進むぞ」

 

上の戦闘が片付けばクランプ達も此処に来るだろうが、それが何時なのか分からない。

機械生命体の数はまさに無尽蔵と言える。このまま、クランプ達を待っても戦闘が終わるのが一週間後かも知れない。

食料も無い状況では人間が生きていける筈がない。ならば、前へ進むだけだ。

 

ランバ・ラルが歩き出した事で、2Bや8Bもそれに続く。

エレベーターの前は細い通路が一本道で存在している。

その場に居る全員が周囲を警戒しつつ通路を進む。

 

暫くすると通路の壁を背にした人影らしき物が座っているようだった。

 

「ちょっと待ってください。2B」

 

「うん」

 

9Sと2Bが人影に近づき少し調べて戻って来た。

 

「マ・クベ大佐から探して欲しいと言われていたアンドロイドでした」

 

「でも死んでる。動力部が破壊された痕がある」

 

人影がアンドロイドの死体だと報告する二人。

それを聞いたランバ・ラルは「そうか」と返事をした。

アンドロイド達が入って五日、生きていれば万々歳と言える。元よりあまり期待もしていなかった。

死んだアンドロイドから何か使える物が無いかと漁ったが武器も弾切れだったりで特に無かった。

仕方なく、道を進むが道中にアンドロイドの死体があるだけだった。

そして、5体目のアンドロイドの死体を見つける。

 

「結局、先行したアンドロイド達は全滅か」

 

「…先に進もう。もう少しで敵のサーバーが見えてくる筈だ」

 

その言葉通り、少し行った先は広い空間で何かがある予感がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?何かいる」

 

戦闘を歩いていた2Bが足を止める。後ろに居た9S達が2Bの視線の先に目をやる。

其処には、確かに何か居た。

 

「少女?」

 

同じ赤い服を着た少女が二人。薄暗い筈なのに丈の短いワンピース着る少女が、ハッキリと見えていた。

ジオンの関係者ではない。そもそも地球にはジオン軍の軍人や科学者しか降りていない。何よりこの世界には人類は居ない。

 

「貴様ッ!」

 

2B達の中から一人少女の下へ駆け出す。

A2だ。嘗ての真珠湾降下作戦の時に出会った仲間の仇だ。

そう認識した瞬間、剣を振りかざしそのまま攻撃する。

 

「A2!」

 

しかし、A2の剣は少女の体を素通りするだけで何の意味も無かった。

 

『久しいな、2号。いや…今はA2か』

 

A2の攻撃に意にも介さず少女が喋る。

その声はどこもでも機械的で耳障りな作り物めいていた。

 

『悪いがアンドロイドの君には用はない。我々は人間と会話したいのだよ』

 

そう言って赤い服の二人の少女はランバ・ラル達の方を見る。

咄嗟に、2Bや8B達がランバ・ラルを守るように前に出る。

 

『私達は機械生命体の端末』

『この姿は君達を模して造りだした』

 

交互に喋る少女を模した端末。

9Sや4Sが外へと通信しようとしたがポッドから妨害されてると言われる。

少し考えたランバ・ラルが2Bと8Bの間から体を出し口を開く。

 

「ならば、ワシが話すとしよう」

 

ランバ・ラルを止めようと動く8Bだったがコズンが抑える。

耳元で「大尉に何か考えがあるようだ。暫く様子を見ろ」と言われ大人しくなる。

 

『これはこれは』

『宇宙攻撃軍所属のランバ・ラル大尉と話せるとは幸運だ』

 

少女は左右対称の動きをし、踊るようにその場をくるりと回る。

A2が構わず攻撃しようとするが、

 

「A2!今は引け。どう見ても攻撃が効いてるとは思えん」

 

「し、しかし!」

 

「貴様も軍人ならば命令を聞け!」

 

尚も食い下がろうとしたA2だったがランバ・ラルの喝に委縮してしまう。

 

「部下が失礼したな。しかし、私の事を知っているようだな」

 

『君達が地球に降下した時から見ていた。ずっと』

『気付いていないだろうが、君達の基地の中も私達は把握していた。ずっと』

 

少女の言葉が本当なら、基地内の情報が筒抜けだ。そうなれば作戦も何もあったもんではない。

ただのハッタリならば問題も少ないが以前、赤い彗星が基地から妙な気配を感じると言っていたのを思い出す。

 

『何故、君達は戦うの?』

『何故、君達は死にたがるの?』

 

「死にたがる?」

 

委縮していたA2がふざけるな、と怒鳴る。

 

「全ては機械生命体の手から地球を取り戻す為だ。その為に私達は…人類は戦ってきた!」

 

その言葉を聞いた少女達はクスクスと笑い出す。

 

『君達、ジオンはこの世界の人間じゃないのに』

『君達、この世界の地球から誕生した訳じゃないのに』

 

聞く人間が聞けば、「ジオンの栄光の為」や「我らは大義の為に戦っている」と言うだろうが、

 

「ワシは軍人だ。軍人である以上、上の命令に従う。それにワシの出世は部下達の生活の安定にも繋がる」

 

『ふ~ん』

『つまんない理由』

 

望んだ答えでは無かったのか少女達の興味が急速に無くなった。

 

「機械であるお前達には分らんか!」

 

隠し持っていた拳銃で少女の頭を撃ち抜く。

しかし、弾は少女を素通りして壁に命中する。

 

「やはり、立体映像か」

 

『私達は機械生命体のネットワークから生まれた概念人格』

『ゆえに殺す事は出来ない』

『私の名前はタームα』

『私の名前はタームβ』

『私達は記号』

『私達はそれ以上でもそれ以下でもない』

『それでも戦うの?』

『それでも抗うの?』

 

少女達に返事をしない。

代わりに、拳銃やライフルを構え、アンドロイドも武器を抜く。

 

『そう、じゃあ戦ってごらん』

『君達の為に用意した子がいるの』

 

少女がおいで。とジェスチャーする。

 

「また、あの醜悪な機械生命体か?あの時より私は強く…」

 

以前の戦いの時に、少女が用意した一回り大きい八本足の機械生命体をまた出すのかと身構えた。

しかし、機械生命体の足音とは思えない音が聞こえ、暗闇から姿を現した。

その姿は、

 

「四…四号…」

 

其処には、紛れもない嘗て共に戦った自分と同じ旧型ヨルハ、四号だった。

A2が持っていた剣を落とし四号に近づく。

 

「四号…四号…」

 

まるで夢遊病の人間のような動きで近づくA2。

 

「駄目A2。それは敵!」

 

2BがA2に静止するよう訴える。

事実、四号のバイザーから出している片目は真赤に光っていた。

しかし、2Bの声も聞こえないのかA2は四号の傍まで生き抱き締める。

 

「四号…私、頑張ったんだよ…」

 

もう、二度と会えないと思っていた同僚。

それも親友と言えるほどの関係だった。頭ではわかっている。四号はもう死んでいる。

真珠湾のカアラ山の機械生命体のサーバーを道連れに爆死していた。

分かっている筈なのに、心がどうしようもなく四号を求めてしまう。

A2は腹部の痛みと共に意識を失った。

 

 

 

 

A2は夢を見ていた。厳密に言えば過去の記憶だ。

日々、強化されていく機械生命体に苦戦するアンドロイド達が対抗するために造られた最新鋭。

それが、ヨルハだった。

そんなヨルハ機体として造られたA2は、日々の訓練の中同じタイプの四号と一緒に居る事が多くなる。

同じ様な平凡な成績の所為か、似た者同士だからだろうか、A2は四号が傍にいると不思議と気持ちが落ち着いた。

そんな日々の中、自分達に作戦が舞い込む。

目的は、敵機械生命体のサーバーの破壊。

 

 

 

 

 

「う…うう」

 

そこで、A2が意識を取り戻す。

ハッキリしない頭だったが耳に金属の激しく当たる音と男の声が聞こえた。

 

「旧型が最新型を圧倒してやがるじゃねえか!」

 

「改造でもされたんでしょうか!?」

 

A2が状況を把握しようとして周りを見る。

ランバ・ラル達は引きはがされた鉄の床を盾にして何かを凝視していた。

視線をたどると、

 

「四号!」

 

2Bと四号の剣が激しく火花を上げる。別方向から8Bと22Bが迫るが四号の剣が2Bも纏めて薙ぎ払われる。

死角から64Bが飛び掛かるが、四号は軽く体を動かしてかわし蹴りを放つ。

少し、離れた距離でポッドが射撃、9Sと4Sがハッキングしようとしてるが、

 

「何だ、このプロテクトは!?」

 

「駄目だ、ナインズ!このまま続けたら論理ウイルスが逆流してくる!」

 

旧型のアンドロイドとは思えない程のプロテクトと論理ウイルスによりハッキングは不可能な状態だった。

 

『どう?私達の四号の力』

『君達よりも強いよね』

 

少女たちは、ランバ・ラル達の傍にまで近づいていた。

触る事が出来ない事から余裕を見せてるのだろう。

 

「貴様ッ!四号に何をした!!」

 

『あの時の戦いの時に、彼女のデータを保存していてね』

『あまり興味は無かったが、君達の相手に相応しいと思ってね』

『バンカーや人類会議のサーバーから製造法は分かっていたよ』

『地上にあるヨルハの残骸からでも造れたよ。何しろ動力は私達と近いから』

『ついでに少し、改造しておいた』

『ウイルスにも感染させてるから最新鋭より強いよ』

 

「そんな!バンカーだけでなく人類会議にも!?」

 

「この視線と気配…たまにバンカーで感じてた妙な気配はこいつか!という事はこいつは最初から人類が居ないのを知っていたのか?」

 

『正~解』

『実に滑稽だったよ。君達の戦いは』

 

少女達の馬鹿にしたような声に9Sと4Sが顔を引き攣らせる。

 

「貴様ッ!!」

 

『あれ~、気に入らないの?』

『ん~、気に入らないならこれは如何かな』

 

そう言って、少女が指を鳴らす動作をする。

4号が動きを止め周りを見だす。その目には赤い光が消えていた。

 

「あれ?此処は…私は…二号?あなた二号よね」

 

四号が頭を押さえつつ周りを見て2Bに話しかける。

急に話しかけられた2Bも状況を探るために四号に剣を向けたままにする。

 

「二号、如何して剣を向けているの?」

 

四号が本気で訳が分からないといった表情をする。

 

「四号、二号は私だ!四号!」

 

A2は堪らず四号に自己主張する。

四号の視線がA2を捉える。

 

「二号?」

 

四号の視線はA2と2Bを行ったり来たりする。

 

「死ね!」

 

その隙を逃がさず、8Bが近接武器を持ち四号の背後から攻撃しようとする。

 

「待ってくれ!」

 

しかし、8Bの攻撃は止まってしまう。A2が四号の盾になったのだ。

アンドロイドの大多数はフレンドリーファイアを防ぐ為のプログラムがある。

A2がガルマ隊に編入された時に改めてプログラムされたのだ。

 

「退け、A2!そいつは敵だ!」

 

「違う!四号は敵じゃない!」

 

「話を聞いていただろ!敵に修理されたウイルス持ちだ!」

 

「違う!違う!」

 

「ねえ、二号。状況が分からないんだけど!何で二号が二人いるの?何で二号だけそんなにボロボロなの?この人誰!?」

 

四号が正気に戻った事で、その場が混乱する。

A2は諦めていた仲間が目の前に居る事で、8Bは四号を倒すチャンスの為に、記憶が真珠湾降下作戦時で止まった四号は目の前の状況について。

混沌とした状況に2Bも22Bも64Bも見守るしかなかった。

 

 

そんな状況の中、少女は再び指を鳴らす動作をする。

その瞬間、四号を庇っていたA2の背中に蹴りが入れられ8Bの下に倒れる。

 

「四号!」

 

A2が再び四号の方を見ると目が赤く光り始める。

だが、先程とは違う点があった。

 

「逃げて二号!私の体が私のじゃないみたいなの!?」

 

先程の戦闘と違い四号が喋りながらも戦う。

最も、自分の意志とは関係なく動かされてるが。

2Bや22Bも四号の相手をしようとするが、四号の動きに翻弄され何度も倒れる。

更には、

 

「あああ!?痛い!体中が痛い!」

 

人体の動きを無視した動きに四号が悲鳴をあげる。

 

 

 

『ふふふふ、どうかな。このショーは?』

『論理ウイルスにはこういう使い方も出来るんだ』

 

ランバ・ラル達に自慢げに見せびらかす少女達。

 

「えげつない手を」

 

「随分と悪趣味だな」

 

ランバ・ラル達の言葉を聞いてキョトンとする少女達。

 

『どうして?こういうの人類は大好きなんでしょ?』

『どうして?私達は人類の残した書物に書かれていた事をしてるだけ』

 

「一体どんな書物を読んだんだ。コズン、ライフルの弾は?」

 

「撃ち止めですぜ、大尉。撃った弾、全部避けやがった」

 

「手榴弾と煙幕弾がまだ残ってますが使いますか?」

 

「…いや、ただでさえ使い過ぎて息苦しいんだ。これ以上使えば我々が窒息死してしまう」

 

完全に手をこまねいていた。

拳銃もライフルも弾切れ、手榴弾系は空気が淀み過ぎている。

素手で人間がアンドロイドに勝てる訳がない。最悪、ジェラルミンケースの中の物を使えばあるいは…。

せめて何かないかと、ランバ・ラルがポケットを弄った時に指先に硬い物が当たり取り出すと。

 

「これは…!9S、4S、どっちでもいいからこっちに来い」

 

「え?あ、はい」

 

ランバ・ラルの声を聞いたのは4Sだった。

4Sが急いでランバ・ラルの下へ行くと、

 

「これを使え」

 

「これって、ポッド・プログラム!?」

 

ポッド・プログラム。

ヨルハの随行支援ユニット、ポッドにはデータのインストール次第で様々な攻撃法がある。

ミサイルにレーザーにハンマーなど様々であり、ジオンも試しに制作していた。

その内の一つをランバ・ラルが入手し8B達に渡そうとしていたがマ・クベの緊急任務ですっかり忘れていた。

 

「ポッド!プログラムのインストール開始!」

 

『了解;インストールを開始する』

 

 

 

 

 

2B達は苦戦する。

今迄、多くの機械生命体や汚染された同胞のアンドロイドを潰してきたが、このような手を使ってきた事はなかった。

論理ウイルスとは、勝手に電脳内のデータを書き換えアンドロイドの自我を破壊して義体の制御を奪う。

だが、四号は意識がハッキリと残っているが体の自由がまるでない。

このような事は初めてであった。そして、何よりも悪辣だった。

 

「ああああああ!殺して二号。私を殺して!」

 

「諦めるな、四号!」

 

体中の関節があらぬ方向に曲がり、それでも戦い続ける体に四号は殺してと懇願する。

2Bや8B達の攻撃をA2が捌いてしまい、碌に攻撃が通らない。

それどころか、逆に攻撃をくらってしまう。

 

「うわああああ!」

 

8Bが四号の剣をまともに食らい倒れる。

四号がフラフラしながらも近づき、剣を大きく振りかざす。

 

「逃げて…ニゲテ…」

 

先程よりも声が細いが8Bに逃げるよう訴える四号。

言われる間でもなく直ぐに動こうとしたが足に力が入らない。

見ると、足に深い裂傷があった。先程の戦闘で四号に切られたのだろう。

碌に力も入らず、周りを見るが2B達も倒れて居たり立ち上がろうとしてたりで援護する余裕はなさそうだった。

四号を見ると、剣を突き立てる様に持ち直していた。刺し殺す気だろう。

 

「すまない、少尉。先にいく」

 

覚悟を決めた8Bが目を瞑る。

その直後に鈍い音が聞こえた。しかし、痛みが来ない事に疑問を感じた8Bが瞼を開けると、

 

「少尉!?」

 

「…無事か8B」

 

コズンが8Bを守るように抱き締め、四号の剣が背中に刺さっていた。

 

「コズン!」

 

「少尉!…如何して!?」

 

「…自分の女を守るのに理由が必要か?」

 

口から血を吐きつつコズンが喋る。

 

「何なの?この感触。機械生命体ともアンドロイドとも違う」

 

剣を刺した四号は伝わってくる感触に疑問を抱く。

尤も、四号の体は再び刺す為にコズンに刺さった剣を引き抜く。

 

「当たり前だ!この人は人間だ!人間なんだ!」

 

8Bの叫びに四号の体が止まる。

 

「私は人間を…人類を刺したの?…ああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

 

『なんだ?』

『制御が効かない?』

 

持っていた剣を捨て頭を押さえる四号。突然、四号の体の制御が出来なくなった少女達。

それは偶然だったのかも知れない。

アンドロイドは、創造主たる人類を敬愛し、我が身に代えても守り抜く忠誠心を予め組み込まれている。

特に、ヨルハ機体はそれが強く刷り込まれており、アンドロイドの中でも特に人類を愛している。

少女達も、そのプログラムには手を加えていなかった。

守るべき人類を刺した事で、四号の電脳に少女にとっても想定以上の過負荷がかかり、オーバーヒートを起こしたのだ。

 

 

『ポッド・プログラム。インストール完了』

 

「四号に向けて撃つんだ。ポッド!」

 

丁度、インストールが終わったポッドに4Sが撃つよう指示する。

ポッドから白い物が撃たれ、それが四号の体に当たる。

人間を刺した事でオーバーヒートを起こしてなければ避けられただろうと4Sが思考する。

当たった白い物は四号を包み込む様に広がり固まる。

 

『何それ?』

『そんなもので、倒せないよ』

 

突然のハプニングだったが、少女達は笑みを浮かべる。

四号の体が再び動き出し、暴れようとするが、

 

『何で?』

『引き剥がせない』

 

幾ら、動こうが四号に取りつく白い物は取れなかった。

 

トリモチ。

それが白い物の名前だった。

本来は、コロニーの外壁に穴が開いた時ようの応急処置の物だったが、アンドロイドの暴走とトリモチの粘着力と強度にジオンが目を付けたのだ。

一々、論理ウイルスで暴走するアンドロイドを破壊するのは経済的とも言えず、近くにスキャナータイプが居るとも限らない。

かと言って放置する訳にもいかない。ならば暴走するアンドロイドのを取り押さえ論理ウイルスを取り払ってしまえばいい。だが、暴走するアンドロイドはリミッターが外れ複数のアンドロイドでも取り押さえるのは困難といえた。

そこで、ジオンはトリモチに目をつけた。近い将来、モビルスーツの動きも止めれると言われたトリモチならばリミッターの外れたアンドロイドも無傷で捕らえる事が出来る筈だと、ジオンの科学者が研究し先日やっと形に出来たのだ。

 

余談だが、トリモチの登場により暴走するアンドロイドの捕獲率が爆発的に上昇する。

 

 

 

身動きがとりずらい筈なのに尚も暴れようとする四号にA2が近づく。

 

「二号…私…私…」

 

「…少し、寝ていろ。目が覚めたら、悪夢も終わる」

 

そう言い終えると共に四号の意識が無くなった。

A2が強制的にシャットダウンさせたのだ。

 

 

 

戦闘が終わったが、8Bはコズンの傷口を押さえようとする。

しかし、血で滑り下手に力を入れ過ぎれば人間の体など潰してしまう事から上手くいかなかった。

 

「誰か!血が…血が止まらないんだ」

 

「ポッド、止血ジェルを」

 

2Bがポッドに止血ジェルを出すよう言うが。

 

『否定;アンドロイド用の止血ジェルは人間には有害。推奨できない』

 

「我々も薬は持ってきていない。急いで地上のクランプ達と合流せねば」

 

「サーバーの中にエレベーターのプログラムがありました。今ならエレベーターも動く筈です」

 

血を流すコズンを中心に各々がそれぞれ口を開く。

エレベーターが起動すれば地上に戻り、コズンの治療が出来るが、そこでコズンが口を開く。

 

「すいませんが、大尉。ジェラルミンケースを…自分に」

 

「ジェラルミンケースを……コズン、お前…まさか…」

 

「大尉…すいませんが自分はここまでのようです」

 

 

その後、ランバ・ラルや2B達が一緒に戻ろうと説得するが、傷の深さとあのエレベーターが上がる速度では長く持たないと言われる。

更には、

 

「ジェラルミンケースの中の奴は操作する人間が必要でしょう。時限式にしたらあれに操作権を奪われるかも知れませんからね」

 

コズンの視線の先には此方のやりとりを興味深そうに見ている二人の少女が居る。

結局、説得に失敗したランバ・ラルと2B達は地上に戻る事になったが、そこでも問題が発生する。

8Bも残ると言い出した。

これには、流石にコズンも反対するが、「私は少尉の居ない世界になんて生きて居たくない」と言われ渋々諦めた。

 

 

ジオン軍が人間とアンドロイドのカップルの推奨を諦めた理由。

それは、アンドロイドの愛がジオンの想定以上に重かった事だ。

地球降下作戦成功時に幾つもの問題があがった。恋人であるジオン兵が死んだ事で残されたアンドロイドの暴走が起き出した。

作戦無視の先行に、命令拒否の継戦に、等問題行動を起こすようになった。中には精神崩壊を起こすアンドロイドも居た。

更には、重傷を負ったジオン兵をカップルのアンドロイドが何処かに連れ去ろうとする事件まで起こり、推奨は取り下げられた。

結局、連れ去ろうとしたアンドロイドは、負傷した兵を後方に送る事で納得させた。

 

 

 

 

「コズン・グラハム少尉と8Bに敬礼!」

 

ランバ・ラルの言葉に2B達は敬礼する。

それも、ヨルハ式のではなく軍隊式の敬礼だ。

敬礼が終ると共に、ランバ・ラル達は急いでエレベーターへと走る。

コズンの命が尽きる前に地上に行かねばならないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く、バカだな8Bは。俺と別れりゃもっと良い男と恋人になったかも知れねえのに」

 

「私は少尉が良いんです。少尉が居るから生きていけるんです」

 

8Bの肩を借りてコズンはサーバーの近くに腰を下ろす。

隣に8Bも座る。

ランバ・ラルから渡してもらったジェラルミンケースを開ける。

中には、四角い黒い箱の様な物が二つあった。

ブラックボックスだ。

 

先日、ジオンが独力で完成させたブラックボックスはアンドロイドのエネルギー源以外にも使われだす。

マ・クベが渡したのもそうだ。ある条件でブラックボックスは核兵器並みの破壊エネルギーが生まれる。

ランバ・ラルは、手持ちの武器でサーバーが破壊できなかった時用にマ・クベから渡された。

最も、それは時限式の話でコズンが直接操作して打ち込む必要は無かった。

しかし、ネットワークの端末を名乗る少女の出現にコズンが警戒する。

嘘か誠か警備の厳しい軍基地の内部にも平然と入れる化け物だ、時限式のブラックボックスも干渉できるかもしれない。

 

『何故、そんなに頑張るの?』

『何故、そんなに死にたがるの?』

 

ジェラルミンケースのブラックボックスを弄るコズンに少女が話しかける。

 

『傷は深い』

『君は助からない』

『そして、君の行動は無意味だ』

『そう、君の犠牲は無駄だよ』

『機械生命体のサーバーはここだけじゃない』

『世界中に設置しているよ』

『つまり、この戦いは無駄』

『つまり、君の犠牲は無駄』

『悲しい自己犠牲の精神なの?』

『悲しい自己犠牲の物語なの?』

『笑えるね』

『面白いね』

 

少女達がコズンを煽るように喋る。

しかし、コズンは黙々と操作して口を開く。

 

「端末のガキが随分と喋るな。そんなに俺達に負けたのが気に食わねえのか」

 

コズンの言葉に笑みを浮かべていた少女の顔が真顔になる。

 

『負けた?』

『もう直ぐ君が死ぬのに?』

 

「忘れたか?俺達の目的は此処のサーバーの破壊か奪取。俺と8Bが死のうがサーバーを破壊出来れば俺達の勝ちなんだよ」

 

その言葉に、少女達の顔は変わらなかったが目に怒りが浮かんでいた。

 

「それに、こんな良い女とあの世に行けるんだ。男冥利に尽きるって奴だ」

 

「少尉…」

 

コズンに肩を抱かれた8Bが赤くなりコズンの肩に頭を寄せる。

それを見ていた、少女達の中に訳の分からない物が込み上げてくる。

少女の視線がブラックボックスに向く。システムを乗っ取ろうとした。

 

「もう遅えよ!最初に止めようとしなかった時点でお前の負けだ!」

 

コズンが最後のスイッチを入れた途端、白い光が辺りを包む。

オデッサ基地の北にある丘にて核爆発が起き地表近くにまで被害が及んだ。

幸い、地表のジオン軍は地下から戻ったランバ・ラルの言葉で素早く避難し影響はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうか、サーバーは破壊し兵士とアンドロイドを一体ずつ失ったか。それにネットワークの端末か」

 

オデッサ基地へと戻ったランバ・ラルは、作戦の成功と自分の入手した情報をマ・クベに報告していた。

 

「その少女達は…基地の内部も把握していると言ってましたが」

 

「ハッタリの可能性も無きに非ずか。一応ギレン閣下に報告しておく。保護した四号というアンドロイドはどうしている?」

 

四号の意識が途切れた後、A2が四号をオデッサ基地に持ち込んでいた。

ランバ・ラル隊や22B達は良い表情をしなかったが、A2が土下座までして四号を救って欲しいと言い出しランバ・ラルが入れるよう言った。

 

「現在、メディカルルームでウイルスの除去と無茶苦茶になった関節の修理を行っています」

 

「そうか、治り次第HLVで直ぐにガルマ大佐の下へ返す。A2が足を引っ張り過ぎた」

 

現在、オデッサ基地のA2への感情は最悪であった。

何処から漏れたのか、A2がランバ・ラル隊の足を引っ張り、その所為でコズンと8Bを失った事になっていた。

ジオン兵はそこまででもないが、アンドロイドの感情が完全にA2を拒否していた。

こうして、2B達は四号の修理が終ると共に昼の国のジオン基地に戻された。

 

 

 

 

 

後日、

バンカーから新しく送られた8Bは何か違和感を感じていた。

 

「如何したんですか、隊長」

 

22Bが聞くと、

 

「いや、ランバ・ラル隊に戻って来たが何か忘れてるような気がしてな。とても大事な何かが」

 

「そ、そうですか?」

 

「私の心の大事な部分が零れ落ちたような…そんな気がするんだ」

 

コズンの記憶を消された8Bが淡々と告げる。

その眼には涙が流れていた。

真実を言う事を禁じられている22B達は何も言えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




コズンが良い男風になっちまった。
アンドロイドは人類を敬愛するようプログラムされてるから付き合いもするさ。たぶん…
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