機動戦士オートマタ   作:一種の信者

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16話 人形と怪物

 

 

3…2…1…0。

オデッサ基地から一機のHLVが打ち上がる。

中には採掘した資源と2B達を始めとしたアンドロイド達が乗っていた。

彼等は、途中で大気圏外で待機しているムサイ級を経由して昼の国に行くHLVに乗り換える事になっていた。

 

四号は二日ほどの治療で全快したが、人間を刺した事を覚えており罪悪感に苛まれた。

更には、オデッサ基地のアンドロイド達も人間達の足を引っ張ったA2や操られてたとはいえ人間を刺した四号を許してはいない。人間の手前、排斥や暴行はされなかったが、そんなアンドロイドの心情を見抜いたマ・クベが急ぎ、HLVを手配した。

 

「つまり、君は私のデータを元に造られたから、私がお姉ちゃんだね」

 

「稼働時間で言えば僕の方が長いですよ」

 

四号と4Sが談笑してる。

内容は、同じ四号型からどちらが姉か兄かという話であった。

尤も、4Sとしては四号が姉になろうが妹になろうがどちらでも良かった。

どちらにせよ、傍目から背の低いスキャナー型の4Sが弟扱いされるだろうから。

尤も、A2の目からは四号が無理してる事に気付いている。

 

操られていたとはいえ守るべき人間を傷つけた事に精神が病んでいた四号は自害も辞さない程追い詰められていたが、ランバ・ラルの叱咤により自害は止めた。

 

『死にたければ勝手に死ねばいい。しかし、お前が死ねばワシの部下のコズンと8Bの死が無駄になる。それだけは忘れるな』

 

正直、A2は上手いと思った。

人間を思慕するようプログラムされたアンドロイドに、その言葉は薬であり麻薬でもあった。

人間の死を無駄にする事なぞ当然出来る筈もなく四号は自害という選択肢を選べなくなった。

尤も、ランバ・ラルにとっては四号を助けたのは偶然でコズンが死んだのも敵のサーバーの破壊が目的であったが。

 

 

 

HLVが大気圏外へと着き、2B達はムサイを経由して昼の国に行くHLVに向かう。

その途中に、四号が周囲を見回す。

真珠湾降下作戦の時までの記憶しかない四号に人間のジオン兵は魅力的であった。

その様子に、A2が笑みを漏らす。

A2も当初は四号の様に周囲を見回したり、ジオン兵の様子を観察したりもしていた。

 

「見て、A2。あの戦艦、変わった形してるよ!」

 

人間が造った戦艦に四号の目が輝く。

 

「あ、ああ、そうだな」

 

初めて見るのはA2も同じだった。

そして、2B達も。

 

「パプワ補給艦を外から見たことありますけど、戦艦も変わってますね」

 

「うん。こんな構造の戦艦なんて見たこと無い」

 

「それ以前に、宇宙戦艦なんてアンドロイド軍も持っていない筈ですけど」

 

ムサイの戦艦内部を見つつ5人は用意されたHLVへと乗り込む。

それぞれ、もう少しムサイの内部を見たかったがアンドロイドで軍人である自分達が我儘を言う訳にはいかない。

5人を乗せたHLVが降下する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無事、HLVが降下し昼の国の基地に到着する。

HLVを降りた2B達に違和感を感じた。

ジオン兵やアンドロイド達が忙しなく動いていたのだ。

キャンプのある場所へと向かうとアネモネが他のアンドロイド達に指示をだしていた。近くにガルマの姿も確認できる。

 

「アネモネ、何かあったの?」

 

2Bがアネモネに話しかける。

ガルマは部下と重要な話をしてるようなのでそっとしといた。

アネモネが2Bに口を開きかけた時に、アネモネの目が四号を捉えた。

 

「四号!報告で聞いていたが本当に生きてたんだな」

 

「あははは…生きていたと言うか生き返されたような」

 

懐かしい顔に会えて笑顔を浮かべるアネモネに比べ四号は苦笑いの表情をする。

人間を傷つけた事を気にしてるのかアネモネの嘗ての仲間を思い出したのだろうとアネモネとA2が考えた。

少し四号と話した後に、アネモネが2Bに視線を向ける。

 

「話が逸れて悪かったな。実はな、我々アンドロイド軍がジオンに譲渡した空母があるんだが、それが近々補給の為に戻って来るんだ」

 

そこで、9Sが「ああ」と何か思い出す。

 

「空母ブルーリッジですよね。データで見たことがあります」

 

しかし、そこで4Sが口を挟む。

 

「ブルーリッジⅡじゃなかったっけ?9S」

 

「4S正解だ。話が早くて助かる」

 

「空母の護衛でもすればいいのか?」

 

「いや、君達に頼みたいのは、海岸沿いに配備されてる補給用ミサイルのほうだ。最近、あの付近で敵性機械生命体の出現が多数報告されていてね。モビルスーツ隊とアンドロイド部隊が対応してるんだが数が足りないらしいんだ」

 

「任せて下さい」

 

9Sが快く引き受ける。

戻って来たばかりだが、オデッサ基地で調整も済んでいるので戦闘には支障ない。

5人は急ぎ、海岸に行こうとしたが、

 

「ちょっと待って、先に物資を補給しといていいかな」

 

4Sがそう言う。

一瞬文句を言いかけた9Sだが、最近の連戦で回復系の物資も尽き欠けていた事を思い出す。

2Bの顔を見ると、まだ余裕がありそうな雰囲気だったが、先に補給した方がいいだろうと判断し道具屋に行く。

 

 

 

「あ、いらっしゃい」

 

道具屋へ来た5人だが、2Bと9Sが少し驚く。

前の道具屋の店主と違い、女性タイプのアンドロイドが店番をしていた。

9Sが以前のお店の人はどうしたのか聞こうとしたが、

 

「お、ヨルハのお二人さん、久しぶりじゃねえか」

 

「へ?…もしかして、前の店主さん義体変えたんですか?」

 

「おうよ!」

 

どうやら、中身はあの時の店主のアンドロイドのようだ。

 

「あの…その義体どうしたんですか?」

 

「いや、こっちの方がジオンの兵隊さんからの人気もあってな。思い切って変えてみた」

 

最近、男性アンドロイドの数が減りつつある。

機械生命体との戦闘で戦死してるのもいるにはいるが、大体の理由がジオン兵と関係していた。

ジオン兵は、基本的に男の兵士が殆どだ。女性の兵も居るが完全に少数派だった。

そんな、男たちが女性型のアンドロイドと仲良くなるのに時間は掛からなかった。そして、男性型のアンドロイド達にある感情が生まれた。

 

嫉妬だ。

 

ジオン兵にではない。同胞である女性型のアンドロイドにだ。

アンドロイドの人類に思慕するプログラムは当然男性タイプにも持たされている。

 

もっと、人間と仲良くなりたい。もっと人間と話したい。もっと人間と…

 

その思いゆえに男性型アンドロイドが女性型の義体に転向する事が多くなった。

店主もその一人だ。

アンドロイドは男女どころか同姓同士の恋愛も珍しくはない。人間の真似もアンドロイドとっては日常の楽しみなのだ。

しかし、本物の人間が居れば話は別である。女性タイプの方がジオン兵と仲良くなれるなら彼等も女性タイプに転向する事に躊躇いなどなかった。

その事実を報告で知らされたガルマは若干引き攣った表情をしていた。

 

「オリジナルパーツに拘っていた人はどこいったんでしょうね」

 

店主の言葉を聞いた9Sが呟く。

尤も、内心女性型になるのもありかな。とも考えていた。女性型になれば2Bが人間の男の事を好きになっても一緒に居られると思ったからだ。

 

話も聞いた一同はさっさと目当ての道具を買い海岸へと急ぐ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5人は、海外沿いの補給用ミサイルが配備されているエリアに入り込む。

通称を「水没都市」と言われている。その名の通り大半の建物は海中に沈んでいる。

9Sが集めた情報曰く、前回の大戦で地盤が破壊され街全体が沈下しつつあるようだ。

地面には、先程破壊された機械生命体の残骸が散らばっている。

空には何機かのドップが飛び交い、地表にはザクやグフが小型の機械生命体を蹴散らしていた。

 

「何、アレ?」

 

そこで、2Bの目にある物を捉えた。

カエルとバッタを足したような機体だ。

機械生命体ではない。ジオン兵が乗っているからだ。

 

「ああ、あれはワッパですよ」

 

2Bの質問に答える9S。

 

「ワッパ?」

 

「言わば、ホバーバイクって奴です。基本的にジオンの歩兵部隊が乗ってるんですけど、アンドロイド達の間でも結構人気があるんですよ」

 

ジオンが開発した起動浮遊機と呼ばれる陸戦兵器である。

コックピットは剥き出しだが前後のローター(ファン)により、機動力や走破性はジオン軍の兵器の中でもトップクラスである。

最大数十メートルの上昇も可能で機械生命体への対応力も高い。

本来は一人の乗りだが、最大四人まで乗れ、アンドロイドでも乗れるよう設計されている。

運転のしやすさや細かいカスタマイズも可能でありアンドロイド達の中にも熱烈なファンがいる。

 

「ホバーバイク」

 

飛行ユニットとは別の乗り物に2Bが呟く。

視線の先には、数機のワッパが機械生命体の飛行型と戦闘をしていた。

 

 

 

未だに多数の敵性機械生命体が徘徊している。まるで機械生命体の見本を並べている様に種類が豊富であった。

それらを片っ端から破壊して、補給用ミサイルの設置場所へと急ぐ。

途中、四号がザクの大きさに驚いたりしたり、負傷したジオン兵やアンドロイドの治療などしつつミサイルの近くまで来た。

直後に、2Bと9Sのポッドから通信画面が表示された。「緊急通信だ」と副指令の声が聞こえた。

 

『現在、我々の保有する空母が機械生命体の攻撃を受けている。モビルスーツ部隊も対応に当たってるが飛行型の数が多すぎる。2Bと9Sは飛行ユニットに乗って空母の護衛をしてほしい。残りは地上の機械生命体の対応にあたってくれ。ガルマ指令の許可も貰っている』

 

そう言い終えると共に通信が切れ目の前に二機の飛行ユニットが降りてくる。

バンカーから既に発進してたのだろう。

 

「副指令って人使い荒いですね」

 

「今に始まった事でもないさ」

 

9SのボヤキにA2が答える。

「私の事、何も言わなかったな…」と四号が寂しそうに言う。「緊急事態だからね」と慰める4S。

飛行ユニットに乗り込み、急いで空母へと向かう二人に引き続き地上の敵性機械生命体の撃破に勤しむ三人。

 

 

 

 

飛行ユニットに乗った2Bと9Sは急ぎ、空母へと向かう。

はっきり言って、空母ブルーリッジⅡが苦戦していた。

飛行型機械生命体が空母の周囲に群がり、引っ切り無しに攻撃をし続けている。

空母の甲板では数機のザクとザクキャノンが機械生命体へ攻撃しているが数に押されてる。

この状況に9Sが「まるで蚊柱みたいだ」と言いつつ、飛行ユニットを機動形態に変え飛行型機械生命体を薙ぎ払う。

ある程度、飛行型機械生命体の排除をした2Bの耳に9Sの「大型の敵」の報告が入る。

大型の飛行兵器が接近してくる。

ジオン軍のガウの登場により撃墜数が上がっているが大型兵器の火力は未だに脅威であり、空母を一撃で大破させることも容易だ。

 

「9S!上昇して!」

 

早めに倒せねばと2Bは飛行ユニットを加速させ、9Sもそれに続く。

小型の飛行型を破壊し大型兵器に接近し砲台の破壊に成功する。

邪魔する小型兵器をあしらい大型兵器への攻撃を続ける。途中にドップ部隊の手助けもあり次々と大型兵器にダメージを与える。

ドップ部隊の攻撃もあり、飛行型機械生命体と大型の飛行体の撃墜に成功した。

 

飛行を維持出来なくなった大型飛行体は海へと叩きつけられるように落ち爆発四散する。

 

「これより空母の支援に移行する」

 

それを確認した2Bが空母に向かおうとしたが、

 

「ちょっと待ってください。何だこの反応」

 

9Sのレーダーが新たな敵影を捉えるが、2Bが周囲を見回すが小型の飛行体だけであった。

9Sの誤報かと思った次の瞬間、緊急広域通信が入った。

 

『此方、マッドアングラー隊隊長、シャア・アズナブルだ!ブルーリッジⅡへ、急ぎ回避運動を取れ!繰り返す…』

 

「マッドアングラー隊?」

 

マッドアングラー隊。

ジオンがアンドロイド達から譲渡された潜水艦を中心とした部隊の一つ。

主に、潜水艦の実験及び機械生命体の海洋戦力殲滅の為に組織された。アトランティスと呼ばれる機械生命体の海上都市の情報を聞いたキシリア少将とドズル中将によって造られた。

隊長は、5機の超大型機械生命体、エンゲルスを破壊した赤い彗星の異名を持つシャア・アズナブル少佐だ。

今迄、3つの海底基地と海の傍にあった機械生命体の拠点破壊など成果をあげており、今回は空母ブルーリッジⅡの護衛をしていた。

 

「!反応が強くなった!」

 

9Sの驚愕の声を上げると共に轟音が響き、同時に目の前の海面が盛り上がる。

一瞬爆発かと考えたが、空母が咥え上げられるように持ちあがる。そこで、初めて「何か」が空母に噛みついたと判断できた。

次の瞬間、船体は噛み千切られ真っ二つにされ爆発し海面へと叩きつけられる。

甲板にいたモビルスーツも一緒に海面に叩きつけられる。

通信機からジオン兵の叫びが聞こえた。

 

「ば、化け物だ!?」

「かあさあああん!!!」

「火…火が、爆発する!」

 

その声も海中に沈みと共に聞こえなくなった。

 

 

 

 

「なに…あれ!?」

 

その姿に2Bも絶句する。

クジラの様な姿の機械生命体だが、今までとは桁違いの大きさなのだ。

三つの大きな目と、その下の小さな四つの目。その目の光が敵である証拠だった。

こいつの前では超大型機械生命体のエンゲルスすら子供に見える。

 

そして、その姿は、水没都市で戦う全てのジオン兵とアンドロイド達も目撃した。

 

「う…撃てぇぇぇぇぇ!!!」

 

アンドロイドが言ったのかジオン兵が言ったのか、モビルスーツ隊もドップ部隊も一斉に新たに表れた機械生命体へと攻撃する。

ザクマシンガンやザクバズーカ、ミサイルなどが、巨大機械生命体に命中するが、それが効いている様子も無く目からレーザーを撃ち、ドップ部隊が死に物狂いで避ける。

 

2B達も巨大機械生命体に近づき攻撃しようとするが、体表の電磁波防壁に近づけず、衛星からのレーザー攻撃でも無傷だった。

ならばと、9Sは海岸沿いに置いてあった迎撃砲で巨大機械生命体を撃つ。

近くのザクも併せて、ミサイルポッドを撃ち援護する。

何度目かの迎撃砲の弾丸が巨大機械生命体の口内に命中し大爆発を起こす。

大量の煙が上がる中、2B達は巨大機械生命体を倒したかとも思ったが、緊急通信が入る。シャア少佐だ。

 

『総員退避しろ!繰り返す、総員退避しろ!化け物にダメージが入ったようすはない!』

 

直後に、煙から飛び出すように巨大機械生命体が姿を現した。

更に、2B達が目を疑った。

巨大機械生命体が立ち上がったのだ。

只でさえ巨大な機械生命体が更に大きくなった。もはや怪獣だ。

 

誰しもが唖然とする中、怪獣の体に光が広がる。

EMP攻撃だ。

その攻撃に、アンドロイドはおろか、EMP対策をしてる筈のドップやザクまで次々と停止していく。

EMP攻撃は海岸に居た、2B達にも及ぶが9Sが咄嗟に張ったバリアで事なきをえる。

その代わり、モビルスーツ隊の多くは停止した。

EMP攻撃を交わした2B達だったが、怪獣は腕を振り回す。

回避も出来なくなったザクが次々と吹き飛ばされ、2B達も標的になった。

二人が急ぎ、飛行ユニットで離脱しようとするが、あと少しというところで吹き飛ばされる。

直前に、飛行ユニットに乗れたが姿勢制御も出来ず落ちるだけだ。

 

地面に叩きつけられると身構えるが、衝撃の代わりに背中が引っ張られる感覚がした。

 

「大丈夫ですか、2Bさん」

 

「パスカル?」

 

2Bはパスカルが、

 

「平気か、ナインズ」

 

「ガルマ?」

 

9Sはガルマのドップが助けていた。それぞれが礼を言い、飛行ユニットを制御して浮かぶ。

助かった事に安堵するが、目の前にはまだ怪獣が居り2Bと9Sが睨みつける。

 

「緊急事態だと聞いてはいたが、何だデカ物は?」

 

「あの巨大な機械生命体は過去に廃棄された兵器なんです」 

 

2Bを助けたパスカルが目の前の怪獣の正体を話す。

 

「アンドロイド殲滅用として造られたんですが、上陸した途端に暴走して敵味方の区別なく攻撃を始めたんです。当時は、私もネットワークに接続していたので覚えていますが、我々も止める事が出来ず深海に投棄する事になったんです」

 

その言葉を聞いた9Sが続けて口を開く。

 

「バンカーに敵の情報を開示してもらったんですが、三百二十年前に上陸が確認されてます。護衛のレジスタンス達が壊滅したとか」

 

「そんな化け物を我々が倒さねばならん。っと言う訳か。パスカル殿、この乱戦だ。巻き込まれる前に退避してくれ」

 

「分かりました」

 

ガルマの言葉にパスカルは安全な場所へと行く。

空を見ると、別のドップ部隊にドダイに乗ったザクとグフが怪獣に攻撃しているが効いてるようには見えない。

飛行ユニットの武装も全く通用しない。最悪、ブラックボックス反応の自爆をしようにも、敵が巨大すぎて全てを破壊出来るとは思えない。

 

「そうだ、ミサイルだ!」

 

2Bが如何したものかと考えていた時に9Sが叫んだ。

9Sは空母に搭載予定だったミサイルの使用を提案する。

ドップに搭載されてる物より大きなミサイルだ。怪獣の口内に命中すればもしやと考えた。

 

「僕が搭載予定のミサイルを試します。2Bとガルマは妨害されないよう、敵のEMP攻撃ユニットの破壊を」

 

9Sの提案に2Bとガルマが頷く。

9Sが急ぎ、ミサイルの設置場所へと急ぐ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

9Sがミサイル設置場所に近づく。

途中で邪魔する飛行型機械生命体しつつ、とうとうミサイルの傍まで来たが、

 

「そ、そんな!?」

 

9Sは自分の目を疑い、運の無さに絶望した。

ミサイルの発射台が拉げ、ミサイルも折れ曲がったり、地面に転がったりしていた。

 

「くっそ!モビルスーツが何でこんなところに!」

 

発射台を潰した原因、機能を停止したザクがミサイルの発射台を潰してしまったのだ。

怪獣に吹き飛ばされたモビルスーツの一機だった。

爆発してないだけ幸運ともいえるが、発射台が使えないとなると9Sの作戦は無駄となる。

 

「何か…何か手は無いのか?」

 

周囲を見回して、何か使える物が無いか探す9Sだったがそんなものはない。っとそこでポッドがある報告をした。

 

『報告;モビルスーツ内に微弱な生命反応あり』

 

「生命反応?…!脱出していないのか!?」

 

近くに飛行ユニットを止め、ザクの方に走る9S。

幸い、コックピットの入り口が上を向いており、開くのに手間は掛からなかった。

コックピット内を見た9Sの目に落下した衝撃の所為かヘルメットが外れ頭から血を流すジオン兵を見た。

 

「シッカリして下さい!今、助けます!」

 

9Sがシートベルトを外してジオン兵の救助に入る。

無事に、ザクから降ろすと同時に別行動していた4S達が近づき、負傷したジオン兵を預けると、9Sは倒れたままのザクを見る。

 

「そうだ、こいつを使えば」

 

 

 

 

 

ザクのモノアイが光りゆっくりとだが立ち上がる。

かなりぎこちない動きに9Sも四苦八苦する。

 

「EMPの所為か、基礎プログラムまで穴らだけだ。…よし、いい子だ」

 

破損したプログラムを応急処置しつつ、9Sがザクをハッキングで動かす。

何度か、メイの手伝いでザクのOSを見ていたから、何とか動かしてはいた。

人が乗って動かすより遥かに遅くぎこちないが、仕方がない。

ザクが地面に転がるミサイルを斜めに支える。

発射台が使えないないならザクを発射台にしようと考えた。

途中で、2BからEMP攻撃ユニットの破壊に成功との報も入り、9Sも急いでいた。

 

『発射;可能』

 

「よし、発射!」

 

ザクのハッキングを止めミサイルのハッキングを行う。

ザクのモノアイ光りが消え、ミサイルのロケットに火が付く。

9Sの目論見通り、ザクがミサイルの発射台として機能し、飛行ユニットでミサイルに取りつく。

役目を果たしたザクはゆっくりと後方に倒れ、発射不能となったミサイルの上に倒れ、直後に爆発音が9Sの耳に入った。

少し、ザクに感謝をしつつ9Sは飛ぶミサイルの制御に入る。

 

「姿勢制御が予想より重い」

 

『警告;障害物に注意』

 

敵のエネルギー弾が飛び交う中、9Sはミサイルの姿勢制御に苦労していた。

後少しで、怪獣まで届くという距離で問題が発生した。

 

『警告;ミサイルの亀裂から燃料漏れ』

 

「そんな!これが一番まともだと思ったのに!」

 

ミサイルのロケット部分から燃料漏れが発生、ポッドが咄嗟に飛行ユニットとミサイルの距離を開けると共に空中爆発した。

9Sはそれを茫然と見つめていた。

 

「9S!ミサイルは?」

 

大きな爆発に気付いた2Bとガルマが茫然とする9Sに近づく。

9Sは首を横に振るしかなかった。

 

「作戦は…失敗です…」

 

「そう…」

 

9Sの悔しそうな声に2Bが呟く。

最早、打つ手なし。絶望が2B達に訪れた。

戦場である筈なのに、一瞬静けさが漂う感覚がした。

 

「ん?あれは…ガウ」

 

そこで、ガルマは此方の援軍として来たガウとドップ部隊に気付き、何かを思いついた。

 

「ナインズ、2B、君達はドップ部隊の掩護をしてくれ。私に一つ考えがある」

 

そう言って、ガルマは2B達の返事を聞かず、ガウ攻撃空母へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ガウをあの怪物にぶつけるですって!?」

 

ガウに乗り込んだ、ガルマはブリッジへと行き、艦長たちにこのガウを怪物にぶつけろといった。

艦長を始めとしたクルーはガルマの正気を疑うが、

 

「君達も見た筈だ。あの怪物はガウのメガ粒子砲も効果が無い事を」

 

その言葉に、艦長たちも言葉を詰まらせる。

事実、ガルマがブリッジに到着する前に何発もメガ粒子砲を撃ったが、怪物に当たると共に四散するだけだった。

 

「艦長、投下用の爆弾はまだ使ってはいないのだろう?」

 

「はい、爆弾なら満載です」

 

この時点で、ガルマの言いたい事も分かった。

ガウの質量と投下用の爆弾の破壊力を合わせれば幾らあの化け物でもひとたまりもないだろう。

更に、ガウの動力の熱核反応炉を暴走させて爆発させればさらに良し。

問題は、

 

「後は、オートパイロットであの怪物にぶつかるようセットすれば「ガルマ大佐」…何だ?」

 

「ガウに…ガウにオートパイロットはありません」

 

艦長がガルマにガウの事を説明する。

ガウにはオートパイロットが付けられてなかった。ジオンが論理ウイルスを警戒していたからだ。

事実、コムサイの事件でよりウイルスに対する警戒が跳ね上がった。

長距離を飛ぶ時は、ジオンとアンドロイドの複数のパイロットを搭乗させる事で問題は無かったのだが。

 

艦長の言葉に、ガルマが口を閉じる。

この作戦を実行するということは誰かがガウを操縦する為に残るということだ。

一瞬の沈黙が流れる中、アンドロイドの一人が手を上げる。

 

「自分がガウを操縦します。皆さんは早く脱出を」

 

それを見た他のアンドロイドとジオン兵も挙手する。

 

「お前だけを残していけるか!」

 

「艦長の私も残らねばな」

 

それぞれが言う中、ガルマは懐から拳銃を取り出し突きつける。

 

「いや、ここは言い出しっぺの私が残ろう。諸君はさっさと出ていきたまえ」

 

拳銃を突きつけ出ていくよう言うが、誰もガルマの言う事を聞かず、ブリッジのクルーは配置に付き、他のクルーに脱出するよう艦内放送する。

その放送に、ブリッジのクルー以外のジオン兵とアンドロイドの避難が終了する。

 

「君達…」

 

「申し訳ありませんが、艦長の私が逃げては他のクルーに示しが付きませんので」

 

「第一、ガルマ大佐が一人でガウを動かせるんですか?」

 

ブリッジのクルーに逃げる意思は無く、クルー達も拳銃を使ってまで残ろうとしたガルマを説得するのは不可能だと判断した。

 

 

 

 

 

怪獣の放つ弾幕に臆せずガウは真っ直ぐと怪獣に向かう。

 

「ガルマ、早く逃げるんだ!ガルマ!」

 

直前に通信でガウを怪獣にぶつけると言われた9Sと2Bはガルマ達に脱出するよう言うが通信を切ってるのか繋がらない。

 

「9S、此処は退こう。ガルマの言った通りだったらこの辺も…9S!?」

 

2Bが9Sが自分の近くに居ない事に気付いた。

 

 

 

 

 

 

 

怪獣の弾幕がガウの所々に命中し、小規模な爆発が起こる。

遂には、ブリッジの付近にも命中し、ガラスが砕け操舵手のジオン兵の頭が吹き飛ぶ。

 

「くそ、操舵手が死んだ!」

 

「私がやる」

 

死んだ操舵手の体を退かしガルマが操縦桿を握る。

強烈な風がガルマに吹き付ける中、ガウは少しづつ怪獣へと迫る。

 

「ガルマ!」

 

そこで、ガルマが自分を呼ぶ声に気付く。

 

「ナインズ、何故君がここに!?」

 

「君を助けに!友達だろ!」

 

「何を言っている!危ないから早く「お許しを、ガルマ様」!?」

 

艦長がガルマの首の裏に一撃を与え気絶させる。

気を失ったガルマを9Sに渡すクルー達。

9Sが「すみません、僕一人では貴方達、全員を助ける事は…」と謝罪を口にするが、艦長は首を横に振る。

それを、見た9Sは気絶したガルマを支えガウから離れる。

やっと肩の荷が下りた艦長は操縦桿を握り、怪獣を睨みつける。

 

「ジオン軍人の魂を見よぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

ジオン軍人の気迫に恐怖したのか、威嚇のつもりか怪獣は大きく口を開け咆哮する。

そして、ガウは怪獣の口を塞ぎ、大爆発を起こす。

直後に怪獣の体が連鎖的に爆発を起こす。そして、大爆発の衝撃波が起こり周囲のジオン兵達に襲い掛かる。

2Bも例外ではなく、動作不良を起こした飛行ユニットが停止して海中に投げ出される。

 

大量の海水が口内に入り、沈む2Bの目に赤いカニのようなモビルスーツが見えたのを最後に意識が途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




道具屋のアンドロイドの性別が分かりませんでしたが一人称が俺だったので男性タイプだと思います。


そして、ガルマがまた無茶をする。
モビルスーツ隊も被害が甚大。主にザクが、


ところで、誤字報告って一回見ると消えるんですね。…どうしましょう…
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