機動戦士オートマタ   作:一種の信者

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20話 イブ

「ふあ~~~」

 

「伍長、任務中ですよ」

 

昼の国、ジオン基地の出入り口の門番のジオン兵とアンドロイドの複数が警備をしている。

その最中にジオン兵が欠伸をし、傍に居たアンドロイドがたしなめた。

 

「しょうがねえだろ。昨日遅くまで飲んじまったんだから。それに、機械生命体も早々襲ってこないって」

 

「…だと良いんですけど」

 

しかし、彼等はまだ気付いていない。

目の部分を赤く光らせた機械生命体が徐々に集まってきてる事に、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ~、やっと来れた」

 

整備の終わったアクセスポイントから出た9S。

授章式から大分時間が掛かったが周りはまだお祭り騒ぎである。

ジオン兵同士、アンドロイド同士、または人間とアンドロイドが混じって騒ぐ。

 

「あっ、やっと来たの?9S」

 

自分に声を掛けた方を見ると4Sが近づいていた。

A2と4号も居る。

 

「遅かったね、授章式終わっちゃったよ」

 

「やっぱり?整備が終わって直に来たのにな」

 

4号の言葉に9Sが肩を落とす。

 

「2Bも寂しそうにしてたぞ」

 

「本当ですか!?」

 

「A2、嘘言わないで」

 

「2Bさん」

 

4人の語り合いに2Bも合流する。

 

「嘘…なんですか?」

 

「『寂しそう』じゃなくて寂しかった」

 

「嘘」と言う言葉に9Sが落ち込み掛けるが2Bの訂正した言葉に元気になった。

その反応に、2B以外のアンドロイドは肩をすくめたり溜息をついたりする。

 

今日も何時も通りの任務が待ってるだろうと思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!ウーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!

 

 

 

 

 

 

 

 

突如響くサイレンにその思いは消えた。

 

「警報!?」

 

「…何時もの奴より、何かおかしい?」

 

昼の国のジオン基地は、周囲を制圧していたが周辺の機械生命体は闊歩し続けていた。

それ故に、基地は度々機械生命体の襲撃は起こっていた。

しかし、小規模での襲撃が主だったので簡単に蹴散らすことが出来た。

大型機械生命体の襲撃事体も2~3回位しかない。

だが、裏を返せば完全に駆逐は不可能であった。

数が多すぎる上に排除しても次の日には別の機械生命体が闊歩しているのだ。

現場からしたら堪ったものではない。

だからこそ、機械生命体の生産拠点と思しき工場廃墟を占領し辺りを闊歩する機械生命体は確実に減り度々鳴っていた基地の警報も静かになっていた。

そして、攻撃してこない機械生命体は放置せざるを得ない。

 

だから、最初は誰もが小規模な機械生命体の群れが来たのだろうと楽観視していた。

 

「おい、何か飛んでくるぞ」

 

一人の兵士が空から何か来るのに気づく。

その声に、他の兵士達も空を見る。

 

「飛行型の機械生命体が他の機械生命体を連れてきてるぞ!!」

 

空を飛ぶ物の正体に気づいた2Bが大声で伝える。

その直後に、慌てた軍人たちが持ち場に戻る。

スピーカーからは『モビルスーツ隊発信せよ』と連呼する。

水没都市以来の本格的な戦闘が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「状況はどうなっている!?」

 

「東、南側のゲートにも機械生命体が!」

 

「北側のゲートが突破!?中に押し寄せてきます!」

 

指令室では、ガルマとデボルポポルの二人と数人の部下が情報を集め指示を出していた。

モビルスーツ隊も出ているが機械生命体は今まで以上に数が多く歩兵の銃どころかレジスタンス達の銃すら効かなかった。

 

『て、撤退を!撤退命令を!あいつ等、俺たちを食う気だ!俺の部下が食われてる!…ゲートは持たない!』

 

「落ち着け、何を食うって?アンドロイドか?」

 

『アンドロイドも人間も関係ない!あいつ等、部下達の体を食いちぎってい……こっち来るな、止めろ!寄るな……ぎゃあああああああああああああああががっががががっがhjjhjhdfhhンgf

 

 

 

通信機から断末魔の叫びと共に何かを引き千切る音と咀嚼音が聞こえる。

スイッチを切ったガルマはデボルとポポルに目線を向ける。

 

「……機械生命体はアンドロイドや人間を食べるのか?」

 

「…聞いたことありません」

「攻撃はされてたけど『食い殺された』なんて記録はない」

 

アンドロイドと機械生命体の戦闘は数千年続いている。

その間の、記録にアンドロイドが機械生命体に捕食されたなどの記録は一切無い。

もし、今まで捕食されていたとしたら、それこそネジ一本残らず食われていた事になる。

 

「なら、奴等は突然食にでも目覚めたか旧世紀の映画のゾンビになったというのか?兎に角、出し惜しみしてる余裕はない。全部隊出撃命令だ!本国より送られたプチモビも出撃しろ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

『全部隊出撃せよ!全部隊出撃せよ!これは演習ではない!繰り返す、これは演習ではない!』

 

拡声器からのポポルの声が基地に響き渡る。

一部、未だ楽観視していた兵も急いで持ち場に戻る。

銃撃戦が起こったりするが、今回の機械生命体は銃の効き目が無かったりするが、援護に来たザクのザクマシンガンの砲弾まで無効に出来ず次々とバラバラにされていく。

そんな中、2Bが数機の機械生命体を切り刻む。

 

「ポッド!」

 

2Bの声にポッドもレーザーで機械生命体を攻撃。

攻撃を受けた機械生命体は爆発四散する。

一息入れる2Bだが、突破されたゲートから赤い目をした機械生命体がワラワラと侵入する。

軍刀を構える2Bだが、機械生命体の群れに巨大な弾丸が降り注ぐ。

後ろを見ると、数機のザクがザクマシンガンを連射していた。

他にも、ドムやグフも出撃し基地に入った機械生命体を掃討している。

もう大丈夫だろうと、軍刀を戻す2B。

 

「こっちは終わったよ2B」

 

っと、少し離れていた場所の機械生命体を相手にしていた9Sが合流する。

A2と4S達は、反対側の方で対応していた。

 

「…被害は?」

「…正直分からない。ゲートの守備隊は壊滅状態。ジオン兵も多数…」

 

そこまで聞いて2Bは奥歯を噛みしめる。

それは、9Sも同じだった。

『人類を守る』というプログラムはアンドロイド達に標準的に組み込まれている。

そのプログラムが、機械生命体を許すなと叫ぶ。

 

『報告:基地に侵入した機械生命体は全滅』

『報告:基地に近づく機械生命体の減少』

 

二人に付いてるポッドが報告する。

辺りを見回すと、各地で煙が上がってるが戦闘音もだいぶ落ち着きつつある。

負傷したジオン兵やアンドロイドが次々と医療室へと運ばれてゆく。

未だ、ザクが忙しなく動き回ってるが一息付いていいだろう。

 

『報告:ガルマ大佐より通信』

 

言い終えると共にポッドがガルマの映像を映し出す。

 

『二人ともご苦労だった。機械生命体の侵攻は何とか食い止められた』

 

「突然の事にビックリしたよ。大型機械生命体は確認された?」

 

9Sが以前の機械生命体の侵攻に大型機械生命体が多数いた事を思い出し警戒して聞く。

それに、ガルマは首を横に振る。

 

『この辺では確認されてないが、どうも同時期に他のジオン基地も襲撃を受けたそうだ。そこでは大型機械生命体も確認された。…尤も既に撃破した報告が来てる』

 

「そうか~」

 

それを聞いて安心する9S。

自分達で大型機械生命体を相手にするのは厳しい。

味方のサポートが出来てもモビルスーツの足元でウロチョロする訳にもいかない。

 

『ところで二人とも、少し頼みがあるんだが』

 

「頼み?」

「何ですか?ガルマ。僕達の仲です、何でも言ってください」

 

ガルマの言葉に9Sが気軽の答える。

やはり、人間に頼られると嬉しくなるのだ。

 

 

 

 

その数分後、

 

 

 

 

 

「いやぁ、よろしくお願いします」

 

「ああ、ハイハイ」

 

パスカルが2Bと9Sにお礼を言い、9Sが素気なく返す。

ガルマの頼みとは、パスカルが村に帰るまでの護衛役だった。

外には未だに赤い目をした機械生命体が襲い掛かってくるからだ。

 

「…パスカル、今回の機械生命体の動き分かる?」

 

すこし考え事をしていた2Bがパスカルに聞く。

それだけ、今回の機械生命体の動きは異常だったのだ。

 

「ガルマ大佐にもお話しましたが、ネットワークに接続されていた機械生命体が一斉に暴走したんです」

 

襲い掛かる機械生命体を切り捨て蹴り上げる。

道すがら半分まで進む。

 

「ネットワーク?ミノフスキー粒子下で?」

 

2Bの疑問に9Sが口を出す。

 

「ミノフスキー粒子はあくまでも戦闘の時にしか撒かない。流石のジオンも四六時中散布は出来ないんだ」

 

ジオンとて、ネットワークや通信端末を使う。

レーザー通信や発光通信では限界があり、戦闘の無い平時まで散布しない。

それを聞いて納得する2B。

 

「じゃあ、暴走ってどういう事?」

 

「はい、正確なところはわかりませんが、全体を統括しているユニットが暴走してたのではないかと。それがネットワークに繋がっていた機械生命体にも伝染したのでは…」

 

パスカルの言葉に9Sは考え込む。

 

 

全体を統括してるユニット。

恐らく、アダムとイブの二人だろう。

アダムは倒れ、残りはイブだけ。

 

 

「あれ?お出かけですか?」

 

何処からともなく少年らしき声がする。

声のした方をみると改造した三輪駆動車に荷物が山積みでやたら目立つ悪い骸骨の様な物を乗せた物が近づく。

一瞬敵かと構える9S達だが、

 

「あ、エミールさん。こんにちは」

 

パスカルの知り合いなのか気軽に声を掛ける。

その車は途中の機械生命体の攻撃も華麗にかわしつつ僕達の目の前に止まる。妙な音楽を流しながら。

でも、何処かで見た事あるような。

 

「こんにちは、パスカルさん。良い天気ですね」

 

「そうですね」

 

2Bと9Sの前で談笑する二体。

 

「パスカル、誰?」

 

途中で2Bがパスカルに「誰?」かと聞く。

そこで、パスカルは「ああ」と言う。

 

「此方は、エミールさんです。商人らしくて、よく私の村やジオン基地に商売しに来てるんですよ」

 

━━━何それ、知らない!

 

誰も話してくれなかった事に軽いショックを受ける9S

それから、少し話をしたエミールに別れを告げるとまた何処かに走っていった。

あまり関係ないが以前、ジオン基地で「自分は人間」だと言ったが子供の冗談(子供の人格の機械生命体だろうと思われた)だと誰も本気にしなかった

 

 

 

 

 

そこから少し歩いていると近場で轟音が聞こえる。

突然の事だったが、廃墟都市の奥の方から響く。

新たな敵かと慎重に壁に隠れつつ近づくと球状のボディの大型機械生命体と大きな盾とビームサーベルに尖がった頭部をしたモビルスーツが戦っていた。

 

「あれもモビルスーツ?」

 

「YMSー15、ジオンの時期主力モビルスーツ、ギャンです」

 

「ギャン?」

 

「量産決定からそんな時間経ってないのにな、…もしや専用機?」

 

ジオンは比較的にエースに専用機が与えられやすい事を思い出す。

あの機体も、データで見た物より青みがかってる。

 

次の瞬間、球状の機械生命体をギャンのビームサーベルが貫く。

暫く暴れる機械生命体だが徐々に動きが小さくなり遂には動かなくなった。

 

『報告:モビルスーツからの交信』

 

『9S、其処で何をしてるんだ?』

 

9Sの返事も聞かず、ポッドから映像と声が出る。

通信相手は、

 

「ガトー大尉!?」

 

『訂正:アナベル・ガトーはこの度、少佐に昇進した』

 

「!?失礼しました!少佐」

 

軍隊での階級の言い間違いは失礼に値する。

だから、9Sは敬礼して謝罪する。

 

『ハハハ、まあ階級は今日上がったばかりだからしかたない。それで、三人はこんな所で何してるんだ?』

 

ガトーの質問に9S達が答える。

一息置き、ガトーが口を開く。

 

『そうか、パスカルの村にか。なら気を付けろ、此奴程ではないが村までのバリケード付近に機械生命体が押し寄せてるのを見た』

 

最後に『気を付けろ』と言い終えると、ガトーは先ほど倒した球状の機械生命体を引っ張って基地に戻る。

見送った9Sと2B、パスカルは急ぎ、パスカルの村と廃墟都市を繋ぐ近道へと行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エイリアンの母船にガルマが囚われていた白い街の入り口がある陥没地帯。

母船の調査やガルマ救出時にジオン兵やアンドロイドが行ったり来たりもしていたが、3機のモビルスーツが蛇の様な機械生命体を撃破していた。

 

「あ~あ、こんなんじゃ手柄にもなんねえぜ」

 

若い一人の兵士がぼやく。

一人前に出世欲はあったのだ。

 

「文句を言うな、アス。また隊長にどやされるぞ」

 

それに中年の兵士が鎮めようとする。

しかし、若い兵士の口から文句が飛び出る。

 

「そうは言うが、何で俺達はこんな辺鄙な所で戦ってるんだよ。UFOの調査も白い街の調査も終わったって聞いたぜ」

 

彼にしてみれば此処を守ろうが調査し終えた物がある場所の防衛など無駄だと考えていた。

足元に群がる機械生命体をアリの様に踏み潰す。

内心、「こんなの幾ら潰しても手柄になんねえだろうな」と考えていた。

と、其処へ女の声が通信機から聞こえる。

 

「ブツクサ文句言ってないで働きな。そんなんだからお前は伍長なんだよ!デル、お前もだよ」

 

ジオンでも珍しい部類に入る女性兵士だ。

女だてらにモビルスーツ隊の小隊長まで昇り詰めている。

 

「でも、トップ隊長。他の部隊じゃグフやドムに乗り換えてるのに俺もデルも未だザクⅡJ型、隊長に至っては旧ザクっすよ。いい加減、新型に乗りたいっすよ」

 

宇宙ではまだ健在だが、地上ではザクから別の機体に乗り換える事は多い。

接近戦の得意なグフや機動性のドム。

どれも、大型機械生命体に有効である。

 

「煩いね、あたしは此奴(旧ザク)の方が乗り慣れてるんだよ。第一、お前に新型を回すくらいなら新兵に渡す方がマシさ」

 

「ひでぇ」

 

二人のやり取りを身が笑いで見守るデル。

その直後に、センサーに反応が出る。

 

「隊長、センサーに反応です。これは……手配されてるアンドロイドもどきです!」

 

「何だと!?」

 

アンドロイドもどき。

ジオンでアダムとイブに付けられたコードネーム兼悪口だ。

それだけ、アダムとイブは機械生命体の形から外れている。

 

「……隊長、居ましたよ」

 

ザクのモノアイを動かしたアスがその姿を見つける。

アスのザクが向く方向に目を向けるとビルの残骸の上に座ってる若い男…イブが居た。

 

「何時の間にあんな所に!?」

 

「何だっていい、手柄を上げるチャンスだ」

 

ザクの右手にヒートホークが握られ少しずつ近づく。

 

「待て、アス!奴はヨルハに任せるべきだ!」

 

アダムとイブのスペックは司令部からも教えられてる。

発見した場合はヨルハ機体を呼び共同で討伐せよと厳命されている。

しかし、アスはその言葉を無視する。

 

「シャア少佐やガトー少佐も手柄を上げて出世したんだ。俺だって!!」

 

ザクを加速させ一気にイブに近づく。

デルとトップは必死に「戻れ」と言うが、ヒートホークを一気に振り下ろす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パスカルの村と廃墟都市を繋ぐ近道にはパスカル達が作ったバリケードがある。

暴走した複数の機械生命体がバリケードを破壊しようと迫るが、2Bと9Sが阻止する。

歩行型が中心だった為、突然の攻撃に対応しようにも方向転換に時間が掛かる。

その間にも、2Bと9Sは難なくその場に居た暴走した機械生命体を殲滅した。

 

「お二人共、ありがとうございます。これで村に帰れます」

 

パスカルが頭を下げ礼を言う。

村へと戻っていく姿を見届けた二人は基地に戻ろうとするが、

 

『報告:緊急通信』

 

ポッドの報告に2B達は直ぐ繋げるよう言う。

 

『緊急事態、緊急事態だ!手配されてたアンドロイドもどきと遭遇、現在戦闘中!!誰でも良いから至急救援を!ザクが一機落とされた!早く救援を!…デル避けろ!!』

 

一方的捲くし立てる通信だったが、それだけ向こうは緊急事態という事だ。

二人は一瞬だけ視線を交わしポッドに場所を聞く。

陥没地帯と聞き二人は急いで向かう。

道中、邪魔する機械生命体も居たが、足止めにもならず撃破される。

 

 

 

 

そして、ポッドの示す位置にまで辿り着くが、

 

「そんな…」

「…全滅!」

 

その場に会ったのは3機のザクの残骸。

それも、どれもコックピットが潰されていた。

そしてそのザクを踏みつける様にイブが居た。

 

「ああ、お前達か」

 

此方に、気付いたイブがゆっくりと顔を向ける。

文章をただ読み上げるような声に2Bと9Sが武器を構える。

しかし、そんな二人を無視する様にイブが言葉を続ける。

 

「お前たちは思わないか?こんな世界、意味がないって」

 

イブがゆっくりと歩きだす。

その顔は笑ってるようにも見えるが悲しそうでもある。

 

「俺にとって…兄ちゃンが…ニイチャンダケガ…」

 

その時、イブの体に異変が起こる。

元々も、体の半分が黒く変色していたが、膨張し体全てを覆う。

だが、2B達が驚いたのは其処ではない。

イブの目から涙が溢れていた。

人間に似せられて造られた自分達なら兎も角、機械生命体にはそういう機能はない。

何故なら、機械生命体は泣く必要がないからだ。

 

周囲の瓦礫やザクの部品が浮かび上がる。

磁石のようにイブの腕に集まり大きな拳を作り上げる。

 

「何デ…ナンで兄チャンがシンで…お前タチが生きてルンダ!!」

2Bと9Sはそれを避け、別々にイブの周囲へと回る。

両方のポッドがビームや弾を撃つが周囲に浮く瓦礫が盾になり上手くいかない。

ならばと、2Bが一気に近づく。

2Bが渾身の力で軍刀を振る。

2Bの体重と重力の力もあり、盾になっていた瓦礫も切られ刃はイブに届く。

体を切り裂かれたイブだが、赤い体液が流れようがお構いなしに2Bに巨大化した拳を振るう。

ギリギリで避けるが2Bは一旦距離をとる。

 

「ニイチャン…にいチャン…」

 

最早、アダムの事しか呟かないイブは2B無数の黒いエネルギー弾を放つ。

その量は尋常でなく機械生命体何十機分に相当する。

これでは、近づく事が出来ない。

 

「ポッド!」

 

自分達に遠距離攻撃する能力はない。

此処は、ポッドに任せるしかない。

しかし、ポッドの攻撃は命中はする物のイブの体は即座に治る。

 

どうすればいいか?

 

考えた瞬間に、黒いエネルギー弾と共に瓦礫も自分達に迫る。

何とか避けていくが、9Sが掠って動きを鈍らせる。

 

「9S!」

「駄目だ!2B、避けて!」

 

一瞬何の事かと疑問を感じたが、視線を戻すと巨大なコンクリートの塊が迫ってきている。

しまった!

9Sを心配して動きを止めてしまった。今から回避行動しても間に合わない。

 

2Bが「ここまでか」と覚悟した瞬間、巨大なコンクリートの塊は爆発四散する。

辛うじて、攻撃を免れた2Bは茫然とするが、

 

「ガトー少佐!」

 

9Sの言葉に視線を向けると、青みがかったギャンが盾を構えて鎮座していた。

 

「遅くなってすまない。アナベル・ガトー、援護する」

 

 

 

 

 

戦線にガトーも加わるが、状況は大して変わってない。

シールドミサイルも逸れるか途中の瓦礫に当たり無効化され、ビームサーベルも弾幕がうっとおしい。

何発も直撃すればモビルスーツとて撃墜される。

一つ、変わったとすれば、

 

「オマエガ、オ前が…兄チャンを!」

 

イブが激高しだした。

 

「兄? アダムの事か!?」

 

「ナンで、ニイチャンをコロシタ!!」

 

「戦場でそれを聞くかァーーーーーーー!!」

 

ビームサーベルで黒い弾幕を掻き消す。

 

「戦いの全ては怨恨に根ざしている、当然の事。しかし、怨恨のみ戦う者に私は倒せん!私は義によって立っている!!」

 

「意味ガわからナイ事を!!」

 

更に激高するイブは、巨大化した腕で殴り掛かる。

ビームサーベルの一閃がイブの体を捉える。

イブの体は横に一刀両断され、下半身が地面へと落ちる。

 

「今だ!」

 

好機と見た9Sが千切れた体のイブに向けポッドの弾幕を喰らわす。

それに、2Bも続き攻撃するが、

 

「ああああああああああああああああアああああAAAAAaaaaaaaaaアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」

 

断末魔の様な声を上げるイブ。

瞬く間に千切れた下半身が回復し元に戻る。

 

更に、

 

「なに!?」

 

イブに破壊されたザクのモノアイが赤く輝き三機のザクが立ち上がる

これには、ガトーもビックリ。

流石の9Sも、これには慌てる。

 

「如何なってるんだ!?」

 

『推測;多数の機械生命体からのエネルギー供給。ザクから論理ウイルスを検知』

 

「論理ウイルスで無理やり動かしてるのか」

 

『可能性大』

 

9Sがイブに操られるザクをジッと見る。

人間が動かす時より動きがぎこちないが、9Sがハッキングした時より動きが速い。

 

 

一機のザクが自分達にザクマシンガンを打ち込む。

すんでの所で避けるが、命中した地面が抉れる。

直撃すれば機械生命体同様アンドロイドもバラバラになる。

ガトーの方に目線を送れば二機のザクを相手にしていた。

ギャンの性能ならザクも圧倒するだろうが、イブが悲鳴と共にエネルギー弾の雨を撃ちまくる。

その所為で、ガトーはザクだけに集中出来ずにいた。

 

「くっ!」

 

2Bが軍刀で切りかかろうとするが、如何しても躊躇ってしまう。

「守るべき人間が乗っていた」自分達(ヨルハ機体)が躊躇うには十分だった。

 

一瞬、ハッキングするべきかと考える9Sだが無茶だと諦める。

イブがガトーに集中してるとはいえ、ハッキング中は一歩も動けない。

動き回るギャンにザクが3機、踏みつぶされずイブに攻撃されない保証など何処にもない。

現に今も、多数のコンクリートの塊を自分達に飛ばしてくる。

 

「くそっ!これじゃジリ貧だ!」

 

この辺りの機械生命体は、それこそ幾らでもいる。

イブは幾らでもエネルギーを補える。

対してこっちは、接近戦とハッキングに遠距離がたいして効いてないポッドが2機。

ガトーの集中力も何時まで持つか…

 

『…つまり、奴のネットワークを如何にかすれば良いんだな?』

 

ポッドの通信から予想だにしない声が聞こえる。

自分達に迫っていたザクに砲弾が命中する。

何発も直撃しザクは再び地に伏した。

ガトーの方も、ザクの背後に砲弾が直撃し爆発、もう一機はギャンのビームサーベルに貫かれた。

更に、上空から飛行機音が響き、上を見ると数機のルッグンがこの辺りを旋回している。

 

 

『報告;ミノフスキー粒子濃度上昇』

『報告;北東の丘』

 

ポッドの言葉に9Sと2Bが北東を見る。

其処には、マゼラアタックの部隊にジオンの高速陸舟艇『ギャロップ』がある。

 

『間に合ったか、9S。我々、ガルマ隊も援護する!』

 

その言葉は、9S達にとって実に頼もしかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦いは熾烈だった。

ミノフスキー粒子の濃度が上がると共にイブの回復速度が落ちる。

ガトーのギャンとマゼラアタックの部隊の砲撃でイブに確実にダメージを与えている。

 

「報告:敵ネットワークの切断に成功」

 

これで、もう回復は出来ない。

 

「くっ、ギャンが!」

 

 

「如何した、砲撃を続けるんだ!」

 

「もう弾がありません」

 

逃げ続けた事でギャンの関節部が悲鳴を上げ、マゼラアタックの部隊の残弾もゼロになる。

ガルマ達は、動かせる部隊がマゼラアタックの部隊とギャロップだけで残りの部隊は、先の機械生命体の襲撃で基地の防衛や整備に回されていた。

今から増援を呼ぼうにも、イブに逃げられる可能性が高い。

 

「2B!」

 

恐らく、これがイブへの攻撃の最大のチャンスと思った9Sは2Bに声を出す。

頷く仕草をした2Bは軍刀を抜き、一気にイブに飛び掛かる。

砲弾で態勢を崩していたイブが急ぎ、2Bに対応しようとするが、2Bの方が幾分早く軍刀がイブの体を突き刺す。

鈍い音と共にイブの絶叫が響く。しかし、2Bは物ともせずイブの体を切りつける。

致命傷を受けたイブが膝から崩れ、土下座のような姿になる。

 

「ニイ…チャン…」

 

今にも機能が停止しそうなイブがボソリと呟く。

一瞬躊躇う2Bだが、軍刀を握りしめイブの頭部を刺し貫く。

イブの機能は完全に停止した。

 

 

 

 

イブの撃破に誰しもが固唾をのんで見守っていた。

丸で一時間も二時間もその場に居る錯覚する程に。

先に声を出したのはガルマだった。

 

「2Bがイブの撃破に成功した!我々の勝利だ!!」

 

その言葉に他のジオン兵も歓声を上げる。

戦死した者も出たが手配されてた機械生命体を倒したのだ。

 

ジオン兵の歓声を上げる姿を見た後、2Bは9Sも元に戻る。

 

「終わったよ」

「…お疲れ、2B」

 

二人が話した直後に2Bは9Sの隣に寝転んだ。

 

「疲れた」

「僕もです」

 

ジオン兵の歓声を聞き9Sも体を横にする。

正直もう一歩も動きたくない程、二人は消耗していた。

その後、味方が回収するまで二人は横になっていた。

 

 

 

戦いは確実に終わりに向かいつつある。




イブが呆気なく見えますが、作者の技量不足ですね。
というか、ゲームのあの戦闘場面どう表現すれば…

因みに、イブの犠牲となったトップ達は、最初はジーンやデニムにしようかなと思ってましたが、「あっ、オデッサで戦闘してた」という事で、原作でも部下の勝手で全滅したトップ達にしました。


次回は、少しオリジナルの展開にしつつ機械生命体との決戦んでも。

ああ、文才が欲しい。
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