機動戦士オートマタ   作:一種の信者

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久しぶりの更新
今更ながらアニメが面白かった、八話からどうなるかと思ったら最終話までの連続配信の力技!
ボスも予想外で良かったし自分的には満足。

あの後の続編で尺があるのかな…


23話 人形+鉄の子宮=大暴れ

 

 

 

 

『我が…なる…オン兵たち…』

 

「おい見ろ、ギレン閣下だぞ!!」

 

「ビデオじゃないよな!?デラーズフリートの持っていた過去のギレン閣下の演説集じゃないよな!」

 

大型モニターの前に何人ものノーマルスーツ来た若者たちが集まる。

スーツの色からしてジオン関係者のようだ。

そのどれもが若く全員が新兵に見えるほどだ。

 

皆はモニターに映るギレン・ザビの演説に夢中だ。

此処は、ジオン残党軍最大勢力が居ると言われるアクシズの内部だ。

ミノフスキー粒子の所為か、単純に電波が悪いのかモニターに映るギレンの姿は砂嵐と交互に映像に出る。

 

「あれが…ギレン閣下…」

 

盛り上がるモニター前の一人がギレンの名を呟く。

まだ年若いパイロットの金髪の少年だ。

その少年は目を輝かせながらギレンの演説を眺める。

 

「まさか…本当にギレン閣下か? ならドズル閣下も…」

 

その少し離れた場所では少年と同じくギレンの演説を見ている色黒の中年の男が立っている。

他の者達よりも上官なのか服装が少し違う。

 

その他にも、バラを持った紳士風の青年や何か興奮している猫目の女性も居り少しカオスであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当か?ハマーン。父上に会えるのか!?」

「はい」

 

少女の声が部屋の内部に響く。

少女だけではない、少女の後方に控えていた世話係の女性たちもお互いの顔を見合わせ慌てている。

ハマーンは現在、アクシズのトップである少女…ドズルの忘れ形見ミネバ・ラオ・ザビの前に跪いてジオン公国の話をしていたのだ。

まだ幼いミネバにはジオン公国が復活したとか、過去のジオン公国と接触したと言っても意味が分からず父と母が生きている事を喜ぶ。

 

そんなミネバを傍らにハマーンは懐から一枚の紙を取り出す。

紙は名簿らしく、何人かの名前が刻まれていたがその一つに目印のような物が付いている。

 

(…前の世界では擦れ違いもあったが、此処では関係ない。今の私はお前と同じ年だ、待っていろよ…シャア

 

ミネバには見えないよう舌ナメずりをしたハマーン。その目は見る者が見れば狩人の目だったと言うだろう。

丁度その頃、地上で敵性機械生命体の工場を破壊した某赤いマスクは背筋を冷やしたそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オペレータータイプは急いで持ち場に付け! その他の者達は直ぐに現場に行ってジオン軍のサポートをしろ!!」

 

「「「了解!!」」」

 

バンカーに戻ったホワイトが各員に通達する。

サイド3からオンボロシャトルをかっ飛ばして戻り、慌ただしく動くバンカー内部のジオン兵と合流し手伝いをする。

オペレター席に座っていたジオン兵とスムーズに変わったオペレータータイプのヨルハも直ぐに自分の仕事に戻る。

 

そして、B型及びS型もそれぞれ動く。

ある者は、整備された飛行ユニットで直接地上に降り、ある者はアクセスポイントを使い直接ジオン地上基地へと向かう。

そして、2Bと9Sも、

 

「飛行ユニットの整備完了! 何時でも行けます!」

 

整備士のその言葉に2Bと9Sが頷く。

四号やA2も後から、HLVで合流する事になっている。二人は用意された飛行ユニットに乗り込むとハッチが開き宇宙へと出る。

 

宇宙では、自分と同じ飛行ユニットの乗り込んだヨルハ機体が地球へと向かう姿を何度も見る。

そして、自分たちも昼の国の上空まで来ると大気圏突入ポイントに付く。

同時に、昼の国の上空にジオンのパトロール艦のムサイやティベが何隻も居る事に気付く。

 

『此方、ジオン地球圏第5パトロール艦隊。所属を知られたし』

 

「此方、地球方面軍ガルマ隊所属ヨルハ機体9S並び2Bです。…所属番号…」

 

艦隊の方も此方に気付いたのか通信が入り9Sがそれに答える。

そして、数秒もせず「確認完了」と返事をもらった二人は飛行ユニットで一気に大気圏を降りる。

 

地上は思ったよりも静かで、所々戦闘音や爆発が聞こえる程度だ。

少なくとも、思ったより平和だと二人は思う。

やがて、地下から出て来たという建造物が見えて来た。

 

「これは…」

 

「…大きい」

 

思わず「大きい」と呟く2B。

それもその筈、其処には以前までは存在しなかったネジれた巨大な白い柱のような物が立っており、周囲からは破壊された機械のパーツが吸い込まれているようだ。

更には、巨大な塔とは別に周囲に三つの柱もあり関係性があると思われる。

 

「ポッド、あれが何か分かる?」

 

『不明;あれらも地下から出現した可能性大』

 

ポッドからの返答にがっかりしながらも周囲を飛び回る。

途中、暴走した機械生命体の飛行ユニットが襲い掛かるが、悉くを撃墜していく。

 

『報告;生命反応感知』

 

「生命反応?」

 

「! 柱の真下部分にメイたちが居ます!」

 

「9S!?」

 

そう言い終えると同時に9Sは飛行ユニットの速度を上げ地上に降下する。

9Sの報告に2Bも急いで降下すると、遠目ではあるが3機程のザクと共に何人かの人影を見つける。

 

「メイ!」

 

「あ、ナインズ。やっほ~」

 

地上に降下した9Sがメイに声を掛け、メイも9Sに気付き挨拶をする。

二人の様子を見つつ2Bも地上に降り、改めて巨大な白い塔の様な物を見る。

一見、此処からでは分からない程の巨大さを誇り、天辺も見る事が出来ない。

 

「お、2B~、アンタも来たんだね」

 

「…ジャッカス、アナタも此処に?」

 

2Bが唖然と白い塔の様な物を見ていると横から女性が声を掛け振り向く。

声の主がジャッカスと知り、驚きを隠せない2B。

ジャッカスは基本的には基地で研究しているか砂漠で野良の機械生命体相手に実験するかぐらいにしか動かないアンドロイドだからだ。

 

「いや~ガルマ大佐の命令でね、メイと一緒にコイツを調べていたのさ」

 

そう言うとジャッカスは親指で背後を指差す。

その先には当然、地中から出て来たと言う白い巨大な塔の様な物だ。

 

「あれを…」

 

「それで何か分かった?」

 

「それが全然、ちょっと下がりな。また反応を見るから」

 

2Bの質問に残念そうに答えるジャッカス。

しかし、秘策があるのかジャッカスがそう言い終えると共にメイを始めとした技術者は白い塔から離れ、代わりにザクと2Bの見たこと無い物体が近づく。

 

「何アレ?コックピット剥き出しなんだけど…」

 

「ああ、プチモビですよ。アーマーシュライクタイプですね。もう地上に配備されてたのか…」

 

一見固そうに見える装甲とモビルスーツを小型にしたようにも見えるが顔が丸出しの操縦席が全てを無駄にしている。これにはガルマも絶句、肩にはミサイルポッドが付けられた緑色のアーマーシュライクがミサイルの発射準備に入る。

 

そして、アーマーシュライクやザクが一斉にミサイルやマシンガンを撃つ。

爆風に髪を揺らす2Bと9S。

幾つもの爆発後に煙が蔓延する中、ゆっくりと晴れていくと其処には無傷の柱が

 

「え?無傷!」

 

『報告:損傷なし』

 

これには9Sも驚き、2Bも言葉には出来ないが唖然とする。

あのミサイルの量とザクのザクマシンガン、大型機械生命体も瓦礫に出来る程の威力の筈なのだ。

 

「あ~やっぱりダメか」

 

そんな驚く2Bたちの耳にメイの声が一際響く。

まるで予想通りの展開だという声に9Sが反応した。

 

「メイ、これって一体…」

 

「…見てもらった方が早いかな、ジャッカスさん」

 

何かを聞きたそうだった9Sの姿にメイは少し考えてジャッカスの名を呼んだ。

それに頷いたジャッカスは懐から一丁の拳銃を取り出す。

拳銃の先にはあの白い塔があり、ジャッカスが発砲する。

どうせ、拳銃の弾なんかあの柱にアッサリ弾かれるだろうと考えた2Bと9Sだが、柱に命中する寸前、薄い黄色い色の壁らしき物が出て弾を弾いた。

 

「電磁シールド!?」

「それもかなり強力ですよ!!」

 

これには2Bも9Sもびっくり。

ザクのザクマシンガンもアーマーシュライクのミサイルも全て電磁シールドに阻まれたのだ。

白い柱に傷一つ付かなかったのもこの電磁シールドの所為だと気付く9S。

 

「あのシールドの所為で調査どころか触れる事も出来ないんだよね。今は、機械生命体のネットワークに潜り込んでるけど…プロテクトが予想より硬いんだよね」

 

外から調査が出来ないのならネットワークを使って抉じ開けられないかと考えたジオン軍だが、それもあまり上手くいっていない。

機械生命体のプロテクトがとにかく固く、幾つものノーパソが動かないオブジェになった。

これでは、アンドロイド越しのハッキングも難しく下手すればアンドロイドの神経が焼き切られてしまう。

 

「なら、僕が…」

 

『報告;ガルマ大佐より連絡」

 

9Sが自分もハッキングを手伝うと言いかけた時、ポッド153がガルマから連絡が来たと報告する。

メイとガルマをどちらを取るか悩む9Sは2Bの方に目を向けるが、2Bは「自分で選べば?」という態度で助言の一つもしない。

結局、9Sはポッドの通信を繋げる事にした。

 

「ガルマ、9Sだけど…」

 

『おお、9S戻ったか!軍事パレードは中々良かったぞ』

 

その後、ガルマの幾つかの問い掛けに答える9S。

するとガルマは前髪を掴んで手入れすると本題に入る。

 

『9S、見ての通り現在我が軍は突然の柱と一部の機械生命体の狂暴化でてんてこ舞いだ。君たちは遊撃としてそれぞれの部隊の手助けを頼みた…『ガルマ大佐さ~ん!』パスカル殿?』

 

「パスカル!?」

 

ガルマが各所に散っている部隊の援護を命令しようとした時、パスカルからの緊急通信が入る。

パスカルの言動からもただ事ではないと判断したガルマはパスカルに対応する。

 

『その声は9Sさん!良かった、地球に戻ってたんですね!』

 

パスカルが9Sが地上に戻ってる事に喜ぶが、その通信から爆発音らしき物が聞こえる。

 

「パスカル、いったい何が…」

 

『そうだ、村が…村が大変なんです!!』

 

「「!?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在、2Bと9Sは急ぎパスカルの村へと走る。

途中でパスカルとの通信が切れた事で、ガルマが二人に急ぐよう命じたのだ。

9Sも2Bも出来ればメイの手伝いなどしたかったが、それはHLVで地上に向かっているA2や4S達に引き継がせると言われ渋々ながらも命令に従いパスカルの村へと急行しているのだ。

 

「パスカルの村には見張り兼護衛のザクが二機いた筈です、いったい何が…」

 

「無駄口を叩いてる暇はない!」

 

パスカルの村で何があったのか呟く9Sに2Bは無駄口と言って9Sを黙らせる。

そうこうしてる内にパスカルの村のある森林地帯に差し掛かった時に濃い煙が辺りを漂っている事に気付く。

 

「煙?」

 

『報告;経路先に延焼反応』

 

「つまり火事!?」

 

「!?」

 

9Sの「火事」の言葉に2Bはスピードを上げパスカルの村へと急ぐ。

倒れた大木をジャンプして避け、村の入り口である木の橋へと来た。

 

「「!?」」

 

そして、村の様子を見た瞬間二人の体は硬直した。

あっちこっちから火の手が上がり、逃げ惑う機械生命体に赤い目で同胞である村人らしき機械生命体を襲う機械生命体。

ザクの一体が地面に倒れ、そのザクに群がる赤い目の機械生命体。

そして、赤い目をした機械生命体に向けザクマシンガンを撃つザク。

軽く地獄絵図のような光景だ。

 

「一体何が…!」

 

『2Bさーん、9Sさーん!』

 

「「!?」」

 

燃えるパスカルの村を見ていた時、二人の耳に誰かの声が聞こえて来た。

振り向くとそこには飛行パーツを付け飛んでいたパスカルの姿がある。

 

「パスカル!」

 

「良かった、無事!?」

 

『はい、私と子供たちは。ですが大人たちが大勢巻き込まれて…』

 

2Bと9Sがパスカルから事情を話す。

 テレビで、ジオン軍とヨルハの軍事パレードを見て村は大いに盛り上がったが、突如元森の国や別方面から赤い目の光った機械生命体が雪崩込み、パスカルの村の住人である機械生命体に噛み付きだした。

そして、噛み付かれた村人も目を赤くし仲間を噛み付いていく。

 

村に滞在していたジオン兵が即座にザクに乗ってトリモチのザクマシンガンで鎮圧しようとするが数が数、そこまで配備されてなかったザクは足元や駆動系を齧られて無力化されてしまう。

 

パスカルの報告を聞いた2Bと9Sは即座に動く。

パスカルの要望でなるべく壊さず手足を切り落とし、動けなくした後に9Sがハッキングをして正気に戻そうとする。

 

「うわっ!?」

 

しかし、暴れる機械生命体にハッキングした9Sが声を出し即座にハッキングを停止する。

額には汗が流れただ事ではないことは2Bにも分かった。

 

「論理ウイルスだらけで下手にハッキングも出来ない。スキャナータイプでも即座に感染する量ですよ!」

 

機械生命体にハッキングした9Sは即座に理解した。

下手に、ハッキングすればヨルハのスキャナータイプすら逆ハッキングされたちまち論理ウイルスの餌食になる。

9Sですらお手上げである以上、2Bたちは暴れる機械生命体の手足を切り落とし動きを阻害する事しか出来ない。

本来なら、手足を切り落とされても自己修復でまた動くだろうがトリモチのザクマシンガンで完全に包み拘束する。ジオンが開発した新型のトリモチは熱を吸収し耐久力も高い。拘束するにはうってつけだろう。

 

「…暫くはこのままですね」

 

『…ああ、皆が早く戻る事を願います』

 

煤とトリモチだらけとなったパスカルの村。

鎮圧は取り敢えず完了したが、村人たちの機械生命体の論理ウイルスを取り除くまで入る事も許されない。

2Bと9Sはパスカルとと共に機械生命体の子供たちを保護して貰っている工場にいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

『ア、オジチャンガ カエッテキタ!』

 

『ホントウダ!』

 

2Bたちがパスカルと共に工場に入ると入り口のフロア付近で待機していた機械生命体の子供たちがパスカルに反応して駆け寄ってくる。

その様子に子供たちの相手をしていたであろうジオン兵の兵士がホッとしている様子が2Bと9Sの目に入る。

構造上、見た目だけでは本当に機械生命体の子供なのか判断に迷う事も多い事でジオン兵も緊張していたのだろう。

 

『オジチャン ムラノミンナハ ブジ?』

 

『ええ、お二人の加勢もあって取り敢えず無事拘束出来ました。後は電脳部分を直せば元に戻る筈です』

 

パスカルの報告を聞いた子供たちは全員大喜びする。

当然だ、村に住む機械生命体は仲間であり家族だ。そんな家族が元に戻ると聞けば喜びもする。

中には、機械生命体の世話をしていたジオン兵にも喜びの報告をする。

 

「良かったですね、皆さん」

 

『ウン、オネエチャン アリガトウ』

 

「あ、あの人は…」

 

その一人にはある女性兵士が居り、9Sもその人に気付く。兄であるギニアスの手伝いをしていたアイナ・サハリンだ。

9Sは内心、ガルマの基地で話しかけて来た薄い緑のショートヘアーの女性だと確信した。

 

ウ~~~~~~~~~~~~

            ウ~~~~~~~~~~~~

 

その時、工場のサイレンが鳴り響き、ジオン兵たちが慌ただしく動き出す。

 

『○○方面より敵性機械生命体の大部隊を感知、総員配置に付け!繰り返す総員…』

 

「「「!?」」」

 

工場内の放送で、この工場に敵の機械生命体の大部隊が襲来する事を知る2Bたち、これには一時大人しくしていた機械生命体の子供たちも震えだす。

 

「不味いですね…」

 

「不味いって何がですか?」

 

アイナの呟きに9Sが反応する。

2Bが少しむくれるがアイナの表情は深刻そうでもあり、2Bは耳を傾ける。

 

「現在、工場の戦力は別地点の暴走した敵性機械生命体の殲滅で出払ってます。この工場に残った戦力はノリスのグフ・カスタムがありますが、まだ整備中で…」

 

昼の国に巨大な柱が出現してから、各地の機械生命体が活発に活動していた。

ジオンに与した機械生命体は、別だがその辺を歩く野良の機械生命体は同じ機械生命体だろうと人間に与していればパスカルの村のように敵として襲って来たのだ。

 ジオンは、この機械生命体の動きに後手に回り各地で出動しては鎮圧を繰り返してる。

この工場の戦力も別方面の機械生命体の鎮圧に向かいほぼカラに近い。

 

「なら、僕たちが敵を食い止めます!」

 

『私も子供たちを守る為に…はて、呼び出しが…」

 

工場の戦力は無いに等しい。なら自分たちが機械生命体の相手をすると9Sは言い2Bも静かに頷く。

元より彼らは対機械生命体のヨルハ機体だ。今こそが人間を守るのが使命だと言い出さん位気合が入っている。

パスカルも子供たちを守ろうと戦う準備をしようとするが、誰かがパスカルに用があるらしく工場の奥の方へ消える。

 

「…分かりました。ご武運を」

 

アイナのその言葉に9Sと2Bに気合が入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

工場前、出入り口の前には大きな階段があり何時もは殺風景な場所だ。

今は、その場所で二人のヨルハ機体が迫りくる機械生命体を次々と倒していく。

 

「2B、そっちに行きました!」

 

「!?」

 

9Sの声に振り向くと片腕の切られたドラム缶型の機械生命体が拳を振り上げる。

咄嗟に、機械生命体の拳を回避した2Bは支援ポッドのビームで返り討ちにする。

既に何体もの敵性機械生命体を破壊するが、階段や飛行型が牽引して倒した数を超える敵性機械生命体が増える。

 勿論、2Bと9Sだけが戦っている訳では無い。

別訪問の敵性機械生命体を相手にするジオン軍とアンドロイドの部隊に2Bたちを援護するように工場から弾幕が敵性機械生命体に降り注ぐ。

 

それでも敵性機械生命体は何処から用意したのか大型の者や戦車型まで投下してくる。

 

「ハア…ハア…」

 

「9S、下がって!後は私が…」

 

戦闘型の2Bに比べ、スキャナー型は戦闘よりも調査向けの型だ。

長時間に続く戦闘に9Sの体が悲鳴を上げ始める。

 

『敵影確認;タイプ、戦車型とエンゲルス級が複数』

 

「まだ増援が!?」

 

やっとこさ機械生命体の戦車を破壊したのにポッドから更なる敵の増援に2Bも思わず叫ぶ。

尤も、数で圧し潰すのが機械生命体の戦略でもある。いくら高性能なアンドロイドが造られ運用されようが単純な構造で大量生産される機械生命体の前では消耗の差でいずれはアンドロイドが根負けし鉄くずとなった。それが5千年にも渡るアンドロイドと機械生命体の戦いだ。

 

今回も、機械生命体はそれを狙ってるのか次から次へ戦力を投入している。

いくら、2Bと9Sでも固く大きい弾幕を撃ちまくる機械生命体の戦車が三台もいては防戦一方になってしまう。

遂には、片足にエネルギー弾を受けた9Sが倒れ2Bが庇いに入る。

2Bの目には全ての砲塔が自分たちに向けられてる光景だった。

 

 

 

 

 

 

「人型3…タンクもどき3。さすがのヨルハ達も限界か…よし!」

 

今まさに、三台の戦車からの砲撃が来ると思った瞬間、一台の戦車に石ころが落ちる。

しかし、戦車に乗る機械生命体は気にしない。大方、戦闘維持で撒きあがった小石か同胞である機械生命体の一部だろうと思い込んだ。

 そして、それが決定的な隙となる。

 

2Bは見ていた。

一台の機械生命体の戦車が上から弾丸を何発も撃ち込まれ、水色のモビルスーツが戦車に着地した。

 

「一つッ!!」

 

水色のモビルスーツ…グフカスタムから声が聞こえると同時にヒートサーベルが突き立てられる。機械生命体のオイルがグフカスタムにつき、それが返り血にも見える。

弾幕を撃ち抵抗していた戦車も遂に停止する。

 

仲間が倒されたからか、突然グフカスタムが現れたからか二台の戦車は2Bに向けていた砲塔を急いでグフカスタムへと向けようとするが、

 

「遅いっ!二つ!」

 

取り付いた戦車を沈黙させたグフカスタムは腕のワイヤーをもう一台の戦車に絡ませる。

行動を起こそうとした機械生命体の戦車だったが、直後に許容量以上の電撃によりシステムが停止する。

そしてもう一台の戦車にはグフカスタムの持っていたヒートサーベルが投げられる。

 

「三つッ!!」

 

鈍い金属音と共にヒートサーベルが刺さる戦車、しかし機能停止には至らず火花が散りシステムがエラーしかけてる機械生命体だがそれでもグフカスタムに標準を合わせようとし、機能停止した。

 

「す、凄い!!」

 

2Bはアッサリと三台の機械生命体の戦車を瞬殺した事に驚く。

自分たちでは、こんなに早く倒すのは不可能に近く、モビルスーツでも単機で三台の戦車を沈黙させるのは骨が折れる。

現に、自分たちがジオン軍と接触した時にモビルスーツが出撃したが此処まで早く撃破は出来ていない。

あのグフカスタムに乗っているのは間違いなくエースだと2Bも思った。

 

『無事か、お前たち』

 

三台の戦車を撃破したグフカスタムは立ち上がり戦車に刺さったヒートサーベルを抜くとモノアイを2Bたちに向けそう聞いた。

 

「は、はいッ!」

「た、助けてもらってありがとうございます!!」

 

唖然とする2Bだが、グフカスタムのパイロットの言葉に急いで返事をする。

2Bに抱きかかえられてる9Sも急いで礼を言う。

グフカスタムのデータはあるが改めてエースが動かすグフカスタムの動きに圧倒される二人。

尤も、グフカスタムのモノアイは直ぐに真っ直ぐ向かう。

視線の先には複数のエンゲルス級が居る。その内の一体が巨大ビームを撃とうとしている。

 

「させるかっ!」

 

グフカスタムのパイロットはワイヤーの絡まっている機能停止した戦車を振り回しビームを撃とうとしているエンゲルス級に投げた。

投げられた戦車はエンゲルス級に直撃し爆発したが撃破には至らない、それでも足元を崩すくらいは出来た。

その隙をグフカスタムのパイロットは見逃さなかった。ランドセルのブースターを吹かし一気にエンゲルス級の一体に接近するとヒートサーベルで顔面部分をぶっ刺す。

エンゲルス級はアッサリと停止すると、その停止したエンゲルス級を足場にし別のエンゲルス級に飛び掛かる。

 

「怯えろ、竦めっ!!性能を生かせぬまま死んでいけぇ!!」

 

それからは一方的だった、エンゲルス級もただやられる訳では無くミサイルや掘削用の腕で反撃しようとするが、グフカスタムの巧みな動きに翻弄され一体また一体と倒されていく。

 

元々グフはジオンが対エンゲルス級用に用意した機体だ。

それを更に改良したグフカスタムはまさにエンゲルスキラーと言える機体となった。

尤も、新兵では碌に力を発揮できずベテランの兵に配られる程度だったが、

 

最後の一体のエンゲルス級が海面へと倒れる。

ほぼ無傷で勝利したグフカスタムだが、コックピットでは警報が鳴り響く。

 

「くっ、整備を早々に打ち切った所為か!?」

 

グフカスタムはメンテ整備の途中で敵性機械生命体の軍勢が来た事で早々に打ち切り急いで組み立てた。

その弊害か、エンゲルス級を撃破してる途中コックピットでは警報が鳴りだしたのだ。

パイロット…ノリスは急ぎ機体を戻そうとブースターを吹かせ工場の入り口に戻り。

直後、コックピットでは別の警報が鳴り響いた。

 

『報告;更なる敵影』

『推奨;退却』

 

ポッドたちの報告で更なる敵の襲来を知らされる2Bと9S。コックピットにいるノリスもレーダーから敵を感知するが、一瞬言葉を失う。

2Bも9Sもポッドが退却を推奨した理由が直ぐに分かった。

 エンゲルス級が現れた海の方の空が暗い。雲ではない敵の機械生命体の大軍だ。

空を覆いつくすほどの量の機械生命体に9Sは以前アーカイブで見た「敵で海が見えない!」と言うセリフを思い出す。

言うなれば、「敵が七分に空が三分だ」といったところだろう。

 

「エンゲルス級が、まだあんなに…」

 

飛行型機械生命体だけではない、飛行母艦が牽引するエンゲルス級の姿まで確認できる。

過去に機械生命体戦争でも数の差に敗れたが、この数は今まで以上だ。

 

「6O、急いで飛行ユニットを寄こして!」

 

『…ごめんなさい、2Bさん。現在飛行ユニットは他部隊で運用されて…』

 

2Bがバンカーに飛行ユニットを要請するが、機械生命体の活動は此処だけではない。

ほぼ昼の国全般で起こっており別のヨルハ機体に飛行ユニットが使われ2Bたちに渡す飛行ユニットはない。

飛行ユニットはない、グフカスタムはパイロットのセリフから整備不良のようだ。

打つ手なしかと思われた時、工場の正面の扉が開いた音がする。

 

「!? え…」

 

援軍かと期待した2Bだが振り返った先にはパスカルが保護していた機械生命体の子供たちだった。

皆、震えながらも工場の外に進み同族でありながら敵である機械生命体の部隊を見る。

 

「アナタたちは下がりなさい!」

 

思わず2Bの口からそんな言葉が出る。

パスカルにとって機械生命体の子供たちは宝だ、もし子供たちに何かあればパスカルがどう反応するか予想できない。

 

「ダ…ダイジョウブ ダヨ オネエチャン」

 

「オジチャン ガ イッテタ  ンダ。 カンセイ シタッテ」

 

そんな2Bの声に機械生命体の子供たちはそう返した。

機械生命体の子供たちの言葉を今一理解出来ない2B。

 

「カンセイ? 何が…」

 

2Bが子供たちに「何がカンセイした?」と聞こうとした瞬間、地響きのような物が聞こえ同時に2B達も震えだす。

 

「一体何が…」

 

『報告;工場内部から高エネルギー反応』

 

突然の地響きに慌てる9Sだがポッドから工場から何かが出てくると聞いて2Bたちの視線は工場に向かう。

一見、何の変哲もないただの工場に見えるが、屋根の部分が動き出す。

 

屋上の通路、屋根といった部分が折りたたまれ上から見れば内部が見れるだろう。

 

「なに…」

 

「…改造されてたんですかね?」

 

2Bたちとて、何度か工場に入り機械生命体から奪取したり用事で来たりしているが、このような機能があるとは思ってなかった。

恐らく、占領後ジオン軍が改造したんだと考える。

 

二人の想像を他所に工場の天井が完全に開き切った後、巨大な影が出てくる。

 

「大きい…」

「大型モビルアーマー!?あんなのデータにないぞ…」

 

思わず呟く2Bと見たことないモビルアーマーに少し興奮する9S。

それは、機械生命体の空中母艦を超える大きさに濃い緑の塗装。中央には巨大な窪みとその上にはザクヘッド。

2Bや9Sのデータにも存在しない機体にまたもや唖然とする。

心なしか機械生命体の軍勢も動揺してるようにも見える。

 

「あれはお兄様の夢です」

 

「!? ア、アイナさん!」

 

突然の声に反応すると其処にはジオン軍の関係者が居る。9Sも覚えている女性のアイナだ。

アイナは傍に寄る機械生命体の子供を撫でながらも浮かぶ鉄の塊を見ている。

よく見れば、浮かぶ鉄の塊の周りを機械生命体の空中母艦が何台か浮かんでいる。ご丁寧に艦の横にはジオン軍の印が刻まれている。

 

『アイナ様、ギニアスさまはとうとう?』

 

「ええ、アプサラスを完成させました」

 

グフカスタムのパイロットの言葉にアイナはそう返す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、アプサラスの操縦席ではモニターの前でせせら笑うギニアスが居る。

 

「フフフ…私のアプサラスの前ではあの程度の機械生命体など物の数ではない」

 

『あの~ギニアス少将、本当に私が補佐でいいんですか?』

 

すると下の席から電子音じみた声がする。

パスカルだ、工場の出入り口付近で呼び出されたパスカルが下の席に座り幾つかのコードが繋がれている。

 

「パスカル、お前の演算能力と電子頭脳を使いアプサラスはより強固となる。大人しく協力しろ」

 

『協力するのはいいんですが、機械使いが荒いですよ~』

 

ギニアスの強引な手にパスカルは呆れつつもアプサラスの制御に入る。

取り敢えずは、敵陣のど真ん中に標準を合わせる。

 

「大型メガ粒子砲…発射!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺たち機械生命体たちは判断に困っていた。

アンドロイドとの戦いは基本数だ、相手を上回る圧倒的数で圧し潰す。数千年以上続くアンドロイドたちとの戦闘の結果であり、例えそれが人間に変わろうとその戦術は正しい…筈。

その為に、この付近に居たサーバーと繋がる機械生命体を掻き集め秘蔵のエンゲルス級も複数用意した。

負ける筈がない。

 

そう考えていた機械生命体だったが、正面のデカブツが光ると共に意識がブラックアウトする。

 

別の機械生命体たちは見ていた。

正面のデカブツが巨大なレーザーを撃ち展開していた同胞である機械生命体を飲み込んだ。

それどころか、直撃を避けられたユニットも余波で爆発が相次ぐ。

完全に予想外の攻撃力に飛行母艦で吊られていたエンゲルス級を予定より早く投下する部隊。

既にミノフスキー粒子は濃く通信により連携は出来ないのが難点だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『うわ……』

 

「フフフ…アプサラスの性能は予定通りだ。この大型メガ粒子砲なら地下に隠されたサーバーも意味がない。サハリン家の夢が私の夢が叶うのだ!!ゴホッ!」

 

あまりの惨状にパスカルはアプサラスの性能にドン引きし、ギニアスは興奮してむせる。

その間にもエンゲルス級が反撃のレーザーを撃ったりミサイルを飛ばすが周辺にいたジオンのマークをつけた空中空母が盾になる。

放たれたレーザーは空中母艦に触れると拡散し消滅する。

 

「ふむ、機械生命体の空中母艦に取り付けたIフィールドは問題ないようだな」

 

『…レーザーを完全に弾きましたね』

 

ギニアスの言う通り、ジオンに寝返った機械生命体の空中母艦にはIフィールドが取り付けられアプサラスの護衛を任務としていた。機体強化もされ実体弾も効果が薄くされている。

尤も、Iフィールドをいかすために武装の殆どは下ろされ機銃ぐらいしかない。

 

『おや、敵性機械生命体がバラバラになっていきますよ』

 

「固まっていればアプサラスのメガ粒子砲の餌食になると考えたのだろう。だが無駄だ、奴らに「光のシャワー」を見せてやる!」

 

 

 

 

 

 

固まっていてはダメだ!

エンゲルス以上のレーザーが俺たちの仲間を吹き飛ばしやがった!固まっていると同じ目に合う!

俺の他にもそう考えたんだろう、軍隊として固まっていた飛行ユニットを付けた奴等もなるべく離れ空中母艦からも一気に兵隊を放出している。

これだけ、散開していればあのレーザーでも何割かは生き残…光った幾つもの光に見える…

 

 

 

 

 

 

アプサラスのメガ粒子砲に即座に対応しようとした機械生命体だったが、次はアプサラスの放つ拡散されたレーザーに次々と落とされていく。

 

「拡散メガ粒子砲、素晴らしい威力だ! 私の夢を味わえ、機械生命体どもっ!!」

 

『演算が面倒くさい…標準がまたズレた!?』

 

己の造ったアプサラスの力に酔うギニアスとひたすらビーム角の修正や機体の制御をやらされるパスカル。

 凸凹コンビにも見えるが戦果はドンドン上がっていき、のちに機械生命体でジオンの勲章が貰えたそうだ。

 

 

 

 

 

 

「…一方的ですね」

「…機械生命体がハエみたいに逃げ出してる」

 

最早決着はついた。

地上で見ていた2Bたちもそう感じる程の戦力差。大型とはいえたった一機のモビルアーマーに機械生命体が次々と落とされ遂には戦線は崩壊。

見ていた機械生命体の子供たちは「アレ二 パスカル オジチャン ガ ノッテ ルゾ!」と大興奮だった。

 

 

工場を攻めて来た機械生命体の大部隊は壊滅しミリタリーバランスは完全にジオンに傾いた。

尚、アプサラスの戦闘を見た赤い服の少女は涙目になったそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




アクシズにもパレードでのギレンの演説が少し流れました。
アクシズに居るジオン残党にはクリティカルの模様、ハマーンが肉食獣の目になりました。
この時にハマーンって二十歳ぐらいで一年戦争時のシャアも二十歳でしたよね?ブライトが19歳なのは覚えているが…

パスカルの村が原作通り襲撃されました。
何機かザクがいたので被害は軽微です。

アプサラスが完成しました。
何故かパスカルがサブパイにされました。今後もギニアスに扱き使われそうです。
アプサラスのメガ粒子砲も伊達に山をくり抜いた威力はしてません。完全に機械生命体キラーです。

因みに、ジオンに改造された空中母艦ですが、イメージ的には種運命のザムザザーです。
攻撃一辺倒のアプサラスの周囲を飛び回ってアプサラスを守ります。…想像するとデカいファンネルですね。

ビームとレーザーの違いが未だに分からん…
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