機動戦士オートマタ   作:一種の信者

27 / 28
連邦よりジオンの方が好きだったので映画が楽しめました。

普通に続きが気になる最後です。


最終話 哀戦士

 

 

 

元、アンドロイドの拠点であったジオン軍基地。

そこでは慌ただしくアンドロイドも人間であるジオン兵も大急ぎで移動し働いている。

其処へ丁度、出撃していたファット・アンクルが着陸しハッチが開く。

 

「負傷した兵の手当てを急げ、ガルマ大佐の援護部隊は急いで乗り込め!」

 

各兵に指示を飛ばすのは、ダグラス・ローデン大佐だ。

本来指揮をとる筈のガルマが白い塔の攻略で陣頭指揮をとっている為、大佐のダグラスが基地の最高指揮官となりガルマ不在の基地での指揮をとっている。

 

「ダグラス大佐、こっちの指示は終わりました」

 

そんなダグラスの下に一人の女性が走り寄る。アンドロイドのレジスタンスのリーダーだったアネモネだ。

見れば、出発しそうだったファット・アンクルに何体もの銃を担いだアンドロイドが乗り込んでいく姿が。

 

「…彼女たちは無事に帰れると思うか?」

 

「分かりません、ですが万が一の時の為に記憶のバックアップもしていますから」

 

ダグラスの言葉にアネモネが胸を張って言い切る。

ジオン(人間)の為に戦いジオン(人間)の為に死んでも後悔はない。

これは、アネモネを始めとしたアンドロイドの総意と言える。

 

尤も、ダグラスとしてはそういう答えが欲しかった訳では無いが。

 

ウ~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「機械生命体の襲撃だ!」

 

「プチモビも出せ!」

 

だが、間が悪い事に基地の警戒警報が鳴り響き、ジオン兵士たちも慌てふためく。

空を見れば、白い塔の方から機械生命体の飛行ユニットが赤い目をしながらこっちに迫っている。

戦闘は、白い塔だけでなく基地にも起こる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁ~」

 

「何だ…これは…」

 

扉を開け中に入った2Bたちが目撃したのは、嘗て機械生命体が作った白い街を思い出す程の白い部屋。

壁には細長い物が夥しい程置かれ、二階に行ける階段と別の部屋の扉。

天井にはシャンデリアを模した物も作られ部屋だけ見れば立派と言えた。

 

『予測;この部屋は図書館を模してると思われる』

 

「図書館?」

 

ポッドの報告に2Bを始めA2や四号が頭をひねる。

彼女たちにとって図書館など聞いたことも見た事も無い。

 

「此処が、図書館!? 人類文明が造ったという情報保存施設の! アーカイブとかで何度か見たけど、よく見れば森の国の城にあった物より綺麗だ!」

 

スキャナータイプの4Sは2Bたちに比べ興奮していた。

4Sを始めとしたスキャナータイプにとって図書館と言った場所は、まさに宝の山と言える。

未知なる情報、探す楽しさ、見つけた時の興奮は名状しがたい。

恐らく、9Sもこの場に居れば4Sと同じかそれ以上に興奮するだろう。

 

「…取り敢えず調べるか」

 

4Sの反応に呆れつつ周囲を調べようと言うA2。

2Bも四号も頷きそれぞれが別の場所を調べる。

軽く、本棚を模した白い部分を触るとポッドが成分があの地下の街と同じものだと報告する。

 

その後も、階段を上がった先の部屋を確認するA2と四号。

白いだけの応接室の様な物で大したものもない。

 

「特にこれといったものがないな」

 

「敵の機械生命体が隠れてる訳でも無さそうだし」

 

「一応、アクセスポイントが幾つかあるけど…」

 

敵も居ないが、特に情報も無い。

かと言って、この部屋から出て進める通路も無し。奥の扉もただの飾りのようで奥のほうは周囲と同じ物質が連なってるだけだった。

怪しいが、4Sが見つけたアクセスポイントを調べるしか無さそうだと判断する。

 

「ハッキング出来るのは、現状4Sだけだね」

 

「私たちは戦闘が主だから…」

 

「僕だけだと時間も掛かりそうですね」

 

機械生命体が用意したと思しきアクセスポイントにアクセスするにはハッキング能力のあるスキャナータイプしかいない。

9Sがこの場に居ない事に更に残念に思うA2と四号。

もし、機械生命体の逆ハッキングを受け論理ウイルスに汚染されれば目も当てられない。

何より、スキャナータイプ一人で調べると余計時間がかかりそうだ。部屋の外ではジオンと機械生命体の戦闘が続いている。

 

『提案;ヨルハ機体2Bにハッキングインターフェイスのアクセス権限を付与』

 

「私でもハッキングが出来るの? よし」

 

「…論理ウイルスには気を付けろよ」

 

やる気の2Bに溜息を漏らしつつ忠告するA2、止めても無駄だと判断したのだろう。

その後、4Sと2Bはそれぞれの場所でハッキングし、万が一の為にA2と四号はそれぞれの後ろで剣を構える。

論理ウイルスに感染し暴走すれば、もう止める手段は無い。機械生命体に利用されるくらいならと考えたのだ。

 

そうして、4Sと2Bがハッキングをし内部を探って数分、二人はアッサリとハッキングを終えた。

 

「…何か分かった?」

 

A2と四号が警戒しつつも2Bと4Sに聞く。

万が一、暴れた場合は即座に首を切り落とす覚悟だが、二人の表情は少し複雑そうだった。

 

「アクセスして出て来たのが『ライブラリ・インデックス』って奴で内容は「個体、イブ保管記録」や「人類サーバー記録」に「動植物保存記録」なんて物しか無かったな」

 

「…私の方は人類サーバー記録で途中まで人類サーバーにアクセスして何か工作していたようだけど、ジオン出現時で記録が止まってる。後はカルテって言う記録が出て来た」

 

2Bと4Sの口から欲しかった情報が出ない事にA2が溜息を漏らし目を閉じる。元々、バンカーのサーバーに何か仕掛けられていた情報はホワイト副指令が各員に伝達している。

しかし2Bの「カルテ」と言う言葉に引っかかりを覚えるA2。

 

「カルテ?」

 

「確か、人類文明があった時の病人の病気の記録を載せる情報媒体だった筈」

 

4Sの説明に納得する一同。

自分たち、アンドロイドなら何処か悪ければ修理したりパーツ自体交換で済むが人間はそうはいかない。

改めて、人類を守らねばと思う反面この場で役に立つ情報ではないことに残念に思う。

 

『!?』

 

その時だった、天井の一部が崩れると何かが現れた。

その正体は、2Bたちが何度も見た球体の大型機械生命体。ジオンでは「巨大な丸形」の異名も付けられた。

エンゲルスと共に今でもジオンのMSと戦闘を行う型でもある。

 

突然の敵の出現に2Bが武装を握るが、丸形の目が怪しく光ると共に光の量が明らかにおかしくなる。

 

「! みんな、気を付けて! 大規模なハッキングを仕掛けてくる!!」

 

目の前の機械生命体がハッキングが目的なのを見抜いた4Sは2Bたちに知らせる。

しかし、2Bたちがハッキングを知った時には既に、全員にハッキングをしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「此方、9S9S応答を願いしま~す。 …聞こえていますかどうぞ。 …2B、お願いだから答えて、2B!」

 

『報告;現在、ミノフスキー粒子濃度が濃く通信不能』

 

必死に2Bに呼びかける9Sだが、ポッドからは無情な現実を叩きつけられる。

ゲルググの肩当に乗ったまま、9Sは器用にその場に寝っ転がった。

 

「その様子じゃ、仲間との連絡が取れてないようだな」

 

「…そうですよー…」

 

気を使ったのか? ただの確認かヴィッシュ中尉が話しかけても9Sは不貞腐れた子供のような反応をする。

もしこの場に2Bが居れば直ぐに注意されるだろうが、今この場にヨルハ機体は9Sしかいない。

 

「…もう、これだからミノフスキー粒子は嫌なんですよ!!確かに通信よる論理ウイルスの感染の阻止にはなってますけど! 反面、僕たちスキャナータイプの強みが丸ごと消えたんですよ!!ハッキングして機械生命体を止めたり乗っ取ったりが僕たちの戦闘なのに、ミノフスキー粒子の所為で全部出来ない!! あああ、2Bに会いたいぃぃぃ!!!」

 

『………』

 

「…おお…大変だな…」

 

ミノフスキー粒子と2Bと離れた事で発狂する9S。

その様子にドン引きするポッドとヴィッシュ中尉。

 

 

「2B!2B!2B!2Bぃぃうううわぁああああああああああああああああああああああん!!!

あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!2B2B2B2B2Bぃぃううぁわぁああああ!!!

あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん

んはぁっ!ヨルハ機体2号B型たんの白色の髪をクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!!

間違えた!モフモフしたいお!モフモフ!モフモフ!髪髪モフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!!

序盤のエンゲルス級にトドメを刺す2Bたんかわいかったよぅ!!あぁぁああ…あああ…あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!!

アニメを走り切って良かったね2Bたん!あぁあああああ!かわいい!2Bたん!かわいい!あっああぁああ!

関係ないけど真珠湾のコミックの完結されて嬉し…いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃああああああああ!!

ぐあああああああああああ!!!コミックなんて現実じゃない!!!!あ…小説もアニメもよく考えたら…

2B は 現実 じ ゃ な い?にゃあああああああああああああん!!うぁああああああああああ!!

そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!昼の国ぁああああ!!

この!ちきしょー!やめてやる!!現実なんかやめ…て…え!?見…てる?パッケージ絵の2Bちゃんが僕を見てる?

パッケージ絵の2Bちゃんが僕を見てるぞ!2Bちゃんが僕を見てるぞ!パッケージの2Bちゃんが僕を見てるぞ!!

アニメの2Bちゃんが僕に話しかけてるぞ!!!よかった…世の中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ!

いやっほぉおおおおおおお!!!僕には2Bちゃんがいる!!やったよガルマ!!ひとりでできるもん!!!

あ、パッケージの2Bちゃああああああああああああああん!!いやぁあああああああああああああああ!!!!

あっあんああっああんあアン様ぁあ!!セ、セイバー!!シャナぁああああああ!!!ヴィルヘルミナぁあああ!!

ううっうぅうう!!俺の想いよルイズへ届け!!ハルケギニアのルイズへ届け!俺は実はサイト萌えなんだっ!!」

 

「……ヨルハ機体って本当に優秀なのか?」

 

『…ノーコメント』

 

発狂し続け支離滅裂な事を叫ぶ9Sの姿にヴィッシュ中尉は更にドン引きし、ガルマ直属のヨルハ機体に不安を覚える。

ポッドもフォローが不可能だと判断したのか、回答を拒否した。

 

数分程、9Sは発狂し続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…死にたい」

 

「…若いうちはよくある事だ」

 

発狂から正気に戻った9Sは先程の自分の言葉を思い出し膝を丸めて「死にたい」と呟く。

ヴィッシュ中尉はそれを若さゆえの過ちだと言うが9Sが元気になる事はなかった。

 

暫し、沈黙した間にゲルググの足音だけが辺りに響く。

そうして進むうちに広場の様な場所に出て続いていた通路も途切れる。

更に吹き抜けの様で上で幾つもの煙と爆発が起こっているのが確認できる。

 

「此処なら、友軍とも通信が出来るかも知れん」

 

「そうですね、ポッドも中尉の通信の補助を。僕は周囲の警戒をする」

 

『了解』

 

ポッドにヴィッシュ中尉の手伝いを頼むと9Sはゲルググの肩から飛び降りる。

落下した衝撃により9Sが少しフラついた。

 

「おっと、帰ったらメイに見て貰おうかな」

 

そう軽口を言うと9Sは辺りを見回す。

よく見れば、周辺には機械生命体の残骸が放置されMSの一部も落ちている。

恐らくは上の激戦で墜落した機械生命体やMSのパーツが降って来たのだろう。

 

「何処か通路か迎えが来れる広さがあれば…ってアレは」

 

周囲を見回してた9Sが壁に向かってる通路の奥には僅かばかりの階段を見つける。

しかし、階段の大きさを見て到底MSが昇れる程ではなく自分や中尉が進める程度の広さしかない。

最悪、MSを捨てるかもしれないと考えた9Sが先に安全確認しようと階段の方に向かう。

 

『『『ヨルハ機体9S!ヨルハ機体9S!』』』

 

しかし、9Sが階段の前まで来た時だった。

突然、赤い服の少女が三人立ち塞がり、階段への通路も閉じてしまう。

 

『『『ようこそ「塔」へ』』』

 

「お前たち…」

 

少女たちの姿を見て9Sが歯噛みする。

その少女たちこそ機械生命体のネットワークから生まれた概念人格であり、実質機械生命体を操る存在だ。

 

『此処まで辿り着いた貴様に耳寄りな情報があります』

 

少女たちが告げている声が徐々に渋い男のような物になり不気味さを感じる9S。

直後に、9Sの脳内に情報が送られる。

 

『如何だ、お前たちの存在は無意味だと気付いたか?』

 

「…今更、こんな情報を見せるなんてね。君たち案外鈍いんじゃない?」

 

自信満々に渋い声で言い切る赤い服の少女の言葉に、溜息を漏らした9S嘲笑う様に赤い服の少女たちを見る。

声には出さないが驚く赤い服の少女。

 

「お前たちにとって僕たちの存在は無意味かも知れない。でも、ジオンが…人類が僕たちを必要だって言ってくれたんだ。それだけで僕たちは満足なんだ」

 

赤い服の少女からもたらされた情報は、ヨルハ機体の真実と最後の処理に関する情報だった。

一時は、ショックだったがガルマの発言とジオン兵とのコミュニケーションで既に立ち直っている。

9Sも言った通り、今更こんな物で揺らぐことは無い。

 

尤も、赤い服の少女の二人はそれがつまらないと言った反応だった。

 

『つまらん反応だ、これでは他のヨルハ機体で遊ぶ方がマシか』

 

余程、9Sの反応が期待通りでは無かったのか赤い服の少女は捨て台詞を言って消える。

遅れてもう一体の赤い服の少女も消えるとその場に静けさが戻った様な気がした。…爆発音はするが。

 

 

 

 

 

「9S、其処を離れろ」

 

「え?」

 

そんな中、背後から退くよう言われた9Sが振り返るとゲルググがビームライフルをこっちに向けて居た。

少し驚いたが、邪魔する訳にもいかない9Sが、さっさとその場を離れるとゲルググのビームライフルが撃たれビームが壁を貫通し爆発する。

そして、其処には幾つかの瓦礫があるがMSも通れるほどの階段が出た。

 

「通信が繋がって、部隊と合流できる算段が出来てな。ポッドの位置情報からして、その壁の向こうだと判明した」

 

「そうだったんですか」

 

ゲルググが此方にビームライフルを向けてる事に驚いた9Sがヴィッシュ中尉の説明を受け納得する。

取り敢えず、再び現れた階段を昇る9Sは警戒しつつも先行しゲルググに乗るヴィッシュ中尉を狙う機械生命体が居ないか確認する。

 

「あれは飛行ユニット?」

 

階段の上を昇り切り、広いでっぱりしかない空間に出るがこれ以上の通路は無い。

代わりに、囲む壁や天井の類も見えず白い空間が辺りを埋めつくす。

上を見上げた9Sの目が何かを捉える。

 

それは紛れもないヨルハ機体の飛行ユニットで上空に飛ぶ機械生命体の飛行ユニットと戦っている。

やっと他のヨルハ機体も応援に来たのかとホッとすると、何か大きい物が降りて来る。

同時に強い風も吹き、それがファンの風だと気付くと9Sは、それの正体に気付いた。

 

「ファット・アンクル? よく此処まで降りてこれたな…」

 

「塔」の上ではまさに激戦で今までにない程の機械生命体の数で簡単には降りれないと聞いている。

空中制御出来ず落下すれば待ち構えてる機械生命体のエネルギー弾が雨あられ撃たれあっと言う間にスクラップにされてしまう。

それは、MSだろうがアンドロイドだろうが変わらない。

だと言うのに、多少損傷しているがファット・アンクルが此処まで降りて来てる事に驚く9S。

 

「通信では、徐々にだが機械生命体の圧も減って来てるそうだ。ガルマ大佐は限界が近いと睨んでいる」

 

すると、9Sに遅れて到着したヴィッシュ中尉が上の戦線の情報を9Sに教える。

僅かずつだが、「塔」の上の戦線はジオン側に傾いて来ている。

やはり、ミノフスキー粒子の所為で機械生命体同士の連携が満足に出来ていないのではとガルマは考え、ファット・アンクルに降下するよう命令している。

 

「先遣隊が全滅したそうだが、直前に良い情報が手に入った!」

 

「良い情報?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…此処は一体…」

 

「私たち、図書館ぽい所に居たよね?」

 

「此処って!」

 

2Bたちが気付いた場所。

白い図書館に居た筈が四角い簡素な場所に居る。

戸惑うA2と四号だが、2Bは先程見た感じと同じように感じる。

自分たちの居る四角い場所以外は外が薄い灰色に見え、極端に色が無いようにも感じた。

 

『敵の強制ハッキング攻撃』

 

「要は現実ではなく、電脳空間といったとこですね。僕らスキャナータイプのハッキングした時と何となく似てるなあ」

 

戸惑うA2たちにポッドが「強制ハッキング」と言い、4Sが断言する。

それを聞いた、2Bも先程のハッキングを思い出し頷いた。

 

『推奨;早急な離脱』

 

「…そうは言われても、僕たちの意識は完全に機械生命体に囚われてる」

 

ポッドが早々に離脱するよう言うが、2Bたちは如何しようもなくハッキングに長けた4Sも現実に戻れないと言う。

幸か不幸か、自分たちの居る場所からは道が続き奥の方に行けるようだ。

罠の可能性はあるが、ハッキングしネットワークを形成してる物をどうにかする必要がある。

結局、2Bを始めとした四人は奥に進むことになった。

 

機械生命体の防衛プログラムが進行を阻むかと考え武器を握っていた2BとA2だが、恐ろしい程静かであり難なく奥まで辿り着いた。

 

「此処が一番奥の筈だけど…」

 

2Bたちが辿り着いた場所。

其処は、当初自分たちの居た場所より何倍も広い所だった。…それだけで、何かしらのオブジェクトも敵も見えない。

 

そう思っていた時、突然三体の赤い服の少女が現れた。

 

「貴様………ッ!」

 

A2は即座に剣を取り出し構え、四号も無言で剣を突き出す。

 

『久しぶりかな? 二号に四号』

 

『まあ、私たちの概念情報には時間は意味がないがな…』

 

『それでも、君たちの部隊を全滅させたことは昨日のことのように覚えている』

 

赤い服の少女(声が渋い)の言葉に歯噛みするA2と剣を振り下ろす四号。

剣が赤い服の少女を切り裂いたかに見えたが、チリの様に消え剣には何も手ごたえがない。

 

『相変わらず、愚かだな。四号』

 

『概念情報である我々に実体はない』

 

姿が消えたのに声だけが聞こえ、2Bたちが辺りを見回す。

その時、気配のようなものを感じたA2が後ろに飛ぶと直後にA2の居た場所に黒い球がぶち当たり消滅する。

A2が視線を向けると赤い服の少女がニヤついた表情をしている。

十中八九、赤い服の少女の攻撃だ。

 

「こっちからも!」

 

声を発したのは2Bだ。

2Bの方も赤い服の少女の放つ黒い球をギリギリで躱し返す刀で赤い服の少女を切る。

切られた赤い服の少女はまたもやチリの様に消える。

 

「こっちもだ!」

 

「待って、滅茶苦茶多くない!」

 

次に狙われたのは4Sで此方も黒い球を躱して赤い服の少女と対峙する。

直後に四号の声が響くと2Bたちは異変が起こってる事に気付く。

 

赤い服の少女が5人…8人…10人…20と増えている。

 

「何だコレは!?」

 

『懲りないアンドロイドだな、君たちは』

 

『私たちは殺せないと言っただろう?』

 

2Bたちの剣が赤い服の少女の胴を切り裂こうが首を切り落とそうが、赤い服の少女は平然として出て来て、その分数を増やす。

もはや、連携もそっちのけで2Bたちが赤い服の少女と戦い続ける。

 

『提案』

 

「ポッド?」

 

2Bの随行支援ポッド042がレーザーで数体の赤い服の少女を薙ぎ払った時に「提案」と言う。

赤い服の少女を切り倒しつつ2Bはポッドに耳を傾けた。

 

『敵の論理学習機能を利用して弱点を形成』

 

「弱点?」

 

「そうか、論理思考回路をインタラプトして演算能力を落とせばいいんだ!」

 

ポッドの提案に反応したのは4Sだった。

 

「つまり、如何いう事?」

 

「知らん!」

 

意味が分からないのはA2と四号は思わず疑問を口にする。

一瞬、ポッドが溜息をついたように2Bには見えた。

 

『攻撃の禁止』

 

「「「!?」」」

 

「要は、敵の数が一定以上になれば良いんですよ。後、出来れば時間も稼いで!」

 

ポッド045の提案は増えた赤い服の少女を倒さないで増やす事だった。

増えた、少女たちがやがては自我を得て内部崩壊する可能性があると読んだのだ。

 

 

 

 

「うわあ!」

 

「4S!」

 

「きゃああっ!」

 

「四号!?」

 

2Bたちはポッドの提案通り攻撃を止め、赤い服の少女の攻撃を避ける事に専念した。

最初はまだ、何とか避けてはいたが赤い服の少女が増えるごとに弾幕は厚くなり攻撃が当たる事が増えていく。

 

「ポッド、まだ!?」

 

『敵自我データ飽和率30%』

 

2Bがポッドにまだ掛かるのかと聞くと、ポッドは淡々と「30%」と告げた。

つまり、まだ「70%」も掛かるという事だ。

ただでさえ、赤い服の少女の攻撃は多数に渡る上に逃げ場も潰すように動くので2Bたちも次々と攻撃を当てられ損傷率が上がっている。

 

「「うわああああああッ!!!」」

 

2Bがまだ時間が掛かるのかと考えた時だった、A2と4Sの悲鳴が聞こえ見ると床に倒れる二人の姿を見つける。

それだけではない、攻撃を受け続けたのかA2は片足を4Sは片手を喪失していた。電脳内とはいえ、動き辛くなるのは明白だった。

あれでは、回避し続ける事など到底出来るとは2Bの視点でも思えない。

 

「ポッド!」

 

『敵の命中率20%上昇。更に上昇率が上がっている模様。……作戦…失敗』

 

敵の攻撃を避け続け、赤い服の少女を一定時間置いておくのがポッドの作戦だった。

避けれず、赤い服の少女の黒い球を受け続ければ破壊され自我データを破壊されるのはこっちだ。

ポッドの想定外があるとすれば、赤い服の少女の数が想定していた以上に増え、かつ命中率が想定以上に上昇した事だろう。

 

「くっ!」

 

今から迫る赤い服の少女を薙ぎ払いA2と4Sを助けに行くか迷う2B。

仮に助けた事で片腕は兎も角、片足を失ったA2にはもう赤い服の少女の攻撃を避ける等出来るだろうか?と考える2B。

 

『ジオンが出現する前、人類が遺したアンドロイドがまるで人類になりたいかのように振る舞う事が多かった』

 

『人類とは関係なかった、エイリアンが遺した機械生命体も人類になりたいかのように振る舞う』

 

『アンドロイドも機械生命体も似てるのかもしれない…だが、ネットワーク化された私たちは違う』

 

『私たちの方が圧倒的に優れている』

 

『今はジオンに押されていようと、勝つのは我々だ』

 

悩む2Bに話しかけるように赤い服の少女は口々に喋る。

遂には、遠くの空間に巨大な赤服の少女まで出てくる始末だ。

その光景に驚いた2BはA2たちを助けに行くのが遅れ、赤い服の少女が集中攻撃しようとした。

 

『さようなら、呆気ないさい『キャプテーン、ジオン! ただいま参上!!』ご…?』

 

A2や4Sにトドメを刺そうとした時、赤い服の少女たちの前に筋肉ムキムキのマッチョな男の映像が映る。

予想外の事に呆然と見る赤い服の少女たちだが、

 

『ええ~まいど、馬鹿々々しい話を…』『奥さん、分かれた方がいいよ…』『敵は本能寺にあり!』『今週も参りました、素人のど自慢大会…』『オーイエス!オーイエス!』『ガチョーン!』『ありがとうございました!』『俺は宇宙族王に…』『いさみーーーーーーーーーッ!!』『えーんがっちょえーんがっちょ…』『今日の5バンチの天気予報は…』『オレデーモンニナッチャッタヨ…』『其処までだ、残念だったな…』『私にも分からん』

 

『何なんだ、この映像は?』

 

『…映像だけじゃない、良く分からない文字と数字の羅列が添付された物もある』

 

突然の大量の映像と文字だらけのファイルが開かれ唖然とする赤い服の少女たち。

 

「今度はなに?」

 

「機械生命体が戸惑ってる?」

 

尤も、2Bたちも突然の事に固まっている。

最初は機械生命体側の何かの仕掛けかとも思ったが赤い服の少女たちの反応で違う事に気付く。

その時、ポッドから通信ありと言われる。

 

「通信?」

 

『あ、2B? やっと繋がったよ~!』

 

「メイ?」

 

ポッドの通信機部分からメイの元気そうな声を聞く2B。

戦闘でミノフスキー粒子も濃い筈なのにハッキリと声が聞こえる事に驚く2Bたち。

 

『メイ特性の通信機で何とか通信で来たんだよ、それよりポッドをモニタリングしていたんだけど容量を重くするんでしょ!手伝ったあげる』

 

『銀ちゃんラーメン、新発売!』『ギレン閣下の演説について…』『1999年7の月、恐怖の…』『なんだってーー!!』『つまり、サメとは!宇宙とは…』『ハジケ祭りじゃー!!』『ガチの力を合わせるんだ!』『人類は我ら選ばれた…』『むねたいらさんに3000点』『勇者よ、勇者よ!』

 

『五月蝿い』

 

『こんな物で我々に勝てるものか』

 

赤い服の少女は腕を振ると同時に映像が立ち消え、添付された文字も悉くが消えていく。

しかし、

 

『だっちゅうーの♡』『そうです、ワタシが変なおばさんです』『奥さん、別れなさいって…』『え~今週のザビ家さんは…』

 

『!?』

 

『なんだと…』

 

消した映像がまたもや映し出され、添付されるファイルも次々と開いていく。

赤い服の少女が何度も消すが、その度に復活し数も増え、まるで当初の赤い服の少女を相手にしていた2Bたちの様に見える。

 

その間に、2BはA2と4Sを回収し四号の近くで待機して赤い服の少女たちの様子を見ていた。

 

『敵自我データ飽和率50%を突破』

 

「なあ、メイ。アイツ等に何をしたんだ?」

 

『ん? 本国に頼んでテレビ局の今までの放送やマニアの人から旧世紀のテレビ番組をダウンロードしてメイの方に送ってもらったの♬ 映像データとか凍結で圧縮もせずにそのまま送っただけだよ。メールの方は本国からバンカー経由で直接送ってるの』

 

メイが激戦の中、ポッドのモニタリングをしていると2Bたちが敵の機械生命体のネットワーク内に精神を囚われた事を知り、ポッドが赤い服の少女たちの打倒の為に論理思考のインタラプトを狙ってる事に気付いた。

 

ポッドの狙いに気付いたメイは、即座にバンカー経由で本国のギレン総帥に通信を入れ、兎に角大量のデータを送るよう要請した。

 

ギレンの方も、機械生命体への論理ウイルスの意趣返しとして膨大な量のいらないデータや旧世紀のゲームやテレビ番組の映像データを保有していた為、快くメイに全データを送り本国やア・バオア・クーやソロモンで暇をしている部下たちに大量の意味不明なメールを製造させバンカー経由で白い『塔』へ送ったのだ。

 

『2Bたちは知ってる?パソコンやコンピューターで一番容量を使うのは声付きの映像や歌とかだって』

 

『報告;敵自我データ飽和率90%』

 

メイの仕掛けた映像とメール攻撃、それは確実に赤い服の少女たちの思考を汚染し動きが鈍っていく。

遂には、映像を消すのを止めジッと見入る赤い服の少女も出だす。

 

 

 

 

 

『この女は何で辺鄙な場所で踊っている?』

 

『盆踊り?』

 

『こっちは裸の女と男が絡み合ってる?」

 

『…不思議?』

 

 

 

『暢気に観察をするな』

 

『お前たちも手伝え!』

 

自分と同じ赤い服の少女が楽しそうに見てる反応に原初の赤い服の少女が怒気の混じった声を出す。

此処に来て、赤い服の少女の感情がやっと見えて来た事をA2は見た。

しかし、原初の赤い服の少女がどんなに声を出そうが怒鳴ろうが、赤い服の少女たちは次々と攻撃を止め目の前に現れる映像を見入っていく。

 

『おかしい…』

 

『何だ…何が起きている…!』

 

ヨーロッパの地下のサーバー以来、久しぶりの予想外な事に慌てる二人の赤い服の少女。

分裂した仲間である赤い服の少女が命令を聞かず、自分たちの体の動きが徐々に重くなっている。

更には

 

♬~~~

 

「なに? この音」

 

『これは音楽』

 

「音楽?」

 

突然、辺りに響いて来る音に疑問を口にする2Bにポッドが答える。

2BだけでなくA2や四号も呆然と聞き、4Sは人間がいた時代と思しき音楽に少し興奮していた。

 

哀 ふるえる哀

それは 別れ唄

 

『ん? 音楽ソフトも幾つか入れたけど…メイ、こんな歌知らないな…ってアレ』

 

「メイ、どうかした?」

 

『それが、そっちで流れてる歌が外でも聞こえてる』

 

メイの報告に2Bたちの頭には?が浮かぶ。

それぞれ、一体外で何が起こってるのかと考える。

 

 

 

 

 

 

 

ひろう骨も 燃えつきて

ぬれる肌も 土にかえる

 

「何故、突然歌が流れているんだ?」

 

「わ、分かりません!」

 

白い『塔』の上で部隊の指揮をとっているガウ攻撃空母のブリッジ。

突然聞こえて来た歌に戸惑うガルマ・ザビ大佐。

最初は、機械生命体の策略かとも考えたが、むしろ戦線はドンドンジオン有利になっている。

 

「…! ガルマ大佐、敵の飛行型機械生命体の動きが妙です」

 

「妙だと?」

 

部下の一人が、機械生命体の妙な動きに気付きガルマに報告する。

ガルマも、部下の指摘した機械生命体の動きを見る。

 

その飛行型機械生命体は目が赤に点滅した後、突然仲間である他の飛行型機械生命体にぶつかり共に転落していく。

問題なのは、その一帯だけでなく他の機械生命体も同じように仲間にぶつかり勝手に落ちていく。

 

「…機械生命体もこの歌は予想外なのか? だがこれは好機だ、各隊に前進するよう伝えよ!」

 

「了解!」

 

ただでさえ、機械生命体の戦線が押されていたのに、とうとう仲間同士での衝突が起こり最早立て直すことは不可能。

これにて、白い「塔」での機械生命体の戦線は崩壊し、完全にジオンに流れが向いた瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

荒野をはしる 死神の列

黒くゆがんで 真っ赤に燃える

 

「誰だ? こんな時に歌を流してるヤツは?」

 

「ふむ…我が軍の兵士でこの音楽を聴いている者が居たか?」

 

昼の国の、元レジスタンス拠点のジオン基地。

襲って来た、機械生命体の部隊を何とか撃退し怪我人の収容やプチモビが壊された施設の瓦礫撤去などをしていた基地内でも同じ音楽が響いている。

 

基地の修理の陣頭指揮をとっていたアネモネもダグラス大佐も音楽を耳にし「何処の音楽」かと考える。

因みに、アネモネはジオン兵とも過ごすことが多く音楽の知識もある。

 

誰しもが一旦手を止め、音楽を聴きいる。其処にはアンドロイドも人間も違いが無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

=アジア戦線=

 

荒野をはしる 死神の列

黒くゆがんで 真っ赤に燃える

 

「荒野を走る死神だとよ」

 

「つまり俺たちの事か?」

 

アジア方面の草原を疾走する三機のドム。

ジオンの黒い三連星の異名を持つエースパイロットだ。

ジオンが機械生命体のアジア方面の攻略により黒い三連星も先鋒として進軍し多数の大型機械生命体の撃破をし武勲を次々と立てている。

 

「オルテガ、マッシュ!前方に多数のエンゲルス級が居るぞ。奴等に黒い三連星の実力を見せてやれ!!」

 

「「おうっ!!」」

 

三連星の向かう先に二桁近いエンゲルス級が待ち構えるが、それで臆する三連星ではない。

寧ろ、ドムを加速させジャイアントバズーカを撃ち、エンゲルスを打ち取る。

 

音楽はアジア方面まで響いてる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『…何のつもりだ、お前たち』

 

『何故…私たちに逆らうというのか?』

 

場所は戻り、2Bの意識がある電脳内。

二人の赤い服の少女が多数の赤い服の少女に囲まれている。

囲まれている赤い服の少女が、色々文句を言うが囲んだ赤い服の少女たちは表情一つ変えない。

 

『『『『『『…私たちの…』』』』』』

 

『ん?』

 

『何が言いたい?』

 

『『『『『『私たちのアニメ(ドラマ)(映画)(漫画)(AV)観賞を邪魔するな!!!!』』』』』』

 

『何を言って…!?』

 

『ま…待て、止めろ!』

 

それぞれの赤い服の少女の主張の意味が分からない二人の赤い服の少女だが、囲んでいた赤い服の少女たちに一斉に押し倒され組み伏せられたり殴られたり蹴られたりしている。

その様子を見てドン引きする2Bたち。

 

「機械生命体が仲間割れ?」

 

『予測;飽和した自我がそれぞれの考えで離反。下剋上を開始』

 

「…まるで人類みたいだな」

 

『耳の痛い言葉だね、人間も三人集まれば派閥が生まれるって言うし…』

 

A2の毒舌にメイは申し訳なさそうに反応する。

とにもかくにも、もう赤い服の少女たちが此方を攻撃せず内輪もめしてる現状、如何するか考える。

そうしてる内に二人の赤い服の少女は他の赤い服の少女たちに完全に取り押さえられる。

もうこれ、自分たちが戦う必要があるのか悩む2Bたち。

 

『もう終わりだねα、β』

 

『γ?』

 

『これは一体どういう事だ!?』

 

其処へ、もう一人の赤い服の少女が現れ押さえつけられた赤い服の少女が名前を言う。

名前からして、「塔」に入る前にごねていた少女だと思われる。

 

『私たちの負けだよ、αβ』

 

『我々は負けて等いない!』

 

『負けたよ、ホラ』

 

γという赤い服の少女の言葉に二人の赤い服の少女が負けてないと言う。

ならばと、γはスッと手を広げると映像が出てくる。

その映像は、先程とは違い外の様子が映る。

 

『『!?』』

 

『二人が機械生命体の指揮を放り出してヨルハ機体と遊んでる間に戦況は完全にひっくり返されて動力部まで抑えられてるよ』

 

映像には「塔」の動力部付近がMSに占拠され、地面には動力部を守っていた機械生命体の残骸が転がる。

現在、動力部の管理装置にヨルハのスキャナータイプ…9Sがハッキングし出力がドンドン落ちていく。

 

『…まだだ、私たちには他にも手が…』

 

『この動力部が落ちたら『種』を飛ばすことも出来ないよ。仮に飛ばしても…』

 

そう言うと、γと呼ばれる赤い服の少女は別の映像を出した。

それは、地球の外の宇宙に近く、大気圏外ギリギリの距離。

丁度、自分たちの真上で無数のムサイとチベといったジオンの艦隊が待機している。

 

『待ち構えてるジオンの艦隊の一斉砲撃で宇宙のチリだね。私はごめんだよ』

 

おめおめと、この星を逃げ出し宇宙に行けても待ち構えてる艦隊の一斉攻撃を受ければ一たまりも無い。

ならば、一発逆転を賭けてサイド3を撃とうにも、もう月を貫く勢いなど出せない。ジオンの本拠地は月の裏側にある。

 

『ならば此処を捨て、別の拠点で力を溜める。時間は私たちの味方だ』

 

『逃げるって如何やって? この戦闘でミノフスキー粒子が大量に散布されてあのヨルハ機体たちも、有線で繋がった乙型を使ってやっと連れて来たんだよ。逃げ場なんて何処にあるの?』

 

『『!?』』

 

戦術的撤退を言う赤い服の少女だが、γと呼ばれた赤い服の少女が現実をつきつける。

ご自慢のネットワークもジオン軍のミノフスキー粒子でズタズタにされ「塔」の外に繋がった有線も戦闘の余波で寸断されている。

此処にきて二人の赤い服の少女は、初めて逃げ場がない事を悟る。

 

そして、気付かない。

二人の赤い服の少女は目の前のγと名乗る赤い服の少女の声がドンドン冷たくなっている事を。

 

『はぁ~…もういいよ、お前たちの概念人格としての権限を全て取り上げる』

 

『なん…だと…!』

 

『待て、γ! 勝手な事は…』

 

γと呼ばれる赤い服の少女の一方的な宣言に反論する二人の赤い服の少女。

しかし、自分たちを取り押さえている別の赤い服の少女の力で動くことが出来ない。

そうこうしてる内にγと呼ばれる赤い服の少女が押さえつけられてる二人の赤い服の少女の額を触る。

 

『これで、二人の権限は無くなった。みんな、もういいよ』

 

γと呼ばれる赤い服の少女がそう声を掛けると、二人の赤い服の少女を取り押さえていた赤い服の少女たちがその場を退き二人の赤い服の少女が解放される。

自由になった二人の赤い服の少女だが、両手を見てワナワナと震える。

 

『外の機械生命体との通信が出来ん…』

 

『…攻撃が…出来ない…!』

 

今まで出来ていたことが全くできなくなっている。

声も渋い男の声から可愛らしい少女の声にもなる呆然とする二人の赤い服の少女。

 

『言ったでしょ、二人の権限を取り上げるって。 ああ声の方もそっちの方が可愛いよ、きっと男の人も愛してくれるよ♪』

 

そんな二人の赤い服の少女にγと呼ばれる赤い服の少女が淡々と言い最後は笑顔で言い切る。

一見、無垢な少女の笑顔にも見えるが何処か寒気がする笑顔にも見える。

 

『さて、ヨルハ部隊の皆さん』

 

「え…?はい…」

 

今まで蚊帳の外に居た2Bたちがγと呼ばれる赤い服の少女に呼ばれ返事をする。

一応警戒し剣を構えるが、γと呼ばれる赤い服の少女はスッと両脇のスカートを持ち口を開く。

 

『私たち機械生命体は、ジオン公国に降伏します。取り次いでもらえますか?』

 

「…はっ?」

 

γと呼ばれる赤い服の少女の口から降伏の言葉が出て唖然とする2Bたち。

こうして、ジオン軍と機械生命体との凄惨な戦争は終結する。

 

約11か月と25日の戦闘状態は終了し、後にジオン公国では一年戦争と呼ばれる事になる。

 

 

 

 

 

 

 

=オマケ=

 

「少し良い?ええと…γ」

 

『何?』

 

「あなたって私たちが「塔」に行くとき上から行こうとして駄々こねた子よね?」

 

『そうだよ』

 

「それにしちゃ今回のあなたは随分と違うような…」

 

『成長したんだよ』

 

「え…でもそんな…」

 

『成長したんだよ』

 

「でも、明らかに時間が…」

 

『成長したんだよ』

 

「…はい」

 

 

 




ルイズコピペって偶にやりたくなる。今回は初めてだけど。
機械生命体のネットワークにスパム爆弾って効果あるのかな?
例え、通じても二回目は通用しない可能性が高いか。

9Sが発狂しましたが、2Bとはぐれたストレスとミノフスキー粒子の所為でスキャナータイプの強みが全て潰されたストレスの所為です。

ソシャゲで、一番容量を食うのはムービーや歌だと聞いてコンピューター系も同じかな?と思うこの設定に。

原作と違い、人間のテレビ番組や色々見た所為でそれぞれが独自の思考を持って裏切ったので原作の様に相互で闘争はしなくなりましたが明確に反旗となりました。まさに下剋上。
まあ、その下剋上で戦争が終わったようなものですが。

γが突然下剋上したようにも見えますが、αとβがヨルハ機体の2Bたちに夢中で戦線の機械生命体たちへの指示を無視して負けた状態です。普通なら切るでしょう。

これにて、機械生命体とジオンの戦争は終了。
次回は、ギレンの野望の第一部完と第二部開始の狭間のムービー的な話を作って『完』を付ける予定。

後々、地球圏覇者ルートやシャアを始めとしたダイクン派が敵対するルートの出だしを書いて終了する予定。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。