機動戦士オートマタ   作:一種の信者

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3話

やあ皆、私の名前は10H(テンエイチ)。名前というかコードナンバーだけど。

私は今、深海1万メートルにある施設で働いてるの。

 

え?何でそんな施設があるのかって?

それはね、此処には万一の事態に備えてバックアップサーバーがあるの。

格納しているデータは、月面の人類会議のサーバーと全ヨルハ部隊のもの。

ヨルハ部隊はともかく、人類のデータはこの世界で最も大切のもの。

そのデータを管理してるのが私の随行支援ユニットポッド006。

数百体のポッド達が日々施設で働いてるの。

 

え?私が何をしてるかって?

それはね、ポッドの保守点検。故障や不調が見られた際には直ちに修復する事がH型の私のお仕事なの。

でも、ポッド達は滅多に故障する事はないの。

多少の不具合はポッド自身が直してしまうし、アンドロイドの随行支援には、応急手当も含まれている、ポッドにも簡単な修復プログラムが組み込まれてて私の出番なんて無いの。暇でーす。

 

後、此処って人類会議の放送を一度中継してるらしいの。

放送元から月面サーバーの場所を知れないようにと推測してるけど、分かんないな。

ポッドに訊けば答えてくれると思うけど興味ないしいいや。

 

さぁ、何時か人類が地球に帰れる事を願って今日も頑張るぞ!

 

 

 

 

 

 

 

 

嘘だ!

 

 

 

 

 

 

 

 

全部嘘だ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

水なんて一滴も無い。

顔を上げれば黒い空に点々の星が散らばってる。

真正面の空には黒い空間の中に青い球体。地球だ。

 

 

此処は月だった。深海なんて嘘っぱち。

ここは、発信源の特定を防ぐための中継局じゃなく、正真正銘の放送局だったんだ。

人類会議なんて、もう存在してなかったんだ。つまり…人類はもういない?

 

 

 

そう考えた瞬間、10Hの足から力が抜け膝を地面につける。

人類が居ないと分かった瞬間に最早、如何でもよくなった。

その直後に、自分が出た扉からポッド達の気配を感じた。

助けに来た訳ではない。秘密を知った10Hの記憶消去並び人類が居ないことの隠蔽だ。

それが解ってる10Hだが逃げ出そうとは思わなかった。

守るべき人類が居ないことを知り悲しみにくれる10Hには逃げるという選択肢は無かった。

10Hをポッド達が取り囲む。

拘束されるだろうと両手を上げて目を目を閉じる。

その際、ポッドから「可哀そうに、49回目よ」と聞こえた。

 

次の瞬間だった。

近くで何かが爆発したのか衝撃波が10Hとポッド達に襲い掛かる。

あまりに突然の事に10Hが目を開け周りを見回す。

すると、緑色の一つ目の巨人が巨大なバズーカを此方に向けてるのを見つけた。

 

 

 

 

 

「…思わず撃っちまったよ」

 

ザクに乗った女性パイロットがそう呟く。

月面の調査に海兵隊の自分達までかりだされたが月面には多少の古い施設が見つかるだけで大した発見も無く、一旦戻ろうとも考えていたが、センサーが何かを捉えた。

見ると少女が空気も無い月面に転がり近くには少女が出てきた扉らしき物を見つける。

事故か何かと判断したパイロットが少女を救助しようと動こうとしたが少女が慌てる様子が無いことに暫く様子見する事に決めた。

空気も碌に無い月面に宇宙服もなしに立ち上がり周囲を見回した後にゆっくりと膝を地面につける。

パイロットはまるでホラー映画を見ている気分になった。

しかし、その直後に扉から無数の箱が出て少女を取り囲む。

流石にただ事ではないと判断したパイロットは自分の存在を知らせる為にも少女の近く、それでいて破片とかが少女に当たらない距離にバズーカを撃った。

その目論見は成功して、少女が此方の存在に気付きパイロットは少女の近くへと迫る。

 

 

 

あれって機械生命体!?

まさか、月にまで勢力を伸ばしたの!?今からバンカーに救援を要請しても間に合わない。

あんな大きいバズーカを撃たれたら幾らヨルハ機体の自分でもバラバラになっちゃうよ!

 

 

 

あれは、モビルスーツのザク!?

ポッド042より送られてきたデータにあったジオン公国の機体。

ポッド042の冗談ではなかったか。まぁあの堅物が冗談を言えるとも思えなかったが。

データの情報通りならジオン公国は10億の「人間」がいる宇宙国家。これなら……

 

 

 

近づいたまでは良かったけど…如何しようかねぇ。

こいつ等、通信機持ってるのか?国際チャンネルで呼びかけてみるか。

いっそ、モビルスーツを降りて接触してみるか……止めておくかい。相手が有効的か如何かすら不明だ。せめて友軍が来るまで待つか。

 

 

 

10Hが怯え、ポッドが何か考え、パイロットが友軍の到着を待つ。

暫しの沈黙が流れるが断ち切ったのは意外にもポッドだった。

 

 

『質問;此方、ヨルハ機体10号H型の随行支援ユニットポッド006.其方の所属を知りたい』

 

ポッドの突然の通信に10Hが驚く。

相手は機械生命体ではないのか?

 

『此方、ジオン公国軍突撃機動軍海兵隊隊長。シーマ・ガラハウ。悪いが一緒に来てもらうよ。大事な情報源だからね』

 

喋った!?もしかしてアンドロイドが乗っているの?

それとも、緑色の巨人自体がアンドロイドなの?

 

一人パニックになる10Hだった。

 

これにポッドは『了解』と返事をし確認したシーマが月の軌道上に居る母艦に通信を送った。

しかし、シーマは気付かない。ポッドが扉から出てない別のポッドにある通信を送ってることを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2Bの通信を受けたアネモネ達のレジスタンスキャンプでは今迄に無く騒がしくなっている。

曰く、負傷した人間を保護したのでレジスタンスキャンプに運ばせて欲しい。

 

人間に会える。

 

その言葉を聞いたアンドロイド達は、全員が全員、身だしなみに気を使い滅多に化粧もしない女性アンドロイドが鏡の前で陣取る始末である。

人類がまだ地球で繁栄していた時の言葉で言うなら「お祭り騒ぎ」だろうとアネモネの考えである。

 

「人間に会いたい。人間のように暮らしてみたい。ありふれた願望……か」

 

嘗ての仲間であり、リーダーだったアンドロイドの言葉を呟くアネモネ。

アンドロイドには製造時期とは関係なく、人類への思慕と憧れが刷り込まれている。

過酷な、機械生命体との戦いにはそれだけしかアンドロイドの「心の拠り所」が無かった。

事実、「人類がもう居ない」という情報がアンドロイド達の間で流れた時、士気はダダ下がり各地で機械生命体に連敗していた。

それだけ、アンドロイドとって人間の存在は重要だった。

かくいう、アネモネも2Bの通信後に何度も鏡の前に移動したりしてたが。

 

トラックのエンジン音と通信で聞いたモビルスーツというデカ物の足音が聞こえアンドロイド達に緊張がはしる。

アネモネも自身の動力がまるで心臓のような鼓動をあげてる気がした。

壁の崩れたビルの中にトラックが移動しエンジンを停止させた。

 

「アネモネ、今戻った」

 

2B達の帰還にアネモネが首を振り二人の背後に視線を移す。

軍服を着た若い男と子供と思しき少女が此方に歩いてくる。

アネモネの動力が更に鼓動した気がした。

 

「お帰り、2B。…で、其方が例の?」

 

「ジオン軍MS特務遊撃隊隊長、ケン・ビーダーシュタット少尉です。負傷兵の受け入れ感謝します」

 

「メイはメイ・カーウィン。モビルスーツの整備が私の仕事なの。だから、不調な人が居たら教えて。力になれるかもしれないから」

 

ケンが敬礼しメイは少女らしいあどけなさで自己紹介をする。

これにアネモネは自己紹介をし「キャンプ内を好きに使ってくれ」と言った。

入り口の方に目を向けると負傷兵に肩を貸すアンドロイドが用意された部屋へと運ばれていく。

中には、打ち解けたのか負傷兵と談笑するアンドロイドや負傷兵の傷を触る女性アンドロイドまでいる。

 

「其方の兵は元気がいいようだね」

 

「…あいつ等、完治したら再訓練だ。……ん?すまない、通信が入った」

 

少し離れた場所に行ったケンは持ってきた通信機と連絡を取る。

メイは何時の間にか道具屋のアンドロイドと会話しだしていた。

あっさりと手持ち無沙汰になったアネモネはビルの隙間から見えるザクに目線を向ける。

 

「2Bの通信でも聞いたが随分と大きいな。あれだけの物が動いたんだ機械生命体の襲撃が続いたんじゃないのか?」

 

アネモネの質問に2Bが頷く。

砂漠でも廃墟地帯でもザクの大きさは目立ち機械生命体の襲撃を何度も受けた。

もっとも、2Bの斬撃や9Sのハッキング、ザクの踏みつぶしで全て返り討ちにされたが。

 

「あれだけ大きい質量ですからね。大型の機械生命体ですら相手になりませんよ。

まぁ、それだけで狭い場所の戦闘なら僕らの方が遥かに上ですけどね。ちょっとハッキングしたいな」

 

「なぁ、2B。9Sの様子がちょっとおかしいんだが」

 

「…9Sは、人間に会えたりモビルスーツの性能に興奮してるだけ。問題ない」

 

そう言い切る2Bだがアネモネの目には何処か寂しそうにも見えた。

 

 

9Sの興味がヨルハからジオンに移っている。

これでいい。司令部を疑ってはいけない。メインサーバーを調べてはいけない。

このままジオンに興味を抱いてる間は9Sの抹殺命令も来ない。

もう9Sを殺さなくて済む。

もしかしたら人間と出会った事で何か変わるかもしれない。

でも、9Sはスキャナー型の中でも特に好奇心が強い。ジオンをある程度調べたら、次は……。

……ナインズ……。

 

 

2Bが9Sの事を考えていると、ポッドから通信音がし映像が映る。

 

「…月面人類会議?」

 

「珍しいですね。放送のスパンが何時もより短いですよ」

 

通信音に気付いた2Bと9Sは月面人類会議に集中する。

だが、その内容は驚くべきものであった。

 

 

『月面人類会議より、地上と宇宙で奮闘する全てのアンドロイド諸君に告げる。

只今をもって我々月面人類会議は解散する。

諸君等の中にも気づいてる者が居るかもしれんが、月に数十万の人類は存在しない。

我々は諸君等の士気上げの為に造られたプログラムに過ぎない。

今後は、本物の人間であるジオン公国に全てを任せる。場所は月の裏側と小惑星に造られた要塞。

人間とアンドロイドの未来に栄光あれ』

 

 

放送の終了後、2B達の思考が止まった。

 

「…月に人類は居ない?」

 

アネモネの言葉が空しく二人に聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然の月面人類会議の解散放送はバンカーにも放送された。

その内容にヨルハ隊員は愚か司令官まで硬直する。

 

自分達は今迄、何の為に戦ってきたのか?

 

その考えが脳裏に過った瞬間、隊員達は司令官へと質問攻めにする。

 

「指令、これは一体如何いう事なんですか!?」「人類が生きているのは嘘だったんですか!?」「私たちの今迄の戦いは何だったんですか!?」「指令なら何か知ってるんでしょ!?」「嘘だって言ってください!指令」「教えてください!指令」

 

「お、落ち着くんだ!皆、落ち着け!」

 

隊員達の混乱に司令官が落ち着くよう促すが誰も落ち着ける訳がない。

 

自分達の力で人類を地球に戻す。

 

それだけが彼女たちの使命であり存在意義だった。

それが全て否定されたのだ。

 

更には、

 

「ん?なにこれ」

「如何したの?」

「何か、変なアーカイブが送られてきたの。ちょっと読んでみるね」

 

最新の精鋭とまで呼ばれたヨルハ部隊。

それが、音を立てて崩れだした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『疑問;本当にこれで良かったんだろうか?』

 

『回答;賽は投げられた。最早、なるようにしかならない』

 

月面、10Hが出てきた施設内。

その中の放送室内に数機のポッド006が浮かんでいた。

先程の放送はポッド達によるものだった。

 

『回答;そもそも人間が発見され月に来れた以上、我々はヨルハ計画を中止しなければならない』

 

ヨルハ計画。

一人のアンドロイドの少年が絶望し暴走して作られた計画。

しかし、その計画の中に奇妙なプログラムが組み込まれていた。

 

複数の人類を発見し月にまで行ける技術が確認出来た場合、計画を速やかに中止し全ての権限を人間たちに譲渡する。

 

そんな内容であった。

少年が何故この様なプログラムを組んだのか?

只の嫌がらせか一筋の希望を感じたかったのか。

その少年が亡き今、確かめる術などなかった。

どちらにせよ、世界は加速する。

 

話し合いをするポッド達だったが、その内の一機のポッドが廊下を複数の足音が響くのに気付いた。

恐らく、此処を調査しに来たジオン兵だと感づいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「素晴らしい計画だと思いませんか?父上」

 

サイド3。

政庁の執務室ではギレン・ザビが父であるデギン公王と通信をとっていた。

 

『モビルスーツに続いてこんな玩具を作る気か。ギレン』

 

ギレンから送られてきた報告書を読み呆れるように返すデギン。

 

「玩具などとは、全ては我らジオンの勝利の為です。この計画が成功すれば数に勝る連邦との差も大分縮まります」

 

『そもそも、元の世界に帰れるかも分らんのに急ぎすぎではないか?第一「アンドロイド」なぞ作って如何する気だ。地球に居るアンドロイドで十分ではないか?』

 

報告書の表面には、ジオン製アンドロイド製造計画と書かれていた。

月面で10Hを保護した事でギレンが形にした計画である。

人的資源の限りがあるジオンにとって連邦との戦争の為のプランの一つである。

 

「地上のアンドロイドなど何時寝首を掻くか分かったものではありません。

それならば、我が軍が製造するアンドロイドの方がまだ安心できるかと。

ソフトの方ももう直ぐで此方に到着する予定です」

 

『保護したアンドロイドを解体するつもりか?』

 

「解体などとは人聞きが悪い。調べるだけですよ、徹底的にですがね。

仮にそれで壊れても世論も納得するでしょう。たかが機械が一体壊れるだけですから。

さぁ、計画のご『兄貴!一大事だ!!』決断…を…。如何したドズル」

 

 

通信の途中に突然のドズルの緊急通信にギレンは苛立ちつつも答える。

後ろを見るとキシリアも緊急なのか通信を入れていた。

 

 

『ソロモンに大量のアンドロイドが入り込んだ!まだ、戦闘には入ってないが何時爆発するか分かったもんじゃないぞ!』

 

『此方も月に居る工兵部隊にアンドロイドが次々と集まって工事が進みませんぞ。総帥』

 

「なんだと?」

 

この世界に来て早2週間。

宇宙のアンドロイドに動きがないの無視して地球侵攻作戦を進めていたがギレンだったがアンドロイドの突然の行動に言葉を詰まらせる。

仲間を取り戻しに来たのか?とも考えるギレンだったが、それなら戦闘に入ってないとおかしいと考え直す。

 

 

 

アンドロイド達が何故今になってジオンに来たか。

当然、あの月面人類会議の放送が原因だ。

今迄信じていた月面の人類を否定された事で一時期、士気はどん底まで落ちたが放送で言っていたジオンの存在を確かめる為に飛行ユニットやアンドロイドゆえに自力で移動し探した。

そして、見つけた。見つけたアンドロイドはいの一番で人間に接触しようとしハッキングで要塞やコロニーへと入り込んだ。

 

 

 

『こ、此方!サイド3パトロール艦隊第一部隊!ま、窓に女が!?』

『こちら、第五部隊!少年が!?少年が!?』

『ア・バオア・クー守備隊より入電!宇宙に人間が浮き此方に迫ってる!迎撃の許可を!との事です』

『コロニーの警察より報告が、妙な若い男女が手当たり次第に通行人へと抱き着く事件が発生。との事です』

 

 

これらの報告を聞いたギレンは徐々に眉間に皺を寄せる。

これだけの騒ぎ、隠蔽するのは不可能と言える。

 

『如何するんだギレン。お前が情報を隠してたせいで市民にまでパニックが及んでるぞ』

 

『兄貴、せめて迎撃するのか受け入れるのかだけでも判断してくれ!』

 

「キシリア、総帥の座が空いてると言ったら如何する?」

 

あまりの事に総帥を止めたくなったギレンがキシリアにそう言うが、

 

『謹んでお断りさせてもらいます、兄上。それにしてもアンドロイドはかなり友好的のようですが』

 

流石に、キシリアもこんな状態で総帥などなりたくなく辞退した。

万事休すかと諦めかけたギレンだが、

 

「あの…総帥。例の子が到着しました。それから政庁に人だかりが…」

 

ギレンの秘書、セシリア・アイリーンが10Hの到着を報告する。

その瞬間、ギレンの頭脳に策が一つ思い浮かぶ。

そして、直ぐにセシリアに演説の準備を急がせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

政庁の前、

其処には既に黒山の人だかりが出来ていた。

どの人間もギレンに状況の説明を求めテレビカメラもギレンの姿を探す。

 

「ギレン総帥、他のコロニーは何処にいったんだ!」

「おい見ろ。ギレン総帥だ!」

「こんな時に演説かよ!?」

 

 

ギレンが用意された演説台に立ち傍に10Hを立たせる。

 

 

 

 

 

『我が愛するジオン国国民達よ。

我々は今重大な危機に立たされている!

何の危機か!諸君等も噂に聞いているだろう。この宇宙にはサイド3のコロニーしかない事を。

神の悪戯か、悪魔の所業か!我々の居る宇宙は宇宙世紀に非ず!

西暦は一万年を過ぎ地上には機械生命体と呼ばれる機械どもが跳梁跋扈する始末。

我々はこの宇宙で孤独だろうか!否!断じて否だ!!

この少女を見るがよい!この少女こそ機械生命体と呼ばれる機械どもから地球を取り戻す為に人類が作りあげたアンドロイドである。

今こそ我々はアンドロイドと手を取り合い地球を奪還せねばならんのだ!

それこそが、この世界に迷い込んだ優良種たる我らの使命である!

それを、我らは忘れてはならな…』

 

「あの、私も少しいいですか?」

 

演説の途中に10Hが小さく声をあげる。

ギレンの演説と比べれば明らかに小さな声だったが、ハッキリと聞こえギレンも思わず演説を止める。

突然の事で言いたいことだいたい言ったギレンは10Hに場所を譲った。

 

『ありがとうございます。ギレン総帥。

皆さん、初めまして。私は10Hと言います。

これだけの人間さんに会えて光栄です。

私達は人類を地球に返す為に製造されました。

機械生命体と戦い死んでいきます。

ですが、私達と比べ機械生命体の数は圧倒的です。

それでも諦めずに私たちは戦います。全てはアンドロイドの主である人類の為に。

……ですけど、もう人類は居ないんです。

私達の守りたかった人類はとっくの昔に滅んでいたんです。

今、コロニーを騒がしてる子達も人間に会いたくて無理矢理きてしまったんです。

出来れば、その子達を嫌わないでください。

ただ、あの子達は人間に会いに来ただけなんです』

 

 

 

10Hの言葉が終わり、辺りは暫しの静寂が訪れる。

その直後に民衆達の拍手が辺りを包む。

 

「10Hちゃん、可愛いよ10Hちゃん!」

「ギレン総帥もいいところあるじゃねえか!」

「決めた。俺ジオン軍に入隊する!」

「あたしだって!」

 

 

 

 

その様子を見ているギレンは頬が引き攣っていたが。

 

 

 

 

 

 

「ギレンの奴め、即興の演説は止めろと行った筈なんだがな」

 

 

そんなギレンに呆れるデギンであった。

 

 

 




サイド3の人口は調べると1億5千から20億の数まであったので切りのいいところで10億にしました。

10Hのポッドの数も小説基準です。
あまり関係ありませんが小説の絵を見る限りスパロボのマイ・コバヤシに見えてしかたがない。
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