機動戦士オートマタ   作:一種の信者

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7話

 

太陽の届かぬ闇が支配する地域。

機械生命体やアンドロイドが此処を夜の国と言う。

月あかりも僅かに辺りには赤い光が満ちる。

機械生命体の目の光だ。

その数から、夥しい程機械生命体が蠢いていた。

爆炎が辺りを一瞬照らす。

複数の機械生命体が破壊された。

空からも複数の光がはしると共に機械生命体側から爆発が起きる。

 

「此方、ドップ第7部隊。攻撃に成功、繰り返す攻撃に成功。敵、機械生命体が一部混乱を起こしてる」

 

ミサイルを撃ったドップ部隊の通信に基地にいたザク部隊が出てくる。

その中には、新しく配備されたグフもあった。

 

「奴らめ、これで何度目の襲撃だ」

 

「今月に入って3度目ですね」

 

「お前達、無駄口を叩いてる暇があるなら突っ込むぞ」

 

機械生命体とジオンの戦いは続いていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まず最初に、聞いていただきたい事があります。

私達は貴方の敵ではありません。私の名前はパスカル。この村の長をしています」

 

アネモネの依頼だった行方不明のレジスタンス捜査をしていた2Bと9Sは目撃情報から遊園地廃墟を調べ元凶の機械生命体と遭遇し撃破した。

残念ながら行方不明だったレジスタンス達は機械生命体の兵器に改造され元凶の機械生命体を撃破すると同時に回路が焼き切れ物言わぬ躯となった。

元凶を倒し遊園地から出ようとした二人の前に白旗を掲げた妙な機械生命体が二人の前に現れる。

敵かと考えた二人が武器を構えるが白旗を掲げた機械生命体は、「ワタシ、敵ジャナイ」と言う。

それに、興味を持った9Sが白旗を掲げる機械生命体と話す。

曰く、「君たちは面倒な機械生命体を倒してくれたからお礼がしたい。村に来て欲しい」との事だった。

その機械生命体の案内で村へと来た2Bと9Sはまたも驚く。

村に居た全ての機械生命体が白旗を振っていたのだ。

二人はとりわけ大きい白旗を振っていた機械生命体に話しかける。

特徴的な円筒形の頭部に、荷物を背負ったような輪郭の胴体。案内した機械生命体より流暢に喋れる個体だった。

 

「いきなりそんな事言われて信用できると思う?」

 

パスカルの言葉に2Bが剣を向ける。

機械生命体とアンドロイドの戦争は五千年以上が過ぎており互いの溝は埋めがたい程深かった。

 

「確かに、貴方達にとって、私達、機械生命体は敵です。けれども、この村には戦いから逃げてきた平和主義者しかいません」

 

「平和主義者?腰抜けの間違いでしょ」

 

今迄、黙っていた9Sが口を開く。

 

「腰抜けですか」

 

「お前達、機械生命体は各地でジオンに敗北している。大方それで怖くなって僕達に擦り寄ってるんでしょう」

 

機械生命体とジオンの戦争は硬直かしつつあったが資源地帯を取られた機械生命体は何度か奪還作戦を行った。だが、そのこと如くが失敗した。

最も、ジオンも無傷とは言えず多数のモビルスーツを失ったが。

 

「確かにジオンが怖くないと言えば嘘になります。事実、この村にもジオンとの戦闘に敗北して逃げてきた者達もいます。

ですが、私達が平和主義者になったのはジオンとの開戦より前です。

アネモネさんにも聞いて下さい。私達の村とレジスタンスキャンプの方々とは以前より交流があります。ただ、ジオンとの開戦以来その交流も細々としていますが。

よろしければ、アネモネさんにこれを持っていって貰えますか?」

 

「これは?」

 

「燃料用の濾過フィルターですね」

 

9Sが軽く知らべ危険物ではないと判断する。

 

「以前にアネモネさんに頼まれていた品です。渡していただければ、私達が平和的な種族である事を理解していただけると思います」

 

「わかった」

 

その後、廃墟都市の近道を教えてもらった2Bと9Sは元キャンプへと戻る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

元キャンプへと戻った2Bと9Sはコムサイがある事に気づく。

また、ジオンの兵士が増えたのか何かしらの機体を持ってきたと判断してアネモネの居る場所へと向かう。

アネモネの姿は直ぐに見つけたが傍にはダグラスと若い男が居た。

 

「え?あの人は!?」

 

9Sにはその若い男の顔に見覚えがある。

少し前にテレビで紹介された男。

ガルマ・ザビだった。

 

「ん?君たちがヨルハのアンドロイドか、私の名はガルマ・ザビ。この度、地球方面軍司令官として着任した。よろしく頼む」

 

そう言って、ガルマは二人に握手を求める。

2Bは直ぐに握手をしたが9Sは少し躊躇いつつも握手に応じる。

 

 

温かいな、そう言えばメイやケン達と最後に触れ合ったのはバンカーに戻る前までだったな。

それで、バンカーでヨルハの秘密を知ってメイやケン達と距離をとるようになったんだ。

あれを知って以来、僕は人間に触れるのを躊躇している。

もし、彼等に僕らのブラックボックスに機械生命体のコアが使われてるのを知られたら……想像しただけでも怖くなってくる。

ギニアスさんは気にしなかったけど、それは彼だけかもしれない。

だって、僕らヨルハは誰にも望まれず、それでも戦い、死んでいく。

僕らの命に意味なんか……。

 

 

「ところでアネモネ、これ」

 

2Bがパスカルから預かった濾過フィルターを渡す。

受け取ったアネモネは「フィルターか、ありがたい」と答えた。

その後、9Sがパスカルとの村の事を聞く。何でも、あの村の機械生命体は細かい作業が得意で、レジスタンスキャンプでは加工が難しい部品などを作ってるらしい。それをアネモネ達は、彼らが入手しづらいオイルや素材などと交換していた。

だが、ジオンがレジスタンスキャンプを拠点にした事で細かい作業はジオン兵が担当する様になってパスカルとの村の交流は大幅に減っていた。

 

「無害な連中だ。此方としても助かってる部分はある。だが、最近アンドロイドの中から無害な内に潰すべきだという意見が出てきてるんだ」

 

「もしかして、ジオンの後ろ盾を得たから」

 

「そうだ。連中の作った物とジオンが作った物で人気があるのは断然ジオンだ。アンドロイドの中には彼等は用済みとまで言ってる者も居る」

 

アンドロイドは基礎プログラムとして人間への思慕を組み込まれている。

そんな人間が作った部品と機械生命体が作った部品では人気や士気が上がるのがジオンであった。

アンドロイドの中にはパスカルとの繋がりを人類への裏切りではと考える者達も少なくはない。

 

「ほう、無害な機械生命体か」

 

「興味深いな」

 

その声を聞いたアネモネは思わず「あっ」と言ってしまった。

パスカルの村をまだジオン側に言っていなかったアネモネは思わず自分の失態に口を閉じる。

ジオンは機械生命体と戦争をしている。

ネットワークから外れてるとはいえ自分達がそんな機械生命体と付き合いがある事を知られれば如何思われるだろうか?

今すぐ、パスカル達の捕縛、または殲滅しろで終われば御の字。

最悪、敵に通じていた事で人類の敵として処分されるのではとアネモネの頭に過る。

処分されるのは仕方ない。しかし、人類の敵と呼ばれる事は嫌だった。

アネモネの目には少し涙が浮かんでいた。

しかし、その様子に気付かないガルマは少し考えて2Bと9Sに口を開く。

 

「君たちはまたその村に行くのかい?」

 

「え、ええ、様子見もありますから」

 

「そうか、ならパスカルとやらに伝言を頼みたい。内容は『地球方面軍司令官ガルマ・ザビ大佐が其方と会談を望んでいる』と」

 

ガルマの言葉にその場に居たアンドロイド達が耳を疑った。

仮にも戦争相手の機械生命体と話したい。

機械生命体は人類の敵であり即ち自分達アンドロイドにとっても敵だ。

 

「ど、どうしてあんな奴と話なんて!?」

 

いきなりの事で9Sが叫ぶように言う。

 

「なに、打算は色々あるが一番の理由は機械生命体の捕虜だ。君達も聞いた事があるだろ?」

 

確かに聞いた事があった。ただし噂でだったが。

事の始まりは第二次降下作戦で起こった。

ジオンとの戦闘で壊滅状態となった機械生命体達の中から降伏する者が出始めた。

今迄、戦い続けたアンドロイドにとっては寝耳に水だった。

機械生命体とアンドロイドの戦いは殺し合いであり殺すか、殺されるかでしかなかった。

事実、機械生命体が降伏したと言う事例は存在しない。パスカルは例外と言えるが。

ジオンは捕虜の扱いに困っていた。

檻に入れても何時の間にか出てきてるのだ。

武装を解除されてる機械生命体は檻から出ても逃げる訳でなくジオン兵の観察やジオン兵と一緒に居るアンドロイドの観察をしていたのだ。

薄気味悪く感じたアンドロイド達が破壊すべきだと訴えるがジオン兵としては降伏した敵を処刑するのに躊躇いが出た。

憎い地球連邦の軍人ならまだしも。

アンドロイド達による機械生命体への暴行も問題視されている。

 

「パスカルには、その捕虜達の引き取りを交渉したいのさ」

 

「そうなんですか」

 

ガルマの言葉に2B達は返す言葉もなかった。

自分達に命じれば、その機械生命体の捕虜も全滅させるのにと悔しがる。

 

 

一方、その様子を少し離れた場所で観察する男達が複数。

服装からしてジオン軍人のようだ。

 

「へぇ~、あれがヨルハね。中々美味しそうな子じゃない」

 

「そうっすね、大尉。あの娘の服装も大胆で一夜を共に過ごしたいぜ」

 

「言えてるな」

 

男の部下の声に他の男達も同意するが、

 

「馬鹿ね、あんた達。アタシが言ってるのは少年の方よ」

 

「あっ」

 

その言葉に部下たちは黙り込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、2Bと9Sはパスカルの村に戻ろうとする直後にアネモネから「パスカルに渡してくれ」と高粘土オイル缶を渡される。

パスカルの村へと付いた2Bと9Sはパスカルにオイル缶を渡す。

 

「ありがとうございます。お手数をおかけして」

 

オイル缶を受け取ったパスカルが礼儀正しく頭を下げる。

それを見た2Bは、居心地の悪さを感じる。

9Sがパスカルに言う。

 

「それから、伝言だけど…」

 

パスカルに先程言われた伝言を伝える9S。

 

「ジオン軍地球方面軍司令官ガルマ・ザビ大佐さんですか。分かりました、村の皆と話して会談の用意をしないと。ジオンを怖がる子の説得に時間が掛かると思いますが、そうお伝えください」

 

パスカルの言葉に2Bが頷く。

よく見れば、パスカルの足や腕が震えてるようにも見える。

 

「アネモネさんとも分かり合えたんです。きっとガルマさんとだって。

全てのアンドロイドと機械生命体、そして人間が共に平和に暮らせたらいいのに」

 

パスカルはただそう願う。

アンドロイドも機械生命体も人間も共に楽しく暮らせる事を夢想する。

 

「そんなの夢物語だよ。だって機械には心がないんだ」

 

そんな、パスカルを見て9Sが呟く。

まるで自分に言い聞かせてる様にも見え2Bは胸を押さえる。

 

「そうかもしれません。でも、よろしければ、これからもこの村に来てください。対話する事でしか相互理解は得られない……私はそう思ってます」

 

正論だ。敵の…機械生命体の言葉でなければ直ぐにでも頷きたい2Bと9Sだった。

その言葉に如何返すか思考しようとする。

しかし、それを邪魔するかの如く、地響きとも爆発ともつかない音が聞こえる。

何の音だろうか?

2Bと9Sが互いの顔を見て口を開こうとした時に二人のポッドから通信画像が開く。

 

『バンカーより緊急連絡!廃墟都市地帯に多数の敵超大型機械生命の出現を確認!随伴する機械生命体反応も多数確認!現在、ジオンが対応してますが手が足りないようです!』

 

二人に出撃命令が下る。

本来ならば、二人以外のヨルハ部隊にも出撃命令が下されるが大半がジオンへと逃げられたヨルハ部隊にそんな余裕もなく引き籠ってるアンドロイドも未だに出てこない。

その穴埋めをジオン兵も手伝い埋めているのがバンカーの現状だった。

一瞬、パスカルが自分達を騙して罠にかけたのではと考える9Sだが、パスカルの「可能ならば、信じて欲しいです」と言う言葉に黙り込む。

 

「どっちでもいい。倒しに行く」

 

罠かどうかは関係ない。敵機械生命体を破壊する。今はそれだけでよかった。

二人は全速力で廃墟都市へと戻る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

廃墟都市に近づくほど、足元の揺れが激しくなり、建物や空気までもが震えていた。

アチラこちらから爆発音や打撃音が響き、戦闘の激しさを物語る。

ただ、その光景は視認出来なかった。粉塵とも硝煙ともつかない灰色の霧が視界を遮っていたからだ。

上からは機械生命体の残骸がよく降り二人の走りの邪魔をし、廃ビルに操作不能となったドップが突っ込む。

一瞬、9Sが助けに行こうかとも思ったが突っ込だ衝撃と爆発により助けることは不可能だと察する。

今、出来るのはパイロットが事前に脱出に成功してる事を願う事だけだった。

 

『報告;司令部から飛行ユニットの配備。場所は以前降り立ったビル』

 

ポッドの言葉に以前に敵の目につきにくいビルの屋上を思い出す。

最近では、ジオンの防衛網もあり元キャンプへと直に行き来していたが現状ではキャンプよりビルの方が近い。

目的のビルを見つけるが入り口は瓦礫で塞がり二人は仕方なく隣にビルに入って其処から屋上へと飛び移ろうとした。

しかし、あと一歩で屋上まで行けるという時に超大型機械生命が壁を破壊し自分達を見つけた。

咄嗟に、二人がポッドの射撃で牽制しようとするが超大型機械生命は意にも介さず採掘機の腕で殴り掛かる。

それを避ける二人だが、避ければ避ける程床が破壊され自分達の行動範囲が狭くなる。

此処で、下へと落ちれば飛行ユニットへの行き来は不可能になる。

超大型機械生命が再び、腕を振り上げる。

今度は避けるのも難しい程、床も余裕がなかった。

飛行ユニットまでには多数の瓦礫が道を塞ぐ。

超大型機械生命が居なければ瓦礫も撤去して飛行ユニットまで行けるのだが。

まさに二人の脳裏に諦めの文字が浮かんだ。瞬間、

青い色をしたモビルスーツが超大型機械生命にタックルした。

バランスを崩した超大型機械生命地面へと横倒しになる。

 

「モビルスーツ!?」

 

「ザクとは別のタイプ!」

 

初めて見るモビルスーツに驚く二人。

そんな、二人にモビルスーツのパイロットが気付きオープン回線で話す。

 

『2Bに9S、如何したこんな所で?』

 

「え、その声ケン?」

 

9Sが青いモビルスーツのパイロットがケン・ビーダーシュタット少尉だと気づく。

倒れた超大型機械生命を警戒しつつケンが2Bと9Sに会話する。

 

「実は飛行ユニットに乗りたいんですがあそこの瓦礫が邪魔で…」

 

9Sの指先に瓦礫で埋まる通路を確認したケンが超大型機械生命に注意しつつ「二人とも伏せてろ」と言い左手を瓦礫の方に向ける。

2Bと9Sは言われた通りに伏せると前後から爆音が聞こえ暫くしてから頭を上げると青いモビルスーツの左手から煙が上がり道を塞いでた瓦礫は粉々になっていた。

 

「それで飛行ユニットに行けるだろ。此奴の相手は俺がするから二人は奥の方に居る奴を頼む。そいつだけ誰もマーク出来てないんだ」

 

ジオン軍やアンドロイド達は今回の機械生命体の襲撃により分散を余儀なくされた。

此処とは反対側の方にも多数の超大型機械生命が確認されモビルスーツ隊も対応に当たっている。

 

「分かった」

 

ケンがデータをポッドに送る。

2Bの返事にケンが何時の間にか立ち上がった超大型機械生命へと向かう。

急ぎ、屋上に付いた二人は飛行ユニットに乗り込む。

飛び立つと同時に、オペレーター6Oから通信が入る。

 

『2Bさん、上空は機械生命体の飛行型とジオンのドップ部隊の激戦が行われており迂闊に上れば巻き込まれて危険です!ここは低空飛行で接近してください』

 

了解と返事をした2Bは高度を低く保ち、ポッドが示す場所へと行く。

そこには、悠然と進む超大型機械生命を見つけた。

あのままでは、キャンプに進むと考えた2Bは射撃をし先日実装された多弾頭ミサイルを撃ち込む。

完全なる不意打ちもあり超大型機械生命に大ダメージを与えるが反撃としてレーザーや薙ぎ払いを仕掛けてくる。

 

「敵にハッキングします」

 

「了解、援護する」

 

9Sが制御を奪いつつ2Bが射撃で援護する。

以前の、戦いでは苦戦させられたが今回は二人とも飛行ユニットに乗っている。

このやり方で、対応できる。

2Bはそう確信していたが、一つ失念していた。

 

「くっこいつ等」

 

「邪魔をするな!」

 

多数の飛行型の機械生命体が二人の攻撃の邪魔をする。

そして、超大型機械生命は仲間の死などに無向きもせず二人に攻撃する。

間一髪回避した二人だが飛行型の機械生命体は仲間に破壊されても気にもせず二人の間合いをつめる。

其処へ再び、超大型機械生命の腕が二人に迫る。

回避場所の邪魔になる機械生命体を破壊して移動するのは間に合いそうにない。

二人が衝撃に備える。

が、超大型機械生命の腕にミサイルが直撃し腕は二人を素通りして味方の機械生命体のみを破壊した。

 

「え?」

 

「2B、あそこ!」

 

9Sが指を刺す方向を見ると一機のドップがバルカン砲を超大型機械生命へと当てる。

超大型機械生命が反撃しようとするが余裕でかわし今度はミサイルを当てる。

 

「茶色いドップ?」

 

9S達も長い事、ジオンと接触しており幾つものドップやザクを見たりしていたが茶色いドップは初めて見る。

そこへ、茶色いドップから通信がきた。

 

『二人とも、無事か?これより私も援護する』

 

「え!?」

 

二人がその声に驚く。

その声は紛れもなく先程着任した地球方面軍司令官ガルマ・ザビ大佐だった。

 

「どうして、貴方がここに?」

 

『なに、私は椅子を尻で磨くだけの司令官になりたくないだけだ。それに急な襲撃に猫の手も借りたいと判断した』

 

「?猫の手があっても意味がない」

 

「2B今はそれを置いておいて、貴方は司令官ですよ。万が一の時は如何するんですか」

 

人間はアンドロイドとは違う。

一度、死ねば二度と目を覚ます事はない。

新しい体など存在しない。

だから、月に逃れた人類はアンドロイド達に戦争を代わりにさせた設定だった。

 

『心配は要らない。私は所詮お飾りの司令官だ』

 

ガルマの言葉は9Sの予想を上回る。

 

「お飾り?」

 

『地上のジオン軍の士気上げの為、兄上が決めた事さ。まぁ私も説得したがね。それでも命令系統の殆どは私に渡されてはいない。だが、そのままで終わるつもりはないない。功績を上げ続ければ兄さん達も私の事を無視できなくなる筈だ』

 

それを聞いた二人は何も言えなくなった。

人間の兄弟の事なぞ9S自身もよく知らない。

何より人間が自分で決めた事を自分達、アンドロイドがとやかく言うべきではないと判断した。

その瞬間、超大型機械生命のレーザーが掠める。

見ると、飛行型の機械生命体も数を増してきた。

 

「こいつ等!」

 

「これじゃ、あの機械生命体への攻撃に集中できない」

 

二人が飛行型の機械生命体を破壊しそう呟く。

超大型機械生命へ攻撃を集中すれば周りの飛行型が、周りの飛行型を相手にすると超大型機械生命が。

単純ながら効果は絶大と言えた。

 

『ふむ、この周りの機械が邪魔なのか?』

 

ガルマはドップのバルカン砲で機械生命体を破壊し、聞く。

9Sが「そうです!」と答えると、ガルマが思わぬ動きに出た。

 

『如何した機械共、その程度で地球方面軍司令官のこの私、ガルマ・ザビを討てるか!?』

 

オープン回線で機械生命体達を挑発する。

一瞬の静けさが場を支配する。

全ての機械生命体がガルマを見ているようだった。

 

「一体何を…」

 

2Bがそう呟いた瞬間、全ての機械生命体がガルマのドップへと押し寄せる。

 

『おっと!』

 

回避したガルマは超大型機械生命の周りを回る。

これには超大型機械生命のエンゲルスも反応に困り両手の採掘機でガルマの行く手を邪魔しようとするがそれも余裕でかわし追ってる機械生命体の邪魔となっていた。

 

「あの人、無茶苦茶だ!!」

 

「でも理にかなってる」

 

9Sの怒声に2Bが呟く。

二人の視線はガルマのドップを追う機械生命体へと向ける。

如何いう訳か機械生命体はガルマを撃とうとせず近づいて捕らえようとしていた。

エネルギー弾も一発も撃たない事からガルマの重要性がうかがえる。

 

「何だって機械生命体はガルマ大佐を捕まえようとしてるんだろ?」

 

「分からないけど今がチャンスなのは分かる!」

 

機械生命体の行動に疑問を感じた9Sだが2Bの言葉にエンゲルスへと視線を向ける。

あれだけ邪魔だった飛行型も全てガルマを追い二人の邪魔をするものは居ない。

後は、簡単だった。

ガルマに当たらないよう多弾頭ミサイルを叩きこみ、9Sがハッキングで大ダメージを与える。

それを何度も食らわせエンゲルスはとうとう沈黙した。

 

「超大型機械生命の全機能停止を確認」

 

2Bが息を吐いてそう言った。

一時は、飛行型の機械生命体に邪魔されたがガルマ・ザビの奇策に助けられた。

守るべき人間に助けられ複雑な気持ちになる2B。

そこへガルマから通信が来る。

 

『あの超大型機械生命を倒したせいか飛行型の機械生命体が散り散りに撤退したようだ。私も一旦戻らせてもらうよ。正直、ドップの燃料がカツカツだ』

 

そう言い終えると同時に返事も待たず引き返すガルマ。

見送る9Sが「嵐のような人でしたね」と呟き2Bが「そうだね」と返す。

二人も帰ろうと考えるた時だった。

不吉な音が鳴り響く。

地鳴りのような音が大きく、高くなり停止したエンゲルスの目が再び光る。

 

「そんな…」

 

エンゲルスは確かに沈黙していた。腕だって破壊してる。

事実、エンゲルスは振動してるだけで動いていない。

 

「敵兵器、再充電しています!」

 

9Sの叫びが掻き消える程の轟音。

凄まじい衝撃波が二人を襲う。飛行ユニットの推進力を全開にして体勢を保つので精一杯だった。

突然、光と音が消えた感覚がする。衝撃波の影響で自分達の機能がダウンしたのだ。

暫し、待ち機能が戻って目を開く。

そこには、先程まであった立ち並ぶビル群も、鬱蒼と茂った大樹も、寸断された道路も消え巨大な穴が開いていた。

二人が驚愕しているとけたたましいアラーム音がし通信画面が赤く光る。

 

「これは…」

 

「エイリアン…」

 

画面いっぱいに広がる文字。

2B自身も初めて目にする「ALIEN ALERT」。

数百年も姿を現さなかったエイリアンが地下に居る文字だった。




ガルマが無茶をする話。

キシリアが送った部下が少し出ました。
オカマです。
ファッションか真正かは知りませんがこの物語では真正で。
個人的にはヨルハのE型に近い仕事をしていると思います。
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