やはり俺と『 』が《ボーダー》隊員なのは間違っている   作:必殺遊び人

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 はーい10話めでーす

 少しこの世界の八幡の過去を書いて見ました。 
 暗いと思った方もいるとかもしれませんが、もともとの八幡の過去も意外と馬鹿にできないくらい暗いですよね笑
 曖昧にしか書かれてないからあれですけどクラス全員にいじめられるとか怖すぎ・・・・・・。

 え、えーとそれではどうぞ・・・・・・。


十話>>『また、一緒に遊んでください』

 

 

 

 以前。比企谷八幡は『 』(くうはく)である彼らを『天才』と称した。

 彼らがいないと自分などたいしたことないと。あいつらこそが『本物』だと。

 

 だがそれは。『 』(くうはく)とっても同じだった。

 空と白は思っている。比企谷八幡は『天才』だと。

 

 空は昔――。人類など信じていないと白に言った。

 どいつもこいつも馬鹿ばっか。自分も含めて(・・・・・・)人類には未来などないと否定した。

 しかし、彼は――。

 

 人類の可能性なら信じてる。――そう思えた。

 

 白と出会い。『本物』の『天才』に出会った。

 わくわくしたと。ときめいたと。そして――分不相応に憧れたと。

 死に物狂いにあがいて、近づけるという可能性を少しでも信じて。

 

 そんな時。彼は比企谷八幡という男を知った。

 正確には知る機会を得たと言うべきか。どちらにせよ、空は比企谷八幡をみつけたのだ。

 すぐにわかった。こいつは白と同じそれだと。

 

 ――白と同じ天才的な頭脳があるわけではない。それでも、こいつは『本物』の『天才』だと直感的に理解した。

 

 だからこそ彼は『ボーダー』に入ったのだ。

 こいつのそれを見てみたい(・・・・・・・・・・・・)。こいつがどんな可能性を秘めているのかこの目で見てみたいと。

 『ボーダー』というゲームで頂点に立つことも目的と言えば目的だった。だが、それ以上の理由があるとすればそれしかなかった。

 そして事実。彼は思った通りの天才だった。

 戦闘という分野において。比企谷八幡以上のものはありえないと思わせるものを持っていた。

 白のそれとは違い。本来ならば埋もれるはずであろう才能。それを見つけたことに、空は歓喜の声すら上げたかった。

 

 ――わくわくしないはずがないだろ。まだいるんだ。そういう奴ら(本物の天才)が。

 

 それを見つけた空という男も、その『本物』だろうに――それを自覚することなく。

 

 

 『比企谷隊』室モニター前。

 八幡の連れてきたのオペレーター。『 』(くうはく)の二人は、最後の戦い、風間と八幡のそれを黙って見ていた。

『・・・・・・にぃ・・・・・・』

『ああ、あとはあいつが一人でやる。俺らは邪魔だ』

 

 それは、相手が一人程度なら八幡一人で十分だ、という慢心的な思考ではなく。『 』(くうはく)が手伝えば逆に戦況を悪くするという、勝利への条件だった。

 もし仮に、太刀川と風間隊が組んで戦っていたら(・・・・・・・・・・・・・・・・・)、それのほうが『楽に』勝てた。

 『 』(くうはく)からしてみれば、それこそが本命であったし、途中から用意していた戦略を切り替えさせられたのには驚いた。まぁ、それ以外にも想定していたからこその、風間以外全滅という状況なのだろうが・・・・・・。

『俺らは手出しできない。なら、此処から先はハチとの一対一だ』

『・・・・・・それが、一番イヤだった――だから、すごい・・・・・・』

『そうだな。これが唯一俺らが負けるかもしれない条件だからな』

『・・・・・でも、ハチ兄・・・・・・こうなるって予想して、た――だから、勝つ』

 

 負ける条件と、彼らは称したが、事実負けるとは彼らは考えていない。

 八幡と『 』(くうはく)を分断させるのが最も勝率が上がるなどという考えは、それこそ彼らのことをなめている。八幡はあくまで『 』(くうはく)の一人として戦っている。であるなら、空と白が手を出さないという戦法も、用意してしかるべきだ。

 『 』(くうはく)が戦術を考えてる時、あるいは手を出さない時、先ほどのように三人で戦う時。すべてがすべて彼らの思惑だ。

 時間稼ぎも計算の内。それで八幡が傷を負っても、それも計算の内。予定外のミスですら、その後の作戦に取り入れる。

 そんな無限のifをたどって勝利をつかみ取るのが『 』(彼ら)なのだ。

 

 つまるところ、二人の中で勝負はついてる。

 

 モニターの前で座る兄妹は、八幡が負けることなど微塵も想像していない。

 勝って当たり前――などではなく、勝つことしか信じていない。

 それが三人の在り方。

 八幡も『 』(二人)を信じている。それができて初めて完成する『ボーダー』での『 』(くうはく)の存在。

 

 比企谷八幡は『 』(くうはく)が天才だと信じて疑わず。

 『 』(くうはく)は比企谷八幡が天才だと信じて疑わない。

 

 故に彼らに負けはない。 

 

 彼らの出会いは、奇跡的にさえ思えるそれだろう。

 

 しかし・・・・・・。もし仮に――。

 

 そんな彼らを出会わせたのが偶然ではないとすれば。それはきっと彼のおかげだろう。

 八幡が『ボーダー』入隊してわずか。八幡はチームなど作る気は少しもなかった。

   

 だからこの一戦は比企谷八幡にとっても、何も知らない『 』(くうはく)にとっても特別だ。

 

 『 』(くうはく)にとって比企谷八幡が恩人だというのなら。

 

 風間蒼也という男は比企谷八幡にとって恩人だった。

 

 

   ▲▽▲▽▲▽

 

 

 3年前。第一次大規模侵攻の後。

 両親を失った少年。比企谷八幡の日課として挙げられたのは、勉学やら家事など覚えることでなく――。

 

 ランニングと言う行為だった。

 

 妹である小町の事を考え、自分に何ができるか考えた結果だった。

 小さい子供の考えでは、もし次があった時に何をした方がいいか。その対策として用意したのが妹を連れて逃げられる足(・・・・・・)だということだろう。

 小学生ながらにして、朝、放課後、そして夜中と。妹がなるべく寝ている時間。並びに家にいない時間を考え、馬車馬のように毎日走った。

 もちろん。そんなことが近所やら周りに知られないわけもなく。八幡へ優しく声をかけてくれる者もいた。しかし、それをやめない八幡を見て、周りのそれも変わってくる。だんだん周りは八幡という存在を気味悪いと思い始めてきたのだ。

 それについて言えば、幼いながらに八幡は周りが自分にたいして抱いてる感情など手に取るように理解できた。

 自身のサイドエフェクトなど使うまでもなく、八幡は他人の感情を読むことに長けていたのだ。

 

 それについて彼自身思うところはない。

 

 周りがどう思おうと、自分のすべきことと認識したそれをやめることはない。

 そのすぐ後には、妹を抱えることも考えて筋力もつけようと筋トレを始めた。金銭的な面を心配し、格闘技やスポーツといったものは習えない。

 朝に起きて妹が起きるまで走り。学校が終わった後も妹が友人と過ごしている時間に走り。夜中、妹が寝静まったときにまた走る。

 それ以外。家のなかでは筋トレと勉強を行い。彼が欲したものなど、少しの勉強道具とランニングシューズではないだろうか・・・・・・。

 

『なぁ小町・・・・・・。今度遊びにでも行くか? 少し外に出ようぜ・・・・・・』

『えー!? お兄ちゃんが外に連れて行ってくれるの!? 行くよ! 小町超楽しみっ!!』

 

 妹に自分のそれを悟られないように、外によく行ってるアピールも欠かさなかった。

 一部だけ切り取るなら、親がいなくても兄妹仲良く頑張っている微笑ましい家庭。ただ、その裏には八幡の異様とも言えるそれがある。

 

 そして、そんなことをしてる八幡が周りから嫌悪されるのもしかたないと言えるだろう。

 周りの大人は変な子供だと、気味悪がれ。同年代の子供からは、嫉妬(・・)と言ういじめにあう。

 小学生やら中学生からしたら、毎日走っている八幡の存在は、頑張ってる――努力しているとでも映ったのだろう。

 

 それでも・・・・・・八幡は走ることをやめなかった。

 その行為が、今の八幡のそれに何も影響をあたえなかったとは考えられない。

 それほどに、彼は愚直にそれだけを繰り返していた。

 

 結局のところ、八幡にとって妹と言う存在はでかかった。

 妹のためなら、自分のそれを犠牲などとは考えなかった。

 

 ――当然だと。妹のためなら必然だと。

 

『お兄ちゃん・・・・・・うっうっ・・・・・・、おかあさんとおとうさんがぁ・・・・・』

  

 第一次大規模侵攻が終わりを告げた後。泣きながら胸に飛び込んでくる妹を見て心底安心した。

 瓦礫と化した家を見て、失ったと思っていたのだから。

 

 忘れてはいけなかった。

 つまるところ――。

 彼もまだ、小学生と言う小さな年齢だったのだ。

 

 

 八幡が『ボーダー』という組織にすぐに入隊しなかったのは、勉学やらを優先する以外にも、『ボーダー』を信用していなかったのが最も大きい。

 彼からしたら何も守れていなかったのだ。憎しみこそ抱かなかったものの、『ボーダー』をヒーロー扱いする周りとは相容れない。

 その時の『ボーダー』に対するという八幡の認識を正確に表すのであれば、あそこにいれば身の回りくらいは守れるかもな――その程度のものだった。であるなら、『ボーダー』に入ったのも誰かのためでもなく、復讐のためでもなく、ただひとりの妹を守ると言うのに行き着くのも当然と言えた。

 

『『ボーダー』に入る理由を教えてくれないかい?』

『・・・・・・自分の身と、家族ぐらいは守りたいと思ったので・・・・・・』

 

 入隊時の面接時のときもそのように答えたはずだ。

 

 いざという時、誰も頼りにならないことを知っている。

 心配してきた周りの大人たちも結局は消えた。

 友人なんてものは守る対象が増えるだけだと思った。

 

 ――なら、そんなものはいらなかった。

 

 八幡は自分で一人でできると信じていたし、事実そのことを間違ったと思っていない。

 今までのそれが変だとは思わない。

 その努力を間違っているとは思いたくない。

 

 ――一人でいれば、誰かに同じように思わせることも・・・・・・ない。

 

 いざという時まで視野に入れたそれは、ある意味達観していた。

 妹も、八幡の努力が効いたのか、初期のころに比べれば心の傷は癒えてきている。

 『ボーダー』に入ったのもそのためだ。

 

『うーん? ソロ活動ってできるんだっけか・・・・・・?』

 

 入隊してからもその考えは変わらなった。

 これまでと変わらない。ひとりですべてを終わらせようと。

 そんな時――。

 

『おい待て、アホ毛のお前だ。さっき125ブースで戦ってただろ』

 

 八幡に声をかけたのが――風間だった。

 

 その時の八幡の心を明確にするならば、――またか。という思いが強いかった。

 結局今だけだろうと。否定すればいなくなるだろうと。

 だが違った。風間蒼也は最後まで諦めなかった。それだけじゃない。その後はチームや『ボーダー』についても教えてもらった。

 人がいない時間帯を選び『ボーダー』へ来ていた八幡を見つけては、必ず声をかけてくれた。

 

 ――嬉しかった。嬉しくないはずがなかった。

 

 一人でやらないと、と思っていた。そんな八幡の心の壁を少しづつ削ってくれたのだ。 

 おそらく、風間がいなければ彼はチームを作ろうとも、『 』(くうはく)に声をかけようとも思わなかっただろう。

 だから、この一戦は八幡にとって特別だ。

 

『もし、お前がチームを作ったときは――俺のチームが相手をしてやる。断ったことを後悔させてやるから覚悟しとけ』

『それは楽しみです。その時は全力で遊びましょう』

『――遊ぶ?』

『はい。俺のチームメイトはそう言うと思います』

 

 ――彼らにとって、この戦いは――あのときの約束なのだから。

 

 

   ▲▽▲▽▲▽

 

 

 比企谷八幡と風間蒼也。

 二人のそれはただの剣の打ち合い程度で終わらない。

 『不可視の弾丸(インヴィジビレ)』の応用――『無病死(ノーモーション)』。

 無防備に風間へと迫るように見えた八幡の腕は、たしかに風間の首を飛ばすように振るっていた。いいや、振るってるように見えないだろう。

 見えない速度で腕を振るい、対象を撃ち抜く銃撃技術があるのであれば。見えない速度で剣を振るうのは、より簡単に行える。

 一瞬。――それで終わるはずだ。

 

「・・・・・・避けるって、信じてました」

 ああ、それで終わると八幡が本当に思っていたのなら(・・・・・・・・・・・・・・)――。そこで勝負は終わっていた。

(・・・・・・ほんとにすげぇよこの人)

 風間が八幡の《スコーピオン》を防いだと同時、腕を引く八幡に対し、今度は風間が首を狩りに来た。

 ただそれだけ。

 もし、油断なんてものがあれば、八幡の首が飛んでいただろう。

 

「見えない速度? なら・・・・・・慣れるまで見ればいいだけだ」 

 風間には辛うじてだが、八幡の腕が見えていた。

 何度も戦闘ログを見直したのだろう。努力もしたはずだ。

 なら、それを防御することは不可能ではない。

 

 仮に、八幡が《スコーピオン》を二本手にしていたならその時点で負けだった。結果としてだが、八幡は一つしか《スコーピオン》をカスタムしていない。 

 受け止められることを想定していないそれは。痺れるように八幡の腕を硬直させる。小南とはまた違った一撃必殺。

 ――それこそが『無病死(ノーモーション)』。

 

 風間の《スコーピオン》は、八幡の首の直前で《シールド》に防がれている。

 息を呑む攻防。

 

 先に動いたのは八幡。

 地面を蹴り下がると同時に、

「・・・・・・ッ!!」

 置き土産とでもいうのだろうか。

 まるまる一つの《メテオラ》をなげ捨てた。

 

 風間もそれを見て離れる。

 だが、あくまで弾であるそれは、風間を追うように追撃する。

「・・・・・ちっ」

 軽い舌打ちをしながら、風間は横へと退避した。あくまで《メテオラ》単体であれば、直線上に入らなければ当たらない。

 だが、ここで風間も気づいた。

 ――違う。そうじゃない、と。

 

 『不可視の弾丸(インヴィジビレ)』プラス『銃弾打ち(ビリアード)』。

 

 横へ逸れる時のわずかな速度停止。

 瞬間――轟ッ!! と、そこ一帯が爆発の渦に巻き込まれる。

 速度と射程距離にリソースを割かず。威力を重視したその弾は、確かに風間であればよけられた。

 攻撃は直撃。回避も間に合わなかったはずだ。

 

(・・・・・・・。――どこだ・・・・・・?)

 

 それでも、八幡は終わったと思っていない。

 あれはまだ防御できるレベル(・・・・・・・・)だと。風間の反応速度なら、爆破の瞬間に《シールド》を追いつかせることも可能のはずだ。

 爆発のせいで周りの音がうるさい(・・・・・・・・・)。そのせいで、僅かに空間が把握しずらい。八幡は風間の位置を知るためにサイドエフェクトを使った。

 というか――。

「・・・・・・マジかッ!」

 あと少し遅ければそこで死んでいた。

(のせられた・・・・・・ッ!! 《隠密トリガー(カメレオン)》を使うためにあえて隙を・・・・・・)

 背後から――さらに言うなら虚空から現れた風間のそれは、八幡の肩を貫いた。

 

 そう。一対一において《隠密トリガー(カメレオン)》では音が弱点だということはもう知っている。消えたところを見せれば、自然と警戒され、むしろ対策を用意させることにすらなりうる。対一で使うにはあまりにも愚策。

 もちろん風間も《隠密トリガー(カメレオン)》が、あくまで奇襲でこそ本領を発揮することを理解していた。

 

 だからこそ、八幡に使う条件を整えてもらった。

 

 気持ちよく技を決めさせ、その上で自分は消える。音の心配もなくなり、絶好な形でそれを使える。

 八幡があと少しサイドエフェクトを使うことをためらえば、そのまま胸を一突きされていただろう。

(左腕をやられたか・・・・・・)

 八幡は追い詰められたように距離をあける、もちろん、それを追うように、風間も前に出る。

「逃がすかッ」

「いえ、逃がしてください」

 その瞬間。追おうとした風間の足が止まる。

 ――グラッ、と。体の軸がずれるように前へ倒れこむ。

(・・・・・・!! 《スパイダー》か!? いつの間に・・・・・・ッ)

 

 《スパイダー》を戦闘中に仕掛けるという無謀と思えるその行為も、八幡が『思考投影』によって、相手の視覚情報を共有していれば可能である。どこを見ていて、どこへの意識が薄いか。それさえわかれば、見えないところでそれをするだけ。

 いたってシンプルな解決法だ。

 そして、体勢を崩すという風間のそれを見逃すほど、八幡も馬鹿でない。

「――ッ!」

 反応できたのは偶然だろう。体勢が崩れたと思うと同時。――警戒しなければ、と頭のそれが過去の経験から引っ張ってきただけ。

 八幡の『不可視の弾丸(インヴィジビレ)』は、それだけで強力な武器と化す。

 

 初期位置。とは言わないが、二人は離れた距離で態勢を立て直す。

「一応トリオン供給機関狙って正解でした。頭なら傷すらなかったでしょうし・・・・・・」

「・・・・・・俺が避けても、どこかには当たるはず。それを狙ってか・・・・・・」

 八幡が放った《アステロイド》は、風間の腕をぶち抜いていた。

 状況だけ見れば互角。

 そんな中、唐突に――。

 

「俺のサイドエフェクトの弱点・・・・・・。知ってたんですか?」

 

 八幡は風間へと問う。

 無敵に思えた八幡の『思考投影』の弱点。それを知らなければ風間はもっと早くに終わっていた、と。

「あくまで可能性――だったがな。お前のそれはあくまで俺の脳との疑似リンクだ。なら、一歩間違えれば、俺が受ける衝撃。あるいは一種の思考停止までお前のそれは知覚する」

 話すのは、それを教えてもなんの問題もないから。

「だからこそ、お前は定期的にしかそれをしない。瞬間的に思考を奪取し、それを生かす。それこそがお前の戦い方だ」

 そう。それこそが弱点。

 八幡でも常に相手の脳とリンクし続けることは叶わない。

 あくまで代用なので処理能力がどうのとかはないが、単純に要らない情報が多すぎる。

「お前は、相手をうまく誘導することで、常に情報を得ていると相手に錯覚させる、が――俺が攻撃を受ける瞬間はそれを毎回解いている」

 それも正解。 

 攻撃を受ければ脳が揺れる。物理的にではなく精神的に。精神が揺れればサイドエフェクトの発動などままならない。

 それを心配しての八幡の処置がそれだった。

「流石です。うまく騙せてると思ったんですが・・・・・・」

「少し考えれば誰でも分かる。お前が大部分の頭脳を任せるオペレーターを求めたのは、外の人間ならその心配がすべてなくなるからだろう」

「・・・・・・それも正解です」

 

 よく調べてある。

 どうやら『ボーダー』には負けず嫌いしかいないらしい。

 風間にとって、あの一戦は何も清算されていない。

 

「やっぱり、風間さん嫌な性格してますね」

「お前が言うな」

 そのまま――。

 風間は動かない左腕を無視するように、《スコーピオン》を右に構える。

 迫ってくる風間の姿を見ながら、八幡は無防備にただ立つだけ。

 

「・・・・・・俺の弱点には前提条件があります」

 その声は、風間には届かないほど小さな声だった。

 目の前で腕を振るう風間を見ながら、

「それは――相手が一撃で終わらないことです」

 今度の声は風間にも聞こえた。

 だが、その時はすべてが終わっていた。

 

 ――まず始めに、腕の動きが停止した。

 ――その次に、自分の体が固定されたように動かなくなった。

 ――そして最後に、自身の首が飛んでいるのを知覚した。

 

『トリオン体活動限界。ベイルアウト』

 

 それを見ながら、

 

「また、一緒に遊んでください」

 

 八幡のその声は、静かに。風間の耳へと届いていた。

 

 

 

 

 




『副音声』

八幡「副音声開始だな」
そら「いやーとうとうS級試験終わったなー。完全終了はおそらく次の話数までだろうけど、戦闘シーンはここまでだな」
しろ「あと、は・・・・・・解説・・・・・・?」
八幡「お前らの”本当の狙い”、うまくいくかわからないけどな」
そら「そうだな。うまくいくかはわからねーが、俺はそうであってほしいいけど」
しろ「・・・・・・遊び相手――たくさん・・・・・・」
そら「にしてもハチにとって風間さんが恩人だったとな」
八幡「うるせーよ。別に自分の過去がどーのとかは思ってない。ただ、あのときはたまたま嬉しいぐらい思ってたんだよ」
しろ「・・・・・・素直に、うれしい・・・・・・言えばいい――捻デレ・・・・・・」
八幡「なんか最近白の当たり強くない?」
そら「キャラぶれか? しっかりしろよ白」
しろ「・・・・・・ッ・・・・・・あ、ぶない――」
そら「おーけーか? なら本題だな・・・・・・。ハチが使った『無病死』(ノーモーション)あれはまたしても『めだかボックス』から持ってきたものだな」
八幡「安心院さんの一京分のいちのスキル。その一つだな。確か・・・・・・剣速のスキルだっけか?」
しろ「・・・・・・最後らへん、に・・・・・・変態につかって、た・・・・・・」
そら「待て白っ、まだ小さい女の子があんな変態のことを語ったらだめだろ!?」
八幡「あれは凄まじかったな。インパクトだけであそこまでキャラを残すなんて・・・・・・。さすが西尾維新先生」
そら「あーなんか八幡のキャラ、あそこの世界にいてもおかしくなさそうだもんな・・・・・・。なんだっけ? 友達を作るとどうのっていうあれ――」
しろ「・・・・・・人間強度――下がるから、言いそう・・・・・・」
八幡「言わねーよ。てかそれ違う作品だろ。作者は同じだけど・・・・・・。てかそもそも、俺なら友達はいらないじゃなくてそもそもできないって言うから」
そら「そ、そうか・・・・・・。そこまではっきり言われると引くな――」
しろ「・・・・・・ハチ兄、かわい――そう・・・・・・」
八幡「哀れみの視線を投げられるのはいつもどおりだが、お前らに言われるのはなんか違う気がする」
そら「・・・・・・うっうっ・・・・・・、てことで今日の副音声は終了だ・・・・・・」
しろ「・・・・・・また、みて――ぐすッ・・・・・・ね」
八幡「やかましいわ」
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