やはり俺と『 』が《ボーダー》隊員なのは間違っている   作:必殺遊び人

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十五わデース。

まずはお久しぶりです皆様
長らく投稿があいてしまい本当に申し訳ありません
上げる上げる詐欺をしてしまい本当に申し訳なく思っている所存でございます
ごめんなさい、学業と両立できない子なんです私・・・・・・。
また止まることがあると思いますが今後は少しずつまた書いていこうと思います(ペコリ)

っと! 言うわけで気分を変えていきましょう!!

長く空いてしまったので話を忘れている方もいるかもしれません。そんな方は、流し読みでもいいので前話を少し見ていただけると幸いです。
長くつづきました木虎編を今話で終わらせることに成功しました!
次回からは『俺ガイル』の方の原作に入ると思いますのでよろしくお願いします。

最後に定期的に感想を送ってくださった方本当にありがとうございます。
見てくれている方が分かるだけで書こうという気になります(ならもっと早く出せよって感じですが(笑))

長くなりましたがこんな感じで!
それではどうぞ!



十五話>>『素直になれよ、子供だろ』

『逃げてんじゃねー、弱虫が』

 

 突然、人が変わったように言った八幡の言葉に、木虎の表情が固まった。

「・・・・・・な、なにを・・・・・・」

 大人びてるとはまだ14歳の中学生。

 自分より2つ以上年上の男性の言葉に、自身の言葉がうまく出ない。

 

「お前、もしかして『嵐山隊には顔で選ばれたみたいでいづらいです』とか思ってんじゃないのか?」

 

 ビクッと。木虎の肩がわずかに揺れる。

「それが逃げてるって言ってんだ。・・・・・・あのな、今『ボーダー』には大体四、五百人程度の隊員がいる。A級言ったらその中の数パーセントだ。実力だろうが運だろうが、容姿だろうが、行きたくてもいけない隊員が何百人といる中で、『今ちょっと勝てない』程度でそれを捨てるとか・・・・・・――お前、流石に『ボーダー』なめすぎだろ・・・・・・?」 

「――ッ!!」

 

 なんだこれは。

 なんで急にこんな事・・・・・・。

 

 木虎は突然の八幡の物言いに、頭の中で先の言葉を整理するだけで限界だ。

「入隊直後はうまくいかないとか、年下の相手に負けるとか、才能ある新人にぼこぼこにされるとか、そんな人間山ほどいるぞ。それに比べたら、お前のそれは・・・・・・あーなんだ、もしかして才能ある自分が負けるはずないとでも思ってたのか?」

「・・・・・・そ、そんな事ありませんっ、私はただ、このままではチームに迷惑をかけると思って・・・・・・ッッ!」

「なるほどな、それを、嵐山さんたちが言ってたと?」

「――え?」

「いや、だからな? 嵐山さんたちが、お前がいたら迷惑だとでも言ったのか?」

「・・・・・・、」

 木虎は言葉を失う。

 確かに嵐山は木虎にそんなことは一度も言っていない。むしろ一緒に頑張ろうと言ってくれている。

 けど、木虎が言いたいのはそんなことではない。迷惑云々など理由の一つに過ぎない。いいや、もしかしたら理由ですらないかもしれない。

 

 ――感覚で、なんとなくで、自分は嵐山隊に入れないと、心のどこかで思っているのだ。

 むしろ感情に理由をつけようとするほうが間違っている。理由をつけられないから感情なのだ。それこそが普通なのだ。

 

 八幡の言い回しは、はっきり言って卑怯だった。

 まあだからこそ。――それを言ったのだが。

 

「なるほどな。要は我慢できなかったわけか、周りの目が怖くて、結局自分から逃げることを選んだ。嵐山さんたちはその理由付けか?」

 木虎の心の内を読むように、八幡はその先を潰していく。――否、言われたくないことを口にする。

 サイドエフェクトではない。そんなもの使わなくても、八幡は元から人の中身を見ることに長けていた。

 

 好き勝手に言ってくれる。

 ここまで言われて黙っているほど木虎も大人ではない。

「逃げてはいけませんか・・・・・・。これは私の問題で、嵐山隊の問題のはずです。わざわざ比企谷先輩に言われることじゃないと思います!」

 キッと、睨みつけるように、木虎は言葉を返す。

 

「・・・・・・そうだな。本当なら俺が言うべきことじゃないが、俺だから言えることもある」

 淡々と、八幡は木虎のそれを認めた。

 

「・・・・・・、」

「抜ける抜けないはぶっちゃけどっちでもいい。それは確かにお前が決めることで嵐山隊の問題で、俺がどうこう言うつもりもない。けど、お前は嵐山さんたちの事もちゃんと知るべきだ」

 

 ――どういう意味だと、木虎が聞く前に。八幡がそれを言う。

「さっきはああいったが、お前が嵐山さんたちに迷惑をかけたくないってのは本当だろう。それはつまりお前が嵐山隊の事を思ってるからだ。・・・・・・なら、その逆ももちろんあるだろ」

「・・・・・・ッ」

「嵐山隊はお前の事が心配で、悩んでるお前にかける言葉がなくて、それでも何とかしたいと思ってるんじゃないのか? お前のそれを、無碍にしてるとは俺は思わねぇよ、実際に抜けなければならない状況もあるかもしれないからな」

 

 静かに。

 八幡の言葉は紡がれる。

 

「『ボーダー』でのチーム解散はそこまで珍しくない。B級上がりたてのやつらが組んで、上に勝てずに解散だって結構ある。結局個人で続けて、C級まで逆戻りなんてのも珍しくない。だから何が言いたいかっていうと・・・・・・えーと、だからあれだ・・・・・・、こんな良いチームそうそうないと俺は思うぞ?」

 バッと、木虎は下げていた目線を八幡へ向けた。

「実力がどうたらとか、容姿がどうのとか、そんなことはチームを抜ける理由にするな。チームを抜ける時理由にすべきは、チームメイトの気持ちとお前の気持ちだろ」

「・・・・・・そ、それなら実力が足りないから抜けたいって言うのが私の気持ちで――」

 

「――でも、ここにいたい。その気持ちの方が大きいんじゃないのかよ」

 

 木虎の言葉を遮るように八幡は言う。

 

 ああ、そうだ。その通りだ。

 チームを抜けたくない。その思い方が断然大きい。

 木虎は思う。どうする方が正しいのか。いいや、自分はどうしたいのか。

 そんな木虎に――。

 

「はぁー、なかなか強情だな。・・・・・・素直になれよ、子供だろうが」   

 ポン、と八幡は木虎の頭を撫でた。

 

 無意識だったのだろう。まるで妹にするように、自然と手が向かっていた。

 幸い、即座にそのことに気付いて謝罪の言葉を述べる八幡だが、木虎はその言葉を聞いていないのか撫でられた頭をそっと触り、

「もう少し・・・・・・嵐山さん達と話してみます」

 

 普段は見せることのないそれを。

 軽く微笑むようなその顔を八幡へと向けた。

 

 ただ――。

「それとは別に、私は弱虫ではありません」

 先ほどの笑みなど見る影もなく、むしろ凛という表情で告げた木虎は、いつも通りツンとした感じでそういった。

 

 

   ▲▽▲▽▲▽

 

 

 時枝充が比企谷八幡という男を知ったのは、実をいうとつい最近の事である。

 

 比企谷八幡のつながりを考えるにあたって、最も強固で深い関係は『 』(くうはく)だ。しかし、それ以外に全くつながりがないかと問われればそうではない。

 入隊初期に知り合った風間や迅などもそうだが、玉狛支部との付き合いの時間も意外と長い。

 今回で言えば嵐山もそうだし、八幡が入隊してから一年間と言う月日を考えれば、それは言うまでもなく自然なことだ。

 特筆すべきこともない。

 彼の人生はある瞬間から始まったわけでなく、物語の主人公でもないのだから当然だ。

 

 だが、時枝充にとっての比企谷八幡は特別だった。

 

 当時、たまたま目についた嵐山と話していた少年。それが比企谷八幡だった。

 『少年』と称したが、時枝は自身よりも一つ二つ年上だろうとその時は予想した。

 

『嵐山先輩こんにちは。ところでそちらの方は?』

『――ん? ああ充か。こいつは比企谷って言ってな・・・・・・――紹介するよ比企谷、こっちは嵐山隊の一人で時枝充っていうんだ』

 

 別段変わった様子もなく、一般的な質問をした。 

『(なんか目が・・・・・・)』

 変ですね、と言う感想を口にすることなく。まあそんな感じが八幡と時枝の最初である。

  

 そんな彼が八幡に抱いたのはシンパシー。

 お互いに目に特徴があることだったのかもしれないし、口数が少ないことかもしれない。はたまた雰囲気か・・・・・。

 

 別に劇的な出会いではなかった。そもそも男同士であるし、間違っても恋心なんて言うものではない。むしろそんなものならごめんすぎる。

 小学校で最初に友達になるのは隣の席だとか、話しかけたらたまたま趣味があっただとか、シンパシーなど言ったが、興味を引かれた理由はその程度のものだろう。

 

 当時こそ自己紹介程度で話は終わったが、それ以降、時枝はなんとなく――と言う理由で比企谷へ話しかけることが多くなった。

 知り合いだからとりあえず、通りですれ違ったから、目が合ったから。

 『出来る男時枝充』名高い彼は、礼儀をしっかり重んじる人間なのだ。

 その最中、時枝はあることに気づく。

 

『・・・・・・あれ? 比企谷先輩と話すのが楽しい?』 

 

 時枝の入隊時期は彼が12歳の時、中学一年生だった。三年間と言う『ボーダー』では長い年月を過ごしているが全体で見れば年下の部類に入るだろう。

 それでも、何事においても優秀な彼を周りは『すごい』と称しながらもそれが『時枝充』だという目で見ていた。

 悪い事ではない。要は『出来る男時枝充』と言う肩書が定着しただけの事。言ってしまえばクラスの委員長と認識は同じだろう。

 それが当たり前の中、八幡だけそのフィルタを透さず時枝充を見ていた。

 単にその噂を知らなかっただけとも言えるかもしれない。

 

『比企谷先輩。この間嵐山隊A級に上がったんんですよ。久しぶりに自分で点数とりました』

『おーすごいな。相手は・・・・・・えーと、まーあれだ。おめでたいな、マックスコーヒーを奢ってやろう』

『同じ『ボーダー』の仲間ぐらい名前は覚えましょうよ。後普通にジュースが良いです』

『名前を覚えるのは苦手なんだ・・・・・・』

『・・・・・・。俺の名前、覚えてますか』

『あー、その話はまた今度な』

 

 軽く最低な部分があったが、可もなく不可もなく。そんな会話。

 嵐山准と言うインターフェースを介して知っているだけのちょっとした知り合い。それがお互いがお互いに求めたポジション。

 

 それ故に心地いい。

 時枝にとって比企谷唯一気を張りすぎなくていい人物であった。

 

『悪いな充。俺の書類まで手伝ってもらって。今日は妹と弟のご飯を作らないといけなかったんだ』

『気にしなくていいですよ嵐山先輩。俺も暇でしたから』

『そうか。あまり気を張りすぎるなよ? 疲れたら言ってくれ』

『大丈夫ですよ。さっき比企谷先輩と会ってマックスコーヒーを奢ってもらいましたから』

 

 結局マックスコーヒーだったか、と言うのはさておき、時枝にとって比企谷八幡とはそういう男だ。

 

 時枝充は一人っ子。もしかしたら時枝にとって八幡とはお兄ちゃんと言う存在と酷似しているのかもしれない。

 緑川駿で言ういうところの迅悠一。黒江双葉で言う加古望。

 一つしか違わないじゃないかと思うかもしれないが、時枝にとってのそれが八幡だった。

 

 ・・・・・・。

 

 そんな時枝だが、いいや、だからこそか。

 遅れたことによって知らない事情。

 木虎と八幡の戦闘と言う意味不明な現場を、嵐山から状況を聞いた段階で、八幡のしたい事をすでに看破していた。

 ただ、時枝が思ったことは八幡のそれにどうのこうのではなく――。

 

『比企谷先輩らしくない』

 

 ――と言ったものだった。

 

 そうなのだ。いくら嵐山の頼みだとしても、相手が年下の女の子と言うことを加味しても、今までの比企谷八幡ではここまでしない。

 何もしない。のではなく、ここまで凝ったことをしない。

 

 時枝は、木虎と八幡の訓練が終わるのをモニターで確認し、すこし考える素振りをした後。――ああなるほど、と頷いた。

 同様に嵐山も気づいたようで、――少し無理な頼みをしたかな、と申し訳なさそうな顔を浮かべている。

 この三人の中で綾辻は、八幡の行動にそもそも疑問を覚えることのできなかった。それは単純に付き合い時間が短いからだろう。

「・・・・・・?」

 一人首を傾げる様子を見るに、二人が何に気付いたのか分からない。

 しかし、八幡が好奇心旺盛の天然者と表したことからも分かるように、綾辻はその気質がある。

 

 結果。

「自分たちだけで納得しないでください」

 綾辻は二人に向かって素直に口にした。

 

 

   ▲▽▲▽▲▽

 

 

 木虎は隊室の前。扉を開けることをためらっていた。

 

 ――普通に恥ずかしい。

 我ながら子供っぽいことをしていたものだと。木虎は今までの自分を子供と称した。

 年齢からして子供だろうに・・・・・・。『今までの自分は子供』――その思考がすでに子供っぽいことに木虎は気づいていない。

 

「・・・・・・よし」

 意を決し、扉を開けようとした瞬間。時枝の声が扉越しに聞こえた。

 

『比企谷先輩は、基本的に面倒くさがりなんですよ。ましてや今回は嵐山さんの頼みとは言えチームの問題。それに首を突っ込むほど、比企谷先輩は『良い人』ではないんですよ』

 

 恐らくは時枝の声のそれに、木虎は動かそうとした手が止まる。

 

『多分木虎を怒らせることにはなることになっても、()()()()()()()()を作るぐらい、簡単にできたと思います・・・・・・ですよね? 嵐山先輩?』

 時枝の言葉を引き継ぐように、

『まあ、そうだな。木虎も達観してるが、比企谷の方がまだ上だ。言いくるめるぐらい初対面でもできるだろう。面と向かって話せるかどうかは別としてだけどな』

 わずかに木虎のプライドが刺激されたが、先ほどの問答を思い出しても、事実だ。――と客観的に感じ取っていた。

 

 口が上手いというか何と言うか。

 正しいことを言ってるわけではないのに、なぜかこちらの心をついてくる。

 

『なのに比企谷先輩はここまでした。多分・・・・・・俺たちが思ってる以上に、木虎の事を大事にしてくれたんだと思います』

『・・・・・・えーっとつまり?』

『ですから本来有り得ないんですよ、比企谷先輩がこんなことをするのなんて』

『でも実際・・・・・・』

『そうですね。きっと比企谷先輩はほっとけないんですよ、木虎みたいな危なっかしい子は』

 

 木虎は運がよかったと言えるだろう。

 八幡は基本的に年下に甘い。それは自身に妹がいるというのもそうだが、年下の・・・・・・それも女の子の苦痛の表情は一番嫌いなのだ。 

 あの頃。 

 泣いていた妹の顔を思い出すから。

 比企谷八幡は無意識故にそのことには気づかない。 

 

『恐らく比企谷は最低限の解消ではなく、最大限の解消の手を打っています。何を話しているか、何をしているかわわかりませんけど、俺らが話すよりはマシなはずです』

『・・・・・・』

 八幡は始める前に綾辻に言った。

 適材適所だと。

 それをこの二人は分かっていたということだ。

『木虎は真面目だからな。どうしても自分の嫌なところダメなところを見る癖があるだろ? それだけなら別にかまわない。けど俺らはそんなことを隊を抜ける理由にしてほしくないんだ』

『そうですね。俺たちは木虎に残ってほしい。でも、木虎にはその言葉が()()()()()。だから、気づいてもらうしかないんですよ。本当につらいならそんな理由じゃなくて・・・・・・気持ちで決めてほしいってことを』

 

(・・・・・・ッ)

 ああ、思えば八幡は最初からそれをしていた。

 

 木虎を怒らせるようなことを言ってでも、()()()()()()()なのかを念入りに探っていた。その上で、『木虎藍』がどうしたいかを聞いてきた。

  

『じゃあ、その上で藍ちゃんが嵐山隊を抜けたいと言ってきたら・・・・・・』

 綾辻は少し悲しそうにそれを口にして。

『そうだな。その時は木虎がまた戻ってくることを待つしかないだろう。でも、俺は残ってくれると信じたい。俺は今のチームで上に行きたいからな』

 

 それを聞いて、木虎は改めて自分のそれの馬鹿ばかしさに気付いた。

 

 弱いから抜けるなんて、自分のこれからの成長に、自信が持てないと言っているようなものではないか。()()()()()()()と言う考えすら及ばない、だから抜けたいなどと言い出した。

 

 ――なるほど。これでは確かに『弱虫』だ。

 

 木虎は思った。

 考えるべきは、――どこで強くなりたいか。それだけだと。

 

【やって後悔とやらずに後悔するのどちらが良い?】

 

 そんな言葉遊びがある。

 木虎がそれに対する回答を言うの言うのであれば。

 

 ――ああ馬鹿馬鹿しい。そんなの、質問から、願い下げだ。

 

 と、そう答えるだろう。

 そもそも、何故後悔すること前提なのか。

 

「後悔はするかもしれない。けど、成功するなら嵐山隊の元で私は――したい」

 

 心の内は決まった。嵐山たちと話し合うまでもなく、木虎は答えを得た。

 それと同時。

 木虎は走った。

(まだこの辺にいるはず・・・・・っ)

 

 隊室を出てすぐ。

 木虎の予想通り、アホ毛を揺らしながら。比企谷八幡はそこにいた。

「比企谷先輩ッ!!」

 

 木虎の声に反応するように、ビクッと肩を揺らしながら振り返るそれを見て、

「私を弟子にしてください! 比企谷先輩の下で強くなりたいです!!」

 バッと。頭を下げた。

「・・・・・・」

 木虎には八幡の表情が見えていない。故に何を考えているかもわからない。

 もしかしたらすごく嫌そうな顔をしているかもしれない。むしろそのほうがありそうだと、木虎は苦笑いを浮かべている。

 

 答えは聞くまでもなかった。

「悪いな、弟子とかそういうのは取るつもりはないんだ。お前らと俺とじゃ『ボーダー』にいる理由が違う。今回は嵐山さんに頼まれたからたまたまだ」

 

 ――そうだろうな、と。木虎は思った。

 

(そんな気がしていたもの)

「師匠なら。一人良い奴がいる。烏丸っていう奴なんだが、恐らくお前の師匠には一番合ってるだろう。玉狛所属だが、ほとんど本部に顔出してるし、嵐山さんに聞いてお願いしてみろよ」

 そういう事じゃないんですよ――と不満を顔に出そうになる木虎だが、仕方がないと表情を戻す。

「だったら仕方ないですね。今日はありがとうございました」

 改めてお礼を口にして。

 ――気にするな。と言う八幡の言葉を遮り――。

 

「私、嵐山隊に残ることにしました」

「・・・・・・そうか」

「S級試験時の、綾辻先輩の言葉覚えてますか?」

 ・・・・・・・・・・・・。

 ・・・・・・。

 

「お前、本当に負けず嫌いだな」

 

 木虎の言葉の意味を理解し。不敵に笑う木虎に露骨に嫌そうな顔を向けながら、八幡は口にする。

 

「負けっぱなしは絶対に許しません。その時まで黒星とっておいてくださいね。私たちが付けるので」

 はぁ、とため息をつきたくなる想いを何とか抑えながら。

 八幡は頭をがしがしとかき。

 

「まぁ無理だと思うが頑張れよ」

 ――これだけは譲れない。

 

 『 』(くうはく)と手を組んでから、これだけは譲ったことがない。

 他のすべてが仮に負けたとしても、いや、勝つとかどうでもいいまであるが・・・・・・。

 『 』(くうはく)としてだけは、比企谷八幡も負けるつもりはなかった。自分のためでもあいつらもためにも。

 

 ――ニヤリ、と。

 珍しくも笑う八幡の顔を見て。

「比企谷先輩、ちょっと気持ち悪いです」

「ぐはっ・・・・・・」

 木虎の侮蔑ある言葉に、いつも通り、比企谷八幡は負けていた。

 

 

 

 

 




『副音声』

八幡『さーて今週のサザエさんは・・・・・・』
時枝『いやいや違うでしょ比企谷先輩、副音声ですよ。久しぶりで緊張してるのは分かりますがふざけるのはやめてください』
八幡『いやね、違うんですよ時枝君。俺はこの現状は間違いだらけだと思うんですよ。・・・・・・俺は覚えてるぞ、今話までは嵐山隊入れ替わりで副音声をするってな。じゃあなんで俺がいるんですかね? おかしいよね?』
時枝『そうれはですね。・・・・・・えーと、あれです。そう、みんな忙しいんですよ』
八幡『シンプル!? てか言い訳する気もねえなお前・・・・・・』
時枝『いえ、本当は僕も忙しかったんですが、比企谷先輩は決定になった時、出るなら俺しかいないと満場一致で決まったので』
八幡『えー俺と副音声そんなやりたくないのかよ・・・・・・。別にいいけどね、むしろそのまま俺がでなくなればいいと思う・・・・・・』
時枝『まっそんな事この先一生ないでしょうけどね。主人公ですし』
八幡『白と空がいるだろ・・・・・・あいつらが話した方がよくね? そろそろ外にたたき出してやろうか・・・・・・マジで』
時枝『引きこもりに対してはきついこと言いますね比企谷先輩。木虎にはあんなに優しくしたのに・・・・・・』
八幡『はあ? お前がどう感じたかは知らないが優しくはしてないだろ・・・・・・。あんなの野良猫に餌やったみたいな感じだよ。一回目はあっても二回目はない。それのどこが優しさだ?』
時枝『一回目があるだけで十分だと思いますけど・・・・・・。それとは別にお礼を言わせてくださいありがとうございます』
八幡『やめろよ。今回はたまたまうまくいっただけだ。まっ最悪ぶん殴られるまでは予想してたから良い感じにまとまったと言えるけどな』
時枝『それでもですよ。でも本当に珍しいですね。そんなに木虎の事気に入りました?』
八幡『なんなの今日のお前、めちゃグイグイ来るじゃん? もしかして・・・・・・嫉妬してんのか? なんか本編でもめっちゃ俺になついてるみたいに書かれてるし・・・・・・いや、流石にないか忘れてく――『悪いですか。嫉妬たら・・・・・・』――ふぁ?』
時枝『いえ、すみません。俺が知らない間にいろいろ始まってたので、少し展開についていけなかっただけですから』
八幡『・・・・・・あ、そ、そうか。俺も変なこと言ってわ、悪かったな』
時枝『・・・・・・』
八幡『・・・・・・』
時枝『・・・・・・別に、木虎と違って憧れてるわけじゃないですよ?』
八幡『わかってるよ。そこまでうぬぼれてねえしな』
時枝『でも・・・・・・比企谷先輩と話す時間は好きなんですよ――とても』
八幡『そうか』
時枝『はあー、そろそろ終わりにしますか? 本編にはそこまで触れられませんでしたが、内容から見ても問題ないでしょう』
八幡『そうだな。特に目新しい設定言ったら時枝充についてって感じだがそこそこ書かれてるしな』
時枝『あっちなみに木虎はべつに比企谷先輩の事を好きになったりしてませんからね?』
八幡『うん、知ってるけどそれここで言う必要あったか? なんもしてないのに振られたみたくなってるんだけど』
時枝『読者の方へ一応ですよ。では副音声終了します』
八幡『ああ、また見てくれよ』
時枝『次回はいつになりますかね』
八幡『早いことを祈るしかないな』
時枝・八幡『バイバイ』
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