やはり俺と『 』が《ボーダー》隊員なのは間違っている   作:必殺遊び人

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19 Episode

 結構時間空きましたか? 一話あたりどのくらいお文字数が読みやすいんだろうと、試行錯誤中の私です。

 私自身の書き方なのですが、ノゲラとワートリの世界観、空気感を優先しています。
 比企谷八幡にメインスコープを当てることが多いですが、俺ガイル作品として見ると、恐らく違和感があるかと思います。
 今更ですが、書かせていただきました!
 
***
毎度のことながらリア10爆発46様 久遠秋人様誤字報告ありがとうございます!
とても助かっています。
***

 さて!!今話を持ちまして、伏線をすべて起き終わりました。
 伏線と言っていいかはわかりませんが。次回からが、私が用意した最も大きい『 』《くうはく》の見せ場にあるかと思います。(投稿できれば・・・・・・)
 ぶっちゃけ今話はそのつなぎになります(笑)

 『 』《くうはく》が用意した【作戦】を予測しつつ読んでいただけたら幸いです

 それではどうぞ!!
 ――あ、ヒロイン選挙まだ実施中です――
 
 



十九話>>『――起きて、『 』(くうはく)

 

 『ボーダー』に来るのが、ひどく久方ぶりな気がした。

 

 いや、『ボーダー』自体にはよく来ていたのだ。

 ただ春休みが終わり、学校が始まったこともあってか、隊員としてきたのが久しぶりだっただけの事かもしれない。

 

 最近は『ボーダー』に来ても『 』(くうはく)とゲームをするだけ。仕事すらほとんどしていなかった。

 思えば防衛任務に就くこともなかった気がする。

 ――と、八幡はだらだらと意味のない思考に浸る。

 

 防衛任務とは、時間シフトである区域に侵入してきた近界民(ネイバー)を狩るという。もはや説明するまでもない、『ボーダー』の一般的な仕事である。

 

「まっ、大半はぼーっとしてるだけなんだけどな」

 

 そして。

 現在、八幡はその任務についていた。

 最低でも二チーム以上で臨む行為だが、八幡の周りには近界民(ネイバー)どころか人の影すらない。

 当然だ。なぜならそれは2チームではカバーしきれない区域を手分けして防衛するため。固まって防衛につくなど、B級上がりたての育成ぐらいしかない。

 自称ボッチ比企谷八幡。嘘から出た誠とでも言うべきか有言実行と捉えるべきか。彼は世界からボッチと認められたのかもしれない。

 

『へいへいハチ? 次はお前の番だぞ。早く数字言えよ』

「ああ悪い。じゃあ7654390」

『あー3Eat、4Bite。――まっ意味ないけどな、それ。・・・・・・じゃあ答えと行こうか!! 0347821!』

「はぁー7Eatだよクソ野郎。てか強すぎない? まだおれ全然わかんないんだけど・・・・・・」

『・・・・・・ハチ兄・・・・・・弱すぎる・・・・・・』

「てめえ空、白を使うのはチートじゃないですかね?」

 

 音声の向こうでケラケラと笑う『 』(くうはく)の強さに呆れながら、静かにため息を吐いた。

 今彼らがやっていたのはNumer0nと言う思考ゲーム。

 各自に0~9の数字を使った番号を言っていき、お互いが指定した番号を当てるといったシンプルなゲームである。本来は三桁で行うものだが、二人が行っていたのは七桁。本来あるアイテムを禁止したとは言え、頭の中だけで数字データをやり取りするその様は流石と言ったところだろうか。

「てかこの手のゲームで白に勝てるわけなくね? なんで13手で答えわかんだよ・・・・・」

『三十六万二千八百八十通り――けど七桁と言う性質と最初のハチの聞いてきた・・・・・・()()()()()()()()()()()()()()()数字を加味して、絶対に考えない並び合わせを算出。あとは簡単な消去法だな」

「・・・・・・」

 ――気持ち悪っ! と声を挙げなかったことに八幡は自身を称賛した。

(いや意味わかんねーよ。説明端折りすぎじゃね? そこまでに至る膨大な計算式がまるでわかんねーわ)

  

 時に。再度確認するが、今は八幡は防衛任務中である。

 間違っても楽しくゲームに興じる時間ではない。

 もしこれで市街地にトリオン兵を逃がそうものなら、本部に及び風間にぶっ飛ばされることは決定事項なのだが、それがないから質が悪い。

 

 突如、ヴー、っと『ボーダー』基地周辺に響く警報が流れた。

(ゲート)発生。(ゲート)発生。座標誘導誤差1.23。近隣住民は避難してください』

 無機質に流れるその音声を聞いても、八幡は動かない。

 ぶっちゃけこの警告は意味をなしていない。住民に座標誘導を何タラ言われても分かるわけがないのだ。

 これは言い訳文。『ボーダー』はちゃんと活動していますよー、と言う意思表示だ。

 とは言え、隊員にとってはいい目印になるだろう。

 まあそれでも――

『・・・・・・計算、終わった・・・・・・』

 『 』(くうはく)には関係ない。

 

「・・・・・・アクセスするぞ」

『・・・・・・おっけー・・・・・・』

 八幡は自身の背後に目を向け、何もない空間へ《イーグレット》を構える。

 

 時に、覚えているだろうか。

 以前、『 』(くうはく)が行っていた仕事として挙げた一つに、近界(ネイバーフッド)を求めるというものがあったという事を。今更だが、それには続きがあったのだ。

 だが特別変わったことはない。ある意味ただの再確認だ。

 

 ――ああ、結局のところ。

 

 『 』(くうはく)にとって、『ボーダー』とはどこまで言ってもゲームでしかないのだな、と。

 

 八幡は引き金を引いた。

 何もないその空間へと。何もないとは言え、それは特筆するべきものがないというだけで、全く何もないと言う意味ではない。

 そこは住宅街があって、空が見える。いたって普通の景色。

 だが、八幡が引き金を引いたとほぼ同時。ほんの・・・・・・コンマ程度遅く、そこに黒い穴が開いた。

 『(ゲート)』。トリオン兵が送られてくるその場所へ、八幡が放った弾丸が吸い込まれるように入ってゆく。否、そう見えた。

 少しの時を開け、そこから白い巨体が姿を現す。

 トリオン兵《バムスター》。戦闘力はほぼ皆無なもののその装甲は固く、捕獲を目的とするならば十分に驚異的な存在だ。

 

 しかし――。

「・・・・・・ビンゴだったな」

 

 二、三十メートルはありそうな個体は、その脅威を見せることなく、黒い穴から転げ落ちた。

『・・・・・・白、百発百中・・・・・・ブイッ・・・・・・』

 近界民(ネイバー)がトリオン兵を送るのには理由がある。道理がある。ならば。

 『 』(くうはく)には分かるのだ。

 いつ? 何が? どこで? それらが。

 

 今回はそれ一体だったらしく。被害は起きなかった。

「被害地ですでに住人がいないとはいえ、壊すのは気分がよくないからな」

 八幡はビルの屋上。

 彼が担当する区域すべてを見渡せるその場所で・・・・・・。

 

『次は、しりとりしないか?』

「いいぞ。じゃあ最近はやりの『消去しりとり』で」

『へーハチから条件だしてくるなんて珍しいな。予習でもしたのか? その程度で勝てると思ってんの?』

「わかってないのにわかってるふりするのはお前の十八番だったか? ビビってんですねわかります」

『・・・・・・なめるな・・・・・・素人・・・・・・』

 

 また先ほどと同じように。

 すでに仕事は終わったと。

 『 』(三人は)次なる遊戯へ意識をゆだねた。   

 

 

  ▲▽▲▽▲▽

 

 

 比企谷八幡のランクはもはや語るまでもなくS級である。

 すなわち定期給与が約束されている。出来払いと言われている防衛任務の数によって変化は生じるが、そこら辺のバイトよりは高い給与が支払われている。

 学生にしてこれほどの待遇は『ボーダー』ならではと言ったところだろう。

 

 とは言え――実を言うと、就職という形をとっていない学生の金額はそこまで高くはない。

 どんなに稼いでいても、それだけでは生活が送れるほどではないとは言っておこう。 

 

 これでは『ボーダー』の危険度とみあっていないような気もするが、実はそうではない。

 『ボーダー』のトリオン体――正隊員には、ベイルアウトと言う機能が存在する。それ以外にも、『ボーダー』基地周辺と言う決まりを作ることで、ある程度の安全性を保障しているのである。

 さらに言うならば、上層部としては、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()の方を優先している結果ともいえた。

 それは――『ボーダー』が誇る安全性の自信とも取れるだろう。

 

 さて。

 ここで何が言いたいかと言うと、『ボーダー』に入るメリットは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と言う事である。

 

「・・・・・・うーん? 確かにそうかもしれないけど、でも戦う技術を得られるだけでも十分だと思わない?」

 そこまで話を聞いて声を出したのは、那須隊の隊員熊谷友子である。

「確かに熊ちゃんの言う通りね。でも比企谷君が今その話をしたってことはそうじゃないんじゃないかな?」

 そう言って、那須玲が視線を向けた先は、机に肘をついていかにも不機嫌ですよオーラを漂わせる比企谷八幡であった。

 

 その場所は那須隊隊室

 三人の他に、お茶を入れなおしてふらふら器を運んでいる日浦茜を入れてその場所には合計四人。

 男女比三倍の場違いの場所にいる八幡は、なぜこうなったと頭を抱えた。 

 

 そう、今この状況を説明するには少しばかり時間を遡る必要があるのだ。

 

 

 ・・・・・・。

 

 

 防衛任務を終え、ゆったりとした様子でマックスコーヒーを飲む八幡の心は、貴族のブレイクタイム並みの心地よさ。

 仕事。と名のつくものは毛嫌いする八幡ではあるが、仕事終わりの一杯だけはなかなかに悪くないと、これもこの一年で学んだ一つである。

 素晴らしきかなマックスコーヒー、と。

 気分豊かなそのひと時は、唐突に幕を閉じた。

 

『あ、比企谷君こんなところにいたのね。探してたの。今日みんなに紹介しようとおもっていたから見つかって良かったわ』

 声がした。顔を上げた。

 ギギギ、と言う擬態語がにあうその動作で首を動かした八幡の目の前にいたのは那須玲。

 滅多に人が通ることのない廊下である八幡のお気に入りで鉢合わせ。

(えー・・・・・・なんでここにいるんだよ・・・・・・。しかもなんか不穏な発言してなかったかこいつ)

 探していた。みんなに紹介。と言うワードに聞き覚えがなさすぎる。

 

 ぶっちゃけいきなり何言ってんのこの子? ――って感じである。

 

『「ボーダー』で会うのは初めてか? でも悪いな、俺()()()()()()()()()()()()

『そうなんだ。実はちょっと相談に乗ってほしいことがあって、今日はみんないるから私たちの隊室に来ない?』

『・・・・・・』

 絶望的に話がかみ合っていない。

 ていうか話を聞いていない。

 

『ねぇちょっと? お話聞いてました? 俺今日防衛任務なんですけど』

 嘘ではない。

 確かに今日は防衛任務の日である。まあ先ほど終わったばかりであるが・・・・・・。

『え? 知ってるよ? さっきまでやってたよね?』

『――は?』

(いや待て、なんでそれを知ってる?)

 そんな八幡の心に答えるように、

『防衛任務のシフトってね、同時刻の人は知ることができるのよ? 比企谷君のスナイプすごかったわね。茜ちゃんがすごい興奮してたよ?』

 連携という面と、『ボーダー』基地周辺と言う敷地範囲を考えれば当然ことである。

 まあ那須隊が比企谷八幡を見つけたのは、たまたま近くをうろついていただけであるが。

 

 ――・・・・・・。

 絶句であった。

 ちょっと調子に乗って空のまねをしてみたものの、それが恥ずかしくなるまでの失敗。まだピエロの方が似合いだろう。

 少し考えれば思いついたはずだ。那須は言っていたではないか。――探していた、と。

 それはつまり今日この日に八幡『ボーダー』にいることを知っていたということだというのに。

 

『だまそうなんてひどいと思うなー。てことで――埋め合わせ・・・・・・』

 再度八幡の前に回り込み。

 ――してくれるよね。

 

 純粋無垢。

 微笑むようなな顔を浮かべる那須に、八幡は当然のように、

『いやだけど?』

 と口にした。

 

 ・・・・・・。

 ・・・・・・・・・・・・。

 今度は那須が言葉を失う番だった。 

 那須は自身が知っている情報の差異に言葉を失なったのだ。

 那須は、比企谷八幡に何かを頼った際には、()()()()()()()()()()()()()ことは知っていた。

 だからこそ、それを崩したわけだし、言い訳さえなければ素直になると、そこまでが小南やら木虎からの情報だった。

(え? あれ? 普通に否定されけど情報を違うよ小南ちゃん!?)

 

『じゃ、また今度な』

 ごく普通にその場を後にする八幡に対し那須は動けない。

『え? えーと、えっ!? ね、ねぇまってよ!? 相談に乗ってくれるって言ってたよね?』

 はッと意識を戻したが、慌てて八幡の腕をつかむことぐらいしかできないかった。

 

『・・・・・・、』 

 八幡から言わせれば、相談くらいなら問題ない。この場で少し話すぐらいならそれは許容範囲だった。

 だが、那須隊全員となれば話は別だ。オールガールズ。女性だけのチーム。

(そんな場所に行けるわけないだろ・・・・・・)

 と、そういうわけである。

 

 だが、そんな事を誘ってる側が分かるはずもなく、ただただ疑問にしか思わない。

『えーっと、ごめんなさい。今日もしかして用事とかあったの?』

『いや、それは・・・・・・』

 ここで、用事がありましたと、言えないところが比企谷八幡。

 那須の申し訳なさそうなその顔を見て、なお嘘をつきとおせるならば出てこいと言わんばかりである。

 

 はっきりしない八幡に対し、那須はさらに疑問を重ねるだけ。

(やっぱり使うことになっちゃったよ小南ちゃん・・・・・・)

 こんな時のため、と。小南から用意されたウルトラC。

 絶対に八幡を動かすことができる一手。

 小南から厳重注意をされた最終手段。

 

 躊躇なく那須は――その切り札を切った。

 

『「不可視の弾丸(インヴィジビレ)」っていい名前よね?』

『――ッ!?』

 

 ――どう言い訳したものか、と頭を悩ませていた八幡は、その一言に振り向かざるをえなかった。

『オイ、それどこで――』

『武器の高速切替の事なんて言ったけ・・・・・・? 「高速切替(ラピッド・スイッチ)」だったかな? かっこいいと思うよ?』

『グハッ・・・・・っ』

 幼気な少年の心はそこで限界だった。

 『 』(三人は)で考えた黒歴史。

 いや、空と白はまだ普通に使っているが、八幡がそれをかっこいいと思っていた時代はとうに終わったのだ。

 何故那須が? いいや、そんなことすら八幡にはどうでもいい。

 知っているという現状がすでに問題だ。

 

『あとはなんだっけ? えーっと「銃弾打(ビリアー)――』

『わかった! わかったから黙ってください!! マジで!?』

 

 わかるだろうか? 自身の黒歴史を暴露されるかもしれないその恐怖を。

 目の前でそれを羅列される苦しみを。

 

『はあー、どうせ小南だろまた・・・・・・。お前ら仲良すぎないか? とりあえず、今日は行くからそのことは誰にも言うなよ・・・・・・』

 

 その言葉を八幡から引き出して、可愛らしく――やった! と笑顔を向ける那須の事を八幡は天使の振りをした悪魔に見えた。

 

 

 ・・・・・・。

 

 

 そして場所は那須隊隊室へ。

 

「比企谷せんぱわわわわッ、――とっとっと、はいっお、お茶です!」

 お盆を揺らしながらもなんとかお茶を運ぶという任務を終えた日浦茜は、満足げにどや顔を浮かべている。

「よくできました。茜ちゃん」

「今日はこぼさなかったわね」

 

 なるほど。普段は溢しているらしい。

 確かにこれならどや顔をする理由も理解できる。

 さりげなく器に三代目と記入されているのは、割った回数を覚えるためのドジ対策だろう。

 控え目に言って実に愛らしい。

 

 日浦は、那須と熊谷にもそれを配り終えると、八幡の隣へ腰を下ろす。

「ささっ! 続きをお願いします!」

 その行動に特別な意図はない。 

 用意されていた机が一般的な二対二タイプの机だっただけだ。

 

(わかってはいるが・・・・・・。やめてッ! そんなまぶしい笑顔を向けないでっ)

 八幡は期待されている、と言う現状がとてつもなく居心地悪かった。

()()()()()()()()()()()()()()()。どうすればいい・・・・・・)

 

 那須隊のこと自体は事前に調べていた。

 弧月使いの攻撃手(アタッカー)に、メインがバイパーの射手(シューター)。そして狙撃手(スナイパー)。バランスのいいチームだ。

 だが、その構成が八幡と()()()()()()()()()

 

「前提条件として、親から何か言われるのであれば、何かしらのメリットを与えなくちゃいけないわけだ。近界民(ネイバー)と戦う技術なんてむしろマイナスだろ。例えば「怪我もしません、だから武器を持ってテロリスト殲滅してください」なんて言われてお前親を送り出せるか? ぶっちゃけ戦争より質悪いぞそれ?」

「でも実際私たちは怪我しないし、安全なことは親に説明されてるじゃん」

「『ボーダー』はその技術の性質上隠し事が多い。大事なことはまるで話してないだろ? 実際ちょっとの事で記憶封印措置使うしな。親からしたら質の悪い詐欺師とかわらねぇよ」

 

 そこまで聞いて、熊谷は黙る。

 『ボーダー』の内部を知ってる、と言う事実と、さらには八幡と決定的に違う価値観が、わずかに思考のずれを思わせる。

 

「比企谷君。それはなんとなくわかってたけど、それでどうすればいいと思う? 結局強くなってA級に上がるしか道はないんじゃないかな?」

「那須せんぱーい、それ結局振り出しですよ~」

 

 A級になるのはまだ難しい。ならどうやって親を説得するか。そもそもなぜ反対されるのか。

 ここに来て最初に戻ってしまっている。

「まぁ親からすれば「芸能人目指します」ってのと変わらないだろうな。実際A級とか嵐山隊なんかは芸能人扱いだし・・・・・・。理解のある親じゃないことをあきらめるか。自身を心配してくれているのだとプラスにとらえるかだな」 

「そんなこと言ったら、何もできないじゃない」

 熊谷は、うにゃーとでも言いたげに机に突っ伏す。

 

「ねぇやっぱり比企谷君私たちの事鍛えてもらえない?」

「あっ! それが良いです! 私も近界民(ネイバー)が出てくる前に撃ち抜くとかやってみたいです!」

「こら茜っ! あんたにはちゃんと師匠がいるでしょう? ちゃんと奈良坂に許可貰いなさい」

「ううっ、ごめんなさい」

 仲がいいのか仲の良い振りなのか・・・・・・。女子の怖さを雪ノ下直々に教えられた八幡には、彼女らのそれを判断することはできなかった。

 むしろこれで影では悪口とか言っていたら、怖すぎて女子には近づけないだろう。

 

「どちらにしろ俺にはどうしようもないな。チーム組んで半年あたりか? なら実を結び始めるのはこれからだろ・・・・・・。ランク戦もそろそろのはずだし、練度高めるのが一番じゃね」

 そんなある種突き放すような解答に、那須は懇願するように口を開く。

「ちょっとだけでも訓練見てくれない? 藍ちゃんも比企谷君に見てもらってから調子よさそうだし何かが変わると思うの」

「いや、だから俺には無理なんだが・・・・・・」

 その言葉に嘘はなかった。言葉通りに『無理』。

 特別な理由があるわけでもなく、深い意味があるわけでもない。

 

 ()()()()()()()()()()()

 

 その言葉に嘘がないからこそ、彼女らは八幡のそれが意味不明だった。

 だって、S()()()()()()()()()()()()()()使()()()()()()()()()()()()()。作戦だって素晴らしかった。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 何故頑なにそれを否定するのか・・・・・・。

 

 今『ボーダー』で比企谷八幡の情報を知らないものはいない。

 それと照らし合わせても()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 三人のそれを感じ取ったのか、八幡は自身ではどうにもならないことを改めて悟った。

「ちょっと電話してくるわ」

 唐突に立ち上がり、部屋を後にする。

 

 たまたまだった。

 偶然と言ってもいい。しかし、その行動を八幡に取らせたことにより、那須隊はいち早く『比企谷隊』と言うものを知った。

  

 

 ・・・・・・ 

 ・・・・・・・・・・・・。

 

「――あ、空か? 悪いんだけど()()()()()()()()。どう対処すればいい?」

 その相手は『 』(くうはく)。空ではなく『 』(くうはく)だ。

『はは、奇遇だな、おい!! ()()()()()()()()()()()()()

「――へ? いいの? もしかして俺ミスったか? 流石に早すぎると思うんだが」

『いいや、むしろ遅いぐらいだな。ぶっちゃけ相手がいなさ過ぎて暇すぎだったからちょうどいいわ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?』

 何を言っている? いや、何の話をしている?

『欲しかったのはS()()()()()()()()()()()()()()()()()()だったからもういいや。話していいぞ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 ゲームオーバー? なお分からない。もしかしてあの『 』(くうはく)が? 

 いや、それこそありえない。・・・・・・分からない。

「まぁ全部お前らに任せてるし俺からは何も言えないな。にしても、そっちは大丈夫なのか?」

 それは『 』(くうはく)がその()()()()()()()()()()()()()()それとも。彼らが言ったゲームオーバーについてか。

 

『――心配か?』

『・・・・・・、』

 少しの無言。

 

 すると――、

『・・・・・・ハチ兄・・・・・・白達信じる・・・・・・大丈夫、だから・・・・・・』

 白がそれを言ってきた。

 

 いったいどこから聞いていたのやら。

 その言葉に八幡は小さく笑い。

 

『 』(お前ら)を、俺は疑ったことはねぇよ」

 最後にその一言を添えて――。

 

 八幡は電話を切った。

 仮に八幡が切らなくとも空から切っていただろう。

 ――だって恥ずかしいだろ? お互いに。

 

「さて、どう説明したもんかな・・・・・・」

 

 そう呟いて、八幡は三人が待つその部屋の扉を開けた。

 

 ・・・・・・。

 ・・・・・・・・・・・・。

 

 多くが勘違いしていた。

 『 』(くうはく)と言う存在を軽視していた。

 彼らは『 』(くうはく)が定めた時間の中をさまよっていただけ。

 いいや。その表現は正しくないのかも知れない。

 ――だが、特別それを表現する方法がわからない。

 

 防衛任務を思い出す。

 確かにゲームにも興じたくなるだろう。暇で暇で仕方なかったはずだ。

 なぜなら、誰一人そこから出れなかったのだから。

 悲しいかな、『 』(くうはく)はいつでも全力で相手をしているというのに。

 

 『 』(くうはく)はあくまでプレイヤーだ。

 忘れていたのではないか? 『 』(くうはく)はゲームプレイヤーであり、比企谷八幡はそれが操るキャラクターでしかない。

 比企谷八幡だけを見て、背後の存在に気付かない。見ようとしない。

 

 そんなんだから。『ボーダー』は()()()()()()()()()()()()()()()()

 『 』(くうはく)と戦えてすらいないのだ。

 

 比企谷八幡がすごい? 比企谷八幡が強い? 

 ――違う。全く持って違う。わかっていない。 

 

 だからこそここで言おう。

 声をかけよう。

 

 ――起きて、『 』(くうはく)。やっとゲームを始められるよ。

 

 

 




『副音声』

八幡『さて、今回も「副音声」開始だな』
そら『久しぶりにゲストなし、『 』《空白》とハチの副音声って感じだな』
しろ『・・・・・・イェーイ・・・・・・ピースピース・・・・・・』
そら『うんうん! そうだろそうだろう!! 白の言いたいことも分かるぞお兄ちゃん!!』
八幡『――え? 今の何か意味のある言葉だったの? そんなんで意思疎通できるの?』
しろ『・・・・・・白、別になにも伝えて、ない・・・・・・好きなキャラ、の真似しただけ・・・・・・』
そら『俺はなんとなくテンション上げただけだな』
八幡『・・・・・あーなんて言うかなー。お前らのそいうところ嫌いだわ』
そら『そう言うなって、今日はいろいろ詰め込んだからしっかり本分の解説しようぜって話だったから、ふざけるのは一行にしといたんだぜ?』
しろ『・・・・・・コクコク・・・・・・』
八幡『へいへい。で、一体何から解説するんだ?』
そら『そうだな。まずは最初のネイバーの位置を見破ったところだろうな。以前それ系で意味不明って感想来てたし』
しろ『・・・・・・でも、感想に答えた内容とほぼ一緒になる、よ?』
そら『まー一応言っとこうぜ。今回は全部端折ったわけだしな』
八幡『それなら俺はパスで。俺はお前らの指示に従ってるだけだからな・・・・・・』
そら『よし、なら軽く説明するか! ――ネイバーは基本的に機械、みたいな認識にするところが大切だ。高性能AI兵器ってのが、トリオンを考えないなら最も近い表現だろう』
しろ『・・・・・・敵陣に送る兵器・・・・・・白なら、常時情報取得する機能をつける・・・・・・』
そら『そうだ。ネイバーが来たら『ボーダー』がたおす。だが、『その過程を全く無視してただ送り込む』ほどネイバーも馬鹿じゃない』
しろ『・・・・・・倒されるまでの時間・・・・・・・移動できた距離・・・・・・戦闘開始からの破壊時間・・・・・・』
そら『――てな感じに情報は無限に転がっている。さて、それらの情報を経て、ハチ・・・・・・お前ならどうする?』
八幡『――え、それを俺に聞くのかよ・・・・・・。あー、大したことは分からんが、とりあえず最も効率的な時間帯って言うのか? それを割り出すことから始める、とかか?』
そら『そうだな。それも一つの手だ。ネイバーが用意する兵器もただじゃない。なら、『無意味に送り込む』なんて愚策とるはずがない』
しろ『・・・・・・なら、後は白の仕事・・・・・・時間さえわかってれば『ボーダー』の誘導位置の計算なんて超簡単・・・・・・』
そら『まっ、攻撃的じゃない、あくまで視察目的な国相手の時間しかシフトを入れていないってのもでかいが、それをなしにしても白が間違えるはずがないけどな』
八幡『フーン。ハチマンヨクワカラナイ』
そら『わかんなくてもいいさ。俺らはあくまで『全員で』だろ?』
八幡『・・・・・・そうだな。ところで、最後の思わせぶりなあれはなんだ――ってとこは話すのか?』
しろ『・・・・・・ううん、時間もないし・・・・・・違和感なんて、一杯転がってた・・・・・・』
そら『そ、わざわざ説明しなくても次回明らかになるさ。実際そこまで読めてる読者もいるだろうしな』
八幡『まあいい時間だし、今回はこの程度でいいか。どうせ俺らが説明したりないぶんは、作者が感想やらなにやらで対応するだろ・・・・・・』
そら『ハチのそういうとこはほんとに屑だよなー。――ってことで! 本日の「副音声」は終了!!』
しろ『・・・・・・次回から白達メイン・・・・・・絶対見てね?・・・・・・』
八幡『まだ書き始めてないのに適当なこと言ったらだめじゃね?』
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