やはり俺と『 』が《ボーダー》隊員なのは間違っている   作:必殺遊び人

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二十話なのだ!

後書き見る人ってどれくらいいるのだろう? と疑問に思い始めた私です。

さて、内容がないようなので早めに仕上げました。
上手く書けているか疑問ですが楽しんでいただけると幸いです。

***
苺タルト様 ヱグザム様 そうし様(漢字がわかりませんでした。すみません)
リア10爆発46様 久遠秋人様
毎度のことながら誤字報告ありがとうございます!!
***

本日は『副音声』がありません。私のこの作品を書くに当たっての考えを少しばかり書かせていただきます。
もしよろしければご覧ください。

それではどうぞ!!



二十話>>『・・・・・・understand? ・・・・・・』

 

 比企谷隊隊室とは名ばかりの『 』(くうはく)住居。

 

 回転椅子をぐるぐると回し。

 そこにいる少年。――空は、楽しそうにそれを話し始めた。

 

「俺らが『ボーダー』に入る条件として――『 』(くうはく)として負けられないことを大前提に考えた時、『 』(俺ら)はハチに()()()()()()()()()()()

 

 空は過去を振り返るように、八幡との最初の出会いを思い出すように口を開いた。

 

「けどさ、ほとんど初心者のハチにそれができるかって言われたら不可能なのは当然だろ? ()()()()()()()()するほど俺も馬鹿じゃない」

 

 ――ニヤニヤと。何が面白いのか静かに笑うその様子は、ちょっとしたイタズラに成功した子供の様だった。

 そして、空の膝元に座る白が、今度は代わりに口を開く。 

 

「・・・・・・でも、ね。白達が知らない面白い技術・・・・・・『ボーダー』にはあった・・・・・・」

「ファンタスティック! サイドエフェクト!! いやー、あの存在には流石にビビったね。だって俺らから見ても当時のハチじゃゼーッタイに勝てない風間蒼也にその力で勝ってるんだぜ? リアルチートだわあんなの」

 

 ――比企谷八幡のサイドエフェクトが、ではない。

 ――サイドエフェクトと言う存在自体が、と『 』(くうはく)は言っているのだ。

 

 バッっと手を広げ。

 舞台役者のごとく全身でそれを表現する。

 

「さて! ここで問題です!! ()()()()()()()()()に俺らは何個『ボーダー』で仕組んだでしょうか!?」

 その問いに回答者はいるのかいないのか。

 いたとして答えられるのか。

 

「・・・・・・答え、全部、だよ・・・・・・」

 

 頭のおかしい出題者はこれだから困る。

 これでは疑問が残るだろう。そもそも、全部とは何なのだ、と。

 

「いやーおかしいと思わなかったのかねー。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()? まずそこから疑問だろ。強くなるためなら多くの人物と訓練をする当たり前の事だ。ハチの目的は妹の周りを守るためだろ? そのためなら嫌なことだってできるのがお兄ちゃんってものなんだぜ?」

 

 ――それに、と空は続けて。 

 

「しかも事実として風間蒼也にも勝ってるんだ。きっと俺らが出した条件もクリアできるさ!!」

 

 条件とはすなわち『ボーダー』で負けないこと。

 ――うんうん。とうなずく姿は、先の自身の発言をまるで忘れたかのようだ。

 

「・・・・・・でも、それをハチ兄はしなかった・・・・・・ううん、白達がさせなかった・・・・・・」

「――何故かって? そんなの答えるまでもないだろ。――勝てないからさ」

 

 ――一から十まで理解不能。

 いいや、そもそも、二人の言ってることは前提条件からして間違っている。

 なぜなら比企谷八幡が玉狛でしか訓練をしなかったのはコミュ障だからで・・・・・・。

 

「普通考えね? ハチは確かにコミュ障だけど、その程度で訓練できないわけないだろ・・・・・・。もしそうなら『ボーダー』やめてるって。・・・・・・だってさ~――」

 溜めるように言葉を区切り。

 

「――それじゃあハチは()()()()()C()()()()B()()()()()()()()()?」

 

 空の言葉を補足するように、白が後からそれを語る。

「・・・・・・ハチ兄は、結構普通に喋れる、よ? ・・・・・・ただ、相手に合わせるのがとことん苦手なだけ・・・・・・」

 比企谷八幡の性格は置いとくとしても、空の発言はなるほどその通りだ。

 

「さて! なら次の疑問が出てくるよな!! なんで玉狛だけは大丈夫なんだ? なんで戦ってOKなんだ? ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()? ()()()()()()

 

 空は()()()()()()()()()()にその疑問を投げつけた。

 空と白、――『 』(くうはく)と対面するその人物は、眠たそうに、ほんの少し笑みを浮かべて――しかししっかりとした口調でそれに答えた。 

 

「・・・・・・比企谷八幡では三人が限度だったんでしょー? 『 』(あなたたち)が調べ、対策と言う対策を講じれば、負ける相手はそういないもんね~。でーもー、それを『実行できるかは話が別』だもーん」

 

 その人物は、ソファーに腰をかけ、目の前にあるチェスをいじりながら。

 何でもないようにそれに答えた。

 

「比企谷八幡では()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。・・・・・・まぁ私からしたら十分すぎると思うけどー」

「いやーっ! ――That is right!! さすが!! ――・・・・・・で、それで終わり?」

 

 ――その程度しかわかってないわけないよな?

 そう相手を煽るように。

 目を据えて。

 

「玉狛のネームバリューそれも狙いなんでしょー? 弱い相手にいくら勝ってもー比企谷八幡――ひいては『 』(三人)が『ボーダー』で一番と明確にするためにはそれではだめだもんねー。――その分、玉狛ならなんの問題もないでしょー? だってー『ボーダー』最強チームなんだから」

 

 淡々と、それが当たり前であるかのように。

 

「――そこら辺のA級でもよかったのかもしれないけどー、それだと三人と言う上限を越しちゃうもんねー」

 

 その答えに、空は満足そうにうなずいて。

 

「――いい手だろ? 八幡の()()()()()()()()()()と言う本来の性格を隠れ蓑にすることで、誰もそのことに疑問を持たない。――本当は矛盾だらけなのにだ」

 

 少しずつ語られる『 』(くうはく)が用意した勝つための土台。

 

「――でも、何故そこまでした? 何故それをする必要があった? ――つまり、俺らは何を隠していた?」

「それも簡単だよー。だってあなたが答えを言ったでしょ~。――比企谷八幡のサイドエフェクト、それさえあれば風間蒼也にすら負けないって」

 

 その人物はすでに『 』(くうはく)に追いついている。

 完璧だ。

 ――ニヤリ、と。嬉しそうに空は笑う。

 

「そう。サイドエフェクトはそれ単体で脅威だ。けど、それにたいする危機感が少ない。それは何故か。そりゃそうだ・・・・・・()()()()()()()()()()もんな」

 当たり前なことだ。

 ――未来を見る? ――感情を受信する? うらやましいさ。カッコいいとも!

 でも、対策し放題なんだよなー、と。 

 

「・・・・・・うん。だから白たちはその()()()()()()()()()・・・・・・」

「あれは問答無用切り札だ。けど切り札は切ったら終わり。種が割れたマジックほどつまらないものはないだろ?」

 

 だから。だからこそ、八幡は『 』(くうはく)の対策で勝てる、あるいは自身単体の実力で勝てる相手としか戦闘をしなかった。

 それが玉狛の人員であり、少し前で言えば木虎だった。

 

「今思えば、S級試験ははまりすぎてたな」

 空の言葉にその人物は小さく笑う。

 

「・・・・・・そうだね。普通違和感ぐらい感じるでしょ~。A級相手にあそこまでやったのに、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()? その程度なわけないよね~?」

「さっすが! そのとーりっ! あれは俺らの力を誇示するために敢えてあそこまでした!! 今度は『 』(くうはく)を隠れ蓑にし、八幡のサイドエフェクトの価値観を下げる。それが本来の目的だ。・・・・・・まっ、ばれないために、あんたが言った表向きの理由を用意してな」

 

 空の答えに、その人物はジロリと目を向ける――。

「まーたそうやって嘘をつくー・・・・・・。 それだけじゃないでしょ~? 比企谷八幡と言う評価にニセの情報を流す。それも狙いじゃなーい? あくまで~『二番目の』だと思うけど」

 

 もはや理解できる次元ではなかった。

 どこからどこまでが本当で、どこまでがブラフだったのか。

 いいや、答えはすでに言っていた。『全部』――つまり、今までのすべてが、『 』(くうはく)が用意したものだったのだろう。

 

「人聞き悪いなーもうっ!! 俺らはあくまで()()()()()()()()()使()()()()()。周りが勝手に勘違いしただけだろ?」

「・・・・・・人は、それを詐欺師と呼ぶ・・・・・・」

 いつもその手で兄に負かされている白はその様子がうざかったのか。辛辣なその言葉に少し涙するも、乗ってきた空のそれは止まらない。

 

「さて、どこまでわかってる? おたくはさ」

 今度は静かに、空は相手の考察を聞いた。

 

 

   ▲▽▲▽▲▽

 

 

 八幡は、那須、熊谷、茜の三人に向かってまずは端的に事実を述べた。

「まず言っとくが、俺が使えるメイントリガーは四つだけだ」

 

 それを聞いて、三人はハテナを頭に浮かべる。

 いきなり何の話をしているのだと。

 

「一つは《スコーピオン》、そして《イーグレット》、後は銃手(ガンナー)の《アステロイド》と射手(シューター)の《ハウンド》だ。だから俺はお前らに教えられることはほとんどないんだよ」

 

 その八幡の言葉に真っ先に声を上げたのは那須だ。

「えっ、え? ちょっと待って比企谷君。木虎ちゃんが『比企谷先輩はほとんどすべてのトリガーがマスタークラスらしい』って言ってたけど・・・・・・」

「――? 木虎に俺が使ったトリガーなんて実際、《アステロイド》とシールドぐらいのはずなんだが・・・・・・?」

 

 確かにそうだ。

 では何故そのような発言を木虎はした――?

 考えるまでもない。木虎にそれを言ったのは嵐山だ。

 

『あいつは基本的に全部のトリガーがマスタークラス以上だし』

  

 確かに、木虎に八幡を紹介する際に口にしている。

 ――つまりどういうことか?

 

「きっと嵐山さんにでも聞いたんだろ。まぁそもそもの情報が間違ってたんだから仕方ないけどな」

 そうつまり――八幡を理解している、比較的つながりが深い、嵐山すら本当の事を知らなかったという事実。

 ――騙し切ったという証明。

 

 まあ勘違いもするだろう。S()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()姿()()()()()。あれはすべて『 』(くうはく)がいてこその技術だというのに。

 玉狛にすらそういう風に思わせたのだから。裏付けも文句なし。

 

「あーそれから。那須が言った不可視の弾丸(インヴィジビレ)やら高速切替(ラピッド・スイッチ)。あれはお前らじゃ覚えるだけ無駄だからやめとけ」

「ちょっとそれは私らじゃ使いこなせないってこと?」

 熊谷が少し不機嫌そうに口にする。

 

「いやちげぇよ。・・・・・・まず不可視の弾丸(インヴィジビレ)だが、()()()()()()()()()()だ。技術として破綻してんだよ」

「欠陥品ですか? あんなにすごいのに?」

「あーなんて言えば・・・・・・そうだな、不可視の弾丸(インヴィジビレ)は速度重視の技術の極限だ。言っちゃえば相手にばれない銃撃。――言葉だけなら無敵だが、『ボーダー』じゃ意味がないんだわ。だって――トリオンの弾丸じゃ遅すぎるからな」

 

 ――言っている意味が分からない。

 それのいったい何が問題だというのか。

 

「攻撃手段が技術に速度で劣ってたら意味ないだろ? 見えない銃撃なのに弾は見えますなんて意味なさすぎる。実際に太刀川さんには、()()()()()()()()()()()()()()しな」

「確かにそうだけど――」

 理解はできるが納得はできない。

 そんな顔をする三人に、八幡は続ける。

 

高速切替(ラピッド・スイッチ)も同様にお前らには意味をなさない。確かにメリットが大きい技術っぽく見えるが、それ以上にデメリットがでかい。お前なら分かるか? 日浦」

「えぇぇぇ!? わ、私ですか!? えーっとえーっと・・・・・・・――ッ! あ、え? も、もしかして、武器を切り替えるたびに生じるトリオン減少・・・・・・です、か?」

 そこに気付けるのだから日浦は優秀だと言えるだろう。 

 ――師匠が、かもしれないが。

 

「正解だ。スナイパーなら普段から意識して分かると思うが、武器の生成には毎回トリオンが必要だ。――本来なら壊れでもしない限りその必要はない。でも俺のはそれを無視した技術だ。特に《シールド》なんて壊れる前にしまって作り直すなんて非効率すぎる。絶対防御もオペレーターありきだし。《スコーピオン》を使ってる俺以外そこまで必要ない、と思う」

 

 なるほど。と、三人は納得の色を見せる。

 だがそれだとさらなる疑問が出てくる。

 何故そんな使い勝手の悪い技術を、八幡は身につけてるのかと・・・・・・。

 

 その那須の疑問に対して八幡は簡潔に答えた。

「ああ、それは俺のサイドエフェクトと最高に相性がいいんだよ。てか、俺の戦闘スタイルはそもそもサイドエフェクトありき、それを最大限生かす戦い方だからな」

 

「比企谷君のサイドエフェクトって言うと『思考投影』って言う噂の?」

 八幡のサイドエフェクトは多くのものが知ってる。

 確かに、自身の頭の中身を見られれるその行為は戦いずらいだろう。 

 

 ――だが、S級試験において、その弱点は風間によって暴露されている。さらに言えば対象は一人のみ。

 現状の評価としては迅や景浦に比べたら使い勝手の悪いサイドエフェクトと言わざるをえなかった。 

 

「ああ、相手の作戦を見抜くとか、視界を共有するとか、ぶっちゃけそれは副産物なんだよ。オペレーター曰く、それっぽい使い方で、尚且つ相手が対策を打ちやすいものにしとけってことでな」

 

「「「――は?」」」

 言葉を失った。

 迅や景浦と比べたが、強力なのには変わらないそれらの情報が副産物? 目の前の男はいったい何を言っているのだ?

 

「本領? って言うのかなんて言うのは知らんが、俺が()()()()()()()()()()使()()()()()()()()()なんだよ。・・・・・・なんて言えばいいのかわかんないだが、相手の空白箇所を見つける? とでも表現するのか?」

「うん、それじゃ全然わかんない」

 八幡は――だよな。

 と言う感情を押し殺し。

 

「えーっと、例えばだが人間の視野は200度程あるだろ? けど、その認識率は大きく変動する。簡単に言えば『視界の端っこで何かが動いても気が付かない』だったりな。そんな視覚、聴覚、嗅覚、そして感覚それらの認識が0パーセントの場所の把握。それが所謂空白だ」

「えーっと?」

 余計に理解できませんとでも言いたげな那須を見て、八幡は頭を抱える。

 

「あーそうだな、()()()()()()()()()()()()()()()()?」

「え? ――いいけど・・・・・・?」

 そう言って、那須は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 ――サンキューな、と一言言って、八幡はそれを口に含み。

 

「なあ、なんでお前はこのお茶をとったんだ?」

「え、だってそれが比企谷君のお茶だから・・・・・・」

「俺は別に()()()()()()()()()()()()? ・・・・・・もう一度聞く。なんでお前は机の上にある四つのお茶からこれをとったんだ?」

「――え・・・・・・」

 

 那須玲にそれを説明することはできない。

 

「ま、要はこれと似たような現象だな。お前の頭の中では『お茶をとってくれ』と言う一言を聞いて、四つの内三つがすでに見えていなかった。――さらに言うなら、()()()()()()()()って発想もそこにはなかった」

「――あっ」

「そう言った無意識のうちに否定する選択肢。ってのを俺は見てるんだよ」

 

 相手の脳にアクセスする八幡のサイドエフェクト。

 仮にそれができるとしたらおかしい。なぜなら相手が認知できない部分を八幡が認知できるわけがないのだから。

 だが、()()()()()()()()()()()()()

 部分的に情報を自身の脳とごちゃまぜにする八幡のそれは、相手の『認識していない部分』と言った曖昧にアクセスすることで、勝手に八幡の脳の方が処理を行うのである。

 

 そもそも、八幡のサイドエフェクトは他人の理解。その延長線上にある。

 空が得意とするコールドリーディングの究極とでも言えばいいのか。

 ――相手の決まり切ってない『曖昧な心』にアクセスできる権限こそその真骨頂なのだ。

 

「S級試験でオペレーターの力を誇示した理由も分かるだろ? 俺はこのサイドエフェクトを最大限活かす戦い方をしている。逆に言えば、()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 甘かった。認識が甘かった。

 こんなの、比企谷八幡に――比企谷隊に勝てるわけがない。

 

「で、話を戻すが、俺はその空白部分に攻撃を仕掛ければいい。それだけを行う技術があればいい。その他の技術やらトリガーの練度は、そこまでもっていく程度で十分なんだ」

「「「・・・・・・、」」」

 

 言葉を失う。

 だから。

 

「まっ、それもあくまで今日まで、の話らしいけどな」

 

 ――だから、静かに呟いた八幡の言葉は、三人には届かなかった。

 

 

   ▲▽▲▽▲▽

 

 

 『 』(くうはく)と対面する人物は、同時刻。

 八幡が那須達に語ったのと同じ見解を述べていた。

 

「ブラボー!! どんどんパフパフ!! ここまでピッタリ当てられるとちょっと自信なくすなー、結構必死で考えたんだぜ?」

()()()()()()()()()()()()()()

 ああ、本当に心にもないことを口にする。

 

 ――必死で考えた。その部分以外全部嘘。

 本当に、息をするように嘘を吐く。

 

「ここまでわかっているなら、『この先の疑問』にもぶつかったはずだ」

「・・・・・・ハチ兄は、サイドエフェクト・・・・・・研究されたら、負ける・・・・・・」

「なら、なんで()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 そんな相手を試す。ある種のパフォーマー気取りでそれを聞いてくる空に、その人物はいい加減疲れたというように手を振るった。

 

「もうめんどくさいよ~」

 

 ――もうわかってるから。と、言外に告げたそれに、空は少し面白くなさそうに顔を歪める。

 

「ならこれだけ聞かせろ。あんたは()()()()()()()()()()()()()()()?」

「早くて一年半、遅くても二年って感じかな~」

「うわーそこまで分かるとか化け物かあんた・・・・・・」

「あなたたち兄妹には言われたくないなー」

 

 以前、『 』(くうはく)が八幡を戦闘の天才と称したことを覚えているだろうか。

 これを聞いた時多くのものは思ったはずだ。

 ――は? と。

 

 戦闘。と言っているが、曖昧過ぎる定義だ。そもそも戦闘の天才なら、ここまでする必要はない。

 しかし、天才と言う部分は――ここばっかりは本当だ。

 だとしたら、何が足りないのか。

 

「ハチは戦闘の天才だ。だが、それはあくまで答えを導き出すという面においてのみだ」

 

 そもそもの話、技術的に天才であるならば、八幡は格闘技術を盗むことすら容易だろう。

 天才と言うのだから、見ただけで、軽くまねしただけでそれを獲得することも可能だ。まああくまで『 』(くうはく)が語る天才の定義ならではの話だが。

 『ボーダー』何かではなくオリンピック選手でも目指してろって感じである。

 

 しかし、八幡はそれをしなかった。――否できなかった。

 

 確かに覚えは早い、観察力も申し分ない。しかし天才的ではない。

 風間も最初に八幡を見つけた際に言っていたではないか。()()()()()()――と。

 

「ハチのセンスは間違いなくピカ一だ。――けど、あくまでそれは『ボーダー』でならば、そもそもあれぐらいなら『ボーダー』には山ほどいる。太刀川、小南、緑川、木虎、――名前を上げればきりがない」

 八幡自身も言っていた。

 ――『そこそこできるつもり』だと。 

 誇張でも謙遜でもなく、客観的に自身の実力を把握していた。

 

「・・・・・・でも、ハチ兄は天才だった・・・・・・」

「そうだ。戦闘において最も重要な、状況判断。それをハチは『間違ったためしがない』」

 

 ――しょぼい、とでも思っただろうか。

 

 もし『ボーダー』でそう思った者がいたとするなら、即刻辞めることを『 』(くうはく)は勧めただろう。

 ――才能がない。あきらめろ。と。

 

「意味不明で理解できん。『 』(俺ら)が何年もかけてゲームで培い、やっと手に入れたモノをあいつはあっさり手にしていたんだぜ? 嫉妬もするわなーマジで。言葉にするなら――戦闘経験予兆とでもいうのかな?」

「なるほどね~。そこまでは分からなかったかなー。・・・・・・まぁ分かるはずもないね。だって、言うならそれは、年月とともに鍛えられる――要は、忍田本部長や太刀川さん、風間さんクラスが身につけてる言うならば『勘』。それを無意識で正解を引き出すとか~――」

 

「・・・・・・ゲームで言うなら、経験値最初からマックス・・・・・・バグキャラ、チート・・・・・・」

 それ以上のチートがそれを口にする。

 

 これは普段の生活でもちょくちょく表には出ていた。

 問題解決に当たってのラテラル・シンキング的発想。論理的ではなく、複数の並行する選択肢から、現状を以て答えを導く。

 それ故に――

 なんでそれをしたのか? と問われれば『それ以外に選択肢がないから』あるいは『なんとなく』としか八幡は答えられない。

 あとから理論を捻くりだすことは可能でも、その瞬間に理論は存在しない。

 

 雪ノ下に唯一『それ』を指摘できたのも分かるだろう。

 ――なぜなら実体験なのだから。

 

 小南との戦闘を覚えているだろうか? 

 八幡はあの時最後の最後で、不可視の弾丸(インヴィジビレ)を小南に使わなかった。それも元をただせば八幡の天才性ゆえである。

 後づけで理論的なことを言ってはいたが、それが本当かどうかは分かっていない。 

 サイドエフェクトで、わかっていた。的なことを口にしていたが、あの短い時間でサイドエフェクトを使用できないことなど、今となっては議論する意味すらないだろう――否だ。

 

「――で、本題に戻るが、今までの事を前提で話すとーハチには致命的な欠陥があるのよ~」

 

 ――困った困った。

 と、まったく困ってなさそうな様子でそれを口にして。 

 

「・・・・・・ハチ兄、技術が追いつかない・・・・・・」

「そう、いくら強力なサイドエフェクトだろうと対策をうたれればそれまで。天才性も『ボーダー』の発足からの年月を考えればカバーは難しい。だからこそ俺らが設定したのは二年」

 分かってきただろうか。

 

 ――玉狛支部。

 ――S級試験。

 ――サイドエフェクトの隠蔽。

 ――トリガーの勘違い。

 

 それらを用意した意味が。

 

「まずひとーツ! 俺らが全隊員を調べ終わるのに二年はかかると判断した」

 愉快な口調で。空はそれを口にする。

「・・・・・・仮に成長しても、倒せる状況・・・・・・教え込むの苦労する・・・・・・」

 

「そしてふたーツ!! ハチのセンスでも誰にでも対応できる技術を身につけるのにそれぐらいの年月は必要だと判断した」

「・・・・・・事実、ハチ兄まだトリガー四つだけしか、使えない・・・・・・」

「そしてみーっツ!!! それを踏まえて『 』(三人)が求める水準、すなわち連携を完成させるのに二年は必要不可欠だと判断したからだ」

「・・・・・・understand?・・・・・・」

 流暢な英語で白が最後に口にした。

 

 さて、ここに来てやっと戻れる。

 『 』(くうはく)が設定した二年。それにはまだ半年ほどの年月がある。

 ならばなぜここでそれをばらすことを許可したのか。

 ああ、これはもっとも最初に言っていた。

「さーて、ここまではお互いの認識確認ってことで間違いないか?」

「間違いないよ」

 ――空が何故ここまで話したのか。

 言うまでもない。

 

 ――相手もわかってるのだから隠す意味がないだろ。そう言うことだ。

 

「じゃあ本題の質問だ」

 その一言で空の雰囲気が変わる。 

 

 先ほどまでニコニコとテンション高めな男はそこにいなかった。

 むしろつまらなそうに。終わった祭りを眺めるように。

 

「――あんたら、もう負けてんだけど自覚ある?」

 

 空は言っている。

 もうどうあがいても『 』(くうはく)に勝つどころか――。

 

 ――ハチにも勝てないんだぜ? あんたら、と。

 

 ゲームオーバー。

 もう終わっていると、そう言っているのだ。

 つまらなそうな顔をするもの納得だ。

 

 そんな空の辛辣ともとれる一言を聞いて、()()()()・・・・・・。

 

「その言葉を聞いて・・・・・・」

 軽く微笑し、あきれるように肩で息をして、

 

「『()()()()鹿()()()()()()()()()? 詐欺師さん』」

 

 先ほどまでのゆるーい雰囲気など存在しない。――明確な敵がそこにはいた。

 

 要は――なめるな馬鹿野郎、と。

 てか、いつまで演技続けるつもりだ、と。

 

「あれま、やっぱりばれてた?」

 そのおちゃらけた一言にその女はもう一度小さく笑い。

「『詐欺師は無数の真実の中に嘘を一つ混ぜるというけど、あなたは無数の嘘の中に真実をほんの一つしか入れないね』」

「いや、流石にもうちょっと真実あるけど・・・・・・」

 

 女は気づいていた。

 S級試験の目的。

 『ボーダー』全体の底上げ、サイドエフェクトの隠蔽。

 ――『 』(くうはく)()()()()()()()()()()

 そんな当たり前を――。

 

「そう言えばまだ自己紹介済んでいなかったね~」

 眠たそうな目。緩い雰囲気。年齢相応の笑みを浮かべて。 

 

()()()()って言うの――よろしく」

 

 まるで見せつけるように、似合わない作り笑顔でそう言った。

 

 




『作者の一人語り』

 今日まで読み進めてくださった方々、本当にありがとうございます。
 お気に入り――高評価、本当に励みになります。

 さて、私がこの作品を書く上で、最も最初に懸念したのは『比企谷八幡』を主人公としたうえでどのように書いていくかです。

 比企谷八幡の二次小説は様々な意見が飛び交い、多くの個人的意見が存在します。
 その上で、比企谷八幡を主人公にし、しかも『負けない』などと言う設定にした時、多くの方が不快に思ってしまうのではないかと懸念したのです。

 原作を読み直し、比企谷八幡らしく書こうとしても、数多くいる俺ガイルファンの全員の求めるものを書くのは不可能だということは書く前から分かっていました。
 
 ()()()()

 私が用意したのは『 』(くうはく)、ノゲラとの多重クロスです。

 恐らく多くの方は思ったのではないでしょうか? こんなの八幡ではない。自己投影だと。――そうかもしれません。
 全く原作と同じに書くことなどできないと初めから分かっていました。

 ですから理由を用意したのです。

 『今作の比企谷八幡の()()()()()()()()『 』(くうはく)()()()()()()()()』と言った言い訳――伏線を。

 ――八幡はこんなこと言わない。そうです『 』(くうはく)が言わせました。
 ――八幡はこんな行動をとらない。その通りです『 』(くうはく)がさせました。

 『ボーダー』で負けないなどという荒唐無稽を行うために、『 』(くうはく)が用意した策。
 それこそが私が用意した言い訳です。

 私はこの作品はダブル主人公として書きました。
 『 』(くうはく)らしさを生かしつつ、比企谷八幡を書き上げる。
 そんな話になればと思いました。
 

 ・・・・・・とは言え、納得させるのは難しいでしょう。 
 結局のところ、これは私ができる最大限の配慮でしかありません。

 今話は、上記での証明をしたつもりです。
 もちろん『 』(くうはく)ですから、一から十まで説明していません。八割を語り二割を残しています。
 そして、その二割は、細々と散らばった地の文、会話から推測できるものです。
 
 要は、矛盾があったとしても、納得いかない事柄があったとしても、それは『 』(くうはく)が用意した布石なのだとご理解ください。


 長々と話しましたがあくまでこれは独り言です。
 これからも愛読のほどをよろしくお願いします。

 最後に! 
 実は私が好きなキャラは八幡より――『 』(くうはく)です!!

 キャラ設定上、八幡をメインで出すことが多いですが、『 』(くうはく)を最後には目立たせる書き方をしています!
 八幡に対する意見より、「『 』(くうはく)ならもっとこうする」などの意見があればとても嬉しいです。
 以上でした!!
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