やはり俺と『 』が《ボーダー》隊員なのは間違っている   作:必殺遊び人

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はーい五話目です。

様々な質問感想をいただいております。
なるべく疑問や納得いただけないことには親身に答えていこうと思っています。

ただ、やはり評価するならば出している話数まで見てからおねがいします。
一話だけ見て評価1などを仮に付けられても、どこをどうすれば良いかわかりません。
もちろん高評価をつけてくださった方はありがとうございます!
これからも、少しずつですが、書いていくので宜しくお願いします!

それではどうぞ!!




五話>>『一応聞くけど勝率は・・・・・・』

 

『今回の相手だが、今日中にA級の遠征部隊が帰還する。それに伴い、君の相手はA級上位部隊が務めることになる』

 

『試験はA級の帰還時期を考えて、一週間だ。準備をしておくように』

 

「――ってわけで試験は来週日曜の一週間後。相手はさっき言った通りだ。・・・・・・で、なにか質問は?」

 その場所は、今『ボーダー』で噂がもちきりの『比企谷隊』隊室である。

 そのリーダーたる比企谷はもちろんそんなことは露程も知らないが、知らないことが幸せなこともあるだろう。一応補足しておくなら、対人恐怖症及び引きこもりの空と白もそんなことは知らない。理由は単純外に出ないからである。

 

「今回はA級が相手? それで試験になるのと思ってるのか? 俺ら『 』(くうはく)相手に?」

 その疑問はもっともだろう。過去S級を下した比企谷隊にそれ以下のA級部隊をぶつける理由がない。

「――? ああ、言葉が足りなかったな。A級部隊一つじゃなくて、遠征部隊の3チーム合同だ。まっ多勢に無勢ってことだな」

「へー、てことはつまり・・・・・・」

 不敵に笑う空の言葉を引き継ぐように――。

 

「・・・・・・しろたち――いじめられて、る・・・・・・?」

 

 白が怯えるように口にした。

「・・・・・・、」

 どうやらぼっちに『合同』やら『多勢』という言葉は禁句らしい。

「いや、なんでだよ・・・・・・」

「悪い悪い。引きこもりの弊害でな・・・・・・。てか、ハチも一瞬――まさかッ! みたいな顔してたぞ。さすがはぼっちマスターだな?」

 ニヤニヤ笑う空の言葉に、八幡は――ほっとけ、と言うように顔をしかめる。

「で、話戻すけど・・・・・・。A級の1位、2位3位を全員倒せば俺らの勝ちでいいんだな?」

「まーそうだな。一応聞いとくけど勝率は?」

 八幡の何気ない質問に、空はニヤリ笑うだけ。

 

「・・・・・・。愚問だったな」

 

 同様に八幡も――フッと笑みを浮かべる。

 

 

 真剣な空気だった。八幡も『 』(くうはく)も即座に相手の研究を開始した。

 ――それがゲームならどこまでも本気。そんな空と白の言葉を八幡は思い出す。

 

 しかし唐突に。八幡が言った次の言葉で、その空気が変わる。

 

「そう言えば今回の試験。ランク戦並みの規模で行うらしいぞ」

 ポチポチとゲーム機を片手に対戦チームの研究をしていた空の手が止まる。

「――は?」

「なんか今回はA級が相手だから、隠してやる必要がないんだと。おそらくA級部隊が出るから周りの隊員の勉強も兼ねてるんだろ」

 今度は持っていたマウスを白が落とした。

「わ、悪いな・・・・・・俺もなんとかならないかと言ったのだが、忍田さんに試験を行う条件と言われたら言い返せなくてな・・・・・・」

 すると。何をとち狂ったのか――。

 

「ハチ・・・・・・」

「ハチ兄・・・・・・」

 

 ぽつりとうつむきながら、空と白はそれを言った。

 

「もう俺たちはダメだ。今回はあきらめてくれ・・・・・・」

「・・・・・・がくがく・・・・・・ブルブル――」

 

 どうやら最強ゲーマーは死んだようだった。

 

「って待てまて――!! えっ何? お前らそれだけで再起不能になるの? どんだけ心弱いんだよ! ミジンコでももうちょっとましな精神持ってるだろ!?」

「なんとでも言うがいい。人前に出るくらいなら、俺たちは引きこもりを選ぶ!!」

「・・・・・・『 』(くうはく)に・・・・・・、敗北、は――ないッ!!」

「そこはもう死を選んどけよ! お前らの思考はマックスコーヒーか? てか白ちゃん? 人前に出ることが敗北なんてダメな大人になるから言うんじゃありませんっ」

 

 本当ならば、今この場では対戦相手の研究こそが行うべき事柄だっただろう。しかし――。

 

「よし、わかった。なら訓練をしよう。お前ら今から部屋から出て『ボーダー』内を歩き回ってこい。それで引きこもりは解消だ」

「てぇめーハチッ! お前には人間の心はないのか!? お前がその気なら俺らも条件を出そう。ハチが今日中に友達を10人以上連れてきたら俺らもそれをやろうではないか!!」

「・・・・・・ハチ兄、友達――10人もいな、い・・・・・・。だから・・・・・・しろたちも――やらな、い」

「じゅ、十人ぐらい友達いるし!? ・・・・・・オイなんだその哀れみの視線は。強がっちゃってみたいな目を向けないで!! 認めるよ・・・・・・! いねぇよ友達なんか。そもそもどこからどこまでが友達の定義から――」

「・・・・・・まえ、ハチ兄がいった。――それがもう・・・・・・友達いない奴の、セリフだっ、て・・・・・・」

「・・・・・・ぐッ」

「・・・・・・しろ、その時――傷ついた・・・・・・」

「えっまって・・・・・・? そこで涙目になるのはせこいだろ・・・・・・。――ッ! わかった。わかったよ! 俺が悪かったからそんな顔で俺を見ないでくれ。そして空、その殺気をとりあえずしまえ」

 

 と数十分に及ぶ三人の喧嘩は続き。

 

「思ったんだけどさ・・・・・・。オペレーターのお前ら人前に出なくね・・・・・・?」

「「・・・・・・あっ」」

 

 その言葉で幕を閉じた。

 

 

  ▲▽▲▽▲▽

 

 

『相手の研究次第だが、恐らく今回はあのトリガー(・・・・・・)も使うことになる、明日までだ。明日までに完璧にしてこい』

 

 空のその言葉によって、八幡はあるところまでやってきた。

 八幡はブラックトリガーではない。ならば、使っているのはノーマルトリガーであるわけで、つまるところ、訓練無くして成長が期待されるわけもなく・・・・・・。

 

「・・・・・・宇佐美。訓練室借りるぞ。適当にトリオン兵出してくれるか?」

 

 八幡は玉狛支部へやってきていた。

「およ? おーハッチーじゃないか! 久しぶりだねここまで来るなんてー」

「まぁな。今日は誰かしらと対人戦行いたかったんだ」

「あー・・・・・・。ハッチーS級だから本部じゃ戦えないんだもんね」

「そういう事だ」 

 八幡は基本的な訓練は隊室についている訓練室か、ここ玉狛で行っている。

 S級になったにも関わらず、八幡の認知度が低いのはそう言った理由もあるのだろう。

「それならトリオン兵でいいの? こなみ今いるよ?」

「小南かよ。あいつ自分が勝つまで続けようとするからイヤなんだよな・・・・・・。できれば烏丸かレイジさんが帰ってくるまでトリオン兵で――」

 

「それどうゆう意味よ。八・・・・・・ッ」

 

 それはとてつもなく聞き覚えのある声だった。

 故に八幡は自身が詰んだことを振り返ることなく悟った。

 背後からしたその声に、ゆっくりと振り向きながら。咄嗟に八幡はいつもの言い訳を口にする。

「あーあれだ。あ、あれがそれでな――。だからつまり・・・・・・(おい、宇佐美助けろ)」

「(いやー無理だよハッチー頑張ってっ!)」 

 これはやばい。

 何がやばいって、相手が小南桐絵だということがやばい。

 予想外の登場に、適当に嘘をついて騙すということすら、八幡の頭の中から抜けている。

 

「なにコソコソ話してんのよ。さっきのどうゆう意味かって聞いてんの? 『あいつ自分が勝つまで続けようとするからイヤなんだよな』だっけ? それじゃ私があんたより弱いみたいじゃない!!」

 

 ――もうそこがめんどくさいんだよ、と言う言葉を八幡は飲み込み。

 

「わかったよ。お前の方が強いでいいから、今日はもう帰れ・・・・・・・。今まで防衛任務だったんだろ?」

 めんどくさがりで仕事嫌い。そんな八幡が面倒の体現者たる小南の相手を素直にするわけがないのだ。

 しかし。

「今のところあんたに勝ったことない(・・・・・・・・・・・)あたしの方が強いってどういうことよ!! あたしのプライドはその程度だって言いたいのかーー!」

 ウガーと、雄たけびを上げる小南から逃げることはもうできないのかもしれない。

 負けず嫌いな戦闘狂。八幡とは真逆の様な性格だけに、もしかしたら逆に相性いいのでは? と最初のころ玉狛の人間は思っていたと宇佐美は思い出す。

「いいじゃんハッチーやってあげれば。今日は試したいトリガーがあるんでしょ? 来週の事も聞いてるし、こなみはなんだかんだ言ってアタッカー3位でトップの方だから大丈夫ッ!!」

 何が大丈夫か分からないが、宇佐美のその言葉に、八幡は肩を落とし。

 

「はぁーわかったよ。レイジさんたちが来るまでだからな。それに今日は俺が使うトリガー違うけど文句言うなよ?」

 

 とりあえず了承した。

 そんな――本気で嫌なんだぞ? 的な八幡の雰囲気をうけても――。

「そうこなくっちゃね!」

 何やら小南は嬉しそうだった。

 

 

 そんなこんなで、今八幡たちがいるのは、何もない白い立方体の中。

 トリガーで作った疑似空間。ランク戦でも使われる仮想戦闘モードの簡易版みたいなものである。

 自分たち以外に何もない上に、破壊不可能なこの空間は、地形無視の単純な力比べができるのだ。

「それで、あんたのメインってスコーピオンよね? ていうかあんたコロコロメイン変えてなかった? オールラウンダーでも目指しているわけ?」

「目指してる、と言うよりは必要だから使ってるって感じか。俺的には狙撃手(スナイパー)が一番しっくり来たけどな」

 ああ似合うわーと言いたげな小南の目を見て――。

「お前、今その濁った眼がスナイパーみたいだと思ったろ? それ偏見だからな、狙撃手(スナイパー)に謝れコラ」

「あーはいはい。わかったから早く準備しなさい。今日は何? 狙撃手(スナイパー)としてやるの? それとも前みたいに射手(シューター)スタイル?」

「・・・・・・、」

 比企谷八幡が、それほどまでに多くのトリガーを使っているのは、実をいうと空と白の命令である。

 

 ――曰く「お前にもう負けは許されない。・・・・・・であるなら最強を目指せ。つまり、すべての武器コンプリートだ!!」だったり。

 ――曰く「『 』(くうはく)が使うキャラクターなんだろ? ならカスタマイズは最高級にきまってるだろ!!」とのこと。

 

 だからと言って師匠などをお願いするコミュニケーション能力が八幡にあるわけもなく、初期のころは自室の訓練室にて、空と白に相手をしてもらっていたものだ。

 しかし、当時はそのことに驚いたものである。

 あの兄妹ときたら、使うトリガーを超スピードでマスターし、あくまで二人セットが条件だが、サイドエフェクトなしとは言え、八幡をものの見事に圧倒するのである。

 というより『 』(くうはく)として戦うあの兄妹に八幡は勝ったことがない。

(お互いの射手(シューター)の弾で合成弾を作った時にはビビったな。あいつら化け物だろ・・・・・・)

 八幡の事を知ってる『ボーダー』隊員がいれば、八幡がS級になってから敗北がない(・・・・・・・・・・・・・)と言う事実の方が化け物じみているのだが。

 自分の事は棚に上げ、二人の評価をするその姿は、八幡らしいと言えば八幡らしかった。

 S級になったのがB級上がりたてなことを考慮すれば、もしかしたら、後にも先にも八幡に黒星をつけたことがあるのは風間一人になるかもしれない。

 

 まぁ、もっともそんな人外たる八幡を破る神『 』(くうはく)。空と白からは――。

『えっ、やれとは言ったけどまさかできると思わなかった。変態だなお前。俺らには無理だわー』

 との評価をいただいていることを考えれば、どっちもどっちと言えるだろう。

 

「今回はそうだな。お前風で言うなら銃手(ガンナー)スタイル。・・・・・・ってところか」

 トリガーを手でもてあそびながら、何でもないように八幡は告げた。

 

「へー、なめられてるものね。攻撃手(アタッカー)の私相手に銃手(ガンナー)で勝とうなんて・・・・・・」

(いや、もともとお前とやるつもりはなかったんですが・・・・・・)

 ――とは言え。

 

「やってみないと分からないだろ」

「・・・・・・、」

 

 負ける気などないのだが。

 

 銃手(ガンナー)なら攻撃手(アタッカー)に有利なのでは? と思う周りの意見は最もなのだが。相手があの小南だと言うのが問題なのである。

 小南に限ったことではないが、トップクラスの攻撃手(アタッカー)相手では、決定打にかける銃手(ガンナー)はいまいち不利だと言えるだろう。

 単純な戦法でいいのなら、《シールド》で防ぎながら接近し、一発をぶち込めば終わりである。

 接近戦で銃手(ガンナー)攻撃手(アタッカー)に勝てるわけもなく、相手に接近できるだけの技量(・・・・・・・・・・・・・)があれば銃手(ガンナー)はかなり不利に働くのだ。

 そして――。

 

「じゃ、やるか」

 そんな気の抜けた一言と共に――。

 

「「『トリガーオン』」」

 

 二人の戦闘は始まった。

 

 

  ▲▽▲▽▲▽

 

 

 嵐山准が比企谷八幡との関係を現すなら、きっとさわやかな笑顔でこう言うだろう。

 

 ――友人だな、『ボーダー』の仲間でもある、と。

 

 

 綾辻遥と、三上歌歩。その二人が最初に向かったのは個人ランク戦会場である。

 風間が八幡の事を知っているならば、より長く『ボーダー』をやっている者も知ってるはずと考えた結果である。

「とりあえず聞き込みしてみよっか。迅さんがいれば話が早いんだけど、あの人たまにしか本部に来ないからね」

「迅さんの昔からの知り合いなら。例えばほらっ、太刀川さんとか嵐山さんも知ってるじゃないかな?」

 最初の目的は比企谷隊の情報を手に入れることだったろうに・・・・・・。なぜか二人の中では八幡を見つけることまでがミッションと化している。

 

 まぁ、そんな彼女らの存在など八幡は知る由もないが――と言うか知っていたら逃げてる。

 

 きょろきょろ、と言うオノマトペが似合いそうなそぶりを見せる二人が見つけたのは・・・・・・。

「あっ、嵐山さん。こんなところにいましたか」

 A級5位部隊率いる嵐山准である。

「――ん? おー綾辻・・・・・と三上か? どうしたんだこんなところで二人とも」

 嵐山の疑問は最もであろう。オペレーターたる彼女たちがわざわざ個人ランク戦会場まで来ることは少しばかり珍しい。

「実は嵐山さんに聞きたいことがありまして」

「比企谷って言う人、嵐山さん知ってますか?」

 彼女たちは何かしらヒント、あるいは知らない情報がつかめれば御の字だった。迅の知り合いから探ってみるとは言ったもののほんとに比企谷八幡を知る人間がいるのか疑問ですらあったのだ。要は――。

 

 だって、自分たちが知らなかったし、と。

 

 期待半分。その程度の気持ちで聞いた彼女たちは、

「ああ知ってるぞ」

「えっ、知ってるんですか!?」

「そりゃ友人だからな」

「「・・・・・・りゃ!?」」

 と間抜けな声を上げることになる。さらには――。

 

「メル友でもあるぞ」

 

 と言う彼の言葉に。――Oh なんてこった。と予想外の展開に頭を抱えた。

 

 

 とまぁ、先ほどから嵐山は八幡を『友達』と言うように話してはいるが、それはあくまで彼目線の話である。

 八幡は自称ぼっち。ならば嵐山の事はあくまでも、深い知り合い程度の認識なのだろう。

 相手方が友人認定しているならそれは友達でいいのでは? と思うかもしれないが――。

 

『俺に友人? そんなものいませんよ。俺の人生過去から未来まで永劫にボッチです。・・・・・・あっ待ってください、未来永劫はやっぱなしで、ちょっと悲しくなりました』

『俺に友達がいない理由ですか? え、逆に俺に友達っているんですか?』

 

 などと平気で口にする八幡を考えるに――つまり、その思いが届いてない時点で、それは友人とは言えないだろう。

 まあ、仮に嵐山が直接八幡に「俺たちは友達だよな!」などと口にすれば――。

 

『おれ、嵐山さんの事信じてました。・・・・・・でもそれは間違いだったんですね。いくらですか、いくら払えばいいんですか?』

 

 など意味不明なことを言うのだろう。不良のそれと勘違いしたのだろうか・・・・・・?

 

 

 そんなことは全く知らない、比企谷捜索隊の二人は、嵐山の言葉を素直に受け取る。

「嵐山さん! 『比企谷隊』の隊室知ってますかっ!? 私たちその人捜してるんです!!」

 と言う綾辻の言葉に、嵐山は少し困ったような顔をすると。

「すまないな二人とも。比企谷の隊室はちょっと知らないな」

「・・・・・・そうですか」

「でもなんで、二人して比企谷の事探してるんだ? 知り合いだとは聞いてないが・・・・・・?」

 その一言に、綾辻と三上の二人は気づいてしまった。

 ――私たちは何をやっているのだろう、と。

 確かにオペレーターの話を聞こうとしているのが目的のはずだ。しかし、その程度の事ならここまで動く必要はない。最低でも来週まで待てば、比企谷と言う男は現れるのだ。結果――。

 

「「・・・・・・、」」

 

 二人はその質問に対する答えが見つからなかった。

「まぁ、なんであれ。比企谷の知り合いになってくれるのはうれしい限りだよ。あいつはあまり人と関わろうとしないからな」

「人見知りかなんかなんですか?」

「うーん。どうやらぼっちと言うステータスに誇りを持ってるらしくてな。――まっ面白い奴だよ!!」

 そうやって、笑う嵐山に対し、

 ――それは面白いというより変わってるというのでは。と言う言葉を二人は飲み込む。

 

 すると。

「もし本当に比企谷を見つけるなら隊室より本人を見つけたほうが早いと思うぞ」

 と、言う嵐山の言葉に二人は固まる。

「な、なんでですか?」

「さっき言った通りだよ。あいつは人と関わるのが苦手だからな。恐らく隊室に言っても居留守をつかわれるだろう。実際に本人も言ってたしな」

((子供ですかその人っ!!))

 奇しくも、綾辻と三上は同じことを思ってしまった。

 

 嵐山はそう言ったが、八幡が居留守を使うと言ったのは、空と白がそこにいるからである。隊室に来ても意味ないぞ、ということをあらかじめ言っておくことにより、二人のストレスを少しでも軽減させようとしたのだろう。

 

「ああ、そうか。二人ともちょっと待っててくれないか」

 そう言って、嵐山は電話を取り出す。

 もしかして、比企谷に連絡を入れるのでは? とひそかに期待する二人だが――。

「・・・・・・宇佐美か。――実は聞きたいことがあってな。・・・・・・・――そうだ。比企谷がそっちに行く日を教えてくれないか? ・・・・・・えっ今来てる? 小南と訓練? そうか、助かるよ!」 

「えーと、今の宇佐美ちゃんですか?」

 と言う三上の疑問に・・・・・・。

「比企谷が訓練を行ってる場所が玉狛だからだよ。ほらあいつは本部で戦えないからな。基本向こうで対人練習してるらしい」

「な、なるほど」

「それで、どうやら今玉狛にいるそうだ。これから小南と訓練すると言っていたから今なら行けば間に合うんじゃないか?」

「――!! 本当ですか!? え、えーっと、嵐山さんありがとうございます!!」

 そんな綾辻の言葉に、嵐山は――気にしてないよ。と言う風に笑顔を向ける。

 

 まさかの大収穫であった。

 

 その後――。

 二人は嵐山から得た情報により、玉狛支部までやってきた。実のところ、彼女たちがここへ来たのは初めてであったりするので、道に迷ったりといろいろあったのだが。――やっと見つけた、と二人は謎の達成感を得たものである。

「だ、誰かいますかー」

「えっ、勝手に入っちゃっていいの綾辻ちゃん!? まずはインターホンじゃないの!?」

「あ、そそそそっか。な、なんか緊張してきちゃって」

 二人がテンパるのも無理はない。あくまで話を聞いた段階であるが――と言うより話しか聞いていないためか、彼女たちの中での比企谷と言う男は、もうなんか噂になるべくして存在している人なのだ。

 わくわく、やら。ドキドキを通り越して。本当に会っていいのか罪悪感すら感じているのである。

 するとそこへ。

 

「あ、はるちゃんに歌歩ちゃんだ。いらっしゃーい。嵐山さんから話は聞いてるよ。お菓子もあるからどうぞどうぞー」

 

 玉狛のオペレーター、宇佐美が顔を出した。

「あっ宇佐美ちゃん。急にごめんね」

「ごめんね栞ちゃん。それでその・・・・・・比企谷さんっていまいるかな?」

 そんな恐る恐る聞く綾辻に。

 

「ハッチーならいるよー。まだこなみと戦ってるからもう少し待っててね。ほらあそこのモニターにいるでしょ?」

 

 さも当たり前のように口にした。

 

 ドキリ、と言う音を心臓から聞きながら、二人は部屋についているモニターへと目を向ける。

 すると、ちょうどその試合の一つが終わったところなのだろうか。

 

『小南ダウン。スコア9対0比企谷リード』

 

 そんな信じられない音声が聞こえてきた。

 

 

 




『副音声』
そら「では諸君ッ! 副音声を開始しよではないか!!」
しろ「・・・・・・出番、きた・・・・・・!」
八幡「・・・・・・、」
八幡「お前ら、出番一つでやる気が変わるの? 俺なら普通に嫌なんだが・・・・・・」
そら「ははは。まッハチはそうだろうな」
しろ「・・・・・・しろ達も、主人公。・・・・・主人公度合い――負けるの、気に入らない・・・・・・」
八幡「・・・・・・負けづきらいだな。ほんと」
そら「ってことで、今日の話はそうだな・・・・・・実は俺たちも戦えるんだぜ? みたいなところか」
しろ「・・・・・・トリガー面白、い。・・・・・・ちょーRRPGでき、る――」
八幡「RRPG? あーリアルロールプレイングゲームの略か? それはやみねかおるさんの作品の言葉だからな? それ」
そら「おっと、それ以上はなしだぜ。ここは現実とフェクションの間の副音声。それでもリアルをそこまで持ち込むのはなしだ」

八幡「そうだな。・・・・・・話戻すが、俺って本部で戦闘できないんだよな。全然いいけど」
そら「そこらへんの設定はあれだな。玉狛隊の連中が『ランク戦』に出てないっていうセリフから。ランク戦を行うにも決まりがあるっていう作者の見解から来た設定ってことだ」
しろ「――S級、なら・・・・・ポイントない。だから、本部では・・・・・・戦えない」
八幡「まぁ、玉狛はなんか特殊なトリガー使ってるから本部で戦闘しないらしいし、概ねあってんじゃないか?」
そら「自室の訓練室でも俺らとできてるからな、そこまで不便でもないだろ」
しろ「・・・・・勝率。しろ達・・・・・・100パー」
八幡「あくまで二人でだろうが・・・・・ま、『 』が二人で一人なら仕方ないのか?」
そら「ま、いつか俺らの戦闘描写もあるだろうし、ここではいいだろ」
しろ「それよりも、ハチ兄・・・・・・。単独でも、負けない――化、物?」
八幡「いや、お前らが負けるなって言ったんだろうが。それにあくまでノーマルトリガー相手だからな? 一対一だからな? そもそも、お前らのほうが強いだろうが」
そら「てか、全トリガー使いこなすとかキモイぞ・・・・・・。やはりチートか・・・・・・」
八幡「いやいや、お前ら数週間で使いこなしてるからね? お前らのほうがチートだからね?」
そら「それはほら。そもそも、俺ら本当の世界では人外を相手に――」
しろ「・・・・・・にぃ、それ結構ギリギリ・・・・・・」
そら「おっと、アブナイアブナイ」
八幡「世界と言えば、どこまでクロスさせる気なんだろうな・・・・・・」
そら「さーな、それは分からん。まだ考えてないんじゃないか?」
しろ「・・・・・・先見るしか、ない」
そら「お、おー白・・・・・・さりげなく次も見ろと言ってんのか? 読者離れるぞ?」
しろ「しろ・・・・・・10歳、難しいこと・・・・・・分からない」
八・空「「・・・・・・」」
しろ「・・・・・・今日は、ここまで・・・・・・」
八・空「「(しろさんマジパネェ、です)」」
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