やはり俺と『 』が《ボーダー》隊員なのは間違っている 作:必殺遊び人
とうとうここまで来ました。S級試験開始です!!
ここで皆さんの勘違いを一つ訂正させていただきます。
本作の主人公は比企谷八幡ではありませんッ
比企谷八幡と『 』(空白)のダブル主人公です!!
それがこれから数話で理解いただけると思います。楽しんでいただければ幸いです。
それではどうぞ!!
会場にはすでに何人もの『ボーダー』隊員が集まっていた。
それは、待ちに待ったと言っていい日である。
『比企谷隊』によるS級継続試験。
それを見ようと、たまたま本部にいたA級、B級隊員はもちろんの事。非番のはずの隊員から、玉狛支部の小南や烏丸、そしてレイジまで。
恐らく、A級のチームランク戦ですら、ここまでの人は集まらないのではないだろうか。
この中で八幡を知っている人物となればかなり少数だろう。
そもそも八幡には師匠などいなく。本部での対戦行為もC級時のみ。
A級隊員ですら、古くから『ボーダー』にいないと比企谷などと言う名前も聞いたことすらないだろう。
そんな期待の一戦まで開始十分。
『ボーダー』屈指の花であるオペレーター。綾辻遥が口を開く。
「『さて、本日のS級試験実況を務めさせていただきます。A級8位、嵐山隊の綾辻です。本日はよろしくお願いします』」
周りの声がだんだんと静かになる中で。
「『本日は解説として、「ぼんち揚げ食う?」でおなじみのS級である迅さんと、過去A級部隊を率いた実績のある、東さんにお越しいただきました』」
その言葉に、紹介された二人は――どうぞよろしく、と声を上げる。
「『ところで解説のお二人は『比企谷隊』をご存知でしたか? 実は私もつい一週間ほど前に知ったのですが。どうやら周りの認知度がかなり低い部隊と思われるのですが・・・・・・』」
何気ない質問。
だからだろうか・・・・・・。
「『もちろん知ってるぞ。なぜなら最初に『比企谷隊』のS級試験を担当したのは俺だからな。本当は俺が今回もやりたかったよ。あの時は見事に負かされたからなー』」
気軽に・・・・・・されど確実に放たれたその言葉で、場内が沈黙に変わり。
次の瞬間。爆発的なものへと変わった。
「お、オイ。マジかよ・・・・・S級に勝ったって本当だったんだ」
やら、
「あの迅さんが負けたなんて・・・・・・、本当なんですか嵐山先輩」
「本当だぞ。当時の迅ときたら結構落ち込んでてな」
とか、
「どうしたの、米やん先輩。なんかすっげー戦ってみたそうな顔してるけど?」
「それはお前もだろうが緑川」
等々。
各個に驚きの声を上げている。
「『み、皆さんお静かに!! えーと、続いて東さんの方はいかがでしょう』」
「『あー俺も知ってたぞ。あいつはS級ってこともあってよく『ボーダー』の会議にも参加してたからな。その時に知ったんだ』」
「『なるほど。ではお二人方はどちらも面識があるということですね。恐らく知らない隊員も多いと思うのですが、ご存知のお二人が解説を担当していただけると助かりますね』」
ほっ、と息を吐く綾辻の言葉に。二人は少しキョトンした後、面白いというように笑い声を上げる。
「『ははは、違うよ綾辻。俺らはたまたま選ばれたんじゃなくて、お前らがやれってお願いされたんだよ。ね、東さん?』」
「『そうだな。理由を聞いた時は流石に笑ったな』」
「『え? えーと・・・・・・。ではお二人が選ばれたのには理由があると・・・・・・?』」
困惑の声を上げる綾辻に向かって。
迅は簡潔に告げた。
「『なに、俺の未来視のサイドエフェクトと、東さんの戦略術がないと、誰も解説がままならないだけだよ』」
その言葉に、再び会場が静まり返る。
「『そ、それはつまり・・・・・・』」
周りの声を代表するように告げる綾辻の言葉に。
「『まっ見れば分かるよ。比企谷八幡は、すごい奴だってことが・・・・・・』」
何が面白いのか――。いいや、事実面白いのだろう。
迅のサイドエフェクトで何を見たのか・・・・・・・。
不敵に笑う迅の表情が――先ほどの発言が何も大袈裟でないことを如実に告げていた。
▲▽▲▽▲▽
そこは噂の『比企谷隊』――隊室。
「おい今の聞いてたか。・・・・・・っく――はは。『比企谷八幡はすごい奴』だってよ・・・・・・あはははッ」
「・・・・・・ハチ兄――名実ともに、ボッチになった・・・・・・」
口に手を当てながら笑う兄妹――
「お前ら笑いすぎだ。別に迅さんもまだ
ジロリ、と睨む八幡を見て。
二人は、顔を俯かせながら。
「はは、そう怒んなってハチ。冗談だよ冗談。冷静さをなくせば勝てる勝負も勝てなくなるぜ? ・・・・・・ぶふッ――」
「・・・・・・にぃ、笑いすぎ・・・・・・。ハチ兄、可哀そう・・・・・・ぶふッ――」
どうやらもう隠す気もないらしい。
足をばたつかせながら笑う二人の姿に、八幡は握りこぶしに力を入れる。
・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・。
「はぁー・・・・・・で、お前ら今日寝なくても言いわけ? 全力を出せなくて負けましたとか言ったら本気で殴るぞ」
「おまっ・・・・・・。もうすでに殴ってるだろッ――」
「・・・・・・い、痛い・・・・・・」
頭を押さえながら、床で悶絶する二人。
どうやらこの三人は今回の試験において、緊張と言うものは皆無らしい。
「――それで、寝なくていいかだっけ? その答えならYesだ。てかお前もわかってんだろ」
「・・・・・・しろたち、ゲームならどこまでも本、気。――でも、楽しむために、・・・・・・その度合いは、しろたちで決める――」
八幡の心配は杞憂だった。
油断だとか、慢心と言う言葉は二人にはない。
そう見えても、実は相当頭を使い――相手を誘うための罠だったりするのが
いつ見てもあきれるその姿に八幡は。
「・・・・・・さいですか」
と、軽く呟きながらも、口元は笑っていた。
そんな三人とは対照的に、A級部隊である『風間隊』は静かにその時を待っていた。
「風間さん。確認なんですけど、絶対単独では比企谷先輩とは戦わない。それは絶対で大丈夫ですか」
風間隊の
その問いに、閉じていた目をパチリと開け。
「そうだ。単独で挑めば必ず負ける。あいつとやるなら、チームで動く、それ以外はなしだ」
臆しているわけではないのだろう。
風間が最大限に比企谷と言う男を警戒しての言葉だった。
「でも風間さん。そこまで警戒するほどですか? 風間さんが負けたのだってかなり前じゃないですか・・・・・・。確かに訓練時からそこまで強かったのには驚きましたけど、今時それぐらい・・・・・・。緑川や木虎みたいなのものでしょう?」
だが、それに異を唱えるように言ったのが、『風間隊』キーマンである菊地原士郎。
サイドエフェクト『強化聴覚』を有し、音の反射のみで素材の材質。硬さや厚みに至るまで、あらゆることを解析するその聴覚機能は、キーマンたる存在を如実に語っていた。
しかし――。
その問いに答えたのは風間ではなく三上だった。
「菊地原君。それは違うよ。それじゃダメ」
カチカチ、と。機器の前で最終確認をおこなっていた三上は、静かに菊地原のそれを否定する。
「三上先輩・・・・・・? なんでそんなこと言えんの? 周りも少し大袈裟すぎると思うんだけど」
そんな疑問に答えるように。
「10対0。それがこの前の小南ちゃんと比企谷くんの結果。・・・・・・これがいかにありえないことか菊地原君には分かるよね?」
「・・・・・・、」
それを言われると、菊地原は黙るしかない。
別に、菊地原も八幡の事を軽視しているわけではない。ただ、そこまで警戒するべき人物なのだろうかと、素直に疑問に思っているだけだ。
遠征部隊とは、そもそもブラックトリガーに対抗できると判断された部隊だ。それが三チームも集まって、警戒しろと言われる方が難しい。
「菊地原の気持ちもわかる。・・・・・・が、今回は初見だ。なら、作戦通りいくぞ」
まとめるように言う風間の言葉で。
「ちぇ、風間さんが言うならしかたないですね。でも、仕留めるのはうちの隊にしてくださいよ」
そっぽを向きながら菊地原はそう言った。
「(ふふっ。きっと菊地原君、風間さんの仇をとりたかったんですよ。怒らないでくださいね)」
小さい声で風間に言う三上の言葉は、どうやら『強化聴覚』を持つ菊地原には聞こえていたようで。
「ねぇ三上先輩。少しの間黙っててくんない?」
少し空気が軽くなったようだった。
同時刻。『太刀川隊』では。
「聞きましたー? 太刀川さん。なんか迅さん負けたっぽいんですけど・・・・・・」
A級一位部隊の
――マジかやばいなー、と言いながらも笑うその表情は、もしかしたらこれからの戦いを楽しみにしているのかもしれない。
そして、話しかけられたその男。『太刀川隊』のリーダーであり、
「・・・・・・」
無言でありながらも、その笑みを絶やさなかった。
(まったく、戦闘狂な上に強いんだから質が悪い)
そんな出水の心の声を読んだのか。
「・・・・・・楽しみだな――」
と、静かな声でそう言った。
そのまま。
「――あー楽しみだ! 早く時間こいこいっ!!」
と、おもちゃを待ちきれない太刀川の声は、その場にいる出水にしか聞かれることがなく。
その出水も、――確かに、と言いう言葉をつぶやいた。
そして、A級二位部隊であるその場所は。
静かも静か。
「おーい」
・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・。
「起きてくださーい」
・・・・・・。
「起きろって言ってんだろゴラーッ!!!」
「「――ッ!!」」
『冬島隊』オペレーター少女の声に、男二人はビクッ、と言うように起き上がる。
「ま、真木ちゃん? どうしたの急、に・・・・・・?」
目を吊り上げて怒ってますよアピールするその女子高校生に、隊長であるおじさん冬島は、ビクビクと言った風に疑問を返す。
「もうすぐ始まるって言ってるんですよ。いつまでもぐうたらしないでくださいっ」
『冬島隊』の花であるその少女は、怒っていても、どことなくその可愛らしさを漂わせていた。
「あーれ? もうそんな時間か・・・・・・。さてと、俺も準備しますかね。隊長もちゃっちゃと準備してくださいよ」
眼をこすりながら言うその当真勇の姿に。
「なに他人事みたいに言ってるんですか当真先輩。あなたもここで正座に決まってるじゃないですか」
「・・・・・・え?」
どうやらすでに冬島隊長殿は彼女の前で正座をしているらしく。――お前も早くしろ、と目くばせすらしていた。
もともとエンジニアとして入隊した冬島を、戦闘員として引き抜いたのがオペレーターである彼女なだけに、どうやら頭が上がらないようだ。
しかし、彼も思うところがあるようで――。
「あのー真木ちゃん。ほら、そろそろ時間だから準備しないと・・・・・・」
「そうだぜ。こんなことで速攻退場なんてしたら笑いもんだ」
つなげるように言った当真の言葉を聞き。
その少女は――。
「確かにそうですね。・・・・・・なら、うちの隊がその比企谷って人を仕留められなかったときは・・・・・・」
「――時は?」
そして、ドサッと。
数百枚はくだらないと思われる書類の束を目の前に見せ。
「これ、遠征時の報告書類。おふた方に全部任せますんで、よろしくお願いします」
「――!!!」
それからの二人の動きは早かった。
まさに目もくらむ速さで準備を整えた男二人は、お互いに顔を見合わせ。
「当真」
「ああ、わかってる」
いつもの数倍のやる気を見せるのだった。
そして、各隊の思惑を乗せながら会場の綾辻の声で、それはとうとう――。
「『それでは各隊準備が整ったとの報告がありましたので、S級試験開始したいと思います!』」
――ある隊は、来たかと言うように静かに立ち上がり。
――ある隊は、待ちきれないというように心躍らせ。
――ある隊は、負けられないとやる気に満ちて。
そして――ある隊は・・・・・・。
「そいじゃ、やりますか」
いつも通りに八幡は呟き。
「さぁ――――ゲームを始めようぜ」
「・・・・・・かかって、来るの・・・・・・」
その兄弟は互いの手を結んで。
「『試合開始。転送!!』」
その戦いの始まりは告げられた。
▲▽▲▽▲▽
そこはおなじみの市街地。
と言っても、所詮はトリオンで再現されたものであり、何も特別に変わったことはない。
今回は試験とは言え3チームを相手にすることから、場所や天候は平等にランダム。
結果。場所以外適当なためか昼。気候や風も安定し、どの隊にも自身の全力をぶつけるには最適と言える環境だった。
そして、そこに転送された八人の隊員は各々に、しかし確実に動き出した。
『おーい、ハチ聞こえるか。割り出したぞ、
「ん、了解」
そんなやり取りをしながら、比企谷八幡も動き出す。
時と場合で毎回セットするトリガーが違う八幡は、今回使用するそのひとつを起動させる。
(《バッグワーム》起動確認。さて、行きますか・・・・・・)
会場からは、綾辻の解説により、『冬島隊』の二人、そして『風間隊』も《バッグワーム》を起動させたと告げられた。
八幡のレーダーにも、映っている隊員は二人しかいない。
今回はチームランク戦のように混戦状態になる可能性がなく、相手が八幡一人と考えると、
事実、会場にいる多くの隊員からは疑問の声が上がり、各隊の思惑を読み切れていない。
もしそれを言葉で語ろうとすれば。
今回で言えば、風間隊はチームで動くことを想定し、奇襲を作戦としているため。
冬島隊は言わずもがな。
太刀川隊は、単純にそれぞれが単体で十分強いため、すぐには殺されないという判断だ。
しかし、八幡もそれを使用するという。各隊は予想外の事に、集合を目的とする『風間隊』と、すでに動いている『冬島隊』とは違い、太刀川隊は完全に足が止まっていた。
そして、もし各隊が八幡のそれを疑問に思ったならば、
A級のトップクラス。遠征部隊。言うまでもなく彼らは強い。
だからこそ仕方なかった。油断していたわけではないだろう。警戒はしていたし緊張もしていた。
攻撃を受ければすぐに対応するぐらい余裕ではあった。
八幡が
射線が通らないように動いていた。移動一つとっても完璧。
そんな、見えない部分の彼らの対策。作戦をあざ笑うように――。
『3』
『2』
それは八幡の頭に響くカウントダウン。
白の声で流れるそれを聞きながら。
『1』
どこにでもある家の屋根。その場所へ身をひそめながら《イーグレット》であるそれを構え。
『0』
それと同時。見えたのは一瞬。家と家の間。そこを横切る人影を見て。否、正確には見える前にそれは行われた。
静かに引かれた引き金とほぼ同時。
『トリオン供給機関破損。ベイルアウト』
狙われたのはたまたまだった。
ある意味、八幡と
とは言え、別段彼におかしなところはなく。
撃たれた本人も何が起こったか分からなかっただろう。
狙撃距離800メートル。
秒数にして開始から僅か20秒前後。
(・・・・・・!!! なんだ、とッ!?)
そんな僅かな時間で。冬島隊隊長、冬島慎次は脱落した。
時に、
悪魔的なまでの
そこから導き出される行動パターンと、射撃時間までおりこんだ未来予知に迫る偏差射撃に回避行動。
――開始20秒もかからないほど、簡単に成し遂げられる。
「なッ! 誰が脱落したんだ!? まだ開始からそんな経ってねーぞ!?」
ベイルアウトの光を見ながら、出水公平は驚きの声を隠せない。
レーダーに表示された初期位置を思い出すに、どう考えても接触するだけで三倍程度の時間は必要だろう。
(まさか狙撃? 風間さんの話だと
その疑問に答えるようにA級一位『太刀川隊』のオペレーター。国近柚宇が出水に言った。
「(あっ出水君? やられたのは冬島さんだったよー。それと同時に比企谷君は《バッグワーム》を解除。今向かってるのは――)」
ズサリ、と。出水の前方に人影が見えた。
「あ、柚子さん。その先は言わなくていいです。・・・・・・どうやら、二人目の獲物は俺らしいので」
出水と冬島のやられた場所の距離は、軽く見積もっても500メートル以上の距離があった。
(ってことはやっぱり狙撃か・・・・・・)
「なぁ、お前が比企谷だろ? 俺に顔を出しに来たのは理由でもあるのか?
出水が勘違いするのも仕方ない。
500メートル以上の距離を一発で狙撃。しかもオペレーターである国近の報告では、狙撃の射線は一秒も通らなかったらしい。
そんな狙撃をされれば、いくら冬島とは言え反応できないだろう。
しかしだからこそ、出水は思った。そんな変態的な狙撃ができるものはA級クラスの狙撃手だけ。『ボーダー』にも数人しかそんなことができる者はいないだろう。
ならば、比企谷八幡は
そんな出水の疑問は。
『思考投影』をした八幡を用いて、空が代わりに答えた。
「『ドッチボールって知ってるか?』」
「――は?」
相手が
「『その必勝法ってさ、弱い奴から倒すらしいぜ。ほら、そうすると外野から戻って来れないからな』」
挑発するに絶好の機会。そして、それをするのに空以外の適任が三人の中にいるだろうか。
出水には、一瞬なにを言ってるか分からなかった。
それを感じ取ったのか、空はただ簡潔にこう告げた。
「『てめーが一番落としやすいって言ってんだよ。うだうだ言ってねーでかかって来い』」
もちろん『思考投影』によって言いたいことを考えているのは空ではあるが、実際に口に出してるのは八幡なわけで・・・・・・。
(おいちょっと待て――言いたいことだけ言って逃げてんじゃねーよ引きこもり野郎っ!)
そして、そんな
「あー、太刀川さんが来るまで時間稼ぎしようと思ってたけどやめだ。お前はぜって俺の手でーハチの巣にする」
両手に《アステロイド》のトリオンキューブを展開させながら。
次の瞬間。
「――は!? ・・・・・・ッ!!」
『トリオン伝達脳』を貫かれた当真が驚き。
「・・・・・・うそ、だろ・・・・・・ッ!?」
出水が驚愕の声を上げる。
そんな出水にポツリと。八幡の口を借りて空が語る。
当真のベイルアウトの光を見ながら。
「『・・・・・・気づいてないと思ったか?』」
相手が、空の思考に追いつけるように、間を開けてゆっくりと。
「『俺の挑発に乗ったように見せて、
手に持った《イーグレット》をもてあそびながら。
「『
「仕留めた時・・・・・?」
そこで、ようやく口を開いた出水は、言っている意味が分からなかった。
だって、――お前はまだそこにいるだろう、と。
「『当真って野郎はさ、
「・・・・・・ッ!!」
そう。当真勇とは外す弾は撃たないというポリシーを持っている。それはつまり、
それが、ただの
「『今度は気をつけとけよ。撃つ時に警戒するなんて、
(それは敵が複数いるときの基本だろうが――ッ)
疑問点は多々あった。
そもそも、どうやって当真の位置を知ったのか。
いつの間に《イーグレット》を装備したのだとか。
ただ確かなのは、出水の前に現れた時、八幡は手ぶらだったということだ。
いいや、先のすべてが八幡――否
そもそも、釣ってガードしたならまだわかる。それを――逆に狙い撃ちにしたことが異常すぎるのだ。
「思った以上に化け物で、笑えねーな」
「悪いな・・・・・・それはうちのオペレーターに言ってくれ」
どうやら、今度は八幡が話しているらしく――とは言え、そんなこと出水は知る由もないが。
そして――。
「あー太刀川さん? 早く来ないと俺落とされそうです」
通信を隠すことすら頭から離れてたのか、久しぶりの冷や汗をかきながら、出水公平はそう言った。
『副音声』
そら「副音声開始だ・・・・・・ってそんなことより!!」
しろ「・・・・・・やっと、しろたちの――主人公補正・・・・・・追いつい、た」
八幡「なぁお前らってほんとに引きこもりなの? めっちゃ目立ちたがりじゃん」
そら「ちげーよハチ、俺らはあれだ。なんかお前に負けてるみたいでヤダ」
しろ「・・・・・・『 』に敗北は――ない、の・・・・・・」
八幡「・・・・・・さいでですか」
そら「にしても、俺ら相手に開始数十秒を最大限警戒しないなんてあり得るか?」
しろ「・・・・・・なんか、なめられてる・・・・・・?」
八幡「ばっかお前ら。開始数秒で動きを特定されて、狙撃されるなんて誰が予想できるかよ・・・・・・」
そら「そういうもんか? まッとは言え、結局のところハチの速射性と遠距離射撃。更には白の位置情報だけで狙い撃つブラインド。それありきの力技だけどな」
八幡「・・・・・・。なんか俺がすげーみたいになってるけど、本気でやばいのはお前らの方だからね?」
しろ「・・・・・・こんなの――まるばつゲームより簡、単」
そら「そ言うこと。白にとっちゃこんなの序の口ってことだ。これからだぜ『 』の真価はよ」
八幡「・・・・・・わかってるよ」
そら「話は変わるが、冬島隊のオペレーター。まだ原作に登場してなかったはずだけど?」
しろ「・・・・・・そうな、の? まだ全巻読んでないからわから、ない・・・・・・」
そら「妹よ、それは作者の情報だからな? なんか電波でも受信したか?」
しろ「・・・・・・しろ、まだ小学生――難しいこと、わからない・・・・・・」
八幡「えーとそれなら、なんか情報入ってたてよ。ほらこの手紙・・・・・・」
そら「なになに。『冬島隊オペレーター真木理佐については、性格などこちらの方で勝手に決めさせていただきました。ごめんなさい』・・・・・・作者より。――なにこれ?」
しろ「・・・・・・言い訳文・・・・・・」
八幡「まっ、しかたないんじゃねぇの? まだ登場してないんだし、情報が入ったら修正するだろ」
そら「あーそうだな。そもそも、ワートリはキャラが多すぎるのにキャラ特徴が意外と少ないもんな。オペレーター連中なんてほとんど出ないし」
しろ「・・・・・・にぃ、それ――けっこうギリギリ・・・・・・」
そら「・・・・・・そら、高校生――難しいこと、わからない・・・・・・」
しろ「・・・・・・イラッ」
八幡「あ、おい、喧嘩するなよ。えーとじゃあ今日のところはこれまで」
しろ「・・・・・・ポムンっ。――また、ね・・・・・・」
そら「白さんが殴った!! グーで殴った!!」
八幡「なんで俺までッ……!?」