やはり俺と『 』が《ボーダー》隊員なのは間違っている   作:必殺遊び人

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 はーい九話でーす

 S級試験後半戦ってことろですかね?
 想いのままに書いてるのでクオリティーが心配なところです。

 お気に入りも気づけば300を超えていました!!
 最初の方に結構批判の声も頂いていたので、どうなるかなーと思ったのですが、評価していただける方もいて嬉しいです。 
 
 それではどうぞ!!      


九話>>『勝ったと思った?』

 

 

 攻撃手(アタッカー)一位の男は、自身の両手に《弧月》をもって、静かに言った。

 

「――いくぞ」

 瞬間。振るわれるは《旋空弧月》。

 言ってしまえば刃の拡張。《弧月》の専用オプショントリガーであるそれは、瞬間的に刃のリーチを伸ばす。

 伸びる剣。と表現できるそれは、敵の間合いを無視する必殺斬撃。刃に重さがある(・・・・・・・)という弱点があるものの、逆に言えば刃の先に行けば行くほど威力が増すという性質を持つ。

 剣を振るう速度。相手との間合いの把握。重さという弱点を無視する二刀斬撃。そして単純な剣の技量にいたるまで。

 

 ――太刀川という男がいかに化け物かが一瞬で分かる攻撃だった。

 

 とは言え・・・・・・。

 すべて読めてる(・・・・・・・)なら避けることはたやすい。

 しかし――。

 

(・・・・・・っぶねっ――。思った以上に速いな・・・・・・)

 

 余裕はあった。ただ、少しばかり速度が速かっただけ。

 それでも、空の予測を突破してきた太刀川に、八幡は驚きを隠せない。

『ハチ、あーゆタイプは意外と実力を隠すもんだ。俺らみたいに楽しむためにな』

「(――それで、対策は・・・・・・)」

『俺が相手の思考を読む(・・)。後はお前がやれ』

「(おいおい、おもっきし人任せじゃねーか)」

 濁った眼を少しばかりよどませながら言う八幡へ。

 

『忘れるな。俺にできないことは白がやる。白ができないことは俺がやる。なら――『 』(俺ら)にできないことはお前がやれ。全員で『 』(くうはく)だ。・・・・・・『ボーダー』ではな』

 

「・・・・・・」

 そう。それが『 』(くうはく)の在り方。

 一人でやろうとは考えない。――否、全員で一人(・・・・・)だと。

 そんな空の物言いに。――そうだな、と。八幡は笑みを浮かべて。

 

「んじゃ、少し気合入れますか・・・・・・」

 

 そう言って、八幡は太刀川へ迫る。

 

 二人の戦闘を言葉に表すのなら、ただ高い技術の応酬。それに尽きる。

 先ほどまで異次元的な戦を見せた八幡を思い出せば、『すごくレベルは高いが驚きはない』そんな評価を得そうな攻防だった。 

 そうは言っても、二人の戦いは『ボーダー』随一と言っても過言ではない。

 剣を振って相手がかわす。躱し終われば剣を振るう。

 剣速が早すぎてたまにしか見えないそれは、一歩間違えればそこで終わりのサドンデス。

「《旋空弧月》」

 少し八幡が距離を置けば、反射的に繰り出されるそれを。

「・・・・・・こわっ」

 刃の平地の部分を弾き――いなす。

 横に振るってた刃が直角に打ち上げられるその様子に、それを見ていたA級隊員すら息を呑む。

 それの影響か、太刀川の体勢が後ろにずれる。

 もちろん。そんな大きな隙を見逃す八幡ではなく――。

(がら空き・・・・・・)

 太刀川の首をめがけて《スコーピオン》を振り下ろす。

 それを目にした太刀川は。

 

 ――ニヤリ、と。

 

 反対の手に持っていた《弧月》を、八幡の首へ横なぎに刈る。

 オプショントリガー《旋空弧月》を使い、遠心力を利用して、体勢を無理やり戻してきたのだ。

 狙っていたわけではないだろう。動機としては思わず体が反応した、程度のことですらあった。

 だからこそ。太刀川慶という男は異常にして最強なのだが。

 

 瞬きの間もなく、二人の剣は交差するはずだった。お互いの首を切り落とし、振り抜いた勢いで。

 勝負はそこで終わるのはほぼ確定だった。

  

 ――ああ、二人が地面を蹴って距離をとっっていなかったらだが。

 

「・・・・・・危ない賭けしますね。もう少しで仲良く首飛んでたんじゃないですか?」

「賭け? 違うな。俺は今の通りよけられたぞ」

「それは俺が手を引いたからでしょ・・・・・・」

「どうだかな」

 ・・・・・・・・・・・・。

 ・・・・・・。

 あきれるほどに高次元の攻防を見せる二人。

 

 八幡達はただ首を振るって刃をよけただけ。追撃ではなく退避を選んだふたりを見るに、どちらも確実性を求めた結果だろう。

 

 ――いけるかもしれない、ではなく。

 ――確実に行ける、それを狙って。

 

「にしても思ったより普通だな。腕も立つし余裕もある。けどブラックトリガーに勝てるほどとは思えないが・・・・・・」

「いや、太刀川さんも強いですよ。さっきの射手(シューター)と組めばもしかしたらブラックトリガーに勝てるかもですし」

「・・・・・・上から目線のご演説か?」

 ムッとしたように言う太刀川のそれで、八幡もわずかに顔をしかめる。

 

(やべッ、少し空の影響が出てるのか・・・・・・。戦闘に集中しすぎて調整ミスった)

 

 逆に言えば、八幡はそれほどに苦戦しているとも言える。

 『思考投影』によって、リンクした空の思考が、僅かに表へと出てしまうほどに。

「(おい、まだか空――。そろそろ風間さん達も来るだろ)」

『ああ、今ので修正した。白も起きたしもしもの時も任せろ』

『・・・・・おはよ、う』

「(本当に寝てたの? 馬鹿かお前ら・・・・・・)」

 八幡は苦戦していた。ただ、それは八幡がサイドエフェクトを使うことなく――さらには一人だった(・・・・・)状況での話だ。

 つまるところ、ここかが本番。

 

『『・・・・・・やりますか』』

 

 『 』(くうはく)のその呟きは、誰に聞こえるわけでもなく――しかしながら、確かに言ったその一言で。

 彼らは本領を発揮する。

 

 

 そしてその数秒後。

 S級ランク戦の実況会場。

 そこでは、何度かも分からない沈黙がその場を支配していた。

 何を言うべきかわからないこの状況で綾辻遥はなんとかそれを口にしようとする。

 

「『比企谷隊員は先ほど、当真隊員を狙撃、そのまま出水隊員を撃破。そして太刀川隊の隊長である太刀川隊員との戦闘を開始ししたのですが・・・・・・』」

 口ごもる綾辻の続きを言うように、迅も苦笑いでそれを言う。

 

「『いい勝負だったな・・・・・・。――さっきまでは』」

 

 息を呑む攻防から一転。

 すでに片腕を切り落とされた(・・・・・・・・・・)太刀川は、トリオン漏れによるベイルアウトすら視野に入るほどだった。

 つまり――。

 

「『風間隊が間に合わなければ落ちるな。あれは』」

 

 そんな東の声が場内に響いだ。

 

 

  ▲▽▲▽▲▽

 

 

 そもそものところ、太刀川は勘違いしていた。

 『不可視の弾丸(インヴィジビレ)』やら『高速切替(ラピッド・スイッチ)』。白による高速演算。空によって無効化される駆け引き。

 それを有する八幡にとって、ポジションなんてものや相性といった類は存在しない。

 

 すべての相手に有利に動け――。

 ――そのすべてを上回る。

 

 作戦なんてものは良いように利用され、使う『技』の次元が違う。

 

 そんな相手に、一人で戦うということ自体が――すべての間違いだったのだ。

 

 

(なるほど・・・・・・。これが迅を倒した男か・・・・・)

 太刀川は、無手で迫る(・・・・・)八幡を見ながら、満足そうな笑みを浮かべる。

 はっきり言うと、太刀川は不愉快だった。

 ライバルである迅の敗北。

 決着がつかなかった自分たちの戦いに第三者が横やりを入れたようだったと。

 しかし。これを見せられては納得するしかない。――いいや、認めるしかないとい言ったところか。

 

「・・・・・・ちッ!!」

 八幡が無手で振るう(・・・・・・)それを見て、その腕の延長線上に入らないように体をひねる

 それでも――。

 スッ、と。太刀川の体へ刃が通る。

 

(武器の高速切り替え・・・・・・まさかこっちが本領か――ッ)

 

 その通りだった。八幡の『高速切替(ラピッド・スイッチ)』の本領は攻撃にこそ真価を発揮する。

 そもそも、《シールド》による絶対防御は、白の頭脳ありの離れ業。八幡一人では使えない。

 だからこそ、八幡は攻撃にこそ、それを主に使っていたのだ。

 

 つまるところ、無手から繰り出される認識不可の攻撃。

 

 出し入れ自由という《スコーピオン》を、相手に接触する僅か一瞬だけ展開する。であるならば、相手には間合いすら知ることができず、刃の形すら分からない。

 

 もしかしたら、短い短剣かもしれない。

 もしかしたら、曲がった不可思議な形かもしれない。

 

 『変化』。といった《スコーピオン》の特性上。防御と言う概念が喪失する。

 さらには――。

 

『・・・・・・《変化炸裂弾》、弾道設定――終了』

 太刀川が離れた瞬間――合成弾が放たれる。

 A級でも、ここまで高速に合成弾を作りだし、《バイパー》の弾道をリアルタイムで設定できる奴がいるだろうか。

 その時間僅か0.6秒。

 

「まじか・・・・・《旋空》――ッ!!」

 太刀川ならばそれも可能だろう。

 コントロールの難しい《旋空弧月》で、トリオン弾をすべて撃ち落とすと言う行為すらも。

 しかし――。

『・・・・・・そうだよな。だってお前()()()()()()()()()()()()

 空がそれをあざ笑うように予測する。

 

 《旋空弧月》によって、打ち落とそうとした太刀川のそれを――斬撃を避けるように弾は進む。

 それはまるで、弾が自らの意思で避けているようですらあった。

 それが届くまでに四度は振るった。瞬間的に《旋空弧月》を数回出すという、誰がみても異常なそれをしても。

 そのすべてを回避するようにして、弾丸は止まることはない。

 

(――!!? 《シールド》ッ!)

 《グラスホッパー》で距離を開け、さらには前方を《シールド》で守るそれをしても。

 太刀川を追うように《変化炸裂弾》は走り、《シールド》を迂回するように背後から。

「・・・・・・しまッ――!!!」

 轟ッ!! と、太刀川の背後にそれは当たる。

 しかし、八幡は警戒を怠らない。

 

「ハァ・・・・・・はぁ、威力は低めだったのか・・・・・?」

 

 複雑な弾道を描いたためか、そちらにリソースを使い威力は低め。

 それでも、追尾型であるはずの《ハウンド》より、確実に追ってくるそれを、太刀川は恐怖する。

「なるほどな・・・・・・。これがお前の本気か?」

「・・・・・・」

 八幡は語らない。

 その代わり、それが答えだとでもいうように。

 

 接近して腕を振るう。

 

 見えない斬撃。《スコーピオン》であるそれを、本当に攻撃か分からない(・・・・・・・・・・・)それを、反射的に防御する。

 体の本当にギリギリ。僅か数センチのところへ《シールド》を展開する。ギリギリで展開される八幡のそれを受け止めるために。しかし――。

(当たって、ない・・・・・?)

 いつまでたっても来ないそれへの疑問。

 ほんの少しの思考停止。

 太刀川のそれは隙へとつながり、目の前に光る銃口への反応が遅れた。 

「――っ!!」

 

 攻撃が認識できないならすべてを回避、もしくは防御しなければならない。

 であるならば、それを駆け引きに利用しない空ではない。

 回避なら追撃し。防御なら別の手で。

高速切替(ラピッド・スイッチ)』と『不可視の弾丸(インヴィジビレ)』を持つ八幡にとって、同時に二つまでしかトリガーを展開できないという欠点はないに等しい。

「終わりですかね・・・・・・」

 

 そんな軽い言葉と同時に放たれる弾丸。単純に威力の高い《アステロイド》。

 《シールド》は先ほどの腕につられて展開してしまった。《弧月》も展開している。

 八幡のように瞬間的に武器を切り替えられなければ、敗北必須。

「・・・・・・そうだな」

 

 いいや、もう太刀川は負けた。

 

 すべての弾丸が太刀川へとヒットする。

『トリオン漏出過多』

 そんな音声を聞きながら太刀川は、最後に残った時間を使いそれを言った。

 

「そう言えば、『狙撃手は仕留めた瞬間が一番油断する』・・・・・・だっけか? ならよ、今この瞬間はどうだ」

 うっすらと、八幡に見えるように笑うそれは。

 八幡の顔を驚きへと変える。

 

「《隠密トリガー(ステルス)》解除」

 その声と同時に現れる3人の影。

 A級三位『風間隊』。

 

(この瞬間を待ってたのか? すげぇな・・・・・・・)

 八幡はその瞬間わずかにだが宙に浮いていた。

 《グラスホッパー》で空中に逃げたのをジャンプで追ったのだ。

 地面まであと数センチとは言え、その状態でのそれは絶望的。

 そしてさらに言うなら、八幡のトリガーの中に移動系のトリガーはセットしていない。

 もちろんそんなこと他の隊が知るわけもないが、結果的にとは言え、『風間隊』は八幡を追い詰めたと言えるだろう。

 いいや、風間隊にはわかっていたのかもしれない。

 今まで使用した八幡のトリガーをみて、後なんのトリガーがセットしてあるのかを予想し、いけると判断した結果かもしれなかった。

 

 レーダーでは見えていた。警戒もしていた。

 つまるところ――それを分かっていたからこそ、『風間隊』はこの瞬間まで待っていたのだろう。

 

「終わりだ・・・・・比企谷ッ!!!」

 

 風間の叫び。

 それと同時。三人の刃。6つの斬撃が八幡へ振り落とされる。

 流石は攻撃手(アタッカー)三人でA級三位まで上り詰めた隊である。回避する場所は皆無。体が浮いているため退避も不可。

 連携は完璧。

 高次元な攻防戦を行うのでもなく。トリッキーな技の応酬をするのでもなく。

 ただ愚直に――。

 

 この時だけの一撃。

 

 それを入れるためにこの数分を動いていた。

 

 だが忘れていないだろうか。彼らは『 』(くうはく)だということを。

 静かに、それを評価するように二人は語る。

『見事だ。相手を仕留めた時こそ最も油断する時。俺らが言ったあの言葉を逆手に取ったか』

『・・・・・・集団戦、これだから――やめられない・・・・・・』

『そうだな。だからこそ俺らも返そう』

 振り下ろされるそれを見ながら、八幡を含めた三人は同時に言った。

 

「『『勝ったと思った?』』」

 

 それと同時。

 全員が動きを止めた――否、止められた。

「「「――ッ!!?」」」

 驚きを隠せない三人へと。

 そのままゆっくり、動きを止めた無防備を見せる『風間隊』一人一人に。

 

 八幡は剣を振るった。

 

 

  ▲▽▲▽▲▽

 

 

 太刀川と八幡の戦闘を目撃しても、そこへ風間が介入しなかった理由を挙げるなら。

 風間蒼也という男が、最大限比企谷八幡という男を警戒していたからに他ならない。

 

「(風間さん。速くしないと太刀川さん落とされますよ? 今のうちに仕掛けなくていいんですか?)」

 通信を使い言った菊地原のそれをきいても、風間は動こうとはしなかった。

 それはつまり、トリオンを垂れ流している太刀川と組んで戦うより、あるか分からない確実な()()()()を待った方が確率が高いと判断した結果だった。

 

 勝つために、分の悪い賭けにすべてをささげる。

 そして、その瞬間を実際に手繰り寄せた。

 

 もしそれを『 』(くうはく)が聞いたのであればきっと――。 

 超かっけー!! と、両手振り上げで喜んだことだろう。

 ただしその後、――それでも『 』(俺ら)が勝つ、と。そう笑うだろうが。

 

 

 風間は自身に迫るそれを見ながら。

「・・・・・ぐっ・・・・・おぉぉぉおおお!!」

 本当に数センチ。されど数センチ。

 八幡の剣を回避して見せた。

 それができたことに理由をつけるのであれば、風間の力量はもちろん。八幡が《スコーピオン》を振るった順番が最も遅かったことがあげられる。

 

『トリオン伝達系破損。ベイルアウト』

『トリオン供給機関破損。ベイルアウト』

『トリオン漏出過多。ベイルアウト』

 

 しかし、それ以外は見ての通りだ。

 ――一人は、体と離れるように首をとばされ。

 ――一人は、気づいたら胸を貫かれていた。

 ――一人は、トリオンの流れを止めることができずに。

 

 全員が全員、光となって飛んでいく。

 

 それを見ることすらなく。

 瞬間的に距離をとった風間は、すぐにその空間の異常を理解する。

「そうか・・・・・。《スパイダー》の糸。これを仕掛けていたのか」

 

 色彩を変化させた《スパイダー》。

 よく見ないと発見できないそれは、はっきり言って人気のないトリガーのそれだった。

 使いどころが難しい。しかも基本受け手の罠としての機能。

 チームランク戦ならいざ知らず、実質攻撃力のないそれは、トリオン兵にはほとんど意味をなさない。

 

「流石ですね風間さん。今ので終わりのつもりだったんですけど・・・・・・」

 何でもないようにそれを告げるところを見るに。これは彼らの思惑通りだったという事だろう。

 しかし、それではおかしい。

「いつ仕掛けた。お前は開始からずっと戦闘を繰り返していたと聞いている。ここの場にも太刀川が逃げながら着た場所だ。仕掛けるタイミングなどあるはずがない」

 その通りだ。風間の言う通り本来ならありえない。

 『比企谷隊』がもう一人いないとできない計算。

 だが、そんな風間の疑問に八幡は気軽に答える。

 

「いつって・・・・・。今風間さんが言ってたじゃないですか。太刀川さんが逃げてきた(・・・・・・・・・・・)場所だって」

「・・・・・・!!!」

 

 その言葉に風間は戦慄を覚えずにはいられなかった。

 なぜならそれは。

「お前はこれすら想定してたのか・・・・・・?」

「まぁそうです。正確には俺ではなく、俺の隊のオペレーターが、ですけどね」 

 さも当然のように。

 

 太刀川との戦闘の最中にそれを気づかれずに仕掛け、風間の考えすら完璧に読んだ。

「いや、それだけじゃ説明がつかない・・・・・・。《スパイダー》は究極的に罠でしかない。俺たちが全員その罠にかかることを期待していたのか・・・・・・」

 都合よく、彼らの攻撃が止まるように――さらに言うなら彼らの腕が都合よく引っかかるはずないと、そう言っているのだ。

攻撃手(アタッカー)の連携って『シヴィ』ですよね。逆に言えば型にはまってるともいえます。『風間隊』のログ、俺も結構見ましたよ・・・・・・」

 

 ――武器を手に持ってる相手には反対側から攻めたくなる。

 ――不意をつこうと思えば背後から。

 ――念には念を入れ相手の攻撃範囲外から。

 そんな無限の可能性を、自身の体勢――そしてそれまでの状況を見せることによって誘導する。

 

 八幡はまだ納得できないという風間のそれにこたえるように。

「太刀川さんも回避するとき流石にうまかったです。見えない剣なら反応できるように一歩下がり(・・・・・)。トリオンを放てば道が広いところに出たくなる(・・・・・・・・・・・・・・)。うまいとはつまり、理にかなっているということです。もちろんイレギュラーはあります。でも・・・・・・それをすべて読み切るのがうちのオペレーター達なんですよ」

「なるほどな。確かにこれは迅の未来視と同じだな」

「どうですかね。彼奴らに言わせれば、わかっていたのではなくて、決まっていた(・・・・・・)って感じでらしいので。ま、俺にはそこまでわかりませんけど、あいつらの頭を借りてるだけですし」

 

 結局のところ、風間はもちろん。全員が『 』(くうはく)のそれを上回れなかっただけの事。

 《スパイダー》にしてもそうだろう。

 太刀川の戦闘中に仕掛けたということは、少し間違えれば気づかれていた恐れがある。それだけではない。ほんの些細なことで、八幡自身の逃げ道を塞ぐ結果にもなったことだろう。

 A級トップクラスを、完璧なまでに動かし続けた。移動や、攻防はもちろん、どう腕を振るうのかまで。

 そんな針の穴を通すような偉業を――。

 

 『 』(くうはく)は易々と成し遂げる。 

 

「じゃ、やりますか・・・・・・風間さん」

 

 《スコーピオン》を構える(・・・)それを見て、風間は笑みを浮かべる。

「懐かしいな」

「――?」

 疑問を顔に出す八幡に答えるように。

「あの時も、おまえはそう構えて俺を倒した」

「・・・・・・そうですね。でも、あの時は俺の事を風間さんは知らなかったわけですし。初見殺しもいいところですよ」

「いや、それを含めて俺の負けだ。お前がそうだというように、俺の事をお前も知らなかっただろう」

「・・・・・・、」

 この会話になんの意味があるというのか・・・・・・。

 もしかしたら意味などないのかもしれない。

 

「『じゃあとりあえず開始ってことでいいですかね』」

 八幡のその言葉に、風間は少し驚いた表情を見せて。

 ――ふっ、と。僅かに笑みを見せながら。

「『律儀なやつだな。真正面からの戦闘が望みか?』」

 

 あの時の言葉を口にして。

 同じように。

 されど。

 

 全く違う戦いを見せるでお互いの未来を考えながら――。

 

「本気を出せ比企谷。そのままだと勝てないぞ(・・・・・)

 あの時の意趣返しのつもりだろうか。 

 八幡のそのことばを風間が言って。

 

「・・・・・・お互い様でしょ」

 八幡のそのことばを最後に。

 

 二人は同時に動いた。

 

 

 

 




『副音声』
そら「副音声の時間だ」
しろ「・・・・・・でも、特に話すこと・・・・・・ない」
八幡「話すことって言うか、今話の話に会話を入れるのが副音声じゃなかったか?」
そら「まーそうなんだけど。なんかネタが無いと俺らコミュ障ーズには少し厳しいだろ」
しろ「・・・・・・話のネタ、そんなの――持ってない・・・・・・」
八幡「なんか期待するような目で見てるとこ悪いが、俺にも不可能だからな?」
そら「ならもう適当でいいか・・・・・・。ネタバレ有りでこのあとの展開でも喋ってやろうかなー」
しろ「・・・・・・にぃ・・・・・・・それは、さすがに」
八幡「白の言うとおりだろ。流石にそれはだめだわ。まあ確かに気になるところではあるがな」
そら「えっ? 俺らが勝つのは決定事項なのに?」
八幡「お前らのその自信すげぇな・・・・・・。そうじゃなくて、S級試験が終わったあとの話だよ」
しろ「・・・・・・そろそろ、ハチ兄のほうが――原作開、始」
八幡「そこなんだよ。今の俺ってボッチ以外はいたって普通の人間だろ? なら変な部活の勧誘もないはずなんだ」
空・白「・・・・・・、――!!!」
八幡「なんで目を見開いて『ありえない』みたいな顔してんの? 冗談に決まってんだろ話を振ってみたんだよ・・・・・・しっぱいしたんだよ悪いか」
そら「あーそれなら納得だわ。一瞬頭壊れたのかと思ったぜ。安心安心」
しろ「・・・・・・ガクガク・・・・・・ブルブル・・・・・・」
八幡「なに? 今の俺の発言そこまでだめだった? お前ら流石にひどくない?」
そら「話を戻すが、はっきり言ってわかんないが本音だな。ハチの方の原作が良すぎて変えるところが思いつかない、ってこともあるだろ」
しろ「・・・・・・下手に変えると・・・・・・作品、ゴミ化?」
八幡「お前らほんとに本音で語るな・・・・・・。ブーメランになることを少しも想定してなくて尊敬だわ」
そら「――え? だって俺らには関係ないし・・・・・・」
しろ「・・・・・・以下同文・・・・・・」
八幡「・・・・・・。あ、うん」
そら「ま、もう少しワールドトリガーの方であーだこーだあるだろ」
八幡「お楽しみって感じか」
しろ「・・・・・・じゃあ、今回はこのへんで――おしま、い・・・・・」
八・空「副音声終了だ」
しろ「・・・・・・またね」
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