黄金の力でヒロアカ無双   作:アルアール

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十二話 第一種目終了

金成達がザ・フォールの第二関門を突破する頃にはほとんど轟との距離はゼロに等しかった。

最後の岩の塔を飛び越え向こう側の崖に着地すると、脇でぐったりしているエイミィを地面に下ろす。

「ぐうぇっ」

何度も上下に衝撃が加わり三半規管がやられたらしく、少し青ざめた顔をしている。

それでも彼女の肉体的能力ゆえか直ぐに悪かった顔色が引いていき、いつもの綺麗な白い肌に戻っていく。

「っと、エイミィそろそろあいつ追うぞ!」

金成はこれでも一番先頭を走っている白赤少年に追いつけなかったことに若干のプライドを傷つけられた為若干の不機嫌を顔に浮かばせている。

 

そうしているうちにエイミィの体調も治り、すぐに走り出した。

走って数分もしないうちに、流石の体力か金成達の視線にあの特徴的とも言える髪を捉える。

「みえた!」

息も切らさずに走り続ける金成は最後の目標を見定めだ。

前を走る轟少年は個性では圧倒的にとも言える力を見せたが、流石に学生ゆえか始めほどの速度は見られない様に思われる。

 

ーーーこれはもう抜けるか?

 

 

「っち。」

轟が後ろを走る金成とエイミィの存在に気がつき、走りながら後ろを振り向き彼らを確認する。

後ろを振り向いた瞬間に彼らと視線が合うと、金成は挑発気味に口角をあげたために、轟は自分の体力の低下や、内心で抱く彼らへの敗北感を感じ苛立ちを表す様に舌打ちをする。

 

初めはこんなに苦戦するとは思わなかった。

これが轟の本音である。

 

 

「よしエイミィ!駆け抜けるぞ!!」

金成は轟との一瞬目が合うが、すぐに正面を見据える。目指すはトップだ。

「うん!」

金成が駆け抜けるのに続いて、エイミィも後を追う。

 

轟はこれ以上近づける訳にはいかないので妨害しようと個性の冷気を発動させ、地面もろとも凍らせにかかる。

それを見た金成はそんなことでは止まらないとでもいう様にさらに速度を上げて対処にかかる。

 

「エイミィ!道を作れ!」

エイミィはそれを合図に走りながら金成の横に並ぶ。

エイミィも何度も行なったため言われなくてもわかった。

 

先ほどと同様に一直線にマグマを飛ばし急速に氷を溶かす。

直ぐに金成も走れるようにするため、マグマが固まる前に横へ退かす。

轟との距離は、彼が冷気を発動するために一瞬足を止めたことにより、大幅に縮まっていた。

 

「くっ!」

轟もこれ以上は無駄とわかったのか妨害を諦め、縮まった距離を再び離そうとより力を入れて地面を蹴って前に進む。

 

 

轟を先頭に、金成とエイミィが後に続き、ついに残すところは最終関門のみとなった。

 

『ついにラスト関門に登場だーー!!一面地雷原!怒りのアフガンだ!!!地雷の場所はよく見りゃ分かつようになってるぞ!!目と脚を酷使しろよ!!』

 

はじめに到着した轟は自分が通る道を一直線に凍らせてそこを滑るように走る。凍らせることによって地雷の電子機器の故障を起こし、地雷原自体を不能にして前に進む。

 

一方で、金成達の方は平行で走っていたのを金成が前に出ている。

今度はエイミィではなく自分で何かをするらしい。

 

広場が見えると同時に、金成は見聞色の覇気を発動する。

一瞬にして五感全てが強化され、膨大な情報が脳に流れ込んでくる。

プレゼントマイクの解説、前を走る轟の心音、隣を走るエイミィの感情が。

それ以上に、地面から感じる地雷源であるエネルギーが金成に自分の居場所を知らせている。

 

それによって得た情報により、金成は正確に地雷源の場所を把握した。

「エイミィ!後ろに続け!俺が踏んだ地面に続けよ!」

 

「わかったよ!ボス!」

エイミィはボスの言うことは絶対である。

ボスが何をしたのか正確には把握してはいないが、エイミィの中では金成は地雷源の場所を把握していると感じている。

 

金成は気配を感じる。

走る速度を最高に保ちつつ、地雷を避けて行く。

前を走る轟であったが、彼は氷を利用していたので足が遅くなり、すでに隣に並んだ。

 

「よぉ!並んじまったな!」

金成は興奮のあまり、話しかける。

 

「っ!」

轟の方は一瞬睨みつけるのみで前を向くのみ。

 

「もうゴールは直ぐだ!エイミィ!ペースを上げるぞ!」

ゴールが目に見えた金成はより鋭く前に出るようスピードを上げる。

 

ここで氷と地面の差が出たか金成が一歩分追い越した。

 

 

『うぉぉおおお!遂にカップルチームが轟少年を抜いたーー!!!』

このまま金成達が差を広げてゴールを決めるかと思われたが、そうはいかなかった。

残すところはあと50メートルほどになったところで異常事態が起こった。

突然背後から何かが破裂した様な巨大な爆音とともに爆風が巻き起こったのだ。

 

 

「ん?!なに?!マジかよ!!」

金成は咄嗟に覇気で気配を探ると、一つの気配が爆風に飛ばされ、急接近してくる。

それも地面から数メートルも離れているため妨害もできない。

ここで妨害したら轟に抜かされてしまうし、エイミィは妨害なんてしたら重傷のため危険行為で退場させられてしまう。

金成はいまほど悪魔の実を使いたいと思ったことはない。

 

金成がゴールの目前に迫ることには彼の気配がちょうど真上に来ている。

もうあと出来るのは最後まで走ることだけだ。

彼は少しでもゴールに近付こうと手を伸ばした。

 

 

 

 

『ゴーーーーーーーール!!!!!何とここで一位となったのは思いもしなかった生徒だ!!!緑谷出久!!!』

 

プレゼントマイクの声を皮切りに会場中から爆発のような歓声が響き渡る。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「あ、そろそろ始まりますねー」

 

ここは今回の警備のために召集されたプロヒーローたちの休憩室だ。

ドリンクバー、軽食を取れる自販機、それに体育祭が中継されるモニターなどが揃っている。

中継されるモニターの前のテーブルには、女性が一人と男性が二人休憩のために一服していた。

その中の女性、プロヒーロー、Mt.レディ(マウントレディ)が屋台で買ったたこ焼きを食べながら中継モニターを見ていた。

 

「ん?あぁそろそろか。今一番注目されてる1年か。今回の警備依頼が来なかったら直で見たかったぜ」

向かいに座る大柄のプロヒーローがタバコを加えながら不満を漏らした。

 

「タバコ臭いですー。確か1年A組ですよね。今回の注目株は」

Mt.レディは、向かいの男から漂ってくるタバコの煙を手で払っている。

今回のプロヒーロー達での注目株は勿論ヴィラン連合を退けたA組である。

 

 

「他のクラスも注目したいが今回はAクラスが注目をかっさらったって感じなぁ。あの事件が大々的に知れ渡ってるしよぉ」

 

「そうですよねー。あ、カウントダウン始まりますよ」

主審を務めるミッドナイトが説明をして始め、それを終えると生徒達に指示を出し始める。

生徒達は指示に従い、スタート地点に集まった。

 

Mt.レディ達は、障害物競争の合図を待っている生徒達に注目する。

 

「ん?なんか、一番前の少年後ろを向いてますね。それになんか笑ってる」

モニターを見ていたMt.レディの視線に不思議な光景が映る。

一人の少年と少女が一番前にいるにもかかわらず後ろを向いているのだ。

普通であればここは前を向き気持ちを整える頃だろう。

 

「あぁ、アイツ何かするつもりか?」

一番前に並んだ少年がスタートラインではなく、後ろに集まる生徒達に体を向けて何かをしようとしていたのだ。

 

Mt.レディ達が注目している中、スタートの合図が響き渡る。

それと同時に生徒達が我先にと飛び出すと思ったが、そうなることはなかった。

あの少年の蒸気が一瞬で広がるとともに、後ろにいた生徒がほぼ、地面に倒れ伏したのだ。

 

「....え?」

Mt.レディは予想外の展開に口を開けることしかできない。

たこ焼きが口から落ちた。

 

「え、えっー!な、何が起きたの?!」

思わず立ち上がるほど驚くが、それを見ていた周りのプロヒーロー達も思わず声を上げてしまう。

 

ーーーなぁ、今何が起きたんだ?

 

ーーー‘個性’か?

 

 

「おいおい!今ので百五十人以上はダウンしたぞ!」

Mt.レディの向かいの男は興奮した様子で立ち上がる。

 

 

 

 

それからは怒涛の展開だった。

次に驚いたのは彼の隣にいる赤髪の女子生徒だ。彼と協力してクリアするつもりなのか彼とともに行動している。

彼らの前に巨大な仮想ヴィランが立ちはだかると流石に止まるだろうと思ったが、赤髪の彼女が先ほどの金髪の少年の前に出ると腕まくりを始める。

‘個性’を使うかと身構えていると、彼女の腕がいきなり真っ赤なマグマ状の液体になった。

 

そのまま腕を振り抜くと、膨大な量のマグマが吹き出し、目の前の巨大な仮想ヴィランたちを覆い被さる様に襲いかかった。

 

「うぉ、でけーな!」

 

「そうですね。とても強力な‘個性’ですね」

すでに彼らは後ろの生徒たちに注目することなく、彼らに目を奪われる。

 

 

「いやぁ!凄かったなぁ。アイツら。結局一位にはなれなかったが、二人で二位、三位とっちまったぜ!」

 

「そうですね。それに二人とも普通科と言うことには驚きましたね」

 

第一種目を終えたあと、Mt.レディ達は感想を述べて行く。

これがヒーロー科なら将来有望だと、オファーを出すことにするのだが、問題なのは彼らが普通科であったことだ。

これだけの活躍だ、普通はヒーロー科のはずと思っていたが、途中の解説の時に彼らが普通科と聞いて本当に驚いた。

これだけの‘個性’を持ちながら普通科にいたことが信じられなかった。

 

 

プロヒーローの休憩室が思わぬ興奮に包まれていたが、直ぐに第2種目の騎馬戦が始まると聞いて、再びモニターに注目したのだった。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ここはマネトリアカンパニーの社長室がある斎場にある会議室。

そこには幹部達である、日陰、美流、剣司、荒戸が揃って大きなモニターを見ている。

 

「そう言えば、そろそろですかね?ボス達の出番」

 

「うーん、そうじゃないっすかね?」

日陰の質問に答えたのはチャラい見た目の荒戸。

今日に雄英高校の体育祭があると聞いて時間を作り集まったのだ。

彼女たちは自分は体育祭という学校のイベントの様なこのような経験をしたことがないため、ボス達が出ると聞き、緊張を表している。

 

「そう言えば美流、うちってこの区じゃ一番のサポートアイテム制作会社ってことになってるけど、うちから職場体験の申し込みって出すの?」

 

「うーん、どうかしらね。そこはボスが私に一任したから自由だけど迷ってるわ」

開始前の時間で日陰は疑問に思ったことを聞いた。

 

そもそも、彼らが本拠地を置く足立区は元々は治安が悪いことで有名であった。

そのため皮肉なことにヒーロ事務所も多く点在し、プロヒーロー達が多くいたがそれは5年以上も前の話。

金成が事業を立ち上げ、急激に裏に手を伸ばしてからヴィラン達を制御し出したため、この区での犯罪率が激減したのだ。

その為、先見の明があったプロヒーローたちは次第にこの区から消えて言った。

残ったのは数名ほどの中小事務所のみ。

 

まぁ、急激に治安が良くなったことで、国からの再開発の事業の話が国会で上がってきているらしいが。

 

 

そのような事もあり、この区から職場体験の話が行くとしたら、うちくらいか?思った為、なんとなく聞いただけである。

 

「あ、そろそろ始まるわ。ボスたちが出る第一種目」

そう言っている間に、モニターの向こうでは始まりの鐘が鳴った。

 

 

 

 

「やっぱ思ったっすけど、ボスのあれってずるいっすよねー」

金成の覇気を見た荒戸が引きつった笑みで呟く。

画面の向こうでは金成の覇気でほとんどの生徒が地に倒れ伏している。

 

「まぁ生徒相手だし弱めてると思うけど、ボスの本気のあれって意識しても一瞬で気を失うわよね。そもそもプロヒーローでも多分気絶するんじゃないかしら?」

 

「前実験したが、俺が試したところ100メートル離れればボスの本気は耐えられる。でも20メートルを切ったら一瞬で意識を失ったがな。まぁボスも本気のあれをやるときは戦闘中は無理って言ってたし、最初の牽制くらいには使えるだろうって言ってた」

今まで黙ってた剣司が珍しく長々と流したので、周りが少し驚く。

それ以上に彼が行なった実験結果に驚きの感情を表す。

剣司は我ら幹部の中ではダントツの戦闘能力を誇る故に、彼が20メートルを切ると気絶すると聞き、自分らのボスの強さを再び再確認する。

 

「....牽制であれってボスの本気ってどんくらいっすかね?」

 

「....分からない。前に一度聞いたが、あれは‘個性’じゃないらしい。個性はあまりにも危険だから使わないと言ってた。腕を黒くして強化する奴も‘個性’じゃないと」

 

「...あ、あはは。今思うっすけどあん時大人しくこっちについてよかったって思うっすよ」

疑問に思って聞いたが、帰ってきた言葉に笑うことしかできない。

 

「...そうね。そもそも私達はボスがいなければのたれ死んでた奴か、実験材料のモルモットになってたやつばかりよ」

ボスがどれだけ秘密があろうとも、どれだけ強いとも、結局はこの一言に尽きる。

大小あれ、彼に救われ(計算された打算)今ここにいるメンバーが殆どだ。その為、怖がることはなかった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ、ふぅ。負けちゃったかぁ。悔しいなぁ」

金成は二位でのゴールで、今はゴール脇の椅子に座って休憩している。

最後で、1位は確信した金成ではあるがあれは予想できなかった。

流石にあんな接近の仕方はないだろう。

それに彼は確かオールマイトの力を受け継ぎしものだ。

 

 

「ボスー!惜しかったねー!いやぁ、でも二位も凄いよ!」

エイミィは自分が三位であったことが嬉しかったらしく、気落ちした様子を見せない。

金成はそんな様子を見て、楽しめたしいいかという思考へと落ち着いた。

「そうだな。多分これで予選は突破だろ。次はトップ取ろうな」

 

「そうだね!次の競技はなにかな?」

金成達は疲れた体を癒しつつ、次の競技について話し合い始めた。

 

緑谷、金成、エイミィ、轟とゴールをすると、すぐに五位である爆豪がゴールした。

 

「はぁ、はぁ、くそ!!」

息を切らせながらも自分が一位じゃないのが悔しく、悪態つきながら緑谷を睨みつけて、最後にこちらを向いた。

一瞬でも殴りかかってくるか、と警戒したがすぐに視線を逸らして自分も休憩をしだす。

 

ーーーなんだったんだ?まぁいっか。

 

「それにしてもあのヤンキーくん以外が全然来ないねぇ」

 

「あぁ、最初の方でほとんど気絶したからなぁ、あはは」

流石にやりすぎたと思い、反省をする。

 

 

『ここで後続組もゴールだぁ!』

 

それから5分ほどたち、やっと後続組が来る。

しかしそれらは初めに金成の覇気を逃れたもの達だ。

エイミィのマグマを何とか回避してゴールを目指していた。

 

 

 

これでまだゴール者は十五人ほど。

未だに終わりの合図が聞こえないことを考えるとまだまだ予選通過者を出すつもりらしい。

 

『....。おっと。次のゴール者だ。んー。次で最後だぞー!頑張れー!』

 

それからは異例とも言える、30分後にやっと規定の人数を突破したらしく、やっと予選が終わった。

流石のプレゼントマイクもテンションが切れたらしく、若干声が低かった。

 

 

 

『えぇー、今やっとゴールが終えたぜ!!何とも驚きの30分越えだったが、まぁしょうがないか。じゃぁちゃっちゃと順位を発表するからな!モニターを見てくれ!!』

ゴールを終えた少年を見ると、プレゼントマイクは順位をモニターに映し出した。

 

一位 緑谷出久

二位 来栖金成

三位 エイミィ・グランドーラ

四位 轟焦凍

五位 爆豪勝己

・・・・・

二十六位 阿久津美亜

・・・・・

三十四位 夢大智

・・・・・

 

「あ、大智が通過してた」

 

「こっちも!美亜ちゃんが通過してるよ!」

順位を見ていた金成とエイミィが揃って声を上げる。

緑谷という奴が目立つのは勿論の事、普通科の二人が他のヒーロー科を抑えたのが凄いらしく、他の生徒からの視線が多かった。

 

ーーーおい、あれが普通科で予選二位と三位で突破した奴らか?

 

ーーーあぁ、俺見たけどアイツらヤベェよ。女なんて手からマグマ出してたぜ?マグマ。

 

ーーーマグマってそれはヤベェな。

 

 

「うーん。見られてるな」

 

「そうだね」

金成は楽しいことは好きだが、観察されるのは好きではないため、早く次に行きたいと思っている。

エイミィも若干照れ臭そうにしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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