黄金の力でヒロアカ無双   作:アルアール

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二話 エイミィ・グランドーラ

ゴルディが金成(かなる)として転生を果たしてから既に一週間ほどが立っていた。

 

金成がこの一週間で行ったことと言えば、まず初めは記憶による人間関係の確認作業だ。

最初は中身が変わっていると思われる訳にはいかなかったのであまり言葉を発する事はできなかった。

そのせいで教員や孤児院にいる他の子供達に不審に思われもしたが、まだ体調が優れない旨を伝えると納得してくれた。

初めは様子見と言った形で、少しずつだが記憶と自分の口調をすり合わせながら生活することで次第に慣れていった。

 

その他に行ったことは、自分の‘個性’を把握することだ。

いや、以前の悪魔の実の能力、それに覇王色、見聞色、武装色の覇気が使えるかの確認だ。

世界を超えた為に使用の感触、方法などが変わっている恐れがあり、最悪使えない可能性すらある。

 

せめて使えることを祈りながら、孤児院に在る裏庭で誰もいない時に確認したが思った以上の成果があった。

 

 

 

「この世界でもゴルゴルの実が使えるのか…。いや、ゴルゴルの実が‘個性’として発現したのか。それに一通りの覇気は以前と遜色ないくらい使える」

金成は手の中から一キロほどの液状の黄金を生み出し、操りながら以前の感覚を思い出す。

自在に黄金を体から生み出し、鎧を形作るように体に這わせたり、先端を尖らせ鞭のように操ったりと、前世の使い方を今世の体に覚えこませる。

 

ーーー以前と同様に使える。いや、()()()()に使えてる。何でだ?

前世の感覚に従い操った黄金だが、明らかに黄金の動きがおかしい。

まるで体の一部のように自然と操ることができ、以前より精密さが増していた。

金成はやる気になれば黄金で精巧な人形だってできる気がしている。

 

ーーーまぁ、別に悪いことじゃないからいいけど。

操作性が増したことにデメリットは特に感じていなかったので、転生が良い方向に作用した結果と自分を納得させて次に移ることにした。

 

 

 

ある程度感覚を取り戻すと、次は覇気の検証だ。

以前の感覚を思い出しながら、最初は武装色を発動する。

すると両腕がまるで鉄のように暗い黒色に変色し硬化した。

 

「ふんっ」

試しに地面を殴ってみると少しの振動とともに、地面が陥没する。

 

「おっと、結構抉ったな」

思っていた通りの効果を得ることができたので、そのままどこまでいけるか検証して見る事にした。

試しに脚に武装色を発動すると、太ももくらいまで鉄色に染まり、強固になった。

以前は全身に出来たが、まぁこの体ではこんなもんだろうと思う。

 

「まぁ、こんなもんか。次は見聞色と覇王色か」

武装色の覇気を解くと次に行ったのは見聞色だ。

目を閉じて精神を集中させる。

風の音、草木の音、院内から聞こえる子供達の声。

その音を逃さないようどんどん範囲を広げていく。

最終的には子供達の心の声が断片的にではあるが分かるようになり、一キロ先の声が微かではあるが感じ取れた。

 

「ふぅ…。流石に疲れたか。まだ体が完成してねぇからなぁ。よし、最後の覇王色だが…。ここじゃまずいな。また今度実験できるところを探すか」

これまでの成果により、覇王色も以前使えていた為今世も使えるだろうとあたりをつけた。

覇王色はもともと自身を中心に放射状に伸ばすことしかできない為に、ここで実験を行うと確実にバレる恐れがある為に今回は諦める事にした。

 

それでも体が出来上がっていない為、覇気系はある程度劣化してはいるが成長したら以前と同様に使えるだろうと思っている。

 

ーーーまぁ、覇王色は後で実験するとして…。それ以外に武装色に見聞色が使えればなんとかなるから大丈夫か。

金成にとっては世界が変わったため前世の技術は使えないと思っていたが、使えるだけで幸いである。

 

 

 

再び実験を再開しようと思っていると、ガチャと金成がいる裏庭へ繋がる扉が開いた。

 

「おーい。金成。予定が決まったぞ。明日だ。明日‘個性’判別テストを受けにいくから準備しとけよー」

 

「はーい。わかったー」

扉から少し顔を出した院長の来栖(くるす)は金成の答えに満足すると再び院内へ戻っていく。

 

「あぁ、子供言葉が難しいよなぁ。まぁ慣れるの待つしかないか」

金成は頭をぽりぽりと掻きながら呟くと、再び精密な検証のために悪魔の実いや、‘個性‘、覇気を発動させていく。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

次の日の‘個性’把握テストは問題なく行われた。

‘個性’把握テストとは、各家庭で子供が‘個性を発現したら国家機関で精密な診断を行い正確に’個性‘を把握する為のテストだ。

このテストは任意であるが、小学校一年、中学校一年の時に各学校で強制的にテストをする為、それで国は各個人の’個性‘をデータとして管理している。

’個性‘の発現は基本的に四、五歳であることが多いが、まれに十歳など、遅れて発現することがあるために二回行う必要が出てくる。

 

金成が来栖と向かった先は孤児院から一番近い国営の‘個性’専門機関だ。

 

様々な検査を終えて、今は専門機関の人に結果を聞いている。

 

「ふむ。身体能力の大幅の上昇に、それに腕の硬化。一般的にありふれた身体機能のブースト系の個性でしょうね」

今回行われた検査で金成がゴルゴルの実の能力を見せる事はなく、覇気だけの能力を見せる事にした。

前世からの経験で、この能力を公に見せるのは危険と判断したためだ。

 

「ふむ、そうですか。ありがとうございました。よし、金成帰るか」

 

「うん。わかった」

専門機関の先生の説明を終えると、来栖と金成は専門機関を後にする。

 

 

金成はこの一週間でいろいろなことを学んだ。

元海賊としての癖なのか、一番に警察機関、ヒーローについて調べた。

それで分かったことだが、前世よりも遥かに警察系が優秀であり市民の平和は維持されている事だ。

 

その事が分かっていた為に金成は本来のゴルゴルの実についての能力を誰にも見せなかった。

やったことといえば、見聞色に武将色の覇気といった、ありふれていそうな能力だ。

ここでゴルゴルの実の力を見せたら自分がどのように扱われるかは目に見えている。

表裏問わず、様々なものから狙われるだろう。

そんなことになれば今いる自分の居場所が危険な目にさらされる恐れがあるため、迂闊に能力を使えなくなった。

 

「まぁ流石に子供を危ない目に合わせるのは心が痛いよなぁ。それに、ここで家を失ったら本気でやばい」

 

ーーーなんだよ戸籍って。信用のためってなんだよ。そんな面倒なのがあんのかよ。

彼の思考は平和と引き換えに管理された戸籍のことで頭がいっぱいだった。

 

そのような考えもあって、金成がこの能力を使うのは身分がバレないように、アンダーグラウンドな場所でのみであろうと思っている。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

今は金成(かなる)が小学校入学を控えた冬の頃、ゴルディの意識が目覚めてから二週間ほどが経っていた。

彼は今、自分が住んでいる地域から大きく外れて治安が悪いと噂の地域の路地裏を彷徨っていた。

 

「あぁ、全然みつからねぇなぁ。ほんとチンピラでいいから来いよなぁ」

時々見かける、敷いたダンボールに座ったホームレス以外はほとんど人通りがない。

たまにカップルらしき者達が乳繰り合っているが、金成には関係ない。

何かわからないような液体が溢れていたり、ゴミが散乱していたり、通路の壁が悪戯書きされていたりと、如何にも、悪が住んでる!と言った場所だと思っていたが。

意外といないのか、全然出会う気配がない。

 

 

「くそっ。あぁ、せっかく換金しようとしたのによ。出所不明のものでも買い取ってくれる質屋を探してるんだが、全然ねぇなぁ」

顔を隠すためにフードを深くかぶりマスクをしているため、その鬱陶しさと相まって金成は非常にイライラしている。

 

背丈から子供とわかる少年がフードを被りマスクをしてこんなとこにいるのは怪しさ満点ではあるが。

 

「やっぱ繁華街の近くじゃぁダメかぁ。どうすっかなぁー」

金成が道にあったダンボールに腰を下ろしこの後について考えていると、若者たちの声が遠くの通路先から聞こえた。

 

 

 

見聞色を発動していたため、彼らの声が遠くから正確に聞こえてくる。

 

ーーーたくよぉ!!もっといいやつとって来いやぼけ!!

 

ーーーテメェみたいな孤児を面倒見てやってるんだからよぉ、もっと役に立ってくれねぇか?

 

ーーーで、でもこれ以上はボクにはむりだよ!

 

ーーーはぁ?!生意気言ってんじゃねーぞ!

 

「おぉ、いい感じにチンピラなんじゃねぇか?なんか揉めてそうだがボコったら従うだろ」

金成は自分が求めていた人材と思わしき声を聴きチンピラに出会えたことにラッキーと思いながら声の方向へ向かう。

 

金成は裏路地を進み声のもとに近づくと、角を曲がった先で三人ほどの若者たちが丸くなっている子供を蹴り飛ばしていた。

 

「ギャハハ! こいつよく飛ぶなぁ! こいつ、‘個性’だけは一丁前に良いの持ってやがってよぉ! 余計にイラつくんだよなぁ!」

 

「ぐふっ。けほけほ」

 

「ほらさっさとこっちこいや!」

金髪のヤンキーが子供の腹に蹴りを入れて壁際まで吹き飛ばす。

あのような幼児であれば既に肋骨を何本も骨折して今すぐ治療しなければいけないであろうが、咳き込むのみで目立った怪我がない。

 

ーーーふむ、仲間割れか?まぁいい。ここはこいつらから情報を聞き出すと同時に覇気の実験でもするか。あれ、結局出来なかったし。

 

 

「おいおい! 俺も混ぜてくれよ! なぁ!」

金成は自分の存在を知らせるべく声を上げて、そのまま近づくために一歩を踏み出した。

 

「はぁ?!なんだガキが、なんか文句でm.....‼︎」

 

すると金成の体から漏れ出す蒸気のようなオーラと共に、金成の覇王色の覇気が発動した。

そのまま湯気が放射状に広がり、チンピラの三人は驚くほど弱かったのか彼の覇気がぶつかると共に白目を向いて倒れてしまった。

 

「ありゃ、思った以上に弱かったかぁ。こりゃ、起きるの時間かかるか?いや、叩き起こすか」

 

 

「けほけほ。う、うぅ」

金成が気絶した彼らの元へ叩き起こそうと近づくと、壁際でごそごそと子供が体を動かしているのに気がついた。

 

「へぇ。あの子供、このチンピラ達よりかはやるのか?まぁいい、一人いれば十分か」

 

「おい、そこの子供聞こえてるか?お前に聞きたいことがあるんだが」

金成はチンピラ達から標的を変えて壁際に近づくと、子供の体を起こし顔を見つめて笑った。

 

 

 

 

「おい、お前。で、結局知ってるのか?」

 

「う、うん。前あの人達に連れて行ってもらったから覚えてるよ」

 

今、金成(かなる)達はチンピラが倒れているところから少し離れた路地裏で話し合っていた。

今金成は非合法な質屋の場所を聞き出している。

 

金成がダンボールに座って目の前にいる子供を淡々と見つめている。

一方で子供の方は先ほどの覇気に当てられたのか、未だにビクビクと震えてこちらの様子を窺っている。

 

ーーー同い年か?見た目は俺と同じ五歳くらいか。

何日風呂に入ってないのか知らないが服はボロボロ、体は土ぼこりで汚れてる。元々は赤だったであろう髪だが、汚れでボサボサで、暗い赤をしている。

この様子から親がいない孤児かもしれない。

 

ーーーまぁ、いいか。

 

「おい、お前。じゃぁそこへ連れて行ってくれ」

 

「お、お前じゃないよ!ボ、ボクはエイミィ!エイミィ・グランドーラ!き、君は?」

薄汚れてわからなかったがそう言われてみれば若干日本人離れした容姿であることがわかる。

全身が薄汚れている一方で、瞳の方は薄い紅色が覆っているような綺麗な瞳がこちらを見つめている。

 

「エイミィ・グランドーラ?なんだ日本人じゃないのか?あぁ、じゃぁゴルディって呼んでくれ。」

流石に本名を明かす訳にはいかない為、金成はとっさに聞かれた名前を以前の名前で答える。

 

 

「わ、わかんない。この()()()()()に名前が書いてあるんだ。ずっと持ってたし多分ボクのだと思うし。ずっと一人ぼっちだったから...」

 

エイミィは服の中から、軍人が持っている認識票の様な()()()()()を取り出し金成に見せると、今までまともな人と接してこなかったのを思い出し落ち込んでいる。

 

「ふーん。まぁいい。じゃぁ行くぞ」

 

「え?う、うん」

 

金成にとっては親がいないなど普通であり、まともな人間と接してきたことなど数える程もいなく、その為そんな事情で落ち込んでいるのが意味がわからない。

 

 

ーーーうぅ、なんか冷たい...。

エイミィはそっけない対応に涙目になりながらも歩き出した金成の後ろについていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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