黄金の力でヒロアカ無双   作:アルアール

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二十一話 会社の視察、表側

雄英体育祭が終わり観客はそれぞれの帰路へ就き、屋台を出していた人は片づけに入る。警備を担当していた人も、それぞれの役割を終え、自らが守るべき地へと帰っていく。

 

それでも未だ、興奮の感情が残る雄英高校の生徒たちはそれぞれのクラスへ赴き、帰りのホームルームを行うために席について教師の到着を待っている。

 

「いやぁ、やっぱ金成もエイミィも凄いな。優勝と準優勝だろ?」

 

「まぁね。大智だってヒーロー科を差し置いてベスト8進出だろ?それに、美亜だって」

 

ーーーまぁ始めから俺とエイミィは優勝と準優勝するだろう事はほぼ確信していたが、こいつらがここまでやるとはなぁ。意外というかなんというか。まぁ、元気ならいいんだけど。

 

大智からは体育祭が始まる前の、自信なさげのどんよりとした空気は感じられない。

今までの、ヒーロー科に落ちたというコンプレックスが今日で解消されたのだろう。

一応友達の金成としては腐ることなく一歩前に進めたことに良かったと思っている。

 

金成達が話している一方でも、エイミィが座る場所では、エイミィと美亜を中心として話をし、今日の話で持ちきりだった。

 

そうしているうちに教師が前の扉から入ってきたため、それぞれが席へ着く。

 

「えぇ、先程体育祭が終わり、明日明後日は休校となります。それと、休み明けには次週の職場体験で自分がどこに行きたいかしっかり決めておいてください」

先生が言っているが、普通科といえど職場体験がないわけではない。元々は、全クラス共通して学校が指定するところで職場体験を行なっていたのだが、ヒーロー科はどうせするならヒーロー事務所で体験したらいい、という事になりヒーロー科だけが少し特殊になっていたのだ。

金成は前から回ってきた職場体験コースをつまらなそうに眺めながら、明日明後日をどう過ごそうかと考えていると、突然先生から声が掛かる。

 

「では今日のホームルームはこれで終わりです。では解散。....それとも来栖くんとグランドーラ君は少しついてきてください」

エイミィと金成は互いに顔を見合わせ疑問に思いながらも先生の後へついていった。

 

ーーーなんだろ。流石に普通科が目立ちすぎだ!って怒られるか?っていや、そうだ。活躍したらヒーロー科編入出来るんだっけか?

 

今まですっかり忘れていたが、そのようなことがあったなと思い出した。

金成は、エイミィが初めから考える気がないのかボンヤリとしながらついてくる事に若干呆れる。

 

先生が会議室へ入り、エイミィと並ぶように席へ座ると、向かいに座っている先生が若干頬を綻ばせているの気がつく。

 

「じゃぁ、わかっているかもしれないが、君らが大変活躍したことでヒーローかを編入に話が来ることは間違いない。それで君たちの意見を聞かせてほしい」

 

「僕たちは無論それを希望しますが...。同じく活躍した大智と美亜には話がこないんですか?」

 

「ん?あぁ、勿論彼らにも話はいってる。元々、彼らは最終種目で出場が決まった時に本人から希望があったから今は呼んでないんだ」

もしや、あの成果でもきついのかと疑問に思いきいてみたが杞憂に終わった。

金成は元々ヒーロー科編入のために頑張ろうと決めていたが、体育祭をしていくうちに純粋に楽しんで忘れてしまっていた。

それでも、すでに答えは決まっている。エイミィも金成が行くならいくと決めているため問題ない。

 

「僕たちはもちろん希望します」

 

「そうかわかったよ。私の方から校長に知らせておくよ。それとなんだが、次週の職場体験について話があってな」

自分のクラスから四人もヒーロー科へ編入出来る生徒が出た事に誇りがあるため、若干嬉しそうにしていた。

 

「ん?どうしたんですか?」

今度はエイミィも疑問に思ったために言葉にした。

 

「本当は、原則ヒーロー事務所に職場体験へ行くのはヒーロー科って決まってたんだがな、今回の件で流石に君らを行かせない訳にはいかなくなると思うんだ」

今までの傾向で、順位が高い方からヒーロー事務所からの応募で出ることが多い。金成達は普通科であるため、初めから候補にないと事務所側も分かってはいるが必ず応募が来る、というのが先生の考えらしい。

その為、特例ではあるがヒーロー科編入を希望する四人には編入を前倒ししてしまおうということらしい。

本来であれば、夏休み明けの2学期からの編入が定例だ。

 

そのような事情もあって、金成達へ事前に話を通したのだ。

 

「わかりました。ではこれで」

エイミィと金成はその事について何も問題がない為、そう言葉にして会議室を後にした。

会議室を後にした。

 

 

 

 

金成達は今2人で帰路についている。

校門を出た時に未だ残っていた観客や、取材陣がいて一悶着あったが、無事に切り抜けていた。

 

「ん、じゃぁまた明日。会社に行くから日陰に朝いつものとこにくるよういっておいてくれよ」

 

「うん、わかったよ!じゃぁまたね、ボス!」

普段休みの日などは、会社へ行くために日陰に来てもらっている。

孤児院のメンバーにそのことを隠すために、孤児院から離れた人目がないところを利用していた。

 

2人は別れ道まで来て、金成はエイミィが元気良く返事をするのを確認するとそのまま孤児院への道を進んでいった。

 

 

 

 

 

翌日の朝の十時頃、金成は自身の社長室で寛いでいると目の前の扉が開き、日陰が入ってきた。

今日は珍しく黒子服姿ではないため、普段は見れない綺麗な顔が金成を見つめている。

 

「ボス、先日の脳無についての報告が上がったので報告しにきました」

 

「ん?あぁ、わかった。続けてくれ」

金成は日陰が手に持っていた資料を受け取りながら続きを促した。

 

「先日の脳無については資料の通りDNAによって複数‘個性’を所持していることがわかりました。あと、ほとんど意識がないらしく、うちで使うのは無理と判断したため、私が直接いただいたのですがよろしいでしょうか?」

 

「ん?まぁいいが、あまり増やすなよ?」

別にこれ以上日陰の私兵が増えても問題はないが、一応形として注意はしておく。別に部屋は増やせばいいし、いいかと考えて再び資料に目を落とした。

 

 

「ん?この脳無の遺伝子を利用した商品開発ってなんだ?」

 

「それは、美流からの報告書です。あれのサンプルを研究したところ、利用価値があるのではないかという判断より実験の許可が欲しいといっていました」

 

「そうか。わかった。でも実験報告は逐一あげるようにいっておいてくれ」

 

「わかりました」

金成は、二枚目に書かれた項目を見て疑問に思ったため聞いたところ、表側で何やらやるらしい。商品開発か、新たな事業か。

金成は別に実験くらいならいいかと思っていて、資金も十分あるため許可を与える事にした。

日陰が報告を終えて部屋を出ていってしまったため、金成は退屈になっていた。

 

「うーむ。どうするか」

普段は金成のそばにいるエイミィだが、今日は剣司が指揮する訓練部隊が、実践演習のため海外へ赴くという事でそれについていきたいとのことで、今この会社にはいなかった。

 

そのため話し相手がいないので、退屈しのぎに会社の抜き打ち視察に行く事にする。勿論表側で働く社員らには金成の存在を認識していないために、来客カードを首から下げて、行く事にした。

 

「じゃぁまずは、美流かな!」

若干いたずら小僧のような笑みを浮かべて金成は社長室から出ていった。

 

「うわぁ、久々に来たけど結構人増えたなぁ」

今まで社長室以外を訪れたことが初期に数回あったくらいのため、金成の記憶とはかけ離れたものになっていた。

 

金成は全部見ようと思ったために、ビルの正面入り口から見て行く事にした。

しっかりと清掃がされているらしく、ガラス張りのビルは太陽光を綺麗に反射していて少し眩しい。

「...。へぇ、しっかりされてるじゃん。いつも裏から入ってるからわからなかった」

正面入り口ではサラリーマンらしき男性が行き来しており、活発な印象を受ける。

金成は彼らから若干訝しげな表情で見られながら入り口を抜けると、吹き抜けとなっているエントランスに出た。

エントランスには受付を担当している若い女性職員が2人いて、来客の対応をしていた。

 

「あの、社長から招待されてきました。来栖と申します」

 

「かしこまりました。こちらでお待ちください。....。はい。えぇ、分かりました。では案内は不要という事なのでご自由にお通りください」

初めは明らかに高校生らしい見た目の少年が社長に招待されている事に不審に思ったが、社長に事情を聞いたために丁寧に対応する。

 

ーーー確か、あの体育祭で優勝した子ね。その為ね。

美流は突然の金成の訪問に驚いた為、咄嗟に体育祭のことで招待したといってしまった。

その為、受付嬢が勘違いしてしまったのだ。

 

そのまま金成はエントランスを抜けて会社の見学を開始する。

1階には来客用のテーブルがいくつか用意されていて、他にも寛げるソファがいくつか置いてある。

2階へ上がるとそこは事務室と、営業の社員が仕事をする部屋がいくつかあった。

またもや彼らからジロジロ見られる金成であったが丁寧に仕事を見て行く。

 

ーーーうん。職場の雰囲気もいい感じだ。それに怪しい奴はいないか。

見聞色の覇気を利用しながら、万が一のために内部調査も進めて行く。

 

3階、4階と2階同様に社員らの職場になっている。

 

5、6、7階では食堂、簡易的なジム、子持ちの社員の託児場となっていてしっかりと社員らを考えて作ってある。

まぁ別にジムとかいらないと思ったが、金があったため試しに作ってみたら思いのほか好評だったらしく、世間のこの会社の評価が思った以上にいい。

まだ新参の企業で安定しているとは思われてはいないが、安定した利益高、残業も少なく、社員のことが考えられたジムや託児場。

この単なる思いつきで、金があったために作った施設が好評であったため世間から驚くほどのホワイト企業と見なされている。

その為、毎年の募集が驚くほど多いらしい。

 

8階からは幹部専用に部屋になっていて、8階から順に剣司、荒戸、日陰、美流、エイミィ、社長室といった部屋割りになっている。

一応、金成とエイミィ以外は社員名簿になまえがあるにはあるがほとんど見たものが少なく、8階からは専用のエレベーターで特別なキーが必要な為普通の社員じゃ入れなくなっている。

その為、社員らではホワイトの中の唯一の黒い噂とされている。

 

「うーん。終わったか。じゃぁ次は研究所に行くか」

会社を1階から全て見終わった金成は、次は研究所に行くために地下へ向かった。

普通用のエレベーターから地下1階へ降りる、研究室がいくつもあり、それぞれがグループを組んで開発に勤しんでいるらしい。

 

ーーーすごいやる気が伝わってくるなぁ。まぁ資金を豊富に与えたからか。

 

地下2階も同じく研究室になっていたため同じように視察を終える。

 

研究所の視察も終え、全ての表面を終えると、次はグレーな裏面の視察へ向かう事にする。

 

 

 

 

 

 

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