黄金の力でヒロアカ無双   作:アルアール

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二十二話 会社の視察、裏側

金成は再びエントランスへ戻ると、幹部用である特別エレベーターに乗って先ほどより深く降りていく。

地下3階の位置でエレベーターが止まり、降りると白い壁の一本道が目の前にある。

「あ、ボス。ようこそおいでくださいました。美流様はあちらです」

 

「あぁ、すまないな」

一本道の先には厳重に閉じられた扉があり、その正面には守衛の男が立ち塞がっていた。

 

扉を開けるとそこは大きな部屋で有り、事務室のようなデスクにPCと設置されていて、そこでは研究員と思われる白衣を着た人々が忙しなく手を動かしている。

ここは研究成果をまとめたりとする事務的な部屋だ。

 

その部屋の向かいにある扉を抜けた先にあったのは実験室らしく、部屋の両サイドを強化ガラスで遮り、その中では防護服を身に纏った職員がいた。

 

再び迎えにある扉を開けて通るとそこは若干薄暗い部屋で、大きなケーブルがいたるところから伸びているのが見える。

ケーブルを踏まないように先へ進み、三度向かい側にある扉をを抜けると、人が入りそうなポッド並んでいる部屋に着く。

 

 

「あ、ボス。ようこそいらっしゃいました。それで今日はどうして..?」

 

「ん?あぁ暇つぶしだよ。まぁ視察って奴?」

 

「は、はぁ」

大きなポッドの前で椅子に座りながら待ち受けていた美流は普段は金成が来ることがないために若干驚いた様子で尋ねるが、斜め上をいく理由に若干キョトンとした。

 

「それより、あの報告書見たけど、どんな実験するの?」

 

「あ、もう目を通されましたか。あの脳無が持っていた超再生、衝撃吸収の‘個性’をアイテム開発でうまくできないかと思いまして。今までにも‘個性’からのアイテム開発をしようとしたのですが、実験しても問題が出ない人間となる‘個性’持ちがいなかったため出来ませんでした」

こんなに早く返事が返ってきた事に嬉しく思いながらも、美流は説明をする。

 

ーーーまぁグレーって言っても流石に生身の人間を人体実験するほどじゃないからなぁ。それ思うと今回の脳無は結構なひろいもんだったか?

 

「わかった。じゃぁ何かできたら報告あげてくれよー。じゃぁ俺はまだ見てくから」

それから普段は来ない研究室を、楽しみながら見て回った。

 

 

 

 

次に訪れたのは、地下3階以下である、四、五、六階だ。

ここは主に剣司が担当する訓練部の訓練部屋として使われている。

 

金成がエレベーターを降り、先ほどと同様に通路を通って守衛に扉を開けさせて中に入る。

扉を開けた先にあった部屋は、他に余分なスペースがいらないと言わんばかりに、縦にも横にも広かった。

直径100x100x5といった感じの正四角柱の形で有り、一部例外は部屋の環境を変えるためのモニター室だ。

金成が部屋に入ると、数十人の訓練生が、監督に見守られながら個性発動の訓練を行っていた。

 

訓練を見る監督は、流石に剣司だけでは見れないために、軍部に上がった訓練部の卒業生がローテーションを組んで指導する事になっている。

 

「しゃーっす!!」

金成を発見するとばりっばりの運動部のノリで挨拶をして来る訓練生と卒業生。

挨拶を返し、そのまま一通り訓練生の実力を把握すると次の階へ降りる。

5階でも4階と同じように監督と訓練生が訓練を行っていた。

とは言っても4階で行なっていたのが個性のコントロールの育成であったのに対し、ここで行なっている訓練は個性を戦闘中でも維持ができ、なおかつ繊細なコントロールを身につけるための訓練だ。

 

これで気がついたと思うが、四、五、六階といった風に上から弱い順と言った強さのランク付けを行い、訓練生を鼓舞しているらしい。

それで腐るやつがいると思ったかもしれないが、元々訓練部に入れるのはある程度の才能を見出したメンバーであるため、いつまでも同じ階にくすぶっている奴はいない。

 

ーーーあ、なかなかいい個性がいるな。あいつは個性は強いがまだ制御が甘い。あっちのやつは個性の扱いが異様にうまいな。

 

金成はある程度心の中で訓練生の評価を終えると次の階へ向かう。

エレベーターで6階まで降りると、そこでは剣司が卒業間近に控えた訓練生を相手に指導を行っていた。

 

剣司を中心に置き、五人ほどの訓練生が四方から襲いかかっている。

それぞれが互いをほとんど確認する事なく、剣司に反撃の隙を与えないように途切れる事なく攻撃を仕掛けていく。

1人は、衝撃波での牽制。

1人は粘土のようなものを生み出しての拘束。

1人は精神系の個性で相手の動きを読む。

1人は、伝達系の個性で、全員の思考をつなげてリアルタイムで相手の動きを共有する。

こういった風に、一つ一つが大した個性でなくとも、鍛え抜かれた格闘技、訓練された連携、選び抜かれた相性。

それらを余す事なく使って剣司を追い詰めていく。

6階までのレベルになると、訓練生はプロヒーローの相棒(サイドキック)以上の練度を持っており、即戦力と観れるほどだ。

 

そんな彼らは今、剣司に向かって襲いかかっている。

 

ーーーほぉ、うまいなぁ。

それぞれが他人をカバーしつつも、決定打になりそうに一撃を与えようと動いていて、周りをよく観ているのがわかる。

 

その為、剣司は生身だけでは耐えられなくなったのか、1人を他の他人の視線にかぶるように投げ飛ばした隙に、‘個性’を発動させた。

その瞬間、体が跳ね上がるように全体的な筋力が増えてでかくなり、全身を覆うように、茶と金色のメッシュのような体毛が生えてくる。

 

剣司の個性は、名前をつけるなら‘チーター’だ。

異形系の変化ができる’個性‘であり、‘個性‘を発動するとチーターのような見た目になり、チーターのような事ならなんでもできると言ったものだ。

 

変化を終えた剣司は先ほどとは比べられないほどのスピードで、訓練生を翻弄しながら攻撃を与えていく。

 

彼らに落ち度はない。連携も、’個性‘の制御も、作戦も最善ではあるが、唯一足りなかったことといえば経験だけだ。

今までにその速度を経験したことがなかった為、目がなれる暇さえ与えられずに傷を重ねていった。

 

 

「剣司様それはずるいっすよーーー!!」

訓練室には彼らの悲鳴が響き渡っていた。

 

 

 

 

 

「おーい!剣司、どうだ?そいつらは」

ある程度訓練を終えたところで、脇の方で見学していた金成は声をかけた。

 

「あとちょっとだ。最後のシミュレーション訓練を突破したら卒業だ」

 

「ふむ、そうか。いい感じに育ったじゃないか」

今は訓練後のため疲労で倒れているが、戦っている様子から彼らがなかなかできることがわかったため、金成は満足している。

 

 

実は学校ではないが、ここには卒業試験がある。

その内容とはグループで、想定しうる仮定の状況をいくつかやらせて、成功率が90%を超えると卒業できると言ったものだ。

勿論1発で合格できる方が少なく何度も挑戦してクリアするメンバーの方が今まで多かった。

一応、週一で卒業試験を受けられるために、6階まで上がってきたメンバーは規定の人数でメンバーを揃えて挑んでいる。

仲の良いメンバーで組んでもいいし、相性だけで組んでもいい。

元々同じ寮で住んでおり、かならず同室のメンバーがいるため、そのメンバーで組むことが多いが。

 

 

 

余談だが、彼らの社員寮は、マネトリアカンパニーの裏手にあるマンションで地下から繋がっていて、周りにはバレないようになっている。

一方、普通の社員に用意された寮は会社の隣にあるマンションだ。

 

 

 

 

 

 

 

剣司の訓練部の見学をある程度終えると、次は荒戸の軍部や日陰の情報部を見たかったが、ほとんどが遠征のために出払っていたため少し見た後帰る事にした。

海外遠征でほとんど連れていくため、残るメンバーが少ない。残ったメンバーも訓練部の監督として残っているために、地下七、八階である軍部はほぼスカスカの状態だ。

 

それと同様に、情報部はもともと人数が少なくそれぞれが情報集めに忙しいため普段部屋にいることが少ないのだ。その上、通信系の‘個性’持ち達が遠征に付いて行ってるため、同じように地下9階の情報部にもほとんど人がいないのだ。因みに、日陰は全国の情報部を回って報告書の作成中である。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

次の日遠征から帰ってきたエイミィと社長室で遊んでいると、ガチャと音を立てて扉が開く。

 

「ボス、報告があります」

 

「ん?なんだ?」

 

「あ、日陰ちゃん」

扉をあけて入ってきた黒子服姿の日陰が、ソファに座っていた金成に手に持っていた報告書を手渡す。

エイミィの方は向かいのソファにトランプを片手に深く座り、日陰からもう一部の報告書を受け取る。

 

日陰は金成に促されると同時に、何のことか話し始めた。

今回の報告とは、東京の23区内にいるあるヴィランが派手に動き回り始めたというものらしい。

 

「へぇ、どんなやつなの?」

若干ただのヴィランかと思って興味が薄れるが、トップが聞かない訳にはいかないため続きを促す。

正直、自分達が今いる区以外はほとんど興味がなく、干渉も少ない。やったことと言えば、この区には近づかず、うちの管轄には手を出すなという事を金と物理で分からせたくらいだ。

 

「それが..」

 

「へぇ、‘ヒーロー殺し’ねぇ」

日陰から聞くところによると、そいつは積極的にヒーローを殺し回っているらしい。

一般人には手を出さずにヒーローだけを殺すということは余程ヒーローに恨みがあるのか。

 

「じゃぁ、あんま干渉しなくていいよ。監視だけつけといてくれ」

 

「畏まりました」

目の前で金成の指示を待っていた日陰は、それに頷くと一礼をして社長室の扉を開けて退出した。

 

「ねぇボス!どんな奴かな?その‘ヒーロー殺し’って」

 

「ん、こんなやつだよ」

目の前のソファに座るエイミィが興味深そうに聞いてきたので、2枚目の資料に写っている隠し撮り写真をエイミィに見せる。

 

「うわぁ、如何にもな見た目だねぇ」

それを見たエイミィは若干引き気味に資料を返してくる。

2枚目に写っていた写真の‘ヒーロー殺し’は、刀を腰に差していて薄汚れた包帯を顔に巻いてる男だ。

 

「まぁこいつの目的はヒーローらしいし大丈夫だろ。うちの区ほとんどヒーローいないしな」

金成はそう結論づけると、史料をエイミィのソファとの間にあるテーブルに置いた。

 

「ふーん。あ、じゃぁ次はボスがシャッフルしてね」

 

「別にいいが....2人ババ抜きって楽しいか?」

エイミィが渡してきたトランプの束を受け取りシャッフルしつつも、若干呆れ顔でいた

 

「勿論!」

嘘などないような、純粋な笑顔を見せてきたので、ため息をつきつつ、シャッフルしたカードを配っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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