黄金の力でヒロアカ無双   作:アルアール

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二十四話 エンデヴァー事務所

教師らから職場体験について聞いた翌日の教室。

 

「なぁ、金成はどうする?全然決まらねぇ」

 

「俺は面倒いから、一番有名なところにする」

隣に座っている大智が机に項垂れながら逆指名された事務所の載ったプリントを眺めてため息を吐く。

 

「でも意外だな。大智は結構すぐ決まると思ったんだが」

 

「意外でもねぇよ。欲張りな話だが行きたいとこが多すぎて逆になぁ」

大智は初めからヒーロー科に入りたかったと聞いていたので、これっていう憧れのヒーローがいるとばかり思っていたが逆に多すぎたらしい。

金成はその贅沢な悩みに苦笑いを浮かべている。

 

ーーーまぁ俺も多いがそこまで希望はねぇし、面白そうなところがいいけどなぁ。

 

 

「あ、そんなことよりヒーロースーツ決まったか?」

金成は先ほど見ていたプリントとは別のものを眺めて隣にいる大智へ話しかけた。

このプリントはヒーロー科から入学前に渡されるもので、被服控除という制度のもと、学校側からこちらの希望に合ったヒーローコスチュームを無料で提供してくれるものだ。

ヒーロー科編入に当たってヒーローコスチュームが必要になることから、決まったらすぐに出すように言われていたのだ。

 

「あぁ、そっちは決まってる。ほら」

大智に渡されたプリントには事細かく記されていて、意外と絵が上手いのか外見もしっかりわかるようになっている。

大智の個性は体を奪うと自分の体の制御が利かなくなるために、重装備のような全身を覆いつつもしっかり動けるような見た目になっており、個性が発動できるようにしっかりと視界は確保された物になっている。

 

「へぇ。しっかり考えてるんだな」

 

「金成はどうすんだ?」

 

「ほら」

金成は手に持っているプリントを隣の大智に渡した。

正直金成とエイミィはマネトリアカンパニーで自分専用の調整された戦闘服があるために必要はないのだが、一学生でそれは可笑しいために希望を出すことにする。

今回の被服控除で出す奴は、自分用の戦闘服と同じ作りを希望している。

会社の戦闘服は今までの経験から一番最適な作りになっていると自負しているからだ。

 

「へぇ、かっこいいな。でも、ほとんど希望つけないんだな」

大智が眺めたプリントにはスーツのような見た目になっていた。

 

最適とは言ったがそこまで凝った作りはしていない。

金成の主な戦闘方法は、覇気を使った近接格闘か、黄金を使った遠距離戦闘が主になる。金成自体が素で強い為に、余計な補助は逆に足手まといになるからだ。

 

エイミィの方も自分の動きを阻害しないように、基本的に超耐熱仕様がかかった服という事のみだ。

もともと物理は効かないから必要ないのだ。

必要なのは自分のマグマに焼き尽くされないような服のみ。

 

金成がエイミィも合わせて機能をほぼつけない理由を説明すると、大智は納得しながらも頬をひきつらせる。

 

ーーーコイツら素で強いからなぁ。

 

 

 

その後の職場体験までは平穏に日常が過ぎていく。

詰まらない学校の授業を終えて、会社に行き色々と上がってくる報告書を眺める。

この区の状況であったり、全国の情報部から上がってくる面白そうな情報、週一で全国へ演習に向かう荒戸達軍部の報告書であったりと。

 

その中にあの‘ヒーロー殺し’と呼ばれるヴィランの情報もあった。

ヴィラン名、ステインがあのヴィラン連合と接触を図ったとのことで、今現在は彼らと共に行動しているらしい。

 

「まぁべつにあれが加わってもそこまで脅威ではないか」

そう結論づけると次の書類に目を通すが、思わずと動きが止まってしまった。

 

「へぇ、うまく行けば改良が出来ると」

その報告書には脳無の身体データが事細かく記されている。

その情報によると、脳無は基本的に二つの個性、または強靭な肉体になるためにほとんど意識がなくなってしまうらしい。

しかし、それは無理をした結果によるもので、無理をしなければ意識を保ちつつ身体能力を上げられる可能性があると書かれている。

その為に、できれば他の脳無のサンプルが欲しいとの要望だ。

 

ーーーんー。じゃぁ、いっそのことヴィラン連合に乗り込んで脳無の情報を奪いにいくか?でもなぁ...。

 

あのヴィラン連合の襲撃事件以降、前以上に彼らの監視に注意を入れているので、現在地、主なメンバー、脳無製作所など情報が逐一上がっている為、襲撃はたやすい。

普段の金成であればこの時点で襲撃をかけるのだが、それをしないのには理由がある。

金成は自分の会社の情報部には絶対的な自信がある。彼らに調べさせたら国家の秘密事項であれど、10日もあれば丸裸にできるだろう。

そんな彼らがヴィラン連合についてわからないことがあるのだ。

 

ヴィラ連合のトップである先生という人物だ。

今まで上がってきた情報では、

何十年も生きている。

他人の個性を奪える。

他人に個性を与えられる。

オールマイトと深い関係がある。

など、少し危険な報告が上がっているのだ。

流石に全部が全部本当とは思えないが、この情報が本当であれば襲撃は危険と考えている。

 

その為に金成は躊躇しているのだ。

 

ーーーせめて個性を奪える条件がわかればなぁ。

別に長寿であったり、オールマイトと繋がりあったりとはどうでもいい。

うちのも年齢操作できる奴がいるし。

 

しかし個性を奪えるのはまずい。

今まで築き上げてきた会社が崩壊するかもしれないからだ。

 

ーーーまぁまだ様子見だな。

 

金成は報告書に、

”できるなら確保することを許可する。ただし、まだヴィラン連合とことを構えるのはダメ。“

とだけ返事を書いて次の報告書へ目を通した。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

職場体験当日の朝、金成とエイミィは東京駅に向かっていた。

A組では一旦ここに集合してからそれぞれが向かうべき所へ向かう事になるらしい。

B組も東京駅集合らしいが場所が違う為、大智と美亜とは先ほど別れてきた。

金成達が集合場所へ向かっていると、東京駅前の一角に雄英の生徒らしき人らが集まっているのが見える。

 

「あ、見えたね!いこう!」

 

「あぁ、そうだな」

エイミィに手を引かれてあのグループへと近づくと、あちらも気がついたらしく、目が合う。

 

「ちゃんとした自己紹介はした事なかったな、D組の来栖金成だ。宜しくな」

 

「私は同じくD組のエイミィ・グランドーラ!宜しく!」

いつまでも見つめあっていては仕方なく、これから3年間一緒に過ごすはずなので、仲良くなる為に自己紹介をする事にした。

 

「あぁ、宜しく!俺はA組学級委員長の飯田天哉だ!わからないことがあったらなんでも聞いてくれ!」

 

「こっちこそ宜しくな!俺は切島鋭児郎だ!」

彼らを皮切りに若干もどかしくはあったものの、自己紹介で少しずつ馴染めていく。

 

 

集合時間になるまでにエイミィは女子グループと、金成は人懐っこい切島や、真面目な飯田らとともに友好を深めていく。

 

「エイミィさん。久しぶりですわ。私は副委員長の八百万百です。何かあったら私を頼ってくださいね」

 

「うん!宜しく!チアリーダー以来だね!」

 

「そ、そうですわね」

チアリーダーと聞き若干顔をひきつらせるが、見た感じ仲良くできていそうである。

 

 

 

集合時間になると担任である相澤が姿を現した。

「よし、揃ったな。来栖とグランドーラもそろってるな。全員ヒーローコスチュームは持ったな?本来なら公共の場での着用厳禁の身だ。絶対に落とすなよ。それと体験先でくれぐれも失礼のないように!じゃぁ行け」

 

「はい!」

生徒らは返事をするとそれぞれが乗るべき電車のホームへと向かって歩く。

 

 

 

 

 

「ねぇ、ボス。エンデヴァーの事務所には何分くらいで着くかな?」

 

「んー。多分三十分くらいだ。っと、この新幹線だ。乗るぞ」

金成は人ごみを避けながらも、エイミィの手を引き新幹線に乗り込む。

 

金成達が選んだ事務所はエンデヴァー事務所だ。

特に理由はないが、指名がきた中で最も有名であったため選んだだけである。

 

金成達が指定席に座るとななめ前に見覚えのある後ろ姿が見えた。

赤い髪と白い髪のツートンヘアーである後ろ姿は、雄英高校の制服を着用していた。

 

「ねぇ、ボス。あれって見覚えあるんだけど誰だっけ?」

 

「...。お前、体育祭で戦っただろ。覚えてないのかよ...。」

 

「あ、あはは」

そっぽを向いて若干引きつった笑みを浮かべるエイミィに、金成は呆れてしまう。

流石にこんなに早く忘れるとは、エイミィがバカなのか、それともそれほど印象が薄い試合だったのか。

 

金成は再びエイミィからツートンカラーの轟に視線を向けた。

確か、聞いた話によると轟はエンデヴァーの息子で会うため、体験先が一緒なのだろうと思った。

 

金成はこれから一緒になる為に挨拶はしておこうと席を立ち上がり、彼に近づく。

 

「よお。俺はD組の来栖だ。あっちのはわかるだろうけど、エイミィ・グランドーラだ」

エイミィの方に視線を向けると手をヒラヒラとさせて挨拶をしてくる。

 

「ん、俺は轟焦凍だ。よろしく」

後ろから声をかけられた轟は、振り返ると淡々と自己紹介を返してきた。

 

「轟は、多分エンデヴァー事務所だろ?俺たちもだ、これから1週間宜しくな」

 

「お前ら、親父の事務所なのか。まぁ、よろしくな」

轟はエンデヴァー事務所に行く事に若干驚きを見せるも、直ぐに表情を戻した。

 

金成はそのあとはこれ以上通路にいては邪魔になる為に再び自分の席へ戻った。

 

 

 

 

 

「ここがエンデヴァー事務所か」

今金成達はあの後最寄駅に降りると、歩いて十分ほどの距離にあるエンデヴァー事務所に来ている。

およそ10階建てにオフィスビルのような外観をしている。

駅からそれほど離れていない為に、周囲には飲食店や色々なショップが立ち並んでいて、人が多く賑わいを見せている。

 

その中に一軒だけ10階ほどのオフィスビルと若干の威容を醸し出してはいるが、それがヒーローがいるという一種の警告になっているようだ。

 

「じゃ行くぞ」

同じ場所である為共にきていた轟が先頭きって中に入っていく。

中に入るとロビーが広がっていて、受付嬢が正面に居を構えている。

 

 

「職場体験できた。親父に知らせてくれ」

 

「ようこそいらっしゃいました。すでにお伺いしております。4階でお待ちです。お通りください」

轟が挨拶をすると、相手もエンデヴァーの息子ということがわかっていて、職場体験と聞くと直ぐに通された。

 

「顔パスか。なんかカッコいいね!前もきたことあるの?」

 

「いや、ほとんどきたことはねぇが、親父の息子ってことで目立つんだ」

エレベーターに乗っている間にエイミィが轟に声をかけると、慣れているとばかりに返答した。

実際父親が有名である為に、顔パスと言った特別扱いは慣れている。

それがいいことかは別ではあるが。

 

「ボス!私もあんな顔パスやってみたい!」

 

「ん、また今度な」

流石に轟がいる前では気をつけていたエイミィは会社名を出すことはなかったが、暗に自分も会社でやってみたいと言ってきた。

轟はいまの会話を気にすることはなかったが、たまにこういう危ないことがある為ドキドキハラハラである。

 

そうしている間に4階についてエレベーターが開いた。

エレベーターを降りた一行は目の前の大きな扉をノックして中に入ると、目の前にいたのはエンデヴァー本人と相棒(サイドキック)が数十人が中でソファに座って待っていた。

この階は休憩室なのか、ソファに自販機など寛げるスペースになっていた。

 

「おぉ、きたか!焦凍!それに、残り二人。じゃぁ説明するからこっちへ来い」

轟は親子仲が悪いために素直に返事ができなかったが、素直にエンデヴァーが座ると向かいの席へ座り、金成たちもそれに続くように同じソファへ座る。

 

ーーーこっち見ないなぁ。

金成はエンデヴァーがほぼ轟のことしか見ていなかったため、若干の苦笑を浮かべていた。

 

 

エンデヴァーの説明によると、金成達がすることはサイドキックのメンバーに連れられてヒーローらしく町の見回りが主な事らしい。

一方轟はエンデヴァーの希望により、エンデヴァーと直接戦闘訓練するとのこと。

 

金成とエイミィはその事が明らかな身内贔屓と思ったが別になんとも思っていないために、気にせずにいた。

 

 

「じゃぁな轟。また後で」

 

「ん、あぁ」

金成達は話が終わると、若干の不機嫌そうな轟はと別れた。

 

 

「轟くんってエンデヴァーさんと仲悪いのかな?」

 

「さぁな」

エイミィが先程の轟の態度に親子仲が悪いかと思い金成に尋ねるが金成ははぐらかした。

実際は見聞色で心を読んである程度の事情を察したが、流石にプライベート過ぎるためエイミィは言えなかった。

 

ーーーまぁ、他人は他人だしどうでもいいか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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