黄金の力でヒロアカ無双   作:アルアール

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二十五話 保須市へ出張

「それでどこへ行くんですか?三木さん」

 

「あぁ、取り敢えず事務所の案内かな。1階からとりあえず案内するから」

 

「おぉー!楽しみだね、ボス!」

金成は目の前で歩くエンデヴァー事務所のサイドキックである三木という男性に連れられて歩いていた。

この人は金成達の案内役、兼教育係に選ばれているらしい。

エンデヴァー事務所には数十人のサイドキックがいるが、その中で選ばれているだけであってかなり強そうだ。

 

「ん?君は確か来栖って名前だと聞いたが…ボスって言うのか?」

 

「あ、あはは。これは渾名です。わかりにくくてすみません」

またやったなと思いエイミィの後ろから背中を叩いて怒りを表す。

毎度のことながらも、苦笑いでごまかすエイミィ呆れつつやはり無理かと諦める。

 

ーーーまったく...。

 

 

 

 

「ここは見ての通り、ロビーだな。依頼を受け付けたり、来訪客の対応するとこな」

エレベーターに乗り、1階に着くと三木は説明を開始する。

 

1階がロビー。

2階、3階が事務処理を行う事務室。

4階が休憩スペース。

5、6、7階が戦闘訓練を行う部屋。

そして、8階がエンデヴァー専用の訓練部屋。

9階は仮眠室で、10階はエンデヴァーの私室。

 

「よし、一通り説明を終えたし、じゃぁ実際の見回りに行ってみるか」

全階の説明を終えた三木は一旦ロビーへ降りると、来客用のソファに座ると目の前に座っている金成とエイミィを見渡す。

 

「質問なんですけど、見回りってどんなことやるんですか?」

一言見回りと言われてもよくわからないために、エイミィが質問した。金成もそのことが気になったために三木を見つめて頷く。

 

「あぁ、それは多分普通だと思うよ。駅前であったり、繁華街など人が集まるところは争い事がよく起こるから見回りするだけだ」

 

ーーー警察みたいだな。

ヒーローというためもっとそれらしいことすると思ったために少しキョトンとしてしまった。

 

「あはは、こんなもんだよ。常にヴィランと戦うだけが仕事じゃないしね。街の平和を守るのが仕事だから」

金成の表情を見た三木はこういう体験授業の説明をよく経験しているため、みんな初めはそのようなことを言う事が分かっていたからスラスラと答えた。

 

その後は三木に連れられて街を見回ることになった。

「やっぱ人が多いね」

 

「あぁ、だがその分争い事が多いらしいからな」

事務所を出る初めに駅まで見回りするらしく、三木の後ろを歩きながらついて行く。

エイミィと金成は人の多さに若干気圧されながらも初めての経験のためか、真剣に取り組んでいる。

 

ーーー普通のヒーロー事務所はこんな感じなのか。

エイミィと金成は自分の会社で行っている見回りとは少し違うことに驚いている。

基本的に金成の会社で行う見回りは探知系の個性持ちが区内全域に捜査の網を広げているため、こうやって歩き回ることなどほとんどないのだ。

 

 

その日は先ほどと同様に、見回りだけを終えて1日を終えた。

事務所へ戻ってきて再び4階へ戻ると、轟が疲れた様子でソファに腰をかけていた。

エンデヴァーは近くにいないらしく、姿が見えないがみっちり訓練を行ったらしい。

 

 

 

 

 

 

 

「じゃぁ今日はうちのサイドキック達との訓練をやってみるか」

1日目の見回りを終えて、2日目も同じと思っていた金成とエイミィ。

しかし今日は訓練らしく今は6階の訓練室で多くのサイドキック達と向き合っていた。

部屋はシンプルな衝撃吸収する素材を使われた白い壁でできている。

広さは20メートルの正方形の形だ。

 

 

「訓練ですか?どう言ったものでしょうか?」

 

「取り敢えず格闘技の訓練かな。流石にグランドーラの個性に耐えられる作りにはなってないからな」

金成達の個性を知っているためか、若干頬を引きつらせながら説明して行く。

取り敢えず、一対一の組手を繰り返し行って行くらしい。

 

「じゃぁ先ずはどんな感じか来栖からやってみようか。おい、ブランやってみろ」

金成が呼ばれたために一歩前に出て組手の準備を行う。

一方で三木に呼ばれたブランという男は話によるとまだ入社して半年ほどのサイドキックらしい。

少し大柄の男ではあり、こちらをみる目は真剣そのものであった。

 

ーーー学生だからって傲りが全くないなぁ。

そのことに若干の驚きを見せるがすぐに顔を直して準備運動を終えた。

周りは10メートルほど離れており、その円の中央に二人は向き合っている。

周りのサイドキックからこちらを窺うような視線が多く、注目しているのが分かった。

多分あの体育祭の中継を見ていたのだろう。

 

「ボス頑張ってねー!」

無邪気な応援が聞こえてくるが、金成は今は目の前に集中する。

 

 

 

「では、はじめ!」

審判をすることになった三木が両者の準備を終えたのを確認すると始まりの合図を告げた。

 

合図とともに二人は動き出したが、明らかに金成のほうが初動が早く、金成の拳がすでに目前に迫っている。

ブランもそれに気がつき、後手に回ったことに若干悔しがりながらも

すでに避けることは不可能と思ったために腕を交差して防御態勢に入ったがそこに衝撃がくることはなかった。

 

「んぐあっ!」

ブランは突然背後から鋭い衝撃を受けて肺の空気を全て吐き出す。

とっさに背後に向き直るがすでに相手の姿はなく、今度は脇腹に衝撃を感じ意識を手放した。

 

 

ーーーやっぱやべぇよ!

 

ーーーほんとに学生かよ。早すぎんだろ。

 

「そこまで!いやぁ、ほんとに強いね。まだ学生だっていうのに」

三木は学生にしては異常な強さである金成に驚きながらも祝福する。

これほどの逸材がいて、且つまだ1年。これからどれほど成長するかが楽しみであり、焦りでもある。

 

「ボス!おめでとう!」

 

「あぁ、サンキュー」

駆け寄ってきたエイミィを撫でつつ、今の試合を振り返る。

まだ駆け出しのサイドキックとはいえ、少しお粗末だなと感じていた。

今回金成がやったことはスピードで翻弄することだけだ。

初動が遅れた時点で、スピードでは負けており、相手は無理にでも前に出て反撃するしか勝利は無かった。

両手でガードした為相手から視線が外れてしまい、簡単に背後に回れてしまったのだ。

 

ーーー剣司だったら激怒もんだな...。

マネトリアカンパニーの鬼教官と言われている訓練部のトップを思い浮かべて苦笑いを浮かべた。

 

その後はエイミィがやる事になったが、予想通り大して苦戦する事なく勝利を収める。

金成にとっては驚きはなかったが、他のサイドキックらにとっては個性により近接は苦手と思っていたが、重い一撃に巧みな体捌きと意外にもできるために驚きを隠せない。

 

それ以降はペアを変えながらもずっと格闘技をしてその日を終えた。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・という風に、彼らに鼓舞されたのか凄いほど訓練に熱心でしたね」

三木は夜になると、目の前の社長席に座るエンデヴァーに今日の報告をしていた。同じサイドキックらは学生に負けられないと、いつも以上の訓練を行ったために、三木も彼らを指導する身としては嬉しい事この上ない。

 

「そうか。わかった。それより、明日保須市へ向かう事にしたから準備をしてくれ」

 

「....わかりましたけど、理由を聞いてもいいですか?」

突然の話題転換に驚きながら首をかしげる。

 

「ステインを知っているだろ。定例通りなら奴はまだ現れる。出張に行くぞ」

ヒーローらしく頼りになる声色のエンデヴァーである。

髭のあたりで炎が燃えているために威圧感がすごいが、三木は慣れているために指示通りに動く事にした。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「え、これから保須市に出張ですか?」

 

「あぁ、殆どのメンバーも連れて行くらしくてね、君らも一応見学じゃあないけど着いてきてね」

次の日も朝起きていつも通りに4階に行くとそこにはコスチュームを纏ったエンデヴァーやサイドキックらが揃っていた。

一体なんだと若干訝しみながらも理由を聞いて見ると、エンデヴァーがあの‘ヒーロー殺し’で有名なステインが出ると予想したらしく、出張という名目で捕らえに行くらしい。

 

ーーーステインねぇ。あいつそんなに捕まえたいのか?

聞いた事によると昨日突然思いついたらしく、そのことを聞いた金成はなんとも言えない気持ちになってしまう。

 

ーーーヒーローって意外と自由なんだなぁ。

 

「なんかヒーローって意外と自由ですね!」

一瞬自分の声が漏れたかと思った金成だが、それを発したのは隣のエイミィだった。

 

「あ、あはは。まぁ臨機応変って言うか、ヒーローは身軽さが大事だからね」

後ろ髪が若干跳ねて可愛らしくはあるがなんとも遠慮がなく、金成は身内がおバカなことを恥ずかしく思い、少し居心地が悪い。

これ以外にも思い当たる節がある為に、三木も強く否定することはできなかった。

 

 

「じゃぁこれから保須市へ向かう!市へ連絡を入れろ!それとビルの前に車を回しとけよ!出発は1時間後だ!」

エンデヴァーは彼の特徴であるヒーローコスチュームを纏っている。

顎髭以外にも、目元であったり、腕、足といった至る所から若干火を出し纏っている。

エンデヴァーの指示を聞いたサイドキックらはハキハキと行動を開始した。

「かっこいいなぁ」

純粋に見た目だけでかっこいいと思った金成は声に漏らす。

 

「でしょ。あれでもNo.2ヒーローだからな」

三木は金成が漏らした声がヒーローとしてかっこいいと勘違いして、エンデヴァーを褒めまくるが、流石に違うとは言えない為に話を合わせ続ける金成だった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

《ボス、報告があります》

 

《ん?津奈(つな)か?》

 

《あ、津奈ちゃん!》

金成達がビル前に止められた大きな車に乗り組むと、情報部であり念話の‘個性’持ちである津奈から念話が届く。

横にいたエイミィは突然の念話に一瞬ピクンと体を動かしてしまったが、同じ車に乗っているサイドキックらが気がつくことはなかった。

 

ーーーまだ慣れてなかったか。

 

《それよりどうした?津奈が念話で飛ばしたって事は緊急か?》

基本的に報告は全て書類で行い、後で見る為に念話まで使う事はなく、使うのは緊急時がほとんどである。

 

《ステインが合流したヴィラン連合が動くらしいです。時間は凡そ午後の四時頃。今が十二時なので四時間後ですね。襲撃場所は保須市です。メンバーはリーダーの男とワープの‘個性’を持った男。それにステインと脳無複数です》

なんともまぁエンデヴァーの予想はドンピシャであった。

野生の勘なのかヒーローの感なのか兎に角びっくりである。

 

ーーー意外と早く動いたなぁ。それに‘先生’は動かないか。

 

これは脳無を手に入れるまたとないチャンスである。

それに元々は奴らの戦力を少し削ろうかと思っていた為金成達が動くなら‘先生’が動かない今しかない。

金成は瞬時に脳内でメリットデメリットを天秤にかける。

メリットは、脳無の確保、戦力を削れる。

デメリットは、おそらく多くのヒーローが出てくる為に身バレ、又は確保される。

因みに負けると言う考えはほぼない。一応のため出すなら最大戦力を出すからだ。

ーーーよし、いっちょやってみるか。

 

色々と理由を並べたが、金成がこの戦いに参戦する最大の理由はーーー

 

《津奈、こちらも動くと軍部の荒戸に伝えてくれ。確か今日は会社にいたはずだからな。あとお前が直接いってこい。と伝えてくれ。目標は脳無の確保。あと出来れば敵の排除。ヒーローには身バレ、逮捕に気をつけろと伝えておけ》

 

《畏まりました。ボスは如何致しますか?》

そんなの聞くまでもなく金成の答えは決まっている。

隣のエイミィも決まっているらしく、少し楽しそうに笑みを浮かべている。

 

《行くに決まってるだろ》

金成は若干カッコつけたニヒルな笑みを浮かべて念話を終えた。

 

 

ーーー第三勢力ってなんかかっこいいよな!

と言う、なんともくだらない理由である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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