黄金の力でヒロアカ無双   作:アルアール

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二十八話 保須市 終結

荒戸が轟の氷を切り裂いた同時刻、金成らはついに元凶と言える死柄木らがいるビルの下まで辿り着いていた。

いつもなら会社員などで賑わっているビル前ではあるが今は脳無らの襲撃により一時避難誘導がなされて閑散としてほとんど人影が見えない。

 

「よし、ついたな」

 

「ここにいるの?」

 

「あぁ屋上に二人」

ビルの目の前には金成がおり、隣にエイミィが立って質問を投げかけてくる。

エイミィは探査能力がないため敵がどこにいるかなどほとんど分からない。

一方金成の方は先程から発動している見聞色の覇気により二人の会話などを把握して現在の状況を分析する。

 

ーーーなんだ?こいつらは様子見か。

今確認したところ、死柄木の目的は脳無に暴れさせて目立つことが重要であるらしい。

目立つことによってヴィラン連合を世間に印象付けてヒーローの立場を危うくすることができるためだ。

 

「...はぁ」

あまりのつまらない理由に肩を落としてため息を吐いてしまう。

そのままビルの入り口の階段に腰を下ろす。

 

「ん?ボスどうしたの?」

急にため息をついた金成を心配して、自分も金成が座った階段の横に腰を下ろすと心配そうに顔を覗き込んできた。

 

「ん?いや、なんでもないけどさ」

 

「ん、そっか」

エイミィにちゃんと理由を話さずとも、こうやって隣にただいるだけで居てくれることが金成はたまにいい女だなと思う。

まぁ普段のおばか加減を知っておるため、プラスマイナスゼロ合わさってイーブンではあるが。

 

それよりも死柄木達がやろうとしていることである。

金成としてはここまで大規模に襲撃してきたから、もっと大きな目的があって動いていると思っていたが正直しょうもない。

ーーーなんだよあの死柄木ってやつ。本当にリーダーかよ。

金成はてっきりこの街を落とすとか、この混乱は囮であり真の目的は別の場所での工作である、のようなことを想像していたのだ。

ちょっとばかり前世のようなワクワクを期待したのは馬鹿だったらしい。

 

ーーーまぁ、先生って奴はどうかは知らないが。

金成は既に死柄木がトップの器ではないと思っているために、なぜ‘先生’が死柄木を立てているのかが理解できない。

 

既に金成のテンションは最初と比べて雲泥の差である。

 

「よし、まぁ様子見だけでもしてくるか」

 

「そうだね!バトルだよ!バトル!」

せっかく来たからには何かしたいために、取り敢えず接触はしてみることにする。

立ち上がった金成は尻についた土埃を払って懐に手を入れると、そこから取り出したのは一つの仮面。

それを固定するように顔に付けて準備を完了する。

エイミィの方も同じように懐にしまっていた仮面を取り出すと顔に付けた。

カナルの方は白い仮面に目と口の穴が空いていて、全体を金色の薔薇のような紋様が描かれた不気味なもので、一方のエイミィの方は紅色の薔薇のような物が描かれたものである。

 

「よし、エイミィ持ち上げるぞ」

 

「うん!っと!」

金成はエイミィの横に立つと背中と膝裏に腕を回してお姫様抱っこのように体を持ち上げ、エイミィは安定するために首に手を回して態勢を保つ。

 

まだビルの屋上で待機している二人はこちらに気がついた様子はない。

 

ーーーおいおい。これだけ話しといて気がつかないのかよ...。

勿論普通では聞こえることはないように小さめの声で話し、できる限り気配を消しているが、相手は組織ぐるみで襲撃するような奴らであり、それに見た感じ幹部とリーダーであるからこちらに気がつく技術くらいは持っていると思ったが、なんとも稚拙な警戒である。

 

ーーー少しは警戒要員くらい置いとけよ。

と、余りの警戒の甘さに少し心配してしまう。

 

このままずっとエイミィをお姫様だっこしているわけにはいかないので、先制攻撃を仕掛けることにした。

 

金成は足から黄金の液体を生み出し地面に垂らし始める。

そのまま体を押し上げるように地面に黄金で圧力をかけて一気に上空へ登って行く。

側から見たら黄金の噴水が吹き上がっているような感じだ。

 

一気に屋上から10メートルほど上まであがり、既に目下には屋上の貯水タンクの上に佇む二人が見えた。

流石にこの状況まで行くと気がつくらしく、咄嗟に後ろに振り向きこちらを見たのがわかったが既に遅い。

 

「気づくのが遅いなぁ!」

金成が上空に達した頃には液状の黄金が鞭のように唸り二人めがけて襲いかかって行く。

 

「っく!」

突然の攻撃に驚いた二人ではあるが、流石にこれを躱せない二人ではない。

咄嗟に貯水タンクを盾にするように後ろにジャンプして屋上に着地する。

ムチのようにしならせた黄金はタンクを気にすることなく吹き飛ばすように薙ぎ払い、当たると同時に水が噴水のように巻き上がった。

 

「なぁ、あんたらが脳無を街に放ったヴィラン連合で合ってるよな?」

 

「ちょっとボス!水で服がビチョビチョ!」

既に死柄木らの10メートルほど離れた位置に着地をした金成はシリアスな雰囲気を醸しつつヴィラン連合との初対面を果たすが、エイミィは気にすることなく上空から降り注いだ水によって濡れた服を気にしている。

 

「....。ジャージだから我慢してくれ」

 

「ジャージでも濡れるのは嫌なの!」

 

「....。あとで服買ってやるからこの雰囲気を壊さないでくれ....」

その台詞でやっと頬を膨らませながらも身を引いたエイミィではあるが折角のかっこいいシーンが台無しである。

 

ーーーーーせっかくカッコ良く決めたのによぉ。

 

「なんだお前ら、クソガキかよ。俺はガキは嫌いなんだよ。あっちいけ」

締まりのない登場に呆れて追い返そうとする死柄木である一方で、黒霧の方は内心焦りが出始めている。

 

ーーーあの仮面....。見覚えがある。それに指にはめてあるリング。あの組織の特徴と一致している。

 

基本的にマネトリアカンパニーが裏を目的として動く時は仮面をつけるのが鉄則であり、リングは位置の把握のため必須。

 

「これはこれは、招かれざる客が来ましたね、死柄木」

 

「仮面なんかしちゃってムカつくなぁ。まぁちょうど暇してた頃だ。ヒーロー達への手向けとしようか」

内心の焦りを悟られないように話を進める黒霧だが、一方の死柄木の方は相手が誰だか全く気がつく様子がなく、すでに戦闘態勢に入っている。

黒霧とて自分らが負けるとは思ってはいないが、あの謎の多い組織であり、かつ‘先生’が戦うなといった相手だ。

警戒して当然であり、なるべく撤退の方向に話を持って行きたかったが、死柄木の様子を見る限り無理そうである。

 

ーーーやばくなったら、ワープで逃げますか。

 

「じゃぁエイミィ、相手方もやる気だしちょっと一戦やってくか」

 

「そうだね!でも今回は任せてよ!一人で行けそうだし!」

金成はこちらが二人で、あちらみ二人であるために丁度いいかと思ったがエイミィはかなりのやる気らしく腕をまくりつつ前にでる。

 

ーーーまぁ、いいか。なんか今回はちょっと冷めちゃったし、正直言って弱いしなぁ。

 

エイミィだけで大丈夫と判断した金成は後方へ大きく距離を取るようにジャンプして、成り行きを見守ることにした。

 

エイミィが一人でこちらに向かう様子を自分らを舐めてると思った死柄木はそのイライラを発散させようと、一発で相手をへし折ってやれるような致命傷になる顔面めがけて手を伸ばす。

「死ね!」

 

あの10メートルを一瞬で縮める死柄ではあるは、エイミィがそれをかわせないはずがなく頭を下げて回避するとそのまま相手の溝内に向かって拳を叩き込む。

「遅いよ!」

 

「っぐふっ!!.....。捕まえたぁ!」

その衝撃で一瞬体を浮かせ肺の空気を全て吐き出す死柄木ではあるが、ただでやられるわけでもなくそのままもう片方の腕でエイミィの腕を掴んだ。

そのまま死柄木は‘個性’を発動しつつ勝利を確信しており、あとはどれだけいたぶるかしか頭にない。

彼の個性は触れたものを粉々にする能力であり、人の場合は崩れるように肉、骨といった順で崩れていく。

 

 

「....あ、れ?ぐ、ぐあぁぁああ!!」

 

「ごめんねー、わたし物理は効かないのよ」

勝利を確信した死柄木の歪んだ笑みが直ぐに唖然とした表情へ変わる。

死柄木が掴んだ、直ぐに崩れて使い物にならなくなるであろうと思った腕は崩れることなく、直ぐにマグマ色になって死柄木の腕を飲み込んでいく。

 

ーーーものを崩す能力って言っても効かなきゃ意味ないよな。

 

黒煙を上げつつ肉を焼けるような音が上がり自分の腕が焼かれていることに気がついた死柄木は痛みに我慢しつつ腕を引っこ抜くがすでに所々から白いものが覗いている。

 

「死柄木!」

先程から様子を伺っていた黒霧は死柄木が悲鳴をあげると同時に彼の足元にワープゲートを開いて自分の横に移動させた。

黒霧は痛みを抑えるように腕を締め上げている死柄木のすでに使い物にならない腕を持て即座に判断する。

 

ーーー撤退しかない。

 

「死柄木、今回は撤退しましょう」

 

「は、早くしろよ!」

 

「はい」

痛みにのたうち回る死柄木は既に勝てないことを理解した。

 

ーーーなんだよあれ!チートじゃんかよ!くそ!

 

「あれ、もう帰っちゃうの?」

距離を取り、こちらを警戒しつつ撤退しようとワープゲートを開いている黒霧にエイミィは早すぎる終戦に若干の不満を漏らす。

 

「えぇ、我々の目的はすでに達しましたので」

黒霧は死柄木を脇に抱えて、街から登る黒煙を一瞥するとワープゲートをくぐって撤退していった。

 

「ボス、返して良かったの?」

戦闘を終えたエイミィはマグマ化を解き、腕まくりを直しつつ背後を振り返って金成の方向へ歩いてくる。

 

「別にいいよ。捕らえても要らないだけだし、正直言って‘先生’って奴以外脅威じゃない」

すでに興味をなくした金成は詰まらなそうに立ち上がってエイミィに近づいていくと突然脳内に念話が繋がる。

 

《ボス、こちらの任務は終了しました。脳無の確保は二体のみで一体の確保は失敗したらしいです。エンデヴァー率いるチームが多く集まっていたため、回収は不可能と判断しました》

二人に届いたため、金成とエイミィは足を止めた。

 

《うーん、二体か...。まぁそれだけいれば十分か...。わかった。じゃぁ後は撤退してくれ。もう戦いは終わる》

 

《了解しました》

 

金成はビルの上から黒煙が立ち上る街を眺める。

その風景、夕焼けに照らされてオレンジ色に染められ、街の至る所から上がる黒煙、聞こえる叫び声が金成の記憶を呼び起こす。

今まではありふれた光景ではあったが、この世界に住む人にとっては大事なのであろう。

 

ーーーこういう争いごとを楽しんでる俺って結構イカれてるのかなぁ。まぁ別に良いけどさ。

 

ビルの屋上から眺めた風景を見てみて一瞬ナイーブな気持ちになるが、直ぐに立ち直る。

 

「じゃぁボス、どうする?」

 

「ん?じゃぁ俺らも戻るか。そろそろ戻らないと三木さんらも心配するだろうからな」

隣に来たエイミィに応えるように、振り返って歩き出していった。

 

 

 




今思えば矛盾だらけな展開ですが、気になさらないでください。
突っ込まれると思いますが、何で仮面付けといて特徴的な個性使ってるんだよ!って思ったかもしれませんが、大丈夫です。
自分も誤字探してる時そう思いました。
いやはや、2ヶ月前の自分は何を書いていたのでしょうw
この話書いたの2ヶ月前でして今までちょいちょいストック出している状態でした。
それでなんですけれど、今は他に書きたいものができまして今回はここで未完の状態で一時終わらせていただきます。

天翔る竜、黄金の力でヒロアカ無双共々再びこの設定で描きたくなった時矛盾点を探してリメイクするのでもしその時見かけたらよろしくお願いします。

ちなみにではありますが次はダンまち書きます。
ではでは。
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