「よし、幹部定例会議を始める。じゃぁ日陰から」
会議室の机はコの字になっており、
ちょうど女性男性と言った感じだ。
「はい。では我々情報部からの報告を。今まで情報収集のため全国に支店となる場所を設けてきましたが、先月最後の沖縄支店の建設を終えました。北海道に1、東北に2、関東地方は本部のみの1、中部は2、関西は2、中国は1、四国は1、九州は1、沖縄は1と計12店舗の建設が完了しました。本部に十人、それ以外だと五人ずつ情報収集に長けた個性持ちを配属しました。人数では、65人ほどです」
以前は金を捌くための仕事をしていたが、今は彼女自身の個性を活かし、情報収集のための部隊のトップを務めている。
茶髪のボブカットに若々しい肌で、弛むことのない肉体。以前と変わらずの見た目ではあるが今はすでに実年齢は23歳だ。
しかし、本人の強い希望で‘ある個性’により見た目が10代と言っていいほど若々しく保っている。
ーーー意外と年齢気にするんだな。まぁ女性はみんな若くいたいか。
「ふむ、これで日本の支店は完了したか。よくやった。今度は各支店の練度を高めるためそれぞれに回って指導してくれ」
「畏まりました」
日陰は大きく一礼をして席に座った。
「じゃぁ次は、美流。報告を上げてくれ」
日陰の隣に座っていた美流は金成の言葉を受け立ち上がる。
「はい。では表側を代表する私から。まずメインとなっているアイテム開発事業についてですが、利益が順調に右肩上がりで好調です。最初は懸念しておりましたが、余程資金が潤沢で嬉しかったのか研究員が張り切ったため売れ行きがいいですね。純利益では、年間5億ほどですね。私の予想では後3年ほどで10億に届くでしょう。次に貿易事業に関してはダメですね。すでに他の企業のラインができているため入る隙はないです。年内には撤退します。最後に現時点で社員と研究員数は、五十人と二十人の計七十人となります。」
元からであったか、この会社の社長として登録しているのは彼女だ。
その為表の事業に関しては彼女に一任している。
以前と変わらずの、美しい黒髪に顔立ち、若々しい見た目ではあるがその鋭い印象を与える目によって他の企業の社長から美しい女社長と言われているらしい。
まぁその見た目は彼女の個性によるものだが。因みに日陰が若い理由がこれだ。美流と日陰は結構仲がいいらしい。
無表情同士通ずるものがあるのか?
彼女の個性は金成の金を生み出す個性の次に有用だ。
世間に知れたら表裏問わず狙われることに間違いない。
彼女の個性は自他問わず年齢を変えることができる。
これでわかるだろう?これの力がどれだけ素晴らしいか。まぁその代わり、その力を知っているのは幹部連中までだが一応のため十人ほど影から護衛をつけている。
彼女の戦闘力は正直一般人と等しい為しょうがない。
「んー。やっぱ貿易は無理だったか。まぁいい。表の事業は資金がある限り自由にしていい。次もある程度計画立てたら持ってきてくれ。余程のことがない限り君に一任しよう」
「....はい。わかりました」
金成のあまりの信用に驚いてしまい、一瞬固まるがすぐに着席した。
ーーーそんなに信用されてるのかしら、なんか嬉しいわね。
「美流、顔」
「うるさい」
「ぐふっ」
横から日陰が無表情でチャチャを入れてくるが肘打ちで黙らされた。
「....。つぎに荒戸。報告してくれ」
金成は見なかったことにして次の報告のため荒戸を促す。
「うっす。じゃぁ次は僕の軍部から報告します。一応東京都内の区画はある程度掌握しました。従属とまではいかないけど、こちらを襲わないように約束させたので大体は大丈夫だと思います。まぁヴィラン連合って例外が東京に住み着いてるらしいですが、奴らの先生?と呼ばれる人物以外は多分雑魚っす」
荒戸が任されているのは軍部だ。ここでいう軍部とは剣司が務める訓練部隊上がりの戦闘員を指揮するとこだ。
彼が主に担当するのは以前とは変わらず、裏の連中の制御だ。
彼も彼女ら然り、以前と同様の、痛んだ茶髪をワックスで固めたチャラい感じの男だ。実年齢は二十五は超えているが見た目は20代になったばかりといったところだ。
こいつが年齢操作を希望していたことに最初は驚いた。思わず理由を聞いてしまい、帰ってきた言葉に呆れてしまった。
ーーー若い方がモテるっぽくないっすか?
なんか戦闘力の維持のためという答えに期待した金成は悪くないと思う。
「ん?やっぱヴィラン連合がいるかぁ。その先生ってやつはどんなやつなんだ?」
不思議に思って聞き返すがそれに答えたのは日陰。
「それは私が。こちらの情報部で調べたんですが、これといった情報が入ってきませんでした。それ以外のメンバーの情報は結構容易に入手が可能ですが、さすがトップといったところか情報が来ません」
日陰はヴィラン連合について報告をあげるとそのまま座る。
「んー。そうかぁ。まぁ日陰は引き続きヴィラン連合の先生とやらの情報を集めてくれ。じゃぁ荒戸続きを」
「はい。それ以外ですと、先月にアメリカへ派遣した部隊が戻ってきました。交戦があったとのことですが軽症者2名のみでした。それと思わぬ収穫があったっすね。結構使える個性持ちのヴィランを捕らえたので、訓練部送りにしときました。個性については手元の資料にまとめといたっす。あ、剣司よろしく〜」
荒戸は報告を終えて椅子に座ると、剣司に体を向けるとフニャっとした笑顔で手を振っている。
「ほう。軽症者2名と。その二人はこっちのに送っとけ。鍛え直す。それと捕虜の方は悪感情の抜ける個性持ちがいるし精神へし折ってこちらにつける。まぁ監視付きだが」
「...まぁあの二人も頑張ったからお手柔らかに頼むっすよ」
流石に軽症のみでそれはかわいそうと思ったのか、顔が引きつっていた。
「うん。いい個性だな。よし剣司頼むぞ。監視もつけとけよ。うまく懐柔してくれ。荒戸、海外遠征部隊については引き続きメンバーを入れ替えて他の国に送ってくれ」
裏の制御の他に行なっているのは海外遠征だ。
ーーー本当は自分から海外へ向かいたかったのだが残念だなぁ。
主な任務は海外のヒーロー、ヴィランについての情報収集と、子供の孤児、物乞いなど生活に困ってる奴らの中で使える個性がいるなら衣食住の保障の条件をつけてこちらにつけることだ。
子供のうちだと、スパイという可能性は低いし、その頃からだと情操教育がしやすい。
そういった理由で強個性持ちを訓練部に送り心身ともに鍛えている。
「うっす。あ、現時点での軍部人数は遠征部隊に含めて六十人っす」
荒戸は人数報告を忘れていたため慌てて報告した。
「じゃぁ最後は剣司。頼む」
「わかった。じゃぁ訓練部から。以前から計画していた社員寮の増築が済んだため、戦闘員からの不満はある程度消えた。以前加入した悪感情を減らす個性持ちのおかげて教育がしやすくなった。以前はヴィランであったためか反発も多かったが今じゃほとんどない。給料も、有休もある程度与えているし大丈夫だ。訓練は順調だ。
最後に現時点での人数は、訓練生五十五人。これで報告を終える」
彼はこちらに引き入れた連中の教育、訓練が主な仕事だ。
流石にバカだといけないのでそれ以外にも臨時の教員を雇って一般教養を教えている。
ちなみに彼は若返りを希望しなかったため若干老けて30代だ。
厳つさに、ダンディさが加わったため結構いい格好をしている。
「よし。わかった。じゃぁ大体報告は以上だな。じゃぁ今月の定例会議を終える。各人は仕事へ戻ってくれ」
「「「はい!」」」
それぞれは緊張の糸が切れたのか体を伸ばすものがいたり、即座に部屋から出て仕事に戻ったりするものがいたりと色々だ。
「ふぅ。終わったねぇ。じゃぁそろそろお昼ご飯に行こうよ〜。もう1時過ぎちゃったし」
今まで黙って座ってたエイミィが疲れた様子で声をかける。エイミィは金成の護衛のみである為本当はこの会議に参加しなくていいのだが本人の希望により参加している。
「んー。もう1時か。よしじゃぁいくか。今日はどこがいい?」
「今日はお寿司がいいなぁー!」
「ん。そうか、じゃぁ今から寿司屋に行くか。じゃぁ日陰に車を回すように連絡してくれ」
「わかったー!」
エイミィは寿司に行けるのが嬉しいため、少しはしゃぎながら日陰に連絡をつけるため携帯を取りだし、連絡しだした。
金成も会議は疲れるため高級な椅子に座りなおすと、若干力を抜いてダレる。
「...あぁ疲れたぁ。身体動かしたいなぁ。俺が遠征したいなぁ」
金成は報告だけではなく自分も行きたいため不満が止まることがない。
「もう!ボスきいてる?日陰ちゃんが車回したから行こうよ!」
エイミィは無視されたと思ったらしく少し怒っている。
「ん、あぁわりぃ。じゃぁ行くか」
「もう!」
金成はエイミィの機嫌が直るようにと祈りながら頭を撫でると若干頬が緩んだため、そのままエイミィを連れて地下の車をがあるところへ向かった。