今は入学式を終えた次の日の朝。
すると、まだ二日目であるためかエイミィに少しばかりの注目が集まっている。
しかし、金成達は気にすることなく、自分の席へ向かった。
エイミィが自分の席へかばんを置きいつもと同様に金成と教師が来るまでに話でもしようかと歩き出そうとすると横から声がかかった。
「あ、あのグランドールさんだよね?よろしく。私は
異形系の個性なのか額から鬼のような赤い角をはやした女の子だ。
彼女もクラスで友人も誰もいなく、初めての隣の席の子がすらっとした美人で驚いていた。
しかしこれから1年は一緒にいることが分かっているため勇気を振り絞って話しかけたのだ。
「うん、よろしく!でもグランドールは呼びにくいと思うからエイミィでいいよ。これからよろしくね?」
エイミィは頑張ってくれたんだなと思ったのでいつも以上に笑顔を向ける。
エイミィもこんなに初めから話しかけられるとは思っていなかったらしく若干驚いたけれど、うれしいことには変わりない。
「そ。そっか、うん。わかったよ!じゃぁエイミィって呼ぶね!」
美亜はエイミィが笑ってくれたので嫌がっていないってことが分かったらしく、少しあった緊張がほどけて自然に会話ができるようになっていた。
彼女の様子をうかがっていた周りの女生徒達もエイミィが普通に話してくれることが分かったらしく次々と自己紹介が始まっていく。
ーーーなんだ。早速友人ができたのか。じゃぁ俺も何人かと話そうかな。暇だし。
金成は手始めに隣に座っているおとなしそうな男子生徒に話しかけることにした。
「よぉ、俺は来栖金成っていうんだ、よろしくな」
「ん?あぁこちらこそ。俺は
隣の男子生徒はこの個性社会では珍しいいたって普通の風貌をしていた。
以前の日本人の特徴であった黒髪で、あまり特徴のない顔立ちをしている。
彼は隣から話しかけられたので、横を向いて自己紹介を始めた。
「大智かよろしく。俺は金成でいいよ」
それからは教師が来るまで大智と共に話していく。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「うーん。やっぱ席が埋まってるなぁ。エイミィどうする?」
「じゃぁボスは席探しといて!私はご飯を取ってくるね」
金成達がいるのは雄英高校の食堂だ。
さすが雄英であったか、ここの食堂には1から3年まですべての生徒が昼食を取りに来るため、大変にぎわっていた。
席は螺旋階段を昇れば上フロアで食べられるにもかかわらずほとんどの席が埋まっていた。
この食堂の特徴はクック系ヒーローと呼ばれるプロヒーローが格安で昼食を提供してくれるのだ。
そのため、生徒のほとんどは弁当を持ってくることなくここで昼食をとっていた。
金成は昼食を受け取るための行列へ並びに行ったエイミィを見送ると席探しを始める。
がやがやと周りが騒がしい中、見聞色の覇気を発動した。
ーーーん?あそこが空きそうだな。
他人の心を読んで食べ終わろうとしている生徒を探し当て、彼らが立ち上がると同時に2席分確保する。
「ふぅ、やっと取れたか。エイミィ場所わかるか?」
金成は椅子に座ると一息ついた。
席が取れたはいいもののこの人混みだ、こちらまでたどり着けるか不安である。
「あ、ボスーー!持ってきたよー!ラーメン好きだよね?」
数分席に座って待っていると、エイミィが両手にラーメンを持ってきた。
「おい、ちょっとは人の目を気にしろよ...。ボスって言うな」
「え、えへへ。まぁいいじゃん!食べようよ!」
「まぁいいか。じゃぁ食べるか」
エイミィのボス呼びに、声が大きかったため結構遠くの方の席の人もこちらをチラッと見ていた。若干の恥ずかしさを覚えながら食事を取って行く。
「そう言えば、どうだった授業?」
「そうだなぁ、勉強は嫌いだから退屈だな。早く文化祭こねぇかなぁ」
麺をすすりながら器用にため息をついた。
「あはは、そう言えば先生から聞いたんだけど、体育祭でヒーロー科以外の生徒がいい成績出すとヒーロー科に転科できるらしいよ」
「...へぇ、いいじゃないか。ならちょっと本気出そうか?」
「ぼ、ボスの本気はちょっと危ないかなぁ」
エイミィは金成の本気を想像して冷や汗をかく。
エイミィが知っている金成の本気は覇王色の覇気を纏いながらの戦闘と知っているからだ。常時覇王色を発動しながら武装色で身を固めている姿は、蒸気も相まって裏ボス感が半端ないのだ。
ーーーそれじゃぁ、観客全員気絶しちゃうよ。
「ま、まぁじゃぁそこそこに頑張ろうよ!二人で!」
「いや、エイミィが本気出したら死傷者大量発生だろ」
「ちょ、ひどいーーー!わたし前より制御上手くなったんですけどー!!」
エイミィは心外だとばかりに立ち上がり反発する。
「あぁわりぃわりぃ」
「ほらまた素っ気ないなぁー!」
「くふははは!」
ーーーあぁ楽しい、何でこんな弄り甲斐があるんだろ。
二人は周りからかなり目立っているが、気にすることなく食事を再開した。
「はぁ....。これをあと何日続けるんだぁ...」
金成は授業終わりのチャイムと同時に机へ項垂れ文句を垂れる。
「ボス、頑張ろうよ。」
エイミィがご機嫌を取るように優しく聞いているが、今金成の頭の中にあるのは、ヒーロー科には入れなかった自分の学力への後悔と、体育祭でどうやってアピールするかで頭がいっぱいだった。
その後の授業は面白みもなく終えて1日を終えた。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「ん?通信がきた」
「あ、わたしも」
次の日の午前中の授業を終えて、エイミィと二人で昼食をとっていると、脳内に声が響いた。
《ボス、それにエイミィ様、緊急事態です。先程我ら情報部がマークしていたヴィラン連合に動きがありました》
情報部にいる念話の個性持ちからの通信だ。念話といっても目印となる物を持っている人と回線をつなぐため一方通行ではない。
因みに目印は指輪だ。
金成とエイミィは人差し指にシンプルなシルバーの指輪を付けている。
シンプルとは言え、裏には社員ナンバーが記され、リングの芯を金成の黄金で構成し、その表面を銀でコーティングしている特注だが。
それより、
ーーーヴィラン連合が動いた?いや、それだけで緊急事態か?
《緊急事態って何だ?》
《うんうん!なにかな!》
.....エイミィも大概だな。
《...それが100名ほどのヴィラン達がある場所に向かうらしく、慌ただしく準備を進めています。》
《ん?ある場所ってどこだ?》
言いずらいどころか?戸惑っているように思われる。
《....ボス達がいる雄英高校らしいです。午後からヒーロー科で行われる演習場に向かって、そこに共に向かうオールマイトの殺害が目的です》
ーーーオールマイトの殺害?そんな事がか?そこまでプロヒーローが集まる雄英に襲撃するほどの価値があるのか?
情報部からの報告に一瞬驚くも、これからどうするかについて考える。
それも一瞬、すでに考えは決まった。
《じゃぁ、日陰に伝えてくれ。監視だけを付けろと。後は、俺たちが直接行く》
《おおおお!!いいね!ボス!私も襲撃が見たかったんだ!》
「ふっははははは!!!」
金成達は無言で笑っている。
「おっと、声が出たか。」
周りの生徒がギョッとした目で見たが既に視覚に入っていない。
《分かりました。そうお伝えしておきます。では、報告を終えます》
「よし、エイミィ早く食べ終わるぞ。その後の教師に早退届を出しに行く」
「うん!」
それを合図に二人は勢いよく食べていった。
◇◆◇◆◇◆◇◆
緑豊かな森の中に東京ドーム5個分ほどはあるであろうホール状の壮大な建造物が居をかまえている。
その上空に様々なバラ模様が描かれた仮面を被った人たちがいた。
今、金成達はヒーロー科が演習を行う大きなホールに来ていた。
ここは雄英高校がある校舎からバスで10分程にある森の中にあった。
「へぇ、災害訓練かぁ。これだけでも面白そうじゃん」
金成は巨大ホールを上から見下ろしている。
「あ、生徒達のバスがきたよ」
「ボス、バレるのでもうすこし上に行きます」
金成達は上空に浮かぶ赤いソファに座っている。
金成に声をかけた軍部の男性が個性を発動させる。
彼の個性は触れた無機物を自由に操る事ができる能力だ。
彼の能力でソファを浮かせてそこに座っていた。
生徒たちが続々降りてきてホールの入り口に集まる。
「あれ、オールマイトがいないな」
「本当だ、ヴィラン連合が間違えたのかな?」
不思議に思って見聞色の覇気を利用し、今いる教師二人の会話を覗き見る。
ーーーオールマイトは時間いっぱいに活動したらしく、授業の最後のみくるらしいです。
「へぇ、オールマイトって活動限界あったのか」
「ん?そうなの?」
「あぁ、教師の話によるとそうらしい」
まぁそんな事がどうでもいい。
そうしているうちに教師達による説明が終わったらしく、彼らはホールの大きな扉を開く。
金成たちも中の様子が良く見えるように、ホール上空はガラス張りのため、上空へ移動する。
するとすぐに、ワープの個性持ちのヴィランの力で続々とヴィラン達が現れてきた。
「あ、現れたみたいだよ!ヴィラン連合!どうする?!私たちも戦う?」
「いや、流石に仮面つけてるといってもバレるかもしれないだろ。ここは見学だ」
流石にここでバレたくない。その為今回は見学に徹しようと決めた。
流石に命の危険が来たら助けに入ろうと思うが、多分大丈夫だろう。
「
「...はい。日陰様によるとついさっき送り届けたそうです。」
物を浮かせる個性の男、
ーーーここまで大規模に襲撃を起こす連中だ。通信手段を傍受するのは基本だ。
念のために日陰に校長に手紙を出させていた。
あの校長は緩そうではあるがあんな手紙が来たからには、一応のために確認に来るだろうと思っている。
「さぁ、ヴィラン連合がどれだけできるか、ヒーロー科がどれだけ抵抗できるか。見てみようじゃないか!」
金成はカッコつけるように腕をソファに乗せ、足を組んで不敵に笑う。
「ボス!狭いから足組まないで!」
「......。
「は、はい」
臥雲はいまのを聞かなかったことにして、懐から二つの望遠鏡を取り出しふたりにわたした。