前回の投稿からどのくらい経過した……?
ここ最近忙しくて不定期更新になっています。いつの間にか次々更新されていくヒロアカ作品にビクビクしながら書いた話です。
障害物競走が終わり、続いて第二種目は騎馬戦となる。二人から四人までの騎馬を作り、障害物競走の順位ごとに振り当てられたポイントの合計がハチマキにそのまま表示される。制限時間の間にハチマキを奪い合い、ポイントが高いチームが最終種目に進める。
悪質な崩し目的の攻撃は失格となるが、この競技も個性ありの残虐ファイトな訳だ。
『さあ上げてけ
雄英高校体育祭、第二種目。ここまで息を潜めていた者たちが今、牙を見せる。
*
『3……2……1…… S T A R T !!! 』
カウントダウンが刻まれた後、プレゼントマイクの掛け声で騎馬戦が始まる。
開始と同時にやはりと言うべきか多くのチームが緑谷チームのところに向かう。1000万を取れば初期ポイント関係なく一位になれるのだ。それを狙う者は当然いるだろう。
「飛ぶよ!顔避けて!!」
しかし、サポート科のアイテムなのか緑谷チームはジェットを噴出させて飛び上がる。突然騎馬ごと飛んだことに周りは驚くが、遠距離攻撃が出来る者は追撃を行う。
「ダークシャドウ!」
『アイヨ!』
遠距離攻撃をダークシャドウが全て防御する。どうやら常闇のダークシャドウは防衛、発目がサポートアイテムで機動力の向上。そして麗日が“
緑谷チームの所以外でも様々な場所でハチマキの取り合いが起こり、正に乱戦状態になっていた。
「それじゃあ作戦通り行くよ!」
「おう!!」
「ええ」
「わかった」
フラン・鉄哲・塩崎・骨抜。B組の中でも第一種目で上位を勝ち取った者達が集まったチーム。合図とは少し遅れて彼女らも緑谷チームのところに向かう。しかし、彼女らの狙いは1000万ではなく……
「茨ちゃん、よろしく!」
「はい!」
騎馬の一人である塩崎がイバラのようなツルを伸ばし、後ろから葉隠チームのハチマキを狙う。
「うわ、いつの間に!?」
「申し訳ありません。ですが勝つためには必要なことなのです」
緑谷チームしか目になかった彼女らは察知も抵抗も出来ずにハチマキを奪われる。
フランチームの初期ポイントは735Pで第二位。何もせずとも今のところは最終種目に進める位置だ。それを生かしてフランは他の騎馬と同じように緑谷チームを狙うのではなく、安定のために序盤は二位の維持という動きをとっていた。
(仮に私たちも同じように1000万を狙って奪えた場合……その瞬間は一位になることは出来るけど、次に標的になるのは自分たち。多大なリスクを抱えるのは分かりきっている)
ポイントを沢山持っていれば狙われるのは当然だろう。ならば無理をして一位を狙う必要はないはずだ。囮を泳がせながら確実に最終種目にいく。それがフランたちの作戦だった。
「けど、何もしないのは面白くない」
奪われたハチマキを取り戻そうと葉隠チームがこちらに向かってくる。先に遠距離攻撃が出来る耳郎からプラグが伸びてくるが、茨がムチを操るかのようにはたき落とす。
その間にフランは魔力弾を形成して葉隠チームの周囲にバラ撒く。騎馬戦のルールでは悪質な崩し目的での攻撃は一発退場になっているが、フランが行ったのは
「ん〜ならばレーザー攻撃で一掃だ!!青山くん頼んだ!」
「僕の出番だね!」
このままだと距離を離され逃げられそうだと判断した葉隠は前騎馬を務める青山の名を呼ぶ。彼の個性である“ネビルレーザー”はヘソからレーザーを放てるというものだ。その威力は仮想ヴィランを一撃で破壊する程であり、遠距離において上位の攻撃力をもっているのではないだろうか。
「骨抜くん!」
「分かってるさ」
青山が何をするか察したフランは最善の行動が出来る人物の名を呼ぶ。だが骨抜は言われる前に自分の役割が分かっていたようで足を一歩前に出す。
彼の個性“柔化”は触れたものを柔らかくする。それにより葉隠チーム一帯の地面が沼のような地形になった。相手の騎馬の足場が悪くなり、バランスをとれなくする。
「……キラキラが止められないよ!!」
「え、ちょ、青山くん!?」
青山のネビルレーザーがあらぬ方向に放たれる。踏ん張りがきかず、レーザーの威力に耐えきれなくなったのだ。耳郎と口田も引っ張られる形になり、騎馬が崩れた。
放たれたレーザーは何発かの魔力弾を花火のように爆発させる。七色の爆発は綺麗な光景だと観客を魅了したが、葉隠たちはそんな余裕などない様子。ぐちゃぐちゃとした地面が相まって復帰には時間がかかるだろう。少し同情するが、あまり気にしてられる時間は無かった。
「チッ……思ってたよりこっちに来てるな」
「ええ。1000万のお方に騎馬が集中していますが、狙うポイントがあるのはこちらも同じことです」
鉄哲が状況について愚痴をこぼし、塩崎が説明をする。少し先から鱗チームと角取チームがこちらに向かってきているのが見えた。
二位をキープする作戦のフランたちであったが、それは1000万よりは狙われづらい部分があると予想した結果だ。しかし、今自分たちを狙っているのは………
(こちらの手の内を知っている
元々B組は世間の注目が集まっているA組を出し抜こうとクラスぐるみの作戦を立てていた。第一種目を敢えて後ろの順位で走ることでA組の個性や性格を観察する。そして自分たちの方が上だと証明するために逆転劇にすることでB組により強い印象を与えることが作戦の内容だった。
もちろんフランたちのような一部反対した者はいるが、多くは第一種目を敢えて後ろの順位で走っており、ここまで息を潜めて下準備を行っていたのだ。
だがフランが予想した通り、最終的には自らが勝てるような立ち回りをするのは必然だ。その場合を考えて恨みっこ無しと話をつけてある。
「骨抜くんは角取さんを封じて!茨ちゃんは私のサポート、鉄哲くんは耐衝撃準備!」
フランの指揮で動き出す。
まず骨抜が個性を用いて先程の葉隠チームと同じように地面を沼のようにして角取チームを捉える。ここで違うのはぬかるみ程度だったものが膝上まで沈むほどの規模にしたことだ。飛ぶ手段をもたない角取チームはなす術なく足をとられ身動きが取れなくなる。
「そのポイント……貰い受ける!」
その間に鱗チームが急速に接近する。騎馬同士がぶつかり合い、衝撃が二組に返った。
「ぐぅ……!見た目に削ぐわず。やっぱ固えな鉄哲!!」
「そっちこそ俺相手に突っ込んでくるとは良い度胸だ宍田ぁ!!」
フランチームの前騎馬は鉄哲が担当している。他の騎馬とぶつかる機会が多い位置だが、個性“スティール”によって衝撃が来てもブレない。彼にとって相性が良いポジションだった。
一方、ぶつかるほどの距離まで詰まっている二組の騎手は互いのハチマキを取りあう戦いを繰り広げる。竜のウロコのようなものを生やした鱗がハチマキに手を伸ばす。それをフランは上手く手の甲で弾いて逆に取ろうとするが、ギリギリで顔を逸らして避けられる。様々な絡め手を入れながら鱗は攻めるが、フランは持ち前の反射神経を生かして何とか回避し続ける。
「援護します!」
ここで塩崎がツルを伸ばして攻めと守りを両立させる。だが宍田が起点を利かせ、一旦距離をとられてしまう。
「う〜。ハチマキを取るためにワザとおびき寄せたけど、失敗だったかな」
「アイツは中国からの留学生だ。何かしらの武術を心得てるって聞いたが予想より厳しいもんだな」
フランは少し苦い顔をする。独特の型というか鱗の身体の動かし方は今の一瞬の間だけでも相手しづらい印象を与え、実力を体感させられた。
よく見ると彼の首には別のチームから奪ったと見られるハチマキがある。そして骨抜のお陰で現在も行動不能の角取チームにはハチマキが無い。ポイント数と状況を考えると鱗チームが角取チームのポイントを取った後に標的をこちらに変え、それを見た角取チームは取り戻すべく追う形になった、みたいな展開だろう。
「もう一度だ、行くぞ宍田!」
「
鱗チームが再び攻めてくる。二人一組の利点を生かしてある程度鋭敏に動くことが出来るが、二人の個性ではハチマキを取る方法は基本的には接近戦だ。騎馬の三人はその点を注意して距離を詰めようとするが…………
「八時の方向……止まって三人とも!!!」
パキパキと嫌な音が鳴る。鱗と宍田はフランたちにしか目が無かったため、横から
「チッ、そう簡単にはいかねえか」
「危ねえ。あのまま進んでたら鱗たちと同じ結末だったな。ナイス判断だスカーレット!!」
丁度フランチームと鱗チームがぶつかる位置を的確に狙った攻撃であり、フランが気づかなければ同じように凍らされていただろう。氷結を生み出した本人______轟も今の一撃が決まらなかったことに舌打ちを漏らす。
「「…………」」
第一種目で三位と四位の選手だった二人が対面する。お互いに相手の個性は少しだが見ている。フランは氷結による騎馬の行動不能を最大限に警戒しながら轟と
「お前が要注意人物だってのは第一種目で分かったからな。悪いが凍らされても我慢しろ」
「へえ?まるで自分が勝つみたいな言い方だね。慢心は人をダメにするのは周知の事実だよ?」
「そうだな。だから油断なんてしねえよ」
そう言って轟は右手に持っていた鉄の棒を地面につける。すると右手から氷結を奔らせフランチームを襲った。
轟の力の半分である冷気は触れた先から氷結を生み出す。つまり遠距離の相手には一度右手か右足を地面に接する必要があるのだが、騎手である轟が地面に触れるのは厳しい。そこで八百万の“創造”で創った鉄の棒を媒介することで遠距離でも個性の使用を可能としていた。
これに対しフランは何度目かになる魔力弾を形成し、氷結の目前に放つ。二つの攻撃が干渉した瞬間、爆発を起こし相殺する。防がれたことに驚く事なく、轟は連続で氷結を伸ばしていく。だがフランは複数の魔力弾を作り、氷結だけでなく轟チームにも幾つか放った。
「茨ちゃん、ツルを伸ばして!!」
「分かりました!」
それだけでなく追加に塩崎のツルが轟チームを襲う。魔力弾の総数は六つ。更に数十本のツルが向かってくるのを見て轟は……
「飯田!」
「ああ。しっかり捕まっていろ!!」
迎撃は難しいと判断して回避の選択をする。
飯田が個性“エンジン”を最大限活用し、普通に移動するのとでは一段速くその場から離脱する。塩崎のツルや魔力弾が届く頃には轟チームは範囲外に逃れていた。
「成程ね。前騎馬の人が移動の要で女の人がサポート要因かな?」
轟チームの上鳴と八百万はローラーシューズを履いており、飯田の機動力を削がないように引っ張れる形を整えていた。いくら足の速い人がいても、騎馬を作ったとなれば足並みは遅い人が基準となる。それを無くした策があのローラーシューズなのだろう。
だが体育祭では
発育の暴力……別に羨ましい訳ではない………
ならば個性によるものというのが一番だろう。一番に挙げるのが物を創る個性。競技中に拾った物を加工出来る個性の可能性もあるが、戦法はあまり変わらないはず。基本的には問題ない。
上鳴くんとは何回か会ったことがあり、個性は“帯電”だと分かっている。指向性をもっていないので個性を使うと騎馬の人たちにも影響を与えてしまうと思われるが、サポートの人がどうにかする策がある可能性も考えられる。警戒はしておいた方が良いだろう。
「バランスのとれた良いチームじゃん」
頬を伝う汗を拭う。この状況をどう動いていくか、フランは笑いながらも頭をフル回転させていた。
*
(それはこっちのセリフだ。分かってはいたが、いざ向き合えば凄く面倒くせえ相手だ)
騎馬戦も中盤が過ぎ、残り時間は五分ほど。フランが呟いた言葉に轟は心の中で愚痴を吐く。攻撃に重きを置いてるかと思えば防御も万全。逆に攻められる始末だ。轟も目の前にいるチームについて分析をする。
まず前騎馬である切島と被ってそうな男。騎馬同士がぶつかっても耐えることが出来る頑丈さ。恐らくあの騎手が作るエネルギー弾を近距離で受けても大丈夫なように入ったのだろう。
後ろの地面に細工した奴が騎馬の動きを封じる役割。イバラの髪の女がハチマキを奪うのと防御。
(そして騎手のアイツか……)
彼女はエネルギー弾のようなもので牽制及び迎撃。第一種目で爆豪と攻防を見た限り近接戦闘も行え、更に空を飛べるのだ。爆豪のような騎馬から離れてハチマキを奪いに行けるのもあり、彼女が同じようにすれば地面につく危険は他の人間より格段に余裕を持てるだろう。ここまでは状況や迎え撃たれた時のリスクを考えてか飛ばないでいるようだが、どちらにしてもハチマキを奪うのは難しい相手だ。
(残り時間は半分切ってる。そろそろ緑谷の所に行きたい所だが、こいつらの相手は正直骨が折れる)
このままハチマキを取るまで粘っていれば、緑谷チームに行くことなく時間切れとなるだろう。あくまで狙うのは一位だ。ならここで最善の手となるのは………
「なに振り構ってられねえな。飯田!緑谷のところだ!」
「了解した!!」
方向を変え、轟チームは緑谷チームの所に向かう。相手の様子を
「八百万!!上鳴!!」
「ええ!」
「待ってました!!」
八百万は“創造”の個性で大きめなシートと腕から鉄の棒を創る。シートを受け取った轟は自身の左側を守るように被せた。何をするのか分からないフランたちだったが、それはすぐ理解することになる。
「しっかり防げよ!!無差別放電_______」
「まさか……茨ちゃんガード!!」
_______130万 V!!!!
雷が落ちたと思わせる程の放電が周囲に解き放たれた。
上鳴の個性は指向性が効かず、それ相応の対策をしなければ味方をも巻き込んでしまう。しかし、八百万によって作られた絶縁シートと伝導の準備をすることで、デメリットを無くしたのだ。
多くの騎馬は突然の電撃になす術なく食らうが……
「うう……ギリギリ。茨ちゃんありがとう」
「いえ、もう少し早く構築していれば……まだまだのようです」
範囲内にいたチームはもろに食らっていたが、フランたちは何とか凌いでいた。彼女たちの目の前にはイバラの壁が作られ、上鳴の無差別放電を防いだのだ。
しかし、放電への対処は完全ではなかった。塩崎の個性はツルを自在に伸ばすことができ、自らの意思で切り離すことも可能だ。だが壁を作った後、切り離すのが遅れた。放電が伝わり途中で切り離したが、電撃を少し食らってしまったのだ。他のチームよりかは幾分かマシだが、四人には多少の痺れが残っていた。
だが
「おい、壁が凍ってんぞ!!」
たった今作ったイバラの壁が凍りついていく。それだけではない。茨越しに氷結が地面を凍らせ、フランたちの所にも迫っていた。
「ぐぅ……!」
「くそ、冷てえ!!」
恐らく轟の仕業だ。彼の動きが見れず行動が遅れたのもあるが、先程の上鳴の電撃で動きが鈍っていた。氷結を回避しきれず、騎馬の脚を凍りつかせる。
「念の為だ。邪魔されねえように壁つくらせてもらう」
凍っていたチームの一つから360Pのハチマキを奪った轟は氷壁を形成してフィールドを分断する。騎馬が氷壁の向こう側に行くには少々厳しい高さに調節されており、越えるのは厳しい。
壁の向こうには緑谷チームがおり、上手く他のチームと1000万を寄せ付けない構造をとられた。空を飛べるフランが騎馬を離れて向かおうとしてもハチマキを奪って戻ってこれるかは不明だ。撃墜される可能性がある以上、現状はかなり厳しかった。
「く……早く私たちも1000万のところに行かないと!」
「脚の氷は俺の個性でなんとかする」
「この氷の壁はどうする!どうにかしないと向こう側には行けねえぞ!!」
鉄哲が物理的に壊していくのは厳しい。道が出来るまで時間がかかるし、騎馬を組んでるため両手が使えない状況だ。塩崎も同様に“ツル”では厳しい。
だったら骨抜が脚の氷をどうにかするまで待つか。それでも“柔化”を使ってもこの氷壁の規模だ。時間は少々かかる。終了まで残り少ない中で今は一秒でも惜しい状況だった。
「茨ちゃん……後ろに壁作ってくれる?ちょっと高めに」
「え?……分かりました」
塩崎は言われた通りツルを最大限伸ばし地中に潜り込ませていく。そして視界を濃緑に埋める数メートルの高さはあるイバラの壁が形成された。轟が作った氷とは違い、塩崎のは物理で壊そうとすれば茨の棘で怪我をする。
これで周囲の敵の心配は無くなったが、目の前の問題が解決してない。何をするのかと鉄哲たちは騎手に顔が向けるが、急に手にかかっていた重さが無くなった。
「三人とも、氷が溶けてもその場にいてね」
見ればフランは騎馬を離れ空中に留まる。視線は氷の先を見据えており、瞳は紅く輝いていた。その表情は嬉しそうで………でも何故か恐れを抱かせる。そんな笑みを彼女は浮かべていた。
イバラの壁ができた事で日陰が自然とつくられた。つまり“吸血鬼”の個性を宿す彼女にとって十全な力を発揮できる_______
「じゃないと巻き込んじゃうから」
“禁忌” レーヴァテイン_________
その瞬間、真紅に燃え盛る炎剣がスタジアムを紅く染めた。
出せる範囲での騎馬の変更点
※先頭の名前→騎手、二人目→前騎馬
フランチーム
フラン・鉄哲・塩崎・骨抜
葉隠チーム
葉隠・青山・耳郎・口田
小大チーム
小大・凡戸・泡瀬
この作品のオリ主はどこ入ったかって?
…………次回明らかになるかも。