【完結】ボボボーボ・ボーボボ ハジケウォーズ/フォースの覚醒   作:春風駘蕩

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第二章 星・座・魔・王
奥義11:翼をください


 宇宙空間にいるXVⅡを止めるため、過酷な訓練に励むボーボボたちだったが……。

 

「き、きっつぅ……」

「宇宙飛行士って、ほんとにみんなこんな訓練やってるのかな……?」

 

 予想をはるかに超える訓練内容に、ビュティやヘッポコ丸は早くもぐったりとなってしまっていた。

 その日の訓練を終え、OSTOレガシーの中の展望施設で大の字になって寝転がるほどに。

 

「ボーボボ、イザヨさんも大丈夫?」

 

 仲間たちの様子を案じたビュティが視線を向けると、そこには平気な様子で向かい合って立っているボーボボとイザヨの姿があった。

 

「5眼鏡‼︎」

「なんの! 割りばし‼︎」

「その手は読めてるぜ! マッチを装備‼︎」

「なっ⁉︎ まさか噂の新コンボか!!?」

「これでボボ兄の回復手段は封じた。次のターンが命取りだぜ!」

「ならば俺はここで、ねりわさびを投入だ!!!」

「嘘だろ⁉︎ 自殺行為だぞっ……そうか、カウンター狙いか!!!」

「俺はまだお前には負けん‼︎ さらにたわしを召喚!!!」

超高等掃除奥義(クリティカルコンボ)だと!!? さすがボボ兄……やっぱ一筋縄じゃいかねーな!!!」

「メチャクチャ懐かしい謎の対戦ゲームやってる!!!! 相変わらずわけわからんこの勝負!!!!」

 

 日用品を並べて遊んでいる二人に、疲労も忘れたビュティのツッコミが炸裂する。

 他にも縄跳びが巻き付いていたり鹿威しが頭の上に乗っていたりと、言い表せないほど意味不明な状態になっていた。

 

「おっしゃー‼︎ まる一晩かけてでも決着つけんぞおおお!!!」

「……」

 

 心配する必要もないほど盛り上がっている二人に、ビュティは思わず言葉を失っていた。

 

「ボーボボたち、あんなにはしゃいで大丈夫かな。他のみんなはさすがに疲れて……」

 

 あの二人のことは放っておこう、そう思ったビュティはほかの仲間達の方を向いた。

 が、またもその目は大きく見開かれていた。

 

『は゜っち は しんでしまった!』

『ところて は しんでしまった!』

『て゛ん は しんでしまった!』

『は゜ーてぃー は せ゛んめつ した!』

 

 異常なほどに生命力の強い首領パッチたちでさえ、あの過酷な訓練には耐えきれなかったようで、全員が屍となり果ててしまっていた。

 

「全員HP使い果たして棺桶に入っちゃってる―――――‼︎」

 

 教会での回復が必要なほど重症な彼らに、ビュティとヘッポコ丸が慌てて駆け寄っていった。

 

「大丈夫かお前ら!!?」

「しっかりして!!!」

「……俺さ、無事に帰ったら隣のあの子に告白するんだ」

「……帰ったらペットのベルちゃんにご飯あげなきゃ」

「みんなしっかりして‼︎ 続々と死亡フラグなんか立てないで!!?」

 

 今にも死にそうなほど虚ろな目を見せる首領パッチを抱き起こすが、全員虫の息でかなり危ない。

 

(ああ、ベルちゃん……お家で待っててくれてる、お腹を空かせた……)

 

 お迎えを今にも迎えそうな首領パッチは、いっそ安らかな表情で目を閉じ、手を組んで愛しいものの顔を思い浮かべる。

 暖かい自宅で帰りを待っている…。

 

 ―――ベルちゃん。

 

 メカメカしく凶暴な見た目の危険生物の姿を。

 

「ベルちゃんって見た目じゃないでしょ!!! どう見てもただのバケモンじゃん!!!」

 

 疲れのせいかいつも以上に奇妙な発言ばかり繰り返す仲間達に思わずため息がこぼれる。

 そんな中ビュティは、星空を見上げながら何やら思案しているソフトンに気づいた。

 

「どうしたのソフトンさん?」

「…どうにもあの連中が気になってな」

 

 そう言ってソフトンは、OSTOレガシーの本部の方を見据える。

 どこか疑いを抱いているような、そんな鋭い視線であった。

 

「宇宙鉄人の情報を一体どこから手に入れたのか……そこが引っかかっている」

「やっぱりそう思うよね」

 

 人類滅亡をもくろむ悪の兵器。

 言われてみれば、どうやって国家的な秘密であるその正体を掴んだのだろうか。

 

「心配することないって〜ダイジョブダイジョブ♪」

「あのモグラも知ってたことなんだぜ? 気にすることナイナイ♪」

「そりゃそうだけど…」

 

 能天気に笑うボーボボや首領パッチたちに、ビュティは思わず不安気な返事をこぼす。

 何か、自分たちの知らないところで違う話が動いているのではないか、そんな気がしたのだ。

 

「………」

「どうしたの?イザヨさん」

「ん?ああ、いや…」

 

 何か気になることでもあったのか、ソフトンと同じように星空を見上げるイザヨは、そのまま不思議そうにつぶやいた。

 

「なんだって宇宙鉄人は人類滅亡なんて目論んでるのかなって思ってさ…」

 

 その言葉には、寂しさや哀しさのような感情がにじんで見える。

 ただ敵だからといって戦うというのは、彼女の信条からしてみれば迷う事なのかもしれない。

 

「悪役いねーとこの話成立しねーからじゃねーの?」

「そーそー」

「いやそんなメタな答え求めてないから!!!」

 

 鼻をほじりながらそんな身もふたもない事を言う首領パッチと天の助に、ビュティは目を剥きながらツッコミを入れる。

 イザヨはそれを笑いながら、また星空を見上げる。

 この景色のどこかにいるであろう宇宙鉄人を探すように。

 

「できることならあたしは知りたい! そして…もし言葉が通じるなら、そいつらを止めてやりてぇ! そう思うんだ」

「…うん」

「こ」

 

 優しく勇ましいイザヨの決意に頷くビュティの後ろで、首領パッチがしょうもない下ネタを口にする。

 その直後彼には、怒りの形相のビュティが襲い掛かった。

 

「くだらないギャグブッこいてんじゃないわよ!!!」

「ぎゃああああああああ!!!」

(………本当に大丈夫かな)

 

 タワーブリッジを炸裂させるビュティと、それを見て大慌てで逃げ出すボーボボたち。

 そんな緊張感のない光景を見ながら、ヘッポコ丸は人知れず冷や汗を流すのだった。

 

○ □ △ ×

 

 そして迎えた、作戦実行の日。

 ボーボボたちはOSTOレガシーの用意したバスに乗りこみ、次の移動手段が待つ空港へと向かっていた。

 

「次イザヨさんの番だよ――」

「おう!」

 

 ボーボボは眠りこけ、ソフトンは瞑想をはじめ、各々でバスの時間を過ごす。

 ビュティや首領パッチ、イザヨとメテオは、目的地に着くまでの暇つぶしにと始めたトランプゲームに興じていた。

 

「7」

「じゃあオレ8」

「ハイ私9ね」

「じゃあボクは10」

「ダウト!!!! それダウトォ!!!」

 

 メテオがカードを山の上に伏せた瞬間、首領パッチが鬼の形相で指を突きつける。

 

「残念、ハズレだ」

「!!!」

 

 しかしメテオが宣言通りのカードを見せた瞬間、その表情は愕然としたものに変わり、すぐさま憤怒に染められた。

 

(チッ…‼︎ このガキやるじゃない…でもヒロインの座だけは絶対に渡さないわよ〜)

「…いやそもそもボク、ヒロインじゃないんで」

 

 不細工なメイクを施した首領パッチがメテオを睨むが、そんな恨みはお門違いだとメテオは呆れかえる。

 するとしばらくして、走行中だったバスが停車したのを感じた。

 

「目的地に着きました」

「ん? もう着いたのか?」

「少し早くない?」

 

 思ったよりも時間が経っていないことを不審に思い、ボーボボたちは窓の外に目をやる。

 並木道が続く道の真ん中に停められていることを不審に思うボーボボたちに、バスの運転手はにやりと悪魔のような笑みを見せつけた。

 

「地獄の終着地点にね」

 

 その瞬間、カッと閃光が爆ぜたかと思うと、ボーボボたちが乗っていたバスが爆炎を噴出した。

 

「ぎゃああああああ!!?」

 

 とっさの判断でバスの中から飛び出したボーボボたちは、ゴロゴロと受け身をとると燃え盛るバスを睨みつけた。

 

「チッ! 何が起きた!!?」

「そんな、首領パッチ君達がまだ中に…」

 

 外に飛び出した面々が足りないことに気づき、ビュティがハッと目を見開く。

 が、業火の中を見てさらに目を見開くこととなった。

 

「それダウトォォォォォ!!!」

(ええ―――っ!!? まだトランプやってる!!!)

 

 炎に包まれ、というか自らも燃え盛りながらもトランプを挟んで騒いでいる首領パッチ、天の助、田楽マン、破天荒の姿に思わず絶句する。

 その時ボーボボたちは、辺りの並木の間から近づいてくるいくつもの気配に気が付いた。

 

「待っていたぞ…‼︎ 我らの宿敵ボーボボよ!!!」

 

 爆炎による煌々とした光に照らし出されたのは。

 にやりと不敵な笑みを浮かべる、無数の毛狩り隊員たちだった。

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