【完結】ボボボーボ・ボーボボ ハジケウォーズ/フォースの覚醒 作:春風駘蕩
「うおおおお神業ドリフト―――!!!」
いくつもの曲がりくねった道を、とぐろを巻いた車が超高等テクニックで駆け抜けていく。
風となるウンコの上では、首領パッチと天の助が暴走族のような格好で騒いでいた。
「どけどけどけー!!!」
「やんのかコラ―――!!!」
途中に現れる障害物や敵を蹴散らし、ボーボボ一行は目的地へと急いだ。
「おい、この先で本当にあってんのか⁉」
「ああ…OSTOLegacyの奴らが用意した宇宙船が停泊している空港が、もうすぐ見えるはずだ」
屋根の上から首領パッチが問いかけると、地図を見ながらソフトンが頷く。
神がかったドライブテクニックにより通常の数倍は速かったが、まだまだ目的地は遠かった。
「待て―――‼︎」
「逃がさんぞぉ‼︎」
「おい、あいつらまだ追ってくるぞ‼」
「破天荒でも抑えきれなかった奴らか…」
後ろを見れば、改造されたバイクやバギーに乗った、ゾディアーツと化した毛狩り隊の姿が見える。
すると突如、その中の一人が体についた宝玉から光を放った。
「発射―――‼」
「ああっ‼」
光はミサイルのように宙を舞って、ウンコカーの後輪部分に炸裂する。
その衝撃でいまにも転倒しそうになりボーボボ達は慌てた声をあげた。
「わ―――先に車がブッ壊されちまう―――‼」
エンジンはまだ無事なようだが、いずれ引火してしまう危険がある。
メラメラと燃え上がる炎を凝視し、天の助は涙を流しながら悲鳴をあげた。
「ウンコが燃える、ウンコがウンコがウンコがウンコがウンコがウンコウンコウンコがあああ!!!」
「うるさいよ‼」
ビュティがツッコムが、自体はそれどころではないほどに逼迫している。
するとそこへ、ボーボボがマイクを持って車両の上へ飛び出した。
「よし、オレに任せろ‼ 鼻毛真拳奥義『アイスバーン』!!!」
何か秘策があるのか、と期待に目を輝かせるビュティとヘッポコ丸。
ボーボボはマイクを構え、手抜き感のある格好で気だるげに髪をかきあげた。
「オレさー、枕変わると眠れないんだよねー」
その瞬間、全てが凍りついた。
面白くもなんともない話によって冷え切った空気が、全てを現実に凍てつかせたのだ。
「凍った―――――!!? いや確かに寒かったけど‼︎」
ありえないとばかりにビュティが叫ぶ。
なぜか精神的なダメージを食らった気もするが、そのおかげでウンコカーの火は消され、被害が広がることは食い止められた。
「迎撃だ‼ このまま戦うぞ‼」
「よし、ならばうってつけの技がある」
エンジンまで凍りついていたが、ウンコカーはソリのように滑り続け加速を続けている。
その隙に、ボーボボ達は迫り来る敵を迎え撃つ方法をとった。
「鼻毛真拳奥義『マリカ的超迷惑妨害』!!!!」
「ただいろんな物ブン投げてるだけだ――――!!!」
後続の車全てが通行不能になりそうな、ありとあらゆるものを拾っては投げつけ、毛狩り隊達を妨害する。
と言ってもそのほとんどが紙くずだったり靴下だったり、しょうもないものばかりであった。
「ハハハ‼ こんなものが当たるか!!!」
「ん?」
なんの邪魔にもならないものばかりを投げつけるボーボボ達を嘲笑する毛狩り隊だったが、ふと隊員の一人が何かに気づいた。
が、その時にはすでに、隊員は巨大な岩の顔に押しつぶされていた。
「ぎゃああああああああ!!!!」
「ドッスン落ちてきた!!!」
たまにある理不尽な罠が炸裂し、毛狩り隊員たちは目を剥いて驚愕する。
するとその隣にいつのまにか、車に変形した首領パッチが並走していた。
「優勝はオレのものだぜ‼︎」
「⁉︎」
ギョッと振り向けば、他にも奇妙な奴らの姿が見える。
道を自らの体で滑る天の助の上に乗るヘッポコ丸や、ミニサイズの車に乗るサングラスをかけた田楽マンの奇行が。
「とこ屁組も負けてらんねー!!!」
「さて…箱根を流しにいくか」
「!!?」
何が何やらわからない毛狩り隊達を巻き込み、首領パッチ達がついに動き出した。
協力奥義『ワイルドスピードHAJIKE MAX』!!!!
「ぐわあああああドミニクゥゥゥゥ!!!」
首領パッチ達は、先ほどのボーボボと同じように毛狩り隊の車両に思いっきり妨害攻撃を加え始めた。
飛び交う甲羅、唸るオナラ、飛んでいくバナナ、さらには重火器まで持ち出され、あたり一帯が無法地帯と化していた。
「貴様ら‼︎ ふざけるな―――‼︎」
無数の攻撃を受け、ボロボロになるゾディアーツ達。
しかし彼らの攻撃は、そんなもので終わりではなかった。
「コズミック真拳超奥義『スーパーハジケブラザーズ3D
「ぎゃあああああああ!!!」
「キラー出てきた―――!!! てか操ってる――――!!!」
突然背後から、巨大な砲弾のような生き物に乗ったイザヨが突撃する。
容赦無く毛狩り隊達を吹っ飛ばし踏みつける凶行に、ビュティは味方に対してドン引きしていた。
「おのれボーボボ―――!!!」
「ぐああああ‼」
すると怒りが限界に達した毛狩り隊の一人、キグナスゾディアーツがキラーに押しつぶされたままボーボボを捕まえ、そのまま飛んで行った。
「大変だ‼ ボーボボがさらわれた!!!」
慌てるソフトンだが、空に向かわれてはなすすべが見つからない。
というか当の本人は、鯉の形をした旗の中に入ってふざけていた。
「うおおおおおおおお今日の風は一段ときついぜ―――――!!!」
「何やってんのあの人!!? こいのぼり!!?」
全く緊張感を感じさせないまま、ボーボボとキラーは遥か天空に行ってしまう。
キラーにしがみついた隊員達は、同じくキラーに乗ったままのボーボボとイザヨに勝ち誇った笑みを見せた。
「さぁ仲間と引き離してやったぞ!!!」
「貴様らだけでもここで始末してやる!!!」
「ここならビュティたちを巻き込まずに思い切り戦える…」
「なに⁉」
しかしボーボボのつぶやきに、そしてイザヨの笑みに、隊員達の表情が引きつった。
「残念だったな‼ お前たちはおびき出されたのさ!!!」
表情を変えた毛狩り隊員達は、自分たちの体に巻きつく無数の黒い縄、鼻毛に気づく。
キラーをよじ登っている間に仕込まれたのだと気づいたときには、もう遅かった。
「なっ…しまった! 鼻毛が‼︎」
「オレたちのダチに手を出したこと、万死に値する!!!」
そうイザヨが告げた瞬間、キラーが突然宙返りをし、隊員達が空中に放り出される。
かと思えば体に巻きついた鼻毛が巻き取られ、キラーの接近がさらに早められた。
「食らえ‼︎」
「う…うわああああ離せえええええ!!!」
急接近するボーボボとイザヨに恐怖を覚える隊員達だが、もう懺悔の時間さえ残されてはいなかった。
【
「鼻毛コズミック超協力奥義『鬼瓦ボンバー』!!!!」
「ぐばあああああ!!!!」
キラーの加速と鼻毛の引力。
二つの力が加わった蹴りを食らった隊員達は、絶叫とともに爆発四散することとなった。
「っしゃあ‼︎ 急ぐぜ‼︎」
「オウ!!!」
面倒な敵を一掃したことで、ボーボボとイザヨは満足げにハイタッチを交わす。
キラーが降下する先では、滑り続けるウンコカーの上で首領パッチ達が手を振っていた。
「おかえりボーボボ―――‼︎ 待ってたよ…」
「このまま空港まで突撃じゃ―――――!!!」
「うわああああああああ!!!!」
が、ボーボボとイザヨは停止せず、キラーをぶっ飛ばしたままウンコカーを押し出していく。
車両が尋常じゃないほどにガタガタと揺れ、中にいた全員が悲鳴をあげた。
「でら鬼だ―――――!!! 今まで頑張ってた仲間に対して!!!」
ウンコとキラーの間で潰されている首領パッチ達を見たビュティが目を剥くが、そんなことで止まるボーボボ達ではなかった。
「ん?」
そうこうしているうちに、一行は目的地である空港の前にまでたどり着く。
しかしそこで、ヘッポコ丸がその前に立つ人影に気づいた。
「おい、空港の前に誰かいるぞ‼︎」
「何⁉︎」
「あれは……!」
みんなでウンコカーの前に寄り、いったい誰が立ちふさがっているのかと目をこらす。
すると次の瞬間、ボーボボたちの乗るウンコカーがキラーもろとも吹き飛んだ。
「ぎゃあああああああ!!?」
爆発で吹っ飛ばされ、ボーボボたちは紙くずのように転がって行く。
間一髪のところをソフトンに抱きかかえられたビュティは、劫火の前で立ちふさがる一人の影に目を見開いた。
「この先へは行かせないわ…!」
「インガ!!?」