【完結】ボボボーボ・ボーボボ ハジケウォーズ/フォースの覚醒 作:春風駘蕩
「皆の者ー! 勝利の宴じゃー!」
「酒を持てー!」
「料理を持てー!」
「ところてんを持てー!」
「いらん」
「⁉︎」
時間は少し過ぎ、襲撃のあった村を後にしたボーボボ達はある河原で祝勝のバーベキューに勤しんでいた。
戦いを終えた安堵からか、多少羽目を外した大騒ぎになっているが、いつものことであった。
「あ! 肉足んねぇぞ!」
「ではわたくしが代わりに……」
「いらん」
「⁉︎」
「ならボクの田楽を焼くのら〜」
「田楽⁉︎」
自ら焼かれにいくところてんがいたり、田楽を網に乗せる白い犬(?)がいたり、鍋で泳ぐオレンジのトゲトゲがいたりするが、いつも通りなのである。
それを呆れながら見守るのは、一行のツッコミ役である少女ビュティとヘッポコ丸。そして大人の立ち位置にいるソフトンだ。
「あ〜あ、収集つかないよもう……」
「ハハハ」
「まぁいいだろう。たまの休息にバカをやるのも」
実際は常にバカをやっているわけだが、ビュティはまぁそんなものかと思って見守ることにする。
いつの間にか、どこぞのアイドルの格好をした首領パッチが気色の悪いメイクを施してマイクを握りしめていた。
「エントリーナンバー1番、パチ美! 歌います!」
「帰れー!」
「ひっこめー!」
ブーイングが飛ぶが全く気にしない。破天荒のみがペンライトやうちわで完全装備だが、首領パッチはまるで大ステージで歌うかのような貫禄で手を振っている。
そしてついに、マイクを通して観客に歌声を披露した。
「しあわっせなっらてっをたったこ♪」
ドゴーン‼︎ ドゴーン‼︎
「ぎゃああああああああああああ!!!」
「きゃああああ‼︎」
突如、首領パッチの背後で大爆発が生じ、ヤンヤヤンヤと騒いでいたボーボボ達が吹き飛ばされた。
爆風にさらされたビュティが悲鳴をあげ、バラバラと飛んでくるバーベキューの破片やボーボボ達に目を見開く。
「何? 何が起こったの⁉︎」
「こ、これはヘポコーゼ現象‼︎ 異性を前にした極度の緊張と興奮と便意によってごく稀に確認される、オナラ真拳使い特有の現象じゃ!!!」
「オレっすか!!?」
博士の格好をした天の助と助手の田楽マンによって、自分のせいにされたヘッポコ丸が目を見開く。ひどい冤罪であった。
「ボーボボ! 大丈夫⁉︎」
「ぐっ……なんということだ! さっきの爆発で……」
ビュティが心配して駆け寄ってみれば、さっきまで意気揚々と宴を楽しんでいたボーボボたちが無残な姿で転がっている。
ボロボロになったボーボボは悔しげに歯を食いしばり、傷だらけになっている首領パッチたちを抱きかかえて声を漏らしていた。
「僕の生卵がゆで卵になっちゃった‼︎」
「どうでもいいよ‼︎」
だがすぐにぽいっと脇に捨て、からの割れた卵を後生大事そうに抱えて涙を流す。仲間への心配など皆無であった。
しかし仲間割れをしている場合ではない。
二箇所の爆発の中心、朦々と立ち上がる土煙の中に大きな影が立ち上がったからだ。
「ボーボボ! あそこ‼︎」
「あ……あれは⁉︎」
徐々に姿を現す影に、ボーボボ達は警戒を強める。
片方に現れたのは、異様なほどに膨れ上がった筋骨隆々の体を分厚い鎧で覆った、赤い髭面の異形。体の各所についた宝玉とそれをつなぐ体のラインが、まるでオリオン座のような印象を与える見たこともない、敵だ。
そしてもう片方の爆心地の元にあったのは。
地面に逆さまに突き刺さった、改造した純白の学生服をまとった女だった。
「スケ番が突き刺さってる!!!」
「…………だぁ~」
ビュティの突込みが炸裂する。
気だるげな声とともに、埋もれていたスケ番の頭が地面から抜け、ばたりと倒れ込んだ。
白い奇妙な格好のそいつは億劫そうに体を起こすと、寝違えた首を正すかのようにゴキゴキと鳴らし始めた。
「いっててて着地失敗しちまったよ……」
ぼやくような声を漏らしながら、かったるそうに呟く人影。
その際、捲れ上がっていた改造した制服と特攻服らしき純白の衣装が晒され、眩い輝きを見せた。
「何? あの人、どこから落ちてきたの?」
思わず空を見上げて呟くビュティ。
その背後で、首領パッチたちが騒ぎ始めた。
「あ、アネゴ大変だ‼︎隣町の連中がカチコミに来やがった‼︎」
「どうしやすアネゴ‼︎」
「アネゴ⁉︎」
「騒ぐんじゃないよ‼︎ ポッと出のよそ者に舐められたいのかい⁉︎」
気色の悪い、厚化粧の不良女子高生の格好になった首領パッチと天の助が、ボーボボにすがるように視線を向ける。
スケ番の格好になったボーボボは、そんな二人にサングラス越しに鋭い目を向ける。
「テメーどこのどいつだい⁉︎ ここいらはあたいら
「マスカルポーネ⁉︎」
「……ん?」
背中を向けていたスケ番が、ボーボボの声に反応して振り返った。
鋭いツリ目に長い髪をまとめた白のメッシュの入った黒髪のリーゼント、どこか漢らしさを感じさせる顔立ちのスケ番は、女装姿のボーボボの姿を目にして目を輝かせた。
「お? おおおおお? よぉ! 久しぶりじゃねーか兄貴たち!」
「あらやだ⁉︎ なにあいつストーカー⁉︎ 怖い‼︎」
「あたいらの個人情報流出しちゃってるぅ‼︎」
親しげに手を振るスケ番。
しかしボーボボ達はくねくねしながら騒ぐばかりで全く知り合いのように見えない。
スケ番は落胆したように肩を落とした。
「ああ? んだよも〜。せっかくの再会だってのにさ〜」
バリバリと頭を掻くスケ番だったが、すぐさまその表情を変えた。
「ゾディアーツ真拳奥義『ベテルギウスの殴撃』!!!」
「ぎゃああああああああ!!?」
さっきから無視されまくった巨漢の怪物が、体の宝玉から無数の光弾を放ってきたからだ。
スケ番はすぐさま攻撃を躱したが、ボーボボ達は明らかなとばっちりで爆発に巻き込まれていた。
「うおおおなんだあいつ、メチャクチャ強ぇぞ‼︎」
「何者だ⁉︎」
戦慄の表情で怪物を凝視する首領パッチと天の助。
そんな二人に、怪物は棍棒のような武器を振り回しながら凶悪な顔を向けた。
「我が名、オリオンゾディアーツ……フォーゼ……倒す‼︎」
凄まじい殺気を振りまきながら、怪物・オリオンゾディアーツはスケ番の方を睨みつけた。
ボーボボ達は基本的に無視するつもりのようだった。
一方で狙われているスケ番の女は呆れたようにため息をつくと、そのうちニヤリと不敵な笑みを浮かべて見せた。
「まぁいいや。忘れたってんなら―――思い出させてやるよ」
そう言ってどこからか取り出したのは、4つのスイッチとレバーが取り付けられた奇妙な形の何か。
スケ番がそれを自分の腰に当てると、勢いよく金属の帯が伸びて巻き付いた。
ベルトとなったそれについた赤いスイッチを順に推していくと、ベルトから甲高い待機音が鳴り響く。スケ番はベルトのレバーを左手で握り、オリオンゾディアーツを見据えて身構えた。
《3・2・1》
「変身!」
そう叫んだ直後、がこんとレバーが動かされる。
スケ番の頭上に機械のリングが現れてスケ番の体を光が包み、凄まじい勢いの蒸気が噴き出す。突風のような勢いで吹き出されるスチームの中、スケ番の格好がみるみるうちに変わっていった。
制服はより鋭角的な純白の学ランに似たものに、両手足には○□×△のマークが入った装甲が付く。最後に額に宇宙船を模したような鉢金が巻き付き、耳の部分には宇宙船の翼のような装飾が装着される。
一瞬のうちに近未来的な鎧をまとったスケ番は、両こぶしを握り締めながらブルブルとしゃがみこむ。
「宇宙ぅぅぅぅぅ………キタ―――――――――‼︎」
天に向かって両拳を突き出し叫ぶスケ番。
その声は、宇宙の果ての果てまで届きそうに雄々しく強い声だ。
「さあ、タイマンはらしてもらうぜ‼︎」
勇ましく拳を突き出す、白い宇宙の力を秘めた戦士。
その名は、仮面ライダーフォーゼ!