【完結】ボボボーボ・ボーボボ ハジケウォーズ/フォースの覚醒   作:春風駘蕩

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奥義23:ミッション・イン・ハジケッシブル

 縦横無尽に無数に広がる、金属で覆われた通路。

 それを滑るように過ぎ去っていく丸いロボット達を、ヘッポコ丸とメテオは影から覗いていた。

 

「すごい数の警備ロボットだ…」

「さっきの突入で警戒度が上がったんだろう。慎重に行かねば」

 

 もっと静かに潜入できていればと思うが、もはや後の祭り。

 せめてこれ以上騒ぎが大きくなり、動きづらくならなければいいと願わずにはいられなかった。

 

(ボーボボさんや首領パッチ達、見つかってないだろうな…)

 

 しかし、別行動している彼らのことを考えると、淡い希望でしかなかった。

 

 

 ヘッポコ丸の懸念通り、バカ達が真面目に行動できるわけがなかった。

 本人達は至って真面目なつもりだが、内なる衝動がふざけざるをえないという、厄介な性質を持っていた。

 

「先輩、本当にバレてないんですか?」

「バカ、オレ達はスパイよ。バレてねーよ」

 

 なぜかウサギとリスの着ぐるみを着た首領パッチと天の助が、警備ロボットが行き交う中を恐る恐る進む。

 何を忍んでいるつもりか、それぞれの額には「すぱい」と書かれていた。

 

「でも、みんなに見られてる気が…」

「気のせいよ気のせい。もし見つかったとしても、『いえ、自分スパイですから』これでオールOKよ」

「さすが先輩」

「潜入なんて楽勝よ」

 

 やや不安げな天の助に対し、首領パッチは能天気に笑いながら進む。その通路を進んでいた全てのロボット達が見つめていることにも気づかずに。

 

《侵入者発見‼︎ 侵入者発見‼︎》

《排除シマス‼︎ 排除シマス‼︎》

「見つかった!!?」

 

 あっという間にロボット達が周りを取り囲み、首領パッチ達は信じられないと言った様子で目を剥く。

 無数のロボットアームで拘束された二人は、悔しそうに眉間にしわを寄せる。

 

「くっ、こうなったら…自分スッパイですから!!!! スッパイですからーー!!!!」

 

 天の助へのアドバイスを実行し、首領パッチがお酢とレモンを両手に叫びまくる。

 ギョッと目を見開いた天の助は、頭をぱかっと開いて噴水を噴き出させた。

 

 アナタはスッパくなーーい

 

 もはや何をどうしたいのかもわからないカオスが広がる。

 しかしそこにいるのは心なきロボット達ばかりで、なんとも言えない無意味な時間が過ぎ去っていった。

 

「スッパイですからー‼︎」

 

 騒がしい二人をよそに、包囲に加わっていない一台の警備ロボットが通路を横切る。

 何者かの物音を察知したその機体が、原因を確かめるべく扉をスライドさせる、すると。

 

「ほんっとムカつくのよあの変態教師!!?」

「今日もすっごい視線感じて気分最悪だったわ!!!」

「ぶ―――」

 

 なぜかJKの格好に着替えるボーボボとイザヨが、見知らぬ豚鼻の男とともに愚痴りまくっていた。

 おっさんと女性が一緒の部屋にいるというのに、なぜか微塵もいやらしさを感じなかった。

 

「ジロジロ私たちの方を見るだけじゃなくて、最近じゃベタベタ体まで触ってくるのよ!!?」

「しかもアイツなんかくっさいのよ‼︎ いいところなんて何にもないわ‼︎」

「訴えるブー! 訴えてやるブー‼︎」

 

 徐々に会話はヒートアップし、それに乗っかった豚鼻の男が怒りをあらわにする。

 ふとボーボボとイザヨが、名も知らぬその男に急に真顔を向けた。

 

「「ところでお前、誰?」」

「それだけは言えないブー」

 

 謎多き存在ブータンは、それ以降も決して自分の正体について語ろうとはしなかった。

 異様な格好の侵入者二人+一匹を、警備ロボットは決して見逃さなかった。

 

《侵入者、ハッケ……》

「やだ先生!!? 見てたの!!?」

《⁉︎》

 

 しかし、すぐさま他のロボットに知らせようとする直前、ハッと顔色を変えたボーボボとイザヨが声を上げる。

 一瞬フリーズしたロボットに向けて、イザヨが音もなく強烈な回し蹴りを撃ち放っていた。

 

「痴漢は死ね!!!!」

《ガガガピ―――!!!》

 

 警備ロボットはたまらず大破し、仲間に窮地を知らせることもできずに爆散してしまった。

 

「や〜んもうサイアク〜!」

 

 気色の悪い声と仕草で、ボーボボとイザヨが部屋を飛び出し駆け出していく。

 二人が向かう先には、無数の警備ロボットに組みつかれる、JKの格好の首領パッチ達の姿があった。

 

「スッパイですからスッパイですから‼︎」

「スッパくなーい!」

「鼻毛真拳奥義〜!」

「コズミック真拳奥義〜!」

 

 内股で走りながらボーボボは鼻毛を、イザヨはコズミックエナジーをみなぎらせ、警備ロボットに突撃していく。

 

 綺麗なバラには棘がある♡

 

《ガガゴガギギピ―――――!!!》

 

 思わぬ攻撃により、その場にいた警備ロボット達はことごとく破壊され、残骸があちこちに散らばることとなる。

 それを踏みつけにし、いつの間にか普段の姿に戻ったボーボボ達は吐き捨てるように告げるのだった。

 

「なめんなよ、鉄クズども」

「ゴキュ」

 

 自分の知らない世界を目の当たりにしてしまったブータンが、思わず息を呑みながら立ち尽くす。

 その日の夜、ブータンは興奮して眠れなかったという…。

 

 

 どこか遠いところから、何かが壊れる音や爆発音が聞こえてくる。

 原因に心当たりしかないビュティは、ついついため息をこぼしてしまうのだった。

 

「……案の定、あいつら大人しくできなかったみたいだな」

「でもいい具合に囮になってくれてるみたいだね」

 

 ソフトンが呆れたように視線をあげるのを見て、ビュティはせめてポジティブになろうと笑みを浮かべる。

 ボーボボ達に任せられた任務は、半ば成功しているようなものだった。

 

「この隙にコンピュータに爆弾を仕掛けて、あとは時間がくれば爆発してXVⅡを止めてくれる。これで間違いないよね?」

「楽勝じゃんか! じゃあ今のうちに打ち上げの用意しようぜ」

「早いよ‼︎ まだ設置も終わってないんだよ!!?」

 

 ロケットに積まれていた爆弾をセットしながら、さっさとシートを敷いて酒をビンを持ち出す田楽マンにツッコミを入れる。

 不意にビュティは、周囲を警戒していたソフトンが虚空を見つめていることに気づいた。

 

「……どうしたの?」

「いや…ちょっと胸騒ぎがしてな。このままあいつらの指示に従っていていいのかと」

「それって……あの人たちが嘘をついてるかもしれないってこと?」

「…あくまでオレの勘だがな」

「考えすぎだろ〜いいからお前らさっさと酒つげよ」

「もう祝勝気分になってる!!!」

 

 すでにほろ酔いになっている田楽マンは放っておいて、ソフトンの言うことにも一理あると、ビュティは手を止めて考え込んでいた。

 その時、ソフトンの勘が何者かの接近を伝えてきた。

 

「! 誰か来たぞ」

 

 ソフトンは眉間にしわを寄せ、ビュティをかばうように身構える。

 一瞬で酔いが覚めた田楽マンがビュティの背に隠れた時、それらはついに姿を現した。

 

「お前は……インガ‼︎」

 

 ソフトンは目の前に現れた二人組に驚きの声をあげる。

 妖艶な美女と黒い鋼鉄の騎士、幾度もボーボボ達の邪魔をしてきた二人が、またしても立ちはだかってきたのだから。

 

「やはり邪魔をするか……ならば手加減はできんぞ!」

「待ちなさい‼」

 

 戦闘体制に入りかけたソフトンは、あろうことかインガの声によって制止される。

 構えたままだったソフトンは、向かってくる様子がないインガ達を凝視し、少しだけ構えを解いていた。

 

「………あなた達、マルハーゲ帝国と戦ってきたのよね。だったらなんで…あいつらの言うこと聞いてるのよ…!!?」

「え…?」

「どういうことだ…?」

 

 訝しげに眉を寄せるビュティとソフトンに、インガは真剣な表情で告げる。

 この事件に隠された真実を、そして隠されていたおそるべき計画を。

 

「このままじゃ地球は、あなた達の手によって滅びることになるわよ!!!」

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