【完結】ボボボーボ・ボーボボ ハジケウォーズ/フォースの覚醒   作:春風駘蕩

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奥義24:戦い方改革

 長い長い、今度は細い通路をひたすらに歩く。

 気づけばそれまで追いかけてきていたロボット達の姿も見えなくなり、静かな時間が流れていた。

 

「とりあえず、向かってくるロボは全部片づいたな」

「油断すんなよ。どっから次の敵が現れるかわかったもんじゃねぇ」

 

 紆余曲折ありながら、結局合流してしまったボーボボ達。

 ビュティとソフトンが役目を終えるための囮になったはいいが、向かってくる敵がいなくなり、かなり暇を持て余すこととなった。

 

「ていうかそもそもよ、おれたちはどこにけばいいんだよ」

「安心しろお前ら……」

 

 どこまでも続く通路をひたすら歩き、文句を垂れる首領パッチにボーボボはニヒルに笑い、くいっとある方を指で示した。。

 

「ここにこんなに立派な地図がある!」

「おお! ありがたい!」

「これで迷わずにすむぜー‼︎」

「怪しすぎるでしょ!!?」

 

 道の途中にデカデカと取り付けられている見取り図に、歓喜するボーボボ達とは真逆にヘッポコ丸が目を剥いて叫ぶ。

 一体どう言う思考なら、敵が親切に道案内してくれると思うのか。

 

「どう見ても罠ですよボーボボさん‼︎」

「わかっちゃいないなヘッポコ丸……こんな敵陣のど真ん中に地図を置くバカがいるわけなどないことなど、オレ達にもわかっている…」

 

 本気でバカ達の頭を心配するヘッポコ丸に、ボーボボはくいっとサングラスを押し上げて嘆息する。

 まるで考えの足らない子供を諌めるような声に、ヘッポコ丸は思わず息を飲んでいた。

 

「よく考えろ。自分がもし敵の立場だったなら、見られたくないものは相手にどう伝える?」

「はっ…!」

「オレ達はすでに、XVⅡのメインコンピュータの位置を割り出している……気をぬくなと言ったはずだぞ」

 

 咎めるようなボーボボのセリフに、彼の意図を理解したヘッポコ丸が自身を恥じて口をつぐんだ。

 

(その通りだ…! あえて敵の策略に乗ることで、敵の情報の全てを入手する…! 正直ツッコミがオレ一人になってたから不安だったけど、これなら安心だ)

 

 何をするかわからないバカが3人と、クールに見せかけて実はボケ役のメテオ。

 こんな面子に不安を抱いていたが、決めつけてはいけなかったのだとヘッポコ丸は彼らの評価を改めた。

 

「行くぞ、お前ら‼︎」

「はい‼︎」

 

 案内図を確認したボーボボの合図で、戦士達は一斉に走り出す。

 完全に道のりを覚えた彼らは、蜘蛛の巣のように入り組んだ道を、まるで上から覗いているかのような正確さで突き進んで行った。

 そして、通路の先にまばゆい光が見えた瞬間。

 

「海開きじゃあああああああ!!!」

「わーーーいプールだーー♪!!!」

 

 一瞬で水着に着替え、その先にあった巨大な水の中に一斉に飛び込んでいった。

 先ほどの緊張感は、すでに幻のように消え去っていた。

 

「遊ぶ気満々じゃないっすか!!! ていうか何で衛星の中にプールが⁉︎」

 

 せっかく格好よかったのに、自分で台無しにしてしまったことにヘッポコ丸は激しいショックを受ける。

 その隣で、女物の水着を着た首領パッチがキラリと目を光らせた。

 

「ついに来たわね、この日が…」

 

 固い決意を目に宿し、首領パッチは巨大プールを鋭く見据える。

 思い返されるのは、彼がかつて体験した苦い記憶……真冬の雪山で買ったばかりの水着をお披露目した時だった。

 

「うう…寒い…すごく寒いわ…どうやら私…夏、さきどりしすぎたみたいね…」

 

 周りを厚着したスキーヤー達が滑り降りていく中、首領パッチは悩殺ポーズをとったままガチガチと震える。

 痛々しい姿の彼の隣を、スキーヤー達は見向きもせずに通り過ぎていった。

 

「今年の夏こそカッコイイ男にナンパされて、絶対に彼氏を作ってみせるわ…」

 

 大きな失敗と恥を覚えた首領パッチは、その悔しさをバネにこれまでを生きてきた。

 全ては、モテるために。女として輝くために。

 

「さぁ‼︎ どっからでもかかってきなさいイケメン水着男子!!!」

 

 もはや戦士のような凄まじい形相と化した首領パッチが、自分の魅力に惹かれた男を探して目を血走らせる。

 しかしそんな彼に、突如飛びかかる白い影があった。

 

「このバカ野郎!!!!」

「もるすぁ!!?」

 

 いきなり横から遠慮なしの飛び蹴りをくらい、首領パッチは血反吐を吐きながら吹っ飛ばされる。

 ダンっと仁王立ちしたイザヨは、ビクンビクンと痙攣する首領パッチに向けて大きく声を張り上げた。

 

「水に入るのはまず先に準備体操してからだろうが!!!」

「えぇ⁉︎ そっち⁉︎」

 

 てっきりふざけまくっていることへのツッコミと思ったのに、全く見当違いの叫びをあげるイザヨ。

 そんな彼らに、ヘッポコ丸は完全に白けた様子で冷めた声をかけた。

 

「真面目にやってください」

「えー」

「かたいこというなよー」

 

 定期的にボケていないと気が済まないのか、コントの邪魔をされたボーボボ達が不満の声をあげる。その中にメテオまで混ざっているのだから救いようがなかった。

 

「とにかくさっさと先を急がないと…」

 

 使命感で厳しい表情を見せるヘッポコ丸が、ボーボボ達を促そうとしたときだった。

 またしても、あたりにけたたましい警報音が鳴り響き始めた。

 

《侵入者発見、侵入者発見。コレヨリ自動排除こまんどヲ発令シマス》

 

 そんな電子音声が聞こえてくると、突如ボーボボ達が入っていたプールの水が割れ、中から巨大なカプセルのようなものが三つせり出してきた。

 カプセルは勢いよく蒸気を放ち、左右に割れて何か人影のようなものを吐き出そうとしていた。

 

《破損シタ警備ろぼっとノ被害報告ニ基ヅキ、第一級せきゅりてぃしすてむ『ぎんがおー』オヨビ『さどんだす』ヲ解凍シマス。危険デスノデ、施設内ニイル職員ハ速ヤカニ避難シテクダサイ》

「セキュリティシステムだと⁉︎」

「こっちが本命か! どうりで手応えない奴らだと思ったぜ!」

 

 この場所は、プールなどではなかった。

 侵入者を全力で排除する強力な兵器を封印する、冷却装置のための設備だったのだ。

 しかし首領パッチ達は、ようやく暴れられるとよりやる気を漲らせ始めていた。

 

「グオオオオオオオオオオ!!!」

「ダースダスダスダスダス!!!」

 

 まずは左右のカプセルが開き、ドラゴンのような二足歩行の怪物が目覚めの咆哮をあげる。

 その姿を目にしたイザヨは、驚きで大きく目を見開いていた。

 

「あいつらはサドンダス…‼︎ 昔戦ったことがある、改造生物兵器じゃねぇか!!! しかも…真ん中のやつは…‼︎」

 

 続いてイザヨが、サドンダス達の間のもう一つのカプセルを凝視する。

 カプセルが完全に開かれると、中にいた人型の異形はぎらりと目を光らせ、イザヨ達を鋭く見据えた。

 

『……侵入者ヲ探知。コレヨリ排除活動ヲ開始シマス』

 

 抑揚のない、機械のような声で異形がつぶやく。

 するとその直後、異形はごきりと首を鳴らし、大量の煙を吐きながらいらだたしげに両手の拳を握りしめた。

 

『ククク……この超銀河王を駒扱いするとは生意気な兵器め…‼︎ この借りはいずれ何倍にも変えて返してくれる!!! なぁ、イザヨ!!!』

「やつを知っているのか、イザヨ⁉︎」

「あいつも昔倒した敵だ。まさかサイボーグとして蘇っていようとはな…」

 

 はっきりとした敵意を向けられたイザヨは、険しい表情で超銀河王と名乗る怪物を睨みつける。

 その態度から、かつて彼女も相当苦戦させられた相手なのだと、ボーボボ達も察することができた。

 

『しかしまずは……散々邪魔をしてくれたイザヨ!!! 貴様から排除するとしようか…!!!』

「上等だ‼︎ かかってきやがれ!!!」

 

 真正面から宣戦布告する超銀河王に、ボーボボ達は不敵な笑みを返すことで応える。

 目の前に立ちはだかると言うのなら、そのことごとくを踏み潰して行くまでだった。

 

「タイマンはらしてもらうぜ!」

「俺の運命(さだめ)は、俺が決める!」

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