【完結】ボボボーボ・ボーボボ ハジケウォーズ/フォースの覚醒   作:春風駘蕩

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奥義26:魚雷無双

 凄まじい剣幕で登場した最強の女傑に、ボーボボたちは顔を真っ青にして震えあがる。

 当の魚雷ガールは、「あら、くつずれ」としゃがんで自身のヒールを確かめると、ボーボボたちにキッと鋭い視線を向け始めた。

 

「あんたたちまたふざけてたわね!!?」

「いえ滅相もございません‼︎」

「むしろぼくたちギャグコメディにあるまじきシリアスしてました‼︎」

「うそおっしゃい‼︎」

 

 またあんな突撃を何発も食らわされてはたまらないと、号泣しながら命乞いするボーボボたちだが、魚雷ガールは一切耳を貸してはくれなかった。

 

「三人揃って変な踊りしてたじゃないの‼︎ 先生ちゃんと見てたのよ!!?」

「何話前の話してんですか!!?」

 

 どうやら前回、ゾディアーツの幹部たちを蹴散らすためにやった奥義が、後になって効いたらしい。なんという勘の悪さであろうか。

 

「アイツらが悪いんです‼︎ ふざけないとあの変な格好むりやり着せるって言われて…!!!」

「ぼくたちだって被害者なんです〜〜〜!!!」

「なすりつけた!!!」

 

 正論は通じないと悟ったボーボボたちは、あろうことか超銀河王に恨みがましげな目を向けだした。

 あまりの暴挙にヘッポコ丸が目を剥いて叫ぶが、それを聞いた魚雷ガールは途端に怒気を収め、優しげな目をボーボボたちに向けた。

 

「そう…大変だったのね。先生、一方的に怒って悪かったわ」

 

 ボーボボたちの苦労を労わるように、それぞれの頭を撫でる魚雷ガール。

 だがその目が、次の瞬間ギラリと鋭い光を放った。

 

「ケンカ両成敗ギョラ―――――――!!!!」

「「「「ぎゃああああああああああああああ!!!!」」」」

 

 情け容赦なく、エンジンを点火させた魚雷ガールが天に向かって飛ぶ。

 真正面から突撃を食らったボーボボたちは血反吐を吐きながら、超銀河王やサドンタスたちを巻き込んで吹っ飛ばされた。

 

『くっ…! なんだあのバケモノは…⁉︎』

 

 ダメージを受けながらも、どうにか体勢を立て直した超銀河王は魚雷ガールに戦慄の目を向ける。

 その時、雑誌を読みながらくつろぎ始めた魚雷ガールのもとに、メテオが歩み寄って深々と頭を下げた。

 

「お久しぶりです、魚雷姐さん」

「ギョラ? あらやだメテオじゃない‼︎ 何年ぶりよ!!?」

「知り合い⁉︎」

「僕の叔母さんにあたる人で……」

 

 意外な接点にまたも驚かされるヘッポコ丸に、メテオが照れ臭そうに紹介する。

 が、その紹介の仕方がまずかった。

 

「誰がオバさんギョラ―――――!!!!」

「ごべらっ!!!」

「メテオ――――――!!!」

 

 親戚という意味でのおばさん呼びでも、魚雷ガール的にはアウトだったらしい。甥っ子であっても一撃に一切の躊躇いがなかった。

 味方が次々に犠牲になっていく姿に、超銀河王は憎たらしい笑い声をあげていた。

 

『フン……味方を呼んだつもりで、とんでもない奴を呼び寄せたようだな。これは滑稽だ!』

「ギョラ?」

 

 聞こえてきたその声に、魚雷ガールは容赦なく視線を向ける。

 超銀河王のどう見ても悪役らしい格好と、左右に控える異形の姿に、彼女は納得した様子で頷いた。

 

「なるほど。だいたいわかったギョラ………よくも私の可愛い生徒達を痛めつけてくれたわね」

「いいぞいいぞ〜!」

「魚雷先生がいればもう怖くもなんともねぇぜ〜!!!」

 

 ここにきてようやく敵が誰なのかを察してくれたことで、首領パッチと天の助が喜びの声を上げる。『ボーボボ』史上最強の彼女が味方になったのなら、最早勝利は確定したも同然だからである。

 だが、その目論見はやはり甘かった。

 

「いくわよ!!!」

「無理やり引きずられていった―――!!!!」

 

 敵を見据えた魚雷ガールが、バカ二人の足を掴んで発射される。

 悲鳴を上げて連れ去られた首領パッチと天の助は、サドンダスたちに向かって爆撃のように放り出されていた。

 

 バカ爆弾

 

「「ぐばっ⁉」」

「うわあああ大丈夫かお前ら――!!?」

 

 初っ端から武器扱いされた二人が、爆発とともに吹っ飛んでいく姿にヘッポコ丸が絶叫する。

 一方で直撃を受けたサドンダスたちも、多大なダメージを食らわされていた。

 

「ごへぇっ!!!」

「くっ……強い!」

 

 突然現れた新たな敵に、異形たちは油断を捨てて本気の迎撃態勢に入る。

 だがそれでも、形勢は一気にボーボボたちに傾いていっているのは明らかだった。

 

「この勢いならいける!」

「よっしゃあ!!! オレもお願いしますぜ魚雷先生!!!」

 

 たのもしい味方が現れたことでイザヨがやる気を漲らせ、新たなスイッチをベルトの装着した。この勢いに乗っかるつもりのようだ。

 

Board On(ボード・オン)】【Winch On(ウィンチ・オン)

「コズミック魚雷協力奥義『南海制覇大作戦』!!!!」

 

 右脚にボードを備えたイザヨが、空中を飛び回る魚雷ガールに向けて、左腕に備えたフック付きのワイヤーを巻き付ける。

 自身に巻き付いたかたい感触に、魚雷ガールは頬を赤く染めて目を見開いた。

 

「ヤダ! この子ったら昼間から縄プレイする気!!? 過激‼︎ 最近の子って過激!!!」

 

 見た目は鋼鉄の体にワイヤーが巻き付いているだけなのだが、そういうイメージを持ってしまった魚雷ガールの思考は一気にピンクに染まる。

 その羞恥が、魚雷ガールのエンジンにさらなる燃料を投下した。

 

 強制協力奥義『真夏のフライアウェイ』!!!

「恥ずかし魚雷ー!!!」

「ぎゃあああああ!!!」

「イザヨ――――!!!」

 

 ボードを乗りこなす暇もなく、ワイヤーに引っ張られたイザヨが魚雷に引きずられていく。

 連携も何もあったものではなかった。

 

「もう、先生魚雷なんだから手荒に扱っちゃダメって言ったでしょ!」

「ガハッ、ゴハッ」

「全員そこに正座!!!」

 

 血反吐を吐くイザヨを気にすることもなく、魚雷ガールはボーボボたちに厳しい目を向けて一か所に集める。

 居心地悪そうに目を背ける彼らを見下ろした魚雷ガールは、慈愛に満ちた表情で全員を抱き寄せた。

 

「でももう許してあげる。だってみんな私のカワイイ生徒だもの」

(相変わらず意味わかんねー‼︎)

 

 最初にあった時からできている教師と生徒という関係性に、いまだに納得できないボーボボたちがげんなりする。

 だが、魚雷ガールがきちんと協力する気になったのは確かだった。

 

「さあ‼︎ このまま一気にあの変な連中たたむわよ‼︎」

「ハイ、先生‼︎」

 

 魚雷の声で、ボーボボたちは今戦うべき相手をもう一度確認する。

 そして全員で一斉に、乾いた衣服を取り出してきれいにたたみ始めた。

 

「たためたためー!!!」

(洗濯物を――!!?)

「洗濯物に絡みつく魚雷〜〜♪」

(変な歌口ずさんだ‼︎)

 

 突然舵を始め、ついでに意味のわからない小唄まで口ずさむ仲間達に、ヘッポコ丸はもう理解が追い付かない。

 やがて彼らは、顔を見合わせると「せーの」と声を合わせ。

 

「「「「「「ふざけすぎ―――!!!」」」」」」

「お前ら息合い過ぎだろ―――!!!!」

 

 全員が魚雷と同じような顔になって、サドンダスたちに激突し吹っ飛ばす。

 壁を砕きながら倒れた二体の異形に向けて、まだ魚雷と同じ顔になったボーボボたちはビシッと指を突き付けて言い放った。

 

「キサマら程度では私の相手ではない!!! なぜなら私達は魚雷だから!!!」

「オレも!!?」

 

 いつの間にかヘッポコ丸も集団の中に入らされていて、意味不明な名乗りに強制的に参加させられる。

 超銀河王はそれを見やり、不敵な含み笑いをこぼした。

 

『……なるほど、確かにお前達は脅威的な力を持っているようだ』

 

 そして超銀河王は、倒れ伏す二体の異形の配下を見下ろし、何かを考えこむ。

 それに気づかないサドンダスたちは、ダメージの残る体でどうにか起き上がろうとし、ボーボボたちを睨みつけた。

 

「クソォォ……‼︎」

「このままではすまさんぞ…‼︎」

「王よ、この屈辱は我らに雪がせていただきたく…!」

「叩き潰してやるダス‼︎」

『………必要ない』

 

 反撃に意気込む二体の異形だったが、超銀河王はそれを一蹴する。

 そしてその手が、サドンダスたちの肩にそれぞれ置かれ、怪しい光が迸ったと思った瞬間。

 サドンダスたちの身体が、粒子状に分解され吸い込まれ始めた。

 

「ぎゃあああああああかっ…からだがああ!!?」

「お、王よ⁉︎ 一体何を!!?」

『その力…全てを私に捧げるがいい!!!』

 

 悲鳴を上げる異形たちに、超銀河王は冷たい声で告げる。

 突然の事態に凍り付くボーボボたちの前で、配下を全てのみ込んだ超銀河王は、全身から凄まじいエネルギーを漲らせ、悍ましく目を光らせた。

 

『超銀河王………レベルアップ』

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