【完結】ボボボーボ・ボーボボ ハジケウォーズ/フォースの覚醒 作:春風駘蕩
凄まじい剣幕で登場した最強の女傑に、ボーボボたちは顔を真っ青にして震えあがる。
当の魚雷ガールは、「あら、くつずれ」としゃがんで自身のヒールを確かめると、ボーボボたちにキッと鋭い視線を向け始めた。
「あんたたちまたふざけてたわね!!?」
「いえ滅相もございません‼︎」
「むしろぼくたちギャグコメディにあるまじきシリアスしてました‼︎」
「うそおっしゃい‼︎」
またあんな突撃を何発も食らわされてはたまらないと、号泣しながら命乞いするボーボボたちだが、魚雷ガールは一切耳を貸してはくれなかった。
「三人揃って変な踊りしてたじゃないの‼︎ 先生ちゃんと見てたのよ!!?」
「何話前の話してんですか!!?」
どうやら前回、ゾディアーツの幹部たちを蹴散らすためにやった奥義が、後になって効いたらしい。なんという勘の悪さであろうか。
「アイツらが悪いんです‼︎ ふざけないとあの変な格好むりやり着せるって言われて…!!!」
「ぼくたちだって被害者なんです〜〜〜!!!」
「なすりつけた!!!」
正論は通じないと悟ったボーボボたちは、あろうことか超銀河王に恨みがましげな目を向けだした。
あまりの暴挙にヘッポコ丸が目を剥いて叫ぶが、それを聞いた魚雷ガールは途端に怒気を収め、優しげな目をボーボボたちに向けた。
「そう…大変だったのね。先生、一方的に怒って悪かったわ」
ボーボボたちの苦労を労わるように、それぞれの頭を撫でる魚雷ガール。
だがその目が、次の瞬間ギラリと鋭い光を放った。
「ケンカ両成敗ギョラ―――――――!!!!」
「「「「ぎゃああああああああああああああ!!!!」」」」
情け容赦なく、エンジンを点火させた魚雷ガールが天に向かって飛ぶ。
真正面から突撃を食らったボーボボたちは血反吐を吐きながら、超銀河王やサドンタスたちを巻き込んで吹っ飛ばされた。
『くっ…! なんだあのバケモノは…⁉︎』
ダメージを受けながらも、どうにか体勢を立て直した超銀河王は魚雷ガールに戦慄の目を向ける。
その時、雑誌を読みながらくつろぎ始めた魚雷ガールのもとに、メテオが歩み寄って深々と頭を下げた。
「お久しぶりです、魚雷姐さん」
「ギョラ? あらやだメテオじゃない‼︎ 何年ぶりよ!!?」
「知り合い⁉︎」
「僕の叔母さんにあたる人で……」
意外な接点にまたも驚かされるヘッポコ丸に、メテオが照れ臭そうに紹介する。
が、その紹介の仕方がまずかった。
「誰がオバさんギョラ―――――!!!!」
「ごべらっ!!!」
「メテオ――――――!!!」
親戚という意味でのおばさん呼びでも、魚雷ガール的にはアウトだったらしい。甥っ子であっても一撃に一切の躊躇いがなかった。
味方が次々に犠牲になっていく姿に、超銀河王は憎たらしい笑い声をあげていた。
『フン……味方を呼んだつもりで、とんでもない奴を呼び寄せたようだな。これは滑稽だ!』
「ギョラ?」
聞こえてきたその声に、魚雷ガールは容赦なく視線を向ける。
超銀河王のどう見ても悪役らしい格好と、左右に控える異形の姿に、彼女は納得した様子で頷いた。
「なるほど。だいたいわかったギョラ………よくも私の可愛い生徒達を痛めつけてくれたわね」
「いいぞいいぞ〜!」
「魚雷先生がいればもう怖くもなんともねぇぜ〜!!!」
ここにきてようやく敵が誰なのかを察してくれたことで、首領パッチと天の助が喜びの声を上げる。『ボーボボ』史上最強の彼女が味方になったのなら、最早勝利は確定したも同然だからである。
だが、その目論見はやはり甘かった。
「いくわよ!!!」
「無理やり引きずられていった―――!!!!」
敵を見据えた魚雷ガールが、バカ二人の足を掴んで発射される。
悲鳴を上げて連れ去られた首領パッチと天の助は、サドンダスたちに向かって爆撃のように放り出されていた。
バカ爆弾
「「ぐばっ⁉」」
「うわあああ大丈夫かお前ら――!!?」
初っ端から武器扱いされた二人が、爆発とともに吹っ飛んでいく姿にヘッポコ丸が絶叫する。
一方で直撃を受けたサドンダスたちも、多大なダメージを食らわされていた。
「ごへぇっ!!!」
「くっ……強い!」
突然現れた新たな敵に、異形たちは油断を捨てて本気の迎撃態勢に入る。
だがそれでも、形勢は一気にボーボボたちに傾いていっているのは明らかだった。
「この勢いならいける!」
「よっしゃあ!!! オレもお願いしますぜ魚雷先生!!!」
たのもしい味方が現れたことでイザヨがやる気を漲らせ、新たなスイッチをベルトの装着した。この勢いに乗っかるつもりのようだ。
【
「コズミック魚雷協力奥義『南海制覇大作戦』!!!!」
右脚にボードを備えたイザヨが、空中を飛び回る魚雷ガールに向けて、左腕に備えたフック付きのワイヤーを巻き付ける。
自身に巻き付いたかたい感触に、魚雷ガールは頬を赤く染めて目を見開いた。
「ヤダ! この子ったら昼間から縄プレイする気!!? 過激‼︎ 最近の子って過激!!!」
見た目は鋼鉄の体にワイヤーが巻き付いているだけなのだが、そういうイメージを持ってしまった魚雷ガールの思考は一気にピンクに染まる。
その羞恥が、魚雷ガールのエンジンにさらなる燃料を投下した。
強制協力奥義『真夏のフライアウェイ』!!!
「恥ずかし魚雷ー!!!」
「ぎゃあああああ!!!」
「イザヨ――――!!!」
ボードを乗りこなす暇もなく、ワイヤーに引っ張られたイザヨが魚雷に引きずられていく。
連携も何もあったものではなかった。
「もう、先生魚雷なんだから手荒に扱っちゃダメって言ったでしょ!」
「ガハッ、ゴハッ」
「全員そこに正座!!!」
血反吐を吐くイザヨを気にすることもなく、魚雷ガールはボーボボたちに厳しい目を向けて一か所に集める。
居心地悪そうに目を背ける彼らを見下ろした魚雷ガールは、慈愛に満ちた表情で全員を抱き寄せた。
「でももう許してあげる。だってみんな私のカワイイ生徒だもの」
(相変わらず意味わかんねー‼︎)
最初にあった時からできている教師と生徒という関係性に、いまだに納得できないボーボボたちがげんなりする。
だが、魚雷ガールがきちんと協力する気になったのは確かだった。
「さあ‼︎ このまま一気にあの変な連中たたむわよ‼︎」
「ハイ、先生‼︎」
魚雷の声で、ボーボボたちは今戦うべき相手をもう一度確認する。
そして全員で一斉に、乾いた衣服を取り出してきれいにたたみ始めた。
「たためたためー!!!」
(洗濯物を――!!?)
「洗濯物に絡みつく魚雷〜〜♪」
(変な歌口ずさんだ‼︎)
突然舵を始め、ついでに意味のわからない小唄まで口ずさむ仲間達に、ヘッポコ丸はもう理解が追い付かない。
やがて彼らは、顔を見合わせると「せーの」と声を合わせ。
「「「「「「ふざけすぎ―――!!!」」」」」」
「お前ら息合い過ぎだろ―――!!!!」
全員が魚雷と同じような顔になって、サドンダスたちに激突し吹っ飛ばす。
壁を砕きながら倒れた二体の異形に向けて、まだ魚雷と同じ顔になったボーボボたちはビシッと指を突き付けて言い放った。
「キサマら程度では私の相手ではない!!! なぜなら私達は魚雷だから!!!」
「オレも!!?」
いつの間にかヘッポコ丸も集団の中に入らされていて、意味不明な名乗りに強制的に参加させられる。
超銀河王はそれを見やり、不敵な含み笑いをこぼした。
『……なるほど、確かにお前達は脅威的な力を持っているようだ』
そして超銀河王は、倒れ伏す二体の異形の配下を見下ろし、何かを考えこむ。
それに気づかないサドンダスたちは、ダメージの残る体でどうにか起き上がろうとし、ボーボボたちを睨みつけた。
「クソォォ……‼︎」
「このままではすまさんぞ…‼︎」
「王よ、この屈辱は我らに雪がせていただきたく…!」
「叩き潰してやるダス‼︎」
『………必要ない』
反撃に意気込む二体の異形だったが、超銀河王はそれを一蹴する。
そしてその手が、サドンダスたちの肩にそれぞれ置かれ、怪しい光が迸ったと思った瞬間。
サドンダスたちの身体が、粒子状に分解され吸い込まれ始めた。
「ぎゃあああああああかっ…からだがああ!!?」
「お、王よ⁉︎ 一体何を!!?」
『その力…全てを私に捧げるがいい!!!』
悲鳴を上げる異形たちに、超銀河王は冷たい声で告げる。
突然の事態に凍り付くボーボボたちの前で、配下を全てのみ込んだ超銀河王は、全身から凄まじいエネルギーを漲らせ、悍ましく目を光らせた。
『超銀河王………レベルアップ』