【完結】ボボボーボ・ボーボボ ハジケウォーズ/フォースの覚醒   作:春風駘蕩

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奥義27:最強×最凶×最恐

『ククク……力が、力が湧き上がってくるぞ……‼︎ なんと心地のいい力だ……!!!』

 

 凄まじいオーラを背負った超銀河王が、一つ目を妖しく真っ赤に輝かせて嗤う。

 二体の異形たちを糧にした彼の力は今、急上昇を始めていた。

 

「ヤロウ…仲間をなんてことに!!?」

「外道‼︎ 外道だわ‼︎ あんなことする奴の気が知れない‼︎」

「…………」

 

 オネエ言葉で騒ぐボーボボを見たヘッポコ丸は、何とも言えない表情で黙り込む。普段彼自身が行っている仲間への非道の数々が思い出されるからだ。

 そんな彼らの前で、超銀河王はくいっと人差し指を曲げる。

 

 その途端、強烈な衝撃波が地面を走り、巨大な亀裂を刻みつけた。

 

「…あ、…あ…」

 

 すぐ目の前を走る地割れに、ヘッポコ丸は恐怖でその場に座り込む。

 首領パッチも天の助も田楽マンも、驚愕のあまり目玉を思い切り伸ばして棒立ちになっていた。

 

『…私がこうなった以上、キサマらがこれからどうなるか、わかるか?』

 

 ゴゴゴゴゴ、と大気を揺らし、超銀河王が一歩ずつボーボボたちに近づいていく。

 獲物をゆっくりと追い詰めていくように、緊張で硬直する戦士達に向かって近づいて行った。

 

「ああ…」

 

 ボーボボたちは恐怖する。自分たちが前にしている怪人は、最早数秒前とは別の存在になっているのだと。

 

「あああ…」

 

 そして想像してしまう。天の助はマントに丁寧にくるまれる自分を、首領パッチは超銀河王の顔をヘッドライトのように被る姿を。

 そしてボーボボは、捨て猫にマントをかぶせてやっている超銀河王に「ぽッ」となる自分を想像して、恐怖をあらわにするのだった。

 

「イヤアアアアアア!!!」

「いや、どの考えもありえないですから!!!!」

 

 わけのわからない想像図に、耐えきれずヘッポコ丸がツッコミを入れる。

 何が一体恐ろしいのか、何をどうやったらそんな想像に辿り着くのか、全く分からなかった。

 

「今のワタシは…奴ラにも止めラレん…‼︎ ワタシをここまで怒ラせたコトを後悔すルガいい……!!!」

「上等だ‼︎ 貴様をブッ潰してオレたちは進む!!!」

 奥義『TOUGH BOY』

 

 しかしボーボボたちはすぐさま我に返り、超銀河王の挑発に乗って真正面から突っ込んでいく。

 いつの間にかその姿は、荒廃した近未来で生きる荒くれのような格好になっていた。

 

「何だこの荒んだ時代的な技!!?」

 

 ヘッポコ丸の叫びも無視し、ボーボボたちは改造バイクにまたがったまま超銀河王に向かっていく。

 それを迎え撃つ超銀河王の目が、さらに眩しく光り輝いた。

 

『真の王の力を見るがいい!!!!』

 

 そう咆哮が上がった瞬間、ボーボボたちの周囲の空気が一変する。

 宇宙のような、別世界のような、得体の知れない空間に包まれ、ボーボボたちの動きが止まってしまった。

 

「何だ今の光景は⁉︎ さっきのやつか!!?」

「いや違う‼︎ 別次元の力だ‼︎」

 

 自身を襲った奇妙な感覚に、ボーボボも首領パッチも顔を引きつらせ、犯人である超銀河王を戦慄の表情で凝視する。

 時間を操ったわけではないことにすぐに気づき、イザヨがみんなを奮い立たせた。

 

「これ以上奴を強化させるな‼︎」

「飛ばせ野郎ども――――!!!」

 

 再びバイクのエンジンを吹かせ、突進を再開する世紀末ファッションのボーボボたち。

 超銀河王はそれを見据えながら、強大なオーラを纏った両手を左右に広げてみせた。

 

「千貌にして狂気と混乱の邪悪な神よ…‼︎ 外より来たりて破壊をもたらせ…!!!」

 

 その直後、超銀河王を中心とした空間が歪む。

 それに気づいた時にはすでに、ボーボボたちは辺り一面の空間から生えた無数の多種多様な腕に囲まれてしまっていた。

 

「『ナイアルラトホテップの狂騒歌』!!!!!」

「ぎゃあああああああああああ!!!!」

 

 マシンガンのような勢いで襲い掛かってくる異形の腕の猛襲により、ボーボボたちは血反吐を吐きながら思い切り吹き飛ばされる。

 予想外の攻撃を受けたボーボボたちは吹き飛ばされた先で倒れ込み、消えていく無数の腕に目を見開いた。

 

「何だ、今のは⁉︎ こっちの攻撃がかき消された!!?」

「アイツ怖くなってるし……ムリだよ‼︎ 勝てねえよ‼︎」

「諦めるな‼︎ 奴がどれだけ強くなろうと、突破口はあるはずだ!!!」

「もはやワタシはぁ‼︎ キサマら人類ナド遠く及ばぬ存在ぃぃ!!! 汚らわしい手で近づくなぁぁぁぁ!!!」

 

 なんとか攻略法を見出そうと目を凝らす一味だが、目の前に立ちはだかる敵がそれを待っているはずもない。

 今度は超銀河王の前方の空気が揺らぎ、一瞬にして深紅の炎が吹き荒れ始めた。

 

「『クトゥグアの拷問録』!!!!」

「おあちゃあああああああ!!?」

 

 あたり一面を覆う業火により、ボーボボたちはあっという間に火だるまになる。

 炎は周囲の壁や物体にまで燃え移り、火災はさらに激しさを増していった。

 

「まずいぞ‼︎ 炎に囲まれる‼︎」

「よし、オレに任せろ!!!」

 

 行動範囲が狭められることを危惧したイザヨが叫ぶと、不敵な笑みを浮かべたボーボボが動いた。

 首領パッチを捕まえると、自らが奇妙な装置がついた機械となり、火災の中心に陣取ったのだ。

 

「何だコレ⁉︎」

「セットアップ!」

「ぎゃああああああ‼︎」

 

 ボーボボは捕まえた首領パッチを自分のアフロの中に押し込み、ガシャンガシャンと音を鳴らしながら分解と再構築を開始する。

 するとアフロの中からもくもくとオレンジ色の煙が立ち上り、火消しの格好の首領パッチを降らせ始めた。

 

「これで安心♪ 奥義『火消しアタック』!!!!」

「うわあああ新手の地獄絵図だ―――――――!!!」

 

 雨ではなく無数の首領パッチが降ってきて、火消し衣装で暴れまわる光景は悪夢にしか思えない。

 ギャーギャーと騒がしくなる一向に、今度は超銀河王が自ら迫っていった。

 

「ワタシを前にぃ…よそ見をするなぁぁぁぁ!!!」

 

 片手にオーラを集め、ボーボボたちに炸裂させようと振りかぶる。

 しかしその直前に、二つのスイッチを備えたイザヨが立ちはだかった。

 

「任せろ、オレが止めてやる!!!」

【Water On】【Freeze On】

 

 イザヨがスイッチを押すと、新たな武装が彼女の両足に張り付く。

 しかしそれらはどう見ても、台所で必ずお目にかかったことがある生活用品しか見えなかった。

 

「冷蔵庫と蛇口!!? ハズレだろこれ!!!」

 

 イザヨの両足に備わった二つの武装に、絶対役に立たないとヘッポコ丸が目を剥く。

 それに構わずイザヨは超銀河王に蛇口を向け、凄まじい量の放水と冷蔵庫による吹雪を放ってみせた。

 

「コズミック真拳奥義『カチコチブリザード』!!!!」

(冷蔵庫と蛇口が大活躍―――――!!!)

 

 全身に水を被った超銀河王が、吹雪により凍り付かされていく。

 あっという間に氷の彫刻にように固まってしまったように見えたが、氷の中で不気味な赤い目の光がとぎれることはなかった。

 

「ムダダァ…‼︎『ティンダロスの狩猟劇』ぃ!!!!」

「ぐあああああ!!!」

 

 一瞬にして氷を砕いた超銀河王が、影の中から無数の異形の猟犬を呼び出してイザヨに襲い掛からせる。

 鋭い牙で噛みつかれたイザヨは、どうにか猟犬を払いのけたが、痛みでがくりと膝をついてしまった。

 

「くっ…手強い‼︎」

『ハハハハハハハ!!! どうだ素晴らしいだろう!!! 私の奏でる破壊狂想曲は!!?』

 

 傷つき倒れていく、自分に仇為す敵の姿に、超銀河王は満足げに哄笑を上げる。

 だがそんな彼の脳天に、突然すさまじい衝撃が襲い掛かった。

 

雑音!!!!

『が!!!』

 

 凄まじい形相になった魚雷ガールが、余裕の笑い声をあげていた超銀河王を殴りつけて地面にめり込ませる。

 ボーボボたちは師の再登場に、半身を地面にめり込ませてピースするという奇妙なポーズを取り始めた。

 

「待ってました魚雷先生―――!!!!」

「何だそのポーズ!!?」

 

 相手を敬うポーズらしいが、初めて見るヘッポコ丸にはもう意味が分からない。

 魚雷ガールはそんな事は一切気にせず、膝をつく超銀河王にぎろりと鋭い目を向けた。

 

「アンタどうしてくれんのよ‼︎ アンタがどんぱち騒ぐせいで…セーターの絵、縫い間違えちゃったじゃないのよ――――――!!!」

 

 涙を流して、出来損ないのセーターを見せる魚雷ガール。

『I LOVE ソフトン♡』と作りたかったであろう絵柄は、何の嫌がらせか和式便所で頑張っている絵柄に変わり果てていた。

 

(ありえね――――――!!! 思いっきり八つ当たりだろこれ――――――!!!)

「先生―――!!!」

「その心の痛みわかります―――――!!!」

 

 騒音に邪魔された程度では絶対起こしえない失敗だが、同情の涙を流した首領パッチと天の助がつられて駆け寄っていく。

 しかし魚雷ガールは、二人を思いっきりシバキ倒して拒絶した。

 

「キャ、痴漢!!!」

「ぎゃ!」「ぐわっ!」

 

 血反吐を吐いて倒れこむ二人に、ヘッポコ丸は何とも言えない心地で黙り込む。

 そんなやり取りを見ながら、超銀河王はさらなる嘲笑の声をこぼした。

 

『ククク…その程度の攻撃ナド、私ニは効かナイ………私こソガ、究極ダ』

 

 超銀河王が口を開くたびに、彼が放つオーラは凄まじさを増していく。体に受けたダメージが帳消しになるほどの勢いで、力を増し続けているのだ。

 

『たっタ8匹群れたトコろで…‼︎』

「フッ…呆れたものね。こんなに簡単な計算もできないのかしら?」

 

 だが、さらなる力を手に入れて高揚する異形を、魚雷ガールが一笑する。

 不敵な笑みを浮かべた彼女は、おもむろにピッと自分の頭上を親指で示した。

 

「もう一人まだいるギョラよ」

『何!!?』

 

 魚雷ガールの指摘に、超銀河王は表情を変えて辺りを見渡し始める。

 まさか、別動隊がすぐそばまで迫っているのか、と警戒を始めた異形だったが、その予想は大きく外れていた。

 超銀河王の頭上の天井が、突然爆発したからだ。

 

【Rocket LIMIT BREAK】

「宇宙から……わ〜た〜し〜が〜キタ――――――!!!!」

『ぐわああああああ!!!』

 

 天井に空いた穴から、一人のセーラー服を纏った少女が突っ込んできて、超銀河王に跳び蹴りを食らわせる。

 自分と同じロケットモジュールを備えたその少女を見て、イザヨは思わず大きく目を見開くのだった。

 

「なでしこ〜〜〜〜〜!!?」

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