【完結】ボボボーボ・ボーボボ ハジケウォーズ/フォースの覚醒   作:春風駘蕩

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奥義3:宇宙戦士イザヨ

Rocket On(ロケット・オン)

「コズミック真拳奥義『ライダーロケットパンチ』‼︎」

 

 オレンジの光に包まれたスケバンの右腕が、オレンジ色のロケットを模した籠手に変わる。

 エンジンが点火され、猛烈な勢いで怪物に迫った。

 

「うおらあああああ‼︎」

 

 文字通りロケットパンチが炸裂し、オリオン・ゾディアーツの巨体が軽々と吹き飛ばされた。

 その戦い方に、ボーボボと破天荒は驚きに目を見張った。

 

「おいおいまさか⁉︎」

「あれはコズミック真拳……ということはアイツは」

 

 ボーボボの脳内で、ミニボーボボ探偵たちの手によって様々な記憶の欠片が片付けられ、一人の幼い少女の写真が探し出される。

 快活な笑顔を浮かべていた少女の顔と、スケバンの横顔が重なった。

 

「イザヨ‼︎」

「気づくのがおっせぇよ、ボボ兄‼︎ 天兄‼︎」

 

 待ってましたと言わんばかりに振り向き、喜ばしい笑顔を浮かべるスケバン―――イザヨ。

 ビュティは困惑しながら、ボーボボに尋ねた。

 

「あの人は……?」

「ヤツの名はイザヨ。俺や破天荒と同じ毛の王国の生き残りの一人だ。だがずっと行方が知れなかった」

「こんなところにいやがったのか…!」

 

 ほかにも毛の王国の生き残りがいたことに驚くビュティ。

 その後ろで、ハンカチを噛みしめた首領パッチが目を吊り上げていた。

 

「キーッ! 何よあの女、二次小説だからってデカイ顔して出てくるなんて‼︎ 何様のつもりよ‼︎」

「そーよそーよ‼︎」

 

 気色悪いご近所のおばさんの格好になった首領パッチに睨まれるが、当のイザヨはオリオン・ゾディアーツの相手に忙しく見向きもしなかった。

 

「俺たちも負けてらんね―――‼︎」

「主人公は俺だ―――‼︎」

 

 天の助、田楽マンも出番獲得のために向かい、まとめてぶっ飛ばしてやろうと拳(?)を振りかざす。

 がそれよりも先に、ベルトに備わっていたスイッチの一つを入れ替えたイザヨが動いた。

 

Chainsaw On(チェーンソー・オン)

「コズミック真拳奥義『ライダーぶった斬りブレイクダンス』!!!」

 

 右足を水色のチェーンソーに変えたイザヨがその場で足を振り回し、オリオン・ゾディアーツを滅多切りにする。首領パッチたちもまとめて。

 

「ぎゃあああああああああ!!!」

「案の定巻き込まれた―――――!!!」

 

 案の定というかなんというか、近くにいた首領パッチたちも巻き込まれてぶつ切りにされてしまった。自業自得ともいえるが、あまりに憐れであった。

 

「邪魔だ‼︎」

「ぶべ⁉︎」

 

 心配するイザヨかと思えば、バラバラになった彼らをうっとうしそうに蹴り飛ばした。

 そして蹴り飛ばされた先には、ダストシュートを用意したボーボボが待っていた。

 

「ボッシュート‼︎」

「ぎゃああああ⁉︎」

「流れるようにゴミ箱に捨てられた‼︎」

 

 生ごみ扱いされた首領パッチたちがダストシュートの中で怨嗟の声を上げているのにも構わず、イザヨはまた別のスイッチを入れた。

 

Launcher On(ランチャー・オン)

Rader On(レーダー・オン)

 

 右足がランチャーに、左腕がレーダーに変わり、ミサイルとアンテナがオリオン・ゾディアーツに向けられる。

 レーダーが敵を補足し、イザヨの目で赤い円が固定された。

 

「オラァ!」

 

 標的に向かってミサイルが発射され、オリオン・ゾディアーツの足元で次々に爆発する。

 爆風によってオリオン・ゾディアーツの巨体が巻き上げられ、身動きができなくなる。

 

「トドメだ‼︎」

Rocket On(ロケット・オン)

Drill On(ドリル・オン)

LIMIT BREAK(リミット・ブレイク)

 

 再び右腕をロケットに、そして左足をドリルに替え、ベルトのレバーを動かす。

 ロケットの推進力で加速したイザヨは、高速回転するドリルをオリオン・ゾディアーツに向け、一気に突撃していった。

 

「コズミック真拳超奥義『ライダーロケットドリルキ――――ック』‼︎」

「ぐああああああああ!!!」

 

 凄まじい破壊力を伴ったイザヨのキックを受け、オリオンゾディアーツは空中で爆発四散する。

 落ちていく人影を尻目に、イザヨは華麗に着地して見せた。

 

「ひっさしぶりだな、ボボ兄! 元気だったかよ!」

「イザヨ! 見違えたぞ!」

 

 イザヨはそのままボーボボたちのもとに駆け寄り、こつんと拳を合わせる。

 ボーボボも快くそれを受け止め、心底喜ばしそうな笑みを浮かべた。

 

「よう、随分でかくなったじゃねぇか。あのおてんば娘がよ」

「そりゃそうだぜ天兄! あれから20年経ってんだからな‼︎」

 

 破天荒もまた不敵な笑みを浮かべ、久しぶりに会った妹分を出迎える。

 すると、立ち尽くしているビュティやヘッポコ丸たちに気づいたのか、イザヨは親し気な笑顔を浮かべて近づいてきた。

 

「お前らはボボ兄たちの仲間か? 俺はイザヨだ! よろしくな!」

「あ、ああ……」

 

 いきなりのテンションに戸惑うが、悪い人ではないようなのでおずおずといった感じであいさつする。

 首領パッチたちが足蹴にされたのは、実際に邪魔だったから仕方がない。

 

(何だろう……ボーボボの同郷の人の割には……)

(結構普通だな……)

 

 心底不思議に思っていると、復活してきた首領パッチたちが憤慨しながら向かってきた。

 

「コノヤロー‼ よくも俺たちをぞんざいに扱いやがったな⁉」

「訴えてやる‼」

 

 鼻息荒く向かっていく三人だったが。

 

「弱肉強食!!!」

「ぎゃあ!!?」

 

 イザヨのもとに行く前に、プレデターのような格好になったボーボボに三人仲良く滅多切りにされた。

 

「はっはっは。ボボ兄の仲間は面白いなあ‼」

(あれを面白いって言えるあたりさすが毛の王国の出身者だなあ…)

 

 突然の惨劇にも全く動じないイザヨに、ビュティは呆れるような感心するような複雑な気持ちになった。

 そんな中、訝し気に眉を寄せたボーボボが思い切って尋ねてみた。

 

「しかしイザヨよ。なぜお前がこんなところにいる? 安全な場所で暮らしているものだと思っていたぞ」

「……実はな、そのことでボボ兄を探していたんだ」

 

 打って変わって真剣な表情で、イザヨはボーボボと破天荒に向き直る。

 そして視線を向けた先には、ボロボロで倒れ伏す高校生くらいの青年が倒れていた。

 

「さっきのやつはゾディアーツ。宇宙の力を秘めたゾディアーツスイッチによって、怪物に変えられた……人間だ」

「なんだと⁉」

 

 怪人の思わぬ正体に、ソフトンやヘッポコ丸は目を見開いて驚きをあらわにする。

 青年のほうを見てみれば、虫も殺さないような人畜無害そうな顔をしている。そんな人間が、あのような恐ろしい姿となって襲ってくるというのは、信じられない話だった。

 

「何でそんな奴らが……⁉︎」

「こいつらにスイッチを渡して、暴れさせている奴らがいる。だから俺は奴らを追っているのさ」

「そんな……」

「こいつらは倒せば元に戻る。だが怪物になっている間はスイッチに支配されて、本性がむき出しになった残酷な性格になっちまうんだ」

 

 罪もない人を怪物に変え、自分の手は汚さずに恐怖をもたらすという。

 そんな存在に、この男が黙っているはずがなかった。

 

「そんな外道は案じて許せん‼︎ 俺がぶっ潰してやる‼︎」

 

 怒りを全開にしたボーボボが、握り拳を掲げながら宣言する。

 首領パッチを踏みつけながら。

 

「このボーボボの名にかけてな‼︎」

「ぎゃああああああああ!!!」

「何で首領パッチ君を!!?」

 

 理不尽に巻き込まれている首領パッチを心配するが、他の者は特に気にしなかった。

 特にイザヨは、兄貴分が見返りもなしに意思を同じくしてくれたことに喜び、完全に意識の外に飛ばしていた。

 

「力を貸してくれるのか⁉︎」

「無論だ」

「俺たちにも協力させてくれ‼」

「やってやるぞ―――‼」

「「「「「「「おお―――――!!!!」」」」」」」

 

 ボーボボだけではない。

 今までともに毛狩り隊と戦ってきたボーボボの仲間たちも、正義の心を奮わせて参戦を買って出た。皆、心は同じだった。

 

「よっしゃあ‼︎ じゃあ久しぶりにアレをやるか‼︎」

「おお‼」

 

 ガッツポーズを見せるイザヨがこぼしたセリフに、同じく拳を掲げていたビュティは思わず「え?」と首をかしげた。

 その直後。

 

「「打倒ゾディアーツ――――――‼︎」」

「ほばぼぶっ⁉︎」

 

 修羅の表情になったボーボボとイザヨが、近くにいた首領パッチの顔面を思い切り殴り飛ばした。

 何事かと驚くかもしれないが、これは仲間割れではない。

 

「出た! ボーボボ達の謎の気合充実法‼︎」

 

 怒りを口にし、互いにその強さを体感することで気合いを充実させていくという、彼らなりの恒例行事のようなものだった。被害は毎度かなりのものであったが。

 しかし中でも、イザヨの気合いは実に高まっていた。

 

「打倒ゾディアーツ‼︎」

「ぶへっ⁉︎」

 

 首領パッチの横っ面に回し蹴りを叩き込み。

 

「打倒ゾディアーツ‼︎」

「がふっ⁉︎」

 

 天の助の脳天にカカトを振り下ろし。

 

「打倒ゾディアーツ―――――――――‼︎」

「ごべらっ⁉︎」

 

 田楽マンを渾身のアッパーでぶっ飛ばした。

 全員、手加減容赦なしの全力の攻撃であった。

 

「ていうかよく見たらさっきから片方が一方的に嬲られてるだけだ――――‼︎」

 

 気づいたビュティが叫ぶ。

 お互い殴り合う青春的交流に見えなくもない方法だったはずなのに、今行われているのは単なるいじめにしか見えなかった。

 

「ちなみにこの気合いの入れ方を最初に考えたのはアイツだ。当時2歳」

「そーなの⁉︎」

 

 こんなバイオレンスな方法をわずか二歳の女の子が考え出したことに戦慄するビュティ。いったいどんな幼少期を過ごしたらそうなるのだろうか。

 

「タッチ! ターッチ‼︎」

 

 ボロボロになった首領パッチが攻守を交代しようと、リングの外にいるボーボボとタッチしようと手を伸ばす。

 その手が届いた瞬間、ボーボボは首領パッチを思いっきり投げ飛ばした。

 

「よし、もう一回行ってこい‼︎」

「うそーん⁉︎」

「タッチの意味は⁉︎」

 

 そんなものはない。

 そして投げ飛ばされた先には、首に腕を回された天の助と猛然と向かってくるイザヨの姿があった。

 

 絶牛雷黎熱刀(ダブルラリアット)‼︎

 

「ぎゃあああああああああああ‼︎」

 

 さらにイザヨの向かい側から走ってきたボーボボとの挟み撃ちにあい、首領パッチは盛大に吐血しながら力尽きてしまうのだった。

 その場に残った者は、ツッコミポジションにより生き残ったビュティと、すべての元凶であるボーボボとイザヨだけであった。

 

「「よっしゃ―――‼︎ 気合入ったぜ――――‼︎」」

「全員ほとんど息してね――――――‼︎」

 

 ボーボボ一行は、イザヨという未知の力を秘めた新メンバーを加え、前途多難のスタートを迎えた。

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