【完結】ボボボーボ・ボーボボ ハジケウォーズ/フォースの覚醒   作:春風駘蕩

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色ついたどー!!


奥義32:コズミックマインド

 不敵な響きを声に乗せ、宇宙鉄人は悠々と立ちはだかる。

 厄介だった敵の攻撃をようやく封じた直後だったヘッポコ丸たちは、その態度に愕然とした表情に変わった。

 

「まだ何か力を隠しているのか…‼︎」

「そんな…」

 

 このままでは勝てない、そう痛感するビュティたち。

 その肩に、宇宙鉄人と相対するように不敵に笑ったボーボボがぽんと手を置いた。

 

「安心しろ。オレもたいした奥義は使ってないぜ」

「ボーボボ!」

「ボーボボさん!」

 

 頼もしい言葉に、ビュティもヘッポコ丸も思わず笑顔になる。

 が、期待の目で振り向いた先で、ボーボボはいくつもの巻物や書物を地面に山積みにし、荒い呼吸で膝をついていた。

 

「使い切った感が否めね―――――――――!!!」

「ボーボボ! まだ奥義『スリッパの裏でペチペチ』が残ってるぞ‼︎」

「おお!」

「それ明らかに残り物だろ!!!」

 

 まだ読み切ってなかった巻物を掲げ、首領パッチが確実に役に立たなそうな奥義を提案する。

 しかしボーボボは喜んでそれに乗り、首領パッチとともにスリッパを手に宇宙鉄人たちに突撃した。

 

「喰らえ! 奥義『スリッパの裏でペチペチ』!!!!」

『ぐわっ‼︎』

 

 ぺちぺちぺちぺちと、間違いなく痛そうにない音が力なく響く。

 しかしその小さな音とは裏腹に、攻撃を受けたスカイダインとグランダインは苦痛を孕んだ呻き声をこぼした。

 

(効いてる――――!!! これスゴイ奥義だったんだ)

『うっとうしい!!!』

「おぶ‼」

 

 しかし力尽くで振り払える威力だったらしく、手近にいた天の助を殴り飛ばして二体は怒りをあらわにする。

 え?なぜオレがなぐられたの?と困惑する天の助を足蹴にし、宇宙鉄人はボーボボたちと向き直った。

 

『愚かな…』

『我々だけに注目していていいのか?』

「何⁉︎ どういうことだ⁉︎」

 

 口があったならば、ニタリと醜悪に歪んでいるであろう妖しい雰囲気を纏い、宇宙鉄人が告げる。

 その直後、ボーボボたちの立つ空間の天井全てが開き、無数のレーザーやミサイルなどが配備され始めた。

 

 侵入者迎撃システムレベルXXX発動!!!!

「「「何ィィ―――――――!!?」」」

 

 殺す気MAXな兵器の数々に狙われ、ボーボボたちは目を剥いて絶叫する。

 そしてその声を合図に、兵器の群れは情け容赦なくボーボボたちに牙を剥き、ズドドドド‼と火を噴き始めた。

 

「危ないビュティ‼︎」

「きゃああ!」

 

 地面を穿ち、何もかもを破壊する砲撃にさらされ、ボーボボやソフトン、ヘッポコ丸は咄嗟にビュティを守る盾になる。

 当然だが、首領パッチをはじめとするその他は完全に放置だった。

 

「「ぎゃあああああ!!!」」

「ハイ、直撃です」

 

 ハチの巣になり悲鳴を上げる天の助や田楽マン、そしてなぜかほぼ諦めて平然としている首領パッチの周囲に血飛沫が舞う。

 そのすぐ横でメテオやなでしこが猛攻を必死に躱す中、元から無敵な魚雷ガールはなぜか優雅に紅茶と新聞をたしなんでいた。

 

「アイツら……XVⅡの力を完全に乗っ取ってやがる!!!近づけねぇ!!!」

「下がってろ‼︎」

【Screw On】【Water On】

「コズミック真拳奥義『ライダー洗濯機トルネード』!!!」

 

 一発でも喰らえば致命傷な攻撃を防ごうと、イザヨが二つのスイッチを同時に使い、周囲に激流でできた壁を作り出す。

 凄まじい威力の水流は何とかレーザーを防ぐ事ができたが、それでも突き抜けてくる銃弾がボーボボたちに襲い掛かってきた。

 

「ダメだ、全部は防ぎきれない‼︎」

「案ずるな。バビロンにはどのような攻撃も悪しき心を持つ者にはね返す秘奥義が存在する…みんな、オレの後ろから出るな」

 

 イザヨが時間を稼ぐ中、ソフトンが全身のオーラを集め、徐々に発現していく。

 そして気合いの裂帛とともに、ソフトンの周りに半透明な赤い壁が生み出され、ボーボボたちを守るために張り巡らされた。

 

 バビロン真拳奥義『九龍の朱い魔鏡』!!!

「いいぞウンコ――」

「オラー‼︎ かかってこいや!」

 

 最早恐いものなどない、と調子に乗った首領パッチたちが、天井中に設置された兵器の数々を煽る。

 すると望み通りにしてやるとでも言うように、兵器は赤い壁に向かってレーザーを発射し―――跳ね返ってすべて首領パッチたちに命中した。

 

「「「ぎゃああああああ!!!」」」

「あ」

 

 高熱で焼かれ穴だらけになる首領パッチ、天の助、田楽マンの姿に、壁を作ったソフトンが思わず気の抜けた声を漏らした。

 

「横に3人悪しき者いた――!!!」

「ウンコ、テメ――、コラ‼︎」

「ボットン便所に流されるか、おお⁉︎」

「芳香剤まくぞコラ‼︎ いい香りでニオイかき消すぞコラー‼︎」

「何してんの‼︎」

 

 余計な痛みを味わった三人は、その直接的な原因であるソフトンに当たり始め、ビュティからツッコミを食らう。

 自業自得というべきか不幸な事故なのか、判断が微妙に付けづらかった。

 

「あなた達ふざけすぎ―――!!!」

「「「ぎゃばらべが!!!」」」

 

 愛するソフトンへの狼藉に、魚雷ガールが怒りの突撃を放ち吹っ飛ばす。これに関してのみ、ビュティやヘッポコ丸は三人に同情の念を抱いていた。

 

『まだまだ余裕がありそうだな』

『ならば次は……10倍だ』

「「「「「「ぎゃわらああああああああ!!??」」」」」」

 

 慌てふためくボーボボたちを嘲笑うと、宇宙鉄人はそれぞれで腕を振るい、周囲にさらなる兵器を展開させる。

 先ほどの攻撃が弱く想えるほどの襲撃に、ボーボボたちは号泣しながら逃げ惑った。

 

「いやああああああ‼︎」

「ボーボボさ――ん‼︎」

 

 今度こそ、全身をレンコンのように穴だらけにされて殺されてしまう。

 そんな想像をしたビュティたちが、ソフトンに守られながら悲痛な叫びをあげた。

 

「わわわっ‼︎」

「わわわわっ‼︎」

 

 だが、ボーボボたちもまだやられてはいない。柔軟に素早く動き、襲いくるレーザーの雨を紙一重で躱していく。

 側転や前転を繰り返していた彼らは、いつの間にか妙な円形の梯子のようなものに掴まって転がっていた。

 

「わ――――――」

「何やってんの!!?」

 

 新体操で見た事があるラートに乗り、ごろごろ転がる姿はどう見てもふざけているようにしか見えない。

 しかし彼らは大真面目な顔で、ラートの転がる勢いを増すと、宇宙鉄人たちに向かって言った。

 

「そしてこのまま宇宙鉄人に――突撃―――!!!」

(あれ――? 乗り物変わってる――――!!!)

 

 そして突撃の直前に、未来の一輪車のような奇妙な乗り物に乗り換え、宇宙鉄人にダイレクトな体当たりを食らわせビュティを困惑させる。

 その背後に突如、古いアニメのようなフォントの文字が浮かび上がった。

 

 未来ポリス ボボボチーム

 第1話 緊急出動OK?

「そのまま変なの始まった!!!」

 

 突然始まった新番組に、ヘッポコ丸は何事かと目を剥く。

 しかしボーボボたちは構わず、謎のBGMとともに奇怪な制服とヘルメットを被り、役に入り続けた。

 

『スクランブル、スクランブル。敵出現、ただちに出動してくれ‼︎』

「「「「ラジャOK!」」」」

「敵は強大だ、COOLに決めるぜ♪」

「「「「ラジャOK!」」」」

 

 意味があるのかよくわからないスライダーを滑り、謎の乗り物に乗り込んで発信させるボボボチーム。

 そして宇宙鉄人の元へ到着すると、それぞれで石斧や石槍、あるいは大岩を持って、二体に渾身の一撃を食らわせ始めた。

 

【Hammer On】【Freeze On】【Claw On】【Elek On】

「ATTACK!!!」

「「「「ラジャOK‼︎」」」」

(攻撃は原始的だ―――!!!!)

 

 近未来的な乗り物や設備や設定とは真逆の乱暴な攻撃に、ツッコミ二人は意味が分からないと声にならない声を上げる。

 その攻撃をどうにか凌いだスカイダインとグランダインは、忌々しげな雰囲気を放ちながらボーボボたちを睨みつけた。

 

『チィ…! うっとうしい…!』

『そうかこいつら…手を組むと力を増すのか。脆弱な人間らしい身の守り方だな』

「強みだと言いやがれ! たとえ一人一人の力は弱くても、それを束ねれば人は何倍にも強くなれるのさ‼︎」

 

 人間には到底越えられない攻撃をしのがれ、押され気味になっても、宇宙鉄人の人間を見下す態度は変わらない。

 それに対し、イザヨがドンと胸を張りながら、得意げに言い放った。

 

「そう…それこそが仲間との絆だ!!!」

 

 イザヨは思い出す。母なる星で出会い、共に悪を倒そうと修業した日々を。

 訓練施設で死にかけ、イザヨとのけいこで殺されかけ、普段の会話で普通に叩き潰されそうになったりした、かけがえのない時間を。

 

「感動的なこと言ってるところ悪いけど回想シーン全部最悪なんですけど!!?」

 

 少なくとも涙は一切流れそうにない回想に、ビュティがすかさず待ったをかける。台詞は立派でも、実際の行いがあまりに鬼畜過ぎたのだ。

 だがその表情が、ふと強張る。

 膝をついていた鋼鉄の兄妹から、不気味な含み笑いが聞こえてきたからだ。

 

『ククク…笑わせるな、如月イザヨ』

『貴様の言葉にどれほどの説得力があると思う?』

 

 急に雰囲気を変えた宇宙鉄人に、イザヨやボーボボたちは訝しげな視線を返す。確かに説得力はなかったが、二体の態度はそれとは異なる理由があったように思えたのだ。

 困惑する彼らに向けて、スカイダインとグランダインは衝撃の一言を放ってみせた。

 

『人間でも、生物でさえないお前が…人類の味方をするとは』

『滑稽な話だな』

「…⁉︎ なんだと…⁉︎」

 

 その意味を理解することは、ビュティたちにも、そして誰よりもイザヨ自身にもできなかった。

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